絵とき モータ基礎のきそ (Mechatronics Series)




はじめに

家電製品や自動車には、数多くのモータが使用され、快適な操 作環境や居住環境をつくり出しています。とくに最近の自動車に は、50 個から 150 個のモータが使用されており、新製品が発売さ れるたびにモータの数が増加しているようです。モータはスイッ チのオン・オフだけで制御されるだけでなく、電子回路を使って、 回転速度やトルクが細かく制御され、省エネルギーや低騒音・低 振動を実現しています。

また、新しい半導体デバイスの出現やマイクロコンピュータの 高機能化、高速化が実現し、従来困難だった制御が、比較的に簡 易に実現できるようになり、より省エネルギーで、より高性能な 製品を作り出しています。さらに、制御回路は、小型化が進み、 製品全体の小型・高性能化を加速しています。
新しい技術として、スマートフォンを使って、自動車や家電製 品の運転状況を確認したり、設定を変更する手法の研究開発が行 われています。すでにスマートフォンを使って電気自動車の充電 を行ったり、家の中のエアコンを制御して温度管理を外出先から 行うことができるスマートハウスの実証実験も始まっています。

本書は、これからより多く使用されると思われるさまざまなモ ータについて、構造やモータを回転するために制御手法や制御原 理、モータを自在に使うための電子制御手法、モータに供給する 電力を制御するインバータ回路や制御を行うための電子回路、マ イクロコンピュータを利用した制御手法などについてわかりやす く解説します。
本書の執筆では、モータや駆動回路、制御システムについて、 できるだけ実用的な回路を用いて詳細がわかるように解説を行い ました。このために、少し難しい内容になったかもしれません。しかし、読者の方々が必要と思われるさまざまな情報が得られる のではないかと期待しています。本書がモータを利用しようとい ている方、モータについて概要を知りたい方など、新製品を創出 するための一助になれば幸いです。

本書の発行は、2年前の予定でしたが、執筆する時間がとれず、 延びのびになり、関係者の皆さまに大変ご迷惑をおかけしました。
日刊工業新聞社出版局書籍編集部の奥村功部長、エム編集事務 所の飯嶋光雄様には、辛抱強く原稿をお待ちいただき、大変感謝 しております。本書の出版に当たり日刊工業新聞社の関係者の皆 さまに厚く御礼申し上げます。

2012年3月 高橋久

高橋 久 (著)
日刊工業新聞社 (2012/3/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 モータを知る
1-1 モータとは
1-2 なぜ回転するのか
1-3 モータの種類と特徴

第2章 永久磁石およびステータとロータ構造
2-1 磁石とは
2-2 構成
2-3 結線

第3章 モータの種類と特性
3-1 ブラシ付 DCモータ
3-2 電磁石界磁 DCモータ
3-3 永久磁石同期モータ
3-4 スイッチドリラクタンスモータ(SRモータ)
3-5 ステッピングモータ
3-6 超音波モーター

第4章 モータを回す
4-1 モータを駆動する電子回路
4-2 正転、逆転をする回路
4-3 ブラシ付 DC モータ
4-4 単相交流モータ
4-5 交流モータの駆動
4-6 ブラシレス DC モータ
4-7 永久磁石同期モータの正弦波駆動
4-8 ステッピングモータの駆動
4-9 励磁法と駆動回路
4-10 マイクロステップ駆動

第5章 特性を計測する
5-1 ブラシ付 DCモーター
5-2 永久磁石同期モータ

第6章 モータを制御する
6-1 制御方式
6-2 リニア駆動とPWM駆動
6-3 PWM制御
6-4 ブラシ付 DCモータの速度制御

第7章 永久磁石同期モータの制御
7-1 スカラー制御
7-2 ベクトル制御

コラム
1 カメラにも使用されている超音波モータ
2 モータの特性を表す定数
3 小形モータとは
4 フレミングの「左手の法則」
5 磁石の用語
6 モータの回転方向
7 コンバータとインバータ
8 粘性制動トルクとクーロン摩擦トルク
9 変数の表現
10 トルクむらと回転むら、コギングトルクとは
11 起動トルクとは
12 モータには巻線抵抗が必要
13 レゾルバ
14 ホールセンサ
15 エンコーダ
16 トランジスタと MOS FET
17 電流の計算
18 電気的時定数と機械的時定数
19 センサレス制御へ
20 新しい半導体
21 全デジタル制御へ
資料:単位系

索引

高橋 久 (著)
日刊工業新聞社 (2012/3/1)、出典:出版社HP