動物看護師統一試験完全対策問題集2020
発刊に寄せて
2019年6月21日、とうとう動物看護師の国家資格を創設する愛玩動物看護師法が参院本会議において全会一致で可決、成立しました。しかし喜んでばかりいるわけにはいきません。改めて、国家資格化となる意味を関係者全員が考え、国民の皆様に愛玩動物看護師を国家資格にしてよかったと思ってもらえるようにする責務があることを忘れてはなりません。
さて2019年5月1日、元号が平成から令和に変わりましたが、「人々が美しく心を寄せ合うなかで、文化が生まれ育つ。梅の花のように、日本人が明日への希望を咲かせる国でありますように」という意味が新元号には込められているようです。
日本の獣医学は馬の医学として発展してきた歴史があり、その背景には富国強兵の一環としての軍馬育成があります。現在でこそ一般の方々に伴侶動物のイメージが定着している獣医学ですが、平和な世の中だからこそ犬や猫を飼育できるのだということを私たちは忘れてはいけません。
「食は国同士の争いのもとになりえます。その食に関係しているのが牛、馬、豚、鶏などの産業動物です。大げさかもしれませんが、産業動物が世界の平和を支えていると言っても過言ではないと思っています。その産業動物の安定が支える平和な世の中で、私たちは伴侶動物を飼育できていることを理解し、学生には産業動物の勉強にも力を注いでいただきたいと思います。残念ながら、認定試験をみる限り、産業動物に不勉強な教員がいることは明白ですが、それは恥ずべきことで、反面教師と考えていただきたいものです。
最後にどうしても一言。解説を執筆した2018年度の認定試験において、数問の不適切問題がありましたが、これは今回に限ったことではなく、不適切問題が0問だった試験回は記憶にありません。報道では、2019年2月17日に実施された看護師国家試験で不適切とみられる出題が多数あったとして、全国の看護師養成施設が加盟する日本看護学校協議会が厚生労働省に要望書を提出したそうで、不適切問題は認定試験の話だけではないようです。
誰しもが誤りを犯す可能性がありますし、教育内容が高度になり、過去にない問題を作ろうとすれば、ある一定の頻度で不適切問題が出題されるのは致し方ないのかもしれませんが、2018年度試験で以前に本書で指摘した不適切問題が訂正されず再出題されたのには心底失望しました。人が人を評価する、その重みを理解していない人間が複数試験に携わった結果としか考えられず、問題を作成する教員並びに動物看護師統一認定機構の怠慢を指摘せざるをえません。愛玩動物看護師法が可決、成立した今だからこそ気を引き締めていただき、次回以降不適切な問題がなくなることを期待したいと思います。
2019年7月
「動物看護師統一認定試験対策プロジェクト」
本書の使い方
本書は、動物看護師統一認定機構が2019年3月に行った「2018年度動物看護師統一認定試験」のマークシート試験に加え、2020年に行われる「2019年度動物看護師統一認定試験」の出題範囲を網羅した予想問題と解答および解説を掲載した完全対策問題集です。
効果的な活用方法
問題と答えを眺めて丸暗記するのではなく、解答用紙を使った模擬テストを繰り返し行うことで理解を深め、本番への対応力を身につけます。
手順① まずは準備!
p176、177の「マークシート解答用紙見本」を複数枚コピーしましょう。
手順② いざ! 模擬テスト!!
本番と同じ試験時間内で、まずはp10からの「過去問題」を解きましょう。
手順③ Let’s答え合わせ!
別冊の「解答一覧」をもとに採点しましょう。
解答・解説は別冊で本書から取りはずせるから答え合わせしやすい!
解き終わった問題には設問番号下のチェックマークを入れましょう!
手順④ じっくり解説を読む!
不正解の問題は、解答一覧の次のページから始まる「解答と解説」を参考に学び直しましょう。
手順⑤ お試し・予想問題へ!
p46からの「力試し問題」でまず実力を確認し、理解度に合わせて初級~上級レベルまでの予想問題を解いて無理なくステップアップ!!
解答と解説も必読!
参考書『楽しく学べる動物看護 改訂第2版』に対応するページも掲載しています。
試験日までに全問クリアを目指しましょう!
