「秘書力」で人生を変える!




はじめまして

「秘書力」で人生を変える?それは少し大袈裟では…と思った方も多いでしょう。そもそも「秘書力」とは?「部下力」とは?
この本を手に取ってくださったあなたは、社会人としてバリバリ仕事をこなしている方でしょうか?男女を問わずキャリアアップしたい、資格を取得して転職したい、と思っている方かもしれません。あるいは、管理職の方?実際に秘書として上司を補佐している方であれば、共感していただけることも多いでしょう。再就職を目指す主婦の方でしょうか?それとも大学生や専門学校生?もしかしたら商業系の高校生?高校生で「秘書力」に関心を持ってもらえたなら、落ちこぼれ秘書であった私は心から拍手を送ります。アナウンサー志望者?現役アナウンサー?いいですね。あなたにもきっと、ある意味参考になると自負しています。

私は生まれも育ちも鹿児島市。アナウンサーを目指して上京し、大学4年間を過ごした後、故郷鹿児島の放送局に入社しました。アナウンサーとして6年間、出産後、秘書として2人の社長につき総務部で5年間勤務しました。後ろ髪を引かれる思いで1年間の会社員生活を卒業し、現在は縁あって新潟の放送局でニュースを読みながら、フリーアナウンサーとして活動しています。さらに、秘書時代の経験と資格を活かし、大学で秘書検定対策講座を担当。また、マナー講師として企業や大学などで研修や講演活動を行っています。

「アナウンサーと秘書」

画面を通して、また大勢の人の前に立ち自分自身をさらけ出す機会も多いアナウンサーと、上司を補佐する立場の陰に徹する秘書。
その両方を経験している、少し異色の経歴かもしれません。しかし、そんな特別な経験ができたからこそ、今の私があるのです。

「表舞台と縁の下の力持ち」

そして今回、私は改めて気がついたのでした。まったく違うと思っていた「アナウンサーと秘書」という仕事ですが、アナウンサーは決して自分が主役ではなく、紹介する物事があり、ゲストがいてこそ。主役である「伝えるべき物・事・人」を自分の言葉を使ってサポートし、世の中へ伝えていきます。秘書も、主役である上司が仕事をしやすいように補佐し、仕事を通して上司を世の中に伝えていく、いわばマネージャーであり演出家。また、縁の下の力持ちでありながら、時に社の顔として表舞台に出て行くこともありました。こうしてみると、まったく違うと思っていた2つの仕事が、私のなかでは、本質的にとてもよく似ている仕事としてつながりました。本書を書くにあたって、ようやくこんな大事なことに気づいた、まだまだ未熟な私です。

そんな私の人生を変えた大きなキーワードが「秘書検定」です。その存在はご存知でしょうか?少し前までは、女子学生が就職活動の際、「持っていると有利だから取る資格」というイメージがあったかもしれません。しかし近年、若い女性だけでなく、若い男性から中高年男性まで、男女を問わず管理職はもちろん、主婦の方の受験者も珍しくありません。公益財団法人実務技能検定協会によると、過去約700万人が受験し、そのうち約380万人が合格を手にしてきました。「秘書検定」の「秘書」の部分を「社会人」とするとしっくり受け入れることができるかもしれません。挨拶や敬語、電話応対にビジネス文書、人間関係などその範囲は広く、言い換えればまさに「社会人検定」です。「会社」だけでなく、組織のなかで働くすべての部下・上司に役立つ職場常識の宝庫ともいえるでしょう。

アナウンサーから社長秘書になった当初、私は自分自身のその「社会人力」の乏しさに愕然としました。「かしこまりました」の一言もスマートに言えなかった落ちこぼれ秘書が、独学で秘書検定1級を取得し、人生が変わっていくのです。さまざまな秘書的能力を本書では「秘書力」と呼ぶことにします。日常業務に活かせる「秘書カ」は誰にでも必要な「部下力」であり、それはキャリアアップにつながります。20年、30年と秘書一筋のベテラン秘書に比べたら、落ちこぼれのうえ、たった5年の実務経験しかない私が秘書を語るのはおこがましいのですが、私にしかできない「生涯アナウンサー&元秘書」の立場でお話ししようと思います。また、現役アナウンサーの立場から、コミュニケーションをとるための道具である「言葉」にも触れ、コミュニケーション術や発声練習の仕方、声の表情の磨き方も伝授しましょう。「声と話し方」で人生も変わるのです。

そして、最初にこれだけは念押ししておきますね。どんなに難関といわれる資格を持っていても、どんなに有名な大学を出ていても、人とのコミュニケーションがとれなければ仕事はできないということ。もちろん、資格を取得するそのプロセスと努力は素晴らしいことです。資格があってこその職業やスタートラインもありますが、その資格を活かすも無駄にするもその人次第。資格を活かし、人が人との関わりのなかで仕事をし、ともに同じ方向を向いていかなければなりません。仕事は1人ではできないのです。積み重ねた学びと、そこから生まれる自信、そしてなんといっても人間関係こそが、社会でのキャリアアップに大きく影響していきます。

