社会人常識マナー検定テキスト2・3級
はじめに
本書は、公益社団法人 全国経理教育協会が主催する「社会人常識マナー検定」2・3級を対象とした学習教材です。
社会人常識マナー検定は、社会人として必要な知識やマナーの習得を促す検定試験です。ビジネスマナーの基本である適切な言葉遣い、動作、たしなみを身に付けることで、仕事を円滑に進め、周囲の人々に良い印象を与えることができます。
この検定への合格を導くテキストとして、本書は以下のポイントを踏まえて作られました。
■検定試験を作問する先生方による丁寧な解説
■イラストや図表を多用した分かりやすい内容
■ケーススタディによる具体的な事例研究
社会人常識マナー検定1級の出題内容は、2・3級の要素を発展させたものです。したがって、本書は2・3級を受験される方はもちろん、1級の受験者にも有効に活用していただくことができます。また、就職を志望する若者、就職活動中の学生、企業の新人研修や若手企業人のキャリアアップにも役立てていただけることでしょう。
本書を元に学びを深めて、1人でも多くの方が社会人常識マナー検定に合格し、ビジネスの世界で活躍していかれることを祈ります。
平成27年9月
編者 公益社団法人 全国経理教育協会
目次
はじめに
社会人常識マナー検定試験について
本書の使い方
第1編 社会常識
第1章 社会と組織
社会人としての自覚
3級 社会人の自覚
1 社会人・ビジネスパーソンとしての自覚
3級 キャリアを理解する
1 キャリアは自分のもの
2級 キャリアを形成する
1「目指す自分」になるための挑戦
組織と役割
3級 会社組織の成り立ち
1組織と役割
3級 スキルと能力
1仕事をするためのカ
2級 リーダーシップとフォロワーシップ
1 リーダーとフォロワーに必要なもの
社会の変化
3級 変動する社会
1多様な変化
3級 雇用形態の多様化
1働き方と価値観
2級 社会変化とその対応
1 ボーダーレス社会の到来
CASE STUDY1
第2章 仕事と成果
仕事と目標
3級 目標の重要性
1目標が持つ意味
3級 組織目標と個人目標
1 連動する目標
2級 仕事と成長
1経験を力に変える
2級 モチベーション
1行動の源泉
主体性と組織運営
3級 主体性の発揮
1目的意識を持つ
3級 組織の活性化
1活性化のための条件
3級 企業と経営資源
1一人ひとりが企業を支える当事者
2級 企業の社会的責任(CSR)
1 社会の一員として
CASE STUDY 2
第3章 一般知識
幅広い社会常識
3級 政治や経済に関連する基礎用語
1 社会常識の軸となる用語を理解する
2級 税金や社会保障制度に関連する基礎用語
1 公共経済にまつわる基礎用語を学ぶ
2級 労働環境・経営意識に関連する基礎用語
1 ビジネス領域の基礎用語
日本語の意思伝達
3級 ビジネスの基礎は日本語
1漢字の「読み」「書き」
2級 四文字熟語とことわざ・慣用句
1 社会人の共通用語
その他の基礎用語・基礎知識
3級 日常生活に浸透するカタカナ用語
1日本語化するカタカナ用語
3級 日本を知る
1各都道府県に関連する基本情報
2級 社会常識としての欧文略語
1 社会人にとってのキーワード
2級 世界の国名と首都
1主要国名と首都
第4章 ビジネス計算
計数センスを磨く
3級 ビジネスにおける計算力の重要性
1 数字の確かさを判断する
3級 数式を元に課題を解決する
1 分析力、思考力、応用力の重要性
Column-「やる気・元気・本気」で周囲の人の心をつかむ!.
