ディジタル画像処理[改訂新版]




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はじめに

本書は、公益財団法人 画像情報教育振興協会(CG-ARTS)が,高度情報化社会に相応しい画像情報教育実現のために行ってきたさまざまな活動の一環として,2004年に出版された書籍「ディジタル画像処理」の改訂新版である。

旧版からの特徴として、本書では広範な画像処理関連技術を体系的にまとめるということに加えて,初学者にとっても直感的に理解しやすい解説を試みている。そのため、全ページカラー印刷とし、豊富な図解や,見てわかりやすい処理結果などを数多く載せている。

また,入門教科書としての利用にとどまらず、実際の仕事において関連技術を応用するエンジニアの方にも使っていただけるよう、それぞれの手法の底流にある考え方やその定式化など、重要と思われる内容も記載するように心がけている。

今回、改訂新版を出版するにあたり、上記の特徴は堅持すると同時に、最新の技術内容を取り込み全面的な見直しを行った。それはまた、ページ数の増加を適度に抑えつつ大幅な内容の充実を図るというとてもチャレンジングな取り組みでもあった。力がおよばなかったところもあるが,今後,読者の方々からの感情のないご意見を伺いながら、何らかの形で補っていければと考えている。

なお、本書はCG-ARTSが実施している検定試験「画像処理エンジニア検定エキスパート」を受験しようとする学習者のための教科書でもある。同検定は、画像処理分野に対する知識の理解度を測る試験であり、さまざまな教育現場や企業などで活用されている。本書と合わせて、この分野の学習や達成度の確認・証明などに生かしていただければと思う。

最後に,本書を少しでもよいものにしようと、多忙ななかでも努力を惜しまず協力してくださった執筆者の皆様、原稿に対する貴重なコメントをくださった皆様,図の作成や文章の校正などでご協力いただいた皆様、本書をまとめるにあたり参考にさせていただいた選去のCG-ARTS発行書籍の執筆者や編集委員の皆様,そして執筆・編集の大幅な遅れをカバーするために献身的な働きをしてくださった編集担当ならびに協会の皆様に、心より感謝申し上げます。

2015年2月
「ディジタル画像処理」
編集委員長 奥富正敏

ディジタル画像処理編集委員会 (編集)
公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)、出典:出版社HP

目次

1 イントロダクション
画像処理の位置付けと分類
本書の構成
座標系について

2 ディジタル画像の撮影
2-1 ディジタルカメラの構成
2-2 画像生成の幾何学的モデル
2-2-1 ピンホールカメラ
2-2-2 透視投影モデル
2-2-3 レンズモデル
2-3 撮影パラメータ
2-3-1 撮影画角
2-3-2 画像の明るさ
2-3-3 被写界深度
2-3-4 フレームレート
2-4 画像のディジタル化
2-4-1 グレースケール画像
2-4-2 標本化と量子化
2-4-3 カメラ応答関数
2-4-4 撮像素子のノイズ
2-4-5 時系列画像
2-5 カラー画像
2-5-1 加法混色と減法混色
2-5-2 グレースケール画像とカラー画像
2-5-3 カラー画像の撮影

3 画像の性質と色空間
3-1 画像の性質を表す諸量
3-1-1 画像の統計量
3-1-2 コントラストとシャープネス
3-2 人間の視覚
3-3 表色系と色空間
3-3-1 マンセル表色系
3-3-2 CIE-RG日表色系
3-3-3 CIE-XYZ表色系
3-3-4 CIE-L*a*b*色空間
3-3-5 sRGB色空間
3-3-6 輝度信号と色差信号
3-3-7 HSI変換と逆変換 –

4 画素ごとの濃淡変換
4-1 明るさ・コントラストの変換
4-1-1 トーンカーブ
4-1-2 折れ線型トーンカーブによる変換
4-1-3 累乗型トーンカーブ
4-1-4 S字トーンカーブによる変換
4-1-5 ヒストグラム平坦化
4-2 特殊な効果
4-2-1 濃淡の反転
4-2-2 ボスタリゼーションと2値化
4-2-3 ソラリゼーション
4-3 カラー画像の変換
4-3-1 R.G,Bトーンカープによる変換
4-3-2 カラー
4-3-3 色相・彩度・明度の変化
4-4 複数の画像の利用
4-4-1 画像間演算
4-4-2 マスク処理

5 領域に基づく濃淡変換(空間フィルタリング)
5-1 空間フィルタリング
5-2 平滑化
5-2-1 平均化
5-2-2 重み付き平均化
5-2-3 特定方向の平滑化
5-3 エッジ抽出
5-3-1 微分フィルタ
5-3-2 ブリューウィットフィルタ、ソーベルフィルタ
5-3-3 2次微分とラプラシアン
5-4 鮮鋭化
5-5 エッジを保存した平滑化
5-5-1 局所領域の選択と平均化を行うフィルタ
5-5-2 k最近隣平均化フィルタ
5-5-3 バイラテラルフィルター
5-5-4 ノンローカルミーンフィルタ
5-5-5 メディアンフィルタ
5-6 画像構成要素の置き換え