本書は、アナウンサー&元秘書としての経験をもとに、秘書検定のスキルも紹介しながら、社会人として基本的なことを中心とした私流の仕事術バイブルです。秘書検定の過去問題も引用していますので、挑戦してみてくださいね。
「秘書検定」はとてもおすすめの資格ですが、この検定を必ずしも受験してほしいといっているわけではありません。たくさんの学生や社会人とお会いする機会がありますが、「自分に自信が持てない」という声をよく聞きます。「秘書力」が自分に自信を持つきっかけになり、自分自身を認める自己肯定感につながればと思います。その「秘書力」を身につけるために「秘書検定」を学ぼうと思う方がいらっしゃるなら嬉しく思います。自分自身の一歩踏み出した勇気と資格取得が自信となり、また次の自信につながるでしょう。自分を信じて直感に直観をプラスし行動することで、きっと運命も回り出し人生が変わるでしょう。現に私は、本書を書くことで、また次の山頂を目指して登り始めましたが、それはまた最後に。まずは、私自身の社会人人生がどう変わっていったのか、というところから始めますね。品よく毒を吐くこともお許しください。

この本を閉じたとき、不安やモヤモヤなど心にたまっているものがあればふーっと吐き出し、宙を仰いで「自分を叶えよう!」と思ってくださることを望みます。
「秘書力」で人生を変える!

田巻華月 (著)
中央経済社 (2017/2/1)、出典:出版社HP

目次●「秘書カ」で人生を変える!

はじめまして

PART1「秘書力」でキャリアアップ! 人生を変えた秘書検定

1 アナウンサーから社長秘書へ! 落ちこぼれ秘書の誕生.
2 独学で秘書検定を取得―2級・準1級・1級への道.
3 会社退職後に待っていた思いがけないチャンス!
4 元秘書、元面接官、現役アナウンサーだからできること
5 女性の生き方を支援する「魅力塾」誕生–1万人以上にインタビューしてきた生涯アナウンサー&元秘書として コミュニケーション、話し方、ビジネスマナーなどを伝える
6 秘書の経験があったからこそ実現! 奇跡の出版への道
秘書検定過去問にチャレンジ!
INTERVIEW 1 桐明桂一郎氏(株式会社鹿児島放送 元代表取締役社長)
COLUMN 1 26転び27起き 夢はあきらめたときに夢になる.

PART2「秘書力」でビジネススキルアップ! 秘書検定は職場常識の宝庫

1 秘書ってどんな仕事?
2「秘書検定」とは?
3 社会人としての心構え―すべての基本は第一印象と挨拶
4 社会人として重要な自己管理の基本
5 社会人としての常識「報告・連絡・相談」は、職場でのコミュニケーション
秘書検定過去問にチャレンジ!
INTERVIEW 2 坂口和之氏(株式会社鹿児島放送 元代表取締役社長)
COLUMN 3 私は一度死んでいる。人生は奇跡の連続

PART3「秘書力」でヒューマンスキルアップ!秘書力=部下力=組織で必要な補佐能力

1 秘書的能力は部下力、そして人間的能力
2 組織人としての心得 |上司の有能な補佐役となる
3 職務範囲と越権行為
4 心ある注意・忠告の仕方と受け方、そして褒め方
5 部下・後輩を信じて任せる勇気―部下・後輩が育つ指導!
6 相手に納得してもらうクレーム対応術—1人のクレームは、物言わぬ多くのお客様の代表の声
7 断るときでも株が上がる! 上手な断り方……」
8 落ちこぼれ秘書の失敗・エピソードから学ぶ 秘書のヒューマンスキル&マナー講座
秘書検定過去問にチャレンジ!
INTERVIEW 3 永池誠悟氏(株式会社鹿児島放送 専務取締役)
INTERVIEW 9 山之内倫子氏(株式会社鹿児島放送 報道情報センター主任)
COLUMN O 手紙

PART4 「秘書力」でコミュニケーションスキルアップ! 人間関係に磨きをかける

1 仕事の成功は、「人とのつながり」の積み重ね
2 コミュニケーションカとは?
3 心をつかみ、ファンになっていただくコミュニケーション術0か条
INTERVIEWS 5 板垣政太郎さん(株式会社ハードオフコーポレーション敬和学園大学卒 秘書検定対策講座「田巻塾」塾生 秘書検定準1級取得)
INTERVIEW 6 S笠原やよいさん(株式会社東陽理化学研究所敬和学園大学卒 秘書検定対策講座 「田巻塾」塾生 秘書検定準1級取得)
COLUMN – ポジティブ男子の名言「進んだ道が自分の道!」

PART5「秘書力」でトークスキルアップ! 1万人以上にインタビューしてきた生涯アナウンサーが伝授! きょうからあなたも会話美人

1 言葉はコミュニケーションをとるための道具
2 敬語と接遇用語以
3 あれも間違い?これも間違い? 気をつけたい言葉遣い
4 きょうからあなたも会話美人―マナーのある会話術
5 声は人なり、言葉は人格なり
6 七色VOICEトレーニング ―声と話し方で人生を変える! 心に響く声と話し方.
秘書検定過去問にチャレンジ!
INTERVIEW 7 羽仁正次郎氏(株式会社ハ二 代表取締役社長)
COLUMN 5 自分の人生を背負う覚悟

ありがとうございました「秘書力」で人生を変える!

田巻華月 (著)
中央経済社 (2017/2/1)、出典:出版社HP