[働き方改革検定]新版 働き方マスター試験 ワークスタイルコーディネーター認定試験 公式テキスト 働き方改革と労働法務




まえがき

我が国の働き方には、改善すべき点が残されている。

例えば、正規労働者と非正規労働者の格差が諸外国(特にEU主要国)に比べると大きいといわれる。また、容易に改善されない長時間労働のために、健康を害する労働者が多いだけでなく、ワーク・ライフ・バランスを確保しにくく、労働の効率(労働生産性)も悪くなるといった問題も指摘されている。

働く場においても、女性管理職の割合が少なく女性の活躍が遅れている。妊娠・出産、育児、介護、病気の治療といったライフステージにおけるイベントに柔軟に対応できる制度の普及も十分とはいえない。

このような状況を背景として、「働き方改革」が言われるようになり、2018年7月に公布された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)によって、労働基準法、パートタイム労働法等の労働関連8法が一挙に改正された。労働基準法の改正は、1987年以来の大改正とも言われ、働き方に関連する法規制は大きな転換点にあるといえる。

このような潮流のなか、企業は、労働関係を働き方改革による法改正に対応させて、非正規雇用の処遇改善、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進などに取組むことが求められる。また、病気の治療や子育て・介護等と仕事が両立できる職場の実現、テレワークや限定正社員といった柔軟な働き方の導入、メンタルヘルス対策やパワーハラスメント対策などによる健康で働きやすい職場環境の整備といった課題にも対応しなければならない。

本書は、このような課題に対応するために必要な情報となる、働き方改革の概要や、働き方改革関連法の知識、働き方に関係する労働関連法令の知識などについて解説している。

本書の概要は、次のとおりである。

テーマI(働き方改革とワークスタイルコーディネート)
→なぜ「働き方改革」が必要なのかについて、各種データを参照しながら解説するとともに、「働き方改革」に関連する用語について説明した。

テーマⅡ(働き方改革と働き方改革実行計画)
→「働き方改革実行計画」の内容と、「働き方改革関連法」の概要について解説している。

テーマⅢ(検討テーマごとにみる働き方改革)
→「働き方改革実行計画」が掲げる9つのテーマについて、関連する労働法令とともに解説した。
「働き方改革関連法」による労働関連8法の改正の具体的な内容については、それぞれ該当するテーマの中で詳説した。

テーマIV(働き方に関する労働法の理解)
→労働関連法令のうち、働き方に関連すると思われる法令について解説した。

[参考知識]について

本書は、働き方改革や働き方に関連する法令について網羅的に解説しており、[参考知識」として記述した部分を読み飛ばしても、「働き方」に関する知識としては十分な量があり、「ワークスタイルコーディネーネーター認定試験」の合格レベルに達するものと考えている。

しかし、実務においては、直面する課題によっては更に深い情報・知識を必要とする場合がある。そこで、本書では、[参考知識」として、実務に役立つと思われる情報・知識を掲載することにした。実務においては、[参考知識」の記述を手がかりとして、対応の糸口を掴んでいただけるだろうと考えている。

従って、試験対策としては、本文を優先的に学習し、[参考知識]についてはこだわらないという方法も、効率的な学習になると思う。

2019年4月
坂東利国

試験概要

1. 受験資格 国籍、年齢等に制限はありません。
2. 受験会場
主な受験地 札幌 仙台 東京 埼玉 千葉 横浜 名古屋 津 京都 大阪 広島福岡 沖縄
※実施回により変更の可能性があります。
3. 試験日程 年4回(年度により実施日は異なります。)
4. 試験時間 働き方マスター試験:90分
ワークスタイルコーディネーター認定試験:120分
5. 試験形態 マークシート方式
6. 出題内容および合格基準
出題内容は次ページ表をご参照ください。
合格基準:全体の 70% 以上の正答
7. 受験料 働き方マスター試験:8,000円(税抜)
ワークスタイルコーディネーター認定試験:10,000円(税抜)
〔団体割引について〕
試験を10名以上同時申込みされますと、団体割引が適用されます。
10~19名 8%割引 2 0~99名 10%割引 100名以上 15%割引
※ 31名以上同時申込みをご希望の場合は下記までお電話ください。
8. 申込方法
インターネットでお申込みの場合…下記アドレスよりお申し込みください。
http://www.joho-gakushu.or.jp/web-entry/siken/
郵送でお申込の場合… 下記までお問合せ下さい。

