2019-2020年版 下水道第3種技術検定試験 攻略問題集




はしがき

「ようこそ下水道ワールドへ(Welcome to the world of sewerage.)」
この本を手にされた方は、なんらかのきっかけで下水道に関心を持たれた方に違いない。

21世紀は「水の世紀」といわれる。現在,世界中で70億人を超える人口のうち、約5人に1人は安全な水を確保できず,約24億人が安全な衛生設備にアクセスできないといわれている。本書は「下水道第3種技術検定」の資格取得を目指す方々のために,平成30年度試験から直近の過去7年間の全問題を分野別に整理し,解説をしたものである。試験問題の特徴は,重要なテーマについては,繰り返し出題されていることである.そこで,効果的な勉強の方法として,読者の得意な分野から手をつけることをお勧めする。

本書は分野別になっているので、入りやすい分野から読み進んで自信をつけていかれることが得策と考える。下水道施設の維持管理は,法令関係はもちろんのこと,土木,建築,機械,電気,化学,生物などの幅広い知識が必要とされる総合エンジニアリングである.
1914年に英国で活性汚泥法が誕生してから100年が経過した日本では現在約2,200か所の下水処理場が稼働しており,管路総延長は47万kmにのぼっている。

下水道は、水のもつ位置エネルギーを利用して、見えない地下河川である管きょを経由して上流から下流へ水とともにBODを主体としたバイオマスエネルギーと,熱エネルギーを輸送する都市の静脈システムである。そして今日,下水道は従来の下水を排除・処理する一過性のシステムから,集めた物質などを資源・エネルギーとして利活用・再生する循環型システムへと転換しようとしている。一方,下水処理水は都市のダムとして健全な水循環に寄与することが求められている。

本書は,下水道第3種技術検定の受験者はもちろんのこと,下水道技術者,公害防止管理者,環境分野の学部学生,水環境に関心をもっておられる方々など、幅広い読者を想定して著した、水道の給水栓(蛇口)をひねったとき,排水口に汚水を流すときに、下流側における水処理に想いをめぐらせることのである。最後に,本書を活用して1人でも多くの合格者が誕生することを願ってやまない

もとより浅学非才ゆえ,誤っている箇所があるかと考える。忌憚のないご批判をいただけたら幸いである。

2019年1月
著者しるす

関根 康生 (著)
オーム社 (2019/2/23)、出典:出版社HP

目次

第1章 法規

1.1下水道法
1.1.1下水道法の目的・用語の定義
1.1.2事業計画
1.1.3除害施設と条例
1.1.4特定施設と水質測定
1.1.5他人の土地への立入等
1.1.6下水道の使用料
1.1.7公共下水道からの放流水
1.1.8公共下水道および終末処理場の維持管理

1.2環境基本法

1.3大気汚染防止法

1.4水質汚濁防止法

1.5騒音規制法

1.6悪臭防止法

1.7電気事業法

1.8廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)

1.9エネルギーの使用の合理化等に関する法律,他

第2章 工場排水

2.1工場および事業場からの排水ならびに排水が下水道に与える影響に関する一般的知識
2.1.1特定事業場
2.1.2下水道に与える影響
2.1.3特定施設

2.2除害施設の機能および構造に関する一般的な知識
2.2.1排水処理方法
2.2.2中和処理
2.2.3BODの高い排水の処理
2.2.4よう素消費量と排水処理
2.2.5クロムの排水処理
2.2.6シアンの排水処理
2.2.7油分の排水処理
2.2.8カドミウムの排水処理
2.2.9トリクロロエチレンの排水処理
2.2.10ダイオキシンの排水処理
2.2.11水銀の排水処理
2.2.12ふっ素の排水処理

第3章 下水処理

3.1水処理方式

3.2下水処理施設の運転管理

3.3沈砂池,スクリーン,ポンプ施設

3.4沈殿池

3.5最初沈殿池

3.6最終沈殿池

3.7反応タンク
3.7.1標準活性汚泥法
3.7.2ステップエアレーション法
3.7.3オキシデーションディッチ法
3.7.4反応タンクの管理
3.7.5MLSS
3.7.6SVI
3.7.7ASRT
3.7.8生物相
3.7.9返送汚泥比
3.7.10反応タンクの異常
3.7.11MLDO

3.8送風機設備

3.9消毒設備

3.10高度処理
3.10.1再利用設備
3.10.2急速ろ過
3.10.3循環式硝化脱窒法
3.10.4硝化反応
3.10.5下水中の窒素の形態
3.10.6硝化
3.10.7生物学的脱りん
3.10.8A2O法

関根 康生 (著)
オーム社 (2019/2/23)、出典:出版社HP

第4章 汚泥処理

4.1汚泥の輸送
4.1.1長距離輸送

4.2濃縮および脱水
4.2.1運転指標・管理
4.2.2汚泥性状と脱水性
4.2.3汚泥乾燥
4.2.4遠心濃縮・脱水
4.2.5ベルトプレス
4.2.6凝集剤と汚泥調質

4.3重力濃縮タンク
4.3.1重力濃縮
4.3.2運転・管理

4.4嫌気性消化構
4.4.1運転管理
4.4.2消化ガス

4.5汚泥の焼却、
4.5.1流動焼却炉
4.5.2汚泥溶融設備

4.6下水汚泥の有効利用
4.6.1汚泥の炭化
4.6.2建設資材利用
4.6.3有効利用

第5章 運転管理

5.1施設管理
5.1.1運転管理記録
5.1.2維持管理・点検
5.1.3下水道施設の劣化対策
5.1.4計測機器の管理

5.2電気設備と機器
5.2.1受変電設備・負荷設備
5.2.2発電機
5.2.3停電と自家発電設備
5.2.4電動機
5.2.5高調波
5.2.6接地工事

5.3悪臭対策

5.4ばい煙の処理

5.5水質試験
5.5.1水質試験項目
5.5.2BOD・COD
5.5.3試料の保存方法
5.5.4試料採取

5.6騒音・振動対策

5.7管路施設・下水道台帳

第6章 安全管理

6.1ポンプ場および処理場施設での危険防止

6.2電気室および電気設備の安全対策

6.3管路施設の安全対策

6.4硫化水素

6.5ガス検知器具

6.6水質試験室の安全対策

6.7救急措置

6.8労働安全衛生对策

付録
平成30年度試験問題
平成29年度試験問題
平成30年度解答
平成29年度解答

参考文献
索引

関根 康生 (著)
オーム社 (2019/2/23)、出典:出版社HP