技術士第一次試験[上下水道部門]択一式問題集(改訂版)
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まえがき
我が国の技術への信頼性が揺らいでいる。自動車の燃費データ偽装及び無資格者検査、製鋼における品質不足、鉄道車両の部材断面不足、基礎杭施工の杭長不足、制震・免震ダンパーの性能不足など。
しかし、これらが明るみになったのは、大部分が内部通報、すなわち、技術者や社員からの良心に基づく連絡である。「公衆の安全、健康、福利及び環境の保全」は、技術者にとって、最も基本的かつ優先すべき倫理観である。
技術士は、三大義務と二大責務を負っているプロの技術者集団である。三大義務とは、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、名称表示義務であり、二大責務は、公益確保の責務、資質向上の責務である。
技術士は、関与する業務が社会や環境に及ぼす影響を予測評価する努力を怠らず、公衆の安全、健康、福祉を損なう、又は環境を破壊する可能性がある場合には、自己の良心と信念に従って行動する。技術立国する我が国の将来を担うべく、技術士を目指す技術者たちの活躍を期待する。
公共事業においては、技術士資格は以下のように位置付けられている。
国土交通省:特定建設業の営業所専任技術者又は監理技術者
建設部門、上下水道部門、衛生工学部門、機械部門、電気電子部門、農業部門(農業土木)、森林部門(林業・森林土木)、水産部門(水産土木)、前記のものを選択科目とする総合技術監理部門の第二次試験合格者
国土交通省:一般建設業の営業所専任技術者又は主任技術者
建設部門、上下水道部門、衛生工学部門、機械部門、電気電子部門、農業部門(農業土木)、森林部門(林業・森林土木)、水産部門(水産土木)、前記のものを選択科目とする総合技術監理部門の第二次試験合格者
国土交通省・環境省:公共下水道又は流域下水道の維持管理を行う者
技術士上下水道部門(下水道)、技術士衛生工学部門(水質管理、廃棄物管理(汚物処理を含む))の第二次試験合格者
国土交通省:建設コンサルタントとして国土交通省に部門登録をする専任技術管理者
建設部門、上下水道部門(上水道及び工業用水道、下水道)、衛生工学部門(廃棄物管理)、農業部門(農業土木)、森林部門(森林土木)産土木)、応用理学部門(地質)、機械部門、電気電子部門、前記のものを選択科目とするとする総合技術監理部門の技術士
国土交通省他:建設コンサルタント委託業務等の管理技術者と昭査技術者
建設コンサルタントとして国土交通省に部門登録をする場合の専任技術管理者と共通で、法による登録を受けている者
国土交通省:地質調査業者として国土交通省に登録する場合の技術管理者
建設部門(土質及び基礎)、応用理学部門(地質)、前記のものを選択科目とする総合技術監理部門の技術士
国土交通省:都市計画における開発許可制度にもとづく開発許可申請の設計者の資格
建設部門、上下水道部門、衛生工学部門第二次試験合格者で宅地開発に関する技術に関して二年以上の実務経験者
国土交通省:宅地造成工事の技術的規準(擁壁、排水施設)の設計者
建設部門第二次試験合格者
さらに、国土交通省では委託業務の発注方式で、技術提案(プロポーザル)方式が増加してきており、委託業務全体に占める割合は70~80%になってきた。このプロポーザル方式では、管理技術者・照査技術者・担当技術者が所有すべき資格として、技術士資格が挙げられており、それ以外の資格に比べて2倍程度の得点与えられ、有利に評価されている。
この傾向は年々顕著になってきており、標準型プロボーザル方式のほか、簡易公募型プロポーザル方式、課題集中型簡易公募型プロボーザル方式など、多岐にわたる方式が試行され実際に運用されてきている。多様なプロポーザル方式に対応していくためには、技術者が技術士を保有していることであり、その保有者数が多いほど委託業務の特定に有利になる。
本書は、多くの技術者が技術士資格を取得するための参考図書としてまとめたものである。執筆にあたっては、地方公共団体、社団法人、コンサルタント、鉄道会社、水処理会社、メーカー、技術士事務所などで活躍中の経験豊富な技術士が関わった。読者が技術士試験に合格され、更なる活躍をされんことを期待する。
本書の企画・出版は、鹿島出版会のご協力で実施に至り、特に、同社の橋口聖一氏には大変お世話になった。深く感謝の意を表す次第である。本書の執筆と編集は技術士のインフォーマルな集まりである「CEネットワーク」により行われた。
2019年4月
CEネットワーク
第一次試験択一式問題の出題傾向
技術士試験の第一次試験は全て択一式試験である。第一次試験は基礎科目、適性科目、専門科目で構成されており、合否決定基準は、それぞれの科目で50%以上の得点とされている。そして、毎年各科目では、ほぼ1/2が過去問題より出題されている。
本書では、専門科目が上下水道部門の第一次試験の過去問題の解答・解説を平成26~30年度の5年間分について掲載した。過去問題を広範囲に繰り返し解くことで、第一次試験を一度の受験で合格していただきたい。
上下水道部門の第一次試験の出題範囲は、計画から各施設の設計、維持管理まで幅広いものの、過去問と類似の問題が繰り返し出題される傾向がある。また、問題を解くときの参考文献としては、上水道の分野は、公益社団法人日本水道協会発刊の「水道施設設計指針」、下水道の分野は、公益社団法人日本下水道協会発刊の「下水道施設計画・設計指針と解説」であることが多い。まずは、本書で問題を解いて、次に上記の指針などを確認していくことで、理解を深めることをお勧めする。
