2級建築士受験 スーパー記憶術




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はじめに

試験は暗記だ!

2級建築士試験の合否を決めるのは,暗記である。それは過去の問題を解いてみれば明らかであろう。覚えねばならない数字があまりにも多いのにがく然とする。総合的な思考力を問う問題も当然出されるが,あなたがなんとなく考えてできた問題は,たいていの人もできるのである。

また,基礎的なことが頭に入っていなければ,考えることもろくにできないのではなかろうか。参考書を漠然と読んでいて勉強している気になっている人に,この本は大いに役に立つだろう。

暗記は語呂合わせだ!
棒暗記は,一部の天才的記憶力の持主をのぞけば,能率が悪すぎる。建築士の参考書のなかには,JASSの数表をそのまま載せているものも多いが,読むほう,覚えるほうの身になっていない,理解に苦しむ編集だ。

そんな表を一目見て全部覚えられるのは,空海ぐらいなものだろう。数表は確認のためにのみ使うものである。「暗記には語呂合わせがもっとも優れている。なぜなら,すでに頭の中に入っている語句に関連させるだけでよいからである。歴史年代(なくよウグイス平安京→794年)や英単語(犬寝るkennel→犬小屋)やルートの数字(√2=ひとよひとよにひとみごろ)などでおなじみの語呂合わせを,2級建築士試験に使わない手はないだろう。

早く,楽しく覚えられ,しかも長く忘れない。試験が終わってすべて忘れてしまっては意味がない。長く記憶に残し,実務でも使えるようにすべきだ。そこまでいって初めて生きた知識となるのではなかろうか。

出る順に覚えろ!
出る順に覚えるのも,これまた英単語と同じだ。いまどき英単語をアルファベット順にAから覚える暇な受験生はいない。2級建築士試験でもっとも重要なのは,鉄筋コンクリート造である。それには,型枠工事,鉄筋工事,コンクリート工事,鉄筋コンクリート構造設計も含まれる。

これらの出題がもっとも多い。ということは,そこから暗記をはじめるべきだということだ。次には木造,鉄骨造,設備,仮設,届け出といった順である。これは試験直前の暗記にも威力を発揮するはずだ。時間のない人は,鉄筋コンクリート造,木造,鉄骨造だけでも覚えて試験に臨んでほしい。

覚えやすいようにグルーピングして覚えろ!
試験で計画,法規,構造,施工と分かれているからといって,暗記もそのとおりに分類してやる必要はない。実務ではひとつの建物を建てる際に,現場や設計する場所で計画,法規,構造,施工と分けて考えたりはしないはずである。

そこで工事種別に分類するのが,もっとも現実的な方法と考えられる。構造と施工を同時に覚えたほうが能率がよい。たとえば鉄筋に関して,かぶり厚さは施工で太さや本数は構造とバラバラに覚えるよりも,1カ所にまとめたほうがどんなにわかりやすいことか。設備関係も計画と施工を一緒に覚えたほうがよい。

さらに覚えやすいように,面積なら面積ばかり集める,寸法,単位なども集めて覚える。特に計画各論では,そのように暗記本位に編集している。また曲げ,圧縮,引張り,せん断の比較などでは,たとえコンクリートの区分であっても,鋼も木も同時に覚えたほうが能率がよく,それぞれの材料の比較もできる。

このように臨機応変に分類して覚えていく。英単語では出る順に覚えると同時に,ジャンルに分けて覚える,接頭語,接尾語などから覚えるなどさまざまな角度から分類して覚えるが,そのまねをすればよいだろう。

過去の問題を併用すると効果は絶大!
本書では暗記をひと通りすました後に,過去の問題を解くことをお勧めする。非常に能率よく進むはずである。何も知らないで過去の問題を解くと,自信をなくしやる気を失うことになりかねない。暗記は最後という発想よりも,暗記を最初にして,後に問題演習などで記憶を確実にしていくという方法に転換すべきである。

また,本書は電車やバスや公園やテラスや食卓や寝床や風呂やトイレの中で読むことにして,自宅のデスクでは過去の問題を参考書を見ながら解くのもいいだろう。持ち運びが便利なように,新書サイズにしてある。

枕元やトイレに本書を置いておくのもいいアイデアだ。風呂に本を持ち込むとぬれてだめになると言う人もいようが,風呂の蓋の上にバスタオルを敷いてその上に本を置けばよい。ほかに,ぬれた手をふく小さいタオルがあると完璧だ。

現に私は毎日そうやって風呂で本を読んでいる。だいいちふれてだめになってもいいような本である。頭に残れば紙はだめになってもよい。試験場にはその頭を持っていくのである。要は暗記を後回しにしないのが肝要。暗記は前の晩で,などとたかをくくっていると,来年もまた受験しなければならなくなる。

暗記の進め方
各暗記事項には問題がつけられているので,下の答えと語呂合わせを隠して,あるいは見ないでスラスラ言えるようになるまで繰り返す。語呂合わせの際には,イメージを具体的に,ビジュアルに頭に描くこと。なるべく短時間になるべく多く繰り返すのがポイントである。各問題にはチェック欄がついているので,活用してほしい。

友達や彼女や彼氏や奥さんに問題を読んでもらって,それに答えるのも一興だ。暗記に必要なのは3つ。はじめること,続けること楽しむこと。この3つは本書を手にした瞬間から常に心がけてほしい。それでは今すぐに暗記をはじめよう。すぐに取りかかることが,何といっても一番大事である。準備をする必要はない。場所を選ぶ必要はない。今すぐはじめよう。あなたは確実に力をつけていくだろう。

◆改訂第3版にあたって
今回改訂するにあたり,環境,タイル施工法,構造設計などを大幅に加筆修正した。実際の試験傾向に合わせ,さらに実務でも役に立つように,語呂,解説,図版を加えることとした。逆に法規の暗記ものは,試験では法令集持込み可なので,『建築法規スーパー解読術』に譲り,すべてカットすることとした。評判のよくない語呂はつくり直し,学生からの指摘も大いに参考にさせてもらった。このような改訂で,本書がさらにみな様のお役に立てるようになったと自負している。

原口 秀昭 (著)
出版社: 彰国社; 第3版 (2006/3/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに

1 これだけは覚えておきたい最重要事項
鉄筋コンクリート造
木造
鉄骨造

2 試験によく出る重要事項
設備
工程表・届け出・仮設・積算
塗装
基礎・地盤
コンクリートブロック造
左官・タイル
測量・防水・石ほか

3 ジャンル別に覚える重要事項
面積・寸法・計画各論
単位・環境
歴史

4 構造の重要事項
構造設計
構造力学

あとがき

原口 秀昭 (著)
出版社: 彰国社; 第3版 (2006/3/1)、出典:出版社HP