シニアITでの職種はどのような可能性があるか?




ITに関わってシニアとなり、定年、雇用延長、早期退職、そして転職を考えざるを得なくなってきた50代以降で今後どの様に人生を歩むべきかご検討いただく際の一助となれる内容をチェックしていきます。

今まで就いてきた職種に応じたシニア向けIT転職先候補

どのようなITのポジションがあるのか?

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転職を考えるにあたって相談者の方がよく言われるのは、自分の仕事は専門性が高すぎて職種を変えることは難しいということです。これは本当のことではありません。そういった判断をご自身がしてしまうのは、自身の過小評価と世間の仕事をご存じないからと推測されます。

パソコンができるので、IT出身者なら応募しやすいのは前出のマンション管理員ですが、それ以外となると年齢から多少の困難は有りえますが、IT職業それぞれで培われた能力を活用できる職探しとなります。以下に私の意見を述べさせていただきます。なお、冒頭でもお詫びしていますが、営業周辺以外での情報持ち合わせは少ないのが正直なところです。ここはぜひ知人の方がどの様に転身された情報収集なさってみてください。

(1)システムエンジニア(SE、Presales、営業技術、営業支援とも言われる)

お客様の要求を把握する業務であることから営業レベルまでではありませんが、コミュニケーション力が培われているかと思われます。またシステムが顧客要求通りに設計されているか論理的に検証する思考力もおありです。このため交渉力と技術力のバランスが取れている方が多いようです。

またIT業界の動向についていくために勉強熱心でもあります。パソコンも充分使いこなせるので、市役所や年金事務所などでの窓口業務はいかがでしょうか。規則・法律に則って正しい対応が求められ、説明力が問われます。

(2)ソフトウェア開発者

プログラマーは精神的にも肉体的にも疲弊することからシニアまで働けている方は見受けないと思われます。まだ現役の方でしたら、コンピュータに詳しくて、気の利いたイントラ向けプログラムを組めると喜ばれるので中小企業の総務でIT担当になってシステムを発注・管理する側になるという手があります。なお、COBOL使いは別格です。

日本独特ですが、いまだに金融・公共ではメインフレームが使われているのでシニアでも求人があります。満員電車に乗って都心に出る体力があるようでしたら、チャレンジしてみてください。もうプログラミングは充分やりきったという場合は、論理的な思考力を活かしたいところですが、恐らく思考深度が若い頃に比べると浅くなってきていませんでしょうか。

WEB系のエンジニアが一見すると技術的に入り込めやすそうに見えますが敷居が低い分、若いなり手が多い業種でもあります。競争は厳しいものになると覚悟して取り組んでください。ハードウェアにも詳しければ中小企業の社内IT担当者が候補になります。また、申込書や契約書などのデータ入力の仕事が候補になります。ただし、女性が多い職場ですので、男性の場合は就職可能かを事前確認しておく必要があります。

(3)プロジェクトマネージャー

強靭な精神力をお持ち。この一言です。顧客と会社の板挟みに合いながら、予算と納期と人材を極限レベルで調整し続けて来られたことでしょう。お疲れ様でした。面談したシニアのほぼ全ての方がもうやりたくないというIT仕事のトップです。まずはゆっくりお休みください。

そのうちフツフツとやる気が起きてきたら、給料は下がってしまうかも知れませんが、別会社でチャレンジもありです。この仕事はベテランでないと務まりません。もう懲り懲りだから違う仕事がご希望という場合は、要求を正確に聞き出す力や交渉能力もお持ちなので、ITコンサルタントになることをご検討なさってはいかがでしょうか。

(4)ITコンサルタント

高いレベルの技術力とプレゼンテーションを含めたコミュニケーション力をお持ちです。この方は都心への通勤が負担でなければ、コンサルティング会社勤務が有望です。ただ業界通の方ですので、自身の市場価値を正確に理解して売り込み先は把握されていることでしょう。

失礼な言い方になりますが、あまり心配していません。ITコンサルタントはもう充分やりきったと思われている場合は、ご自身の見識・経験を本にされてはいかがですか。費用負担の重い自費出版に代わって、今は安価かつ手軽に電子書籍で出版できますので、せっかく得られた見識・経験を墓場に持って行かれることの無い様、ご検討ください。

(5)営業

お客様に対するコミュニケーション力は元より、ITシステムは一人では営業できないため、社内外の各種関係者を調整する能力をお持ちのはずです。そして営業として最も求められるのは断られても粘り強く活動できる精神的な熱量(情熱)が必要ですが、年を経るごとにその熱量は下降してしまいがちです。まだノルマを達成する情熱をお持ちでしたら、IT以外も含めて営業はアリです。ただし大企業は難しいでしょう、まずプライドを捨てる必要があります。