上述した「水道施設設計指針」、「下水道施設計画・設計指針と解説」からは計79%が出題されている。出題は毎年合計35題であり、このうち、25題を選択して解答し、13題(50%)以上の正答を示す必要がある。出題範囲の概略をつかんでいただいた上で、得意分野を広げていくことで合格を確実なものとしていただきたい。
なお、平成30年度までは、第二次試験の必須科目は択一式試験であった。第二次試験の択一式問題で、上述した「水道施設設計指針」、「下水道施設計画・設計指針と特記」から出題された過去問題は、第一次試験の問題として出題される場合もあり得る。合わせて学習することをお勧めする。
目次
まえがき
第一次試験 択一式問題の出題傾向
第一次試験 択一式試験 出題問題と解説
平成30年度
問題1上水道の計画に関する設問
問題2水道施設の改良と更新に関する設問
問題3貯水池における水源保全対策の主な方法に関する設問
問題4水道の沈殿池の沈殿機能に関する設問
問題5上水道の砂ろ過池に使用するろ過砂に関する設問
問題6上水道における凝集剤に関する設問
問題7消毒に関する設問
問題8浄水処理で用いられる膜ろ過に関する設問
問題9管網計算に関する設問
問題10上水道の管路付属設備に関する設問
問題11給水管に関する設問
問題12浄水施設の制御に関する設問
問題13ポンプ系の水撃作用(ウォータハンマ)防止に関する設問
問題14水道施設のコンクリート構造物に関する設問
問題15浄水施設の排水処理に関する政局
問題16水質事故(前駆物質と消毒副生成物)に関する設問
問題17水道の水質やその管理に関する設問
問題18給水栓における水質管理に関する設間
問題19下水道の計画汚水量に関する設問
問題20雨水流出抑制に関する技術
問題21下水道における計画雨水量の算定に関する設問
問題22下水道計画における計画年次と計画区域に関する設問
問題23標準活性汚泥法に関する設問
問題24沈殿池の水面積負荷に関する設問
問題25嫌気無酸素好気法の特徴に関する設問
問題26BOD容積負荷に関する設問.
問題27下水道の標準活性汚泥法における最初沈殿池に関する設問
問題28水理学的滞留時間(HRT)に関する設問
問題29伏越しに関する設問
問題30下水ポンプ場沈砂池の設計に関する設問
問題31下水汚泥の輸送に関する設問
問題32下水汚泥の処理方法に関する設問
問題33下水汚泥の有効利用に関する設問
問題34pHに関する設問
問題35事業場配水中の処理対象物質と主な処理方法に関する設問
平成29年度
問題1リスク管理における施設整備に関する設問
問題2地下水の取水に関する設問
問題3富栄養化した湖沼水の水道水源利用に関する設問
問題4微生物の消毒に関する設問
問題5浄水処理における沈殿池に関する設問
問題6浄水処理の緩速ろ過に関する設問
問題7オゾン処理を用いた高度浄水処理方法に関する設問
問題8精密膜ろ過に関する設問
問題9配水管に関する設問
問題10給水装置に関する設問
問題11上水道のポンプ設備に関する設問
問題12上水道の計装設備に関する設問
問題13上水道における漏水防止対策と具体的な施策に関する設問
問題14マノメータの値に関する設問
問題15水道の防水施設に関する設問
問題16上水道における排水処理に関する設問
問題17水道原水の汚染のおそれがある場合の水質管理に関する
問題18下水道の計画目標年次及び計画区域に関する設問
問題19計画汚濁負荷量及び計画流入水質に関する設問が
問題20排水面積最大計画雨水流出量に関する設問
問題21雨水流出抑制対策に関する設問
問題22活性汚泥法の設計・操作指標に関する設問
問題23固定化担体を用いた下水処理法の特徴に関する設問
問題24窒素除去法における微生物の硝化反応に関する設問
問題25下水処理における返送汚泥の浮遊物質濃度に関する設問
問題26標準活性汚泥法の反応タンクの設計に関する設問
問題27下水道の管路施設における耐震設計に関する設問
問題28下水道管きょの改築に関する設問
問題29下水道のポンプ場に関する設問
問題30下水汚泥処理プロセスと目的に関する設問
問題31下水汚泥の汚泥濃縮に関する設問
問題32下水汚泥の消化方式に関する設問
問題33下水汚泥の緑農地利用に関する設問
問題34下水道における水質試験項目に関する設問
問題35下水道施設の腐食対策に関する設問
平成28年度
問題1水道管路の更新計画に関する設問
問題2水道水源に関する設問
問題3浄水処理に関する設問
問題4凝集処理に関する設問
問題5浄水場の砂ろ過方式に関する設問
問題6水道用沈殿池に関する設問
問題7粉末活性炭による高度浄水処理物質に関する設問
問題8水道配水管に使用する管種に関する設問
問題9給水方式に関する設問
問題10上水道における金属管の腐食に関する設問
問題11水道用バルブの用途と種類に関する設問
問題12配水量分析に関する設問
問題13上水道の緊急遮断設備に関する設問
問題14水路の流量計算に関する設問
問題15浄水場の排水処理施設に関する設問
問題16水道水の水質基準項目に関する設問
問題17クリプトスポリジウムに関する設問
問題18水質に関する設問
問題19下水道の計画汚水量に関する設問
問題20下水道の排除方式に関する設問
問題21下水道施設の改築に関する設問
問題22下水道管きょの排水面積に関する設問
問題23活性汚泥法に関する設問.
