公務員試験・面接対策のおすすめ本 – 作法から話し方まで
面接で重要なポイントを押さえておこう
公務員試験では個別形式での面接が行われ、民間採用の面接に比べ、問題を起こさないかといったマイナスな部分が注視される傾向にあります。今回は、こうした公務員試験ならではの面接に参考となる本をご紹介します。
公務員試験 大事なことだけ シンプル面接術 2021年度
はじめに
本書は、公務員試験における人物試験全般(個別面接や集団討論、面接カードの作成など)に関する本です。近年の公務員試験は「人物重視」傾向がかつてなく強まっています。仕事は増え、人数が減る傾向にある公務員の職場では、周囲の職員とコミュニケーションを図る能力や、自分でストレスをマネジメントする力を有する人が求められるのです。
一方、ワークライフバランスや安定性の面から、公務員人気は根強いものがあります。そのため、「面接本」は数多く出版され、皆さんが大学や公務員予備校などで模擬面接を受けて練習する機会も増えていることでしょう。
しかし、果たしてそれらの「面接対策」は正しいのでしょうか? 言葉を選ばずに言えば、「ピントがずれている対策が多い」というのが、私の率直な感想です。
私の現職は女子短大の教員です。専門は若者のキャリア支援で、国家資格キャリアコンサルタントなどの資格も保有しています。前職は人事院東北事務局および国立大学法人東北大学の人事・採用担当者でした。かつては皆さんと同じ公務員志望者であり、現在は将来の進路を模索する学生と日々向き合っています。つまり、①面接官、②受験者、③採用・キャリアの専門家という複数の視点を有しているのが、私の強みだと自負しています。
その前提で述べれば「多くの受験者が行う面接対策には、大きな誤解がある」と言わざるをえません。実際の面接でも、「表面的な体裁を意識するあまり、模範回答の丸暗記に終始する人」「ほかの受験者より目立とうとして、奇をてらった回答ばかりする人」などが後を絶ちません。さらには、過熱する人物重視傾向を前にして、自信を失って立ちすくんでいる「コミュ力弱者」を自認する人たちも、公務員志望者には実に多く存在します。
しかし、面接官の視点から言えば、面接は「仲間探し」であり、「受験者とのコミュニケーションの場」なのです。考えてみれば、面接官と言語的なコミュニケーションを図れる唯一のシチュエーションなのですから、理想のキャラを演じたり、なんとか目立とうと無理をしたり、不安におびえたりする必要は、まったくありません。
本書では、「面接の基本」に立ち返りつつ、面接官にあなたの人柄や熱意を効果的に伝えるための「シンプルなアドバイス」を行い、「地に足のついたテクニック」を紹介するよう努めました。読んでみて「なんだ、当たり前のことばかりじゃないか」と思うこともあるかもしれません。しかし、「基本を知っていること」と「それを実践できること」には、雲泥の差があります。本書を読み込んだ後、その内容を実行に移すことで、面接に対する正確な理解が深まり、無用な不安を軽減できることを、著者として心から願っています。
目次
はじめに
Chapter1 面接は対人コミュニケーション
「こうすれば絶対合格!」といった「正解」はない
「自分の部下にしたい」と思わせる
「職場にフィットして活躍してくれる」と思わせる
一般的な評価基準と新しい動き
熱意が空回る独りよがりな失敗を防ぐ
公務員試験と民間企業就活、面接はどう違う?
国家も地方も同じ面接対策で大丈夫?
初回の面接と最終面接、心構えはどう違う?
地に足のついた受験者となれ!
Tips1 受付の人事はじっと見ている
Chapter2 これから始める自己分析と仕事研究
面接の前に必ずやっておくべき自己分析
他己分析で自分の知らない自分がわかる
志望動機を固めるための仕事研究
仕事研究を甘く見た人の末路
面接に効くオススメ本①――公務員の仕事
Chapter3 面接カードは合格へのシナリオ作り
面接カードの目的と基本
「ガクチカ」について考える
「自己PR」について考える
「志望動機」について考える
Tips2 内定者懇談会と内定後の過ごし方
Chapter4 典型質問・面接官に伝わる回答Before → After
志望動機の典型質問1 なぜ公務員への就職を希望するのですか?
志望動機の典型質問2 なぜ本省(県・市)の職員になりたいのですか?
志望動機の典型質問3 採用後にどんな仕事をしてみたいですか?
志望動機の典型質問4 本省(県・市)の課題は何だと考えますか?
志望動機の典型質問5 最近のニュースで関心のある話題は何ですか?
志望動機の典型質問6 公務員にはあまり向いていないように見えますが、どう考えますか?
志望動機の典型質問7 最後に何か質問はありますか?
自己PRの典型質問1 1分程度で自己PRをお願いします。
自己PRの典型質問2 あなたの長所と短所について教えてください。
自己PRの典型質問3 あなたの趣味について説明してください。
自己PRの典型質問4 あなたが苦手な人や嫌いな人はどんなタイプですか?
自己PRの典型質問5 最近の出来事で一番感動したことは何ですか?
ガクチカの典型質問1 学生時代に力を入れて取り組んだことについて説明してください。
ガクチカの典型質問2 大学ではどんな勉強をしているのですか?
ガクチカの典型質問3 これまでに経験した挫折や失敗について教えてください。
面接に効くオススメ本②――働くことの意味
Chapter5 自分の弱みを知り、不安を自信に変える
「スペック」で悩むのは時間のムダ
「コミュ力が低い」と自覚している人ができること
メンタルに不安があるあなたへ伝えたいこと?
民間企業からの転職者は有利? 既卒者は不利?
公務員として活躍したい女性が考えるべきこと
Tips3 残念! 「不合格」だったらどうするか
Chapter6 人物重視面接の最新トレンドを知る
「人物重視」傾向に負けない現実的対策
民間企業の就活との併願は可能なのか?
国家一般職官庁訪問の基本を押さえておこう
アピール面接・プレゼンテーション面接はどうする?
集団討論・グループワークで失敗しないために
元和元年度地方上級(行政系)試験・面接試験の概要
面接&集団討論で問われる 最新時事テーマの考え方
面接に効くオススメ本③――考え方・書き方・話し方
終わりに――頑張るあなたへのエール
公務員試験 現職採点官が教える! 社会人・経験者の合格論文&面接術 2021年度
はじめに
この本は、公務員試験の社会人・経験者採用にかかる論文および面接対策に関する本です。近年になり、公務員の人材不足や民間での知識や経験を公務に活かしてもらいたいという背景から、国でも自治体でも広く社会人・経験者採用試験が活用されるようになり、受験者数も増えています。こうした試験では、人物をより重視する観点から、合否判定にあたり論文や面接の評価が大きなウエートを占めています。
私は長い間、採用試験に携わっていますが、多くの受験者が新卒対象の試験と同様の対策しかとっていないことを目の当たりにしてきました。論文の採点や面接官を行うたび、「わかってないな~」とため息をつくことがよくあります。はっきり言いますが、社会人・経験者採用試験に合格するためには、新卒対象の試験とは異なった対策が必要です。論文と面接については、特にその点が顕著です。こうした試験を実施する背景や、国や自治体が社会人・経験者に求める職員像を受験者がきちんと理解することが必要なのです。
そこで、次の点をポイントにこの本を執筆しました。
●本書のねらい
1.社会人・経験者採用試験の背景や自治体などが受験者に求めている点を明確にする
試験の目的は合格することですが、そのためには試験の目的、意図を確実に把握しておくことが大事です。このことを理解しないで、合格しようというのは無理な話です。このため、受験者に知っておいてほしい、社会人・経験者採用試験の背景や自治体などが受験者に求めている点などを具体的に解説しました。
2.社会人・経験者採用試験の論文・面接対策のポイントをわかりやすく解説する
社会人・経験者採用試験の論文・面接では、新卒の試験よりもレベルが高い答案・回答が求められます。「社会人なのに、こんな論文しか書けないの?」、「経験者にも関わらず、面接の答えがお粗末」と採点官に判断されては、とても合格はできません。このため、試験のポイントをできるだけわかりやすく、また具体的に解説しています。
3.それぞれの受験者に応じた対策ができるように配慮する
社会人・経験者採用試験の場合、論文でも面接でも単に「模範回答を暗記しておけば、何とかなる」というものではありません。職歴や在籍していた業界などは受験者によって異なりますので、受験者が自分なりの答えを作る必要があるのです。そのため、どのような点に配慮したらそのような回答が導けるのか、多くのヒントを掲載しました。
多くの受験者は「社会人・経験者採用試験は新卒対象の試験と何が違うのだろう?」、「どのように論文を書けばよいのか?」、「面接で効果的にアピールできるだろうか」と不安に思っているかもしれません。しかし、この本を一読いただければ、そうした不安を減らすことができると思います。
皆さんが試験に合格し、国や自治体で活躍されることを心から願っています。
春日 文生
CONTENTS
はじめに
COLUMN1
社会人枠で採用されたら、何か特別なことをしなくてはいけないのでしょうか?
Chapter1 社会人・経験者採用の目的とポイント
・なぜ社会人・経験者採用を行うのか
・試験要綱でねらいを確認する
・採用担当者を悩ませる「勘違い受験者」
POINT1 組織人のルールを理解しているか
POINT2 公務員と民間人の違いを認識しているか
POINT3 住民対応を理解しているか
POINT4 効率性を意識しているか
POINT5 専門性を活かせるか
POINT6 時事問題を認識しているか
・自己のアピールポイントを検証する
COLUMN2 実はメンタルで前職を辞めましたが、大丈夫でしょうか?
