知的財産管理技能検定(R) 3級学科スピード問題集 2021年度
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はじめに
知的財産管理者技能検定®は、平成16年に「知的財産検定」という民 間資格で始まりました。その後、平成20年度から国家資格に移行し、名 称も現在の「知的財産管理者技能検定®」に改められました。
知的財産検定の時代から試験傾向を探ってみると、基本的な問題についても絶えず出題され続けていますが、当初に比べて難しい問題が増えてきています。そこで本書では、出題傾向の変化も踏まえ、出題されている問題を落とすことのないようテーマを厳選し、合格するために必要な知識をまとめました。
各テーマでは過去問やオリジナル問題を用いて、より深くテーマの趣 旨を理解でき、解答できる応用力を短期間で身に付けることができるよう工夫されています。章末には「過去問にチャレンジ!」を設けました。合格の可能性を高めるためには、確実に取れる1点を落とさないことや、過去問題のマスターは必須といえます。
あなたも是非この試験にチャレンジしてもらいたいものです。これからは知的財産の知識は必須です。本書で学んだ知識が様々な局面で大きな力を発揮することでしょう。本書を活用することで一人でも多くの方が試験に合格され、新たな活躍の場を得る一助になれば幸いです。
2020年8月
弁理士 柏原崇行
知的財産管理技能検定とは?
知的財産管理技能検定®とは、企業などにおける知的財産管理に関する専門知識と技能を測る国家試験です。
1級から3級まで3つの等級に区分され、それぞれ学科試験と実技 試験があります。各等級とも両方の試験に合格すると「知的財産管理 技能士」の資格が与えられます。さらに1級では、特許専門業務、コ ンテンツ専門業務、 ブランド専門業務に等級が分かれています。
知的財産の権利に関するさまざまなスキルを育成する目的で平成16 年に民間資格として始まった知的財産検定は、平成20年度から国家資 格に移行し、名称も現在の「知的財産管理技能検定 ® 」と改められました。知的財産分野での国家資格の創設は、まさに時代の要請であり、 国が知的財産に関する能力を備えた人材育成に国策として取り組んでいることの表れです。
・知的財産とは?
知的財産とは発明、著作物、 デザイン、営業秘密等の無体物の財産をいいます。このような知的財産を保護するのが特許権や著作権等の 知的財産権です。知的財産は私たちの身近にもさまざまなものがあり、 小説や写真、 映画等は著作物に該当し、著作権で保護されます。
また、ブランドのロゴマーク等は商標に該当し、商標法で保護されます。著作物やロゴマーク等は目にする機会も多く、会社や学校でも著作権等の話題を耳にするのではないでしょうか。その他にも身の回りに ある製品のデザインや使用されている技術も知的財産に該当します。
・知的財産を学習する意義
産業・経済・金融等のあらゆる分野で、グローバル化は加速の一途 をたどっています。グローバル化が進む中、鉱物資源の少ない日本が 世界に対抗できる分野は、技術や、アニメ、テレビゲームを代表とする著作物の「知的資源」であり、企業等にとっては重要な経営資源となるものです。しかし、例えすぐれた技術や著作物を創造しても、適切に保護され、有効に活用されなければ、真の著作物とはいえません。
これらの知的資源を活用するためには、知的財産の保護強化を図る他 ありません。そのため、知的財産に関する管理・活用に精通した人材は、企業の知的財産部や法務部といった部署だけではなく、あらゆる部署で求められています。
・資格取得のメリット
知的財産技能士は能力の証明であり、何か独占業務があるわけではありません。しかし、就職でのアピールポイントや、転職や職場での キャリアアップ等に利用できます。また、弁理士等の他資格へのステップアップにもなります。
・試験概要・実施スケジュール
知的財産管理技能検定3級の試験概要は以下の通りです。
試験日程 | 原則として年3回、3月、7月、11月 ※各回によって実施地区が異なります。 |
試験時間 | 学科試験 11:15~12:00 実技試験 12:30~13:15 |
受験申請 | 試験日の約5ヶ月前から開始 (Webまたは郵送にて申込となります。) ※受験資格によって郵送申込のみになる場合があります。 |
