2020-2021年版 公害防止管理者試験 水質関係 合格テキスト
はじめに
昨今、地球温暖化問題などの地球環境問題の顕在化を受け、持続可能な社会の構築がますます重要な課題となっています。また、企業においても,公害防止をはじめ、環境保全に向けた取り組みの重要性が増しています。
公害防止管理者は,1971年(昭和46年)に制定された「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に基づく国家資格です。そしてこの制度は我が国の公害防止,環境保全の面から重要な役割を果たしていますところで,2006年度(平成18年度)に公害防止管理者試験制度等の見直しが行われ,共通科目として「公害総論」の新設,科目別合格制の導入,資格区分の見直し(騒音関係と振動関係公害防止管理者の統合)などが実施されました.
公害防止管理者には,公害防止対策に関する高度な知見,法的知識ならびに幅広い技術的知見の習得が求められます。このため,本書は,水質関係公害防止管理者試験の受験者向けに,国家試験問題を解くために必要な公害防止技術や法令などをわかりやすくまとめるとともに,直近の出題問題を豊富に載せ,その解説をしました.本書の特徴は次のとおりです.
①過去に出題された重要語句については,本文中に出題年度と問題番号を明示.
②過去に出題された具体的な内容を「過去の出題例」として掲載.
③節の終わりには,過去問題に基づく確認リストを掲載.
④各章の終わりに,最新の令和元年度問題及びその正答と解説を掲載.
⑤問題の解説では、本文での参照箇所を明示し,問題と本書での位置付けを明確化.
ところで、水質関係公害防止管理者試験の出題範囲はとても広いため,短期間で全部を理解し,必要な知識を得ることは,初めての受験者にとってはかなり難しいことと思います。そこで,勉強の一つの方法として,毎日短時間(30分程度)でかまわないので,本書を読むことをお勧めします。
また,本書の姉妹図書である「公害防止管理者試験本番形式模擬問題水質関係」の模擬問題も合わせて活用することで,さらに実力がつくと考えます.
本書を積極的に活用され、一人でも多くの合格者が輩出されることを願っています.
2019年11月
青山芳之
目次
第1章 公害総論
1.1環境基本法と環境関連法
1.1.1環境法規の体系
1.1.2環境基本法
1.1.3基本計画・基本施策
1.1.4環境関連法の概要
1.2特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の概要
1.2.1法律の概要
1.2.2公害防止管理者
1.3最近の環境問題と関連法
1.3.14大公害病
1.3.2地球環境問題
1.3.3大気環境
1.3.4水環境
1.3.5土壌環境
1.3.6騒音・振動
1.3.7廃棄物・リサイクル
1.3.8化学物質
1.4各種環境管理手法
1.4.1環境影響評価
1.4.2環境マネジメント
1.4.3環境調和型製品
1.4.4リスクとマネジメント
令和元年度公害総論問題
令和元年度公害総論解答解説
第2章 水質概論
2.1水質汚濁の法制度
2.1.1水質環境基準
2.1.2水質汚濁防止法
2.1.3水質に関する特定工場における公害防止組織の整備に関する法律
2.2水質汚濁の現状
2.2.1水質汚濁の歴史的背景
2.2.2最近の水質汚濁の概況
2.3水質汚濁とその発生源
2.3.1水質汚濁物質の発生源
2.3.2水質汚濁と水質指標
2.3.3化学物質による汚染
2.4水質汚濁の機構
2.4.1水質汚濁の計量
2.4.2自然界での物質変化
2.4.3富栄養化
2.4.4生物濃縮
2.4.5地下水汚染
2.5水質汚濁の影響
2.5.1人の健康への影響
2.5.2水生生物への影響
2.5.3農業・水産業への影響
2.6水質汚濁防止の施策
2.6.1国の施策
2.6.2健康被害対策
令和元年度水質概論問題
令和元年度水質概論解答解説
第3章 汚水処理特論
3.1汚水等処理計画
3.1.1工場内処理
3.1.2排水処理計画の手順
3.1.3排水処理技術の体系
3.2物理化学的処理法
3.2.1沈降分離
