見落としがちなポイントがわかる ケーススタディ 環境法令管理実践ガイド
はしがき
環境法とは、一般的に生活環境や自然環境の保護に関連する法令の総称を指し、環境保護の基本理念を定めた「環境基本法」を軸に、規制の対象ごとに個別的に法律が制定されています。さらに、多くの場合、実務上問題となる具体的な規制内容は命令や条例等に委任されており、関連法令の数は膨大です。
そして、科学技術等の発展や世論・情勢等の変化に伴い、これまで規制対象となっていなかった物質や行為等が新たに規制対象になることもあります。そのため、事業者が活動するにあたっての難しさは、検討すべき法令が多岐にわたり、そもそも「何が問題となり得るか」という部分に抜け・漏れが生じやすいことや、多くの法令は条文の立て付けが複雑である上、改正の頻度や程度が著しく、規制の大枠を理解しにくいことにあると考えています。
本書は、いわゆる基本書やコンメンタールのように関連法令を網羅的に解説することよりも、環境法の原則や関連法令等を簡単に解説した上(第1章及び第2章)、事業者が活動するにあたって問題となる可能性のある代表的なCASEをまとめ、できるだけ分かりやすく紹介すること(第3章)を目的として執筆しました。
そのため、本書をご覧になる方は、もちろん最初から順に読んでいただいても構いませんし、関係のありそうなCASEの該当箇所をピックアップして読んでいただく使い方も有用かと思っております。本書が読者にとって問題解決の一助になれば幸甚です。
最後に、本書の上梓にあたり多大なるご尽力をいただいた第一法規株式会社の編集者さま及び友人達に御礼を申し上げます。
永野亮
目次
はしがき
第1章 環境法令管理とは
1これからの事業活動
2業種ごとに注意するべき環境関連法令
3環境を守るための社内環境の整備や取り組み
第2章 環境法の基本原則、基本理念
1環境法の原則と理念
2環境法の各種関連法令
第3章 ケーススタディ
CASE1廃棄物を出す場合のリスクポイント
【関係法令:廃棄物処理法、バーゼル法、容器包装リサイクル法】
CASE1-1【産業廃棄物の処理責任】
CASE1-2【処理困難通知が届いた場合】
CASE1-3【廃棄物の不正輸出、不法投棄】
CASE1-4【容器包装リサイクル】
【環境法令管理チェックシート】
CASE2騒音、振動、悪臭等が発生する場合のリスクポイント
【関係法令:騒音規制法、振動規制法、悪臭防止法、廃棄物処理法】
CASE2-1【新しい機械の導入と規制との関わり】
CASE2-2【新たな工場の建設と周辺との関係】
CASE2-3【ゴミの焼却に関する処理】
CASE2-4【届出の注意点】
【環境法令管理チェックシート】
CASE3ばい煙、粉じん等が発生する場合、環境影響評価を行う場合のリスクポイント
【関係法令:大気汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、環境影響評価法】
CASE3-1【都市部でのビル解体工事】
CASE3-2【近郊部での廃棄物焼却施設の建設・解体工事(アスベスト等)】
CASE3-3【近郊部での廃棄物焼却施設の建設・解体工事(ダイオキシン類)】
CASE3-4【山村部でのトンネル工事】
CASE3-5【環境影響評価手続(アセスメント)】
【環境法令管理チェックシート)
CASE4排水等に有害物質が含まれる場合のリスクポイント
【関係法令:水質汚濁防止法、下水道法、ダイオキシン類対策特別措置法、土壌汚染対策法】
CASE4-1【工場から排水を排出する場合】
CASE4-2【排水基準・総量規制】
CASE4-3【事故対応】
CASE4-4【施設廃止の際の土壌汚染状況調査等】
【環境法令管理チェックシート】
CASE5毒物、劇物、危険物等を取り扱う場合のリスクポイント
【関係法令:化審法、化管法、毒劇法、毒物及び劇物指定令、消防法、危険物の規則に関する政令等】
CASE5-1【化学物質の製造】
CASE5-2【化学物質の管理・保管】
CASE5-3【施設の設置・閉鎖】
【環境法令管理チェックシート】
CASE6温室効果ガス等が発生する場合、大規模なエネルギーを使用する場合のリスクポイント
【関係法令:温暖化対策推進法、フロン排出抑制法、省エネ法、建築物省エネ法】
CASE6-1【温室効果ガス等への対策】
CASE6-2【事業者の義務と対応】
【環境法令管理チェックシート】
CASE7紛争対応一般におけるリスクポイント
【関係法令:民事訴訟法、行政事件訴訟法、行政手続法、行政不服審査法、悪臭防止法、廃棄物処理法】
CASE7-1【苦情への対応】
CASE7-2【訴訟への対応】
CASE7-3【委託先との紛争】
CASE7-4【民事上の責任】
CASE7-5【行政庁への対応】
【環境法令管理チェックシート】
索引