【最新】Google Cloud Platform(GCP)おすすめ本 – 独学での勉強にも!




GCPを利用しよう

 

Google Cloud(Google Cloud PlatformまたはGCPとも呼ばれます)は、ウェブ上でアプリケーションを開発、デプロイ、運用するためのコンピューティングリソースのプロバイダーです。

そのクラウドインフラストラクチャは、Google Workplace(以前のG Suite、以前はGoogle Apps)などのアプリケーションのホストとして機能しますが、GCPは主に、元のアプリケーションを構築および維持するためのサービスであり、ハイパースケールからWeb経由で公開できます。今回はGCPを利用してみたいなどおすすめの書籍を紹介します。

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GCPの教科書

 

はじめに

本書を手に取っていただき、ありがとうございます。本書は自他共に認めるGoogle Cloud Platform(以下、GCP) マニアである筆者が、GCPをぜひ皆さんに使っていただきたいと考えて執筆したものです。GCPでは2016年11月に日本リージョンが開設されており、2017年以降は日本におけるGCPの新たな飛躍の年として位置づけられることでしょう。

現在では、「クラウドファースト」という言葉が先進的に捉えられた時代はもう終わりに近づき、「クラウドネイティブ」が当たり前になってくる時代になりつつあります。すでにネットサービスやスタートアップ企業においては、オンプレでサーバーを構築することなどはほとんどない状態です。これからの時代、Googleに限らず何らかのクラウドサービスを利用することは必須となっており、技術者のみならず経営者までもこれを理解し、クラウドを前提とした柔軟かつ迅速な経営判断が求められる時代になってきています。

この「クラウドネイティブ」時代にクラウドインフラを提供する会社は、将来的には世界で限られた数社になってくるであろうと予想されます。その筆頭候補として挙げられるのが、皆さんがご存知のGoogle、Amazon、Microsoftの3社になると言われています。どこか一社が飛び抜けてということはなく、おそらくこの3社はそれぞれの特徴により棲み分けられ、利用されていくことになるでしょう。そんな中での基本的な戦略としては、どこか一社に絞るその前に、クラウドサービスの初期費用が不要な特徴を活かし、まずはある程度各サービスに触れてみて特徴を把握することが肝要かと筆者は考えます。その上で特定の一社に絞って(ぜひGoogleを)利用するもよし、各社をうまく並行して使いこなすもよし、それぞれの方向性で利用していくのがよいと思います。

本書では、GCPの機能・操作法や他のクラウドとの比較など、ひととおり解説してありますので、本書でGCPの基本・特徴については理解できる内容になるよう努めております。ぜひGCPを理解し、触ってみて、今後のクラウドネイティブ時代を生きる一助としていただければ幸甚です。
2019年3月吉日
クラウドエース株式会社
取締役会長 吉積 礼敏

本書の想定読者

本書は、「GCPを使ってみたいけど使い方がよく分からない」方から、「ある程度使っているけれども使いこなせてはないかも?」というクラウドに関して初級から中級の技術者の方を対象にしています。GCPに触れたことのない方には、まずは触ってみて体感すること、次に基礎的なことを押さえて効果的によりたくさんのプロダクトを活用できるようになること、の一助になればと考えています。なお、TCP/IPやOSなどのインフラの基本的な内容については割愛しておりますので、システムに関する最低限の技術的な知識は各種専門書籍等をご参照ください。

Googleについて

本書を手に取った方に、今さら「Googleとはどのような企業か」について説明するまでもないと思いますが、超巨大企業として様々な顔を持つ会社ですので、むしろその捉え方は人によって異なる場合も出てくるかもしれません。本書では、原則としてGCPを提供している会社としてGoogleを扱っていきますが、そのための共有を前提とするため、一応この会社のプロフィールを簡単にご紹介しておきます。

