消費税入門の入門 (改訂九版)




はしがき

ここに,消費税の本当の入門書をお送りいたします。
題して,「消費税入門の入門」といたします。
「消費税入門」ではないことに,じつは,ご注目いただきたいのです。
消費税の入門書は,すでに,ずいぶんたくさん出版されております。いずれも,すぐれた入門書です。
そこで,私達は,あえて,入門の入門書を書きました。

この本では,特に,実務家のみなさんのために,
消費税の基本的なしくみ
消費税がかかる取引,かからない取引
消費税の実務上の問題点
消費税の会計処理
特殊な取引と消費税
消費税の申告,納付・還付の手続
について,最新の取扱いにもとづいて,説明いたしております。

読者のみなさん。
とにかく,最後まで,読んでみてください。
最後まで読んでいただければ,消費税の基本的なしくみと考え方を,きっと,ご理解いただけると,じつは,ひそかに確信しているのです。

平成4年4月
公認会計士 辻  敢
税 理 士 本田 望
税 理 士 齋藤雅俊

改訂三版発行にあたって
今回,改訂三版発行にあたって,税法の改正にともなう必要な改訂をすべて行ない,内容を最新のものといたしました。
平成11年1月20日

改訂三版第5刷発行にあたって
今回,改訂三版第5刷発行にあたって,第15章に「消費税の対象となる科目・ならない科目」を収録しました。
消費税の対象となる科目を,貸借対照表や損益計算書に従って分類し,表形式で整理いたしました。
どのような科目に消費税が関係しているのかが一覧できることによって,読者のみなさんの理解の一助になればと考えました。ご活用ください。
平成13年2月26日

改訂四版発行にあたって
今回,改訂四版発行にあたって,税法の改正にともなう必要な改訂をすべて行ない,内容を最新のものといたしました。
平成15年9月

改訂五版発行にあたって
今回,改訂五版発行にあたって,平成15年度の改正により記載していた経過措置等を整理・削除し,必要な改訂をすべて行い,内容を最新のものといたしました。
平成18年5月

改訂六版発行にあたって
平成18年に改訂正版を発行して、早5年が経過しました。
改訂六版の発行にあたっては,その間の消費税法の改正にともない必要となった改訂をすべて行い、最新の内容にいたしました。
平成23年10月

改訂七版発行にあたって
平成23年に改訂六版を発行して、2年が経過しました。
その後,平成24年には消費税法が改正され,平成26年4月以降,税率が段階的に引き上げられることになりました。
改訂七版の発行にあたっては,必要なすべての改訂を行い、最新の内容にいたしました。
平成25年11月

改訂八版発行にあたって
平成25年に改訂七版を発行して、4年が経過しました。その間,消費税法等が改正され消費税率引き上げられ,簡易課税制度のみなし仕入率の見直し等が行われました。

改訂八版の発行にあたっては,必要となった改訂をすべて行い平成204月現在の最新の内容にいたしました。
なお、平成31年10月以降の取引から,税率の引上げや軽減税率の道入水行われますが,それについての説明は割愛しました。
平成29年6月

改訂九版発行にあたって
令和元年10月1日以降,消費税率が10%に引き上げられ,消費税施行以来初めて複数税率が適用されます。
食品等の譲渡に対する軽減税率8%の適用です。
今回の改訂では、この改正を主要な事項として必要となった改訂を全て行い,令和元年10月現在の最新の内容にいたします。
また,令和5年10月以降の取引から適格請求書等保存方式の適用が予定されていますので、その説明もいたします。
令和元年8月

なお,この本をお読みいただいて、疑問のある方,もっとくわしく知りたい方は、ぜひ,
お名前,ご住所、ご質問の要旨,電話番号,FAX番号を明記のうえ,
税務研究会出版局
FAX番号 03-3233-0502まで,ご質問ください。
かならず,お答えさせていただきます。

