技術士/技術士補試験 二次試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




技術士は、特定の分野の高度な専門技術者です。試験は国家試験であり、機械部門、建設部門、森林部門、原子力・放射線部門など計21の技術部門があります。

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技術士試験の公式教材(参考書・テキスト)をチェック

技術士試験の参考書・テキストは公式での出版はなく、オーム社翔泳社などのテキストが大きくシェアを占めており、それらの参考書・教材の利用をされて合格をされている方が多いようです。今回は、各出版社のもので合格に近づくためのおすすめ参考書・テキストをご紹介します。

二次試験対策 – 技術士試験の参考書・テキスト

はじめの一歩 技術士第二次試験 受験対策 基礎の基礎

JES日本技術サービス (編集)
出版社: オーム社 (2014/12/26)、出典:amazon.co.jp

技術士試験の受験にあたり、試験概要、試験で求められる能力、受験準備の進め方や学習の組み立て方など、受験に付随する全体事項を説明した書籍です。技術士第二試験突破に向け、試験準備や当日までの心構え、そして合格レベルに達する論文の書き方や口頭試験対策など、基本的な事項をしっかり解説します。

技術士 第二次試験 建設部門 受験対策テキスト

本書は、技術士 第二次試験 (建設部門) に向けて「何から手をつければよいか分からない」「どうすれば合格できるのか分からない」と困っているという方のためのテキストです。試験概要、受験準備に関するノウハウから、論文の書き方、受験申込書の書き方、筆記・口頭試験対策に至るまでを具体的に解説しています。本書を読むことで、合格に向けた「最短の具体的な学習法」「高得点獲得のための答案作成法」というノウハウがわかり、「私にも取得できる」「私にも合格できそうだ」という確かな手ごたえが感じられることでしょう。是非、本書を手に取り、受験対策をスタートさせて下さい。

技術士第二次試験 建設部門 完全突破

森谷 仁 (著), 水村 俊幸 (著)
出版社: オーム社 (2014/3/14)、出典:amazon.co.jp

本書は、技術士第二次試験建設部門合格を目指す方のための受験参考書です。平成25年度以降の試験制度の大幅な改正に完全対応しており、かつ、過去問題の詳細な分析と丁寧な解説で、技術士第二次試験建設部門対策の入門書としてまとめています。また、技術士試験の特徴を考慮し、章ごと(試験形式ごと)に工夫した内容構成としています。たとえば、技術論文の章では、論文の書き方のプロセスを細かくわけ、丁寧に解説しています。なお、技術士試験がはじめての方でも学習が進めやすいよう、勉強方法や受験テクニックについても補足しています。

技術士第二次試験総合技術監理部門 必須科目の攻略

出版社: オーム社 (2013/11/20)、出典:amazon.co.jp

本書は、総合技術監理部門の筆記試験のうち必須科目に的を絞った精選問題集です。平成25年度の試験を盛り込み、試験方法の改正に完全対応しています。本書では、総合技術監理部門の技術体系と五つの管理分野の解説をはじめ、択一式と記述式の精選問題を豊富に収録し、解答例も充実させました。改正後の業務経歴票の書き方から口頭試験のポイントまで丁寧に解説しています。

技術士試験の問題集・過去問

過去問 – 技術士試験第二次試験

公益社団法人日本技術士会公式HPより、部門別にPDF形式でダウンロードできます。

目次 – 技術士第二次試験 最短ルートの正しい勉強法〈第2版〉

はじめに

(1)技術士と技術士試験

技術士は,国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で,科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格です。特に公共事業のプロポーザルでは,技術士資格が評価ポイントになっている場合が増え,技術士の必要性が増しています。
「技術士になるためには,技術士第一次試験の合格(又は指定された教育課程の修了),所定の業務経験,技術士第二次試験の合格が必要になり,取得までは長い道のりになります。
第二次試験は,筆記試験と口頭試験で構成されますが,技術士試験のうち最大の関門となっているのが,第二次試験の筆記試験です。筆記試験は,記述式(論文の記述)となります。

(2)記述式における実例

記述式では,次のような問題が出題されます。
専門でない方がほとんどだと思いますが,自分だったらこの問題に対してどのように解答するかを少し考えていただければと思います。

平成25年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕建設環境【選択科目Ⅲ】

答案用紙3枚以内(600字×3枚以内)にまとめよ。

Ⅲ-1 我が国における総CO2排出量においては,都市における社会経済活動に起因することが大きい家庭部門やオフィスや商業等の業務部門と自動車・鉄道等の運輸部門における排出量が全体の約5割を占めている。このような状況を踏まえ,建設環境の技術士として以下の問いに答えよ。
(1) 低炭素都市づくりを実現するための方策を3つ具体的に示し,各々の方策が低炭素に寄与する仕組みを述べよ。
(2) その方策のうち,あなたが重要と考えるもの1つについて,その理由を説明するとともに,その方策の実施に当たっての技術的課題を述べよ。
(3) 上記の課題を解決するための技術的提案及びその提案の留意点やリスクについて述べよ。

試験本番では,時間が限られている中で,自分の考えを整理して,600字×3枚以内に解答をまとめる必要があります。このため,受験者によくありがちなのは,答案用紙に文章を埋めながら解答を考えるということです。

文章を書きながら考えると,どのようなことが起こるでしょうか?
文章を書きながら考えると,「考える」よりも「書くこと」を優先させてしまい,結局,問いに適切な答えを出さないまま,技術士試験で求められる能力に意識を向けないまま,自分の書きたいことで解答を書き終えてしまいます。
このような解答が,技術士としてふさわしいと評価されるでしょうか。もちろん,評価されません。

こうならないためには,図0-1のあるべき論文作成のプロセスに示すように,「書く」というプロセスに入る前に,「問いを押さえて考え抜く」というプロセスを徹底しながら,論文の構成を考える必要があります。

しかし,「最初に必ず論文の構成を考えてください」と受験者にアドバイスをしても,最初から適切な論文構成を考えられる人は多くありません。知っているだけでは不十分で,実際の試験で適切な論文構成が考えられるようになるためには,相応のトレーニングを行う必要があります。

図0-1ありがちな論文作成のプロセスとあるべき論文作成のプロセス

(3)知識の修得に偏重した勉強方法では合格は難しい

私たちは勉強というと,大学受験の名残りで,学校教育の延長線上にある知識の修得に偏重した勉強をイメージします。このため,私たちの勉強は,どうしても知識の修得に偏重してしまいがちです。

しかし,前掲の筆記試験の例題のような記述式の問題を解く場合,本当に知識を詰め込むだけで,適切に解答できるようになるのでしょうか?

知識の詰め込みだけでは筆記試験に適切に対応することはできないと考えます。このことに気づく機会がなく,あまり適切でない勉強を続けてしまうといった受験者も少なくありません。

(4)そもそも技術士試験で求められる能力とは?

そもそも,このように難しい技術士の筆記試験では何が求められているのでしょうか?

もちろん相応の専門知識を修得している必要があります。しかし,平成19年度に技術士の試験方法が大きく改正され,現在,筆記試験では専門知識だけでなく,問題解決能力及び課題遂行能力,応用能力等が重視されるようになりました。このため,専門知識をただ知っていることだけでなく,専門知識を用いて,課題を適切に解決しているかということが厳しく確認されるようにした。

筆記試験に合格するためには,専門知識と問題解決能力及び課題遂行能力等が必要となり,合格ラインをイメージで示すと図0-2のようになります。(厳密には,求められるすべての能力を満足する必要があります)。

特に,この問題解決能力及び課題遂行能力等は受験者によって得意不得音があり,大きく評価が分かれるところとなります。

図0-2技術士試験で求められる能力と合格ライン(イメージ)

(5)平成31年度の試験方法の改正について

平成31年度においても,試験方法の改正がされました。本書は,平成31年度の試験方法の改正に対応した内容となっています。

この試験方法改正では,筆記試験において,必須科目がマーク・シートの択一式から記述式に変更となりました。今後,必須科目も記述式に対応する必要があり,筆記試験はすべて記述式となりました。

(6)本書の位置付け

技術士第二次試験の筆記試験の合格率は十数%であり,記述式の成績が合否を分けます。

試験方法の改正により,記述式は暗記では対応できない試験となっています。
筆記試験に合格するためには,技術士として評価される論文を常に量産できるようになることが重要になります。そのためには,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につける必要があります。

一方で,これまでの私たちの学習方法は,知識の修得に偏重しています。
知識はもちろん必要ですが,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるためには,別のアプローチが必要となります。本書では,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるための勉強方法について,その背景となる勉強のルールや勉強の計画性も含めて整理しました。

