減価償却を学ぶおすすめ本 – 税理士試験や簿記検定の参考書にも!
減価償却の要点を押さえよう
減価償却は、固定資産の購入費用を使用可能な期間で分割し、費用を計上する会計処理です。これは重要な会計知識の1つですが、ルールが多く把握するのが困難です。ここでは、基本的な知識に加え、資格取得にも役立つ本をご紹介します。
すらすら減価償却
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図解でわかる! 減価償却
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図解でわかる減価償却 いちばん最初に読む本
はじめに
減価償却は、会社の経理処理のなかでもやっかいなものの1つです。特に、平成19年度の税制改正で減価償却費の計算方法が大きく変わったため、ただでさえ難解な処理がさらに理解しづらいものになりました。
本書では、簿記の基礎から決算書の作成、税務申告まで大枠で理解ができ、そのうえで減価償却について、実務を行なううえで困らない程度のレベルまでマスターしていただくことがねらいです。特に、次のような方にも理解しやすいよう、できるだけ平易な解説を心がけました。
●新たに経理の仕事に就いた方
●会計事務所に就職した方
●これから就職活動を行なうにあたって会計の知識を身につけたい方
●会計や税務の資格取得に挑戦したいと考えている方
●会社の数字の見方を一から学びたい中小企業の経営者
長引く日本経済の不況のなか、企業活動も長期的な停滞状態に陥っています。このような状況のなかで本書を手に取られた方は、自分自身を「チェンジ」しようとしている、あるいは自分自身のために「チャージ」しようとしている方かもしれません。
本書があなた自身の「チェンジ」「チャージ」に役立つことを祈りつつ、日本の国全体が一刻も早く復興そして以前より強い国に成長を遂げることを願っています。
なお、平成19年度および20年度の税制改正において、減価償却制度が大幅に改正されました。実務では、改正前の減価償却制度と改正後の減価償却制度の両方が併存しています。本書では、特別に両者を区別する必要がある場合には、たとえば「新定額法」「旧定額法」などと区別して記述しています。
2011年9月
税理士 渡辺尚人
2020年1月30日現在の法令等にもとづいて、第9刷を発行しました。
もくじ
はじめに
1章 まず決算書と会計のことを知っておこう
1 決算書の基礎知識
「決算書」「財務諸表」って何でしょう?
2 B/Sのしくみ
貸借対照表とはどういうものか?
知っトク! 決算日とは
3 P/Lのしくみ
損益計算書とはどういうものか?
4 B/S、P/Lの項目
貸借対照表、損益計算書の区分と名称
5 簿記の基礎知識
「複式簿記」「借方」「貸方」って何でしょう?
6 仕訳の具体例
取引を仕訳してみよう
7 勘定科目の名前と内容①
貸借対照表の勘定科目を知っておこう
8 勘定科目の名前と内容②
損益計算書の勘定科目を知っておこう
9 帳簿組織のしくみ
財務諸表にまとめるまでの記帳の流れは?
10 会社の利益と課税所得
財務会計と税務会計には違いがある
COLUMN 決算調整と申告調整の違いは?
2章 減価償却の基本的なルールをマスターしよう
11 支出と費用の関係
「減価償却」ってそもそもどういうこと?
12 減価償却の経理処理
仕訳と財務諸表の表示はどうなるか
知っトク! 自動車は減価償却資産? 棚卸資産?
13 会計上・税務上の役割
減価償却のメリットとデメリット
14 減価償却資産と使用可能期間
減価償却する資産と耐用年数は?
知っトク! 決算書では耐用年数を自由に決められる!
15 法人税法と使用可能期間
耐用年数は税法で決められている
16 減価償却資産の取得価額
その資産はいくらで取得したのか
知っトク! 取得価額にしなくてもよい費用
17 少額減価償却資産の特例等
安価な減価償却資産の取扱いは?
18 税込経理と税抜経理
消費税の取扱いには注意が必要
知っトク! 「非常用食品」って減価償却資産?
19 「取得日」と「事業供用日」
減価償却はいつからスタートするのか?
COLUMN 青色申告と減価償却
3章 減価償却の方法と減価償却費の計算のしかた
20 代表的な2つの償却方法
「定額法」「定率法」の特徴を知っておこう
21 平成19年3月31日以前に取得の場合
「旧定額法」による減価償却費の計算
知っトク! 償却可能限度額とは
22 平成19年4月1日以後に取得の場合
「新定額法」による減価償却費の計算
知っトク! 固定資産をしっかりと管理するには
23 平成19年3月31日以前に取得の場合
「旧定率法」による減価償却費の計算
24 平成19年4月1日から平成24年3月31日までに取得した場合
「新定率法」による減価償却費の計算①
25 平成24年4月1日以後に取得の場合
「新定率法」による減価償却費の計算②
26 減価償却方法の選定
資産によって償却方法は決まっている
27 変更申請と月割の償却費計算
償却方法の変更と期中取得資産の償却
知っトク! 固定資産の購入と節税
COLUMN 固定資産税と償却資産税
4章 資産の種類ごとの減価償却のポイント
28 建物の減価償却ポイント①
建物と建物附属設備をしっかり分ける
29 建物の減価償却ポイント②
建物の取得価額と耐用年数
30 建物の減価償却ポイント③
建物の取扱いで注意すべきこと
31 建物の減価償却ポイント④
建設中の建物の取扱いは?