Google(グーグル)はAlphabet(アルファベット)に2015年8月に名称変更された持ち株会社の最大の子会社で、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を目標に1998年に設立された会社です。検索エンジンのシェアをベースに、広告を出すことで収益の大部分を上げていますが、GmailやYouTubeなど 大量のコンピューティングリソースを必要とするインターネットサービスを多数提供しています。
Googleはその目標どおりに情報処理に非常に力を入れており、大量のコンピューティングリソースへの投資を行っています。データセンターやハードウェア、ネットワーク まで自前で構築してしまうというのが特徴で、自作の特殊な構造のサーバーを利用しています。またその規模は、サーバーの製造販売業者ではないにもかかわらず、自社で利用するサーバーの費用だけで世界のサーバー製造販売業者と肩を並べるほどの規模になっていると言われています。
さらに近年では、AlphaGoという名称のコンピューターが、機械学習の分野でも大量のデータによる学習や機械同士の対戦による学習でどんどん強くなり、囲碁の世界チャ ンピオンに勝つなど、機械学習・AIの領域などでも目覚ましい躍進を遂げています。
なお、GCPは、様々な分野のサービスを取り込みながら拡大・拡張・改善を常に繰り返しているサービスです。本書執筆後にもどんどん更新が入ることも予想されますので、最新情報についてはできる限りGoogleの公式文書を参照するように努めてください。

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目次

はじめに
本書の想定読者
Googleについて

第1章
Google Cloud Platformとは?
1.1 Googleが提供するクラウド基盤
1.2 Google Cloud Platform概要
Column>数台のサーバー故障なら放っておいても大丈夫!?
1.3 GCPの歴史
1.4 Why Google?
1.5 GCPの使いどころ
1.5.1 ビッグデータ」
1.5.2 機械学習
1.5.3 キャンペーンなどのスパイク
1.5.4 運用保守担当者不在
1.5.5 グローバル展開

第2章 GCPの基本を知ろう
2.1 GCPの基本概念
2.2 リージョン、ゾーン
2.2.1 リージョン、ゾーンの選び方
2.3 無料トライアルの登録とプロジェクトの作成
2.3.1 管理コンソールへのアクセス
2.3.2 無料トライアルの登録
2.3.3 プロジェクトの作成
2.4 管理コンソールの基礎
2.4.1 基本的な操作方法
2.4.2 基本メニューの説明
2. 5GCPのコンポーネント一覧
Column> サービスのリリース段階
2.6 SDKコマンドライン基礎
2.6.1 SDKコンポーネント群一覧
2.6.2 SDKコマンドの基本
2.7 Cloud IAM
2.7.1 Cloud IAMの概要
2.7.2 Cloud IAMの特徴
2.7.3 Cloud IAMの基本概念
2.7.4 Cloud IAMの基本操作
2.8 課金について
2.8.1 基本的な考え方
2.8.2 課金の種類
2.8.3 GCEマシンタイプの課金時間は1秒単位(最小1分)
2.8.4 継続利用による割引
2.8.5 トラフィック料金
2.8.6GCP利用料計算ツール
2.8.7 例を使ったGCP利用料の試算
2.9 セキュリティ
2.9.1 SSAE16 / ISAE 3402 Type II
2.9.2 SOC2/SOC 3
2.9.3 ISO 27001
2.9.4 FISMA Moderate
2.9.5 PCI DSS v3.0
2.9.6 HIPAA
2.10 参考資料

第3章 GCPの基本サービスを学ぼう
3.1 Google Compute Engine (GCE)
3.1.1概要
3.1.2 GCEの仕組み
3.1.3 基本的な操作
3.2 Google Cloud Storage (GCS)
3.2.1 GCSの機能
3.2.2 課金体系
3.2.3 アクセス制御 3.3 Google App Engine (GAE)
3.3.1 Google App Engine Standard Environment (GAE SE)
3.4 Big Query
3.4.1 概要
3.4.2 BigQueryの特徴
3.4.3 BigQueryの料金体系
3.4.4 様々なデータ取り込み方法
3.4.5 課金についての注意事項
3.4.6 基本概念
3.4.7 BigQueryのアクセス制御
3.4.8 始め方
3.4.9 基本的な操作 3.5 Google Cloud SQL
3.5.1 概要 3.5.2 始め方
3.5.3 一般的な注意事項