Chapter2 社会人・経験者採用のエントリーシート対策
・申込みからすでに試験は始まっている
POINT1 シートは戦略的に書く
POINT2 分量は多すぎても、少なすぎてもいけない
POINT3 文字は適度な大きさで、丁寧に書く
POINT4 同じ内容を2回書かない
POINT5 アピールポイントは客観的に検証する
・面接を想定して書く
・公務員としての適格性を感じられる内容か
・シート全体で人物像が読み取れる内容か
・エントリーシート・アピールシートの例
COLUMN3 原稿用紙の使い方
Chapter3 社会人・経験者採用の論文対策
・社会人・経験者採用試験論文の目的と出題パターン
・論文のポイント
・論文で書いてはいけないこと
・論文の評価基準
・論文の構成
・論文を作るコツは「箇条書き」と「論理性」にある
論文の書き方1 テーマに対する意見を3つ決める
論文の書き方2 意見は必ず論理的に説明する
論文の書き方3 序章と終章はパターン化する
論文の書き方4 「~と思う」は使わず「~だ」と断定する
論文の書き方5 表現は簡潔明瞭にする
・原稿用紙の使い方
・字は丁寧に書く
・時間配分に注意する
・必ずテーマに答える
合格論文例01 これまでの経験を公務員としてどのように活かせるのか述べよ
合格論文例02 本市の課題を1つ挙げ、それを解決するため、あなたの経験や実績をどのように活かすのか述べよ
合格論文例03 ワークライフバランスの実現について、あなたの考えを述べよ
合格論文例04 あなたがこれまでに成果を挙げたと思う実績について述べよ
合格論文例05 効率的・効果的な行財政運営について、あなたの考えを述べよ
Chapter4 社会人・経験者採用の面接対策
・面接試験前に覚えておいてほしいこと
・面接シート記入にあたっての注意点
・面接の評価基準
・面接官には役割分担がある
・面接の基礎知識
・面接中は「明るく、ハキハキ答える」が大原則
・圧迫面接や意地悪な質問にもめげない
想定質問1 志望理由は何ですか
想定質問2 今の勤務先を辞められますか
想定質問3 これまでの実績について述べてください
想定質問4 これまでの経験が公務員としてどう活かせますか
想定質問5 これまでに失敗したことについて述べてください
想定質問6 公務員に転職せず、このまま勤務したほうがよいのでは
想定質問7 民間と自治体で働くことの違いを述べよ
想定質問8 どこまで出世したいですか
想定質問9 あなたを採用したほうがよい理由を教えてください
想定質問10 本市の最大の行政課題は何だと思いますか
・集団面接
・集団討論
・グループワーク
・プレゼンテーション面接
COLUMN4 アルバイト経験しかなくても(もしくは無職でも)採用されますか?
Chapter5 今年出題されそうなテーマとポイント
テーマ1 少子化対策
テーマ2 高齢化対策
テーマ3 人口減少
テーマ4 多文化共生社会
テーマ5 待機児童対策
テーマ6 防災対策
テーマ7 働き方改革
テーマ8 住民の行政参加
テーマ9 情報漏洩
テーマ10 行財政改革
COLUMN5 筆記試験ができなくても面接で挽回することは可能でしょうか?
最終面接官が教える! 公務員面接突破術 2022年度版 (高橋の公務員シリーズ)
はじめに
本書は、最終合格を目指す公務員試験の受験者が「本物の面接対策」を行えるよう、最終面接官を務めてきた私の経験を凝縮して一冊にまとめたものです。東京都多摩市副市長を退任後、面接対策を指導してきた全国の教え子たちが最終合格を果たし、公務員として立派に活躍しています。次はみなさんの番です。
じつは、公務員受験業界では、私のように実際に職員採用に携わった経歴をもつ講師が驚くほど少ないのです。ほとんどは、受験者から聞き取ったデータをもとに、推測で指導しています。その一番の怖さは、「採用者側の視点が入っていない」ということです。
面接試験の合否は、いうまでもなく面接官の判断にすべて委ねられます。受験者のどこを見て、どのように合否を判断しているのか、その実情を知らなければ、どんな面接対策も机上の空論です。面接官のリアルな感覚をみなさんにお伝えすることこそ、私の使命だと考えています(もちろん、公務員の守秘義務の範囲内ということになりますが)。
本書の出版にあたっては、公務員試験 必勝倶楽部に、多方面からの監修をいただきました。また、高橋書店や関係者のみなさんからの的確なアドバイスがなければ、本書は完成し得なかったことを記して、厚く御礼申し上げます。
本書を手にした志あるみなさんには、これを面接対策のバイブルとして十分に活用し、難関を突破して、見事に最終合格の栄冠を手にしていただきたいと願っています。そして、希望あふれる公務員生活のスタートを切ってください!
公務員試験 必勝倶楽部
元 多摩市副市長
田村一夫
本書の特長
本書は、短期間で自己PRや志望理由を固め、本番で注意すべき重要なポイントを身につけられるよう構成した、公務員面接試験の対策書です。国家公務員から地方公務員(初級~上級)まで、幅広く対応しています。
Introduction はじめに知っておきたい15のこと
⇒面接官の視点から、面接試験を正しく理解しましょう!
Chapter.1 自己PR・志望理由・面接シートをつくろう
⇒オリジナルな自己PRと志望理由を固めて面接シートを完成させましょう!
Chapter.2 面接本番で気をつけたいこと
⇒本番を想定したさまざまなノウハウを身につけましょう!
Appendix 巻末資料
⇒受験先ごとの面接の様子、実際の質問例などをまとめました
また、本書の購入者限定でご利用いただける「合格レベル到達への応援特典」があります。詳細は6ページをご覧ください。
Contents
はじめに
本書の特長
書籍購入者限定特典について
Introduction はじめに知っておきたい15のこと
1 面接官は面接シートをじっくり読む時間がない
2 人気自治体でも面接倍率は2倍以下
3 突破のカギは自分の過去にある
4 「ありのまま」では勝負にならない
5 入室する前に落ちている人
6 面接で聞かれることはたったの2つ
7 入室直後の3分間で合否が決まる
8 圧迫面接は本当にあるのか?
9 面接シートで面接官を誘導する
10 面接官は目の前のあなたを見ていない
11 その他大勢から抜け出せ!
12 面接官にもプレッシャーがある
13 よい嘘と悪い嘘
14 たった一言で逆転満塁ホームラン
15 あなたなら結局「誰」を合格させるか
Column.1
Chapter.1 自己PR・志望理由・面接シートをつくろう
自己PR
1 面接官が自己PRを聞く理由
2 自己紹介と自己PRの違い
3 面接官が共感する自己PRとは
4 よくある自己PRの失敗例①
5 よくある自己PRの失敗例②
6 自己PRづくりの準備
7 友人取材をやってみよう
8 パーソナリティを分析しよう
9 弱みの克服もアピールできる
10 自己PR作成ワーク①
11 自己PR作成ワーク②
12 自己PR作成ワーク③
13 自己PR作成ワーク④
14 強みをまとめてみよう
15 自己PR作成ワーク⑤
16 自己PRのまとめ
17 自己PRの添削例
18 自分のキャッチコピーをつくろう
志望理由
19 面接官が志望理由を聞く理由
20 面接官が納得する志望理由
21 志望理由づくりの準備
22 まち歩きをしてみよう
23 目指す理由を徹底的に考える
24 なぜ少数の公務員を目指すのか
25 国家公務員か地方公務員か
26 取り組みたいことを明確にする
27 自己PRと関連づける
28 志望理由作成ワーク①
29 志望理由作成ワーク②
30 志望理由作成ワーク③
31 志望理由作成ワーク④
32 志望理由作成ワーク⑤
33 志望理由作成ワーク⑥
34 志望理由の添削例①
35 志望理由の添削例②
36 志望理由の5タイプ
面接シート
37 面接シートの役割
38 記載内容の注意事項
39 書くときの注意事項
40 実際の面接シート例
社会人経験者の注意点
社会人経験を武器にするには?
Column.2
Chapter.2 面接本番で気をつけたいこと
こんな人は要注意!