32 建物附属設備の減価償却ポイント
建物附属設備に含まれるものとは
知っトク! ソーラーシステムの耐用年数
33 構築物の減価償却ポイント
構築物にはどんなものが含まれるのか
34 機械装置の減価償却ポイント
機械装置の耐用年数の決め方
知っトク! 機械の考え方
35 船舶・航空機の減価償却ポイント
船舶と航空機の耐用年数の取扱い
知っトク! 無人リモコンヘリコプターの取扱い
36 車両運搬具の減価償却ポイント
車両運搬具の耐用年数の取扱い
知っトク! 附属品の取扱い
37 工具の減価償却ポイント
工具にはどんなものがあるのか
知っトク! 「前掲のもの以外のもの」とは
38 器具備品の減価償却ポイント
器具備品の耐用年数の取扱い
39 特許権等の減価償却ポイント①
無形減価償却資産にはどんなものがあるか
40 特許権等の減価償却ポイント②
無形減価償却資産の償却費の計算のしかた
41 ソフトウエア等の減価償却ポイント
ソフトウエアとHP作成費用の取扱い
42 生物の減価償却ポイント
生物でも減価償却が必要になることも
43 繰延資産の償却ポイント
繰延資産には会計上・税務上のものがある
COLUMN 個人事業主と減価償却
5章 減価償却の実務をこなすために必要な知識
44 中古資産の耐用年数①
中古資産を購入したときの減価償却
45 中古資産の耐用年数②
簡便法による耐用年数の計算のしかた
46 資本的支出と修繕費①
「資本的支出」とはどんなケースをいうのか
47 資本的支出と修繕費②
フローチャートを使って区分しよう
48 資本的支出の減価償却
取得時期によって取扱いは変わる
49 非減価償却資産の取扱い
減価償却をしない固定資産もある
50 少額な減価償却資産の取扱い
取得価額10万円未満、20万円未満のものは…
51 中小企業の特例制度
少額減価償却資産の損金算入制度の活用
52 少額減価償却資産の3つの特例
少額特例を受ける際の判断のポイント
53 資産の売却と減価償却
資産を売ったときの実務処理ポイント
54 資産の除却と減価償却
資産を除却したときの実務処理ポイント
55 有姿除却と減価償却
資産を有姿除却したときの実務処理ポイント
COLUMN 平成27年1月1日以降に取得する「美術品等」の取扱い
6章 財務諸表への表示と法人税の取扱い
56 貸借対照表と減価償却
減価償却資産はB/Sのどこに表示されるか
57 直接控除法と間接控除法
貸借対照表への表示のしかた
58 損益計算書と減価償却
減価償却費はP/Lのどこに表示されるか
59 キャッシュ・フロー計算書と減価償却①
キャッシュ・フロー計算書とはどんなものか
60 キャッシュ・フロー計算書と減価償却②
キャッシュ・フロー計算書への表示のしかた
61 財務会計と税務会計の関係
法人税の計算では調整が必要になる
62 申告調整のやり方
申告調整は法人税申告書の「別表」で行なう
63 償却限度額と損金経理
損金に算入される減価償却費の計算
64 償却超過額の取扱い
償却超過額が発生したときの処理のしかた
65 償却不足額の取扱い
償却不足額が発生したときの処理のしかた
66 減価償却と法人税申告書①
減価償却費の計算は別表十六で行なう
67 減価償却と法人税申告書②
償却超過額があったときの別表四と五(一)
COLUMN 新たな設備投資減税
7章 特殊な減価償却のしくみはこうなっている
68 特殊な減価償却の方法
「生産高比例法」による減価償却のしかた
69 減価償却の特例①
耐用年数を短縮することもできる
70 減価償却の特例②
「増加償却」できることがある
71 特別償却のしくみ①
「特別償却」の活用と経理処理のポイント
72 特別償却のしくみ②
中小企業投資促進税制
73 特別償却のしくみ③
経営力向上設備を取得したときの特別償却
74 特別償却のしくみ④
「特別償却準備金」と税務の取扱い
75 割増償却のしくみ
「割増償却」の活用と経理処理のポイント
知っトク! 普通償却と特別償却等の関係
76 圧縮記帳のしくみ
「圧縮記帳」の活用と経理処理のポイント
77 リース取引と減価償却①
リース取引の会計処理のしかた
78 リース取引と減価償却②
リース取引の税務上の処理のポイント
COLUMN 税効果会計と減価償却
【参考】
●耐用年数省令 別表第七~別表第九
●耐用年数省令 別表第十
さくいん
すらすら図解 減価償却のしくみ
執筆者一覧
監修 | 中尾 篤史 | 公認会計士・税理士 | 代表取締役社長 |
執筆者 | 平野 真理子 | 税理士 | 取締役 |
東山 恵里香 | 税理士 | 取締役 | |
新井 貴雄 | 税理士 | 部長 | |
菅谷 隆正 | 税理士 | 部長 | |
葛西 長 | 税理士 | 部長 | |
鈴木 真都佳 | 公認会計士 | 部長 | |
田中 秀德 | グループリーダー | ||
波多野 勇作 | 税理士 | グループリーダー | |
皆川 俊介 | グループリーダー |
はじめに
減価償却は、古くて新しいテーマです。
簿記を学んだことのある方なら減価償却については、少なからず学んだことと思います。減価償却は、発生主義で決算を行うためには必須の手段であり、経理をするうえでは避けては通れません。古くからあるテーマの減価償却ですが、ここ数年で会計面や税務面でいくつかの改正等の影響を受けています。
会計に関しては、国際財務報告基準(IFRS)へのコンバージェンスの流れの中で、償却方法を定額法に変更する会社が近年は増加してきています。また、税務に関しては、法人税率の引下げと引換えに、課税ベースの拡大が行われていますが、その対象に減価償却が選ばれることとなり、結果としてここ数年の税制改正の際に、減価償却の償却方法の見直しが数度行われています。今までであれば、過去の知識がそのまま使えたことの多かった減価償却ですが、複雑度合いが増してきたジャンルの1つとなりました。
このように古くて新しいテーマである減価償却を、本書ではできるだけ会計と税務について網羅的に執筆致しました。また、わかりやすさを追求するために1つのテーマを見開き2ページで記載するとともに、全てのテーマに図解を入れました。一定の知識のある方にとっては、どのテーマからも読めることを、初学者の方には、すらすらわかることを意識して整理をしています。
本書が、業務で減価償却に関わるすべての方々のお役に立つことを願ってやみません。
最後に、本書の編集担当をしていただいた奥田真史氏に心から感謝申し上げます。
平成三〇年一月
CSアカウンティング株式会社 執筆者一同
Contents
第1章 減価償却の意義・目的
1 減価償却の意義
費用を合理的に決定された方法で期間按分する手続き
2 減価償却の目的
企業の経営成績を適切に表すために費用と収益の対応を図る
3 減価償却の効果
「固定資産の流動化」と「自己金融効果」
コラム IFRSの導入にあわせて働き方改革も実施しよう
第2章 固定資産とは
4 有形固定資産とは?