第4章高度なサービスを知ろう(その1)
4.1 Kubernetes Engine (GKE)
Column> Docker とコンテナ
4.1.1 Kubernetes Engineの特徴
4.1.2 Kubernetes Engineを始めてみよう
4.1.3 Kubernetes Engineのクラスタサイズを変更・修正する
4.2 ネットワーキング
4.2.1 VPCネットワーク
4.2.2 外部IPアドレス
4.2.3 ネットワークサービス
4.2.4 ハイブリッド接続
4.2.5 Network Service Tiers
4.2.6 ネットワークセキュリティ
4.3 Bigtable
4.3.1 Bigtableの特徴
4.3.2 アクセス権の制御
4.3.3 最適な用途
4.3.4 パフォーマンスについての注意点
4.3.5 Bigtableの始め方
4.3.6 Bigtableのまとめ
4.4 Datastore
4.4.1 データ構成
4.4.2 登録と更新
4.4.3 整合性(Consistency
4.4.4 インデックス
4.4.5 データ取得
4.4.6 トランザクション
4.4.7 管理ツール
4.5 Stackdriverモニタリング
4.5.1 Stackdriverとは
4.5.2 Stackdriverを使ってみよう
4.5.3 Stackdriverアカウントの作成
4.5.4 インスタンスにStackdriverエージェントをインストール
4.5.5 Webサイト (nginx)のHTTP監視設定(Uptime Check)
4.5.6 Webサイト (nginx) を停止し、アラート通報をメールで受信
4.5.7 ダッシュボードの表示
4.6 Stackdriverモニタリング
4.6.1 Stackdriver Logging (google-fluentd)のインストール
4.6.2 ログの確認と検索
4.6.3 ログをBigQueryへエクスポート

第5章 高度なサービスを知ろう(その2)
5.1 Deployment Manager 5.2 Cloud Pub/Sub
5.2.1 パブリッシャーとサブスクライバーについて
5.2.2 Cloud Pub/Subを使ってみよう
5.2.3 Cloud Pub/Subの活用イメージ
5.3 Cloud Dataflow
5.3.1 Apache Beam
5.3.2 データ処理パイプライン
5.3.3 Cloud Dataflowの特徴
5.4 Dataproc
5.5 Cloud Launcher
5.6 Cloud Functions
5.6.1 イベント駆動のサーバーレスアプリケーション実行基盤
5.6.2 トリガーによる動作の開始
5.6.3 Functions(関数)の作成
5.6.4 チュートリアル
5.7 その他のサービス
5.7.1 Spanner
5.7.2 Endpoints
5.7.3 Genomics
5.7.4 IoT Core
5.7.5 Dataprep
5.7.6 Datalab

第6章 機械学習
6.1 機械学習の基本
6.1.1 機械学習の一般的な知識
6.1.2 GCPにおける機械学習への取り組み
6.2 TensorFlow
6.2.1 TensorFlowのAPI階層について
6.3 Cloud Machine Learning Engine
6.3.1 Cloud Machine Learning Engineとは
6.3.2 トレーニングのための準備
6.3.3 ローカルトレーニングの実行
Column> TensorBoardによる学習状況の可視化
6.3.4 Cloud Machine Learning Engineを使用したトレーニング
6.3.5 トレーニングモデルをデプロイして予測に使用する
6.3.6 複雑なモデルのトレーニングをGPUで高速化する
6.3.7 料金について

第7章 GCPで使えるAPIの紹介
7.1 APIs Explorerで簡単にトライ
7.2 Vision APIを使ってみる
7.2.1 Vision APIとは
7.2.2 APIs ExplorerからVision APIを使う
7.2.3ラベル処理以外の機能
7.2.4 Vision APIまとめ
7.3 Translate APIを使ってみる
7.3.1 Translate APIとは
7.3.2 APIリクエストパラメータ
7.3.3 APIs ExplorerからTranslate APIを使う
7.3.4 Translate APIまとめ
Column> 自動翻訳はどんどん進化する!
7.4 Speech APIを使ってみる
7.4.1 Speech APIとは
7.4.2 リクエストの種類
7.4.3 APIリファレンス
7.4.4 APIs ExplorerからSpeech APIを使う
7.4.5 Speech APIまとめ
Column> 加速するSpeech AP
7. 5Video Intelligence APIを使ってみる
7.5.1 Video Intelligence APIとは
7.5.2 APIリファレンス
7.5.3 APIs ExplorerからVideo Intelligence APIを使う
7.5.4 Video Intelligence APIまとめ

第8章 AWSユーザーへ
8.1 AWS/GCPのサービス対応と比較
8.1.1 AWS/GCPのサービス対応表
8.1.2 両社のIaaSサービスの概要比較
8.2 AWS/GCPON
8.3 AWSからインスタンスの移行
8.3.1 VM-Migration Serviceとは
8.3.2 GCPの管理コンソールでCredentialを設定
8.3.3 EC2インスタンスにAgentをインストール
8.3.4GCEインスタンスを選択してインスタンスを起動
8.4 Amazon S3からの引越し

第9章 GCPのまとめと今後の展望
9.1 GCPのよい点・悪い点
Column> 1秒単位の課金に!
9.2 今後の展開
Column> これからGCPの勉強をする方へ
Google Cloud Platform
とは?