辻 敢 (著), 本田 望 (著), 齋藤 雅俊 (著)
税務研究会出版局、出典:出版社HP

目次

第1章 消費税の仕組み

1 どのような仕組みの税金か
2 どのような取引が消費税の課税対象となるか
(1) 国内取引,輸入取引
(2) 国内取引のうちの非課税取引
(3) 国内取引のうちの輸出免税取引
3 消費税は誰が納める
(1) 国内取引
(2) 輸入取引
(3) 小規模事業者の納税義務の免除
4 消費税の税率は
5 納める税額はどのように計算するか
6 簡易課税(控除対象仕入税額の計算に関する特例)
7 消費税の総額表示
<まとめ>

第2章 消費税の課税対象取引

1 消費税の課税対象取引
2 消費税の課税対象となる国内取引とは
(1) どのような条件を満たす取引が国内取引か
(2) 国内において行うものとは
(3) 事業者が事業として行うものとは
(4) 対価を得て行うものとは
3 不課税取引とは
4 消費税の対象となる輸入取引とは
5 課税取引,輸出免税取引,非課税取引,不課税取引
<まとめ>

第3章 非課税取引・輸出免税取引

I 非課税取引
1 国内取引のうちの非課税取引
2 土地の譲渡および貸付け
(1) 土地の譲渡や貸付けにはなぜ消費税がかからないのか
(2) 1ヶ月未満の貸付けはどのように取り扱われるか
(3) 駐車場などはどのように取り扱われるか
(4) 建物の貸付けはどのように取り扱われるか
(5) 土地と建物を一括して譲渡する場合
3 有価証券,有価証券に類するものおよび支払手段の譲渡
(1) 有価証券,有価証券に類するものの譲渡
(2) 支払手段の譲渡
4 利子を対価とする金銭の貸付け,保険料を対価とする役務の提供
5 郵便切手、印紙および証紙の譲渡
6 物品切手等(商品券やプリペイドカードなど)の譲渡
7 国、地方公共団体などの行政手数料
8 外国為替業務にかかる役務の提供
9 住宅の貸付け
10 輸入取引のうちの非課税取引
Ⅱ 輸出免税取引
1 輸出免税とは
2 輸出免税の対象となる取引
3 輸出証明書等は何年間保存するのか
<まとめ>

第4章 軽減税率制度

1 軽減税率
2 対象品目
3 飲食料品の範囲
4 請求書等の記載事項の追加とインボイス制度の導入
(1) 区分記載請求書等の発行
(2) 適格請求書等の発行
5 免税事業者の対応
6 令和5年10月1日以降の税額計算

第5章 消費税の納税義務者

1 消費税の納税義務者
(1) 国内取引の納税義務者
(2) 輸入取引の納税義務者
2 小規模事業者の納税義務の免除
(1) 小規模事業者の納税義務の免除とは
(2) 基準期間とは
(3) 課税売上高とは
(4) 新規開業や新設法人の納税義務の判定
3 納税義務が免除されない場合
(1) 資本金の額が1,000万円以上の新設法人の特例
(2) 調整対象固定資産を取得した新設法人の特例
(3) グループ内の新設法人の特例
(4) 高額特定資産を取得した場合の特例
4 課税事業者の選択
(1) なぜ課税事業者を選択するか
(2) 届出をした場合,いつから課税事業者となれるか
(3) 免税事業者が適格請求書発行事業者として登録を受ける場合の経過措置
(4) 課税事業者から免税事業者へ戻るときはどうするか
<まとめ>

第6章 消費税の課税時期

1 国内取引の課税時期
(1) たな卸資産
(2) 固定資産
(3) 建物の賃貸借
(4) 請負
(5) 人的役務の提供
2 輸入取引の課税時期
<まとめ>

第7章 課税標準額と課税標準額に対する消費税額

1 課税標準額とは
2 割戻し計算方式による計算
3 積上げ計算方式による計算(消費税額等相当額を区分領収している場合の特例)
(1) 総額表示義務の適用を受けない取引の特例
(2) 「税込価格」を基礎とした代金決済を行う取引の特例
4 申告書にはどのように記載されるか
5 消費税および地方消費税の計算は,どのようにするか
<まとめ>

第8章 返品,値引きや貸倒れの処理

1 売上について返品や値引きがあった場合,どのように処理するか
(1) 申告書(第1表)「⑤」欄を使用する方法(第1法)
(2) 申告書(第1表)「⑤」欄を使用しない方法(第2法)
2 貸倒れがあった場合,どのように処理するか
〈まとめ〉