3つの分類のうち、長期使用される形のある資産
5 建物とは?
構造や用途によって決まる耐用年数の取扱いに注意する
6 建物附属設備とは?
建物とは異なる「建物と一体となって機能する」設備
7 機械装置とは?
「何を製造するための設備か」によって耐用年数が決まる
8 車両運搬具とは?
リサイクル預託金の取扱いに要注意
9 工具・器具備品とは?
100以上に区分される固定資産
10 土地とは?
保有目的によって、土地以外になるケースに要注意
11 建物仮勘定とは?
建設のために取得した機械で保管中のものも建設仮勘定
12 無形固定資産とは?
法律上の権利がなくても経済的価値があれば無形固定資産
13 借地権とは?
土地を貸したら権利金が必要となるの?
14 ソフトウェアとは?
自社利用か販売かの制作目的で会計処理が変わる!
15 繰延資産とは?①
会計上と税務上では繰延資産の範囲が違う
16 繰延資産とは?②
繰延資産は種類によって償却期間が違う?
コラム 広告宣伝用資産をタダでもらっても収益は計上されるのでご注意を!!
第3章 固定資産の取得原価
17 固定資産の取得原価
固定資産の取得形態によって何が違う?
18 購入した場合の取得原価
取得原価に含めないことができる付随費用がある?
19 自家建設・現物出資した場合の取得原価
自家建設と現物出資の場合で何が違う?
20 交換の場合の取得原価
交換の場合は2つの方法が考えられる
21 贈与の場合の取得原価
贈与者と受贈者が個人か法人かで税務上の取扱いが変わる
22 土地建物等を一括購入した場合の取得原価
相続税評価額や鑑定評価額などを基礎として算出を行う
23 取得原価の調整の取扱い
値引や割戻し等の特殊な事情がある場合は調整が必要
24 少額な減価償却資産
中小企業者等の場合、取得原価が30万円未満のものには特例が使える
25 修繕費と資本的支出
判定できないものはどう取り扱うか?
コラム HP作成費用は全額損金になるのか?
第4章 耐用年数と減価償却の計算方法
26 耐用年数
物質的減価と機能的減価では何が違う?
27 法定耐用年数
法人税法上の耐用年数の考え方を用いれば会計上も問題なし
28 定額法とは?
毎期一定額の減価償却費が計算される償却方法
29 定率法とは?
取得当初に多額の減価償却費が計算される償却方法
30 定率法と償却率の考え方
同じ耐用年数でも取得時期で取扱いが異なる
31 定率法と3種類の償却率
「旧定率法」「250%定率法」「200%定率法」のどれを用いる?
32 級数法とは?
規則正しく減価償却費が減少する償却方法
33 生産高比例法とは?
利用量に応じた減価償却費が計算される償却方法
34 取替法とは?
取替資産に適用される減価償却の代用法
35 減耗償却とは?
天然資源に適用される費用化の方法
36 個別償却と総合償却
複数の資産をグループ化することで償却計算が容易になる
コラム 遊休資産は、会計と税務でギャップが生じる
第5章 減価償却の開始・終了・変更と表示
37 固定資産の取得と事業供用
減価償却費は事業の用に供した日から計上する
38 固定資産の除却
不要な固定資産を捨てる場合は除却損が発生する
39 固定資産の売却
他人に固定資産を有償で譲る場合は売却損益が発生する
40 自発的な理由による減価償却方法の変更
継続性の原則に注意しながら検討を行う
41 税法改正に伴う減価償却方法の変更
法人税法の改正が正当な理由に該当するか
42 減価償却方法の変更における税務の留意点
所轄税務署長の承認を受ける必要がある
43 耐用年数の変更
合理的な見積りに基づく場合は変更可能
44 耐用年数の変更における税務の留意点
短縮制度が認められるには、3つの要件を満たす必要がある
45 減価償却に係る会計方針の記載
財務諸表および計算書類に必要な注記
46 減価償却に係る会計方針の変更の記載
変更を行った正当な理由と影響額を明確に記載
47 貸借対照表の表示と表示方法の変更
表示を変更した場合にも注記が必要
48 減価償却累計額の表示
貸借対照表への表示には3つの方法が認められている
49 附属明細
計算書類・財務諸表ともに固定資産の明細の作成が求められる
コラム 中古資産のうまみを使い倒そう!
第6章 減価償却の特殊な論点
50 圧縮記帳とは?
圧縮記帳の目的は課税の繰延べ
51 法人税法上の圧縮記帳
法人税法で規定するものと租税特別措置法で規定するものがある
52 租税特別措置法上の圧縮記帳
租税特別措置法の課税特例を重複して適用することはできない
53 直接減額方式
固定資産の取得原価を直接減額する圧縮記帳の経理方法
54 積立金方式
圧縮積立金を計上する圧縮記帳の経理方法
55 リース取引|
ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引がある
56 リース資産の取得原価
ファイナンス・リース取引における原則的な会計処理方法とは
57 リース資産の減価償却方法
所有権移転外ファイナンス・リースは、リース期間定額法で償却する
58 キャッシュ・フロー計算書における減価償却費
直接法では記載されないけど、間接法では記載される?
59 特別償却と特別税額控除
一定の要件を満たした企業が使える制度
60 増加償却
耐用年数通達の付表5に定められている機械及び装置のみ適用可能
コラム 税制改正の時期は新たな投資を考えるとき!
