毛筆書写検定ガイド 実技1・2級




平成30年度より毛筆書写技能検定試験の二・準二・三級の理論問 題の解答方法がマークシートによる選択式に変更になりました。 巻末にマークシートの案内を掲載しましたのでご参照ください。 なお本書でこれまで通りに理論問題の学習をしていただければ、 二級のマークシートでの解答には余裕をもって臨めますし、かつ 一級にも対応しやすくなります。

目次

はじめに
毛筆書写技能審査基準について:
受験に必要な用具
答案用紙について

第一問
二級 漢字の楷書と行書
一級 楷行草三体
模範例

第二問
一・二級 漢字仮名交じり文
模範例

第三問
一・二級 漢字古典の臨書
解説と模範例

第四問
一・二級
仮名古典の臨書
模範例

第五問
二級 俳句
模範例
一級 自由作品
模範例
第六問
二級 掲示
模範例
一級 賞状
模範例
理論問題
二級
一級

續木 湖山 (監修), 長野 竹軒 (著), 宮澤 鵞州 (著)
日本習字普及協会 (2018/11/28)、出典:出版社HP

はじめに

文部科学省後援の毛筆書写技能検定試験は、一般財団法人日本書写技能検定協会が全 国都道府県教育委員会の後援を得て実施している試験で、五級から一級までの公的な資 格が得られる唯一のものです。また、一級の合格者は指導者としての認定書を受けるこ とができます。

本書は一・二級を受験するに当たって、どんな勉強をすればよいか、実技問題を第一 問から順を追って解説してあります。各問のガイドをよく読んで、問題が受験者に何を 要求しているのか理解し、模範例を参考に合格するに十分な実力を付けてください。

なお、この本は、故狩田巻山先生が構想をまとめ、執筆に入りましたが未完のままに 終わってしまいました。その後、出版者からの依頼もあり、狩田先生の遺志を汲んで本 書をまとめてみました。資料の収集や要点の執筆には、坂尾ヨシ子先生、青野康子先生 の協力を得、手本執筆は、東京学芸大学教授長野竹軒先生、山梨大学教授宮澤瀉州先生 にお願い致しました。

この毛筆書写検定ガイド【実技一・二級】が受験者の皆様の、合格の手掛かりとなれ ば幸いです。

續木湖山

毛筆書写技能検定について

(一財)日本書写技能検定協会掲載許可済み

この試験は、自己の書写能力を知ることができ る、わが国唯一の「文部科学省・全国都道府県 教育委員会後援」の毛筆書写技能検定試験です。

この審査基準は、毛筆書写技能検定受験者の実力を判定し 格付けをする場合の基準になるものです。したがって、受験 者は、自分の能力を考えて何級を受けるかをきめる場合、そ の目安にもなります。

この検定は、初歩的段階から指導者程度の段階までの区分 を六つの級位に分けています。一級が最高の級位で、一級、 準一級、二級を専門級、三級、四級、五級を一般の級として いますが、四級・五級は初級に当たるものです。

ただ、実際の試験では、審査基準に示されている内容の全 部が出題されるわけではありません。といって、自分の得意 とするものだけを受けるわけにもいきません。自分が受けようとする級位の内容を十分につかんでいなければ合格を期することはできません。

この検定は、通信教育や、雑誌などで行われている昇級昇 段試験とは、権威といい、方法といい、効力といい、すべてが全く異なっています。あくまで自分の能力に応じて選んだ級位を受験し、その資格を得るわけですから、いきなりどの級位を受験してもよろしい。もちろん下の級位から順次受けていくのもよろしい。したがって、個人でも、学校でも、また所属する会などに拘束されないで、自由に受験できます。

また、試験問題は実技と理論の二つに分けられていて、四 級・五級は、実技・理論をいっしょにした合格点で判定され ますが、一級、準一級、二級、三級では、実技・理論のそれ ぞれに合格点がきめられています。したがって、実技と理論 の両方が合格点に達しないと、その級位に合格したことにはなりません。なお、この実技・理論のどちらか一方だけが合 格点に達した場合は、特別の救済措置がとられています。すなわち「準登録」をすれば、次回とその次の回に限り不合格 の科目のみ受験する特典があります。ただし、準登録者が合 格済みの問題に解答した場合(実技・理論ともに)正規受験 として扱い片方合格の特典は無効となります。

(一財)日本書写技能検定協会
170-0005 東京都豊島区南大塚三 – 四一-三
TEL O三(三九八八)三五八一(代)
FAX ○三(三九八八)三五二人

毛筆書写技能審査基準

一般財団法人 日本書写技能検定協会

<2級〉 程度……毛筆書写の専門的技術及び知識をもって書くことができる。

領域 内容
実技 漢字及び仮名
・漢字
・仮名
ア) 楷書
イ)行書
ウ)平仮名、片仮名
ア)楷書を正しく美しく書くことができる。
イ)行書を正しく美しく書くことができる。
ウ)平仮名、片仮名を正しく美しく書くことができる
漢字及び仮名
古典の臨書
・漢 字
・仮名
ア) 楷書
イ) 行書
ウ) 草書
工)仮名
ア)楷書、行書及び草書を正しく美しく臨書する
ことができる。
イ)仮名を正しく美しく臨書することができる。
文章及び文書
ア) 漢字仮名交じり文
イ) 掲示
ウ)自由作品
ア)漢字仮名交じり文を目的に適した書体で正し
く美しくかつ全体を効果的に書くことができる。
イ)掲示を体裁よく書くことができる。
イ)掲示を体裁よく書くことができる。
理論 国語の表記法
・現代国語の表記法
ア)三級の領域
イ) 常用漢字表に掲げれていない漢字の字体、音訓及び「筆順指導の手引き」に示されている以外の筆順
ウ)現代仮名遣い、送り仮名
エ)符号の使い方
ア)三級に示されている領域の内容を更に正確に
習得、理解している。
イ)常用漢字表に掲げられていない漢字の字体 (いわゆる旧字体、書写体)、音調及び筆順に関する知識、理解を持っている。ウ)現代仮名遣い及び送り仮名の付け方に関する知識、理解をもっている。
エ)符号の使い方 エ)句切り符号その他の符号に関する知識、理解をもっている。
その他
ア)草書を読む
イ)文字の歴史
ウ) 毛筆書写に関する知識
ア)よく用いられる草書を読むことができる。
イ)文字の源流や変遷についての知識、理解をも
っている。
ウ) 毛筆書写に関する用具、用材(筆、墨、硯、紙)などについて三級より、更に高度の知識、理解をもっている。

 

注 1. この表において、「漢字」とは、常用漢字をいうものとする。
2.実技では縦書きのみを課する。
3.書きぶりは、小学校・中学校用書写教科書、高等学校用書道教科書中の手本と して示されているものの範囲内とする。

續木 湖山 (監修), 長野 竹軒 (著), 宮澤 鵞州 (著)
日本習字普及協会 (2018/11/28)、出典:出版社HP