第二種衛生管理者免許試験対策 合格水準問題集 2020年度版
衛生管理者試験のおすすめテキスト・過去問予想問題!も確認する
はじめに
本書は、第二種衛生管理者免許試験の受験者が受験勉強の総仕上げや直前対策にご活用いただくことを目的に編集した問題集です。
受験日直前の1週間、 通勤電車の中や職場でのお昼休みなどを活用し、問題を解きながら合格のため の最重要ポイントの確認を行ってください。
本書に収録した試験問題は、公益財団法人安全衛生技術試験協会がホームページ上で毎年4月と10月に公表している「過去に出題された問題」です。2019 年10月に公表された問題を含めて、合計5回分の問題を収録していますので、 1日に1回分の問題に目を通すと、月曜日から金曜日までの5日間で終了できるように構成されています。
平成22年度版から、受験者から寄せられた生の情報を整理・分析した「衛生 管理者免許試験最新情報」のコーナーを設けました。ぜひ参考にしてください。
なお、試験問題については、原則として公表されたとおりに掲載しましたが、 問題公表後に施行された法令改正の内容、ならびに語句が変わった部分など (2019年12月現在)を反映させるために一部表現を改めた箇所があります。 本書を活用し、合格の栄冠を勝ち取られることを心よりお祈りしております。
2020年1月
編者
目次
はじめに
衛生管理者免許試驗
本書の使い方
公表問題出題傾向分析
衛生管理者免許試驗 最新情報
<令和元年10月公表分>試験問題と解答・解説
関係法令
労働衛生
労働生理
<平成31年4月公表分>試験問題と解答・解説
関係法令
労働衛生
労働生理
<平成30年10月公表分>試験問題と解答・解説
関係法令
労働衛生
労働生理
<平成30年4月公表分>試験問題と解答・解説
関係法令
労働衛生
労働生理
<平成29年10月公表分>試験問題と解答・解説
関係法令
労働衛生
労働生理
ワンポイントコラム
ストレスチェックの実施
記録の保存は何年間?
業種の区分
キーナンバー 10・20・30・50
VDT作業の新たなガイドラインが策定されました
衛生管理者免許試験のあらまし
業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場では衛生管任しなければなりません(労働安全衛生法第12条)。
衛生管理者免許には大きく分けて「第一種衛生管理者免許」と「第一種管理者免許」があります。このうち、第一種衛生管理者免許を持っていれば、すべての業種の事業場で衛生管理者を務めることができます。
一方、第二種衛生管理者免許は、第3次産業など有害業務のない業種に限って衛生管理者を秘めることができる資格です。小売業や、製造業であっても本社部門などの場合は、第二種衛生管理者免許を持っていれば衛生管理者になることができます。
衛生管理者免許試験は、第一種・第二種とも「労働衛生」「労働生理」「関係 法令」の3科目からなっていますが、試験に合格するには、各科目ごとの得点 が40%以上で、かつ、3科目の合計点が60%以上である必要があります。 第二種衛生管理者免許試験の配点は以下のとおりです。
試験科目 | 出題数(配点) |
労働衛生 労働生理 関係法令 |
10問(100点) 10問(100点) 10問(100点) |
合計 | 30問(300点) |
衛生管理者免許試験は、全国に7か所ある、安全衛生技術センターで月に数回実施されています。センターの所在地や試験の内容などについては、公益財団法人安全衛生技術試験協会(本部:東京都千代田区、TEL03-5275-1088)のホームページをご覧ください。
安全衛生技術試験協会のURL http://www.exam.or.jp/
本書の使い方
受験勉強の進め方のご提案とともに
本書は第二種衛生管理者免許試験の受験対策用の問題集ですが、特に総仕上げのためにご活用いただくことを念頭に構成しました。
具体的な使い方としては、1本試験と同じように解答時間を区切るなどし て、実戦形式で試験問題に向き合う、21問ごとに解答・解説を確認し、重要 ポイントを適確に押さえる、3弱点を克服するために、本文中の「関連問題」 を手掛かりに類題を続けて解くなどを想定しています。
また、受験勉強のためにまとまった時間を確保できない方のために、通勤電 車の中や会社のお昼休みといった、ちょっとした時間を有効に活用できるよ う、問題を掲載したページをめくった、そのすぐ裏のページに解答・解説を載せてすぐに参照できるようにしました。
