消防設備士1類超速マスター第2版




はじめに

第1類消防設備士は,デパートやビルなどの建物に設置する「屋内消火栓設備」や「スプリンクラー設備」など,水系消火設備の工事や整備を行うために必要な資格です。甲種・乙種の2種類の免状があり,「甲種」は設置工事と整備,「乙種」は整備のみができます。

本書は,これから第1類消防設備士の試験を受ける方のために,必要な科目を解説したテキストです。予備知識ゼロからでも学習できるように,基礎からできるだけていねいに解説しました。

消防設備士は法令で定められている事項をたくさん覚えなければならないため,ともすると無味乾燥な解説になりがちですが,本書では図版を多用して,なるべく視覚的に理解できるよう配慮しています。

さらに,各節ごとに多くの問題を用意しているので,これ一冊で合格に必要な実力が身につきます。

消防設備は,火災が発生したときに確実に作動するよう,正しく設置され,普段からきちんと整備されていなければなりません。ぜひ一人でも多くの人材が試験に合格して,この責任ある職務を担っていただきたいと願います。本書がその一助になれば幸いです。

ノマドワークス(消防設備士研究会) (著)
出版社: TAC出版; 第2版 (2019/9/12)、出典:出版社HP

目次

はじめに
受験案内

第1章 機械に関する基礎知識

1 水理
流体の性質
流体と圧力
動水力学
チャレンジ問題
解説 解答

2 材料について
荷重と応力
金属材料
チャレンジ問題
解説 解答

3 「力」について
「カ」とは
運動と仕事
チャレンジ問題
解説 解答

第2章 電気に関する基礎知識

1 電気回路の計算
オームの法則
電圧と電流の分配
ブリッジ回路
電力と電力量
コンデンサと静電容量
電気と磁気
交流回路
チャレンジ問題
解説 解答一覧

2 電気計測
電圧計と電流計
いろいろな電気計器
指示電気計器
測定値と誤差
チャレンジ問題
解説 解答

3 電気材料・電気機器
電気材料
変圧器
電池
チャレンジ問題
解説 解答

第3章 消防関係法令

1 消防関係法令(各類に共通する部分)
防火対象物
火災の予防
防火管理者
防炎規制
危険物施設
消防用設備等の設置
消防用設備等の設置の届出と点検
消防設備士制度 検定制度
チャレンジ問題
解説 解答一覧

2 消防関係法令(第1類に関する部分)
屋内消火栓設備・屋外消火栓設備の設置
スプリンクラー設備の設置
水噴霧消火設備の設置
チャレンジ問題
解説 解答

第4章 構造と機能,工事と整備

1 屋内・屋外消火栓設備
屋内消火栓設備
水源
加圧送水装置
配管・バルブ類
屋内消火栓
非常電源・配線
屋内消火栓設備の試験と点検
屋外消火栓設備
パッケージ型消火設備
チャレンジ問題
解説 解答

2 スプリンクラー設備
スプリンクラー設備の構成
スプリンクラーヘッドの構造と機能
スプリンクラーヘッドの設置基準
自動警報装置
配管・弁類
放水性能と水源水量
水噴霧消火設備
その他の消火設備
チャレンジ問題
解説 解答

第5章 実技試験対策

1 鑑別等試験
各部の名称と役割

2 製図試験
系統図の作成

索引

写真提供:株式会社横井製作所,千住スプリンクラー株式会社,ホーチキ株式会社,
ゼンシン株式会社,クシダ工業株式会社

ノマドワークス(消防設備士研究会) (著)
出版社: TAC出版; 第2版 (2019/9/12)、出典:出版社HP

受験案内

◆消防設備士とは
消防設備士は,劇場,デパート,ホテルなどの建物に設置されている「消防用設備等」の工事や整備,点検を行うために必要な資格です。甲種消防設備士は,消防用設備等の工事と整備を行うことができ,乙種消防設備士は,消防用設備等の整備のみを行うことができます。