6 周波数領域におけるフィルタリング
6-1 画像のフーリエ変換
6-1-1 2次元フーリエ変換
6-1-2 画像のフーリエ変換
6-2 周波数フィルタリング
6-2-1 周波数フィルタリング
6-2-2 空間フィルタリングと周波数フィルタリングの関係
6-3 ローパスフィルタ,ハイパスフィルタ,バンドパスフィルタ
6-3-1 ローパスフィルタ
6-3-2 空間フィルタリングによる平滑化との関係
6-3-3 ハイパスフィルタ
6-3-4 バンドパスフィルタ
6-4 高域強調フィルタ
6-4-1 高域強調フィルタ
6-4-2 空間フィルタリングによる鮮鋭化との関係

7 画像の復元と生成
7-1 ぼけぶれ画像の復元
7-1-1 画像の劣化モデル
7-1-2 点がり関数のモデル化とパラメーター
7-1-3 逆フィルタ・ウィーナフィルタによる画像復元
7-2 さまざまな画像復元・生成
7-2-1 ノイズ除去
7-2-2 画像超解像
7-2-3 ハイダイナミックレンジ画像
7-2-4 ガイド画像を利用した画像処理
7-2-5 ライトフィールド撮影
7-2-6 コンピュテーショナルフォトグラフィ

8 幾何学的変換
8-1 線形変換
8-1-1 線形変換の一般形
8-1-2 拡大・縮小
8-1-3 回転
8-1-4 鎮映
8-1-5 スキュー
8-1-6 合成変換
8-2 同次座標とアフィン変換・射影変換
8-2-1 平行移動
8-2-2 同次座標
8-2-3 アフィン変換
8-2-4 射影変換
8-2-5 合成変換
8-3 画像の再標本化と補間
8-3-1 画像の再標本化
8-3-2 ニアレストネイバー
8-3-3 バイリニア補間
8-3-4 バイキュービック補間
8-4 イメージモザイキング
8-4-1 イメージモザイキングとその概略処理手順
8-4-2 特徴点の検出とマッチング
8-4-3 機何学的空機の推定
8-4-4 画像の機何学的空機と合成
8-4-5 平面パノラマ、円筒面パノラマ,球面パノラマ

9 2値画像処理
9-1 2値化
9-1-1 2値化
9-1-2 p-タイル法
9-1-3 モード法
9-1-4 判別分析法
9-2 値画像の基本処理と計測
9-2-1 連結性
9-2-2 輪郭追跡
9-2-3 輪郭追跡の応用例
9-2-4 収縮・膨張処理
9-2-5 収縮・膨張処理の応用例
9-2-6 ラベリング
9-2-7 形状特徴パラメータ
9-2-8 距離
9-3 線画像のベクトル化
9-3-1 ベクトル化処理の流れ
9-3-2 細線化手法
9-3-3 細線の特徴点抽出
9-3-4 ベクトル化
9-3-5 ベクトル化の応用例

10 領域処理
10-1 領域処理のための特徴量
10-1-1 領域のテクスチャ
10-1-2 2次元フーリエ変換による周波数特徴量
10-1-3 ガボールフィルタによる局所周波数特巻量
10-1-4 同時生起行列を用いた統計的特徴量
10-2 領域分割処理
10-2-1 隣接画素の統合による領域分割処理
10-2-2 画素特徴量のクラス分けによる領域分割処理
10-2-3 ミーンシフトを用いた領域分割処理
10-2-4 対象物と背景の間のエッジを利用した領域分割処理
10-2-5 グラフカットを用いた領域分割処理
10-2-6 領域分割処理の利用例

11 パターン・図形・特徴の検出とマッチング
11-1 テンプレートマッチングによるパターンの検出
11-1-1 テンプレートマッチング
11-1-2 類似度
11-1-3 サブピクセル位置推定
11-1-4 高速探索法
11-1-5 参照画素の選択による高速化
11-2 エッジ情報とヒストグラムによるパターン検出
11-2-1 エッジ情報を用いたチャンファーマッチング
11-2-2 ヒストグラム情報を用いたアクティブ探索
11-3 特徴点検出
11-3-1 コーナー検出
11-3-2 DoG画像を用いた特徴点とスケールの検出
11-3-3 輪郭線検出
11-4 特徴点の記述とマッチング
11-4-1 スケールと回転に不変な特徴記述(SIFT)
11-4-2 値特徴量
11-4-3 対応点マッチング
11-5 図形要素検出
11-5-1 ハフ変換
11-5-2 一般化ハフ変換
11-5-3 ランダム化ハフ変換
11-6 顕著性マップ
11-6-1 特徴統合理論
11-6-2 顕著性マップ

