登録販売者の難易度はどれくらい?都道府県別の合格率まで




1 はじめに−登録販売者とは?

登録販売者とは、第2類医薬品、第3類医薬品を販売することができる資格のことで、2009年の改正薬事法により新たに誕生しました。
一般に、医薬品の販売というと薬剤師をイメージすると思いますが、第2類医薬品と第3類医薬品に限れば登録販売者だけで販売することができます。

登録販売者がいれば、薬局やドラッグストアのほか、コンビニやスーパーなどでも医薬品の販売ができるため、薬剤師不足という状況の中で、登録販売者はニーズの高い資格となっています。

登録販売者試験と聞いて「難易度がどのくらいであるのか」、「合格率はどのくらいであるのか」など様々な疑問が浮かんでくるでしょう。
さっそくそれらについてみていきましょう。

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2 登録販売者試験って難しいの?

(1) 合格基準は?受験資格に制限はある?

登録販売者試験の合格基準点は、
「全体の7割以上の得点、かつ各試験項目ごとの出題数に対して3.5割以上(都道府県によっては4割以上)の正答」
です。
つまり、出題される5項目のすべてで3.5割または4割以上(都道府県により異なります)正答したうえで、全体の得点が7割以上であれば、合格です。

受験資格に制限はないので、誰でも受験することができます。

このように、誰でも受験することができ、合格基準点もそれほど厳しくないので、試験の難易度はそれほど高くないといえます。

(2) 合格率は?

登録販売者の試験は都道府県ごとに実施され、出題内容も都道府県によって異なりますし、受験人数にも差があるので、合格率は都道府県により差があります。

まず、全国の平均の合格率を見ていきましょう。
以下の表は、全国の年度別の登録販売者の受験者数、合格者数、合格率をまとめたものです。

 

年度 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
H20 91,024 58,715 64.5
H21 44,788 21,209 47.4
H22 39,116 18,510 47.3
H23 33,913 16,007 47.2
H24 28,050 12,261 43.7
H25 28,527 13,381 46.9
H26 31,362 13,627 43.5
H27 49,864 22,901 45.9
H28 53,369 23,330 43.7
H29 61,126 26,606 43.5
H30 65,500 27,022 41.3
R1 65,288 28,328 43.4
R2 52,959 21,953 41.5

 

*これらの数値は厚生労働省のホームページを参考にしています。また2回試験を実施した年に関しては年度総計の人数を載せています。

表やグラフからも読み取れるように年によって多少ばらつきはありますが、合格率は大体40%から50%です。

次に、都道府県ごとの合格率を見ていきましょう。
以下の表は、令和2年度の都道府県別の合格率についてまとめたものです。

都道府県 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
北海道 1,815 861 47.4
青森県 689 297 43.1
岩手県 691 346 50.1
宮城県 1,665 736 44.2
秋田県 414 162 39.1
山形県 403 179 44.4
福島県 692 236 34.1
茨城県 1,240 545 44.0
栃木県 893 385 43.1
群馬県 1,009 470 46.6
埼玉県 2,490 749 30.1
千葉県 2,140 737 34.4
東京都 4,437 1,464 33.0
神奈川県 2,671 1,033 38.7
新潟県 883 332 37.6
山梨県 287 92 32.1
長野県 1,318 419 31.8
富山県 549 239 43.5
石川県 765 330 43.1
福井県 477 166 34.8
岐阜県 1,262 583 46.2
静岡県 1,263 636 50.4
愛知県 2,786 1,561 56.0
三重県 735 390 53.1
奈良県 1,726 612 35.5
鳥取県 200 77 38.5
島根県 280 140 50.0
岡山県 869 429 49.4
広島県 1,039 604 58.1
山口県 517 279 54.0
香川県 518 262 50.6
愛媛県 622 300 48.2
高知県 383 152 39.7
福岡県 2,665 1,154 43.5
佐賀県 398 158 39.7
長崎県 529 221 41.8
熊本県 821 355 43.2
大分県 566 264 46.8
宮崎県 485 171 35.3
鹿児島県 849 310 36.5
沖縄県 796 286 35.9
関西広域連合 8,132 3,230 39.7
合計 52,959 21,953 41.5

この表を見てわかるように、合格率は都道府県によってばらばらです。
令和2年度で合格率が最も高いのは広島県で58.1%、最も低いのは埼玉県で30.1%です。倍近くも差があることがわかります。
このように差があるのは、出題内容が都道府県によって異なることと受験者数が異なることなどが理由と考えられます。

確実に合格を狙いたい人は、合格率の高い傾向にある都道府県で受験したり、複数の都道府県で受験することを検討すると良いでしょう。

3 登録販売者試験と薬剤師国家試験の違いって?

(1) 試験の難易度の違い

登録販売者と同じく医薬品の販売に携わる職業として、薬剤師があります。

薬剤師の国家試験は合格率がおよそ60~80%と高めですが、受験するためには薬学系の大学で6年間勉強して卒業することが必要です。この受験資格の取得自体が難しいので、薬剤師の試験の難易度は高いといえます。

一方で、登録販売者は、全国的な合格率は低いようにも思われますが、合格基準がそれほど厳しくなく、受験資格がないために誰でも受験できるので、決して難易度は高くないです。
登録販売者のほうが薬剤師よりも取得しやすい資格といえます。

(2) 合格後の違い

薬剤師は、試験合格後すぐに薬剤師としての仕事ができます。
一方、登録販売者は、直近5年以内に合計2年間分の実務経験を積んでいないと正規の登録販売者として働くことができません。

(3) 仕事内容の違い

登録販売者は、第一類医薬品を扱うことができず、第二類医薬品、第三類医薬品のみを扱うことができます。
これに対し、薬剤師は、第一類医薬品を含め全ての医薬品を取り扱うことができます。また薬の調剤も薬剤師のみができる仕事です。

4 まとめ

登録販売者の合格率や難易度についてお分かりいただけたでしょうか。
登録販売者は受験資格がないため資格を持ちたいと思っている方はすぐに目指しやすいといえます。
独学でも十分試験に合格することも可能なため、ぜひ登録販売者を目指してみてはいかがでしょうか?