「秘書検定」と「サービス接遇検定」はどのように違う?




日本の産業構造におけるサービス業の割合は年々増加傾向にあります。

総務省統計局によると、事業者数は約80%を超え、従業者数も約77%となっており、非常に高い割合を占めていることがわかります。

この記事を読んでいる皆さんの中にも、サービス業に従事している方もいるでしょう。

サービス業に従事している人にとって、実務に活かせる資格、

それが、サービス接遇検定です。

しかし、サービス接遇検定の知名度はイマイチ。

「サービス接遇検定ってあんまり聞かないから、よくわからない。」
「接客業だったら、秘書検定でもいいのでは?」など

こんなふうに、思っている方も多いはず。

そこで今回は、秘書検定とサービス接遇検定の違いについて、見ていきましょう!

秘書検定とは?

秘書検定とは、社会人に欠かせない能力や知識、マナーなどを身につけることを目指す資格です。

そのため、秘書を目指している方・実務家はもちろん、就職を控えている学生にも非常に人気のある資格となっています。

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サービス接遇検定

サービス接遇検定とは?

サービス業といっても、様々です。

レストランやカフェなどの飲食店、デパートや小売店などの販売店もあれば、
ホテル・旅館や公共施設での窓口対応などもサービスを提供するものです。

しかし、お客様に満足感と居心地のよさを感じてもらうためのサービスを提供するには、スタッフ各人が質の高いサービスが求められます。

そこで、サービス接遇検定は、接客業に従事する方をメインとし、サービス業務に対する心構えや対応の仕方、態度・振舞いなどについて習得することを目的とする検定です。

お客様に満足感と心地よい時間・空間を与えることを「サービス」といい、そのために提供する行動を「接遇」と言います。

簡単に言えば、サービスへの考え方や行動について学び、”おもてなし”を身につけよう ということです。

級や試験について

受験を考えている人の中には、

「受験資格は?」「試験の内容は?」「料金はどれくらい?」

と思っている人もいるでしょう。

それでは、サービス接遇検定の施行級や試験の内容について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)受験資格
基本的に、制限はないので、どなたでも受験することができます。

そのため、3級を飛ばして2級を受験することが可能です。

しかし、準1級についてのみ、実質的制限があります。

準1級に合格するには、「準1級面接試験の合格」「2級試験の合格」の2つの条件が存在します。

なので、準1級を目指す人は、以下の図のような手順を踏む必要があります。

この図をみて、「あれ?準1級には、筆記試験はないの?」「作成者のミスか?」と思った人もいらっしゃるでしょうが、作成ミスではありません。

準1級は、筆記試験が存在せず、面接試験のみとなっております。

しかし、「2級合格」という条件が必要なので、

2級は不合格だったが、準1級の面接試験に合格した人は、
「2級に合格した」という申請によって、準1級合格となります。

準1級だけは、受験資格の例外に当たるので、注意が必要です。

(2)試験内容と施行級
サービス接遇検定には、3級・2級・準1級・1級が存在します。

では、それぞれの級の試験内容について見ていきましょう。

3級
試験時間:90分
形式:筆記試験のみ
マークシート式+記述問題
内容:サービス接遇の基本的な知識と技能について

2級
試験時間:100分
形式:筆記試験のみ
マークシート方式+記述問題
内容:サービス接遇の基本知識・技能の応用
3級より記述問題が多い

準1級
試験時間:約10分
形式:面接試験のみ
3人1組でロールプレイングを行う。
内容:基本言動・接客の応対(課題:パネルで提示)
接客の対応(課題:模擬販売)

1級
筆記試験時間:120分
面接試験時間:約11分
形式:筆記試験…記述問題のみ
面接試験…2人1組でロールプレイングを行う。
内容:面接試験…課題:テレセールスとセールストーク

これらを簡単に一覧にしたものが、下記の図になります。

施行級 試験形式 試験時間

(筆記)    (面接)

1級 筆記試験+面接試験 120分 11分
準1級 面接試験のみ 10分
2級 筆記試験のみ 100分
3級 90分

(3)受験料
サービス接遇検定は、併願で受験することもできますが、ここでは、併願する際の受験料は記載しません。

各級の受験料は以下の通りです。

施行級 1級 準1級 2級 3級
受験料 6,500円 4,700円 3,900円 2,700円

受験者状況

では、サービス接遇検定を実際に受験している人はどれくらいなのでしょうか?