CONTENTS
発刊に寄せて
本書の使い方
2018年度試験の出題範囲・出題傾向と2019年度試験の対策
解いて学ぶ! 最新過去問題120問
過去問題(2019年3月実施)
まず実力を確認!お試し問題120問
力試し問題(過去問類似)
次にレベルアップ! 難易度別予想問題360問
予想問題(初級レベル)
予想問題(中級レベル)
予想問題(上級レベル)
素材写真・図表の出典元一覧
マークシート解答用紙見本
2019年度動物看護師統一認定試験 実施概要
【別冊】
視覚-1-視覚素材集
解答・解説過去問題 2019年3月実施(一般試験/実地試験)
解答・解説 力試し問題 過去問類似(一般試験/実地試験)
解答・解説 予想問題 初級レベル(一般試験/実地試験)
解答・解説 予想問題 中級レベル(一般試験/実地試験)
解答・解説 予想問題 上級レベル(一般試験/実地試験)
2018年度試験の出題範囲・出題傾向と2019年度試験対策
出題範囲 | 出題傾向 | ||
項目 | 中項目 | 2018年度 | |
一般 | 実地 | ||
基礎動物看護学Ⅰ | 01 解剖学・生理学 | 問1、問2、問3、問4、問5、問6、問7、 問8、問9、問10、問11、問13 | 問1、問2、問3 |
02 病理学(基本病变) | 問12 | ||
03 薬理学 | 問14 | ||
04 動物遺伝学 | 問15 | ||
05 動物行動学 | 問17、問18 | 問4 | |
06 放射線学 | 問19、問20 | 問5 | |
07 免疫学 | 問21、問22 | ||
08 微生物学 | 問23、問24、問25、問72 | 問6、問25 | |
09 寄生虫病学 | 問26、問27、問85 | 問7、問8 | |
10 公衆衛生学 | 問28、問38 | 問10 | |
11 毒性学 | 問30 | ||
12 繁殖学 | 問32、問33 | 問11 | |
13 野生動物学 | 問34、問35 | ||
基礎動物看護学Ⅱ | 01 動物看護基本概念·職業倫理 | 問36 | |
02 動物福祉・関係法規 | 問16、問29、問37 | 問12、問13 | |
03 動物看護の展開 | 問39、問40 | ||
04 共通の基本看護技術 | 問41、問42、問 47、問49 | ||
05 診療伴動物看護技術 | 問43、問44、問45、問50、問51 | 問14、問24 | |
応用動物看護学Ⅲ | 01 受付業務 | 問46 | |
02 外来診療看護業務 | 問48 | ||
03 入院診療看護業務 | 問57 | 問18 | |
04 周術期看護関連業務 | 問53、問54、問55、問56、問58 | 問9、問15、問16、問17、問19 | |
05 環境整備看護業務 | 問31、問59、問60 | ||
06 動物栄養学 | 問61、問62、問63、問71 | 問20 | |
07 救命救急時の動物看護 | 問64、 問65 | ||
08 終末期動物患者の看護 | 問52、問70 | ||
09 予防動物看護 | |||
10 对象動物別看護 | 問66、問67 | 問21、問22、問27 | |
11 パピー(子犬子猫)の看護 | 問68 | ||
12 シニア(老犬老猫)の看護 | 問69 |
出題範囲 | 出題傾向 | ||
項目 | 中項目 | 2018年度 | |
一般 | 実地 | ||
応用動物看護学Ⅱ | 01 内科系疾患 | ||
02 心・脈管疾患 | 問74、問75、問80 | 問23 | |
03 内分泌・栄養・代謝疾患 | 問73、問76 | ||
04 泌尿器疾患 | 問77、問78 | 問24 | |
05 アレルギー・免疫疾患 | 問79 | ||
06 呼吸器疾患 | |||
07 脳・神経疾患 | 問81 | 問26 | |
08 運動器(筋骨格系)疾患 | 問82、問83 | ||
09 歯・口腔疾患 | 問84 | 問27 | |
10 皮膚疾患 | |||
11 生殖器疾患 | 問86、問87 | ||
12 眼科疾患 | 問88、問89 | 問29 | |
13 耳鼻咽頭疾患 | 問90 | 問27、問30 |
【2018年度動物看護師統一認定試験の結果】
実施日:2019年3月3日(日)
受験者数:2,333名
合格者数:2,017名
平均点:86.9点(120点満点)
合格率:86.5%
2018年度出題傾向解説と2019年度試験対策
一般試験90問、実地試験30問の計120問に問題数が変更されてから5度目の試験となった2018年度の認定試験(2019年3月実施)ですが、過去の傾向をほぼ踏襲した問題となっています。一般、実地ともに問題数に占める科目の配分と難易度に大きな変化はみられません。問題の傾向が定まってきたのか、過去問と類似問題が多く散見され、なかにはほぼ同じ問題の再出題もありました。また、過去の一般問題で出題された病名などが実地で出題されるなど(逆もあり)、一般問題と実地問題のリンクが目立ってきています。来年度もこの傾向が続くかの判断には迷いますが、過去問題をしっかり勉強しておいて損はないでしょう。
2020年3月1日(日)実施予定の2019年度認定試験は2018年度と同じ問題数であることがすでに発表されています。よってこれまでの傾向をほぼ踏襲した問題が今年度の認定試験でも出題されると予想します。最重要対策は過去問題を徹底的に解き、勉強しておくことです。その際には試験時間(時間配分)を意識し、問題を解くスピードの練習を忘れずに。余裕があれば3年以上前の過去問にも目を通しておくとよいでしょう。過去問を解く際は、難易度の高い問題を正解しようとするのではなく、まずは正答率の高い問題を確実に正解できる勉強を優先しましょう。
2019年7月