1 面接での合否判定ポイント
2 緊張しすぎる人
3 回答を丸暗記して話す人
4 長々と話す人
5 表情がとぼしい人
6 個性のない人
7 社会人の意識がない人
8 暗い印象の人
9 人間関係をつくれない人
評価がよくなるポイント
10 話の内容と全体の印象が重要
11 見た目で気をつけるべきこと①
12 見た目で気をつけるべきこと②
13 見た目で気をつけるべきこと③
14 印象は最初の3分間が大切
15 話し方に気をつけよう
16 話し言葉と書き言葉の違い
17 間違った敬語より丁寧語で勝負
18 声の出し方に気をつけよう
形式別のポイント
19 個別面接の注意点
20 集団面接の注意点①
21 集団面接の注意点②
22 集団討論はここで差がつく①
23 集団討論はここで差がつく②
24 プレゼンテーション・グループワークの注意点
最後のまとめ
25 面接前日・当日のチェック項目
Column.3
Appendix 巻末資料
面接の概要
1 国家公務員
2 東京都
3 道府県
4 特別区(人事委員会)
5 特別区各区
6 政令市
7 一般市
面接官の質問例
自主練習マニュアル
Introduction はじめに知っておきたい15のこと
No.1 面接官は面接シートをじっくり読む時間がない
あまり知られていませんが、面接官がみなさんの面接シートを読むのは、面接当日、試験直前の限られた時間です。
面接官は、自分の本来の仕事で多忙な毎日です。その合間を縫って面接官の業務を行っています。たとえ、面接シートを事前に提出させる受験先でも、あらかじめ余裕をもって丹念に読むことはできません。面接試験当日に提出させる受験先ならば、なおさらです。
みなさんにとって重要なのは、「面接官が短時間で理解しやすく、質問したくなるような面接シート」をつくることです。
面接官は、受験者がどんな人であるかを見極めるために、限られた時間で質問を考えます。その際に活用するのが面接シートです。書き方が乱雑で、何をアピールしたいのかわからないような内容では、面接が始まる前からすでにハンディキャップをかかえていると考えてください。
●面接官の手元に面接シートが届くのは面接記録直前
●面接官は限られた時間でしか面接シートを読めない
●面接官がもっている受験者の情報は面接シートのみ
●面接官は面接シートを質問の糸口にする
●面接シートの内容があなたの第一印象になる
●読みやすい面接シートであなたの気配りが面接官に伝わる
Point!!
●面接官は面接シートをじっくり読めない
●面接シートは、ぱっと見のわかりやすさが重要
No.2 人気自治体でも面接倍率は2倍以下
みなさんは筆記試験対策には力を入れても、なぜか面接試験対策をおろそかにしてしまう傾向があります。「筆記試験は大変だけど、面接試験の倍率はそれほど高くないし、面接官の質問に答えられれば何とかなる」と考えているのかもしれません。
しかし、質問に答えるにもコツがありますし、練習が必要です。試験だけうまくいっても、最終合格の切符は手に入りません。面接試験を失敗すれば、すべてが水の泡です。みなさんは面接官に選ばれなければならないのです。
近年の公表データを見ると、都道府県の面接試験の合格倍率は1.3~2.7倍で平均1.9倍、政令市では1.2~4.5倍で平均2.0倍です。2人に1人は合格しています。これは、しっかり対策をすればきちんと受かる倍率です。
ただ、2人に1人は落ちるとも言えますから、みなさんは油断せず対策をして周囲から一歩リードし、受かるほうの1人になってください。
●筆記試験・・・落とす試験。二次試験以降に進む受験者を、短期間で選別し、落とすために行う
●面接試験・・・選ぶ試験。面接官が「一緒に働きたい」と思う人を選別するために行う
Point!!
●面接試験は平均して2人に1人は受かる試験
●ただし軽く見ると大きな落とし穴がある!
No.3 突破のカギは自分の過去にある
最近の公務員試験は、筆記試験のハードルを下げる一方、人物を重視する面接試験に比重が移っています。また、一般教養や行政に関する専門知識の勉強をしなくても、受検ができる採用枠も設けるようになっています。
知識の豊富さだけではなく、どんな経験を積んで成長してきたのかや、これからもっと伸びるかどうかに注目しているからです。
人物を判断する要素は、筆記試験ではわかりません。そこで、面接試験が重視されているのです。
東京都や東京特別区のように、面接試験が1回だけというのはむしろ例外で、一般的には2、3回の面接が行われます。また、人気のある自治体では、5回以上の面接を行うところもあります。
面接試験では、おもに以下のことを聞かれます。
●自己PR・志望理由
●今までの経験
●それぞれの経験で何を身につけてきたのか
みなさんのなかには、自信をもって話せることがないと心配になってしまう人もいるでしょう。しかし、人に語れる経験や、これまでの人生で培ってきたアピールポイントが全然ないという人はいません。自分を冷静に分析すれば、「語ることができる経験」を発見でき、面接を突破できます!
Point!!
●最近は面接試験重視の傾向!
●自分の過去を徹底的に掘り下げよう
No.4 「ありのまま」では勝負にならない
面接をしていると、自分を優等生に見せようとして、最初から最後まで模範解答のような受け答えをする人がいます。面接官からすると何ら面白みがなく、まったく魅力を感じない人に映ってしまいます。残念ですが、不合格枠に入ってしまうでしょう。
では、ありのままの自分で受け答えすればよいのかというと、そうではありません。大切なのは、自分の強みを面接官に印象づけられるような受け答えをすることです。その際、面接官が違和感を覚えないように面接シートや話の内容、態度などの軸を統一し、自分を総合的に表現することが必要です。
強みは、必ず自分の今までの経験から導き出してください。アルバイトやボランティア活動など、普通の経験で大丈夫です。強みと経験が関連していて、さらに自己PRや志望理由と結びついていれば、面接官は興味をもって話を聞いてくれます。
しかし、話の具体的な内容として、誰でもやったことがありそうなエピソードは避けたほうがよいでしょう。失敗したことや、あなたの独自性を発揮できたようなエピソードがオススメです。
面接官をしていると、受験者の話すエピソードがみな同じで本当に驚きます。どんなささいな経験でも大丈夫ですが、それをうまくアレンジして独自性を出し、ほかの受験者と差別化できるようにしましょう。そのほうがはるかに面接官の印象に残ります。
Point!!
●面接試験は強みをアピールする場
●失敗した経験など独自のエピソードで差別化できる
No.5 入室する前に落ちている人
面接試験は、個別面接であれば平均20分、長くても30分程度です。「この時間だけ頑って乗り切ろう!」と思っている受験者をたくさん見てきました。
しかし、面接試験の間だけスイッチをオンにしようとしても、なかなかうまくいきません。スポーツと同じように準備運動が必要なのです。そうしないと、面接試験で十分なパフォーマンスを発揮できず、面接での受け答え以前の問題で不合格枠に入ってしまうかもしれません。
朝に自宅を出たら、電車のなかでは音楽を聞きながらリラックスするのもよいでしょう。しかし、面接試験会場の最寄り駅に到着したら、意識を切り替えて集中してください。会場の建物内はすべて、自分を最大限アピールするプレゼンテーションの場です。
また、控え室での様子もチェックされていると考えてください。私が最終面接官として合否を判断していたときは、面接試験のやり取りだけではなく、控え室でどのような態度だったのかも担当職員にチェックしてもらっていました。
控え室では、ほかの受験者の輪に加わって静かに雑談をしている人もいますし、ボツンと孤立している人もいます。1人で面接シートをチェックしても、余計に緊張してしまうだけです。周りと静かに話しているほうが、緊張もほぐれていくでしょう。
<前日にしておきたいこと>
●忘れ物がないか、持ち物の確認
●電車の時間を調べる
Point!!
●面接会場の最寄り駅で意識を切り替える
●会場の建物内では絶対に気を抜かない!
No.6 面接で聞かれることはたったの2つ
面接官は限られた時間でさまざまな質問をして、あなたのよいところを見つけ出そうとしています。そして、それらの質問はすべて「自己PR」と「志望理由」に関連しています。
いろいろな角度から受験者を掘り下げることで、「さっき言っていた強みが、実際の経験でも生きているんだな」とか「そうしたきっかけで公務員を目指したなら、熱意をもって仕事をしてくれそうだな」というように再確認しているのです。
私も最終面接官として合否判断をするときは、自己PRと志望理由を重要視してきました。どの面接官も着目するポイントは共通しています。この2つが曖昧な受験者を採用したいとは考えません。
みなさんは以下の6点をつねに意識し、どんな質問がきても軸がぶれないように面接対策を進めてください。
<自己PR>
●本当の自分を理解しているか
●強みを生かし、弱みを克服しているか
●公務に身をささげようとする考えがあるか
<志望理由>
●公務員になろうとする理由が明確か
●受験先のどこに魅力を感じているのか
●受験先で取り組みたい仕事が明確か
Point!!
●すべての質問は「自己PR」と「志望理由」に関連する
●「自己PR」と「志望理由」が曖昧ではダメ!
No.7 入室直後の3分間で合否が決まる
面接官は、事前の面接シートで何となく受験者をイメージし、面接試験の冒頭で第一印象を確定します。もしここでよくない印象をもたれてしまうと、残りの時間で修正することは至難の業です。
ですから、みなさんにとって「面接室に入ってからの最初の3分間」は非常に大切な時間なのです。逆にいえば、ここをうまく乗り切るができれば、あとはスムーズに面接を進められるのです!
<最初の3分間で重要なポイント>
●入室からお辞儀、あいさつまでをマナーにそって行う
●にこやかな笑顔とキビキビした態度で若者らしさを出す
●着席を促されてから座り、背筋をピンと話す
●面接官が聞き取れるようにはっきりと声を出す
●面接官の顔を見て、質問に対して的確に答える
これらができるだけで、第一印象は驚くほど違います。もちろん練習で身につけることができますので、流れるようなしこんな動作でできるようになるとよいですね。面接官も「社会人としての基本的なマナーは理解しているな」と思い、安心して質問に移ることができます。
<面接官は最初にここを観察している>
●率直にいって「変な人」「常識のない人」ではないか
●態度や服装から見て、一般社会のルールを理解しているか
●面接官にあいさつできているか
●質問をしっかりと聞く姿勢が、スムーズな受け答えか
●座り方がきちんとしているか
Point!!
●最初の3分間の印象が勝負!
●姿勢と声と最低限のマナーに気をつけよう
No.8 圧迫面接は本当にあるのか?