第2編 コミュニケーション
第1章 ビジネスコミュニケーション
仕事の成果と人間関係
3級 コミュニケーションとは
1 ビジネスにおけるコミュニケーションとは
2意思疎通の重要性
3 職場のコミュニケーション
3級 良い人間関係のためのコミュニケーション
1コミュニケーション力向上のポイント
2 第一印象の重要性
3好感を持たれる立ち居振る舞い
4挨拶と美しいお辞儀
2級 社外の人とのコミュニケーション・
1 顧客満足を考える
2 社外交流のエチケット
3上手なコミュニケーションのコツ
CASE STUDY 3
第2章 社会人にふさわしい言葉遣い
敬語を使いこなす
3級 敬語の種類と適切な使い方
1尊敬語、丁寧語、謙譲語を使い分ける
2 職場での言葉遣い
効果的に伝える
3級 状況に合わせた話し方①
1 分かりやすい話し方と上手な聞き方
2指示の受け方、報告の仕方
2級 状況に合わせた話し方②
1話し方・聞き方の応用
2級 社外の人への言葉遣い
1 状況に合わせた適切な敬語
2級 好感を持たれる話し方
1 コミュニケーションをより円滑に
2 ワンランクアップの話し方
CASE STUDY 4
第3章 ビジネス文書の活用
確実な情報共有のために
3級 ビジネス文書の特徴と重要性
1 ビジネス文書の書き方と留意点
3級 社内文書の種類と形式
1 ビジネス文書の種類
2 社内文書の形式と作成のポイント
3級 分かりやすいグラフ
1 グラフの種類と作成のポイント
2級 ビジネスメール
1 ビジネスメールの特徴
社外への発信
2級 社外文書の種類と形式
1さまざまな社外文書とその目的
2 社外文書の書き方
3 社外文書の作成
2級 社交文書の種類と形式
1 さまざまな社交文書とその形式
CASE STUDY5
Column――相手に満足、自分に誇りをもたらすコミュニケーションとは
第3編 ビジネスマナー
第1章 職場のマナー
組織の一員として
3級 出勤から終業までのマナー
1職場のマナーの重要性
3級 「公私」「機密」のけじめ
1 公私の区別
2機密保持の心得
第2章 来客応対
心からもてなす
3級 心構え・七大基本用語
1 来客応対の重要性
3級 基本手順予約客 受付~見送り
1名指し人との面談約束がある来客への応対
2級 面談約束のある来客の応対
1 担当者が応対する
状況に応じてスマートに
3級 面談約束のない来客の応対
1 上司・名指し人へ不意の来客が見えたら
2級 訪問・紹介のマナー
1訪問のマナーの重要性
2紹介の重要性
CASE STUDY 6
第3章 電話応対
丁寧に、歯切れよく
3級 電話応対の重要性・特性・心構え
1「会社を代表する」気持ちで応対
3級 電話を受ける
1 電話の受け方の基本手順
2 メモの取り方
2級 電話を掛ける
1 相手への配慮が重要
通信手段別の応対
3級 FAXの送信、電話の掛け方の心得
1 FAXは送り状を添える
2 電話の掛け方の心得
3 携帯電話のマナーの心得
2級 特別な電話応対、携帯電話の利用
1 状況に応じた電話応対
2 携帯電話の効用
CASE STUDY 7
第4章 交際業務
お祝いの気持ちを表す
3級 慶事のマナー・結婚
1 ビジネスにおける交際業務の重要性
2級 さまざまな慶事のマナー
1 人生の節目を祝う際の対応
2級 パーティーのマナー
1 会食・ビジネスパーティーの作法
TPOやしきたりを踏まえる
3級 弔事のマナー
1 哀悼の意を伝える作法とは
3級 病気見舞い
1 入院中の体と心を思いやる
2級 贈り物と上書き
1 状況を踏まえつつ、相手に気持ちを伝える
第5章 文書類の受け取りと発送・他
受発信文書の適切な取り扱い
3級 文書類の受け取りや発送について
1 文書の取り扱い
2 ビジネスにおける郵便の役割
3級 さまざまな配送サービス
1 特殊郵便物・大量郵便物・宅配便
職場環境を整える
3級 オフィス環境と事務機器
1 環境整備・事務機器・物の数え方・コピーの取り方
第6章 会議
実りある話し合いのために
2級 会議の種類・形式・用語
1 目的によって会議の形は変わる
2級 準備から後始末まで
1 入念な下準備が会議を成功に導く
第7章 ファイリング・他
情報を適切に管理する
2級 文書類の保管
1 ファイリングの重要性
2級 秘文書の取り扱い、名刺やカタログの保管
1 厳重な管理が必要な秘文書
2 名刺やカタログの保管は検索性も重視
2級 日程管理、押印の知識
1 確かな日程管理は社会人の基本
2 押印の重要性
索引
参考文献・資料
執筆者略歴
社会人常識マナー検定試験について(受験要項より抜粋)
問題出題範囲(平成 28年4月改正)
社会人常識マナー検定試験問題は、この基準により作成する。
3級
社会・組織の一員として必要不可欠な社会常識を理解し、初歩的な仕事を処理するために必要な知識やビジネスマナーを学び、社内外の人と良好な関係を築くために求められるコミュニケーション能力を習得している。
2級
