らくらく突破 消防設備士 甲種/乙種 第4類 合格テキスト




はしがき

わが国では、昭和23年に市町村条例により火災報知設備を設置する規制が行われ、昭和35年に全国的に統一された基準ができ、さらに昭和40年の法律第65号の制定により消防設備士の制度が整備されました。現在では数多くの消防設備士の方々が活躍され、人命の安全確保のために日夜活動されています。

本書は、第4類消防設備士試験の合格を目指して勉強される方々のために、受験に必要な科目の勉強をしていただけるように、テキストおよび問題集として製作されています。

災害が起こるたびに規制強化が行われ、その内容も細かくなってきていますが、最近では、法令が改正されると数年後にはその内容に関連する問題が出題されるようになってきています。そこで、最新の内容を理解してやさしく学べるように、覚えていただきたいポイントや練習問題も掲載しました。

一方、実際に仕事現場で古い機種にも出会うことが多いことから、最新のものとは異なる機種に対応できるように、古い方法なども解説しています。

学習される時は、インターネットを活用し、関係の法令集や火災報知機メーカーのカタログにある機器の写真などもホームページで確認することをお勧めします。消防庁のホームページでは、専門家の方向けの告示や通知といった内容を確認することもできます。

第4類の消防設備士の試験範囲は幅広く、勉強に時間がかかるかも知れませんが、学習の一助となれば喜ばしい限りです。合格の際には消防設備士として日々の業務に励んでいただき、防災の活動を目指していただくことを願っております。

2019年5月
著者

パナソニック ライフソリューションズ創研株式会社 (著)
出版社: 技術評論社 (2019/6/1)、出典:出版社HP

目次

はしがき
受験ガイド
学習のポイント

第1章 消防関係法令

1-1消防組織、制度
1-2法令用語
1-3屋外における障害除去の措置命令他
1-4立入検査、措置命令
1-5建築許可等の消防同意
1-6防火管理の制度
1-7防火対象物定期点検報告制度
1-8防炎の規制
1-9市町村条例への委任
1-10危険物の規制
1-11消防用設備等の設置と維持
1-12消防用設備等・特殊消防用設備等の検査、点検等
1-13消防設備士制度
1-14検定制度
消防法施行令別表第1
章末問題
解答と解説

第2章 電気の基礎

2-1電気の基礎と単位
2-2電気材料
2-3抵抗の基本
2-4オームの法則とジュールの法則
2-5静電容量
2-6電気と磁気
2-7交流とは
2-8交流回路とインピーダンス
2-9単相交流の電力と力率
2-10電気回路の計算例
2-11電気計測
2-12電気機器
2-13蓄電池
2-14電気設備技術基準
章末問題
解答と解説

第3章 自動火災報知設備の構造・機能

3-1自動火災報知設備
3-2自動火災報知設備の受信機
3-3自動火災報知設備の感知器
3-4中継器
3-5発信機
3-6地区音響装置
3-7ガス漏れ火災警報設備
3-8消防機関へ通報する火災通報装置
章末問題
解答と解説

第4章自動火災報知設備の工事・整備

4-1自動火災報知設備
4-2受信機・中継器の設置基準
4-3感知器の設置基準
4-4感知器の設置
4-5発信機・地区音響装置の設置基準
4-6自動火災報知設備の配線
4-7自動火災報知設備の電源
4-8ガス漏れ火災警報設備の設置基準
4-9消防機関へ通報する火災報知設備
章末問題
解答と解説

第5章 試験・点検

5-1自動火災報知設備の試験と点検..
5-2試験・点検器具類…
5-3ガス漏れ火災警報設備の試験・点検(抜粋)
5-4消防機関へ通報する火災報知設備の試験・点検(抜粋)
章末問題
解答と解説

第6章 自動火災報知設備等の規格

6-1感知器の規格
6-2発信機の規格
6-3受信機の規格
6-4中継器の主な規格
6-5蓄電池設備の主な規格
章末問題
解答と解説

第7章 鑑別他

7-1試験器類
7-2工具類
7-3部材類
章末問題
解答と解説

第8章 設計編

8-1設計問題
8-2平面図の設計
8-3系統図の設計
8-4設計問題の解き方
章末問題
解答と解説
索引

パナソニック ライフソリューションズ創研株式会社 (著)
出版社: 技術評論社 (2019/6/1)、出典:出版社HP

受験ガイド

1消防設備士とは
デパートやホテル、劇場などの建物には、規模や用途、収容人数に応じた消防用設備や特殊消防用設備などの設置が法律で義務付けられています。これらの設備の工事や整備を行うのに必要なのが消防設備士の資格です。

消防設備士の資格には甲種と乙種があります。甲種消防設備士は消防設備等の工事と整備を行い、乙種消防設備士は整備のみを行います。また、工事・整備のできる設備に応じて、次の表のように分かれています。本書は第4類消防設備士が対象です。