甲種消防設備士は,取り扱う設備の種類に応じて,特類および第1類~第5類に分かれてます。乙種消防設備士も同様に,第1類~第7類に分かれています。

甲種 乙種 類別 消防用設備等
特類 特種消防用設備等
第1類 屋内消火栓設備,屋外消火栓設備, スプリンクラー設備, 水噴霧消火設備,パッケージ型消火設備,パッケージ型自 動消火設備,共同住宅用スプリンクラー設備
第2類 泡消火設備, パッケージ型消火設備,パッケージ型自動消火設備
第3類 不活性ガス消火設備, ハロゲン化物消火設備,粉末消火設備, パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
第4類 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備,消防機関へ通報する火災報知設備など
第5類 金属製避難はしご、救助袋、緩降機
 第6類 消火器
第7類 漏電火災警報器

 

上の表のとおり,本書で扱う第1類では,屋内消火栓設備や屋外消火栓設備,スプリンクラー設備などの水系消火設備を取り扱います。

◆受験資格

●乙種
乙種消防設備士の試験は,学歴,年齢,国籍,実務経験を問わず誰でも受験できます。

●甲種
甲種消防設備士試験を受験するには,下記の資格または実務経験をもっているか,大学・高校等で特定の学科を修めている必要があります。以下のいずれか1つに該当する方には受験資格があります。

【資格または実務経験】
1 他の類の甲種消防設備士
2 乙種消防設備士の免状を得た後,2年以上消防用設備等の整備の経験を有する者
3 技術士の第2次試験に合格した者
4 電気工事士(第1種・第2種)
5 電気主任技術者(第1種~第3種)
6 消防用設備等の工事の補助者として,5年以上の実務経験を有する者
7 専門学校卒業程度検定試験(機械・電気・工業化学・土木または建築の部門に関するもの)の合格者
8 管工事施工管理技士(1級・2級)
9 高等学校の「工業」の教員免許を有する者
10 無線従事者(アマチュア無線技士を除く)の免許を受けている者
11 1級建築士または2級建築士
12 配管技能士(1級・2級)
13 給水装置工事主任技術者
14 消防行政に係る事務のうち,消防用設備等に関する事務について3年以上の実務経験を有する者
15 消防法施行規則の一部を改正する省令の施行(昭和41年)の前において,消防用設備等の工事について3年以上の実務経験を有する者
16 昭和41年前の東京都火災予防条例による旧制度の消防設備士

【学歴】
1 次に掲げる学校において,機械,電気,工業化学,土木または建築に関する学科(課程)を修めて卒業した者
・大学,短大,高等専門学校(5年制)
・高等学校または中等教育学校
・外国に所在する学校で,日本における大学,短大,高等専門学校(5年制)または高等学校に相当するもの
・旧制大学,旧制専門学校,高等師範学校,実業学校教員養成所,旧制専門学校卒業程度検定試験合格者
2 次に掲げる学校において,機械,電気,工業化学,土木または建築に関する関する科目を15単位以上修得した者(単位制ではない学校の場合は授業時間で換算)
・大学,短大,高等専門学校(5年制),専修学校
・学校教育法第134条第1項に定める各種学校
・大学及び高等専門学校の専攻科
・防衛大学校,防衛医科大学校,水産大学校,海上保安大学校,気象大学校
・職業能力開発総合大学校,職業能力開発大学校,職業能力開発短期大学校,職業訓練大学校,職業訓練短期大学校,中央職業訓練所
3 理学,工学,農学または薬学のいずれかに相当する専攻分野の名称を付記された修士または博士の学位を有する者

※受験資格の詳細については,在学されていた学校もしくは消防試験研究センターにお問い合わせください。

◆試験科目・出題形式

甲種・乙種ともに,筆記試験と実技試験があります。試験時間は,甲種が3時間15分,乙種が1時間45分です。

●筆記試驗
4つの選択肢から正解を1つ選ぶマークシート方式です。試験科目と問題数は次のとおりです。

試験科目 甲種 乙種
Ⅰ.基礎的知識 機械に関する部分 6 3
電気に関する部分 4 2
Ⅱ.消防関係法令 共通部分 8 6
1類に関する部分 7 4
Ⅲ.構造・機能 ・工事・ 整備 機械に関する部分 10 8
電気に関する部分 6 4
規格に関する部分 4 3
合計 45 30