また,本書では,第二次試験筆記試験の受験者に向けて以下の疑問に答えています。
「どのような考え方や思考プロセスをすれば技術士として評価されるのか?」
「技術士としてふさわしい考え方や思考プロセスを身につけるための勉強方法はどのようなものか?」
「どれくらい勉強すれば筆記試験に合格できるか?」
「勉強を継続するためにモチベーションを維持する工夫は?」

下所 諭 (著), 技術士の学校 (監修)
出版社: 中央経済社; 第2版 (2018/11/23)、出典:出版社HP

(7)勉強方法の全体像

本書における,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるための勉強方法の全体像を図0-3に示します。
筆記試験の記述式は,与えられた設問に対して答案用紙に解答を論述するという,理系の技術者にとって馴染みのない試験です。「試験のルール」を押さえないと適切な評価を得ることは難しいと考えます。そして,「試験のルール」を押さえることで初めて,何が適切な「勉強方法」かを把握できます。

図0-3勉強方法の全体像

一方で,建設部門では,合格するまでに平均で4回程度受験する必要があるといわれています。筆記試験に合格するためには,一定の勉強量が必要になります。技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを知っているだけではなく,試験当日に実践できるまでに繰り返しトレーニングを積む必要があります。このため,どれくらいの勉強が必要か,その「計画」について示すとともに,勉強を「継続」する工夫についても言及します。

(8)試験のルールを知る!

私たちは,筆記試験の記述式をよく「論文」と表現してしまいます。しかし,「論文」と表現した場合,自分でテーマを設定して,自分の主張を自由に論じるようなイメージが強くなってしまいます。

よく忘れてしまうのは,問題と答案の向こう側に相手がいることです。筆記試験では,問題を作る「作問者」と,受験者の答案を採点する「採点者」がいます。問題文を通じて「作問者」の意図を十分に汲み取りながら,「採点者」が技術士としてふさわしいと評価してくれる考えを答案に示す必要があります。

見落としている受験者もいるかもしれませんが,本書では,技術士試験で求められる能力である問題解決能力及び課題遂行能力,応用能力等について改めて確認します。論文の構成を検討する際には,これらを十分に踏まえる必要があり,勉強を進める中で何度も確認することが重要となります。

(9)勉強方法を知る!

筆記試験に向けては,関係省庁の『白書』を読む必要があるといわれます。
しかし,初めての受験者に多いのですが,なぜ『白書』を読む必要があるかを意識しないまま漠然と読んでしまい,情報が頭に入らず,時間ばかりが過ぎてしまうことがあります。私たちは,学校教育の延長で,知識の修得に偏重した学習をしてしまいがちです。何が目的で『白書』を読む必要があるかを理解しておかないと,『白書』を読むこと自体が目的となってしまいます。これでは,いくら時間があっても足りなくなります。

また,私たちがよくやってしまうのが,図0-4に示す「ありがちな学習サイクル」です。技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるためには,「論文構成の検討」と「添削・修正」が重要になります。この重要な「論文構成の検討」と「添削・修正」の手順を踏まずに,論文を量産しても,評価される論文を書くのは難しいでしょう。

技術士として求められる考え方,思考プロセスを鍛えるためには,図0-4に示す「あるべき学習サイクル」を適切に回す必要があります。

一方で,「あるべき学習サイクル」はこれまでの私たちの勉強方法とは馴染みがない部分があり,「あるべき学習サイクル」を回す上での難所が存在します。勉強方法では「論文構成の検討」,「論文の作成」,「添削・修正」等で留意すべき点等について言及します。

図0-4学習サイクル

(10)自分に合った計画を立案する!

4月の受験申込時には技術士資格取得に向けた意欲が高いのですが,申し込んだ後に,何もしないままでいると,徐々に意欲が低下して,勉強をしなくなってしまうことがあります。

これには,以下のような原因が考えられます。
○特に,周囲からの要請で試験を受ける場合,最初からそこまで受験動機は強くなく,勉強する意欲もそこまで高くない。
○勉強の目安がわからないので,勉強を継続することの必要性があまり感じられない。
○記述式で成果を出すためには時間がかかるが,時間がかかることを十分に理解していない等

受験動機は,最初から必ずしも強いものではなく,徐々に強くなっていくものと考えます。ここでは,受験動機を育てることの重要性について説明しながら,キャリアと技術士についても言及します。

また,勉強をやり抜くためには,最初に勉強スケジュールを立案することが重要です。なんとか合格が狙えるレベルに入るための最低限の勉強量の目安と勉強スケジュールの目安を示します。合格に必要な勉強量は,業務経験,適切なフィードバック,個人の学習効果の差などが人によって異なるので,どれくらい勉強すれば合格できるかは一概にはいえませんが,これらの目安を参考に自分に合った勉強計画を立案することが有効です。

(11)自分をモチベートして勉強を継続する!

筆記試験に合格するためには一定量の勉強が必要です。
一方,論文を書くというのは,なかなか経験したこともなく,慣れない,つらい行為であり,成果,成長を感じにくい行為でもあります。このような論文作成に対して,勉強をいかに継続させるかが重要になります。

勉強を継続するための工夫として,自然に勉強を続けられる環境を整える,勉強を進捗管理して自分を律する,周りの人の力を借りる,技術士になる動機を育てる等について説明します。

(12)『論文の書き方編』

技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるためには,「論文構成の検討」「論文の作成」,「添削・修正」,「基本の修得」といった適切な学習サイクルを回す必要があります。適切な学習サイクルを回す中で,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセス,書き方等について理解を深めることが重要となります。

一般的に,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセス,書き方等は,有能な技術士の暗黙知であり,形式知として共有されることは少ないと思います。姉妹書の『技術士第二次試験 評価される論文の書き方』(中央経済社)(『論文の書き方編』とする)では,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセス,書き方等をできる限り形式知として表現することを試みました。
「論文の書き方編』も技術士としてふさわしい考え方,思考プロセス,書き方等について理解を深めるための一助になればと思います。

(13)技術士を志す人たちに向けて

私たちは「技術士の学校」という技術士筆記試験を支援するサービスを提供しています。技術士の筆記試験について受験者を支援する過程で,彼らは技術士資格取得だけにとどまらず,技術者として大きく成長していることを実感しました。

本書が,技術士を志し,技術者としてプロフェッショナルになりたいと考える人たちの参考になれば幸いです。

下所 諭 (著), 技術士の学校 (監修)
出版社: 中央経済社; 第2版 (2018/11/23)、出典:出版社HP

目次

はじめに

1 技術士試験の概要
1.1 技術士とは
1.2 技術士制度の趣旨
1.3 技術士になるメリット
1.4 技術士試験全体の概要
1.5 第二次試験の受験資格(総合技術監理部門を除く技術部門)
1.6 第二次試験のうち筆記試験(総合技術監理部門を除く技術部門)
1.7 第二次試験のうち口頭試験(総合技術監理部門を除く技術部門)
1.8 総合技術監理部門
1.9 二次試験スケジュール

2 第二次試験受験申込書

3 技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるための勉強方法の全体像
3.1 筆記試験不合格者の嘆き
3.2 本書の位置付け
3.3 勉強方法の全体像
3.4 なぜ人によって筆記試験対策のアドバイスは違うのか?
3.5 技術士試験で求められる能力と合格ライン(イメージ)

4 試験のルールを知る!
4.1 試験に関わる勘違い
4.2 Ⅰ必須科目
4.3 Ⅱ選択科目
4.4 Ⅲ選択科目
4.5 そもそも作問者,採点者は誰か?
4.6 筆記試験(記述式)のルールのまとめ

5 勉強方法を知る!
5.1 試験に関わる勘違い
5.2 平成31年度技術士試験の試験方法の改正に向けた勉強の方針
5.3 先行的に着手しておいたほうがよい問題
5.4 文章を書く前に考え抜いているか?
5.5 問いを押さえて考え抜くために
5.6 論文構成の可視化の手順
5.7 論文構成の可視化の例
5.8 答案の記載例
5.9 知識偏重から脱却して,あるべき学習サイクを素早く回す
5.10 学習サイクルを回す上での難所
5.11 「論文構成の検討」で留意すべき
5.12 「添削・修正」で留意すべきこと
5.13 「基本の修得」で留意すべきこと
5.14 過去問分析とキーワード分析
5.15 集団で成長する
5.16 Ⅱ選択科目のうち専門知識に関するものの勉強方法
5.17 Ⅰ必須科目の勉強方法
5.18 たくさんの過去問を浴びるように取り組む