そして、合格を目指すうえで最新の公表問題をまずきちんと修得することが 大事になること、さらに新たなタイプの問題が公表されていることを踏まえ て、公表が新しい問題から順に掲載しています。
どのような使い方をしても、本書を反復して活用し、解答・解説のページに まとめた「重要ポイント」を確実に押さえるだけで、「合格水準」に到達する ために必要な知識を習得することができます。
この合格水準という言葉については、多少、説明が必要だと思います。衛生 管理者免許試験は全体として60%の正答率を求めている試験です。正答率6割 を超えれば合格水準をクリアしたことになります。つまり、100%の正答率が 求められる試験ではないのです。ですから受験勉強に際しても80%くらいの正 答率を目指すのが現実的な対応だと言えるでしょう。
100%を目標に置く勉強 と、80%を目標に置く勉強とでは方法が異なります。あまりにも難解な問題に 出会ったら「まぁいいか」ぐらいの気持ちで、ぜひ気を楽にして受験勉強に、 そして試験に臨み、合格水準をクリアしてください。
なお、本書で学ぶ前に、受験対策用の参考書で基本的な知識を学んでおけば、 合格がより確実なものとなることは言うまでもありません。
さて、ここでは私たちの経験上、より理想的だと考えられる勉強の進めかた をご紹介しましょう。
衛生管理者免許試験に限らず、受験勉強の目的の第一は、試験に合格することです。しかし、そのことに固執するばかりでは、「衛生管理者として最低限 必要な知識」の表面をなぞっただけで、本質的な知識の習得にはなり得ない危 険性もあります。貴重な時間を費やして試験に合格したにも関わらず、「資格 をとった」という自己満足だけで終わってしまっては残念です。
産業現場では 資格を持っているというだけでは何の価値もなく、その資格にふさわしい知識 を実際に身に付けているかどうかが、あらゆる場面で問われているはずです。 したがって、受験勉強においてもそのことを少し意識してみることをお勧めします。
例えば、本書をベースにおいて受験勉強を進めるのであれば、本書に書かれ ている問題の内容(「正しい」あるいは「間違い」として、その問題の正解と なっている選択肢のみではなく、全ての選択肢の内容)を、信頼のおける参考 書で丹念に調べ、関係箇所をよく読んで理解するようにしてみてはいかがでし ようか?
私たちは、本書に掲載した過去に出題された問題を丹念に調べることで、本 質的な知識の多くを習得できると考えています。なぜなら、試験はそもそも本 質的な知識、すなわち衛生管理者として最低限必要な知識を持っているかどうかを試すために行われているからです。
出題頻度の高いテーマは、イコール比 較的多くの産業現場で関係するテーマであり、またそれを学ぶことによって衛生管理者として最低限必要な知識を習得できるというわけです。受験勉強を進めるに当たっては、本書オリジナルの「公表問題出題傾向分析」もぜひ参考に してください。
さて、受験勉強はどの程度の期間が必要なのでしょうか?毎日勉強できる 人、土日だけしか勉強できない人など、人によってスタイルが異なるため、一概には言えません。ただし、この試験の内容を考えると、1年から2年といった長期間を費やして取り組むものではありません。1~2か月といった、短期 集中型で取り組むことをお勧めします。
解答・解説中の略称
◎法令:関係法令に関する問題の趣旨を理解する上で役立つと思われる代表的 な法令をピックアップしました。お手元にある法令集などで内容を調べてみてください。
◎関連問題:趣旨が同じ問題をまとめてみました。例えば、「H29.10. 問4」とある場合は、「平成29年10月公表分の問題の問4」を指します。また、「R1.10. 問10」とある場合は、「令和元年10月公表分の問題の問10」を指します。
法令等の略称
安衛法:労働安全衛生法
安衛令:労働安全衛生法施行令
安衛則:勞働安全衛生規則
事務所則:事務所衛生基準規則
労基法:労働基準法
勞基則:労働基準法施行規則
公表問題出題傾向分析
衛生管理者免許試驗 最新情報
筆者のもとには、衛生管理者免許試験の受験者から様々な情報が 寄せられています。こうした情報の中から、「公表された問題では 触れられていない項目」、「合格するために知っておいたほうが良い と思われる項目」等について、試験の科目ごとにまとめてみました。
