センサが一番わかる (しくみ図解)
はじめに
センサとは、人が知りたいと思う対象の情報を、人に見える形で手に入れるための装置です。センサを用いることで、人体の内部から、遠い宇宙の星々まで、普段は見ることができない様々なものを見ることができます。
普段意識することは少ないですが、センサはわたしたちの身の周りのあらゆるところに存在しています。たとえば、冷蔵庫、洗濯機など、わたしたちの使っている多くの家電製品はセンサの塊です。
冷蔵庫であれば、内部の温度を測定し、適切な温度に制御するとともに、氷ができているかどうかなどを常にチェックする必要があります。
洗濯機であれば、投入された洗濯ものの重さや汚れ具合を測定することでドラムの回転数を制御します。
普段は気づかないセンサもたくさんあります。
たとえば、煙探知機や炎探知機など普段は気づかないようなセンサがわたしたちの安全を守るために働いています。
サーモグラフィは空港などに設置され、海外旅行で病気になった人がいないかチェックしています。
宇宙や人体内部の測定もセンサの重要な役割です。
気象衛星や望遠鏡は地球や宇宙を観測し、わたしたちにこれまでの、そして、これからの地球や宇宙の状況を教えてくれます。
医療の分野ではX線検査やCTスキャンなどを使うことで、体の内部まで細かく見ることができます。
センサは千差万別という言葉もあるほど、センサには非常に様々なものがあり、その用途もばらばらです。それは家庭環境、産業分野、医療分野などそれぞれの場面で必要とされる情報が多岐に渡ることの証であるといえます。センサの多さは、何かを知りたいという人間の好奇心の大きさの現れなのかもしれません。
本書は、これらわたしたちの身近にある多くのセンサについて、多くの図を交えてできるだけわかりやすく説明しようと意図して書かれたものです。本書の記述が、少しでも読者の皆様にお役に立てれば幸いです。
2012年1月 松本光春
センサが一番わかる
−くらしに不可欠なセンサの機能と用途がよくわかる−
目次
はじめに
第1章 センサの基礎知識
1 センサとは何か
2 センサの分類方法
3 様々なセンサ
第2章 くらしの中で利用されるセンサ
1 温度センサ
2 湿度センサ
3 体重計
4 体脂肪計
5 赤外線センサ
6 マイクロホン
7 カメラ
8 2次元バーコード
9 RFID
10 ラインセンサ(リニアイメージセンサ)
11 アンテナ
第3章 家電製品の中で活躍するセンサ
1 洗濯機
2 掃除機
3 炊飯器
4 冷蔵庫
5 電子レンジ
6 IH調理器
7 乾燥機
第4章 快適な乗り物を支えるセンサー
1 車速センサ
2 GPS
3 ジャイロセンサ
4 水深センサ
5 方位センサ
6 ひずみセンサ
7 磁気センサ
8 障害物センサ
9 光センサ
10 振動センサ①
11 振動センサ②
第5章 ロボット技術を支えるセンサ
1 ステレオビジョン
2 全方位視覚センサ
3 集音センサ
4 圧覚センサ
5 力覚センサ
6 加速度センサ
7 ロータリーエンコーダ
8 ポテンショメータ
第6章 医療を支えるセンサ
1 CTスキャン
2 X線撮影(レントゲン)
3 超音波検査
4 心電図
5 血液検査
6 MRI検査
第7章 安全を守るためのセンサ
1 赤外線カメラ(サーモグラフィ)
2 放射線計測器
3 顔認証
4 指紋認証
5 煙感知器
6 炎感知器
7 熱感知器
8 ガスセンサ
第8章 地球環境を測るためのセンサ
1 CO2センサ
2 O2センサ
3 気象衛星
4 望遠鏡
5 風向・風速計
6 粘度センサ
7 密度センサ
第9章 センサの未来
1 味覚センサ
2 においセンサ
3 センサネットワーク
4 バイオセンサ
用語索引
コラム|目次
レーザーマイクロホン
ケトルの笛吹
冷却剤としてのフロンガス
IH調理器でアルミ鍋が使えない理由
スマート環境
磁気抵抗効果
脳波による機械・コンピュータの制御
ロボットとセンサ
心臓で電気活動が発生する理由
遠隔医療のためのセンシング技術
不変銅(インバー)
生体認証のトレードオフ
地震の計測