「あの面接官の圧迫は厳しかった」とがっかりしていた人が合格し、「面接試験はあっけないほど楽勝でした」と余裕だった人が落ちることがよくあります。じつは、ここにみなさんの勘違いがあるのです。
公務員試験には、民間の採用試験で行われている「ストレスを与えて、それにどのように反応するか」というやり方はありません。面接官は、興味をもった人に自己PRや志望理由を繰り返し聞き、エピソードをいくつも答えさせるなど、掘り下げて確認します。
それをみなさんは、圧迫面接と勘違いしているのです。面接官は興味をもった人にいろいろと聞きたくなるので、むしろ、あっさり終わってしまったときは、「興味をもってくれなかったのかな」と思わなければなりません。
また、面接試験が圧迫のようになるのは、受験者が原因の場合もあります。面接シートにきれいごとしか書かない人や、どう考えても嘘だとバレバレのことを書いてしまった人は、面接官にちょっと聞かれただけでもしどろもどろになり、自身を追い込んでしまいます。
面接試験は、警察官や検事の尋問ではありません。面接官は、あなたのよいところを引き出そうとしているのですから、信頼して受け答えをしてください。
Point!!
●圧迫面接は公務員試験には存在しない
●追求質問を受けたら肯定的にとらえよう!
No.9 面接シートで面接官を誘導する
面接官は、面接シートで質問する内容を探しています。みなさんはそれを理解して、面接シートに「質問してもらいたいことの糸口」を書くことが必要です。
まずは、「これだけは自信をもって話せる!」とあなたがアピールしたいことをイメージしてください。以下のような内容がよいと思います。
●自分の強みが日常生活で発揮されているエピソード
●過去の経験から自分の強みに気づいたエピソード
●失敗を乗り越えて、自分が成長したとアピールできる内容
●自分が受験先を選んだきっかけ
●受験先で取り組みたいと考えていること
●そのような考えにいたった出来事
そして、面接シートにはそのすべてを書くのではなく、入り口の部分や質問の糸口になることを書くのです。面接官が読んだときに、「この話は面白そうだな。もう少し聞いてみたいから質問しよう」と思えばこっちのものです! 面接試験本番で、あなたの土俵に引き込むことができます。
Point!!
●面接シートは「質問してほしいことリスト」である
●エピソードのさわりだけを書く
No.10 面接官は目の前のあなたを見ていない
面接官は、現在の学力や知識量も気にしていますが、それだけで合否を決めているわけではありません。受験者のもっている知識が、実際の仕事で活用されることはまれだからです。
それよりも面接官は、学力以外の人間的な部分で、これからさらに伸びていく人を求めています。言い換えれば、山に登りきった人よりも、まだ5合目くらいにいても、これから頂上を目指して頑張ろうとする人に伸びしろを感じ、興味をもつのです。
法律の条文をすべて暗記することは、行政の現場では求められていません。「確か、こんなことが書かれていたな」という記憶があれば、条文を確認すれば事足ります。逆に、暗記しているからといって確認せずに仕事を進めることはできません。
ですから、学力や知識量が試験合格の絶対条件として求められているわけではないのです。面接官は、やる気や伸びしろを感じさせる人と一緒に仕事をしてみたいと思うのです。
また、現役の学生であっても、面接試験では社会人として扱われます。学生であれば許されるようなマナー違反も、社会人では許されません。したがって、最低限のマナーを身につけて面接試験に臨む必要があります。
Point!!
●面接官は受験者の将来性を評価する
●これからの伸びしろを感じさせることが重要
No.11 その他大勢から抜け出せ
50人の採用者を決める場合、最終面接試験では100人前後の受験者を面接して、合否の判断をします。全員の面接試験を終えた時点で、「ぜひ採用したいと思う10人」「不採用が無難だと思う20人」はすでに判断できます。
しかし、私が最終面接官としてもっとも苦労したのは、残り70人のなかから、合格の40人をどうやって決めるかでした。なぜなら、このボーダーラインにはドングリの背比べ状態の受験者がひしめき合っているからです。
みなさんには、最初に選ばれる10人になるようにぜひ頑張ってほしいですが、ボーダーラインの70人に入る場合も多いと思います。そうしたときに、その他大勢から抜け出すポイントは以下の7点です。
●話のテンポがよく、会話が成立するか
●明るい雰囲気があるか
●他人とうまく付き合えそうか
●精神的にタフか
●バランスのとれた考え方か
●公務員としての覚悟があるか
●部下として使ってみたいと思われるか
このポイントを頭に入れて、面接対策を進めてください。
Point!!
●受験者はドングリの背比べが一番多い
●「部下にしたい」と思われることが大切
No.12 面接官にもプレッシャーがある
私は最終面接官として受験者の合否判断をするときに、いつも胃が痛くなる思いをしてきました。その理由は、一度採用してしまったら、まったく使えない人であっても、よほどのことがないかぎり辞めさせられないからです。
たとえば、自治体職員の平均年収が600万日とすると、22歳で採用して60歳の定年までに支払う給与は、単純計算で2億2800万です。面接官として正しく見極めて採用しないと、自治体に2億円以上の損失を与えることになるわけで、なかなか重いプレッシャーでした。
一方、面接試験では多くの受験者が金太郎あめのように同じ内容を話し、決まりきったフレーズで切り抜けようとしています。これでは、選ぶ側の面接官も、「またか…」とうんざりしてしまいます、ここで受験者がオリジナル性を発揮できると、印象が格段によくなります。
面接試験では、先輩が使った自己PRや志望経由、面接対策本に書かれている内容は、決してあなたのベストな回答にならないのです、あなたにしか通用しない答えを、あなた自身が考えなければなりません!
Point!!
●面接官もよい人材を採ろうと必死
●オリジナルな回答はキラリと輝く
No.13 よい嘘と悪い嘘
長年面接試験の対策指導をしてきて、気づいたことがあります。それは、面接時期になるとなぜかサークルの副部長やサブリーダーが急増することです。
「リーダーシップをアピールしたほうがいいだろうけど、リーダーはやったことないし、無難に副部長にしておこう」となるのでしょうか。しかし、相手はプロです。実際にリーダーの経験がないと、面接官ちょっとしたつっこみですぐに嘘を見抜きます。
では、自分の経験を少しも誇張できないのかというと、そうでもありません。面接官は「少し盛っているな」と苦笑しながらも聞いてくれます。「本当は役職には就いていないけど、メンバーの1人としてサークルをまとめるために○○をしてきた」と素直に話せばよいのですが、まあこれを「副部長」ということにする程度は許されるでしょう。しかし、まったく経験していないこと、想像上のことを話すような嘘は絶対にダメです!
もっとも、複数の受験先があって、「すべてが第一志望」と言うことは嘘ではありません。面接試験のときはすべての受験先が第一志望です。なぜなら、そこしか受からなければ、第一志望に間違いないのですから。滑り止め受験でも、第一志望と言える理由を考えましょう。
Point!!
●面接官はプロなので嘘を見抜く
●「すべてが第一志望」は必要な嘘
No.14 たった一言で逆転満塁ホームラン
地方自治体で最終合否を決定する方法は、次の2つに代表されます。1つは筆記試験と面接試験の得点を合計して判断する「総合得点方式」、もう1つは、筆記試験の得点に関係なく、最終面接だけで判断する「面接判断方式」です。
都道府県や政令市では、募集要項で合否の決定方法が明記されていますので確認してください。最近は、後者の面接判断方式を採用する地自治体が増えていると思います。
そして、面接試験の配点が高いということは、筆記試験をボーダーラインすれすれで通過しても、面接で大逆転できるということです!それもたった一言で可能な場合もあります。
私は、東京都多摩市の最終面接官として多くの受験者の面接をしてきました。そのなかで印象に残っている人がいました。
集団面接の最後に時間があったので、「何か一言だけPRしてください」と投げかけたときのことです。受験者の1人が、「だまされたと思って、私を採用してください」と言いました。これは印象に残りました! もちろん誰にでも通用する言葉ではありません。その受験者の雰囲気で、嫌味に感じなかったからよかったのです。
この勇気ある一言は、最終合格に直結しました。彼の入庁後、私は周囲に「だまされていないよね」と彼の仕事ぶりを確認しましたが(笑)。
Point!!
●総合得点方式と面接判断方式がある
●自分に合った「最後の一言」を考えておこう
No.15 あなたなら結局「誰」を合格させるか
面接官は、面接試験で受験者にさまざまな質問を重ねながら観察し、人柄を引き出し、人間性を見極めることによって合否判断をします。
その判断のポイントをしぼり込むと、以下の3点になります。
●「この人は、しっかりと仕事ができそうだ」
●「組織になじんでチームの一員として力を発揮できそうだ」
●「将来の幹部候補生として鍛えられそうだ」
この人を採用したら、きっと職場でしっかりと仕事をするだろう、組織になじむだろうという判断ができることに加えて、受験者の将来性、つまり、潜在的にもっている伸びしろが重要なポイントになるのです。
面接官は、これから職員として一緒に働いていく人を選ぶのですから、その前提として、「人として共感できる」「同じ価値観を共有できる」と感じさせてくれる人に魅力を感じます。
それを見極めるために、受験者のこれまでの経験を聞き、採用したらどのような職員になって活躍してくれるのかを知りたがるのです。
みなさんがさまざまな場面で誰かを選ぶとき、きっと「共感できる」「この人となら一緒にやっていける」と思う人を無意識に選んでいると思います。面接官の気持ちも本質的には同じなのです。
Point!!