第7章 減価償却とその他関連会計基準
61 減損会計の考え方
投資の損失が見込まれる場合には将来に損失を繰り延べないために減額する
62 減損損失計上時の処理
一度行った減損損失の戻入れは行わない
63 資産除去債務の考え方
「取得」や「通常の使用」によって生じ、法令または契約で要求される法律上の義務?
64 資産除去債務の会計処理
合理的に見積もることができるようになったら負債として計上
65 資産計上された除去費用の減価償却
費用配分による投資の回収が行われる
66 税効果会計の考え方
税引前当期純利益と法人税等を対応させる手続き
67 減価償却に係る税効果会計
減価償却に関連する一時差異には何がある?
コラム 減価償却は無視される?
第8章 減価償却におけるその他税務論点
68 法人税法上の償却方法の選択・変更の届出
法定償却方法以外の方法を選択する場合は届出が必要
69 適格合併と減価償却
被合併法人の帳簿価額が引き継がれる
70 適格分割と減価償却
期中損金経理額の損金算入には届出が必要
71 所得税法における減価償却
事業所得の金額の計算上、償却費は必要経費となる
72 消費税の経理方式と減価償却
税込経理か税抜経理かによって取得原価が変わる
73 固定資産税
土地と家屋の課税標準は3年ごとに見直される
74 償却資産税
所有者の申告に基づき償却資産を評価
裁判例・裁決例から紐解く 減価償却資産の税務実務
はじめに
減価償却資産というと、皆さんはどういう印象をお持ちですか。減価償却の方法は、税理士試験というよりも簿記で勉強するものです。現在は、会計ソフトで減価償却資産を管理していますので、減価償却費も自動で計算してくれます。そのため、税理士からすると、「何を今さら…」という気もするでしょう。
しかし、最近は大企業においても減価償却資産を巡り、課税庁より法人税の更正処分を受ける事案が発生しています。例えば、平成31年1月18日東京地裁などは、大手通信事業者が携帯電話通信に使用している鉄塔などの耐用年数が違うと課税庁より更正処分を受けた事案です。大企業でさえも、課税庁から耐用年数の違いを指摘されるのです。
いくら、会計ソフトがよくできていても、それを利用する人間が、耐用年数表の見方を誤ったり、基本的な考え方を理解していなければ、正しい減価償却費は計算されません。
筆者自身、減価償却資産について改めて勉強したいと思いましたが、その際に、税理士向けに減価償却資産に関する書籍が少ないということに気付きました。しかし、どのような業種や事業規模の会社であっても、減価償却の対象となる資産を保有しているはずです。本書は、税理士や企業の経理担当者向けに、減価償却資産について一通り参考となるものを作りたいと思い、執筆しました。
本書では、減価償却資産について発生する問題を、取得時、保有時、処分時と時系列に分け、より実務的な構成としています。また、減価償却資産について基本的な考えを法令・基本通達から学び、実務的な問題点などは、判決・裁決から探るという内容にしています。なぜ、判決や裁決を取り上げるかというと、これらは実際に発生している問題だからです。実際に起こったことは、他の企業で同じ問題に遭遇するということもあります。また、これらの判断内容は、法令、通達の解釈を知る上で大事なものです。そのため、本書では、できるだけ多くの、そして最近の判決、裁決を取り上げています。
この書籍を通して、多くの企業の減価償却における処理がスムーズに行えるよう、その一助となることを願っております。
最後に、本書の企画及び執筆に際し、温かいご助言をいただきました、税務経理協会の中村氏に感謝申し上げます。
令和2年7月
草間 典子
Contents
はじめに
第Ⅰ章 減価償却資産の取得時の税務
1 減価償却資産の範囲
(1) 減価償却資産と非減価償却資産
(2) 耐用年数省令別表による減価償却資産の区分
(3) 少額減価償却資産の取扱い
(4) 法人税法上のリース取引
(5) 裁判例・裁決例などからみる誤りやすい減価償却資産の区分
2 減価償却資産の償却方法
(1) 資産の区分ごとの償却方法
(2) 具体的な償却限度額の計算方法
(3) 事業年度の中途で資産を取得した場合
(4) 事業年度が1年に満たない場合
(5) 耐用年数を短縮する場合
(6) 特別償却と税額控除
3 減価償却資産の償却単位
(1) 減価償却資産の償却単位
(2) 裁判例・裁決例などからみる誤りやすい減価償却資産の償却単位
4 減価償却資産の取得価額
(1) 取得価額に含まれる費用
(2) 法人税基本通達からみる実務上の留意点
(3) 裁判例・裁決例などからみる誤りやすい減価償却資産の取得価額
(4) 建物の取壊しに係る2つの通達の違いについて
(5) 売買契約書に資産ごとの取得価額の記載がない場合の按分方法
(6) 消費税法上の留意点
(7) 圧縮記帳を受けた場合
5 減価償却資産の取得時期
(1) 減価償却資産の取得時期
(2) 不動産の取得にみる消費税法上の注意点
(3) 裁判例・裁決例などからみる誤りやすい減価償却資産の取得時期
6 中古資産を取得した場合
(1) 耐用年数の見積方法
(2) 耐用年数の見積時期
(3) 法人成りによる取得の場合
(4) 裁判例・裁決例などからみる誤りやすい中古資産の処理
7 申告時の留意点
(1) 減価償却費の損金経理要件
(2) 租税特別措置法等の規定を適用する場合の当初申告要件と適用額の制限
(3) 別表記載からみる申告時の留意点
(4) 固定資産台帳における建物等の償却方法のチェックポイント
8 高額な資産を取得した場合
(1) 調整対象固定資産を取得した場合
(2) 高額特定資産を取得した場合
第Ⅱ章 減価償却資産の保有時の税務
1 資本的支出と修繕費
(1) 資本的支出と修繕費の例示と判断基準
(2) 裁判例・裁決例などからみる資産別の資本的支出と修繕費の区分
(3) 資本的支出を行った場合の減価償却費の計算
(4) 資本的支出に伴い既存の資産を除却した場合
2 償却資産税の申告
(1) 償却資産の申告時の留意点
(2) 裁判例からみる誤りやすい償却資産税事例
第Ⅲ章 減価償却資産の処分時の税務
1 減価償却資産の除却損
(1) 原則的取扱い
(2) 一括償却資産を除却した場合
(3) 総合償却資産の除却損
(4) ソフトウエアの除却損
(5) 電話加入権の除却損
2 有姿除却の要件
(1) 裁判例からみる有姿除却の要件
3 減価償却資産の売却
(1) 原則的取扱い
