基本情報技術者 大滝みや子先生のかんたんアルゴリズム解法 ~流れ図と擬似言語~ 第4版




はしがき

本書は,基本情報技術者試験で出題される「流れ図」,「擬似言語」といったアルゴリズム問題について,入門レベルから合格レベルまで一つ一つ段階を追って解説したものです。

午前試験の問題ではアルゴリズムの定まった手順をそのまま問うものが多いですが,午後試験の問題では応用力が問われます。また,近年では,より複雑な(難易度の高い)問題が出題されるようになり,配点も100点満点中25点と高くなっています。このため,午後試験の問題に対応できるアルゴリズム能力を習得しなければ合格は望めません。

午後試験の問題に対応できるアルゴリズム能力を習得するためには,アルゴリズムの表現方法(つまり流れ図,擬似言語)を問わず,まずは基本的な問題を繰り返し学習し,アルゴリズムの考え方を確実に身につける必要があります。

本書は,これらのことを考慮した学習書です。2004年に出版し大好評を頂いた『基本情報技術者 かんたんアルゴリズム解法 流れ図と擬似言語(初版)』を,2009年の試験制度変更に伴い一部を改訂し,さらに2015年に第3版を刊行してから,約5年が経ちました。その間,多くの受験者から,「本書で苦手なアルゴリズムを克服できた。合格できた!」という嬉しいお便りをいただきました。またその一方で,「基本例題までは理解できたけど,実戦問題が難しい」といったお声もいただきました。

そこで,今回の改訂(第4版)では,第2部の擬似言語に「応用例題」を追加し,基本例題の学習が終わったら,少し難易度の高い応用例題を学習し,最後に実戦問題に挑戦するという3ステップ構成に変更いたしました。なお,構成は,旧版と同様,流れ図と擬似言語を分けた2部構成とし,基本的かつ代表的なアルゴリズムを,実戦問題を含め全部で34例題選定しました。また,例題ごとに,理解度を確認するための「TRY!」問題や関連知識を配置し,基本知識はもちろんのこと,その周辺知識も確実に習得できるようにしています。

第1部 アルゴリズムと流れ図
流れ図の見方・解釈といった基礎的な事柄を学習した後,例題を解きながら,流れ図を用いた基本アルゴリズムの知識の習得を目指します。そして最後に,実戦問題にチャレンジします。

第2部 擬似言語
擬似言語の基礎的な事柄を学習した後,擬似言語の記述に慣れることを目標に,アルゴリズムの基本パターンを流れ図と比較しながら学習します。次に,基本例題を解きながら,擬似言語を用いた基本アルゴリズムの知識の習得を目指します。そして,過去問にもとづいた応用例題でウォーミングアップを行い,最後に,実戦問題にチャレンジします。

基本情報技術者試験の合格を目指す皆さんが,本書によって効果的な学習を行い,栄光を手にすることを心よりお祈り申し上げます。

2020年1月
著者 大滝みや子

大滝 みや子 (著)
出版社 ‏ : ‎ リックテレコム; 第4版 (2020/4/2)、出典:出版社HP

Contents

第1部 アルゴリズムと流れ図
第1章 流れ図とは
1 プログラムと処理手順
2 流れ図の基本
3 変数と代入文
4 流れ図の解釈

第2章 基本例題
1 評価ABCを付ける処理
2 平均点・最高点・最低点の算出
3 九九表の作成
4 文字列の反転
5 1次元配列へのデータ格納
6 2次元配列要素への集計

第3章 実戦問題
実戦① 配列データの順位付けを行う
実戦② 駅間の運賃と特急料金を求める

第2部 擬似言語
第1章 擬似言語とは
1 擬似言語の記述形式
2 擬似言語のデータ型
3 擬似言語の構造
4 大域変数と外部参照

第2章 擬似言語パターン演習
1 順次処理(代入文)
2 選択処理(真偽判定)
3 多重選択処理
4 繰返し処理1(前判定)
5 繰返し処理2(後判定)
6 多重繰返し処理

第3章 基本例題
1 最大公約数の算出
2 文字のカウント
3 線形探索
4 2分探索
5 データの整列(バブルソート)
6 データの整列(挿入ソート)
7 部分文字列の探索(文字列の照合)
8 リストの作成
9 2進整数の乗算

第4章 応用例題
1 マージソート
2 ヒープソート
3 最短経路を求める
4 文字列検索(BM法)
5 クイックソート

第5章 実戦問題
実戦① 併合処理を利用してデータを整列する
実戦② 整数値をヒープソートで昇順に整列する
実戦③ 代入文の解析と変換を行う
実戦④ ハフマン符号化を用いて文字列を圧縮する
実戦⑤ クイックソートを応用してk番目に小さい値を選択する
実戦⑥ 駅間の最短距離を求める

関連知識一覧
・良いアルゴリズムの要件
・二項演算子と単項演算子
・多分岐構造
・(1+2+…+n)の和
・終了条件と繰返し条件
・2次元配列の要素を左右反転や90度回転する操作
・ファイル集計処理
・余りを求める関数mod
・演算子と優先順位
・繰返しの基本形
・数字文字から数値への変換
・番兵法とは
・2分探索処理の流れ図
・ハッシュ探索法
・その他の整列法
・計算量とオーダ
・配列と線形リスト
・左右2つのポインタをもつ2分探索木
・ビットの値の検査
・2分木の走査(深さ優先探索)
・クイックソートの特徴

大滝 みや子 (著)
出版社 ‏ : ‎ リックテレコム; 第4版 (2020/4/2)、出典:出版社HP