ようこそ Google Cloud Platform(GCP) の世界へ! 第1章では、その概要と歴史、そして使いどころなどをまずはオーバービューしたいと思います。

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Google Cloudではじめる実践データエンジニアリング入門

業務で使えるデータ基盤構築

はじめに

2012年頃に「データサイエンティスト」というワードが華々しく登場し、あわせて 「ビッグデータ」という言葉にも注目が集まり早10年が過ぎようとしています。さらに IoT (Internet of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)の台頭により、これからのビジネスにデータ活用は不可欠であるという共通認識も形成され始めていると感じます。データがますます重要になっていく一方で、データ活用を支える「インフラ」であるデータ基盤に注目が集まる機会は多くありません。多くの場合、データの保管能力や処理能力にのみ焦点が当たりがちですが、データの重要性が認識されるに従い、データ基盤に求められる要件も増加の一途をたどっています。たとえば、データの管理やセキュリティ、より高度な分析である機械学習に関する要件といったものが挙げられます。すべての要件に関する知識を押さえることは難しく、体系だったデータ基盤に関する説明を目にする機会もあまりありません。

本書は、非常に広い概念を含む「データ基盤」を、Googleが提供するクラウドインフラのサービスであるGoogle Cloud上でどのように構築するのか説明していきます。Google Cloudで構築するデータ基盤の最も大きな特徴は、マネージドサービスとして提供されておりスケーラブルであることです。マネージドサービスであるため、データ基盤の運用における負荷は削減され、本来の目的であるデータ活用に対してより多くの時間を割くことができます。また、スケーラブルであるため、データ基盤の規模が小さいときから拡大していっても同じような構成をとり続けることができます。これらの特徴から、Google Cloudによるデータ基盤はその立ち上げから、大規模な実運用までを一貫してカバーできます。また、データ活用に対するエコシステムも整っているため、データ基盤上に蓄えられたデータの活用までもカバーできます。

本書の構成

本書は全部で11章から構成されています。
それぞれの章は独立しており、各章を自身の好きな順番で読み進めることができます。1章では、データ基盤の全体像とGoogle Cloudで提供されているサービスとデータ基盤のコンポーネントとの関係性を説明しています。多くの方はまず1章を一読されたあとに、興味のある章を読み進めていくことをお勧めします。
続いて、以下で示すデータ基盤における一般的な概念や要求、課題について説明し、それらをカバーするGoogle Cloud上のプロダクトやソリューションについて説明するという流れをとっています。

●データウェアハウス(2章、3章)
●データレイク (4章) ETL処理(5章)
●データパイプライン(6章)
●セキュリティ(7章)
●データ集約(8章)
●ビジネスインテリジェンス(9章)
●リアルタイム分析(10章)
●発展的な分析(11章)

本書全般を通じた注意事項
本書はGoogle Cloudの基礎的な説明については割愛しています。本書で説明している内容を追随するには、Google Cloudのアカウントを用意する必要があります。本書を通じて、以下のような事前設定や知識、作業環境が必要となります。
●Googleアカウントの取得
●Google Cloudプロジェクトの作成-注1
●Google Cloud上の請求アカウントの設定-注2
●Cloud Shell-注3もしくはgcloud コマンドラインツール-注4設定済みのローカル環境

