海事代理士合格マニュアル(6訂版)




編者のことば

本書は,実務家である海事代理士が編者となって発行するもので、海事代理士試験の受験を目指す多くの方々に利用していただいております。
2年前に本書5訂版を発行いたしましたところ、受験生の皆様から望外の好評を得て,さらに新しく受験を目指す皆様から改訂版を希望する声が多く寄せられているところから,このたび6訂版を出版するに至りました。
本書では,最近5年間に出題された問題を列挙し,出題傾向と出題条文一覧表,ヒント,模範解答,難読用語の読み方などを付し,わかりやすく作成しましたので,海事代理士を目指す受験者に大きな武器として活用されますことを願っております。
なお,読者から寄せられたご要望の中で多かった難読用語の読み方も掲載しておりますので、併せてご参照ください。

2018年5月
編者代表 天野利彦

口述試験で役立つ難読用語の読み方

[船舶法] 官海官庁 かんかいかんちょう
不開港場 ふかいこうじょう
非サレハ あらざれば
毀損 きそん
請受 こいうけ
到著 とうちゃく
三个月間 さんかげつかん
雖モ いえども
已ムコトヲ得サル やむことをえざる
端舟 たんしゅう
其他 そのた
櫓櫂 ろかい
[船舶法施行細則] 浚渫船 しゅんせつかん
看做サス みなさず
碇泊 ていはく
船梁 せんりょう
釘著 ていちゃく
[船舶安全法] 型式承認 かたしきしょうにん
繋船 けいせん
堪航性 たんこうせい
[商法] 噸数 とんすう
爾後 じご
堪フル たうる
著手 ちゃくしゅ
挽船料 ひきふねりょう
惹起 じゃっき
濫ニ みだりに
日本海事代理士会 (編集)
成山堂書店; 6訂版 (2018/6/8)、出典:出版社HP

目次

第Ⅰ章 海事代理士試験について
①受験手続き
1.受験資格
2.出願期間と試験日程
3.受験手続き等
②筆記試験
1.試験実施時期
2.試験科目
3.試験実施場所
4.試験の方法
5.筆記試験の合格者の発表
6.筆記試験の免除
③口述試験
1.試験実施時期
2.試験科目
3.試験実施場所
4.試験方法
5.合格発表

第Ⅱ章 筆記試験
第1節 憲法
第2節 民法
第3節 商法
第4節 国土交通省設置法
第5節 船員法
第6節 船員職業安定法
第7節 船舶職員及び小型船舶操縱者法
第8節 海上運送法
第9節 港湾運送事業法
第10節 内航海運業法
第11節 港則法
第12節 海上交通安全法
第13節 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
第14節 船舶法
第15節 船舶安全法
第16節 船舶のトン数の測度に関する法律
第17節 造船法
第18節 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律

第Ⅲ章 口述試験
第1節 船舶法
第2節 船舶安全法
第3節 船員法
第4節 船舶職員及小型船舶操縱者法

第IV章 合格体験記

付録
海事代理士試験参考書

日本海事代理士会 (編集)
成山堂書店; 6訂版 (2018/6/8)、出典:出版社HP

第Ⅰ章 海事代理士試験について

この試験は,海事代理士の業務を行う能力の有無を判定するため,一般法律常識,海事法令についての専門知識,海事代理士の業務を行うのに必要な実務上の知識について,筆記および口述の方法により行われます。
なお,本書の筆記試験および口述試験の傾向と対策では,平成22年以降の最新の試験問題の傾向を中心に記述しています。

①受験手続き
1.受験資格
他の資格と異なり,学歴,年齢,性別等による制限はありませんが,海事代理士法第3条に規定する欠格事由に該当する者は,試験に合格しても海事代理士の登録ができないことになっています。
欠格事由(海事代理士法第3条)
(1)未成年者
(2)成年被後見人又は被保佐人
(3)禁錮以上の刑に処せられた者であって,その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから2年を経過しない者
(4)国家公務員法,国会職員法又は地方公務員法の規定により懲戒免職の処分を受け,当該処分のあった日から2年を経過しない者
(5)海事代理士法第25条第1項の規定により登録のまっ消の処分を受け,その処分から5年を経過しない者
2.出願期間と試験日程
海事代理士試験の施行については,毎年7月末の官報に告示される。ちなみに平成27年の海事代理士試験の出願期間と試験日程は,次のとおりであった。
平成29年海事代理士試験日程表(例)