●責任感・協調性・将来性がポイント
●面接官は一緒に働ける仲間を選ぶ
Column.1 市民と汗を流す仕事①
私が東京都多摩市を受験したとき、志望理由で取り組みたいとアピールしたのはコミュニティ政策の仕事でした。しかし、実際に携われたのは、入庁からかなり時間がたち、部長になってからのわずか2年間でした。希望がすぐにかなわなかったという意味では少々残念な気もしますが、市民のみなさんと協働して取り組んだ事業で学んだことがあります。
それは、市民と一緒に汗を流すことの重要性です。これを実感したのは、環境基本計画を策定したときでした。このような計画は、一歩間違えるとコンサルティング会社主導の展開になってしまうのですが、それでは市民と一緒に取り組み、行動する計画ができないと考え、市民に積極的に計画づくりに参加してもらうように工夫しました。
市民参加といっても、従来は計画づくりに市民の声を評論家的に生かすことで終わっていました。しかし、この環境基本計画をつくる際は「この計画はみなさんに実践してもらうためのものですから」と、繰り返し確認をして考えていきました。
(→続きは122ページ)
公務員面接を勝ち抜く力
はじめに
奈良県生駒市長の小紫雅史です。私は、平成3年8月17日、環境省を退職し、奈良県生駒市で仕事を始めました。生駒市の全国公募により、副市長に就任したのです。着任して最初にショックを受けたことは、自治体が採用業務にまったく力を入れていないことでした。「人事」なかでも「採用」が組織の最重要事項であることは当然のことです。しかし、自治体ではそうなっていませんでした。地方への権限移譲や地方創生を高らかにうたっているにもかかわらず、人づくりをおろそかにしているのです。これではいつまでたっても地方分権も地方創生も実現しません。
生駒市では、採用を組織の最重要課題と位置づけ、採用試験の改革を進めてきました。公務員試験型の教養試験を廃止してSPI3を導入、採用説明会を大幅に充実させて市長が自らアピール、日本一早い採用プロセス、採用ポスターをはじめとする戦略的広報などです。これらの取組みの結果、生駒市では、5年連続で受験者数が1000人を超え、採用倍率は関西1位となりました。自治体では、全国トップレベルの採用を実現しています。
しかし、自治体にとって本当に大切なのは、単に採用方法を改善することではなく、社会の変化を見極めながら、どのような能力を持った人材を採用するのかを考え、採用の説明会や採用基準に反映させることです。
生駒市で副市長、市長と経験して、私は、少子高齢化、人口減少はもちろん、市民ニーズの多様化と専門化、市民力や企業の社会意識の高まりなど、社会の大きな変化を肌で感じました。また、地方創生が叫ばれる中、地域課題を発見し、地域の皆さんとともに汗をかいて、地域ならではの取組みを創り、実行する「自治体3.0」のまちづくりを進めてきました。これらの経験から、これからの公務員に求められるのは、「国から言われたことをミスなく遂行する実務能力」だけでなく、「自ら考え、動き、市民を巻き込みながら物事を具体化する力」へと大きく変化していると確信しています。
したがって、これからの採用試験においては、知識や事務能力だけではなく、人間力が必要となってきます。生駒市では、「リーダーシップ(始動力)」と「協創を生み出す力」を特に重視しています。短い採用プロセスの中で人間力を見極めることは容易なことではありません。しかし、これからの公務員試験では、自治体の採用担当者は、面接を中心に、さまざまな工夫をして、受験者の人間力を見極め、自治体の発展に活躍してくれる人材を本気で採用しにくるはずです。
以上を踏まえ、公務員をめざす皆さんに考え、実践していただきたいことは、
1.人間力を見極めるための人物重視の採用試験、特に面接について理解し、準備すること
2.面接でしっかりとやり取りするため、社会の変化や公務員に求められる力の変化を理解すること
3.求められる力、特に「リーダーシップ(始動力)」と「協創を生み出す力」を意識して日常生活を工夫し、自らを高め、多くの経験を積んでおくこと
です。
もちろん公務員としてすでに第一歩を踏み出している人にとっても、社会の変化、公務員に求められる力の変化を理解し、行動を起こすことは大切なことでしょう。
そのような方が本書に触れ、晴れて公務員として採用され、これからの社会を「地域から」「市民とともに汗を流して」変革・発展させていく人材と育ってくださることを心から期待しています。
もくじ
はじめに
第1章 「人物重視」採用の面接で問われていること
01 人物重視の採用で問われるのは「人間力」
02 他の人と同じことしか言えなかったら不合格と心得よ
03 自分の言葉で話し、素の自分を伝えられるか
04 他の自治体や官庁、民間企業も研究したうえで、志望しているか
05 志望理由に説得力はあるか
06 どうしてその仕事がやりたいのか、具体的にストーリー化できているか
07 自らの経験を志望理由ややりたい仕事につなげられているか
08 自分の専門性や能力をどのようにPRできるか
09 自分の性格・行動様式と自治体の組織風土は合っているか
コラム 人は見た目が9割 見た目で損していませんか?
第2章 公務員をめざす人に知っておいてほしい公務員を取り巻く環境の変化
10 少子高齢化と人口減少
11 財政状況の厳しさが増し、自治体の職員数は減少
12 市民ニーズの多様化・複雑化・専門化
13 地方創生の進展が、自治体の主体性と地域力の掘り起こしを促す
14 働き方改革の背景
15 働き方改革が自治体や地域社会にもたらす影響
16 市民の地域参加意識の変化
17 事業者のCSV経営と新しい公共の発展
18 IT(情報技術)やAI(人工知能)の進化
19 自治体に押し寄せる国際化の影響
コラム 公務員は安定している?
第3章 これからの公務員に求められる能力
20 複数の専門性を兼ね備えた真の専門家
21 ITやAIのインパクトを理解し、活用する力
22 国際化に対応する力
23 さまざまな工夫で税収を増やす「稼ぐ力」
24 従来の枠組みにとらわれず、柔軟に対応する力
25 生産性を高める「捨てる力」と「スピード感」
26 自治体3.0と「協創」の力
27 リーダーシップ(始動力)と常識を破壊する突破力
コラム 公務員は定時退庁が当たり前?
第4章 本当のリーダーシップを身につけるために
28 地域に飛び出すことがリーダーシップの第一歩
29 自治体間の学び合いとライバルづくりが始動力を高める
30 リーダーシップを育てる「自分プロジェクト」と「市民目線」からの提案
31 「始動力」の先にあるのは、これまでの常識を破壊する「突破力」
コラム 公務員はチャレンジよりも、ミスをしないことが大切?
第5章 「協創」の力を育てよう!
32 まちの素敵な人を100人知っていますか?
33 連携を実現するコミュニケーションの力
34 チームを築き上げる人間力・人柄
35 組織や上司を説得する「ボスマネジメント」を身につけよう
36 市民のモチベーションを保つ気配りや工夫
コラム 公務員は市民ニーズに応えるのが仕事でしょ?
第6章 こんな取組みが「人間力」アップにつながる
37 大学の授業やサークル、アルバイト以外の機会を意図的に作る
38 自治体で働くモチベーションと力を高める読書・情報収集術
39 自治体や地域のイベント、セミナーに参加する
40 自分が主体的に動く活動をやり遂げる。
コラム 民間と公務員、求められる力は違う?