合格発表 | 試験日から約1ヶ月半後(Webもしくは郵送にて行われます。) |
受験手数料 | 学科試験 5,500円(非課税) 実技試験 5,500円(非課税) |
・併願受検について
2級と3級同時に受検するといった、複数の級の併願受検はできません。 2級の学科試験と実技試験、3級の学科試験と実技試験の併願受検は可能です。
・主な受検資格
原則として、知的財産管理職種での実務経験が必須となります。必要とされる年数は等級によって異なります。
3級の場合は、以下のいずれかに該当する者です。
①知的財産に関する業務に従事している者または従事しようとしている者
②3級知的財産管理技能検定の一部合格者
(学科または実技いずれか一方の試験のみの合格者)
3級に関しては基本的にどなたでも受検することができます。
・試験形式
知的財産管理技能検定『は「学科試験」と「実技試験」の2種類の試験形式があります。
学科試験では業務上必要とされる知識を問われ、実技試験ではその知識を応用して業務上の課題を解決する能力を問われます。
3級の試験形式は以下の通りです。
試験種類 | 試験形式 | 問題数 | 制限時間 |
学科試験 | 筆記試験 (マークシート方式、3枝択一式) |
30問 | 45分 |
実技試験 | 筆記試験(記述方式) | 30問 | 45分 |
・傾向と対策
学科試験では、大半の問題が基本制度の理解をそのまま問う形で出題さ れます。実技試験では、具体例を通じて問う形になっているものの、問われている知識自体は学科試験と大差ありません。出題範囲としては、特許 法、著作権法がツートップでそれに続くのが商標法です。それ以外の分野 は、学科、実技それぞれで1~3問出題されるに過ぎない上に、特許法の 知識を応用することで解ける問題も多くありますから、特許法、著作権法の正確な知識が備わっているかどうかが合格の決め手になります。
・合格基準
各等級、試験種類毎に合格基準があり、各等級とも両方の合格が必要です。3級はどちらも満点の70%以上で合格となります。
一部合格(学科試験のみ又は実技試験のみ)した場合は、合格日の翌々 年度までに行われる技能検定において、免除申請ができ、該当の試験が免 除されます。ただし、免除申請には有効期限がございますので、ご注意ください。
出題分析データ
1.特許法・実用新案法
学科では制度全般について広く問われています。その中でも出題頻度が高いもの としては、特許要件、出願公開、出願審査請求です。 実技では、主に発明の定義、 特許要件、拒絶理由の対応について長文の事例問題(問 1~問6まで)で問われます。また、侵害に関する問題もほぼ毎回出題されます。
2.意匠法
意匠法では、学科・実技ともに3問程度しか出題されませんが、1つの問題でさまざまな制度を問う問題が出題されるため、制度全般を理解する必要があります。
3.商標法
学科では保護対象、 登録要件、 商標権についての問題等、 幅広い知識が問われます。 実技では、学科と同様の知識が問われる問題も出題されますが、侵害に関する問 題や審判に関する問題がより出題されやすい傾向があります。
4.著作権法
著作権法では、学科・実技ともに、著作物、著作財産権、著作権の利用と制限、 著作権の侵害についてほぼ毎回出題されます。特に著作権の利用と制限について は、実技で長文の事例問題(問7~問 12 まで)で問われやすい傾向にあります。
5.不正競争防止法・独占禁止法・その他
学科では不正競争防止法について不正競争行為と営業秘密の2問、種苗法(登録 要件又は育成者権)、民法(契約)、弁理士法(独占業務)、独禁法についてそれぞれ1問ずつ問われるパターンが多いです。 実技では種苗法のみ1問出題され、他の法律については出題されないことが多いです。ごくまれに民法や独禁法について出題されます。
6.条約
条約については、学科・実技ともに、主にパリ条約とPCT、 これらの複合問題に ついて出題されます。まれに日本が加盟している条約について問われたり、TRIPS 協定についての問題が出題されることもあります。
本書の使い方
本書のメインパートは、以下のA からIまでの9つの要素から構成されています。
A 本試験問題
本試験の問題文をそのまま掲載していますが、法改正等に対応して一部改題をしている問題もあります。
A’ 予想問題
本試験問題の出題傾向を分析した 結果、次回以降で出題が予想されるテーマについてのオリジナル問題です。