6 自分に合った計画を立案する!
6.1 試験の難所
6.2 技術士になる動機は育つもの,勉強に向ける意欲を強くする
6.3 キャリアと技術士。人生でいつ技術士が必要か?
6.4 短期的視点だけでなく長期的視点で勉強に臨む
6.5 とりあえずの勉強量の目安
6.6 次回試験に向けての勉強スケジュールを作成する
6.7 勉強を始める代わりに何をやめるかを決める

7 自分をモチベートして勉強を継続する!
7.1 試験の難所
7.2 勉強を続けられる環境を整える
7.3 勉強スケジュールを進捗管理して自分を律する
7.4 模擬試験等を実施する
7.5 セミナーなどを受講する
7.6 合格体験記を読む
7.7 周りの人の力を借りる
7.8 技術士になる動機を育てる
7.9 自分の意欲に応じて勉強を進める

8 筆記試験本番

9 第二次試験口頭試験対策

10 合格体験記
10.1 建設コンサルタント会社Aさん
10.2 建設コンサルタント会社Bさん
10.3 建設コンサルタント会社Cさん

おわりに

下所 諭 (著), 技術士の学校 (監修)
出版社: 中央経済社; 第2版 (2018/11/23)、出典:出版社HP

目次 – 技術士第二次試験 合格する技術論文の書き方 【第2版】 (国家・資格シリーズ 382)

はじめに(新試験制度を折込み新規改訂)

新試験制度は、2019年に改正され2019年7月15日に筆記試験が実施されました。今回は、筆記試験の実施を確認して最新情報を折込みました。新試験制度に重きを置いて改訂していますので、より良い参考書になったと自負しています。

さて技術士試験制度は、2007年(平成19年)2013年(平成25年)2019年と6年ごとに改正されています。2018年までは筆記試験の必須科目で択一式が実施されていました。2019年度からは筆記試験すべてが記述式で実施されています。その他では、選択科目の統廃合や名称変更が実施されました。

さらに技術士試験制度の在り方が海外の動向を合わせ論議され、技術士にコンピテンシー(資質能力)が求められています。特に、問題解決能力と課題遂行能力が重視されることになり、ますます難易度が増しています。

これから技術士試験を受験される技術者の皆さんが一人でも多く合格して頂きたいと考え、この本は、最速合格するためのテクニック本としています。

JES技術士セミナーには、極めて多くの受講生が参加されています。受講生は、北は北海道から南は九州 沖縄(宮古島)まで広い範囲から集まっています。遠隔地の人は、夜行バス 飛行機で上京し前泊で参加されています。さらに海外からは、インターネットセミナーに参加されています。

これら多くの人が、東京都北区で開催するセミナーに参加されるのは、ひとえにJES技術士セミナーの解り易さと最も効果的な攻略法により挑戦することで最速合格できるからです。

しかしながら、スケジュールが合わない人や高額の交通費の関係で参加できない人がいるのも事実です。一人でも多くの人に、JES技術士セミナーを味わって頂こうと最速合格できるテクニックを公開することにしました。

今回は、セミナーの全容を網羅するなどVR(仮想現実)的に記述、表現化を試みました。こうして完成したのがこの書籍です。この書籍を読まれた人が、一人でも多く技術士試験に合格されることを著者一同切に願っております。

執筆者代表 坂林和重

足立 富士夫 (著), 小西 和洋 (著), 坂林 和重 (著)
出版社: 弘文社; 2版 (2019/11/10)、出典:出版社HP

本書の活用法

本書は、技術士第二次試験にチャレンジしようとする技術者の皆さんを対象に、技術士筆記試験に合格できる論文の書き方について説明しています。特に、試験問題からキーワードを抽出し、解答論文への論点の絞り込みを行い、文章への展開を具体的に示しております。

本書は、毎日行っている業務でも使用できるように、技術報告書や技術提案書、業務日誌など、技術論文などの書き方の要点を示し、論文記述の共通点である「論文の書き方」を説明します。技術士第二次試験の解答論文の書き方を示し、高得点論文作成法をまとめたものです。

技術士第二次試験の試験対策は、準備の良し悪しが合否に直結します。したがって、具体的な準備の内容を説明し、試験時、試験後にどのような注意点があるかを説明しています。

平成31年(2019年)度から技術士第二次試験の試験制度見直しが決定し、必須科目は択一問題から論文記述問題に変更されます。したがって、論文の書き方の重要性が高まりました。本書の内容を理解し、あらゆる文書試験(他の国家試験や昇進試験)にも対応し、合格レベルの内容に仕上げられる要点を示していますので熟読してください。

足立 富士夫 (著), 小西 和洋 (著), 坂林 和重 (著)
出版社: 弘文社; 2版 (2019/11/10)、出典:出版社HP

本書の構成

本書は、第1章から第7章で構成しております。この7つの章を大きく3区分し、第1章から第3章は、技術士第二次試験における論文に対し、次のようにまとめました。
1. 分かりやすい論文とはどのような論文か
2. 試験論文の基本的な事項と合格論文の内容
3. さらに高得点が得られる論文に仕上げる方法

第4章と第5章は、過去問題分析によるキーワード学習の内容と文章の心得を10か条にまとめています。第6章と第7章では、技術士第二次試験の試験対策と試験時、試験後の注意点を示し、最後にキーワードの事例を6部門掲載しています。また、令和元年度の必須科目の解答例と選択科目についても過去問題を解答し論文の書き方の実例を示し試験対策として活用できるようにしました。

以下に各章ごとに説明します。

第1章 分かりやすい文章の書き方
「技術士論文とは相手に分かりやすい論文」の必要性を説明しています。分かりやすい論文を書くときに気をつけるべき事項をまとめました。

第2章 技術士論文作成の基本事項
本番に役に立つ項目を示し、技術士論文で評価が得られる論文とはどのような論文かを示しています。

第3章 技術士論文作成の注意確認事項
論文の具体的な内容を示し、注意事項をまとめ、合格論文の内容を示しました。さらに合格点が得られる論文に仕上げる方法についてもまとめました。

第4章 過去問題分析によるキーワード学習の重要性
3つの技術部門の過去問題から、キーワードを抽出しキーワード分析の具体的結果を載せています。

第5章 伝わりやすい文章の心得10カ条
文章を書くときに注意しなくてはならないこと、心がける項目を心得10カ条にまとめています。

第6章 技術士試験 準備編・実践編
技術士第二次試験の準備と実践を実例とともに示しました。これから技術士第二次試験を受験される方は、この項目に示した内容を理解して準備し、実践で活用していただきたい内容です。

第7章 技術士試験(3部門)論文の書き方の実例
論文の書き方を説明します。キーワードの事例を6部門それぞれに300個を取りあげております。また、建設部門、機械部門、電気電子部門の3部門の解答論文の書き方を実例として説明しています。平成29年度の過去問題から解答用紙への書き方を順序に沿って書いていますので、参考にできる内容となっています。

足立 富士夫 (著), 小西 和洋 (著), 坂林 和重 (著)
出版社: 弘文社; 2版 (2019/11/10)、出典:出版社HP

目次

第1章 分かりやすい文章の書き方
1 技術士論文とは分かりやすい論文
2 問題配布から論文の書き始めまで
3 論文を書き始めてからの心構え
4 論文を書き終えてからの確認

第2章 技術士論文作成の基本事項
1 技術士論文とは
2 技術士論文は設問に忠実に答える
3 解答論文作成のプロセス
4 論点の絞り込みについて
5 質問内容と結論が一致しているか
6 顧客満足論文の原則
7 見栄えの良い論文
8 技術士論文にふさわしい考え方
9 受験申込書と業務内容の詳細な書き方

第3章 技術士論文作成の注意確認事項
1 論文構成と文字量の考慮
2 あいまいな表現は避ける
3 答案で避けたい表現
4 解答論文は図・表と数値で示す
5 短い文での書き方
6 論文作成の基本
7 高得点を得る論文構成
8 推敲でさらに高得点

第4章 過去問題分析によるキーワード学習の重要性
1 過去問題分析の概要

<建設部門>
2-1 建設部門の過去問題 平成26年度~令和元年度の選択科目Ⅲでのキーワードと絞り込み条件
2-2 建設部門の過去問題分析の重要性について選択科目Ⅲでの検討
2-3 キーワード分析結果から論文作成への具体的な展開

<機械部門>
3-1 機械部門の過去問題 平成26年度~令和元年度の選択科目Ⅲでのキーワードと絞り込み条件
3-2 機械部門の過去問題分析の重要性について選択科目Ⅲでの検討
3-3 キーワード分析結果から論文作成への具体的な展開

<電気電子部門>
4-1 電気電子部門の過去問題 平成26年度〜令和元年度の選択科目Ⅲでのキーワードと絞り込み条件
4-2 電気電子部門の過去問題分析の重要性について
選択科目Ⅲでの検討
4-3 キーワード分析結果から論文作成への具体的な展開

