全改訂版 薬膳・漢方検定公式テキスト 日本漢方養生学協会 認定
はじめに
「薬膳」という言葉からどんなイメージが浮かびますか? 「辛い火鍋」「珍しい食材が使われている中華料理?」「お薬みたいな 味かしら」「高価でめったに食べられないもの」などさまざまな声を聞きます。
しかし、特別な食材を使うのが薬膳ではありません。身の周りに存在し、日々みなさんが食べているものが薬膳の素材です。健康を維持するために、いつどのようなものを、どのように食べるかを正しく知ることが、薬膳を知ることといえます。薬膳は日常に起こるちょっとした不調や、季節で起こりやすい体調の変化を防ぐためにあります。
薬膳は、「漢方」と深い関わりがあります。
漢方とは、中国大陸から仏教と一緒に渡ってきた、元気に若々しく生きるための生活の知恵です。健康な状態を維持するための暮らし方や、不調があるときの対処法を教えてくれます。漢方薬だけではなく、鍼やお灸、気功、あんまや指圧などが含まれ、薬膳もその一部です。
「薬膳・漢方」の考え方はいたってシンプル。本書ではまず、漢方の役割と、すでに私たちの生活に応用されている漢方の考え方を学びます。自然に生きるうえでの大きなヒントになり、薬膳の根底に流れている理論でもあります。そのうえで、薬膳の基本的な考え方と代表的な食材の特徴を学びましょう。毎日の食事に活かせる楽椿は、季節や風土、個人の体調や体質に合わせて献立を組み立てる技何で す。多くの方が学び、日常生活にとり入れたいと人気が高まっていいます。
「薬膳・漢方検定」は、一般社団法人日本漢方養生学協会が主催する検定です。先人たちが培ってきた漢方の理論と薬膳の基礎を学ぶことは、心と体が喜ぶ、大自然の営みと調和した生き方につながります。自然の中にあるヒントを学び、食、薬膳という形で体現してみましょう。みなさんと家族の健康長寿につながるよう願っています。
もくじ
はじめに
本書の勉強方法
第1章 現代の薬膳・漢方
1. 漢方とは
2. 養生とは
3. 薬膳とは
COLUMN 病名より症状の特徴
COLUMN 養生訓
COLUMN 台所は薬箱
COLUMN ツボも漢方
COLUMN 薬膳茶を楽しむ
COLUMN 民間薬で養生
「現代の薬膳・漢方」の学習ポイント
おさらいしょう! ○× Question
第2章 漢方の基本
1. 陰陽論
2. 五行説
3. 五行配当表
4. 気血水
COLUMN お腹と背中は陰と陽どちら?
COLUMN暮らしの陰陽
COLUMN曜日と陰陽五行
COLUMN 五味を活かした薬膳
COLUMN 五行説と漢方の背景
COLUMN 五行をヒントにアンチエイジング
「漢方の基本」の学習ポイント
おさらいしょう! ○× Question
第3章 薬膳の基本
1. 四気
2. 五味
3. 帰経
4. 食のバランス
COLUMN 地域と食材の陰陽
COLUMN 必要な四気と養生を考える
COLUMN 必要な五味と養生を考える
COLUMN 五味・五色のバランス
COLUMN 不調から五臓を考える
COLUMN 歯並びからみえる食のバランス
COLUMN 似類補類
COLUMN 自分で作る未病対策レシピ
「薬膳の基本」の学習ポイント
おさらいしょう! ○× Question
第4章 身近な食材
おすすめ薬膳レシピ
「身近な食材」の学習ポイント
1. 乾物
2. 野菜・果物
3. 魚・肉・その他
おさらいしよう! ○× Question
第5章 薬膳・漢方と暮らし
1. 季節と養生
2. 未病と養生
3. 男女の年齢と養生
COLUMN 季節と動植物の活動
COLUMN 漢方処方と薬膳の歴史
「薬膳・漢方と暮らし」の学習ポイント
おさらいしょう! ○× Question
薬膳・漢方検定対策集
検定概要
本書掲載の模擬問題について
薬膳・漢方検定 模擬問題
薬膳・漢方検定模擬問題解答と解説
おさらいしよう! ○× Question 解答と解説
これだけは覚えておきたい! 食材一覧表
参考文献
用語 INDEX
検定合格後の次のステップ
本書の勉強方法
■本書は「薬膳・漢方検定」の公式テキストです。検定に合格するための学習に用いるのはもちろんのこと、薬膳・漢方の基礎を学び、生活に活かすためのヒントがちりばめられています。
■「ここがポイント!」には、これから学ぶ内容の重要項目を挙げました。念頭に置いて読み進めましょう。
■各章末の「学習ポイント」には、学んだ内容と覚えるべきポイントを要約してあります。重要項目をまとめてあるので、人物や書籍などの固有名詞、理論で使われる語句などはとくに重要です。
■第1章から第3章は、薬膳・漢方を学ぶうえでの土台となる知識 です。はじめてみる語句や表現も多いでしょう。先人たちが経験 で積み重ねた知識なので、意味を深く考え込んでしまうと進めなくなってしまいます。「なるほど、こう考えたのね」というように 飲み込んで覚えておくとよいでしょう。
■第4章は、毎日の食事に欠かせない一般的な食材のほか、生薬としても用いられている乾物など、代表的な食材がとり上げられて います。「学習ポイント」にあるように、重要な部分は暗記しましょう。日ごろから食材の働きについて、意識してみるとよいでしょう。
■コラムでは、薬膳・漢方の雑学、身近な知識をとり上げています。薬膳・漢方の入り口として、イメージを膨らませながら、読んでいくとよいでしょう。
■巻末に検定の模擬問題を50問掲載しました。問題の解説を合わせて読むことで、復習になります。検定問題の傾向を知るうえでも、 大切です。どこまで覚えられたか腕試しのつもりで解いてみましょう。