種類 工事・整備などができる設備
甲種 特類 特殊消防用設備等
甲種
または
乙種
第1類 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外 消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火 設備、共同住宅用スプリンクラー設備:
第2類 泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
第3類 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、  パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
第4類 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備
第5類 金属製避難はしご (固定式)、救助袋、緩降機
乙種 第6類 消火器
第7類 漏電火災警報器

 

2受験資格
受験資格は、甲種と乙種で異なります。

(1)乙種
学歴、年齢、実務経験などにかかわらず、誰でも受験できます。
(2)甲種
甲種を受験するには、次のいずれかの受験資格が必要です。
・国家資格などの資格を取得しているか、実務経験がある
・大学や高校などで指定された学科・課程を履修している

受験資格について、詳しくは「一般財団法人消防試験研究センター」のホームページを参照してください。
一般財団法人消防試験研究センター
https://www.shoubo-shiken.or.jp

3試験科目について

(1)試験科目と問題数
試験は、筆記と実技があります。筆記試験は、4つの選択肢から正しいものを選んでマークシートに記入する方式です。実技試験は、写真などを見て記述式で答える鑑別等の試験と、製図問題があります。なお、乙種には製図問題はありません。

第4類の試験科目と問題数は次の表のとおりです。

種類 試験科目 問題数
甲種 筆記 消防関係法令 15
基礎的知識 10
消防用設備等の構造・機能・工事・整備 20
実技 鑑別等 5
製図 2
乙種 筆記 消防関係法令 10
基礎的知識 5
消防用設備等の構造・機能・整備 15
実技 鑑別等 5

 

(2)一部免除について
受験する種類以外の消防設備士や電気工事士など、すでに取得している資格がある場合、申請すると試験科目が一部免除されることがあります。詳しくは消防試験研究センターのホームページを参照するか、消防試験研究センターに問い合わせてください。

(3)試験時間と注意事項試験時間は、甲種が3時間15分、乙種が1時間45分です。試験では、電卓、テンプレート等の定規類、携帯電話などの機器類を使用することができません。注意してください。

4合格基準と合格発表
次の成績を満たすと、合格となります。

・筆記試験で各科目が40%以上、なおかつ全体の出題数の60%以上
・実技試験で60%以上

合格発表は、支部ごとに合格者の受験番号を公示するほか、消防試験研究センターのホームページにも掲示されます。また、受験者には郵便はがきで合否が通知されます。

5受験の手続きと試験日程
消防設備士試験は都道府県ごとに行われ、希望する都道府県で受験することができます。試験日、試験会場、願書の受付期間などは都道府県によって異なりますので、消防試験研究センターのホームページで確認してください。

受験の申し込み方法は、受験願書を提出する「書面申請」とインターネットによる「電子申請」があります。書面申請で使用する受験願書は、消防試験研究センターの各支部や関係機関等で配布されています。願書など必要書類を揃えて受付期間内に申請します。

電子申請は消防試験研究センターのホームページから行います。事前に注意事項等をよく読んで申請方法を確認しておきましょう。なお、試験の詳細は変更されることがあります。受験の際には、必ず消防試験研究センターのホームページなどで最新情報を確認してください。

パナソニック ライフソリューションズ創研株式会社 (著)
出版社: 技術評論社 (2019/6/1)、出典:出版社HP

学習のポイント

本書は「第4類消防設備士」の取得を目指して勉強される方が、効率的に知識を習得し、合格していただけるように科目ごとに解説をしています。各章の最初のリードで学習内容をまとめて記載してあります。覚えておくべきポイントや出題傾向の多い項目などをまとめました。

各節には、「重要度」を★マークで表示しています。★は最大3個です。★の多い項目は出題されやすい傾向にあります。繰り返して学習し、覚えましょう。また、本文中では重要な用語などを赤字で表記しました。赤字の部分を繰り返し確認しましょう。重要な部分です。

「これだけは押さえておこう」は、項目ごとにまとめています。ポイントと共に必ず覚えておきましょう。「練習問題」は○×問題として、読んだ後に確認できるように作成してあります。解説も記載していますので、間違えたり理解があいまいな部分がないか、よく確認してください。

各章の終わりには、「章末問題」があります。その章で学習したことを試験問題に近い形で出題してありますので、必ず解いてみてください。また、回答には解説をつけてありますので、解いた後は解説を読みながら再度確認しましょう。

お勧めの学習方法は、毎日少しずつでも学習することです。本書では、各項目を2~4ページ程度で区切りをつけられるようにしてありますので、毎日少しずつでも、きりのいいところまで学習を進めて下さい。また、記憶に残すために復習も必ずやりましょう。合格を目指して、やりきってください。

パナソニック ライフソリューションズ創研株式会社 (著)
出版社: 技術評論社 (2019/6/1)、出典:出版社HP