第5章 伝わりやすい文章の心得10カ条
第1条 文章は書くときよりも、書く前の準備に時間をかける
第2条 文章は巧みさでなく、情報の中身のよさで納得させる
第3条 分かりにくい言葉は、最初に定義しておく
第4条 「これ」「それ」「あれ」「ここ」「そこ」は具体的な言葉に置き換える
第5条 「さらに」「次には順序の関係を明確にする
第6条 最初はすべての文章に主語を入れてみる
第7条 「もの」や「こと」を使わないようにすると文章が明確になる。
第8条 論文展開はパターンに当てはめて説明する
第9条 文章を書き終えたら5W3Hで内容を確認する
第10条 推敲するときは、「だから、どうした」と自問自答する

第6章 技術士試験準備・実践編
1 キーワード学習は過去問題の分析から
2 三分割展開法でのキーワードの作り方
3 勉強方法について
4 試験準備の確認
5 試験当日に行うこと

第7章 技術士試験(3部門)論文の書き方の実例
1 論文の解答方法とキーワード事例
2-1 建設部門 必須科目解答例
2-2 建設部門 選択科目 論文実例
3-1 機械部門 必須科目解答例
3-2 機械部門 選択科目 論文実例
4-1 電気電子部門 必須科目解答例
4-2 電気電子部門 選択科目 論文実例

あとがき
参考資料

足立 富士夫 (著), 小西 和洋 (著), 坂林 和重 (著)
出版社: 弘文社; 2版 (2019/11/10)、出典:出版社HP

目次 – 技術士第二次試験 評価される論文の書き方〈第2版〉

はじめに

(1)技術士と技術士試験

技術士は,国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で,科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格です。特に公共事業のプロポーザルでは,技術士資格が評価ポイントになっている場合が増え,技術士の必要性が増しています。

技術士になるためには,技術士第一次試験の合格(又は指定された教育課程の修了),所定の業務経験,技術士第二次試験の合格が必要になり,長い道のりになります。

第二次試験は筆記試験と口頭試験で構成されますが,技術士試験のうち最大の関門となっているのが,第二次試験の筆記試験です。筆記試験は,記述式(論文の記述)となります。

(2)記述式における実例

記述式では,次のような問題が出題されます。
専門でない方がほとんどだと思いますが,この問題について考えます。

平成25年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕
建設環境 【選択科目Ⅲ】

答案用紙3枚以内(600字×3枚以内)にまとめよ。

Ⅲ-1 我が国における総CO22排出量においては,都市における社会経済活動に起因することが大きい家庭部門やオフィスや商業等の業務部門と自動車・鉄道等の運輸部門における排出量が全体の約5割を占めている。このような状況を踏まえ,建設環境の技術士として以下の問いに答えよ。
(1) 低炭素都市づくりを実現するための方策を3つ具体的に示し,各々の方策が低炭素に寄与する仕組みを述べよ。
(2) その方策のうち,あなたが重要と考えるもの1つについて,その理由を説明するとともに,その方策の実施に当たっての技術的課題を述べよ。
(3) 上記の課題を解決するための技術的提案及びその提案の留意点やリスクについて述べよ。

例えば,下線の(1)に対して図0-1に示すような論文構成と内容を考えたとします。
この論文構成は,技術士としてふさわしい解答として評価されるでしょうか?

「低炭素都市づくりを実現するための方策を3つ具体的に示し」に対して,「公共交通機関の利用促進」「交通流対策の推進」「エコカーの推進」の方策をあげています。
しかし,3つの方策は,この3つで本当に適切でしょうか?
それぞれの方策は,問題のとおり低炭素に寄与する仕組みを述べています。
しかし,低炭素に寄与する仕組みは,例に示す記載で本当に十分でしょうか?
改めて考えてみると,なんとなく違和感を感じる人もいるかと思います。この論文構成について,技術士試験で求められる能力といった観点から見ていくことにします。

図0-1 低炭素都市づくりを実現するための3つの方策と低炭素に寄与する仕組み(例1)

(3)そもそも技術士試験で求められる能力とは?

そもそも,技術士の筆記試験では何が求められているのでしょうか?

もちろん,技術士にふさわしい専門知識を修得している必要があります。しかし,平成19年度に技術士試験の試験方法が大きく改正され,現在,筆記試験では,専門知識だけでなく,問題解決能力及び課題遂行能力,応用能力等が重視されるようになりました。このため,専門知識をただ知っているだけでなく,専門知識を用いて,課題を適切に解決しているかということが厳しく確認されるようになりました。

先ほど例題で示したⅢ選択科目では,問題解決能力及び課題遂行能力が確認されます。見落としている受験者もいるかもしれませんが,このような技術士試験で求められる能力の概念等は公表されています(表0-1参照)。
解答を考える際には,これらを十分に踏まえる必要があります。

表0-1 出題内容等について(Ⅲ選択科目)

概要 社会的なニーズや技術の進歩に伴い,社会や技術における様々な状況から,複合的な問題や課題を把握し,社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て,問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力
出題内容 社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。
評価項目 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち,専門的学識,問題解決評価,コミュニケーションの各項目

出所:「平成31年度技術士試験の概要について」(公益社団法人日本技術士会)

例えば,出題内容に「多様な視点」と「課題の抽出」といった記載があります。
この出題内容に照らし合わせれば,前掲図0-1の解答では,「本当に多様な視点で検討しているのか?」と「本当に適切な課題が抽出されているのか?」といった点で疑問が残ります。これでは,採点者から良い評価をもらうことは難しいと思います。

(4)修正の例

技術士試験で求められる能力といった観点から,次に前掲図0-1の解答の修正例を示します。

3つの方策としては,その中に国が重要と考える「集約型都市構造への転換」を含めました。また,自動車のCO22排出量の削減に向けた方策だけでなく,住宅等のCO22排出量の削減に向けた方策も含めました。

そして,「公共交通機関の利用促進」の低炭素に寄与する仕組みの記載については,低炭素に寄与する仕組みだけでなく,前段に現状の都市が抱える問題点について言及するようにしました。
これで違和感が消えたのではないでしょうか?

【低炭素都市づくりを実現するための3つの方策】
方策① 公共交通機関の利用促進
方策② 交通流対策の推進
方策③ エコカーの推進

修正の例

方策① 集約型都市構造への転換
方策② 公共交通機関の利用促進
方策③ 省エネルギー建物への更新

【低炭素に寄与する仕組み】
方策① 公共交通機関の利用促
CO2,排出量の少ないバス等の公共交通機関に移行し,CO2排出量を削減する。

修正の例

方策① 公共交通機関の利用促進
利用が多い自動車は,1人当たり輸送のCO2排出量がバス等に比べて大きく,CO2排出量への寄与が大きい。このため,CO2排出量の少ないバス等の公共交通機関に移行し,CO2排出量を削減する。

(5)試験当日に作成する答案

実際の試験では,前述したような技術士試験で求められる能力を十分に考慮しながら,複雑な問題文への答案を答案用紙600字×3枚(Ⅲ選択科目の場合)に示す必要があります。

一方で,試験では制限時間が設けられているため,多くの受験者が答案を埋めることだけに意識をとられ,思いつくままに答案を書き始めてしまいます。その結果,技術士試験で求められる能力について意識を向けないまま答案を作成してしまいます。このような答案の作り方では,なかなか評価されにくいと考えます。

実際の試験で,適切な答案を作成するためには,最初,答案を書き始める前に,求められる能力を踏まえて論文構成を十分に検討する必要があります。

では,具体的にどのレベルまで論文構成を検討する必要があるでしょうか?先ほどの例題について,どこまで論文構成を作り込む必要があるかは人によって異なりますが,論文構成の例を図0-2に示します。

私たち「技術士の学校」は,実際の試験のときにこのレベルまで紙に書いて具体化することを目標にしています。技術士試験で求められる能力をアピールするためには,最初の段階で図0-2に示すレベルで論文構成を作り込んだほうがよいと考えます。

このため,筆記試験に向けては,このレベルの論文構成が実際の試験のときに作成できるように,トレーニングを繰り返す必要があります。

本書では,技術士試験で求められる能力を踏まえて,適切な論文構成を検討するための考え方や思考プロセスについて説明します。

下所 諭 (著), 技術士の学校 (監修)
出版社: 中央経済社; 第2版 (2018/11/23)、出典:出版社HP

(6)平成31年度の試験方法の改正について

平成31年度においては,試験方法の改正がされました。本書は,平成31年度の試験方法の改正に対応した内容となっています。

この試験方法改正では,筆記試験において,必須科目がマークシートの択一式から記述式に変更となりました。今後,必須科目も記述式に対応する必要があり,筆記試験はすべて記述式となりました。