3.2.2凝集分離
3.2.3浮上分離
3.2.4清澄ろ過
3.2.5pH調節操作
3.2.6酸化と還元
3.2.7活性炭吸着
3.2.8イオン交換
3.2.9膜分離法
3.2.10汚泥の処理・処分
3.3生物処理法
3.3.1生物処理法の概要
3.3.2活性汚泥法
3.3.3生物膜法
3.3.4嫌気処理法
3.3.5生物的硝化脱窒素法
3.3.6りん除去法
3.3.7その他の処理法
3.4汚水等処理装置の管理
3.4.1物理化学的処理装置の管理
3.4.2生物処理装置の管理
3.5水質汚濁物質の測定技術
3.5.1試料採取
3.5.2流量測定
3.5.3分析方法の概要と原理
3.5.4生活環境項目の分析法
3.5.5生物化学的酸素消費量(要求量)(BOD)[JISK010221]
3.5.6化学的酸素消費量(要求量)(COD)[JISK010217]
3.5.7重金属類測定の前処理
3.5.8重金属類の測定法
3.5.9フェノール類,全窒素,全りん
3.5.10水質総量規制と測定方法
3.5.11計測機器
令和元年度汚水処理特論問題
令和元年度汚水処理特論解答解説
第4章 水質有害物質特論
4.1有害物質処理技術
4.1.1有害物質処理技術の概要
4.1.2カドミウム・鉛排水の処理
4.1.3クロム(VI)(六価クロム)排水の処理
4.1.4水銀排水の処理
4.1.5ひ素排水の処理
4.1.6セレン排水の処理
4.1.7ほう素排水の処理
4.1.8ふっ素排水の処理
4.1.9シアン排水の処理
4.1.10アンモニア,亜硝酸,硝酸排水の処理
4.1.11有機りん(農薬)排水の処理
4.1.12農薬系有機化合物排水の処理
4.1.13ポリ塩化ビフェニル(PCB)排水の処理
4.1.14有機塩素系化合物排水の処理
4.1.15ベンゼン排水の処理
4.1.161,4-ジオキサン排水の処理
4.2水質有害物質処理装置の管理
4.3有害物質測定技術
4.3.1ガスクロマトグラフ法
4.3.2ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)
4.3.3高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)
4.3.4イオンクロマトグラフ法
4.3.5薄層クロマトグラフ法
4.3.6カドミウムおよびその化合物
4.3.7鉛
4.3.8クロム(VI)(Cr(VI))
4.3.9ひ素(As)
4.3.10総水銀(Hg)
4.3.11アルキル水銀化合物
4.3.12セレン(Se)
4.3.13ほう素(B)
4.3.14ふっ素化合物
4.3.15シアン化合物
4.3.16アンモニア,アンモニウム化合物,亜硝酸化合物および硝酸化合物
4.3.17有機りん化合物
4.3.18チウラム
4.3.19シマジンおよびチオベンカルブ
4.3.20ポリ塩化ビフェニル(PCB)
4.3.21塩素化炭化水素およびベンゼン
令和元年度水質有害物質特論問題
令和元年度水質有害物質特論解答解説
第5章 大規模水質特論
5.1水質汚濁物質の挙動
5.1.1河川での水質汚濁物質の挙動
5.1.2湖沼・貯水池での水質汚濁物質の挙動
5.1.3海域での水質汚濁物質の挙動
5.1.4水質予測モデル
5.2処理水の再利用
5.2.1水使用合理化と再利用計画
5.2.2再利用のための処理技術
5.2.3再利用・循環利用の実施例
5.3大規模設備の水質汚濁防止対策の事例
5.3.1鉄鋼
5.3.2石油
5.3.3紙・パルプ
5.3.4食品
令和元年度大規模水質特論問題
令和元年度大規模水質特論解答解説
巻末資料 水質関係の関連法規
環境基本法の抜粋
特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の抜粋
特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行令の抜粋
特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行規則の抜粋
水質汚濁防止法の抜粋
水質汚濁に係る環境基準
索引