お問合せ先
一般財団法人 全日本情報学習振興協会
東京都千代田区神田三崎町 3-7-12清話会ビル T
EL:03-5276-0030 FAX:03-5276-0551
http://www.joho-gakushu.or.jp/

 

★の項目は、原則として「働き方マスター試験」の出題範囲外となります。

内容
1 我が国の経済社会の現状 1) 総則
2) 一億総活躍社会
3) 人口高齢化
4) 子どもを産み育てやすい環境づくり
5) ワーク・ライフ・バランスとその取り組み
2 働き方の現状と現行の法律
及び関連法律の改正展望
1) 働き方改革
2) 非正規雇用労働者の処遇改善
3) 賃金引上げと労働生産性向上
4) 長時間労働の是正
5) 柔軟な働き方がしやすい環境整備
6) 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
7) 外国人労働者
8) 女性・若者が活躍しやすい環境整備
9) 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援
10) 高齢者の就業促進
3 労働法総論★ 1) 労働法の意義と沿革など
2) 憲法上の基本規定
4 個別的労働関係法 1) 労働契約の意義と特色
2) 個別的労働関係の成立
3) 就業規則の意義と効力
4) 労働条件の明示
5) 労働契約の解除 ★
6) 懲戒 ★
7) 労使紛争の解決 ★
5 労働関係の展開 1) 基本的法規制
2) 賃金
3) 労働時間・休暇
4) 安全衛生(ストレスチェック制度など)
5) 人事★
6 労働市場の一般施策 1) 労働市場政策 ★
2) 失業者に対する雇用保険の給付★
7 団体的労使関係法 1) 労働組合★
2) 団体交渉 ★
3) 労働協約

※出題内容は変更となる場合があります。

坂東 利国 (著), 全日本情報学習振興協会 編集部 (編集)
出版社: マイナビ出版; 新版 (2019/5/9)、出典:出版社HP

目次

★の項目は、原則として「働き方マスター試験」の出題範囲外となります。

I 働き方改革とワークスタイルコーディネート
第1章 ワークスタイルコーディネートの重要性

第2章 働き方改革の必要性−我が国の経済社会の現状

第3章 働き方改革に関連する事項
第1節 働き方改革の理解に役立つ用語
第2節 働き方改革に関連する政策等

Ⅱ 働き方改革と働き方改革実行計画
第1章 働き方改革とは

第2章 働き方改革実行計画

第3章 働き方改革関連法による法改正
第1節 働き方改革関連法とは
第2節 法改正の概要
第3節 改正法の施行時期

III 検討テーマごとにみる働き方改革
第1章 非正規雇用の処遇改善
第1節 非正規雇用とその処遇の現状
第2節 働き方改革実行計画による非正規雇用の処遇改善
第3節 パートタイム労働法と労働契約法の改正
第4節労働者派遣法の改正
第5節 非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進等

第2章 賃金引き上げと労働生産性向上
第1節 賃金と労働生産性
第2節 賃金引上げと労働生産性向上に関連する事項

第3章 長時間労働の是正
第1節 長時間労働の現状
第2節 働き方改革実行計画による長時間労働の是正の施策
第3節 労働基準法の改正による時間外労働の上限規制
第4節 中小事業主における月60時間超の増賃金率の見直し
第5節 長時間労働の是正に向けた業種ごとの取組等
第6節 年次有給休暇の確実な取得
第7節 勤務間インターバル導入の努力義務
第8節 意欲と能力ある労働者の自己実現の支援
第9節 柔軟な働き方
第10節 労働者が働きやすい職場環境の整備