7月13日 8月1日〜8月31日 9月29日 11月1日 12月4日 12月22日

口述試験については、状況により一部受験者について日時に変更がある。
3.受験手続き等
(1)提出を要する書類
①受験願書
②顔写真2枚(縦6~8cm×横4.5~6cm,願書提出前6か月以内に撮影した無背景・脱帽上半身のもので、画像の鮮明な写真,特に顔のよくわかるもの裏面に氏名及び撮影年月日を記入する)。
③筆記試験免除申請書(前年の筆記合格者に限る)
(2)受験手数料
受験願書に6,800円の収入印紙を貼って、消印をしないで提出する。
(3)受験願書用紙の請求先
北海道運輸局 〒060-0042札幌市中央区大通西10丁目
札幌第二合同庁舎 011-290-1011
東北運輸局 〒983-8537仙台市宮城野区鉄砲町1
仙台第四合同庁舎022-791-7512
関東運輸局 〒231-8433横浜市中区北仲通5-57
横浜第二合同庁舎045-211-7214
北陸信越運輸局 〒950-8537新潟市中央区美咲町1-2-1
新潟美咲合同庁舎二号館025-285-9156
中部運輸局 〒460-8528名古屋市中区三の丸2-2-1
名古屋合同庁舎第一号館052-952-8013
近畿運輸局 〒540-8558大阪市中央区大手前4-1-76
大阪合同庁舎第四号館06-6949-6416
神戸運輸監理部 〒650-0042神戸市中央区波止場町1-1
神戸第二地方合同庁舎078-321-3146
中国運輸局 〒730-8544広島市中区上八丁堀6-30
広島合同庁舎四号館082-228-3679
四国運輸局 〒760-0064高松市朝日新町1-30-(朝日町庁舎)
高松港湾合同庁舎087-825-1182
九州運輸局 〒812-0013福岡市博多区博多駅東2-11-1
福岡合同庁舎新館8092-472-3155
内閣府 〒900-0006那覇市おもろまち2-1-1 098-866-1836
沖縄総合事務局 那霸第二地方合同庁舎二号館
郵便で請求するときは,必ず返信用の郵便切手140円を同封してください。
(4)受験願書の提出先
受験希望地を管轄する地方運輸局長(運輸監理部長及び沖縄総合事務局を含む)に提出する。
受験願書を郵送する場合は書留郵便とし,必ず返信用の郵便切手82円を同封する。

②筆記試験
1.試験実施時期
毎年9月下旬若しくは10月上旬頃,1日で行われます(例:平成29年9月29日金09:00~17:00)。
2.試験科目
次に掲げる全科目から出題されます。
(1)一般法律常識(概括的問題)
憲法,民法及び商法(第3編海商)
(2)海事法令(專門的問題)
国土交通省設置法,船舶法,船舶安全法,船舶のトン数の測度に関する法律,船員法,船員職業安定法,船舶職員及び小型船舶操縱者法,海上運送法,港湾運送事業法,內航海運業法,港則法,海上交通安全法,造船法,海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律,国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際港湾施設に係る部分を除く)及びこれらの法律に基づく命令
3.試験実施場所
毎年次の11力所で行われます。
札幌市 北海道運輸局
仙台市 東北運輸局
横浜市 関東運輸局
新潟市 北陸信越運輸局
名古屋市 中部運輸局
大阪市 近畿運輸局
神戸市 神戸運輸監理部
広島市 中国運輸局
高松市 四国運輸局(朝日町庁舎)
福岡市 九州運輸局
那覇市 内閣府沖縄総合事務局
4.試験の方法
全国同一問題で,主として記述式,○×式等の短答方式により行われます。今後もこの傾向が続くものと推察されますので、設問の趣旨をとりちがえて,思わぬ間違いをしないよう注意しなければなりません。
5.筆記試験の合格者の発表(例:平成29年11月1日(水))
受験地を管轄する地方運輸局等の掲示板及び本ページにおいて,受験番号が掲出されるとともに,筆記試験合格者に対し,口述試験の案内が発送されます。
6.筆記試験の免除
前掲の提出願書で述べたとおり,筆記試験の合格者が口述試験に不合格になっても,翌年度に限り申請によって筆記試験が免除されることになっています。該当者が受験する場合は受験願書に筆記試験免除申請書(12ページ参照)を添えて提出すれば,その年の筆記試験は免除され、直接口述試験を受けることになります(筆記試験の合格者で口述試験を受けなかった者も同様です)。
なお,筆記試験の免除を受けようとする場合,願書等の提出先は国土交通省海事局総務課へ直接提出してください。
住所:〒100-8918東京都千代田区霞ヶ関2-1-3TEL:03-5253-8946受験願書を郵送する場合は書留郵便とし,必ず受験票送付用郵便切手(82円)を同封してください。