(2) 譲渡収入の計上時期
(3) 消費税法上の取扱い
実務家のための減価償却資産等の留意点~取得、資本的支出・修繕費、除却~
はしがき
本書は、著者が長年にわたって行っている税務研究会の実務セミナーの内容をベースに受講生から寄せられた質問や最近のテーマを取り込んで書籍化したものです。
減価償却の実務では、取得価額が違ってしまうと、それを基に計算する減価償却の計算はすべて違ってしまいます。そのため、基本となるのは取得価額の決定ですが、使用時に起こる資本的支出と修繕費の区分や処分時に発生する除却損益の問題と論点は多岐にわたります。なかでも税務調査で指摘されやすいのが「資本的支出と修繕費」の区分判定です。この両者は機械的に区分することができないとても難しい要素を含んでいるため、税務調査では交際費等と並んで問題になりやすいです。そして、実務で悩ましいものが除却損の計上です。特に、有姿除却は除却の事実がないので、損失の発生時期を客観的に証明することが困難なため、判断を誤ると税務調査で問題になります。
これらの減価償却資産に係る諸問題は、昔から変わらない普遍的なテーマのようなイメージを受ける方も多いと思いますが、ITの普及、経済取引の発展にともない環境は日々変化しており、悩ましい問題も新たに生じています。最近では、ソフトウエアの重要性が増してきているように感じ、その対応策の検討も重要になります。
本書は、著者の実務において、相談を受けた事例のうちで、読者の方々にとって理解の助けとなり得るテーマを掲載し、机上の空論ではなく、実務的なイメージを抱きやすくすることを心掛けました。執筆にあたり、著者も含めた実務家が見落としがちな論点の整理に焦点を当てることを目的としたため、これまで手付かずであった電話加入権の除却の問題も取り上げることができました。
また、減価償却資産に係るテーマは、多くの部分で法人税法等の規定が優先されるため、法人税法上の取扱いを中心に構成しています。ただし、法人税法と会計基準等との差異が生じている箇所には、会計マークを付して、立ち位置が明らかになるような工夫をしています。
本書が、税理士、税理士事務所勤務のスタッフ、企業の固定資産担当者、その他の実務家の一助になれば幸いです。
なお、文中意見にわたるところは、著者の個人的な見解に基づくものであることを念のため申し添えます。
最後に本書の出版にあたって、企画に携わっていただいた(株)税務研究会の出版局 知花氏、税務通信編集部 木村氏、九州支局 柳原氏、中国支局 辻氏、本書の出版の契機となった研修を企画立案していただいた教育事業部 明星氏など多くの方々にご尽力をいただきました。
ここに厚く御礼申し上げます。
令和元年5月
山下 雄次
目次
Ⅰ 取得時の留意点
1. 取得価額の決定
(1) 取得価額の決定方法
(2) 取得価額の原則
① 購入した減価償却資産
② 自己の建設、製作又は製造に係る減価償却資産
③ 高価買入資産と低価買入資産
(3) 取得価額に含めないことができる費用
① 借入金の利息
② 取得価額に含める必要がない付随費用
③ 事後的に支出する費用
④ 原価算入交際費
⑤ 固定資産について値引き等があった場合
⑥ 土地の防壁、石垣積み等の費用
⑦ 自己の製作に係るソフトウエアの取得価額
⑧ ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる費用会計
(4) 個別事例での検討
① HP制作費用
② 企業イベント動画の資産性
③ 建物改修工事のために行った調査費
④ 耐震診断・補強工事に係る費用の税務上の取扱い
⑤ 未経過固定資産税等の取扱い
⑥ パソコンのコンピュータ本体とソフトウエアの区分
⑦ 複数の減価償却資産に係る共通経費の取扱い
(5) 少額減価償却資産と一括償却資産の判定
① 少額減価償却資産の定義
② 一括償却資産の定義
③ 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
④ 金額判定
⑤ 個別事例
2. 取得時期、事業供用日の判定
(1) 基本的な取扱い
(2) 請負契約で取得する場合の留意点
3. 時の経過によって価値が減少する資産(美術品等の取扱い)
(1) 美術品等の基本的な考え方
(2) 平成27年1月1日以後に取得した美術品等
(3) 平成27年1月1日前に取得した美術品等
4. 減価償却資産の種類の区分(建物と建物附属設備の区分)
(1) 関連規定の確認
① 原則的な取扱い
② 例外的な取扱い
(2) 裁決例からの検討
① 納税者の主張
② 原処分庁の主張
③ 国税不服審判所の判断
④ 実務への当てはめ
(3) 建物と内部造作工事の関係
① 内部造作の取扱い
② 裁判例からの検討
③ 実務的な対応
(4) 判断に迷う内部造作の処理
① 店用簡易装置
② 可動間仕切り
③ ユニットバス
5. 耐用年数の決定
(1) 企業会計における耐用年数 会計
(2) 耐用年数省令における耐用年数
(3) 実務上の取扱い 会計
(4) 中古資産の耐用年数の見積り
① 原則的な取扱い
② 簡便法が使えない場合
③ 中古耐用年数の適用時期
(5) 耐用年数の短縮制度
(6) 特殊な耐用年数の決定
① 2以上の用途に供されている建物の耐用年数(耐通1-1-1)
② 2以上の用途に供されている建物の耐用年数(特例)(耐通1-2-4)
③ 2種類の構造がある建物の耐用年数(耐通1-2-1)
④ 2種類の構造がある建物の耐用年数(特例)(耐通1-2-2)
⑤ 自己所有建物への内部造作(耐通1-2-3)
⑥ 他人所有建物への内部造作(耐通1-1-3)
⑦ 建物附属設備の「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」
6. 設備投資優遇税制
(1) 租税特別措置法
① 租税特別措置法の特徴
② 中小企業投資促進税制
③ 商業・サービス業・農林水産業活性化税制
④ 中小企業経営強化税制
(2) 固定資産税
① 新固定資産税特例
② 旧固定資産税特例
Ⅱ 使用時の留意点(資本的支出と修繕費)
1. 法令上の資本的支出の定義
(1) 使用可能期間の延長
(2) 資産価値の増加
(3) 実務的な対応
2. 法人税基本通達による例示
(1) 資本的支出の例示
① 物理的に付加されたもの
② 用途変更のための模様替え
③ 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合