おわりに
装丁 ISSHIKI(市川さつき)
本文DTP ISSHIKI(川野有佐)
本文イラスト 寺崎愛
2100人以上を合格に導いた講師が教える! 公務員採用試験 面接試験攻略法
はじめに
●公務員とはこんな仕事。だからこんな人が求められる
公務員とは社会全体に奉仕するのが仕事であり、一般の企業とは違い、利益の追求が目的ではありません。人々の生活を支え、より良い暮らしのために社会の仕組みやルールを整理するのが仕事です。そのため、責任感があり、計画性や行動力のある人材が求められます。また、住民の声を幅広く聞くことのできる情報収集力にも長けている必要があります。つまり、住民や地域のことを強く思える人物が、公務員として求められているのです。だからこそ、公務員に対する熱意を面接で伝えられたのならば、面接官はその声をしっかりと受け止めてくれます。
●公務員面接はこんな面接
公務員採用試験では面接重視の傾向にあります。筆記試験では計り得ない、「あなた」のことを見たいのです。公務員採用試験では個人面接、集団面接、集団討論と複数の面接形式がありますが、基本的には「その人がどういう人なのか」を見るのが目的です。どれだけ公務員の仕事について知識があるか、どれだけ意気込みがあるかはもちろん、あなたの話し方や仕草もきちんと見ています。いろいろな評価項目がありますが、やはり一番大事なのは「公務員になりたい。住民や地域のために働きたい」という意志を存分にアピールすることです。
●公務員面接に受かる人の特徴
①公務員に対する熱意がある。その熱意が伝えられる人
②身だしなみやあいさつなど、社会人としての基本ができる人
③元気な受け応えができる人
公務員に本気でなりたい人は、面接でのやりとりの中で自然とそれが面接官に伝わるものです。たとえば、志望動機も確かなものがあるでしょうし、熱意があれば自己PRのための自己分析にも大した抵抗はないでしょう。また、身だしなみを整え、あいさつなどをきちんとすることは、当然のようにできていなくてはなりません。面接では「社会人としての適性」も見られているからです。そして、面接官が話を聞いていて気持ちいいと思えるような元気さがあれば、同僚として迎えたいという気持ちもわいてくるものなのです。
●公務員面接に受からない人の特徴
①志望動機や自己PRの内容が薄い
②身だしなみや言葉づかいが雑。その場に適した対応ができない
③面接官と目を合わせず、話し方が暗い
志望動機をはじめ、質問に対する回答の内容が薄い場合は、その場しのぎの回答なのだろうと、面接官はその回答に耳を傾けてくれません。あるいは、もっと内容を知ろうとして重ねて質問を繰り返してくるでしょう。そこでさらにでっち上げの回答を続けていたら、ボロが出て、呆れられてしまいます。また、身だしなみやあいさつがきちんとできていない人は、やはり、一緒に働く仲間としては不安になってしまいます。熱意のある受験生を見ている面接官としては、ボソボソとうつむきがちな受験生からはいい印象は抱けないのです。
●受験生はみんなこんなことに困っている
採用試験に臨むのが初めて、という人は少なくないでしょう。面接自体が初めてという人は、未知のことに臨む不安もあることでしょう。面接試験について事前に調べておくことは重要です。また、受験生の困っていることでよく聞くのは「いい回答の仕方がわからない、うまく回答できない」というものです。面接は自己アピールの場ですから、面接官にはいい印象を抱いてもらいたいものです。かといってウソをついて自分を大きく見せるのは間違いです。どこかの模範回答を丸々真似するのも間違いです。いい回答とは、あなた自身の言葉で、あなたのアピールポイントを説得力ある形で伝えられる、そんな回答なのです。
●面接練習の重要性
公務員になれるかどうかが決まる面接。緊張したり、不安を感じてしまうのは仕方がありませんが、やはり本番では自信を持って発言をしていきたいもの。緊張や不安を取り除くためには練習が重要です。何度も練習することで、自信が持てるようになれば自然と話し方や態度にも出てきます。それが面接官の好印象へとつながるのです。友人同士での面接練習はもちろんのこと、自分一人でいるときにもシミュレーションしてみてください。
●面接官の立場になって考えよう
面接官がどんなことを受験生に求めているのか、一度面接官の立場になって考えてみるとイメージしやすいです。自分の仕事に知識も興味もなく、態度が悪く元気もない。そういった人をあなたは採用したいと思うでしょうか。また、明らかなつくり話と思って、その真偽を確かめるために、何度も質問を繰り返し、次第に話に矛盾がたくさん見つかってしまったら、あなたはどう感じるのでしょうか。
面接官の立場になって考えてみると、自然とどういう人が採用されるのか見えてきます。話に説得力があり、そして何より「公務員になりたい!」という熱意が伝わってきたのなら、面接官はその人に惹かれます。最初から何か特別な資格や技量が求められているわけではありません。それよりも、面接官はあなたの熱意や可能性を見たいのであり、それを見ることができるのが、面接の場なのです。
筆記試験と違って面接試験の質疑応答では一見、答えがないように思われます。一つの確固たる正解があるわけではないので、確かにそうなのかもしれません。それでも答えはあなた自身の中にあります。本書はその答えを面接で表現できるような、自分の回答をつくる方法も紹介しています。ぜひ本書を活用し、合格を勝ち取ってください。そして公務員となり、人のため、地域のために活躍して、あなたが今、理想としている公務員になってください。あなたの目標達成の、その一助となれば幸いです。
本書の使い方
■本書は、公務員採用試験の面接対策を紹介し、面接に関する基礎知識はもちろん、自分の回答のつくり方と面接でよく聞かれる質問、集団討論の攻略法、面接カードの書き方など、実践的な内容を盛り込んでいます。
■どのページからでも読みすすめることができますが、下の流れに沿って読みすすめると面接突破に必要な知識や考え方が体系的に身につきます。
STEP 1 面接突破に欠かせない心構えと練習法を知る!
面接に対する素朴な疑問をクリアにします。
→ Prologue 公務員面接のギモン
STEP 2 面接準備に必要なことを知る!
面接日当日までにどのような準備が必要かわかります。
→ Chapter 1 面接当日までにすること
STEP 3 面接の基礎力を身につける!
公務員面接の形式や面接マナーなどの基本情報をまとめています。
→ Chapter 2 公務員面接の基礎知識
STEP 4 自分だけの回答をつくる!
自分自身の言葉でつくる、自分だけの回答のつくり方を紹介します。
→ Chapter 3 自分の答えをつくる方法
STEP 5 面接質問に対して、ベストな回答をつくろう!
面接質問に対する回答例と回答のポイントについて解説します。
→ Chapter 4~6 自分の言葉でつくるベスト回答
STEP 6 集団試験の突破力を身につける!
集団面接と集団討論の攻略ポイントをまとめています。
→ Chapter 7 集団面接・集団討論を突破する!
STEP 7 合格に近づく面接カードをつくる
面接カードを記入するときの実践テクニックと、記入後のポイントを紹介します。
→ Chapter 8 魅力的な面接カードの書き方
STEP 8 過去質問を面接練習に役立てる
→ Chapter 9 自己分析質問集・よく出る過去質問集
1 「面接官からの質問」
面接官から投げかけられる質問。よく聞かれる物を厳選している。
2 「ダメな回答例」
ありがちな回答失敗例。
3 「ワンポイントアドバイス」
「ダメな回答例」から「本気度が伝わる回答」にするための秘訣を解説している。
4 「本気度が伝わる回答」
合格レベルの回答例。ダメな回答を手直ししたものになっている。
5 「本気度が伝わるステップアップ」
「本気度が伝わる回答」が壊れている点を解説。
6 自分の回答をつくる「5W1H」
「面接官からの質問」に対して、あなたの5W1Hのメモを書く欄になる。P.61~を参照して回答をつくってみよう。
CONTENTS
●はじめに
●本書の使い方
Prologue 公務員面接のギモン
Q.1 なぜ面接するの?
Q.2 面接におけるタブーは?
Q.3 模範回答を覚えればいいのでは?
Q.4 一般企業の面接と何が違うの?
Q.5 面接苦手は克服できる?
Q.6 面接より筆記が大事では?
Column1 合格者インタビュー①
Chapter 1 面接当日までにすること
面接突破の流れ
公務員試験の概要を知る
公務員について知る
説明会・セミナーに参加する
官庁訪問を知る
時事質問対策のための情報収集を行う
自分の回答を用意して面接練習
面接前日チェックリスト
Column2 合格者インタビュー②
Chapter 2 公務員面接の基礎知識
3つの面接形式と面接カードを知る
面接マナーと身だしなみの基本
言葉づかいのマナー
入退室の流れと立ち居振る舞い
圧迫面接を乗り切る方法 陥りがちな失敗例
Column 3 合格者インタビュー③
Chapter 3 自分の答えをつくる方法
自分の回答を準備する
【STEP1】 ブレインストーミング
【STEP2】 5W1Hで回答づくり
【STEP3】 新聞記事を要約する
【STEP4】 友人や家族に頼んで模擬面接で練習
Column 4 面接官のホンネ①
Chapter 4 自分の言葉でつくるベスト回答 自己PR・意欲編
自己PRのつくり方
Q.01 自己PRをお願いします
Q.02 あなたの長所と短所を教えてください
Q.03 上司と意見が合わない場合はどうしますか?
Q.04 学生時代に特に打ち込んだことは何ですか?
Q.05 アルバイトは何かやっていましたか?
Q.06 大学のゼミはどのような内容のものでしたか?
Q.07 なぜ民間ではなく公務員になりたいのですか?
Q.08 市役所(県庁)でどんな仕事がしたいですか?
Q.09 転勤があっても大丈夫ですか?
Q.10 退職の理由は? また辞めてしまいませんか?
Q.11 公務員の不祥事について、意見を聞かせてください
Q.12 あなたが公務員に向いているのはどんなところですか?
Q.13 職場の人とうまくやっていけますか?
Column 5 面接官のホンネ②
Chapter 5 自分の言葉でつくるベスト回答 志望動機編
志望動機のつくり方
Q.14 志望動機を教えてください
Q.15 希望部署に配属されなかったらどうしますか?
Q.16 なぜ当市(当県)なのですか?
Q.17 併願している受験先はありますか?
Q.18 民間の企業でなくてもよいのですか?
Q.19 進学は考えなかったのですか?
Q.20 10年後、あなたはどうなっていたいですか?
Q.21 公務員になることを両親は何と言っていますか?
Column 6 民間と公務員
Chapter 6 自分の言葉でつくるベスト回答 時事・性格質問編
時事・性格質問の回答のつくり方
Q.22 関心のある最近のニュースを教えてください
Q.23 少子高齢化について、あなたの意見を教えてください
Q.24 親友はいますか?
Q.25 最近読んだ本を教えてください
Q.26 高校(大学)生活は楽しかったですか?
Q.27 座右の銘は何ですか?
Q.28 ストレスはどうやって発散していますか?
Q.29 あなたの趣味は何ですか?
Column 7 「最後に何か質問はありますか?」に対する回答
Chapter 7 集団面接・集団討論を突破する!
