サ責一年生の教科書 −新人サ責・牧野はるかの場合




はじめに

高齢者支援を業としていると告げると「大変ですね…」などと、労われることがしばしばあります。
確かに、要援護高齢者の健康と安全を守ることは、誰にでもできるものではありませんし、仕事の内容も人間の本質ともいえる部分を取り扱うこと、報酬の安さ、身体的な負担の大きさなど決して楽なものでもありません。
しかし、高齢者支援には、これらの困難を凌駕する喜びもあふれています。
一人の「サービス提供責任者(サ責)」の成長を描いた本書からは、仕事の厳しさ、責任の重さとともに、そういった喜びややりがいが伝わるよう、制作しました。

高齢者支援は、とても人間的な仕事であると同時に高度な専門性が求められる科学的な仕事です。

サ責は、高齢者自身も気がついていない、もしくはあきらめていた、”本人らしさ(本質)”を本人とともに見つけ、できること・していることを継続できるよう応援し、不足している部分やできない部分については、根拠に基づいた介護支援を提供します。

本書の主人公の成長を見守ることで、一人でも多くの方が高齢者支援の楽しさ、豊かさ、魅力に触れていただけることを切に希望します。

なお、新人ケアマネジャーの成長を記した本書の姉妹本、『ケアマネ一年生の教科書』も好評発売中です。お時間が許せば、こちらもご一読いただければ幸いです。

平成29年12月

制作者一同を代表して
あたご研究所 後藤 佳苗

目次

はじめに
登場人物紹介
本書の特長

プロローグ
サ責に指名された!
COLUMN
サ責の資格要件・配置人数

Part 1
サ責の1日
COLUMN
サ責の業務概要
サ責の業務の流れ
指定基準とは
受付時のポイント

Part 2
信頼につながるアセスメント
COLUMN
ケアプラン第1表の見方
ケアプラン第2表の見方
ケアプラン第3表の見方
ケアプランの構成
サービス担当者会議とは
アセスメントのポイント
アセスメントシートの書き方(例)
老計第10号・老振第76号

Part 3
その人らしさを生かす訪問介護計画書
COLUMN
訪問介護計画書の書き方(例)
訪問介護計画書の作成
利用者への説明・同意
サービス提供手順書の書き方(例)
サービス提供手順書の作成

Part 4
事故発生!
COLUMN
事故発生時の対応・報告
利用者からの苦情 (クレーム)対応

Part 5
ヘルパーと利用者との調整役
COLUMN
ヘルパーへの依頼
同行訪問
ヘルパーへの指導・ 相談対応

Part 6
その後のモニタリング
COLUMN
利用者へのモニタリング
実績報告と一ヘルパーからの報告
経過記録
おもな介護保険のサービス

登場人物 紹介

ひまわり訪問介護事務所・居宅介護支援事業所のメンバー

佐伯憲司 (38)
管理者兼務のサ責。はるかの指導にあたる。自分に厳しく人に優しいタイプ。

古市雄高 (55)
ひまわり事業所の所長。主任ケアマネ。人当たりがよい。いつも穏やかな。

牧野はるか (30)
ヘルパー経験後、サ責に指名される。明るく責任感が強いが、 悩みを抱え込むことも。

今井亮太(29)
ヘルパー。頑張りやで女性利用者に人気。田中さん、 黒木さん担当。

秋山智美 (47)
ベテランケアマネ。特養、 グループホーム、居宅の経験を積んでいる。

咲良ゆかり (33)
新人ケアマネ。明るくいつも一所懸命な性格。

相川優子 (56)
サ責。優しく物静かで母のような存在。

加納友里(43)
サ責。細かいことには、こだわらない。

上野美奈子 (43)
ヘルパー。よく気がつく仕事人。新田さん担当。

岬裕子 (33)
ヘルパー。元ヤンだが優しい。清水さん担当。

南さやか (30)
ヘルパー。料理好き。永井さん担当。

鈴木かよ(54)
ベテランヘルパー。いつも賑やか。

関係する機関の専門職

佐藤拓海 (44)
永井葉子を担当する作業療法士。

織田誠(37)
永井葉子が通う通所リハビリの理学療法士。

横山俊 (45)
横山医院の院長。地域在宅医療に情熱を注ぐ。

利用者とその家族

永井博嗣(73)
永井葉子の夫、妻思いの優しい性格。

永井葉子(78)
リウマチを患う要介護2の利用者。 もとは料理教室の先生。

田中健三 (83)
要介護2の利用者。左半身麻痺があるがつえ歩行可能。

田中朋子(48)
田中健三の息子の嫁。義父の介護をしている。朝だけパート勤務。

山下庸一(67)
下半身と左麻痺がある要介護2の利用者。

山下久子(67)
山下庸一の妻。人当たりがよい。

黒木せつ(80)
要介護1の利用者。いつも化粧を欠かさない。

新田正之(76)
上野が担当する、要介護1の利用者。軽い左麻痺があり、リハビリに通う。