なお、この最新情報は、基本的な知識の習得を終え、さらに過去 5回分の試験問題をマスターしてから目を通されることをお勧めします。
*取り上げた情報は令和2年1月現在の情報です。
I. 関係法令
1.事業者の責務
○労働安全衛生法第3条(事業者の責務)に目を通しておきましょう。
2.安全衛生管理体制
○ 衛生管理者免許を受けた者以外で、衛生管理者として選任することができる者は、「医師」、「歯科医師」、「労働衛生コンサルタント」であることを確認しておいてください。
○総括安全衛生管理者を選任すべき事業場を規定している安衛令第2条に関して、様々な物を取り扱っているスーパーマーケットは「各種商品小売 業」に含まれますが、食品のみを取り扱っているスーパーマーケットは、 「その他の業種」に含まれることを確認しておいてください。
3. 安全衛生教育
○ 「旅館業」、「各種商品小売業」(様々な物を取り扱っているスーパーマー ケットは含まれる)、また「ゴルフ場業」は、雇い入れ時教育の一部の科 目が省略できる業種には含まれていないことを確認しておきましょう。 (安衛則第35条、安衛令第2条)
○反対に、雇い入れ時教育の一部の科目が省略できる代表的な業種として、「金融業」、「警備業」を押さえておいてください。
4.健康診断等
○ 一般健康診断(雇入時健診、定期健診、海外派遣労働者健診)の省略規 定を、よく頭で整理しておくことをお勧めします。
○平成27年12月から一定の事業者にストレスチェックの実施が義務づけられました。「平成29年10月公表分の問5」(260ページ)の解説をベースに、 全体像に目を通しておくことをお勧めします。
5. 女性及び年少者
○産婦の定義(産後1年を経過しない女性)を確認しておきましょう。
II. 労働衛生
1. 腰痛予防対策
○ 「職場における腰痛予防対策の推進について」(平成25年6月18日基発 0618第1号)で公表されている「職場における腰痛予防対策指針」に目を通しておいてください。特に、「平成31年4月公表分の問14」(91ページ) の解説も参考にしてください。
2. 受動喫煙防止対策
○令和元年7月1日に、「職場における受動喫煙防止のためのガイドライ ン」 (基発0701第1号)が発出されています。このガイドラインは、平成 30年7月に成立・公布された健康増進法の一部を改正する法律が順次施行 されていることに伴い、労働安全衛生法第68条の2に沿って事業者が実施 すべき事項と、前記した健康増進法で義務付けている事項を一体的に示す ことを目的としています。
例えば、喫煙専用室の設置にあたって求められている技術的な基準は、健康増進法の基準と同じであるといったことです。特に、ガイドラインの別紙1「健康増進法における技術的基準等の概 要」と別紙2「技術的基準を満たすための効果的な手法等の例」には、目 を通しておくことをお勧めします。
○喫煙専用室の、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準
(1) 出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m/s以上であること。
(2) たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること。
(3) たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること。
3. 情報機器作業における労働衛生管理
○令和元年7月12日に、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガ イドライン」(基発0712第3号)が発出されています。平成31年4月公表 分の問15」(93ページ)の解説を参考にしてください。
4. 健康管理
○ 感染症の特徴、特に「日和見感染」、「不顕性感染」、あるいは「飛沫感 染」、「空気感染」といった言葉、ならびに具体的な感染症として「結核」、 「インフルエンザ」などについて書かれている参考書の該当箇所に、ざっ と目を通しておいてください。
Ⅲ. 労働生理
1. メタボリックシンドローム
OBMIの正常値を確認しておきましょう。いくつを下回ると「やせすぎ」、いくつを上回ると「肥満」なのか、わかるようにしておいてください。
2. 神経
参考書で、脳の正中縦断面の図を見ながら、「間脳」、「視床下部」、「延 髄」、「小脳」などの位置を確認しておいてください。