畑中敦子の数的推理ザ・ベストプラス【第2版】




はじめに

●数的推理とは

速さや確率の計算など、中学校の数学と算数をベースにした問題です。高校で習った公式も多少は必要になりますが、基本的なレベルです。
そして、数学と異なり、ときにはテクニックを使って解いたほうが早い問題もあります。

●なぜこのような科目が出題されるのか

割合や確率の計算など仕事に直結するものもありますが、まず、数字に対する感性が求められているといっていいでしょう。どのような仕事をするにも必要な ものですよね。

また、それ以上に求められているのは、思考力ではないかと思われます。そもそも、数学を勉強する目的は、論理的な思考力を養うことにあります。条件を分析し、論理的な筋道を立てて考え、結論へ導くという力です。
数的推理で試されているのも同じですが、数学と違って過程はあまり評価され ません。テクニックを使うなど柔軟な解法で、時間内で解決する事務処理能力が 求められていると思われます。

●どうやって勉強するのか

問題にも解法にもパターンがありますから、これをマスターして使いこなすことです。本番は時間との闘いですので、より早く正確に解く方法を身につけるこ とが大切です。

本書では、まず「PLAY!」でその項目の例題を取り上げます。解説を読んで解法 をマスターしてください。そのあと、「TRY!」で類題、「Challenge!」で応用問題 へと進んでいきます。すべての問題は、自力である程度の時間で解けるまで繰り返し解きましょう。
大切なのは、毎日コツコツと続けることです。時間を空けると鈍ってしまいますから、少しずつでいいので毎日勉強しましょう。
本書を手にした日から、1次試験の日まで、人によっては長い付き合いになる でしょう。良きパートナーとして皆さんの合格の一助を担えるなら、これほど嬉 しいことはありません。 皆さんの本試験でのご健闘と、合格、内定を心よりお祈りしております。

2018年2月吉日
田中敦子

畑中 敦子 (著)
エクシア出版; 第2版 (2018/2/28)、出典:出版社HP

目次

はじめに
INDEX
How to use The BEST
出題傾向
進捗状況チェック!
#1 約数と倍数は、整数の基本だよね?
#2 整数の問題は、数的推理の中枢だね☆
#3 整数解は、覚えてしまえばカンタンかも♪
#4 不等式なんて、大ざっぱでいいよね?
#5 比と割合は、センスが必要なの? 65
#6 利益算は、ホントに100円でいいの?
#7濃度は、どれもてんびんで解けるの?
#8 仕事算は、「全体を1」でOK?
#9 ニュートン算は、ワンパターンってホント?
#10 平均算は、合計に着目するの?
#11 年齢算は、whoとwhenが大事!?
#12 暦算は、昔の人の知恵袋だね♪ #13 覆面算は、どこから攻めるの?
#14 魔方陣は、コスパが高いってホント?
#15 集合算は、東京都のお気に入り?
#16 速さの問題、キライでしょ!?
#17 旅人算と通過算 どこがちがうの?
#18 流水算は、ちょっとちがうよね!? 173
#19時計算も、速さの問題なの?
#20 場合の数☆ まずは、数える問題か
#21 場合の数☆ 次は公式を使って
#22 最短経路は、たし算で解けるって!?
#23確率☆ やっぱり、出題率やっぱりNo.1!
#24 確率☆ 個性的な仲間たち
#25 2次関数って、数学だよね….?
#26 ORって、なに?
#27 剰余系と規則性解けると、気持ちイイ!
#28n進法は、システムを理解して!
#29 数列って、(シグマ)とか使うの?
#30三平方の定理 これって、何に使うの?
#31 相似って、何に使うの?
#32 円の定理なんて、覚えてないよね?
#33 立体図形も、平面で考えるんだね!?
#34 図形の変形って、パズルみたいだね☆
#35 角度の問題、これで最後だ!

How to use The BEST

出題傾向
主な試験の出題傾向と、頻出分野に対応する本書の項目の一覧だよ。 でも、数的推理の内容はすべてつながっている から、何を勉強しても力はつくんだ! だから、余り頻出度を気にしないで、すべての項 目を一通り勉強しよう! この資料は参考程度に活用してね!
国家公務員総合職・一般職・専門職
出題傾向
場合の数と確率が最頻出で、多いときは2~3問出題 されている。図形の計量も2問以上出題されることも あるが、近年はほぼ1問の出題で落ち着いている。その 他には、整数問題、比と割合、速さの出題が比較的多い が、広範囲に渡ってバランスよく出題されている。
特に頻出な項目 | #1 ~2, #5, # 16 ~ 18, #20~24, # 30 ~ 35 次に頻出な項目 | #3~4, #8 ~ 11, #15
裁判所職員総合職・一般職
出題傾向 場合の数と確率、図形の計量が最頻出だが、いずれも1問程度の年もあれば、3~4問出題される年もあり、安定しない。その他には、整数問題、比と割合、規則性を 発見する問題などがよく出題されている。以前は全件的にハイレベルであったが、近年は易化傾向にある。 特に頻出な項目 | #20~24, # 30 ~ 35
次に頻出な項目 | #1~2, #5~7, #16~18,#27~29

