スペイン語技能検定合格への手引き―1級・2級・3級対策問題集




はじめに

本書は文部科学省後援「スペイン語技能検定」3級、2級、1級合格を目指すための対策問題集です。3級から1級では、6級から4級と異なり、文法問題は出題されず、西文和訳と和文西訳が中心になります。適切な訳を仕上げるには、文法事項をマスターしていることはもちろんですが、語彙を飛躍的に増やし、こなれた文章を作成することが必要です。そのためにはどうしたらよいのか、というのが多くの皆さんの悩みではないかと思います。本書を試験攻略に役立てていただければ嬉しい限りです。

また、スペイン語の初級文法を学んだ方が、日ごろの勉強の成果を試す実力養成問題集としても活用できるようになっています。

本書の作成にあたり、とくに文法解説については、南山大学教授高橋覚二先生からたいへん貴重なご教示を頂戴いたしました。ご多忙のところ時間を割いて、スペイン語文法の奥深さを教えてくださいました。心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

東京外国語大学客員助教授マリア・デル・マル・ホルヘ・デ・サンデ先生、立命館大学講師ジョルディ・ジュステ先生、フリーランス通訳の小松晶子さんからもきめ細かいコメントをいただきました。Muchísimas gracias.

ここに収められている問題の多くはこれまでの授業で試用したものです。学生の皆さんの解答や疑問点のおかげで、実践的な内容にまとめることができました。どうもありがとう。

南雲堂フェニックス編集長の佐藤武司氏、そして松永裕衣子さんには辛抱強く原稿を待っていただきました。心よりお礼申し上げます。

著者

文部科学省後援「スペイン語技能検定」の概要

本試験は6~1級の6つのレベルに分けて行われます。日本スペイン協会によれば、レベルの基準は次のとおりです。

6級:基礎的な短い文章の読み書きができる。名詞・冠詞・形容詞・前置詞・接続詞・疑問詞・動詞の直説法現在を修了。語彙500語程度。
5級:平易な文章の読み書きができる。直説法修了。語彙1200語程度。
4級:簡単な日常会話ができ、直説法・接続法・命令法修了。語彙2500語程度。
3級:新聞などが理解でき、一般ガイドに不自由しない。初級文法修了後、2年程度の学習経験者。スペイン語学科4年時修了レベル。
2級:ラジオ、テレビが理解でき、一般通訳ができる。文法修得後、3~4年程度の学習経験者。
1級:会議通訳、文学翻訳、専門ガイドができる。ラテンアメリカの表現も含めた豊かなスペイン語と日本語が要求されるレベル。

試験の時期は次のとおりです。
春季試験:1次(筆記)試験  6月
2次(面接)試験(3~1級のみ)  7月
秋季試験:1次(筆記)試験  10月
2次(面接)試験(3~1級のみ)  12月

各級の試験内容は次のとおりです。
6級 : 筆記のみ(60分)
5・4級: 筆記と5分程度の聞き取り(60分)
3~1級: 1次試験は筆記のみ(90分)。1次試験合格者だけが2次試験に進む。2次試験は試験官(ネイティブ・スピーカー)による面接形式。

筆記試験の合格基準:正解率70%に達すれば合格。3~1級の1次(筆記)試験は、西文和訳と和文西訳それぞれの正解率が70%に達して、合格となる。

試験要項および願書の申し込み先・試験日程など問合せ先
財団法人 日本スペイン協会西検事務局
〒160-0016 東京都新宿区信濃町 33 真生会館 6F
TEL 03-3353-0428
http://www.casa-esp.com/link-examen.html

(2006年度試験要項および『スペイン語技能検定試験問題集8』より抜粋)

本書の使い方

☆実力養成のために
① 第I部を解く。解答例と照らし合わせ、解説を参照する。
② 文法の誤りや疑問は、「参考書案内」(p.161~p.162)を参照して勉強し、理解を深める
③ 反復練習する。
④ 発展的な学習を進める。(例えば、1スペイン語に訳しにくい「~なる」では、日本語の「ある」「出る」「取る」などに対応するスペイン語の表現をリストアップする、5諺と比喩では、体の各部を使ったスペイン語の表現を集める、など。)
⑤ 第II部の西文和訳および和文西訳を、勉強の度に2~3問ずつていねいに解く。解答例と照らし合わせ、解説を参照する。
⑥ 文法の誤りや疑問は、「参考書案内」(p.161~p.162)を参照して勉強し、理解を深める。⑦ 反復練習する。
⑧ 発展的な学習を進める。(解答を複数作成する、派生語や反意語を整理する、類似の表現を比較する、など。)
⑨ さらに「参考書案内」(p.161~p.162)を利用して、文化、歴史、経済など、文法以外の分野についても知識を増やす。
⑩ 第Ⅲ部の語彙を繰り返し覚える。
⑪ 新聞や雑誌、インターネットを活用し、日々新しい語彙を増やす努力を怠らない

☆1次(筆記)試験直前対策のために
① 第II部「1次(筆記)試験の対策」(p.37~p.48)を読む。
② 第II部の西文和訳から任意に5問選び、ヒントなしで解く。3級以上の筆記試験は、西文和訳4、5間と和文西訳4、5問を90分で解くことを目安にする。1問につき約10分かけて解き、約5分かけて見直しする。
③ 第II部の和文西訳から任意に5問選び、ヒントなしで解く。1問につき約10分かけて解き、約5分かけて見直しする。

☆2次(面接)試験直前対策のために
① 「2次(面接)試験の対策」(p.112~p.115)を読む。
② 録音をしながら、最初の問題を解く。
③ 自分の解答を聞き、「2次(面接)試験の対策」に従って解答をチェックする。
④ 解答例を参考にし、解答の構成を考え直してみる。(各級の最初の問題の解答例がCDに収録されています。)
⑤ 残りの問題を解く。
⑥ 日本の文化について問われることも多いため、参考として第I部6日本の風物詩問2(p.27~p.35)の音読を繰り返す。(CDに収録されています。)

立岩 礼子 (著), 伊藤 ゆかり (著)
出版社: 南雲堂フェニックス (2006/7/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに
文部科学省後援「スペイン語技能検定試験」の概要
本書の使い方

第I部 受験の準備を始めましょう!
1 スペイン語に訳しにくい「~になる」
2 頻出動詞llevarの訳し方
3 無人称表現
4 文と文をつなぐ方法
5 諺と比喩
6 日本の風物詩

第II部 実際に問題を解いてみましょう!
1 1次(筆記)試験の対策
3級対策問題
1. 西文和訳
2. 和文西訳
2級対策問題
1. 西文和訳
2. 和文西訳
1級対策問題
1. 西文和訳
2. 和文西訳
2 2次(面接)試験対策
3級対策問題
2級対策問題
1級対策問題

第Ⅲ部 語彙を増やしましょう!
1 語彙対策問題
3級対策問題
2級対策問題
1級対策問題
2 イディオム集

参考書案内
出典一覧

立岩 礼子 (著), 伊藤 ゆかり (著)
出版社: 南雲堂フェニックス (2006/7/1)、出典:出版社HP