③口述試験
1.試験実施時期
毎年11月下旬頃(例:平成29年12月4日(月)10:00~17:00)に,筆記試験の合格者(筆記試験免除者も含む)に対して行われます。
2.試験科目
海事法令のうち,船舶法,船舶安全法,船員法,船舶職員及び小型船舶操縦者法の4科目について行われます(例:平成30年については筆記,口述試験の解答に当たり適用すべき法令等は,平成30年4月1日現在において施行されているものとします)。
3.試験実施場所
国土交通省 〒100-8918東京都千代田区霞が関2-1-3 第三合同庁舎内
担当局課:海事局総務課 03-5253-8111(代表)
なお,日時と場所については,筆記試験合格者(筆記試験免除者も含む)に直接通知されます。
4.試験の方法
口述試験は,受験者が海事代理士となるにふさわしい実務知識を有しているかどうかを判断することを目的としています。
口述試験は、1科目について5~7分程度の時間内で,試験官の用意した質問に答えるものであり,迅速な解答を求められます。総所要時間は,30分程度で全科目を終了します。
5.合格発表
口述試験終了後20日以内(12月第2週の金曜頃)に発表され,官報に受験番号が公示され,本人に合格証書が送付されます。

問い合せ先:一般社団法人 日本海事代理士会 電話番号 03-3552-9688

海事代理士試験実施状況

筆記試験 口述試験 試験合格率
出願数 受験者
(A)
合格者
(B)
(B)/(A)
(C)%
筆記試験免除者
(D)
受験者
(B)+(D)-欠席者
(E)
合格者
(F)
(F)/(E)
(G)
(F)/(A)+(D)
(H)%
平成10 199 130 96 73.85 14 108 99 91.67 68.75
11 283 198 117 59.09 9 124 62 50 29.95
12 286 170 93 54.71 49 137 103 75.18 47.03
13 295 207 121 58.45 20 137 112 81.75 49.34
14 312 222 121 54.5 19 137 86 62.77 35.68
15 389 263 153 58.17 41 181 154 85.08 50.66
16 369 246 133 54.07 23 146 112 76.71 41.64
17 370 274 151 55.11 24 173 164 94.8 55.03
18 365 244 122 50 10 131 110 83.97 43.31
19 397 303 166 54.79 16 179 145 81.01 45.45
20 376 291 170 58.42 27 194 172 88.66 54.09
21 415 319 164 51.41 17 176 125 71.02 37.2
22 480 344 195 56.69 37 221 151 68.33 39.63
23 493 382 151 39.53 58 201 166 82.59 37.73
24 541 400 202 50.5 18 212 128 60.38 30.62
25 442 321 120 37.38 70 180 150 83.33 38.36
26 430 315 146 46.35 14 157 134 85.35 40.73
27 379 295 151 51.19 18 169 116 69.46 37.06
28 414 290 141 48.62 39 173 133 76.88 40.43
29 409 290 142 48.97 29 162 159 98.15 49.84

 

 

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成山堂書店; 6訂版 (2018/6/8)、出典:出版社HP