集団面接を攻略するには
集団討論を攻略するには
時間内に終わらない失敗例(集団討論1)
テーマの定義づけによる成功例(集団討論2)
集団討論で使えるフレーズ集
Column 8 グループワークと集団討論
Chapter 8 魅力的な面接カードの書き方
読みやすい面接カードにする
テクニック①結論から書く
テクニック②具体例を使って説明する
テクニック③一文一意にする
テクニック④読みやすく書く
自己PR欄の記入例
志望動機欄の記入例
部活動・サークル活動欄の記入例
専門学科・ゼミナール欄の記入例
関心事・気になったニュース欄の記入例
趣味・特技欄の記入例
Column 9 面接カードチェックリスト
Chapter 9 自己分析質問集・よく出る過去質問集
自己分析質問集
よく出る過去質問集
●おわりに
9割受かる鈴木俊士の公務員試験「面接」の完全攻略法
9割受かる 鈴木俊士の公務員試験 面接の完全攻略法
知っていますか?最近の公務員試験では年々、2次試験の面接が重要視されるようになり、実際に面接の得点配分が高まっています。
つまり、面接対策こそが、合格への鍵を握っているのです。でも、学科試験と比べ、何をすればいいのか、わからない、「面接は苦手」という声がたくさん!
●普段はおしゃべりなのに、面接になると緊張して話せない……
●話す内容を前もって暗記しても、緊張で全部飛んじゃう……
●そもそも人前に出ると、緊張で頭が真っ白に……
面接試験を苦手にしている人の最大の敵は「緊張」ではないでしょうか?でも、どんなに緊張してしまう人でもまず、この3つだけ覚えておけば、「最初の5分」で面接官の印象をガラッと良くするそんな方法があります。
①先言後礼
「あいさつしながらお辞儀」のようなだらっとした「ながら」に気をつけると、相手は自分が大事にされていると感じます。
②「話す」よりも「聞く」!
「何か話さなきゃ」とあせってしまうときほど、相手の話をよく聞くようにしましょう。「何を聞かれているか?」がわかれば、自分が何を話せばいいか、自然とわかります。
③笑顔とアイコンタクト
笑顔で相手の目を真っすぐ見て話せば、あなたの話の内容についても、信頼して聞いてもらえるようになります。
面接官が判断しているのは、
①この受験生と一緒に仕事がしたいか?
②この受験生は仕事ができるか?
この2つだけ!
本書では、さらに面接官にアピールでき、最終合格に直結する30のメソッドを一挙に紹介していきます!実際の合格者たちの「面接カード」も大公開。「苦手」な面接試験を「得意」に変えて内定をゲットしましょう!
はじめに
3つのステップで面接試験は必ず合格できる!
面接試験でライバルに差をつけろ!
公務員試験における面接の重要性が年々高まっている。
たしかに10年前までは1次試験の学科試験が重視されていた。しかし、最近は2次試験の面接を重視する官庁が増えている。
たとえば、静岡県警の配点は次の通りだ。
●学科試験 教養100点・論作文50点
●体力試験 150点
●面接試験(集団討論・個別面接) 600点
【合計900点】
論作文試験まで含めた学科試験の配点が150点に対し、集団討論と個別面接をあわせた面接試験の配点は何と600点だ。
さらに武道・語学・情報処理などの経歴評定6点を学科試験に加えることができる。この6点でも30~50人は、ごぼう抜きできる計算だ。
一方の受験生からは、「面接になるとうまく話せなくなる」という声が数多く聞こえてくる。単なるおしゃべりなら得意だけれど、面接となると緊張して頭の中は真っ白になってしまう。「子どもの会話」はできるけれど、「大人の会話」ができないのである。
私が公務員予備校を開校してから今年で24年目を迎える。20年以上公務員試験の面接指導をしてきて思うのは、うまくいかなかったときに、
●自分の話のどこがダメなのか?
●うまく話すためにはどうすればいいか?
この2点について多くの受験生が正解を知らないことだ。
これほど面接試験の重要性が高まっているにもかかわらず、何をどのように学べばいいのかが明らかになっていないのが現状だ。
この本は、そんな多くの悩める受験生のために書いた。
模範解答通りはNG
公務員試験の面接で、最もやってはいけないのは模範解答通りに答えることだ。
高校生の場合を例にとってみよう。
公務員試験では、面接の前に「面接カード」を書いて提出する。
このとき、生徒の書いた文章を学校の先生が手直ししてしまうことがしばしばある。先生としては良かれと思いそうするのだろう。
しかし、高校の先生が書いた文章はすぐわかる。
「これ、学校で先生が書いてくれたんじゃないの?」と生徒に聞くと、百発百中そうだという答えが返ってくる。
さらにそれを丸暗記して面接で答えようものなら面接結果は、……残念ながら、推して知るべしである。採用担当は受験生のことを知りたいのであって、高校の先生を採用するわけではない。
ここまでひどくはないが、面接練習をしていてすぐわかることがある。想定される質問に対して、受験生が自分の回答を紙に書き、それを丸暗記している場合だ。待ってましたとばかりに、あらかじめ用意してある回答を立て板に水のごとく話し始める。
それならまだしも、途中で丸暗記した回答を忘れてしまい、目を白黒させて思い出そうと必死の形相になっている受験生もいる。
実際の面接でも、「それ、用意してきた回答だね?」「残念だな、自分の言葉で話してほしかったな」などと面接官に言われることがある。ひどいときは、「あ、それもういいから、別のこと話してくれないかな?」とも。
これを聞いて、なかには「面接官ってひどいことを言うんだな」と思う人もいるかもしれない。
でもちょっと考えてみてほしい。あらかじめ考えて面接カードに書いたことを丸暗記して言うのなら、面接カードを読めばすむことだ。面接は連絡文のやり取りではない。
連絡文を暗唱するだけの面接など、貴重な時間を割いてする必要がない。面接官に嫌がられるのも致し方のないことだ。
ならばぶっつけ本番で面接に臨めばいいかというと、これがそうでもない。
よくありのままの自分を見せたいからぶっつけ本番で行くという受験生がいる。
が、出たとこ勝負は最悪だ。
あなたの人生がかかった面接に、バクチはいけない。ありのままの自分を見せるためには、地道な練習が必要なのである。ところが、どうすれば自分の考えを効果的に相手に伝えることができるのか、学校では教えてくれない。
私たちは、人前での話し方について学校できちんと勉強したことがない。
いわゆる一流大学を出た人でも、思いつきで言い散らかしたり、相手の存在を無視して一方的に話してしまうのはそのためだ。言葉は学ぶけれど、話し方は習わない。勉強しない所で差が出るのは当然だろう。
合格への近道となる3つのステップ
そこで思いついたのが、「守破離」の3つのステップだ。「守破離」は茶道や武道における師弟関係のあり方のひとつだ。様々な成長のプロセスに用いることができる。
簡単に説明してみよう。
●ステップ1=「守」
まずは師匠に言われた型を守る。
●ステップ2=「破」
その後、自分に合ったより良い型をつくることにより既存の型を破る。
●ステップ3=「離」
最後は型から離れて自在になる。
これを公務員試験の面接対策に当てはめれば、「大人の話し方」を知ったうえで、自分にしか語れない何かを自在に話すことができる。
本書は、ステップ1(「守」)で、公務員試験の「面接」で知っておくべき事柄を提示し、続くステップ2(「破」)で、「面接カード」の書き方を中心に自分にしか話せない「何か」を見つける方法を伝授する。そして最後のステップ3(「離」)で、面接官の心に届く「伝え方」を身につけてもらい、思い切り自己アピールできるようになってもらう。
名俳優・高倉健さんの「自分、不器用ですから」のセリフが象徴するように、かつては「口のうまい奴にろくな人間はいない」というイメージがあった。「話し方」というと、「口先でうまいことをしゃべるテクニックだろう?」と軽く見られていたものだ。
それがいまでは面接試験においての最重要課題になっている。話し方は単なるおしゃべりのテクニックではなくて、他人と交流し、信頼関係を構築し、何がしかのミッションを成し遂げるための重要なコミュニケーション能力として位置づけられることになったのである。
この本における私のミッションは、
●あなたの公務員試験最終合格
●コミュニケーション能力の向上
この2つだ。
人前で話すことに苦手意識を持つ人は多いが、コツさえつかめば面接に必要なコミュニケーション能力などすぐにアップする。
大げさではなく、いまからあなたの人生を変える30個のメソッドをお教えしよう。
この本が、あなたを磨くささやかなヒントになれば幸いである。
シグマ・ライセンス・スクール浜松 塾長 鈴木俊士
目次
はじめに 3つのステップで面接試験は必ず合格できる!
STEP 1 「守」 絶対に押さえておきたい面接11の基本
1 面接官が選びたいのは、「好かれて仕事ができる人」
2 アリストテレスに学ぶ、人を説得するための3つの要素
3 面接では「非言語コミュニケーション」がとても重要
4 入室で好印象を与えるポイントは、「あいさつ」と「お辞儀」
5 これだけは知っておきたい入退室の手順
6 身だしなみで面接官に伝えるべきは「きちんと感」
7 髪形とメークで「清潔感」と「健康的な雰囲気」を与えよう
8 「集団面接」は、「他人の話を聞くこと」が大切
9 「集団討論」は役割を演じようとせず、自然体で討論に参加する
10 「個別面接」は、面接官との生きた会話の「対話」を心がける
11 よく出る面接過去問55でシミュレーションしてみよう
STEP 2 「破」 自分にしか話せない「何か」で差をつける12のヒケツ
12 すべては「面接カード」から始まる
13 「趣味・特技の欄」は、面接官と意気投合できるチャンス
14 「長所」と「短所」の説明では、具体的なエピソードと改善策を話す
15 自己PRで心がけたい「3幕構成」
16 話の内容を「数値化」できるとポイントアップ
17 失敗談で「リカバリーカ」をアピールしよう
18 「1分間自己PR」も3幕構成にし、声に出して練習する
19 「志望理由」は”きっかけ”と”やりたいこと”をはっきり伝える
20 民間企業からの転職組は、その知識と経験をフル活用すべし
21 「女性ならでは」の視点は、大きな武器になる
22 今とても役立つ「面接ノート」のススメ
23 「受験先」と「最近気になる社会情勢」の情報はどうやって集める?