(2) 修繕費の例示
① 建物の移えい又は解体移築
② 機械装置の移設
3. 過去の資料からの検討
4. 新規取得と資本的支出の差異
(1) 原則
(2) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(措通65の7(1)-12)
(3) 中小企業投資促進税制、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例
(4) 少額減価償却資産と資本的支出
① 少額なプログラム改修
② 付随設備の付加による資本的支出
③ 付随設備の耐用年数と償却資産の申告
(5) 資本的支出と既存資産の除却損
① 主要な構成部分の取替え
② 除却損の合理的な計算方法
(6) 法令上の規制に基づく補修、改修
① 既存資産の補修
② 既存ソフトウエアの改修
5. 資本的支出と修繕費の判定フローチャート
6. 法人税基本通達による形式基準
(1) 少額又は周期の短い費用の損金算入
① 「同一の固定資産」の範囲(法基通7-8-3)
② 少額費用の判定基準(法基通7-8-3(1),7-8-4,7-8-5)
③ 「おおむね3年以内」の取扱い(法基通7-8-3(2))
(2) 形式基準による修繕費の判定
① 「60万円に満たない場合」の判定
② 前期末取得価額の単位
(3) 資本的支出と修繕費の区分の特例
① 対象資産の選定
② 継続適用の要件
(4) 災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例
(5) ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費 会計
(6) 耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等
7. 個別論点の整理
(1) 所有権移転外リース取引のリース資産について資本的支出を行った場合(法令55③)
(2) 資本的支出による既存資産の取得価額への加算(法令55②)
(3) 5年均等償却の適用を受けた資産に資本的支出を行った場合
(4) 分譲マンションの修繕積立金の取扱い
8. 資産別の事例検討
(1) 建物
① 屋根の構造による取扱いの差異
② 改修工事後の賃貸料が与える影響
(2) 建物附属設備
① 太陽熱吸収フィルム(ガラス飛散防止フィルム)の取付費
② 自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用
③ 賃貸アパートの給水管工事
(3) 機械及び装置
① 貸主が諸費用を負担することになっている場合
② 借主が諸費用を負担することになっている場合
Ⅲ 除却時の留意点
1. 損失の定義
(1) 基本的な考え方
(2) 除却損の考え方
2. 寄附金と廃棄損の関係
(1) 借主側の取扱い
(2) 貸主側の取扱い
(3) 特殊関係者間取引
3. 除却損が認められない事例
(1) 前賃借人から買い取った造作及び備品の買取費用
(2) 1年以内に取り壊した建物の帳簿価額
(3) 借地の上に存する賃借人所有の旧建物に係る取壊費用
(4) 一括償却資産の除却
4. 電話加入権の除却
(1) 現状の電話加入権
(2) 電話加入権の価値
(3) 電話加入権の評価損の計上
(4) 解約による除却
(5) 利用休止の申出から10年経過後の自動解約
5. ソフトウエアの除却
6. 有姿除却
(1) 有姿除却の適用要件
(2) 有姿除却が可能な状況
① 再使用の可能性がない固定資産
② 専用金型等
(3) 有姿除却による損金算入額
(4) 部分的な有姿除却の適用の可否
(5) 有姿除却の判断は設備本体の使用状況で判定
(6) 税務調査に備えた立証方法の検討
7. 稼働休止資産との関係
令和2年版 減価償却資産の耐用年数表
はじめに
減価償却とは、設備投資などに要した費用を、その使用可能期間に応じて企業の各事業年度に償却費として配分する手続きですが、その計算は、企業にとって適切な期間損益に基づいた当期の利益を算定する上で、避けて通ることができない極めて重要なものといえます。
ところで、税法では、この減価償却に関し、その計算の対象となる資産の範囲、償却の方法、取得価額などについて必要な事項を規定しており、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」において、減価償却資産の種類ごとの耐用年数を具体的に定めています。
本書は、技術的な側面の強い減価償却の専門書として活用していただくため、この省令の各別表(耐用年数表)をはじめ耐用年数通達、減価償却関係法令、特別償却に係る告示など減価償却に関する規定を網羅しております。
本書が、職業会計人はもとより、企業の担当者の方々の適正な減価償却の実務のお役に立てば幸いです。
令和2年5月
編集部
目次
○令和2年度 減価償却関係法令の主要改正事項とその適用時期
〇減価償却資産の耐用年数等に関する省令
○減価償却資産の耐用年数・償却率表
別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表
建物
建物附属設備
構築物
船舶
航空機
車両及び運搬具
工具
器具及び備品
別表第二 機械及び装置の耐用年数表
別表第三 無形減価償却資産の耐用年数表
別表第四 生物の耐用年数表
別表第五 公害防止用減価償却資産の耐用年数表
別表第六 開発研究用減価償却資産の耐用年数表
別表第七 平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の償却率表
別表第八 平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の定額法の償却率表
別表第九 平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表
別表第十 平成24年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表
別表第十一 平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の残存割合表
付録
○耐用年数の適用等に関する取扱通達
耐用年数関係共通事項
中古資産の耐用年数
耐用年数の短縮等
建物・建物附属設備の耐用年数
構築物・船舶・車両の耐用年数