 

●実技試験
実技試験は,写真やイラスト,図面などによる出題に対して,記述式で解答します。試験科目と問題数は次のとおりです。

試験科目 甲種 乙種
鑑別等 5 5
製図 2

※製図試験は乙種にはありません。

◆合格基準
次の①と②の両方の成績を修めた方が合格となります。

①筆記試験 Ⅰ〜Ⅲの各科目ごとに40%以上、全体では60%以上
②実技試験 60%以上

 

◆試験の一部免除
以下の資格をもっている受験者は,試験の一部が免除されます。

①消防設備士
すでに他の類の消防設備十免状をもっている方は免状の種類に応じて筆記試験の以下の科目が免除されます。

もっている免状 甲種第1類を受験する場合 乙種第1類を受験する場合
甲種第2,3類 ・消防関係法令の共通部分(8問) ・基礎的知識(10問) ・消防関係法令の共通部分(6問) ・基礎的知識(5問)
甲種第4,5類 ・消防関係法令の共通部分 (8問) ・消防関係法令の共通部分(6問)
乙種第2,3類 免除なし ・消防関係法令の共通部分 (6問) ・基礎的知識(5問)
乙種第4~7類 ・消防関係法令の共通部分(6問)

 

※乙種第1類の免状を持っている方が,甲種第1類を受験する場合,免除科目はありません。

②電気・機械関係の資格
電気工事士,電気主任技術者,機械または衛生工学部門の技術士の資格をもっている方は,筆記試験の一部が以下のように免除されます。

もっている免状 免除科目
電気工事士 基礎的知識の電気に関する部分
構造・機能・工事・整備の電気に関する部分
電気主任技術者 基礎的知識の電気に関する部分
構造・機能・工事・整備の電気に関する部分
技術士(機械部門・ 衛生工学部門)」 基礎的知識
構造・機能・工事・整備

 

◆試験日程
消防設備士試験は,都道府県ごとに実施されます。居住地や勤務地にかかわらず,希望する都道府県で受験できますが,試験日程や試験会場は都道府県ごとに異なるので注意してください。

なお,試験日程によっては,複数の類を受験できる場合があります。詳細は消防試験研究センターの試験案内等を参照してください。

◆受験手続
受験申込みをするには,書面による方法(書面申請)と,インタータートによる方法(電子申請)があります。どちらの場合も,試験日程によって申請期間が異なるため,あらかじめ受験したい都道府県の試験日程を調べておきましょう。

書面申請は,受験したい都道府県の受験願書を入手し,必要事項を記して郵送します。受験願書は,各都道府県の消防試験研究センター支部消防本部で入手できます。

電子申請は,消防試験研究センターのホームページ(http://www.shoubo-shiken.or.jp/)から行います。センターからの連絡を受信するためのメールアドレス(携帯電話,フリーメールアドレスは不可)と,受験票を印刷するためのプリンターが必要になります。

なお,危険物取扱者試験の電子申請も同じホームページから行っているので,間違えないように注意してください。

◆試験当日の準備
試験当日は,受験票(写真を貼付したもの),鉛筆(HBまたはB),消しゴムを必ず持参してください。電卓は使用できません。

◆問合せ先
受験願書の申込みや試験の詳細については,財団法人消防試験研究センター各支部(東京の場合は中央試験センター)に問い合わせるか,消防試験研究センターのホームページを参照してください。

財団法人消防試験研究センター本部
〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-4-2大同生命霞が関ビル19階
TEL 03-3597-0220
FAX 03-5511-2751
ホームページ:http://www.shoubo-shiken.or.jp/
モバイルサイト:http://www.shoubo-shiken.or.jp/m/

ノマドワークス(消防設備士研究会) (著)
出版社: TAC出版; 第2版 (2019/9/12)、出典:出版社HP