その際にはご自身の経験をなるべく活かすために営業スタイルは同じ種類を選ばれると良いでしょう。営業スタイルは四象限になります。横軸は販売経路です。1つは直接販売、もう1つは間接販売(代理店に販売していただく営業)となります。縦軸は対象とするお客様のタイプです。1つは法人、もう1つは個人となります。

例えばパソコンを家電店さん経由で個人に売ってもらう場合には、“間接→個人”となります。それぞれ販売手法・スタイルが異なるので、製品・サービスは違ってもご自身が経験した営業スタイル以外はハードルが高いとお考えください。上記の例ですと全く異なるのがWEBサービスを法人に販売する場合で“直接→法人”となりコンタクト方法や説明方法、商習慣が異なってきます。

では熱量が下がった方はどうすれば良いでしょうか。このような方々は面談すると決まって「もうノルマは持ちたくない。」と一様に話されます。そこで高いコミュニケーション力をお持ちなので、人と接する仕事を中心にご検討ください。体力に自身がおありでしたら、介護補助の仕事などが検討対象になります。営業には喋りすぎるタイプが多いものですが、もし聞き上手な方でしたら、ボランティアを含めた各種相談・支援業務の検討をしてみてください。ハンディキャップをお持ちの方の就職支援などになります。

(6)サービスエンジニア

お客様システムでの障害発生時に混乱することなく、論理的に事態を把握し解決する能力(KT法はお得意なはず)を持ちで、感情的になりがちなお客様に踊らされること無く理性的なコミュニケーションが可能な方です。今後もお客様からのクレームを受け流せる自信のある方でしたら、産業用ハードを開発製造する中小企業の品質保証やサービス担当はいかがでしょうか。

アフターサポート側のコールセンターという選択肢もあるのですが、良くて50代までで、60代以降で採用されるのは困難とお考えください。クレームはもう金輪際受けたくないという場合は、使う側である中小企業の社内IT担当をご検討ください。

(7)企画(マーケティング)

社内外の関係者に行動してもらうためのコミュニケーション力、売上管理などのためにエクセル利用、説明資料作成のためにプレゼンテーション資料の作成に長けている方です。ITでは海外情報の入手が不可欠なので、英語の読み書きに長けた方が多くいらっしゃいます。外資系出身なら英会話もお得意でしょう。

IT以外で海外とのインターフェースになれるような仕事を検討してみてはいかがでしょうか。海外製品・サービスの輸入販売、逆に国内製品の輸出販売、日本語講師(要資格)などとなります。なお、ご自身が興味を持つ分野が取りくみやすい仕事になります。

(8)ハードウェア開発者

シニアでまだハードウェア開発の第一線で活躍されている方は、勉強熱心で好奇心旺盛な方でしょう。先入観を捨てて中小企業の開発や製造でその経験を活かして若い方を指導しながら、世界の技術発達に貢献してみてはいかがでしょうか。経営陣から感謝されるでしょう。

(9)管理職

昔、お菓子メーカーのトップからコンピューターメーカーのトップに転身して、業績回復させた例がありました。管理職経験があればIT以外の業界でも管理職ができるだろうと思われていれば、ご自身は経営のプロでは無いとまずご自覚ください。

現場の皆さんに比べれば年齢制限は厳しくはありませんが、管理職ポストの空きは元より少ないです。管理職を続けられたい場合は、管理職専門の転職エージェントと接触して、ご自身の得意なIT分野で探してみてください。人事管理はどこの業界も同じ様なものとお考えでしたら、相応の勉強・覚悟が必要です。

なお、現場業務を兼任して人事管理も行っている方(Playing Manger)は、なぜその役職に上げてもらえたのか冷静な見直しが必要です。大変失礼な表現になりますが、成績が優秀だったので給料を上げるために役職者にしてもらえた場合は、管理職への転職は冷静な現状自己分析が必要です。

複数人の部下の特徴を理解して現状に合わせて最適な体制を作って結果を出すのが管理職業務のひとつと私は考えます。この手の仕事をパズルの様に楽しめる方はIT業界の管理職への転職を検討されるのもありでしょう。管理職はもう充分やったとお考えの方の場合、部下の管理をされていたということで各種クレーム対応をされてきたかと思われます。
そこでその経験を活かして、マンション管理員といった人付き合いが必要でパートタイム週3日といった体の負担が低いけど社会との接点を保てる職種を検討されるのはいかがでしょうか。

これらの候補はご自身が転職先を考える際のきっかけ程度です。ぜひ柔軟な目で世間を見てみてください。ご自身に向いたIT以外の仕事があるかも知れません。

(シニアIT社会人の就活)

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