第4章 柔軟な働き方がしやすい環境の整備

第5章 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進

第6章 外国人材の受入れ

第7章 女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備

第8章 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実

第9章 高齢者の就業促進

IV 働き方に関する労働法の理解
第1編 労働法総論
★第1章 労働法の意義等

★第2章 労働関係の当事者
★第1節労働者
★第2節 労働組合
★第3節 使用者
★第4節 社会保険労務士(社労士)

★第3章 労働契約と権利義務
★第1節 労働契約と権利・義務

第4章 労働契約の内容の決定

第2編 雇用関係法
★第1章 労働基準法と労働契約法
★第1節 労働基準法と関連事項
★第2節 労働契約法
★第3節 労働契約における原則

★第2章 憲法上の人権規定

第3章 労働者の人権保障
第1節 労働基準法が規定する人権擁護規定
第2節 雇用における男女の平等・母性保護
第3節 年少者の保護
第4節 募集・採用における年齢差別の禁止
第5節 障害者差別の禁止
第6節 職場におけるハラスメント等

★第4章 労働契約の成立と法規制
★第1節採用の自由
★第2節 労働条件の明示等
★第3節 採用内定
★第4節 試用期間
★第5節 有期労働契約の成立

★第5章 就業規則の規制と効力
★第1節 就業規則の規制

★第6章 労働条件の変更

★第7章 労働契約の終了
★第1節 解雇
★第2節 解雇以外の労働契約の終了事由
★第3節 労働契約終了後の法律関係

★第8章 人事
★第1節 昇進・昇格・降格
★第2節 配転・出向・転籍
★第3節 企業組織の変動
★第4節休職
★第5節 教育訓練

★第9章 服務規律と懲戒
★第1節 服務規律
★第2節 懲戒権

★第10章 賃金に関する規制
★第1節 賃金に関する原則
★第2節 賃金の種類等
★第3節 賃金に関する制度
★第4節 成果主義・年棒制
★第5節 財形・中退共等
★第6節 賃金等の請求権の消滅時効

第11章 労働時間・休憩・休日に関する規制
第1節 労働時間・休憩・休日の原則
第2節 時間外・休日労働・代替休暇
第3節変形労働時間制
第4節 フレックスタイム制
第5節みなし労働時間制
第6節 特別休暇
第7節 長時間労働の問題と労働時間規制の動向
第8節 勞動時間等設定改善法等

第12章 年次有給休暇
第1節 年次有給休暇制度
第2節 年休O活用
第3節 年次有給休暇の時季指定義務

第13章 育児休業・介護休業と育児・介護の支援
第1節 育児・介護休業法
第2節 育児を行う労働者の支援措置
第3節 次世代育成対策推進法
第4節 介護を行う労働者の支援措置
第5節 妊娠・出產、育児、介護に関するその他の事項

第14章 安全·健康の確保と災害補償
第1節 安全·健康の確保
第2節 治療と仕事の両立支援
第3節 災害補償

第15章非正規雇用
第1節 非正規雇用問題
第2節 有期雇用労働者
第3節 短時間・有期雇用労働者

第3編 雇用保障法
第1章 勞動市場一般的施策
★第1節 勞動施策綜合推進法
★第2節 職業紹介
★第3節労働者派遣
★第4節 業務請負・偽装請負
★第5節 雇用保險
★第6節 求職者支援制度
★第7節 職業訓練·職業能力開発

第2章 労働市場の個別的施策
第1節 高年齢者の雇用促進
第2節 若者の雇用促進
第3節 障害者の雇用促進
第4節 外国人労働政策・外国人労働者の雇用管理

第4編 労働紛争の解決手続

凡例・参考資料
索引

坂東 利国 (著), 全日本情報学習振興協会 編集部 (編集)
出版社: マイナビ出版; 新版 (2019/5/9)、出典:出版社HP