企業・社会のしくみと一般的な社会常識を理解し、仕事を処理するために必要な知識やビジネスマナーを身につけ、自ら築いた人間関係を良好に保つために必要なコミュニケーション能力を習得している。
1級
企業・社会のしくみと幅広い社会常識を十分に理解し、目標達成のために自ら率先 して高度な業務を処理できる知識やビジネスマナーを活用し、後輩指導・グループ をまとめるリーダーシップ・トラブル対応などさまざまなビジネス場面で発揮できるコミュニケーション能力を習得している。
各級の出題範囲は次の社会人常識マナー検定試験問題出題範囲とする。ただし、下級の範囲を包含し、同一項目、同一範囲については級の上昇に応じて問題内容が高度化するものとする。
試験の形式は、3・2級はマークシートを使用した多肢選択式、1級は記述式。
項目 | 本テキスト対象 | 本テキスト対象外 | |
3級 | 2級 | 1級 | |
Ⅰ社会常識 | 1.社会と組織 社会人の自覚 キャリアを理解する 会社組織の成り立ち スキルと能力 雇用形態の多様化 |
キャリアを形成する リーダーシップとフォロワーシップ 社会変化とその対応 |
|
2.仕事と成果 目標の重要性 組織目標と個人目標 主体性の発揮 組織の活性化 企業と経営資源 |
仕事と成長 モチベーション 企業の社会的責任 |
リスクマネジメント リスクを予見・想定 対策と行動計画の策定 リスクの分析・活用 |
|
3.一般知識 政治や経済に関連する基礎用語 ビジネスの基礎は日本語(漢字の読み書き、類義語と対義語、同音異義語と同訓異字語) カタカナ用語 都道府県名・県庁所在地・都道府別関連情報 |
税金や社会保障制度に関連する基礎用語 労働環境・経営意識に関連する基礎用語 四文字熟語とことわざ・慣用句 欧文略語 世界の国名と首都 |
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4.ビジネス計算 ビジネスにおける計算力 数式を元にした課題の解決 |
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Ⅱ コミュニケーション | 1.ビジネスコミュニケーション 傾聴の重要性とポイント 職場のコミュニケーション 組織と人間関係 良い人間関係のためのコミュニケーション 第一印象の重要性、立ち居振る舞い、身だしなみ、表情、お辞儀と挨拶 基本の挨拶言葉 |
社外の人とコミュニケーション 顧客満足、社外交流のエチケット 上手なコミュニケーション 効果的な伝え方、分かりやすい話の組み立て方、説得力ある話し方 |
リーダーシップ |
2.社会人にふさわしい言葉遣い 敬語の種類、尊敬語・謙譲語の適切な使い方 職場での言葉遣い 話し方と聞き方 指示の受け方、報告の仕方、連絡の仕方、相談の仕方 |
社外の人への言葉遣い 状況に合わせた来客応対、電話応対の言葉遣い好感を持たれる話し方説明、説得の仕方、注意・忠告の仕方・受け方、断り方、苦情の受け方 |
上司への報告、来客応対の言葉遣い(応用) | |
3.ビジネス文書 ビジネス文書の書き方と留意点 社内文書の種類、形式 社内文書作成 報告書、議事録、通知文 グラフの種類と特徴 |
社外文書の種類、形式 社外文書作成 案内状 社交文書の種類、形式 社交文書作成 礼状 宛名の書き方 ビジネスメールの特徴 ビジネスメールの書き方 |
社交文書作成 議事録作成 |
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Ⅲ ビジネスマナー | 1.職場のマナー 出勤時から終業時 公私、機密のけじめ |
状況応用 | |
2.来客応対 上司や担当者と約束がある来客への応対 受付から見送り 約束のない来客への応対 |
約束がある来客 担当者が応対する 訪問・紹介のマナー 約束から訪問後 |
状況応用 | |
3.電話応対 受け方の基本手順 名乗り方から切り方 特別な電話の受け方 伝言メモ FAXの送信、電話の掛け方と携帯電話の心得 |
電話を掛ける 基本的な掛け方 特別な電話、携帯電話 |
状況応用 | |
4.交際業務 慶事のマナー・結婚、弔事のマナー 病気見舞い |
さまざまな慶事のマナー、会食とパーティ 贈り物と上書き |
状況応用 | |
5.文書類の受け取りと発送・他 文書の取り扱い、郵便の役割、さまざまな配送サービス オフィス環境と事務機器 |
状況応用 | ||
6.会議 会議の種類・形式・用語、会議の準備から後始末 |
状況応用 | ||
7.ファイリング・他 文書類の保管、秘文書の取り扱い、名刺・カタログの保管、日程管理、押印の知識 |
状況応用 |
本書の使い方
①…章
②…テーマ
③…検定の級レベル
④…節
⑤…項
⑥…<Point>項で学ぶ内容を簡潔にまとめています
⑦…<用語解説>本文にある用語のうち、アスタリスク(※)の付いているものには節の終わりに解説があります。
⑧…編
社会人に求められる対応は状況に合わせて変わります。どのような振る舞いや言葉遣いがもっともふさわしいか、ケーススタディのページで具体的な事例を元に考えてみましょう。