(7)本書の位置付け

前述のような,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセス等は,有能な技術士の暗黙知であり,形式知として共有される機会は少ないのが実情です。

筆記試験に合格するためには,技術士として評価される論文を量産できるようになることが重要で,そのためには,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につける必要があります。

一方で,技術士筆記試験の参考書を見ると,解答例について示しているものは多いのですが,どのような考え方,思考プロセスで論文を書けばいいかについて詳しく言及しているものはあまりないと感じました。

図0-2実際の試験のときに作成する論文構成の例

平成25年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕
建設環境【選択科目Ⅲ】
Ⅲ-Ⅰ 我が国における総CO2排出量においては,都市における社会経済活動に起因することが大きい家庭部門やオフィスや商業等の業務部門と自動車・鉄道等の運輸部門における排出量が全体の約5割を占めている。このような状況を踏まえ,建設環境の技術士として以下の問いに答えよ。
(1) 低炭素都市づくりを実現するための方策を3つ具体的に示し,各々の方策が低炭素に寄与する仕組みを述べよ。
(2) その方策のうち,あなたが重要と考えるもの1つについて,その理由を説明するとともに,その方策の実施に当たっての技術的課題を述べよ。
(3) 上記の課題を解決するための技術的提案及びその提案の留意点やリスクについて述べよ。

本書では,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセス等を,具体的な例題を通してできる限り形式知として表現することを試みました。例題を用いながら,できる限り具体的なイメージを持っていただけるようにと心がけました。そして,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセス等を踏まえてどのように論文を書けばいいかについても説明しています。

本書の構成は以下のとおりです。
○技術士試験の最難関課題! 筆記試験の記述式問題
○平成31年度技術士試験の試験方法の改正に向けた勉強の方針
○「Ⅲ選択科目」
○「Ⅱ選択科目」
○「I必須科目」
○論文を書く
○さらに合格に近づくための重要ポイント

技術士試験で求められる能力について理解を深め,技術士としてふさわしいと評価される論文を書くために,本書を活用していただければ幸いです。また,短い時間で本書の内容を深く理解したい場合は,私たち「技術士の学校」の提供する対策講座も有効になると考えます。

本書の活用のポイント
本書は,最初のページから通読するというよりも,勉強の進歩を踏まえて,理解を深めたい箇所を探しながら,現状で必要な箇所を読んでいただければと思います。

(8)技術士試験の最難関課題!筆記試験の記述式問題

第二次試験の筆記試験の合格率は十数%であり,記述式の成績が合否を分けます。
試験方法の改正により,記述式は暗記では対応できない試験となっています。

一方で,これまでの私たちの勉強方法は,知識の修得に偏重しています。
知識はもちろん必要ですが,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるためには,知識の修得とは別の勉強方法が必要となります。

ここでは,技術士試験で求められる能力,筆記試験(記述式)のルール,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるための勉強方法の概要について示します。

なお,技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるための勉強方法について,詳細は姉妹書の『技術士第二次試験 最短ルートの正しい勉強法』(中央経済社刊)に整理しています。

(9)平成31年度技術士試験の試験方法の改正に向けた勉強の方針

今後は,平成31年度における試験方法の改正を踏まえて勉強する必要があります。
「平成31年度技術士試験の概要について」(公益社団法人日本技術士会)には,技術士試験で求められる能力についての概念,出題内容,評価項目が明記されています。これらの項目が定められているということを,まずは理解しておく必要があります。

また,改正を踏まえて,必須科目,選択科目で,優先して着手しておいたほうがよい科目について考えます。

(10)「Ⅲ選択科目」,「Ⅱ選択科目」,「I必須科目」

筆記試験においては,問題解決能力及び課題遂行能力,応用能力等が確認されます。
問題解決能力及び課題遂行能力,応用能力等については,出題内容等が示されていますが,抽象的な表現となっており,これだけでは,具体的なイメージをつかみにくいと思います。

これらについて,本書では例題を用いて具体的なイメージをつかめるように解説します。さらに,留意点や,よくある設問への対応についても解説します。

本書では,優先的に着手したほうがよい科目の順番も踏まえて,「Ⅲ選択科目」,「Ⅱ選択科目」「I必須科目」の順番で解説することとします。

(11)論文を書く

筆記試験は,合格率が10~20%であり,5人~10人のうち1人に入らなければパスできない狭き門となっています。答案を採点する採点者に対して,技術士としてふさわしい考え方をしていることを,答案を通じてアピールする必要があります。

しかし,ぱっと見て何を記載しているかわかりにくい答案をよく見かけます。答案がわかりにくいということだけで,こちらの意図がうまく伝わらずに他の受験者に遅れをとってしまいます。

このため,論理的な論文構成を答案に表現し,記載されている内容がぱっと見て理解してもらえる答案を作ることが重要となります。このような「見てわかる」答案の作成方法について説明します。

(12)技術士を志す人たちに向けて

私たちは「技術士の学校」という技術士筆記試験を支援するサービスを提供しています。技術士の筆記試験について受験者を支援する過程で,彼らは技術士資格取得だけにとどまらず,技術者として大きく成長していることを実感しました。

本書が,技術士を志し,技術者としてプロフェッショナルになりたいと考える人たちの参考になれば幸いです。

下所 諭 (著), 技術士の学校 (監修)
出版社: 中央経済社; 第2版 (2018/11/23)、出典:出版社HP

目次

はじめに

1 技術士試験の最難関課題! 筆記試験の記述式問題
1.1 技術士と技術士試験
1.2 第二次試験のうちの筆記試験
1.3 筆記試験の成績及び結果の例
1.4 技術士試験で求められる能力
1.5 筆記試験(記述式)のルール
1.6 技術士としてふさわしい考え方,思考プロセスを身につけるための勉強方法
1.7 本書の位置付け

2 平成31年度技術士試験の試験方法の改正に向けた勉強の方針

3 「Ⅲ選択科目」
3.1 Ⅲ選択科目で求められる能力を理解する
3.2 「多様な視点」とは何か?
3.3 「多様な視点」で考える
3.4 「課題の抽出」とは何か?
3.5 「課題の抽出」を行う
3.6 「問題解決のための手法,その遂行方策」を提示する
3.7 問いを押さえる, 押さえ続ける
3.8 最後の設問から考える
3.9 重要と考えるもの1つについてその理由の説明
3.10 情報を探す
3.11 論文作成のプロセス
3.12 留意点

4 「Ⅱ選択科目」
4.1 Ⅱ選択科目で求められる能力を理解する
4.2 「与えられた条件」
4.3 「業務遂行手順」
4.4 「留意すべき点,工夫を要する点」
4.5 情報を探す
4.6 留意点
4.7 「Ⅱ選択科目」のうち専門知識に関するもの

5 「I必須科目」
5.1 I必須科目で求められる能力を理解する
5.2 I必須科目対策

6 論文を書く
6.1 避けたい答案の例
6.2 「見ただけでわかる」答案を作る
6.3 文章の長さ
6.4 Ⅲ選択科目の答案の例
6.5 Ⅱ選択科目の答案の例

7 さらに合格に近づくための重要ポイント
7.1 試験本番を想定し続ける
7.2 技術士試験で求められる能力を磨き上げる
7.3 最短で専門知識を身につける
7.4 日常の業務等を通じて技術士試験で求められる能力を身につける

おわりに

下所 諭 (著), 技術士の学校 (監修)
出版社: 中央経済社; 第2版 (2018/11/23)、出典:出版社HP

目次 – 聴く! 技術士二次試験 一発合格のツボ

はじめに

もしかしたら、あなたは、
「俺は、技術士なんかにはなれそうにないなあ…」と、思い込んではいないだろうか。
「文章なんて苦手だし、大した業務経験もないし…」
「だいたい仕事が忙しすぎて時間もないし、無理だよなぁ…」などと、勝手に未来を決め込んではいないだろうか。
結論から言う。次の技術士二次試験で、あなたは合格する。あなたは、惚れ惚れする業務経歴票を携えて意気揚々と筆記試験に臨み、スラスラと淀みなく合格答案を書き上げ、そして口頭試験で試験官が思わず唸るような回答を繰り出してしまう。

これは、疑いようのないあなたの近未来の事実だ。今のあなたは、まだ、この未来の事実を計るかもしれない。確かに、あなたが今まで歩んできた軌跡を振り返ってみたら、このことに疑念を感じてしまうのもわからないではない。