第9章 仕入税額控除とは

1 仕入税額控除とは
(1) 仕入税額控除とはどのようなことか
(2) 仕入税額が売上にかかる消費税額より多いときはどうするか
(3) 消費税を納めなくていい会社の仕入控除はどうなるか
(4) 仕入とは
(5) 課税仕入とはどういうことか
(6) 輸入したときの消費税はどうするか
(7) 仕入れた商品を返品したときの仕入税額控除は
<まとめ>
2 仕入税額控除はどのように計算するか
(1) 原則としてどのように計算するか(原則課税方式
(2) 特例ではどのように計算するか
(3) 簡単に計算するにはどうするか(簡易課税方式)
(4) 仕入税額控除の計算の特例(仕入を税率ごとに区分することが困難な中小事業者)
<まとめ>
(5) いつ仕入控除できるか
(6) 旧税率適用分の計算
<まとめ>
3 控除できる仕入税額とは
(1) 原則
(2) 課税期間の課税売上高が5億円を超える事業者の仕入税額控除(課税売上割合が95%以上の場合の全額控除制度の不適用)
(3) 控除できない仕入税額とは
〈まとめ〉
4 控除できる仕入税額の計算方法
(1) 課税売上割合はどのように計算するか
(2) 個別対応方式とはどのような計算方法か
(3) 個別対応方式を適用する場合のポイント
(4) 課税売上割合に準ずる割合とは
(5) たまたま土地を売却したために課税売上割合が95%未満になった場合の課税売上割合に準ずる割合
(6) 一括比例配分方式とはどのような計算方法か
(7) 一括比例配分方式の継続適用義務
<まとめ>
5 仕入税額控除の調整計算
(1) 課税売上と非課税売上の割合が大きく変動する事業者の特例
(2) 高額な固定資産とは
(3) どのくらい売上の割合が変動したら対象になるか
(4) 調整計算の方法は
(5) 固定資産を課税業務用から非課税業務用に変更したときは
<まとめ>
6 帳簿の記載と保存
(1) 帳簿はどのように記載するか
(2) 請求書等の保存についての特別な取扱い
(3) 仕入の内容はどのように記載するか
7 適格請求書等保存方式
(1) 適格請求書とは
(2) 適格請求書発行事業者登録制度
(3) 適格請求書発行事業者の義務等
(4) 仕入税額控除の要件
(5) 税額計算

第10章 課税仕入とは
1 課税仕入とは
2 仕入税額控除のできない取引とは
(1) 給料や賞与に仕入税額はあるか
(2) 土地や株式の購入に仕入税額はあるか
(3) 会費,入会金,負担金について
<まとめ>
3 給与等以外の人件費は仕入税額控除できるか
(1) 派遣費用
(2) 出向先会社が出向元会社に支払う給与等の負担金
(3) 通勤手当
(4) 単身赴任手当等
(5) 社宅や寮の家賃にかかる仕入税額控除
<まとめ>
4 出張旅費等の経費は仕入税額控除できるか
(1) 出張旅費,宿泊費,日当
(2) 出張旅費等の帳簿保存の適用について
(3) 従業員の通信教育費の負担
(4) スポーツクラブの入会金
<まとめ>
5 交際費や寄附金は仕入税額控除の対象となるか
(1) ビール券等の購入費用(交際費)
(2) 現物による寄附(寄附金)
〈まとめ〉
6 国外取引等
(1) 国外と国内のどちらにおいて行われた取引かの判断がポイント
(2) 国際輸送にかかる仕入税額控除
(3) 国際輸送の下請け
(4) 海外出張費
<まとめ>