B 予想選択枝(プラスの技)
掲載した本試験問題に加え、出題が予想される選択枝です。ただし、空欄問題などでは、「出題のされ方」のバリエーションを作成しており、冒頭の 指示に従って○×を判断してください。
C テーマ解説
本試験問題と予想選択枝をトータルで考えたときのテーマが何かを明示し、そのテーマについて解説しています。 問題を解くカギになる知識・用語を丁寧に解説しているので、より実戦的な理解が身につきます。
D 頻出よくでる!合否の分かれ目
本書に掲載している過去8回のうち5回以上出題されたテー マに「頻出」 2回以上 4回以下出題されたテーマに「合否の分かれ目」アイコンをつけました。「頻出」は合格するために確実 に得点してもらいたいテーマ、「合否の分かれ目」はこのランクをどこまで得点できるかが合格の分かれ目となるテーマなので、 問題を繰り返し解く中で意識してみてください。
E 解答解説・キーワード
ポイントをおさえた枝毎の解説で す。OXの横には、テーマ解説とリ ンクするキーワードを表示しました。
F テキスト参照ページ
本書の姉妹書である『知的財産管理 技能検定 3級 スピードテキスト」の 参照ページです。本試験問題・予想問 題を解いたあとに参照ページを参考に 復習を進めると、よりいっそう理解の定着がはかれます。
G 予選択枝の解答解説・ キーワード
Fと同様、オリジナルの予想選択枝についての解答解説・キーワードです。
H 基本の知識をチェック
合格にこだわる本書ならではのダメ押しのコーナー。「この1点」を落とさないために「基本の知識をチェック」し、知識をムダなく正確に身につけてください。
I 過去問にチャレンジ
本試験では細かい論点もときには出題されます。Aでは取り上げなかった本試験のうち、それでも見逃すわけにはいかない問題をピックアップして掲載しました。また、(もう一度check!)として適宜、Aのうち関連する問題番号を示しました。過去問が思うように解けなかった場合、メインパートに戻って復習をしましょう。
目次
Part1 特許法・実用新案法
1知的財産法の種類
2特許法の目的
3発明の定義
4特許要件
5産業上の利用可能性
6新規性
7先願主義
8特許出願に必要な書類と明細書記載要件
9特許出願に関する手続の期限
10特許権の存続期間
11出願公開制度
12出願公開の請求
13出願審査請求
14特許発明の技術的範囲
15実施権
16特許権が侵害された場合の救済措置
17国内優先権
18拒絶理由通知を受けた出願人が取り得る措置
19拒絶査定を受けた出願人の対応
20特許権の発生
21特許権の侵害
22特許庁への登録の効果
23実用新案法の保護対象
24実用新案法の制度
基本の知識をチェック!
過去問にチャレンジ!(19間)
Part2 意匠法
1意匠制度
2意匠登録を受けることができる意匠
3意匠登録を受けることができない意匠
4意匠の登録要件
5権の効力
6関連意匠制度
7意匠権の存続期間
8意匠権が侵害された場合の救済措置基本の知識をチェック!
過去問にチャレンジ!(7間)
Part3 商標法
1商標法の保護対象
2商標の機能
3登録要件
4商標法の制度
5商標権の発生及び効力
6専用権と禁止権
7商標登録出願の審査又は手続
8商標権の侵害と救済措置
9商標権の管理
10不使用取消審判
基本の知識をチェック!
過去問にチャレンジ!(12間)
Part4 著作権法
1著作権法の保護対象著作者
2著作権
3作財産権
5私的使用のための複製
6著作者人格権
7著作者人格権の特徴
8著作物の保護期間
9著作隣接権
10著作権の制限
11著作物の引用
13著作権が侵害された場合の救済措置
14著作権の周辺にある権利
基本の知識をチェック!
過去問にチャレンジ!(16間)
Part5 不正競争防止法・独占禁止法・その他
1不正競争行為
2営業秘密の定義
3営業秘密に関する不正行為
4独占禁止法の目的
5独占禁止法における禁止行為
6独占禁止法と知的財産法
7パテントプールに関する独占禁止法上の問題点
8弁理士の業務
9弁理士業務の拡大
10品種登録の要件
11育成者権
12地理的表示法
基本の知識をチェック!
過去問にチャレンジ!(12間)
Part6 条約
1パリ条約
2特許協力条約(PCT)
基本の知識をチェック!
過去問にチャレンジ!(10問)