問題24標準活性汚泥法における汚泥返送法に関する設問
問題25BOD-SS負荷の値に関する設問
問題26嫌気無酸素好気法に関する設問
問題27下水道管きょにおける流速及びこう配に関する設問
問題28Manning式を用いた流量計算に関する設問.
問題29下水ポンプ場沈砂池の設計に関する設問
問題30下水道のポンプに関する設問
問題31下水汚泥処理方法に関する設問
問題32下水汚泥の重力濃縮タンクの設計に関する設問
問題33下水汚泥の汚泥消化に関する設問.
問題34水質試験項目に関する設問.
問題35下水道施設の脱臭に関する設問
平成27年度
問題1水道の歴史に関する設問
問題2上水道の計画に関する設問
問題3上水道における生物障害問題に関する設問
問題4浄水場の沈砂池に関する設問
問題5凝集に関する設問
問題6浄水処理における沈殿池に関する設問
問題7浄水処理の急速ろ過に関する設問
問題8消毒剤に関する設問
問題9紫外線消毒に関する設問
問題10浄水処理における膜ろ過に関する設問
問題11配水池に関する設問
問題12配水管の管径に関する設問
問題13ポンプのキャビテーション対策に関する設問.
問題14開水路に関する設問
問題15浄水施設の排水処理に関する設問
問題16水道水質の農薬に関する設問
問題17水質基準に関する省令等の改正に関する設問
問題18下水道の計画汚水量に関する設問
問題19雨水流出抑制対策に関する設問
問題20下水道の計画汚濁負荷量と計画流入水質に関する設問
問題21下水道における排除方式に関する設問
問題22下水処理法の特徴に関する設問
問題23下水の高度処理物質とプロセスに関する設問
問題24標準活性汚泥法における汚泥容量指標に関する設問
問題25沈殿池の水面積負荷に関する設問
問題26標準活性汚泥法における最終沈殿池に関する設問
問題27嫌気無酸素好気法の設計及び維持管理に関する設問
問題28下水ポンプ場の沈砂池設計に関する設問
問題29雨水管路計画に関する設問
問題30汚泥消化に関する設問
問題31下水汚泥調整に関する設問
問題32下水汚泥の返流水に関する設問
問題33下水道の水質試験項目に関する設問
問題34事業場排水が下水道に与える影響に関する設問
問題35下水道施設における腐食対策に関する設問
平成26年度
問題1水道施設計画に関する設問
問題2上水道の語句についての設問
問題3取水施設に関する設問
問題4浄水処理の凝集に関する設問
問題5沈段に関する設問
問題6急速ろ過池に関する設問.
問題7浄水処理の消毒に関する設問
問題8オゾン処理を用いた高度浄水処理方法に関する設問
問題9膜の適用範囲及び原水中成分のサイズ比較に関する設問
問題10配水池に関する設問
問題11給水管に関する設問
問題12上水道のポンプ設備に関する設問
問題13水面の形状に関する語句についての設問
問題14浄水場の排水処理施設に関する設問
問題15消毒副生成物の水質基準項目に関する設問
問題16消毒副生成物の生成に関する語句についての設問
問題17クリプトスポリジウムに関する設問.
問題18下水道の計画汚濁負荷量及び計画流入水質に関する設問
問題19下水道の計画雨水量の算定に関する設問
問題20雨水流出量算定に用いる流出係数に関する設問
問題21下水道計画の計画年次と計画区域に関する設問
問題22標準活性汚泥法に関する設問
問題23下水処理の省エネルギー対策に関する設問
問題24下水道のポンプ場に関する設問
問題25嫌気無酸素好気法の特徴に関する設問
問題26下水処理水の高度処理方式に関する設問
問題27活性汚泥法の設計・操作指標に関する設問
問題28活性汚泥の浄化作用に関する設問
問題29下水処理場のBOD-SS負荷の値に関する設問
問題30下水汚泥の消化方式に関する設問
問題31下水汚泥の有効利用に関する設問.
問題32計画発生汚泥量の計算に関する設問
問題33CODに関する設問が
問題34下水道の水質試験項目に関する設問
問題35下水道施設の腐食対策に関する設問
最後に