工具・器具備品の耐用年数
機械装置の耐用年数
公害防止用・開発研究用減価償却資産の耐用年数
増加償却
特別な償却率による償却
付表1 塩素、塩酸、硫酸、硝酸その他の著しい腐食性を有する液体又は気体の影響を直接全面的に受ける建物の例示
付表2 塩、チリ硝石……の影響を直接全面的に受ける建物の例示
付表3 鉄道業及び軌道業の構築物(総合償却資産であるものに限る。)の細目と個別耐用年数表
付表4 電気業の構築物(総合償却資産であるものに限る。)の細目を個別的用年数表
付表5 通常の使用時間が8時間又は16時間の機械装置
付表6 漁網、活字地金及び専用金型等以外の資産の基準率、基準回数及び基準直径表
付表7(1) 旧定率法未償却残額表(平成19年3月31日以前取得分)
付表7(2) 定率法未償却残額表(平成19年4月1日から平成24年3月31日まで取得分)
付表7(3) 定率法未償却残額表(平成24年4月1日以後取得分)
付表8 「設備の種類」と日本標準産業分類の分類との対比表
付表9 機械及び装置の耐用年数表(別表第二)における新旧資産区分の対照表
付表10 機械及び装置の耐用年数表(旧別表第二)
○減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法(法人税法第31条)関係法令
○法人税基本通達(減価償却関係)
第1節 減価償却資産の範囲
第2節 減価償却の方法
第3節 固定資産の取得価額等
第4節 償却限度額等
第5節 償却費の損金経理
第6節 特殊な資産についての償却計算
第6節の2 リース資産の償却等
第7節 除却損失等
第8節 資本的支出と修繕費
第9節 劣化資産
○連結納税基本通達(減価償却関係)
○特別償却の指定告示
高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却に係る指定告示
特定設備等の特別償却に係る指定告示
医療用機器等の特別償却に係る指定告示等
倉庫用建物等の割増償却に関する要件の告示
〇減価償却関係書類の様式
減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
減価償却資産に関する諸申請書及び届出書
(注)本書は令和2年5月1日現在の法令・通達により編集しています。なお、震災特例法(平成23年法律第29号)、復興財源確保法(平成23年法律第117号)に関するものは、収録していません。
また、本書においては、一部「平成24年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の定率法」の償却率による償却方法を「新定率法」又は「200%定率法」としています。
2年改正版 減価償却資産の耐用年数表とその使い方
はしがき
継続して事業を営んでいる企業にあっては、使用資産として建物、器具備品、機械装置等の各種の資産を有しており、これらの資産については、各事業年度において、これらの資産の費用化のための会計処理として、減価償却が行われます。
これらの資産の減価償却の計算にあたっては、それぞれの資産の耐用年数を基礎として、その年数に応じた償却率によって行うことになります。この耐用年数は、それぞれの資産の使用条件、構造、材質等によって差があり、また技術進歩の影響等の種々の陳腐化要素により変化しますので、一律ではありませんが、所得税、法人税の課税所得の計算にあたっては、その償却限度額は財務省令で定められている耐用年数に応じた償却率によることとされており、特別に短縮を必要とする事実がある場合には、別途、個別承認によって救済される制度となっています。
この場合、法定耐用年数は、それぞれの減価償却資産について、たとえば、建物では構造、用途等によって区分して定められる等、ある程度分類され、それぞれの個別の事情ができるだけ加味されて定められていますが、あらゆる資産について、細部にわたる要件のすべてを加味して、その耐用年数を定めるということには実務上にも問題があり、現行のような耐用年数表の構成となっています。
しかし、一方では、現行の耐用年数表はある部分では専門的にすぎ、適用にあたってその判断が難しいという意見もありますので、本書においては、なるべくわかりやすく、使いやすいものをという方針で、解説を加えてまとめました。
また、減価償却の特例として、租税特別措置法において各種の特別償却等が規定されていますが、そのうち適用が一般的であると考えられる特定設備等の特別償却、特定事業継続力強化設備等の特別償却、医療用機器等の特別償却、高度省エネルギー投資促進税制、中小企業投資促進税制、地方拠点強化税制、中小企業等の経営改善に向けた設備投資促進税制及び特定経営力向上設備投資促進税制についても解説を加えて収録しました。
本書が、減価償却を行うにあたって、いくらかでもお役に立つことができれば、編者にとって望外の喜びとする次第です。
令和二年八月
編者しるす
目次
減価償却資産の耐用年数等に関する省令
耐用年数表の部
別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表
別表第二 機械及び装置の耐用年数表
別表第三 無形減価償却資産の耐用年数表
別表第四 生物の耐用年数表
別表第五 公害防止用減価償却資産の耐用年数表
別表第六 開発研究用減価償却資産の耐用年数表
別表第七 平成十九年三月三十一日以前に取得をされた減価償却資産の償却率表
別表第八 平成十九年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定額法の償却率表
別表第九 平成十九年四月一日から平成二十四年三月三十一日までの間に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表
別表第十 平成二十四年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表
別表第十一 平成十九年三月三十一日以前に取得をされた減価償却資産の残存割合表
使い方の部
第一章 概説
一 減価償却
二 減価償却と耐用年数
三 減価償却資産
四 耐用年数表のあらまし
第二章 共通事項
一 二以上の用途に共用されている資産
二 資本的支出後の耐用年数
三 貸与資産の耐用年数
四 業用のもの等の意義
五 前掲の区分によらないものの意義:
第三章 建物の耐用年数
一 二以上の用途に使用される建物
