はじめてのケアプラン ケアマネ1年生




はじめに

ケアプランは誰のものでしょう?
そう尋ねると、ほとんどのケアマネジャーは「利用者のもの」と答えます。
ですが、残念ながら現実には、そのように感じられないケアプランを多く見かけます。

利用者や家族がケアプランに目を通したとき、「あ、このケアマネさん、私のことをわかってくれている」
「母のことを大切に思ってくれている」
「ちょっとがんばってみるか」
「これくらいならできるかも」
そんなふうに思っていただけるケアプランを作りたいものです。

ケアプランは利用者の人生の“応援歌”です。
最高の作詞家、作曲家をめざして、 ともに成長していきましょう!

著者

中野 穣 (著)
中央法規出版 (2013/9/1)、出典:出版社HP

本書の使い方

いつもカバンや引き出しに
本書はいつもカバンや引き出しに入れておいていただきたいと思います。訪問の直前に「チェックリスト」でおさらいをする。どうすればよかったっけ? 何だか混乱してきた……といったときに、さっと取り出して「解説」を読む。そういった使い方ができます。実務に活かせるようにポイントを絞って具体的に内容を整理しています。ケアマネジャーの一番近いところに置いてほしいという願いを込めて書き上げました。

アセスメント訪問の前に
アセスメント訪問のときに、何に注意し、何を確認しなければならないかを訪問の流れに沿って整理しています。実務に慣れないうちは、訪問の前に繰り返しチェックするといった使い方も可能です。

アセスメント情報の整理時に
持ち帰った情報の整理やニーズの導きだし方について、実務に落とし込みやすいように解説しています。アセスメント情報の整理や分析をするときに、「チェックリスト」で項目を確認したり、「解説」を読んで考え方の整理や見直しをすることができます。

ケアプラン作成時に
利用者に適切なサービスを過不足なく提供するためには、かかわる多職種がニーズや目標を共通理解している必要があります。そのために不可欠なツールがケアプランです。ニーズの導きだし方、目標設定のしかた、サービス内容の組み立て方などについて、本書を参考にケアプランを立案することができます。また、作成したケアプランの適切さをチェックすることもできます。

自信を持ってケアプランの説明ができる
本書の最大の特徴は、ケアマネジャーとして実務に当たり、ケアプランの立案をしてきた経験値からしかわからないケアプラン立案の“壁”を整理することによって、そこからケアプラン立案の“キモ”を具体的に解説していることです。実務のなかで抱きがちな漠然とした疑問を、「ああ、こういうふうに考えるんだ!」と明確にし、読者がケアプラン立案のプロセスを頭の中で整理できるようになることを目的としています。利用者・家族や他職種 に対して自信を持ってケアプランの説明をすることができるようになっていただきたいと思います。

チェックリスト
前半のチェックリストは、アセスメントとケアプランの立案のために理解しておきたい内容をひととおりカバーしています。一目で確認しやすいように工夫しています。

解説
後半の解説では、チェックリストにあげたポイントのもとになる考え方や実務の実際を理論や事例にもとづいて説明しています。チェックポイントの内容を深く理解するためにも、ぜひ目を通していただきたいと思います。

中野 穣 (著)
中央法規出版 (2013/9/1)、出典:出版社HP

Contents

ケアプランってなに?

| チェックリスト
1. 訪問前の準備
2. 訪問中の留意事項
3. アセスメント①一利用者の”思い”
4. アセスメント②一健康(病気)
5. アセスメント③一精神機能・身体機能と体(構造)
6. アセスメント④一活動(ADL・IADL)
7. アセスメント⑤一役割(参加)
8. アセスメント⑥一個性
9. アセスメント⑦一環境
10. ニーズを導きだす
11. ケアプラン作成の基本的考え方
12. ケアプラン立案の実際① – 第1表
13. ケアプラン立案の実際② – 第2表
14. ケアプラン立案の実際③ – 第3表
15. ケアプラン見直しの視点

|| 解説
1. 訪問前の準備
2. 訪問中の留意事項
3. アセスメント① – 利用者の”思い”
4. アセスメント② – 健康(病気)
5. アセスメント③ – 精神機能・身体機能と体(構造)
6. アセスメント④ – 活動(ADL・IADL)
7. アセスメント⑤ – 役割(参加)
8. アセスメント⑥ – 個性
9. アセスメント⑦ – 環境
10. ニーズを導きだす
11. ケアプラン作成の基本的考え方
12. ケアプラン立案の実際① – 第1表
13. ケアプラン立案の実際② – 第2表
14. ケアプラン立案の実際③ – 第3表
15. ケアプラン見直しの視点
COLUMN 支え、支えられる

III ケアプラン作成の実際

ケアプランってなに?

ケアプランは“共通のことば”

ケアプランはケアマネジメントという利用者支援のプロセスのなかで重要な役割を果たします。ケアマネジメントの最大の特徴は、専門職が1対1で利用者を支えるのではなく、たくさんの人々で支えることにあります。ケアマネジャーの仕事は、多くの人から構成される支援チームをマネジメントすることですが、いくらケアマネジャーが優秀で、利用者のことを深く理解できていたとしても、他の支え手が利用者のことを理解できていなければ、統一したケアを行うことはできません。そこで重要になってくるのがケアプランなのです。

ケアプランとは、“利用者理解のための共通のことば”であり、“利用者の自立を支えるための共通のことば”です。

支援チームの全員が利用者のことを共通理解するためには、利用者の生活が誰の目にも同じように見える必要があります。そのためのプロセスがアセスメントです。アセスメントから導き出されたニーズと目標をもとに、利用者がどのように自立し、周囲の人々がどのように支えていくのかを同じように理解するためのツールがケアプランなのです。

「心のQOL」と「見えるQOL」

ケアプラン作成の前提となる「利用者を理解する」ということについて、QOL(Quality of life)の観点から考えてみます。QOL は「生活の質」「生命の質」と訳されます。

中野 穣 (著)
中央法規出版 (2013/9/1)、出典:出版社HP