Google Cloudには、毎月一定の使用量が無料になるAlways Free (特定のプロダクト のみ)や新規アカウント作成者に$300分の無料クレジットの付与-注5といったプログラムが提供されています。本書で提供するサンプルの多くはAlways Freeの無料枠に収まるものですが、Always Freeでカバーされていないプロダクトも一部含まれています。
予期せぬコストの発生を回避するためにも、サンプルを実行する前には、各プロダクトの価格やAlways Freeの適用範囲を確認することをお勧めします。また、サンプルの実行後には速やかに環境を削除することも忘れないようにしてください。
データ基盤を構築、管理する技術領域全般をデータエンジニアリングと呼びます。データエンジニアリングを駆使し、ビジネスに価値をもたらすのがデータエンジニアと呼ばれる比較的新しい専門職です。データ活用を進めるという観点では、データ基盤が重要であるのと同じくらい、データエンジニアの存在も重要となります。データ基盤やデータエンジニアの存在により、データサイエンティストやアナリストは、信頼性のあるデータに対して、効率的な分析を行うことができるようになります。
本書に掲載しているスクリーンショットはすべて執筆時点のものです。Google Cloud は、ユーザーの利便性を向上させるため次々と新しい機能を追加しています。そのため、掲載しているGoogle Cloudの各サービスの画面のスクリーンショットと実際の画面に差異が生じている場合もありますのでご注意ください。

 

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Google Cloud Platform エンタープライズ設計ガイド

Google Cloud Platform
エンタープライズ 設計ガイド
野村総合研究所 遠山 陽介 深津康行 中庄谷哲平 小島 仁志著
グーグル、企業向けクラウドサービス

まえがき

GCP (Google Cloud Platform) vs. AWS(Amazon Web Services)、GCP vs. Azureという戦いが始まろうとしている。この3強のいずれが勝者となるのか、または住み分けができるのか、はたまた3強以外のクラウドプロバイダが登場し市場を席巻するのか、現時点では予測できない。GCPは、そのユニークな生い立ち・特徴から、AWSやAzureと異なる新しい市場を形成するのではないかという期待感を抱かせる。ぜひとも実際にGCPに触れ、その魅力を感じてほしいと思い、本書を執筆するに至った。

近年、GCPはエンタープライズシステムへの対応を急速に進めており、企業の情報システムでの大規模な採用事例も増えつつある。先行したほかのクラウドサービスと同様に、将来的には企業における情報システムサービスの標準プラットフォームとして採用される可能性もあり、動向から目が離せなくなってきている。一方で、エンタープライズシステムを支えるITインフラとしての機能や特徴に関する情報がまだまだ十分とはいえない。多くの企業情報システム担当者にとっては、その先進性や高度なサービスが気にはなるものの、「では、自社のインフラとして使えるのか?」を検討しづらい状況なのではないだろうか。

本書では、主にエンタープライズシステムへの応用を視野に、GCPの活用を検討するために必要な基本的な知識の習得をサポートすることを目的としている。対象読者は、ユーザー企業の情報システム部門のご担当者だけでなく、システム企画部門や、サービスを開発・運営する事業部門のご担当者など、クラウドサービスに関心を持たれる人たちを広く想定している。特に、AWSなどほかの主要なクラウドサービスの経験があり、GCPの基本的な知識を体系立ててつかみたい人に活用していただけると思う。GCPを利用する上で、本書がその一助となれば幸いである。
第1章では、エンタープライズ分野でクラウドサービスのデファクトスタンダードとしての地位を確立したAWSとの比較を通して、GCPの設計思想を解説する。第2章以降では、実際にGCPを利用しようと考えている方に向けて、カテゴリーごとの各サービス機能を紹介する。第9章以降では、企業においてGCPの導入に取り組む仮想的なシナリオを基に、考慮すべきポイントや設計の流れを説明する。

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Google Cloud Platform GAE.ソフトウェア開発入門

 

はじめに

 

本書は、Google App Engine (GAE)でアプリケーションを「正しく」開発したい方のための入門書です。 GAEは、Google Cloud Platform (GCP)が提供する、Webアプリケーション開発のためのプラットフォームです。GCPの中でも最も長い歴史があり、GCPを代表するサービスの1つです。スケーラビリティの高いWebアプリケーションを手軽に構築できる点が多くのファンを引きつけており、人気の高い多数のWebサービ スの基盤として利用されています。何かしらのWebアプリケーションを開発した経験があれば、GAE上でのアプリ開発はそれほど難しくありません。アプリの開発から公開まで、特別な手間はまったくかかりません。しかしながら、誰もがGAEを活用したアプリ開発を「正しく」行えるというわけではありません。そのためには、GCP全般に対する基礎知識が重要になります。