地方上級全国型・関東型・中部北陸型
出題傾向 整数問題と比と割合、及び、同系統の文章問題でほとんどを占める。図形の計量も例年1問の出題で安定して いる。全体的に個性的な問題が多く、一瞬戸惑うかも 知れないが、解いてみると易しい問題が多い。特に、近年は易化している。 特に頻出な項目 #1~7, #30~35 次に頻出な項目 #16~18, #20~24, #2327
東京都I類A・B
出題傾向 集合算と確率はほぼ毎年出題され、「新方式」や「技術」
では2問出ることもある。図形の計量も毎年1問の出題があるが、近年、「空間把握」分野でも計量問題が出 題されており、実質2問の出題となることが多い。その 他は広範囲から出題されており、マイナー分野からの 「出題も多い。数年前の過去問が繰り返し出題されてい
るので、過去問を数多く解いておく必要がある。 特に頻出な項目 #15, #23~24. #30~35 次に頻出な項目 #31~9, #13~14, #16~21,#327~29
特別区I類 出題傾向 近年、整数問題の出題が多く、2問以上出題されること
もある。その他では、速さ、場合の数と確率、比と割合 など、メジャー分野からの出題が中心である。図形の 計量は毎年1問だが、近年は、東京都と同様に、「空間把握」でも計量問題が出題されている。 特に頻出な項目 #31~2#16~18,#220~24, #330~35 次に頻出な項目[#5~7,#8~9, #27
※情報は2017年度試験終了時のものです。

約数と倍数は、頻出度 ★★★ 整数の基本だよね?

Yes! 約数や倍数は、整数を考える上で欠かせない要素!
この先もいろんなところでちょこちょこと顔を出してくるから、仲良くしておこう☆まずは中学校の復習から!
基本事項
①約数・倍数
整数A, B, Cにおいて、A=B×Cのとき、AをB, Cの倍数、B, CをAの約数と いいます。 たとえば、6=2×3ですから、6は2,3の倍数で、2,3は6の約数です。
②公約数・公倍数
いくつかの整数に共通する約数を「公約数」、共通する倍数を「公倍数」といい、 最も大きい公約数を「最大公約数」、最も小さい公倍数を「最小公倍数」といいます。そして、公約数は最大公約数の約数、公倍数は最小公倍数の倍数となります。
たとえば、12と18の最大公約数は6、最小公倍数は36なので、次のようになります。
12と18の公約数 ⇒ 最大公約数6の約数 = 1,2,3,6
12と18の公倍数 ⇒ 最小公倍数36の倍数 = 36,72,108
③最大公約数(G.C.M.)・最小公倍数(L.C.M.)の求め方
たとえば、「28,56,70」の場合、次の図のように並べ、共通の約数で順に割っていきます。3つ全部を割れる数がなくなったところで、そこまでの約数をかい 合わせ、最大公約数は2×7=14とわかります。
さらに、3つのうちの2つでも割れる数(図アの2と4)があれば続け、割れない数 (5)はそのまま下におろします。どの2つをとっても割れなくなった(「 互いに素」といいます)ところで、図のようにLの字にかけ合わせ、最小公倍数は2×7×2×1×2×5=280とわかります。


PLAY!1
A, B,Cの3人が、1月1日を初日として、Aは1日、Bは2日、Cは4日の間隔を あけて、夜9時から1時間の町内パトロールを実施した。1月2日以降、初めてこ の3人全員がそろって町内パトロールを実施した日までの間に、この3人がいず れも町内パトロールを実施しなかった日は何日あるか。
1. 2日
2. 5日
3. 8日
4. 11日
5. 14日
まず、各人がパトロールした日の規則性を確認しましょう。 Aは1日おきですから、初日から、その2日後、4日後、6日後…と2の倍数日後 にパトロールしたことになります。同様に、Bは3の倍数日後、Cは5の倍数日後 になりますので、3人全員がそろうのは、2.3.5の公倍数日給となりますね。
2, 3,5をともに割れる数はありませんので、最小公倍数は2×3×5=330ですから、1月1日から3人が初めてそろうのは、30日後の1月31日です。
そして、この30日間で、2,3,5のいずれかの倍数の日は、誰かがパトロール しているので、その日数を数えると、次のようになります。

Advice!
2, 3,5のいずれの倍数でもない数を直接数えると、「1, 7, 11, 13.12 23, 29」の8つなので、この程度なら直接数えたほうが早いね。でも、数が大きくなるとそうもいかないので、計算による解法も覚えておく必要があるんだ。 特に、ベン図の真ん中の数の足し引きでケアレスミスを起こしやすい。 この問題の選択肢は3日間隔だから、1日くらいの数えまちがいは命取りにはならないけど、選択肢が1日間隔とかの場合は慎重に数えようね。

TRY01
交通安全に関して企画した催しに、中学生, 高校生,大学生以上の3区分を設けて参加者を募集したところ、中学生54人, 高校生48人, 大学生以上90人の申し 込みがあった。その催しでは、中学生,高校生,大学生以上の3つの区分をそれぞ れ各チーム同じ人数になるような混成チームをできるだけ多く作って、チームご との得点を競わせることになっていた。ところが、ある1つの区分から12人の参 加取消があったため、実際にはチーム数を当初の予定より増やすことができた。
このとき、実際にできたチームの数はいくつか。
1.12
2.15
3.18
4.21
5.24
どのチームにも、中学生、高校生、大学生以上が、それぞれ同じ人数ずつになる ようにチームを作るわけですから、各区分の人数を各チームに同じ数ずつ振り分 けることになり、チーム数は各区分の人数の約数になります。 3区分それぞれの人数に共通する約数で、さらに、チームはできるだけ多く ることから、最大公約数を求めることになりますね。 まず、当初の予定について計算すると、図1のようになります。

畑中 敦子 (著)
エクシア出版; 第2版 (2018/2/28)、出典:出版社HP