ただ、あなたがそうした過去の呪縛から逃れ、新しい着想のもとで、新しい“ノウハウ”を知ってしまったとしたのなら…今のあなたには想像し得ない未来に到達してしまうのは、むしろ当たり前ではないか。その、今のあなたが想像し得ない未来こそ、「次の技術士二次試験で、あなたは合格する」という未来なのだ。

それでもまだ、疑念は拭えないかもしれないが、今はまだそれで良い。ただ、本書の読後、その深い疑念は驚くほど完璧にあなたの脳裏から払拭されているだろう。

ご紹介が遅くなったが、本書は、2011年3月10日、あの東日本大震災の前日に発行した『聴く! 技術士二次試験論文のツボ』の後継版である。兼ねてより多くの方々から改訂版のご期待を頂いていたのだが、この新版をもって、ようやくそれにお応えさせて頂くこととなったものである。

●哲学科出身のダメ技術者が一発で合格し続けたワケ

冒頭から突拍子もないことを述べてしまったが、そんなことを言う私は、実は文系の出身だ。しかも、経済学部や法学部などの実学ではなく、それとは正反対の、文学部、しかも哲学科という、文系のなかでも最も抽象的な分野が、私の出自だ。

小学生の頃から算数が大の苦手で、テストがあると空欄ばかりの答案を前にいつも頭を抱えていた。そんな一方、国語の教科書に出てくる森鴎外や松尾芭蕉などの小説、詩歌に魅了され、先生の声がだんだん遠くなり、いつの間にか、その世界に引き込まれ夢想に耽ることがしばしばあった。

そんな私がなんとなく進学したのが、哲学科だった。しかし、バブル期とも相まってフワフワしていた私は、当然のごとく進路に思い悩むことになり、みんな就職するのだからと、何のこだわりもないままに就職活動をこなし、一番初めに内定を頂いた機械メーカーの営業職に就いた。

しかし、配属先の大阪で私を待ち受けていたのは、何とも遣る瀬ない日々だった。
昼は顧客の「ジブン何してくれてんねん!!」の恫喝に怯え、夜は先輩社員の「飲みに行くぞー! つきあえ!!」の命令に苦しみ、お金も時間も、喜びも、何も残らない生活を送る毎日だった。

「俺の人生は、このまま、終わってしまうのかなあ、と、悶々とする日々を送っていた。ただ、そんな現状を何とか打開したいという焦燥感には常に駆られていた。そんなある夜、相変わらず顧客の叱責を受けてブルーになっているところを先輩につかまって、「ちょっと一杯いけへんか?」。

大阪の難波駅近くの居酒屋。先輩が繰り出す会社批判、同僚批判に愛想笑いを浮かべ続ける続ける虚無な時間が過ぎ、ようやく解放され我に返った夜の10時過ぎ・・。そんな時でも何か打開の糸口を掴みたかった私は、ふと、目の前にあった閉店間際の書店に入り、たまたまある本を手に取った。

旧建設省の関正和(故人)さんという方が書いた『大地の川』という本だ。実はこの本、河川分野で、三面コンクリート張りの川に自然を回復させるという概念を定着させた、有名な1冊だった。本屋で吸い込まれるように数十ページをサーっと立ち読みした私は、帰りの電車のなかでも、一人暮らしの部屋で夜が更けゆくのも構わず、何かにとり憑かれたように、一気にその本を読み切ってしまった。

読了したのは、未明の静寂のなか。私の心に、とうとうブレイクスルーが起きた。「自然を回復する・・・なんて素晴らしい職業があるんだ!」当時二十代後半だった私は、年齢も省みずに大学工学部に学士入学する決意を固め、そして土木業界、それも、川をきれいにする下水道の世界へ飛び込むことになったのだ。

しかし、技術者になりたての私を、新たな苦しみが待ち受けていた。「君は、経歴が経歴だからもうちょっとがんばるかと思っていたけど…、まあまあだね…良くも悪くもない…」「今年も、私の後輩で、君みたいなちょっと変わった経歴の人の入社の話があったけど、私は合格させなかったよ」

これは、当時の上司の言葉だ。恥を晒すようだが、数理的な感覚に疎い私は、専門知識の不足に起因するものから単なるケアレスミスまで、実に多くの失敗を繰り返してきた。業を煮やした顧客から私の上司に直接クレームが飛んできたこともある。そして、そのクレーム処理票が社内のクレーム対処法の見本として公表されてしまったことすらある…。
当時の上司の指摘は、残念ながら的確だったのだ。

だが、私は、決して手を抜いていたわけではない。むしろ、誰よりも真剣だった。だからこそ、誰よりも苦しかった。原因は、センス、実力、人間関係など、いろいろとあったのだろう。

ただ、自分に対する期待が大きかった分、次第に厭世観が強まり、どん底へと転がり落ちたまま、一向に浮上する気配がなかった…。そんな私が、なぜか一発合格を続けてきたのである。技術士補、下水道技術検定一種、技術士(上下水道部門)…。

そして総合技術監理部門の時には、一発合格については自分でも“きっとそうなるだろう”という蓋然性を感じながらの受験となった。そして案の定、合格した。その年は、直前まで多忙を極めていて、ほとんど学習らしいことはできかなかったのだが…。

これは、明らかに運ではない。実力でもない。では、一体何なのか。それは…、ノウハウを持っていたからである。それまでの受験体験をベースにして技術士受験におけるノウハウをつくり上げ、そしてそのノウハウを実践していったことが、一発合格という結果をもたらしたのだと思っている。私は、本書のなかでその一発合格のノウハウをあなたに授けようと思う。

●あなたに必要なのは、根拠のない自信

ただ、誰にも彼にもこのノウハウを授けるのにはためらいがある。なぜなら、このノウハウは、私が自分自身の人生を真剣に考えて、必死の思いで築き上げたものであり、私自身の宝物であるからだ。

だから、自分自身と向き合わず、家族を大切に考えず、単に楽して技術士試験に合格できさえすれば良いと言う人に伝えたいとは、決して思わない。たとえどのような対価が用意されていようとも、そうは思わない。

その一方で、自分の力でなんとか人生の壁を打開したい、這い上がりたい、と真摯に考え、そしてそのために必要な努力を惜しまない人には、果てしない同情を感じ、私のような者が持つノウハウでよければ、隅から隅までさらけ出したいという気持ちを抱いている。

私は、あなたは後者であると信じる。ならば、私のこの期待に応えてみてはどうか。少なくとも、「自分には一発合格なんてできないかも….」などと、最初の可能性を狭めてしまうようなことだけは、決して考えないでほしい。

禁物だ。すべてにおいて、この後ろ向きな考え方は、厳禁だ。成功は、あなたが「自分もなんとかなるかも…」と根拠のない自信を持つことに萌芽するものなのだから。そのようなあなたに本書でお伝えする技術士二次試験の一発合格のノウハウは、実はすべての技術部門において共通なもの、普遍的なものである。

技術部門の相違というのは、単にそれぞれが保有する知識のジャンルが異なるだけであり、その知識を駆使して問題を解決し課題を遂行するプロセスについては、まったく同じである。部門は違えど同じ技術士なのだから、そうでなければおかしい。

そのようなことから、本書ではそれぞれの技術部門の技術者として保有すべき専門知識そのものについては収録の対象としていない。ただ、本書では、この専門知識について、きわめて効率的に習得する手法をあなたにお伝えする。このような本書は、あなたが一発合格するために必要な努力を惜しまないことを前提に、たとえ今のあなたがどのようなレベルにあったとしても、筆記試験当日になんとか合格の可能性が60%に達することを目標に、不必要な努力を排除することを第一に考え、執筆したものである。

したがって、本書を手に取ったというあなたの小さな行動は、おそらくあなたの未来を切り開いていくことになるだろう。ぜひあなたも、本書をもとに堂々と根拠のない自信を抱き、後ほど示す超効率的な学習を行って、技術士二次試験に悠々と一発合格しようではないか。

山崎 恭司 (著)
出版社: 学芸出版社 (2018/12/2)、出典:出版社HP

●あなたの現状がどうであろうと、まったく心配する必要はない

あなたは、きっと民間企業や官公庁、各種団体などにおいて理工系の専門分野で働いている技術者なのだろう。かつては高校もしくは専門学校、大学や大学院で理工系学科の学業を修め、いまの技術職に就いているのだろう。そんなあなたの子供の頃は、私と違って国語より算数、社会より理科が好きだったのではないだろうか。

ならば、もしかしたら今のあなたは“文章を書く”という行為を苦手だと感じてはいないだろうか。もしそうだとしたら残念なのだが、後述するとおり、この技術士二次試験では、一級建築士試験などとは異なって“論述力”が大きなポイントになる。