GCPには、数あるクラウドサービスの中でも、Googleの先端技術を取り入れたサービスが利用できるという特徴があります。優れたGAEアプリケーションを作るには、関連するGCPのサービスを理解して、最大限に活用することが求められます。本書では、ただ単にWebアプリケーションを作るのではなく、GAE上で提供するWebアプリケーションを「正しく開発する」ということにフォーカスを当てています。そのため、GAEだけではなく、開発に必要なGCPのサービスについても詳しく説明しています。「GAEとは何か」「GCPとは何か」 「Googleが目指すクラウドサービスは何か」ということを知ることが大切です。

筆者は、GAEが登場した頃からのヘビーユーザーで、今も変わらず使い続けています。そして、GAEがどのように進化してきたのかを見てきました。GAE単体のサービスから始まり、GCPのサービスとして統合された後にGAE Flexが登場し、さらには、最新バージョンのGAE 2ndへと進化しました。今やGAEは、Webアプリ ケーション開発の最高のソリューションになったと感じています。
「GAEにかかわって10年以上の経験から得たノウハウをわかりやすく伝えたい」「より多くの人にGAEの素晴らしさを感じてもらいたい」、そんな想いの下に本書を執筆しました。本書を手にしたみなさんがGAEア プリケーションを「正しく」開発できる、そのための手助けになれば幸いです。
2020年春
小林明大

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ハンズオンで分かりやすく学べる Google Cloud実践活用術 AI・機械学習編

はじめに

何もインストールされていない素の仮想コンピューターや仮想ネットワークの上に自分で構築するといったクラウドの使い方は時代遅れになってきました。用意されているさまざまなサービスをいかに組み合わせて、短期間で目的のシステムを構築できるのかが重要視されています。
Google Cloud (旧名称Google Cloud Platform=GCP)にはさまざまなサービスがあり、これらを活用することで、開発・運用・保守の短縮化・低コスト化・安定化が可能です。

本書は、2巻構成でGoogle Cloudの「AI・機械学習」「ビッグデータ」「コンテナ」の機能と使い方を解説します。本巻ではこの中で「AI・機械学習」に焦点を当てます。AI・機械学習は自分で一から作るのが困難な分野です。モデルを構築するのに専門知識が必要なだけでなく、数多くのデータを用意したり、それを学習させたりと、大変な労力がかかります。しかしGoogle CloudのAI・機械学習サービスを使えば、こうした複雑さを解決できます。すでに学習済みのモデルを使うことはもちろん、推論によって、データから最適なモデルを自動で作ることもできます。

本巻では、Google Cloudが提供するさまざまなAI・機械学習のサービスを使うことで、ブラウザから操作したり、APIを呼び出したりするだけで、「音声認識」「将来予測」「顧客のグループ化」の3つの課題を実際に解決していく具体的な方法を示します。
すべての課題はハンズオン形式。AI・機械学習というと学習のためのデータを用意するところが大きな壁になりますが、本巻では、Google Cloudでビッグデータとして提供されているサンプルデータを利用することで、実際に試せる構成としました。
実際にやってみると、 複雑なAI・機械学習が、ほとんどコードを書くことなく実現できることに、きっと驚かれるでしょう。
必要なのは、Google Cloudアカウントを作成することだけ。90日間無料で試せます。 是非、皆さん体験して、Google Cloudの手軽さを味わってください。
なお、本書は日経クロステックに連載されたグーグルの技術者による記事を基に、最新のサービスに合わせてハンズオンを構成しています。「AI・機械学習編」のオリジナルの執筆陣はグーグル・クラウド・ジャパンの脇阪洋平氏、葛木美紀氏、吉川隼人氏でした。
筆者代表 大澤 文孝
2021年4月

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Google Cloud AutoML Vision入門 画像認識・機械学習・AIを使ったウェブサイトやアプリをつくる

はじめに

本書を手にとっていただきありがとうございます。

まずはじめに、“AI(人工知能)”と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。

SF映画に出てくるような知能や感情を持ったロボット、人間と同等に会話する宇宙船に搭載されたAIコンピューター、スマートフォンに組み込まれている音声アシスタント、他にも様々なAIがこの世の中で活躍しています。身近なところでは、Emailの自動スパムメール判定も裏側ではAIが動いています。