二 建物の内部造作
三 店舗用建物
四 特殊の用途の建物
五 工場建物
六 その他
第四章 建物附属設備の耐用年数
一 建物本体から区分することが困難な附属設備
二 電気設備
三 給排水設備
四 衛生設備
五 ガス設備
六 冷暖房設備
七 ボイラー設備
八 格納式避難設備
九 エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備
十 店用簡易装備
十一 可動間仕切り
十二 その他
第五章 構築物の耐用年数
一 機械装置との区分
二 鉄道軌道用の構築物
三 発電用又は送電用の構築物
四 放送用のもの
五 農林業用のもの
六 広告用のもの
七 野球場、陸上競技場、ゴルフコース等の土工施設
八 学校用の施設
九 緑化施設
十 庭園
十一 道路
十二 飼育場
十三 爆発物用防壁
十四 防油堤
十五 放射線を直接受けるもの
十六 塩素等著しい腐食性を有するガスの影響を受けるもの
十七 打込み井戸
十八 地盤沈下に係る設備・工事
第六章 船舶の耐用年数
一 船舶搭載機器
二 二以上の漁業に共用する船舶
三 L・P・Gタンカー
四 しゅんせつ船及び砂利採取船
五 サルベージ船等の作業船、かき船等
第七章 航空機の耐用年数
第八章 車両及び運搬具の耐用年数
一 車両に搭載する機器
二 鉄道用又は軌道用車両
三 特殊自動車
四 運送事業用の車両及び運搬具
五 貸自動車業用の車両
六 貨物自動車と乗用自動車との区分
七 乗合自動車
八 報道通信用のもの
九 電気自動車
第九章 工具の耐用年数
一 測定工具及び検査工具
二 治具及び取付工具
三 ロール
四 金属製柱及びカッペ
第十章 器具及び備品の耐用年数
一 主として金属製のもの
二 接客業用のもの
三 冷房用機器
四 電子計算機
五 事務機器
六 テレビジョン共同聴視用装置
七 ネオンサイン
八 染色見本
九 金庫
十 医療機器
十一 自動遊具
十二 貸衣装
十三 生物
十四 天幕等
十五 自動販売機
十六 旅館、ホテル業における客室冷蔵庫 自動管理機器
十七 無人駐車管理装置
第十一章 機械及び装置の耐用年数
一 設備の種類の判定
二 プレス及びクレーンの基礎
三 鉱業用の軌条、まくら木等
四 総合工事業以外の工事業用設備
五 鉄道業以外の自動改札装置
六 その他の小売業用設備
七 ホテル内のレストラン等のちゅう房設備
八 持ち帰り・配達飲食サービス業用のちゅう房設備
九 その他のサービス業用設備
十 道路旅客運送業用設備
十一 電光文字設備等
●経過的取扱い…新旧資産区分の対照表
(平成二十年十二月二十六日課法二-十四)
第十二章 無形減価償却資産の耐用年数
一 専用側線利用権
二 鉄道軌道連絡通行施設利用権
三 電気ガス供給施設利用権
四 水道施設利用権
五 工業用水道施設利用権
六 電気通信施設利用権
第十三章 生物の耐用年数
第十四章 公害防止用減価償却資産の耐用年数
第十五章 開発研究用減価償却資産の耐用年数
第十六章 中古資産の耐用年数の見積り
一 中古資産の耐用年数の見積りの簡便法
二 中古の総合償却資産の耐用年数
第十七章 耐用年数の短縮
第十八章 少額資産の特例
一 少額減価償却資産の即時損金算入
二 一括償却資産の損金算入の特例
三 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
第十九章 償却計算
一 取得価額
二 残存価額
三 償却方法の種類
四 償却方法の選択
五 償却方法の変更
六 償却限度額
第二十章 組織再編成及び連結納税制度における減価償却の取扱い
一 組織再編成による減価償却資産の取扱い
二 組織再編成による一括償却資産の取扱い
三 連結納税制度による減価償却資産の取扱い
特別償却制度の部
第一 特別償却制度の概要
第二 特別償却の計算
一 直接減額方式
二 準備金方式
三 特別償却不足額
第三 特定設備等の特別償却
一 対象資産及び特別償却割合
二 適用対象法人
三 特別償却適用の要件
四 指定告示
第四 特定事業継続力強化設備等の特別償却
一 制度の概要
二 適用対象法人
三 適用対象資産
四 適用対象事業
五 適用期間
六 特別償却限度額
七 他の特別償却制度等との重複適用の排除
八 申告要件
第五 医療用機器等の特別償却
一 制度の概要
二 適用対象法人
三 対象資産
四 他の特別措置との関係
第六 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(高度省エネルギー投資促進税制)
一 制度の概要
二 適用対象法人
三 適用対象資産
四 適用対象事業
五 適用期間
六 特別償却を選択した場合
七 税額控除を選択した場合
八 他の特別償却等との重複適用の排除
九 申告要件
十 指定告示
第七 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(中小企業投資促進税制)
一 制度の概要
二 適用対象法人
三 特定機械装置等の範囲
四 対象事業(指定事業)の範囲
五 特別償却を選択した場合
六 税額控除を選択した場合
七 他の特別償却等との重複適用の排除
八 申告要件
第八 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税審の特別控除(地方拠点強化税制)
一 制度の概要
二 適用対象法人
三 適用対象区域
四 特定建物等の範囲
五 取得及び供用に関する要件
六 適用対象事業年度
七 特別償却を選択した場合
八 税額控除を選択した場合
九 他の特別償却等との重複適用の排除
十 申告要件
第九 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(中小企業等の経営改善に向けた設備投資促進税制)
一 制度の概要
二 適用対象法人
三 対象資産
四 対象事業(指定事業)の範囲
五 適用期間
六 特別償却を選択した場合
七 税額控除を選択した場合
八 他の特別償却等との重複適用の排除
九 申告要件
第十 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(特定経営力向上設備投資促進税制)
一 制度の概要
二 適用対象法人
三 適用対象資産
四 対象事業(指定事業)の範囲
五 適用期間
六 特別償却を選択した場合
七 税額控除を選択した場合
八 他の特別償却等との重複適用の排除
九 申告要件