冒頭に述べたとおり、本書の著者である私は元々文系の出身である。その属性は、悲しいことに未だに抜け切っていない。というのは、報告書の作成など文章を書く作業は嫌いではないのだがこと数理的根拠をもとにして考察を加えるような作業は、恥ずかしい話、滅法弱いのが正直なところだ。

はっきり言って、向き不向きで言えば、このような工学的技術を売りにする職業は私には向いていなかったかな…とも感じている。あなたは、きっとそんな私のような深刻な状態にはないだろう。おそらく、技術を売り物にする今の職業に対して私ほどの違和感は感じていないことだろう。

しかし、文章を書くという面では、どうだろうか。私のような変わり種が比較的得手としているのに対し、あなたも含めた多くの技術者は、作文を不得手だと思い込んではいないだろうか。

あなたは学生時代に卒業論文の作成を経験しているかもしれないが、理工学系の場合、あくまでも研究成果の内容や論拠となるデータの客観性などといったものについて正確であることが求められ、その研究の意義やデータの客観性をいかにわかりやすく表現するかということについて、考えを巡らせたことは、あまりなかったのではないだろうか。
そんなあなたが、論述が大きなポイントとなる技術士試験にこれから挑もうとしているのだ。
「筆記試験が記述式問題ばかりになって、ハードル高そう…」
「アピールするほどの立派な業務経験なんてないし…」
「そもそも、仮に合格したって技術士をやっていける自信ないし…」などと、思い込んではいないだろうか。

繰り返すとおり、自分の可能性を狭めるこのような思考は禁物だ。もっとも、あなたの不安も、わからないではない。確かに、私がこれまでに依頼されて添削した業務経歴票などを振り返ってみても、論旨が明快で自分の考えを相手に訴えるような迫力のあるものは少なく、上出来であっても淡々と事実関係だけを並べ続ける、いわゆる「業務報告」にとどまっているものが多い気がする。

なかには、内容以前に、作文として驚くほどレベルが低いものもある。もしかしたら、あなたにも当てはまっているのかもしれない…。ただ、心配することはない。あなたの現状がどうであろうと、まったく心配する必要はない。

なぜなら、「君には技術者としての適性が感じられない」と上司から烙印を押されたような私ですら、あるノウハウを実践することによって、技術系資格試験をすべて一発で合格してきた実績があるのだから。

私は、あなたに、本書を通じて度重なる試行錯誤と幾多の挫折のうえにつくり上げた技術士二次試験における一発合格のツボをお伝えする。あなたは、私の示すノウハウを実践しながら、技術士合格への道を短期間に突き進み、来春以降はもう技術士として活躍されていることだろう。

●あなたの本当の勝負は、技術士になってからのその先にある

あなたは次の技術士試験において、おそらく合格という成果を手に入れる。それは、未来のこととは言え、もはやほとんど決まっている予定のようなものだ。あなたは、その“未来の事実”を、決して疑ってはいけない。なぜならそれは、技術士試験はあなたの成功のための1つのステップに過ぎないからである。

では、そもそもあなたは、何のために技術士の資格を取得しようとしているのだろうか? みんなが取るから、あなたも何となく取るのだろうか。技術士の資格をとって、今までと同様、いや、今までよりもなお一層、業務に忙殺されるだけの毎日を送りたいのだろうか。

上司や顧客の顔色を伺いながら、辛い思いをして膨大な業務をこなす毎日…それが果たして目的なのだろうか。望んでいる姿なのだろうか。そのような努力があなたに“シアワセ”をもたらすのだろうか。あなたが「技術マニア」なのであれば、それで良いのかもしれない。

しかし、あなたはどうなのか?あなたは、そのような単なる「技術マニア」で終わる人生を送って、果たしてシアワセになれるのか?これを機に、一度真剣にあなた自身に問いかけてみてほしい。他ならないあなたの人生なのだから。

あなたは組織のコマとして、組織が繰り出す方針や命令に唯々諾々と従い続け、家族とわが身を犠牲にして、組織の都合を最優先にするような生涯を歩むのだろうか。それとも、組織の常識に依存せず、あなた自身の価値基準をもとに能動的な判断を繰り返し、組織と共に成長していく人生を選択するのだろうか。

私は、前者のような人生を否定しないし、無意識のうちにそのような判断をしている人が大多数であることも、事実であろう。しかし、大事なことは、「一体、自分はどう生きたいんだ?」というQuestionを人生も半ばに差し掛かりつつあるような自分に対して改めて投げつけるだけの勇気があるかどうか、なのである。

無論、あなたにとっての成功とは、あなた自身がシアワセな人生を送ることに他ならない。シアワセをもたらさない出世や財産は、何ら成功の尺度とはなり得ない。あなたはきっと、今後の自分の歩む道を真剣に考えてくれるだろう。

そんなあなただからこそ、技術士試験などという、こんなつまらないモノで躓いていてはいけないのだ。技術士など、あなたの人生のなかでは単なる通過点の1つに過ぎない。むしろ、あなたの本当の勝負は、そこから先にあるのだ。

前置きが随分長くなったが、あなたが本書で一発合格のノウハウを知り、それを実践すれば、技術士試験において無駄な時間を浪費することも、躓いたまま立ち直れなくなることもない。

それだけではなく、これから能動的な生き方を実践していくために必要なコミュニケーション能力を身につけることもできる。ならば、あなたはもはや単なる技術者としてではなく、組織のなかで自立したビジネスマンなのだという自覚のもとで、技術士に合格するプロセスを辿っていくべきだと私は考えるが、どうだろうか。それでは早速、最初の一歩を踏み出そう。

山崎 恭司 (著)
出版社: 学芸出版社 (2018/12/2)、出典:出版社HP

Contents

はじめに

第1章 あなたが技術士二次試験に一発合格する条件
1-1 合格後、あなたに訪れる大きな変化
1 オモテの変化
2 ウラの変化
1-2 あなたが一発合格する条件

第2章 技術士二次試験の実施概要
2-1 技術士試験の年間スケジュール
2-2 筆記試験と口頭試験の概要

第3章 一発合格を前提とした学習戦略のツボ
3-1 技術士一発合格に必要な学習プロセス
3-2 あなたが一発合格する学習戦略シナリオ
1 戦略シナリオ1(1年前から開始)
2 戦略シナリオ2(年末から開始)
3 戦略シナリオ3(受験申し込み時期から開始)
4 戦略シナリオ4(筆記試験1ヶ月前から開始)
3-3 忙しいあなたが学習を継続する秘策
技術士合格のヒント? vol.1 その決断は、誰のため?

第4章 一発合格する『超効率学習』のツボ
4-1 このあなたのブレーン『技術ノート』の作成ノウハウ
1 技術ノートとは?
2 技術ノートの作成方法
3 必須科目のノート術
4 デジタル技術ノート
4-2 あなたもゼッタイできる、大人の『超効率学習法』
1 超効率音読法−電車のなかでまさかの音読!?
2 超効率リスニング法−簡単機材で寝ながら学習!?
技術士合格のヒント? vol.2 ゲンコツの痛みに勝るもの

第5章 一発合格する文章作成方法のツボ
5-1 試験とは何か?
5-2 良い答案の条件
5-3 あなたが一発合格する文章を書く方法
1 答案の骨格(フレーム)を構築する
2 答案にストーリー性を与える
技術士合格のヒント? vol.3ドトールコーヒー発想法

第6章 一発合格する業務経歴票作成のツボ
6-1 体験業務分析の必要性
6-2 体験業務分析の具体的実践法
1 題材となる業務の選定方法
2 体験業務分析マップの作成
6-3 あなたが引き立つ業務経歴票の作成と作成例
技術士合格のヒント vol.4 ロスタイムの法則

第7章 技術士二次試験筆記試験答案作成のツボ
7-1 記述式問題の答案作成法
1 出題形式
2 一発合格答案を作成する『8つのステップ』
3 その他の一発合格答案作成ノウハウ
7-2 記述式問問題答案作成−実況解説
1 選択科目II -1の答案作成−実況解説
2 選択科目II -2の答案作成−実況解説
3 選択科目Ⅲの答案作成−実況解説
4 必須科目の答案作成
技術士合格のヒント vol.5 あなたの思考の立脚地

第8章 模擬試験実践のツボ
8-1 実施時期および回数
8-2 模擬試験の効果を最大化する2つのノウハウ
技術士合格のヒント vol.6 自分という、糸の切れた凧

第9章 口頭試験対策のツボ
9-1 口頭試験の概要と実例
9-2 口頭試験の実践的対策法
1 あなたの回答に関する重要な3要素
2 業務経歴票についての実践的対策
3 想定質問の作成
4 模擬口頭試験
9-3 口頭試験一発合格のための秘策
1 あなたを演出する『ミラクルワード&NGワード』
2 口頭試験一発合格のための2つの秘策