第11章 簡易課税制度とは

1 簡易課税制度とはどのようなことか
(1) 原則
(2) 簡易課税
2 みなし仕入率とは(まとめ)
3 どんな会社や個人が簡易課税制度を選べるか
(1) いつの課税期間で判断するか
(2) 届出提出の特例(令和元年10月1日から令和2年9月30日までの日を含む課税期間)
(3) 基準となる期間の課税売上高は,どのように計算するか
(4) 基準となる期間が1年未満のとき
(5) 簡易課税制度を適用できない場合
〈まとめ〉
4 簡易課税制度を選ぶ手続きはどうするか
(1) 簡易課税制度を選ぶ手続きは
(2) 新たに消費税が課税される事業を始めたときの特例
(3) 軽減税率適用開始時期の特例
(4) 簡易課税の選択をしていても不適用となる期間
(5) 簡易課税制度をやめるときはどうするか
(6) 提出期限までに届出書の提出がなかった場合はどうなるか
〈まとめ〉
5 業種はどのように区分されるか
6 事業の区分はどのように判定するのか
(1) 卸売業(第一種事業)とは
(2) 小売業(第二種事業)とは
(3) 製造業(第三種事業)とは
(4) その他の事業(第四種事業)とは
(5) 運輸通信業,金融・保険業,サービス業(第五種事業)とは
(6) 不動産業(第六種事業)とは
〈まとめ)
7 兼業しているときは,どのように計算するか
(1) 原則としてどう計算するか
(2) 特別な計算方法はあるのか
<まとめ>

第12章 消費税を計算する期間は

1 会社の計算期間は
(1) 3ヶ月の特例
(2) 1ヶ月の特例
2 個人の計算期間は
(1) 3ヶ月の特例
(2) 1ヶ月の特例
<まとめ>

第13章 申告と納付はどこにするのか

1 会社はどこに申告するのか
2 個人はどこに申告するのか
[納税地の特例] <まとめ>

第14章 申告と納付はどうすればよいのか

1 申告と納付はいつまでにするか
(1) 確定申告はいつまでにするか
2 中間申告はいつまでに申告,納付するか
(1) 小さい会社の中間申告
(2) 中くらいの会社の中間申告
(3) 大きい会社の中間申告
(4) 地方消費税の中間申告
<まとめ>

第15章 消費税等の会計処理とは

1 会計処理の種類にはどのようなものがあるか
2 税抜経理方式とは
3 税込経理方式とは
4 会計処理はどのように選択するか
(1) 原則的にはどうか
(2) 会計処理方法選択の特例
5 免税事業者の経理方法は
6 期末一括税抜経理方式とは
7 決算で消費税等をどのように処理するか
(1) 税抜経理方式を選択している会社
(2) 税込経理方式を選択している会社
〈まとめ〉
8 消費税等の法人税法上の取扱いは
(1) 消費税等はどのように経理処理すればよいのか
(2) 税込経理方式を選択している場合の消費税等納付額
(3) 消費税等はいつ費用になるか
(4) 還付される消費税等はいつ収入になるか
(5) たな卸資産や固定資産の取得価額
(6) 費用に落とせる資産は消費税等を入れて判定するのか
(7) 特別償却等において定められている金額の判定はどうするか
(8) 交際費の損金不算入は消費税等を入れて計算するのか
(9) 消費税等の申告上控除できない消費税等は,どう取り扱うか
〈まとめ〉
9 所得税法上の取扱い
(1) 2以上の所得があるとき,税抜経理方式と税込経理方式の選択適用はどうするか
(2) 仮受消費税等および仮払消費税等の精算はどうするか
<まとめ>

第16章 消費税等の対象となる科目・ならない科目

1 売上(営業収益)
2 売上原価
3 販売費および一般管理費
(1) 消費税等の課税対象としてなじまない勘定科目
(2) 消費税等が非課税となっている勘定科目
(3) 一般的に消費税等が課税されている勘定科目
4 営業外収益
5 営業外費用
6 特別損益
7 固定資産(購入) 仕入税額控除

[参考資料]

第3-(1)号様式 消費税課税事業者届出書(基準期間用)
第3-(2)号様式 消費税課税事業者届出書(特定期間用)
第5号様式 消費税納税義務者でなくなった旨の届出書
第1号様式 消費税課税事業者選択届出書
第2号様式 消費税課税事業者選択不適用届出書
第1号様式 (従前第24号様式)消費税簡易課税制度選択届出書
第25号様式 消費税簡易課税制度選択不適用届出書
付表2-1 課税売上割合·控除対象仕入税額等計算表
付表5-1 控除対象仕入税額等計算表

辻 敢 (著), 本田 望 (著), 齋藤 雅俊 (著)
税務研究会出版局、出典:出版社HP