近年では企業でのAIシステムの導入が増えてきており、「時間はかかるが人間がやるまでもない」タスクの実行に取って代わる存在として活気づいています。みなさんの中にも、AIを使って面倒くさいタスクを自動化したり、面白いサービスを作って世の中にリリースしてみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、そのAIで使用されている技術の中身は、難しい数式や非常に複雑な仕組みが使われています。完璧に理解するのはその道のエキスパートでもない限り、時間も労力もかかってしまい、挫折してしまう人も多いのでは、と感じています(私もその一人です)。では、もしも専門知識を持っていないエンジニアが簡単にAIモデルを作れるとするとどうでしょう。AIを作ってみたいけど、何から始めたら良いのか分からない方も多いのではないかと思います。

そう思って本書を手にとって頂いたあなたは正解です。必ずしも難しい数式から入門する必要はありません。AIの仕組みの基本さえ理解していれば、今では誰でも簡単にAIを作ることができる時代に突入していることを本書を通じて実感することでしょう。

昨今の機械学習やディープラーニングの技術はめざましく進歩し、自然言語処理や画像認識精度は驚くほど高くなってきています。特に、世界的先進企業であるGoogle/Apple/Facebook/Amazon/Microsoftなどでは日々データサイエンティストのような専門家が難しい研究を重ね、多くのAIプロダクトをリリースしています。
そして、我々はそれらの技術を簡単に利用することができるようになっています。機械学習やディープラーニングは、独自に研究をする時代から簡単に誰でも利用・開発できる時代にパラダイムシフトしているのです。高度な専門知識を持たずとも、機械学習やディープラーニングを使ったサービスは誰でも構築することができるようになっているのです。
これまでは導入障壁が高いと思われていたAIを手軽に実現できるサービスがある、こんな機会を逃すわけにはいきません。本書では、そのようなサービスの中でも特に簡単に、スピーディーに、しかも高精度な画像予測モデルを構築することができる、Googleの”Cloud AutoML Vision”というプロダクトを利用し、企業でも胸を張ってサービス導入できるレベルのAIモデルを構築することを目的として執筆しました。

では、“企業でも導入できるレベル”とは、どの程度なのでしょうか。本書で目指すのは99%の精度ではなく95%程度の精度を目指します。導入するシステムの要件によっては高い精度でないと使い物にならないと判断する場合もあるでしょう。しかしながら、実際のビジネスでの利用シーンを考えてみると、95%程度の精度でも十分なケースもあることは事実です。例えば、少々判定が間違っていても実際のサービスの運営にはあまり害ないケースも少なくないのではないかと思います。

本書は機械学習の専門家向けには執筆されていません。一般的なソフトウェアエンジニアが、簡単に、しかも高速にAIをサービスに導入する上で必要最小限の知識で実現できるレベルの話のみが出てきます。これまで機械学習やディープラーニングを勉強しようとして挫折した方でも、問題なく読み進めることができる内容になっています。

本書で実現すること

本書を通じて、最終的には入力された画像に対して、それが何の画像であるかを予測するWebサービスを構築します。
例えば、犬の画像を入力しその画像がどの犬種であるか、花の画像を入力しその花の名前を予測する、などといったサービスが作れるようになります。しかも、専門知識はほとんど必要ありません。手順に従って作業を行うだけで、高精度な予測モデルの作成ができます。

しかし、専門知識は必要ないといっても、全くないのと少しあるのとでは大きな違いが出てきます(実際に何も知らなくてもモデルはできてしまいますが)。そこで、会社の上司や同僚に導入交渉する際の材料にできるよう、少しだけ専門的な内容を盛り込んでサンプルモデルを構築していけるような流れになっています。
難しい数式や仕組みは必要最小限に抑え、機械学習やディープラーニングで使用される指標は何か? どういう風に読み解けば良いのか? を分かりやすく説明します。必要最小限の知識を持つことで、そのシステムを本当にリリースしてよいかの判断ができるようになります。

さらに細かく学んでみたい読者向けに最終章では少し専門的な観点を盛り込んで説明しているので、興味があれば目を通してみてください。もちろん、最終章だけ読み飛ばして頂いても結構です。

本書で得た知識により、AIの世界がより身近に感じられ、さらには実際のサービス導入までされることを願ってやみません。

最後に、本書執筆の機会を与えて頂いた出版社の方々、会社の上司・同僚、そして何よりも執筆で忙しい時期の生活を支えてくれた妻に感謝の意を表します。本当にありがとうございました。
それでは、最先端のAIの世界へようこそ。

2019年7月 衛藤剛史

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出典:出版社HP

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