12 パターン認識
12-1 パターン認識の基本的なアプローチ
12-1-1 パターン認識の流れ
12-1-2 画像からの特徴抽出
12-1-3 プロトタイプ法による識別
12-1-4 クラスの分布を考慮した識別
12-1-5 NN法とkNN法
12-1-6 kd-tree法
12-1-7 ハッシングによる近似最近傍探索
12-2 教師あり学習による2クラス別
12-2-1 教師あり学習
12-2-2 アダブースト
12-2-3 サポートベクタマシン
12-3 教師あり学習による多クラス識別
12-3-1 対他分類器による多クラス識別
12-3-2 ニューラルネットワーク
12-3-3 ランダムフォレスト
12-4 教師なし学習とクラスタリング
12-4-1 クラスタリング
12-4-2 階層的クラスタリング
12-4-3 k-means法
12-5 特徴空間の変換と部分空間法
12-5-1 主成分分析
12-5-2 線形判別分析
12-5-3 部分空間法
12-6 画像認識の応用
12-6-1 物体検出
12-6-2 画像検索
12-6-3 人体姿勢推定

13 動画像処理
13-1 差分画像を用いた移動物体検出
13-1-1 差分画像
13-1-2 背景差分法
13-1-3 フレーム間差分法
13-1-4 統計的背景差分法
13-2 オプティカルフロー
13-2-1 ブロックマッチング法
13-2-2 勾配法
13-3 移動体追跡
13-3-1 テンプレートマッチングによる移動体追跡
13-3-2 KLTトラッカー
13-3-3 ミーンシフトトラッキング
13-3-4 ベイジアンフィルタ
13-4 その他の動画像処理
13-4-1 カット検出
13-4-2 カメラモーション推定
13-4-3 時空間画像処理
13-4-4 動画像からの自動ストロボ画像生成

14 画像からの3次元復元
14-1 画像と空間の幾何学的関係
14-1-1 透視投影モデルに基づく機何学的関係の記述
14-1-2 同次座標を用いた記述
14-1-3 エピポーラ機何
14-2 カメラキャリブレーション
14-3 ステレオビジョン
14-3-1 空間位置の計算
14-3-2 平行ステレオ
14-3-3 ステレオマッチング
14-4 アクティブステレオ
14-5 モーション推定と3次元復元
14-5-1 既知の空間点からのカメラ位置・姿勢の推定
14-5-2 画像対応点からのカメラモーションと3次元位置の指定
14-5-3 大量の画像を用いた復元

15 光学的解析とシーンの復元
15-1 光学的解析
15-2 放射量
15-2-1 放射量の定義
15-2-2 放射量の基本法則
15-3 反射
15-3-1 反射の種類
15-3-2 BRDFの定義と性質
15-3-3 反射モデル
15-4 反射成分の分離
15-4-1 色に基づく分離
15-4-2 偏光に基づく分離
15-5 形状の復元
15-5-1 位置の推定と法線の推定
15-5-2 照度差ステレオ
15-5-3 参照物体を用いた照度差ステレオ
15-6 反射特性の復元
15-6-1 BRDFの計測
15-6-2 反射モデルパラメータの推定
15-7 照明環境の復元
15-7-1 光源の種類と表現
15-7-2 光源分布の計測
15-7-3 インバースライティング

16 画像符号化
16-1 画像の転送
16-1-1 画像情報の転送
16-1-2 画像の符号量
16-1-3 画像の性質と画像フォーマット
16-2 画像と符号
16-2-1 画像圧縮の原理
16-2-2 画像符号化の分類
16-3 エントロピー符号化
16-3-1 ハフマン符号化
16-3-2 算術符号化
16-4 多値画像の符号化
16-4-1 予測符号化
16-4-2 変換符号化
16-5 2値画像の符号化
16-5-1 ランレングス符号化
16-5-2 チェイン符号化
16-5-3 差分チェインコード
16-6 カラー画像と動画像の符号化方式
16-6-1 カラー画像の符号化
16-6-2 静止画像の符号化方式
16-6-3 動画像の符号化方式

appendix
a-1 画像処理の歴史
a-1-1 画像処理の幕開け
a-1-2 画像処理の工業応用
a-1-3 画像処理のオフィス応用
a-1-4 画像処理の社会応用
a-1-5 最近の動向
a-2 数学的基礎
a-2-1 フーリエ変換
a-2-2 確率
a-2-3 擬似逆行列
a-2-4 固有値と固有ベクトル
a-2-5 KL展開と主成分分析
a-3 画像入力
a-3-1 撮像素子の種類と特徴
a-3-2 高速度カメラ
a-3-3 リニアイメージセンサ
a-3-4 距離画像の取得
a-4 画像出力
a-4-1 ディスプレイ
a-4-2 3Dディスプレイ
a-4-3 プリンタ
a-4-4 画像出力における画像処理
a-5 画像処理の特性測定
a-5-1 ゾーンプレート
a-6 規格
a-6-1 テレビジョンの走査方式
a-6-2 映像信号接続端子
a-6-3 動画像の符号化方式
a-6-4 画像ファイルフォーマット
a-7 知的財産権
a-7-1 知的財産権の概要
a-7-2 著作権
a-7-3 産業財産権と不正競争防止法

参考文献
Index

ディジタル画像処理編集委員会 (編集)
公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)、出典:出版社HP