おわりに
合格者の声

付録 CD-ROMについて
このCD-ROMには、本書の内容に基づき著者がまとめた音声データ(MP3形式)が入っています。

【内容構成】(CDの長さ:2時間37分)
はじめに
1 あなたが技術士二次試験に一発合格する条件
2 技術士二次試験の実施概要
3 一発合格を前提とした学習戦略のツボ
4 一発合格する『超効率学習』のツボ
5 一発合格する文章作成方法のツボ
6 一発合格する業務経歴票作成のツボ
7 技術士二次試験筆記試験答案作成のツボ
8 模擬試験実践のツボ
9 頭試験対策のツボ

【使用条件】
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山崎 恭司 (著)
出版社: 学芸出版社 (2018/12/2)、出典:出版社HP

目次 – 技術士第二次試験 合格者たちの勉強法

This is the true joy in life, the being used for a purpose recognized by yourself as a mighty one.
−人生における真の喜びは、偉大だと思える目的のために生きることである。
バーナード・ショー

はじめに

私が技術士受験対策の通信講座を新設してみようと考えたのは、私自身が試験勉強をしている最中だった。私は平成23年に併願受験(機械・総監)するも機械部門が不合格で失敗。翌年、リベンジで併願合格した。
私の受験対策中は、都内の講座をいくつも受講していた。某大手講座では、1回目の添削で「これは技術士試験の解答ではない!」と一言書かれていて呆然としたこともある。おそらく、この添削で解答できるようになる人はいないと思った。

また、集合型のリアル講座では、北海道、広島、福岡などから受講者が来場していて、費用や時間的負担の大変さを目の当たりにした。そのため、これだけIT機器や通信環境が揃っているのだから、通信教育を始めようと考えたのが始まりだ。

ここで、意外な事実を書いておこう。技術士試験対策の講師の大半は、ITツールが苦手だ。動画講座やビデオ通信など使ったことが無い人が多い。高齢者が多いと言うこともあるが、おそらく先端技術に興味がないのだと思う。今でも手書きの資料を配付している講座もある。パソコンが使えないのだ。

また、これも講座内の話だが、添削を受けるのが最も効果的な学習だが、そこに力を入れない講座も多い。集合型のリアル講座だけで終らせる講座が多いのだ。この理由は簡単だ。それが一番簡単だからだ。何度も添削を行うのは、講師の負担になるのだ。

私自身は、元々コンピューターが好きだったこともあり、講座では、Zoom、Skype、メルマガ、ステップメール、動画講座とあらゆる媒体を使っている。これは、受験者のモチベーション維持に役立っていると思う。また、添削に最も力を入れている。コースによって20~40回程度の添削を受けることができる(上限回数に達する人はほとんどいないが)。トレーニングの効果で解答力を鍛える。講座内のキャッチフレーズは、アウトプット7:インプット3である。また、これは本の中でも繰返し述べたことだ。初受験の方は論文の書き方自体、あるいは日本語の文章能力自体をトレーニングする必要があることも痛感した。

本書は、これまでの6年間の活動から得た、技術士試験対策をまとめたものだ。実績というほどではないが、連絡を頂いた受講者の試験結果は以下のとおり。

平成26年は6名中4名合格。
平成27年は24名中13名合格。
平成28年は44名中21名合格。
平成29年は75名中34名合格。
平成30年は講師が私を含め5名体制。
101名中筆記合格が、39名。

ただし、途中で連絡がなくなってしまう人が30%はいる。他、企業の技術士講座に講師として参加し、5年で100名以上にアドバイスしている。

企業内での研修講座の場合、1日で終る場合が多く、効果が出にくい。そのため、後日課題を送ってもらうなど追加サービスもつけている。部門は、機械、電気、経営工学、化学、上下水道、衛生工学、総合技術監理部門等だ。

受講者には、技術士を初めて受験する人、他の講座を受けて不合格だった人等、様々な人がいて、業務の内容も一人ひとり異なる。そのため、十把一絡げでアドバイスすることはできないと言って良い。学習の効果を上げるためには、1対1で対応してもらうことが重要である。おそらく、それが一番合格に繋がると思う。モチベーション維持ができるからだ。

受講者の悩みは割と同じような内容である。要するに勉強時間が確保できない、従ってモチベーション維持ができない。ほとんどこれにつきる。技術士第二次試験は、学生が受ける試験ではなく、社会人、しかも受験年齢42歳と現役バリバリの人が受ける試験である。

「今年は、閑だから技術士試験でも受けるか!」等と言う人はいない。エンジニアの矜持として本気で技術士取得を目指すならば、自分で勉強時間を確保するしかない。受講者の30%は途中で止める。さらに30%近くは、ほとんど課題を送ってこない。逆に、真面目に最後までやれば大抵受かるのだ。

本書では、新制度の試験内容変更について、様々な角度から説明した。新制度の試験では、評価項目が明確になり、要求される能力がこれまで以上にハッキリしたからだ。択一試験が筆記試験に変わったことなどより、評価項目が明確になったことの方が遙かに重要である。新制度の試験で技術士を目指す人はそこを考えて欲しい。また、もし試験対策講座を受講されるなら、その部分をしっかり教えてくれる講座を選んで欲しい。

本書中で繰返し説明しているが、要求されている能力が解答文章の中に表現できなければ合格できない。課題と問題点の定義なども解説している本はあまりない。また、ネット時代の弊害で間違ったデータが溢れ、それが信じられている。その辺り、頻繁に見る間違いを解説した。

本書は、初めて受験される方はもちろん、何度か受験して合格できない方にも読んで頂きたい試験対策の本質が書かれている。内容を理解して、試験対策を行って頂ければきっと、良い結果に繋がると思う。それだけの準備はしたつもりである。

また、私の運営する対策講座では動画講座も公開している。さらに本書の読者限定100名の方には合格判定が出る無料添削サービスを行うこととした。ぜひ活用いただき、合格をつかんでもらいたい。

2019年2月
技術士Lock-On:二次試験対策講座 代表
匠習作

匠 習作 (著)
出版社: 学芸出版社 (2019/3/28)、出典:出版社HP

目次

はじめに

1章 技術士第二次試験の合格と不合格を分けるもの
01 試験内容の変更であまり悩まないこと
02 問われている能力はほとんど同じ
03 これまでの合格者たち
04 悩むよりも踏み出そう
05 勉強ではなく練習
06 絶対に落ちる書き方① 形式面
07 絶対に落ちる書き方② 論文の内容面
08 絶対に落ちる書き方③ 文章を書くスタンス

2章 新制度の試験で何が変わるか
01 試験内容が時々変わるのは技術士試験の特徴
02 これまでの変更内容
03 現在の技術士試験制度から変わるもの、変わらないもの
04 新制度試験最大の変更点
05 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)
06 評価項目を考える
07 なくなった択一問題の使い方

3章 専門知識・能力・経験の表現方法
01 II-1はキーワード解説の延長
02 似たような解答にならない工夫と解答時間の消費
03 II -1の解答例
04 II-2では、条件が設定されている
05 II-2の解答例

4章 問題解決能力と課題遂行能力
01 公務員試験の論文問題を考える
02 解答の構成力
03 問われていることは何か
04 専門家の視点で解答する
05 Ⅲの解答例
06 問題解決能力と課題遂行能力

5章 口頭試験で問われるカ
01 申込書の重要性
02 業務経歴と業務の詳細
03 技術者倫理―技術士としての適性及び一般的知識
04 受験動機と過去3年間の代表的な50の質問
05 代表的な質問に対する合格者の答え
06 総合技術監理部門に関する体系的専門知識
07 平均より少し高い知識と遙かに高い倫理観

6章 頻出テーマの考え方:マスコミのデータに惑わされるな!
01 必須論文に備えよう
02 頻出テーマ①省エネ
03 頻出テーマ②再生可能エネルギー
04 頻出テーマ③生産年齢人口の減少
05 頻出テーマ④超高齢化社会
06 頻出テーマ⑤働き方改革
07 頻出テーマ⑥地震対策
08 頻出テーマ⑦その他の自然災害対策
09 頻出テーマ⑧グローバル化
10 頻出テーマ⑨地方活性化・地方創生
11 頻出テーマ⑩循環型社会
12 頻出テーマ⑪環境問題

7章 必須科目・練習問題集(全部門共通)

おわりに−合格してからが本当の勝負

匠 習作 (著)
出版社: 学芸出版社 (2019/3/28)、出典:出版社HP

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