公益財団法人 実務技能検定協会によると、

令和2年11月8日の試験は以下の図のようになっています。

施行級 受験者数 合格率
1級 475 33.1%
準1級 4,044 84.7%
2級 11,989 69.1%
3級 16,541 64.5%
合計 33,049

皆さんは、この受験者数・合格率について、どう感じましたか?

受験者数は多い?それとも、少ない?

合格率は高い?それとも、低い?

これについては、次で見ていましょう。

秘書検定とサービス接遇検定の違い

まずサービス接遇検定とは、サービス応対の技術や言葉遣い、所作などを学ぶことのできる検定です。多くの業種で働く際に必要である「顧客の気持ちを理解するため」の実践的なスキルや知識などを身につけることができます。

一言で言えば、秘書検定はビジネス、サービス接遇検定は接客です。秘書検定は、ビジネスにおいてのマナーを学ぶことができます。つまり限られた範囲の中でそのスキルを使うことになります。一方でサービス接遇検定ですが、不特定多数のお客様を相手にするため、範囲が広くなります。どちらも対人の技能ですが、その対象となる相手や範囲が違うということになります。次に個別で見ていきましょう。

 

(1) 認知度
やはり、認知度の差は大きいです。

秘書検定の受験状況と比較すると、その差がどれだけ大きいものかがよく分かると思います。

秘書検定

(受験者数)

サービス接遇検定

(受験者数)

1級 1,084 475
準1級 4,857 4,044
2級 31,309 11,989
3級 17,845 16,541
合計 55,094 33,055

しかし、サービス接遇検定は、秘書検定に比べて知名度が低いため、

就職する際の面接で、資格について詳しく話せる機会を得られるかもしれません。

(2) 難易度
秘書検定とサービス接遇検定の合格率を比較すると以下のようになります。

秘書検定(合格率) サービス接遇検定(合格率)
1級 30.0% 33.1%
準1級 39.9% 84.7%
2級 64.1% 69.1%
3級 81.9% 64.5%

サービス接遇検定は、合格率の変動が大きいので、あまり正確に表すことは難しいのですが、

両資格検定の違いとして、特に顕著なのは準1級の合格率でしょう。

これは、サービス接遇検定の試験内容についてのところでも述べましたが、

サービス接遇検定の準1級は、面接試験のみです。

一方の秘書検定準1級は、面接試験+筆記試験となっています。

この試験形態の違いが合格率につながっていると考えられます。

(3) 検定の趣旨
秘書検定は、ビジネスマナーや知識を中心で、対象が上司や部下、来客への対応を学びます。

一方、サービス接遇検定は、不特定多数の相手を想定し、相手に満足してもらえるような行動や言葉遣いを学びます。

簡単に言えば、秘書検定はビジネス、サービス接遇検定は接客です。

どちらの検定も対人関係を重視しているものですが、その対象に違いがあるということです。

それぞれが向いている職業

不特定多数のお客が想定される職業であればサービス接遇検定ですし、企業で顧客との対応があるのであれば秘書検定が有効でしょう。

就職において有利になるという話もある秘書検定ですが、この資格が必ず必要になる職業は存在しません。社会人として必要な常識を測る試験となっているので、そういったことを学びたい方にはお勧めできる資格となっています。

サービス接遇検定は、主にサービス業に勤めるかたにむいています。レストランやカフェなどのウェイター、さらには百貨店や小売店などのスタッフ、ホテル従業員などたくさんの業種が挙げられます。ですが、こちらもこの資格が必ず必要になる職業は存在しません。

秘書検定・サービス接遇検定の活かし方

秘書検定

秘書検定は、ビジネスにおける対人関係の中での対応を、資格を通して学ぶことができます。

そのため、業種を問わず、知識やマナーを活かすことができます。

また、秘書として活躍したいと考える方や実務家である方には、必須の資格といえるでしょう。

サービス接遇検定

サービス接遇検定は、「おもてなし」に必要なスキル、サービススタッフとしての資質など、

サービスを提供する際に、相手により満足をしてもらうことを学びます。

また、金品についての管理や問題処理なども問われるので、実務で必要となる知識も身につけることができます。

ホテルのフロント業務はもちろん、百貨店や銀行窓口、飲食店など、幅広い業種で活躍できるでしょう。

5 おわりに

秘書検定、サービス接遇の違いについて、なんとくイメージしていただけたでしょうか?

どちらの検定が、自分の目指しているものに合っているのか、
それを考える際の参考になったら幸いです。

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