STEP 3 「離」 面接官の心に届く伝え方が身につく7つのコツ
24 面接時の姿勢を動画にとってチェックしよう
25 受かる「身ぶり手ぶり」と「顔」とは?
26 聞き返しても大丈夫、質問には正しく答えよう
公務員試験 面接完全攻略ブック 2年度(2020年度) (受験ジャーナル特別企画4)
受験ジャーナル 特別企画4
公務員試験 面接完全攻略ブック
CONTENTS
PART 1 個別面接シミュレーション ~模擬面接に学べ!~
PART 2 面接対策直前講義 ~内容と形式の両面が大切!~ 後藤和也/坪田まり子
●公務員試験の面接とは?
●面接対策の基本的な流れ
●面接における「形式面」の重要性
PART 3 面接カードのまとめ方 ~何をどう書く!?~ 伊吹文雄
●面接カード作成の鉄則
●面接カード Challenge! (添削とアドバイス)
PART 4 合格者の面接再現&面接体験記 ~先輩の成功例を体感!~
●合格者の面接カードと面接再現
●面接体験記
PART 5 個別面接データバンク ~実際質問例と面接カードがぎっしり!~
PART 6 集団討論・グループワーク 〜模擬討論と評価基準!~
●集団討論の基本と対策
●集団討論シミュレーション
●集団討論課題例
●グループワークの基本と対策
●グループワーク課題例
PART 7 官庁訪問 ~ルール・採用実績と体験談!~ 池田俊明
●官庁訪問の基本と実態
●官庁訪問の準備と対策
●国家総合職の官庁訪問
●国家一般職の官庁訪問
表紙デザイン krran
表紙イラスト 宮崎ひかり
本文デザイン 中濱健治
本文イラスト 小林孝文
巻頭企画 面接・集団討論の時事
Navigator 寺本 康之 Yasuyuki Teramote
全国各地の大学生協講座,東京法経学院,公務員予備校EYE等で講師を務める。『寺本康之の憲法ザ・ベストプラス』『寺本康之の小論文バイブル』(エクシア出版)などに続き,異色の新刊『わが子に公務員を進めたい親の本』(実務教育出版)も好評発売中。法律系・行政系科目等のわかりやすい講義に加えて,時事・論文・面接対策においてもツボを押さえた親身の指導で数多くの公務員志望者を合格・内定に導いている。
Q:面接対策と時事対策の関係は?
A:面接での話題というと,「自己PR」や「志望動機」を思い浮かべる人が多いと思いますが,「時事」を忘れてはいけません。筆記試験における時事の重要性については,今さら指摘するまでもありませんね。多くの受験者は,「速攻の時事」や「直前対策ブック」などを活用していることと思いますが,セオリーどおりに,これらの対策本を使って,効率よく学習を進めましょう。
その「時事対策」が,実は面接試験にも大いに役立つというのがポイントです。近年は,人物重視」の傾向が一段と強まっており,個別面接に加えて,集団討論やプレゼンテーションなどが課されるケースが目立ちます。面接・集団討論においては,後述するとおり,時事的なテーマが扱われる場合が多いので,時事対策を念入りに行っておけば,面接でも必ず役立ちます。まさに一石二鳥。そのつもりで時事の学習を進めていきましょう!
Q:面接で時事について聞かれるとき,どんなことを期待されているの?
A:多くの面接カードには「最近関心を持った事柄」という項目があり,「最近のニュースで気になったものは?」という質問は定番です。そもそも,なぜ面接で時事について聞かれるのでしょう。それは,公務員が社会的な課題を解決していく仕事だからです。それゆえ,面接官は受験者が世の中のどのようなことに興味・感心を持っているかを知りたいのです。志望する仕事・職種に関することだけでなく,幅広く社会全般に対してアンテナを張っているか,問題意義や知的好奇心を持っているか,つまり公務員としてふさわしい人物かどうかを確認するわけですね。
そのときチェックされるのは,あなたの考えや感覚を理論的に表現できているかどうか。ここで無理にユニークな回答をする必要はありません。個人の考えは千差万別ですが,公務員試験の面接で,世間一般から極端にズレた意見,変わった意見を表明するのは避けた方が賢明です。また,自分と反対の意見についても考慮するというバランス感覚も大切です。
今年注目の時事はこれだ!
受験ジャーナル定期号で「教養・論文・面接の時事」を連載しています(2年度試験対応vol.1〜6に掲載)。連載で取り上げた内容は以下のとおり。筆記試験(主に教養),論文,面接に役立つように,それぞれポイントをコンパクトにまとめています。こちらもぜひ参考にしてください!
第1回 ・外国人労働者の受け入れ拡大 ・働き方改革
第2回 ・成年年齢の引下げ ・児童虐待
第3回 ・子ども・子育て支援 ・超高齢社会
第4回 ・食品ロスの削減 ・プラスチックごみ対策
第5回 ・観光対策 ・女性活躍推進法とパワハラ防止法
第6回 ・地球温暖化対策 ・高等教育の改革
面接・集団討論の本番へ向けて,これをやっておこう!
●新聞を読もう!
日々のニュースチェックはスマホで済ませるという人も多いでしょう。しかし,これだと無意識のうちに,自分でニュースを取捨選択してしまいます。つまり,もともと興味のあるニュースだけを見てしまうのです。それに対して,紙の新聞は全体が目に入るので,周辺の情報も拾うことができるという長所があります。面接や集団討論においては,あなたの興味のある時事だけがテーマになるわけではないのです。新聞を購読していない人は,図書館を利用しましょう。もちろん面接の当日も忘れずにチェック!「今日の新聞で気になったニュースは?」と聞かれることもよくありますよ。
●ニュースに関する感想・意見をまとめよう!
面接・集団討論では,単に時事に関する知識を聞かれるわけではありません。それに対する「あなたの考え・意見」が問われます。さまざまなニュースについて,常に「自分だったらどうするか」「自分と反対の意見はどんなものか」という当事者意識を忘れないようにしましょう。さらに,公務員をめざすのですから,幅広いテーマについて,行政や公務員としての役割を念頭に置きましょう。それらをノートにまとめておいて後で見直すのが,対策として非常に有効です。
●友人・家族と議論しよう!
面接でも集団討論でも,他人とのコミュニケーション能力がチェックされます。したがって,準備を進める段階でも,積極的に他人と触れ合うべきです。志を同じくする仲間と意見交換するのもよいですが,意外と役に立つのが,親や祖父母,あるいは大学の先生やアルバイト先の上司など,違う世代の人と話してみること。家族とニュースの感想を話し合うだけでもかまいません。たとえば面接本番で年長者・高齢者の視点を考慮した意見を述べることができると,大きなアピールになるでしょう。
Q:逆に「期待ハズレな応答」ってどんなもの?
A:面接官をガッカリさせてしまうのは,ちょっと突っ込まれると答えられずにフリーズ(沈然)してしまうこと。「自分から話題に挙げておきながら答えに詰まることなんてあるのかな?」と思うかもしれませんが,過去の受験者の話を聞くと,意外とよくあるパターンです。面接カードに何を書くべきかを慎重に検討しましょう。本誌のPART3も参考にしてください。特に,「最近関心を持った事柄」の記入欄が小さい場合などは,そのとき思いついたことを安易に書いてしまいがち。また,面接カードの提出から時間がたっていると,何を書いたか忘れてしまうこともあります。必ずコピーを取っておいて,面接直前に確認しましょう。
さらに,自分が書いた事柄については,深いところまで聞かれてもしっかり対応できるように準備しておくべきです。たとえば,法律や制度の改正について述べるときは,変わった後のことだけでなく,変わる前のことも押さえておかなくてはなりません。「面接カードに書いてあること以外で」という変化球の質問もあるので,できればいくつかのネタを準備しておきましょう。
Q:集団討論では知識が必須?
A:テーマ(課題)にもよりますが,知識があれば,討論に圧倒的に参加しやすく,討論全体をリードすることも可能になります。地方上級・市役所の試験では,その自治体が力を入れている政策や,抱えている問題点など,時事的なテーマが非常に多く見られます。政策や問題点などは,事前に自治体研究・仕事研究を進めておけば,かなりの部分をカバーできるはずです。個別面接の対策にもなりますので,受験予定の自治体の現状について,幅広く押さえておきましょう。また,集団討論の過去のテーマはホームページ等で公開されていることも多いので,必ずチェックすること。
ただし,集団討論では,知識の有無だけがチェックされるわけではありません。論理性,協調性,発想力など幅広い評定項目があります。仮に,与えられたテーマについての知識が不足していたとしても,討論に貢献できる方法はいろいろあります。詳しくは本誌のPART6を参考にしてください。
受験ジャーナル 年間発行予定
●令和2年度試験に向けた『受験ジャーナル』は,定期号6冊,特別企画5冊,別冊1冊を発行します。
●年間の発行予定は下表をご参照ください(2年2月自転での予定です。記事の内容は変更することもあります。