福祉教科書 ケアマネジャー 完全合格テキスト 2020年版




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資格・試験について

介護支援専門員は、「ケアマネジャー」「ケアマネ」とも呼ばれています。

国家資格ではなく、都道府県知事の任用資格ですが、介護保険の現場で、利用者と介護サービス等の社会資源をつなぐコーディネーターとしての役割を担う評価の高い職業であり、「介護保険の要」とも呼ばれます。

介護支援専門員の職務内容
●介護支援専門員とは
介護保険法で定める介護・支援を必要とする者(以下「要介護者等」という)からの相談を受け、要介護者等の心身の状況等に応じた適切な介護サービスを提供できるよう、介護サービス計画等を作成し、市町村、居宅サービス事業者、介護保険施設等との連絡調整や日常生活を営むために必要な援助を行う職種です。

●介護支援専門員の職場
居宅介護支援事業所や介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設)、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)、小規模多機能型居宅介護事業所、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、地域包括支援センターや行政機関等が主な勤務地となります。

介護支援専門員になるためには
介護支援専門員になるためには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。同試験の受験資格については、下記の1~5のいずれかの要件を満たしていることが必要です。受験資格の詳細については、必ず受験予定地の都道府県等に確認してください。

① 法定資格保有者:下記のいずれかの法定資格を有し、法定資格に基づく業務に通算して5年以上かつ900日以上従事した経験があること

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、曲科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福社士
※要援護者に対する直接的な業務を行っていることが条件。

② 生活相談員:生活相談員として、相談援助業務に通算して5年以上かつ900日以上従事した経験があること

③ 支援相談員:支援相談員として、相談援助業務に通算して5年以上かつ900日以上従事した経験があること

④ 相談支援専門員:相談支援専門員として、相談援助業務に通算して5年以上かつ900日以上従事した経験があること

⑤ 主任相談支援員:主任相談支援員として、生活困窮者自立支援法に規定する事業に通算して5年以上かつ900日以上従事した経験があること
※②~⑤は、従事する施設等が決められているので、ご注意ください。

●介護支援専門員登録までの流れ
介護支援専門員の業務に従事するには、介護支援専門員実務研修受講試験合格後、介護支援専門員実務研修を修了し、登録証明書および専門員証の交付を受けることが必要です。

① 介護支援事業務研修受講試験
研修を行うに際し、介護支援専門員の業務に必要な専門知識(介護保険制度、要介護認定、居宅サービス計画等に関する知避等)等を有していることを確認する試験です。

② 介護支援專門員実務研修
介護支援専門員の業務に関する講義・演習等を主体とする実務的な研修および実習を受講します。

③ 介護支援専門員実務研修修了証の交付
介護支援専門員実務研修修了証の交付を受けます。

④ 介護支援専門員登録
都道府県介護支援専門員名簿に登録をします。

⑤ 介護支援専門員証の交付
介護支援専門員証の交付を受けます。なお、介護支援専門員証は5年ごとの更新が義務づけられています。

試験の実施方法
試験は全国共通の問題で同じ日時に行われますが、実施するのは都道府県です。受験手続きの詳細は受験要項で確認します。試験の受験地は、受験資格に該当する業務に従事している場合は勤務地の都道府県、受験資格に該当する業務に従事していない場合は、住所地の都道府県になります。受験要項は、受験予定地の都道府県に問い合わせて取り寄せましょう。

●出題方式
出題は五肢複択方式で、解答はマークシート方式で行われます。

●出題数
出題数は、区分ごとに表のとおりです。

区分 問題数
介護支援分野 介護保険制度の基礎知識 25問
要介護認定等の基礎知識
居宅・施設サービス計画の基礎知識等
保険医療福祉サービス分野 保健医療サービスの知識等 20問
福祉サービスの知識等 15問
合計 60問

 

●試験時間
試験時間は120分(原則として10:00~12:00)です。ただし、弱視等の受験者の場合は156分(1.3%)、点字受験者の場合は180分(1.5倍)とされます。

主な出題範囲
分野ごとの主な出題範囲(範囲表の大項目)は次のとおりです。

◎介護支援分野
●介護保険制度導入の背景 ●介護保険と介護支援サービス介護保険制度 ●ケアマネジメント機能論 ●介護支援サービス方法強 ●介護予防支援サービス方法論 ●施設介護支援サービス方法論 ●要介護認定の流れ ●一次・二次判定の仕組み

◎保健医療サービスの知識等
●医学編(高齢者の身体的・精神的な特徴と高齢期に多い疾病および障害、バイタルサインの正確な観察・測定・解釈・分析ほか) ●臨死編(チームアプローチの必要性および各職種の役割、高齢者のターミナルケアの実際・家族へのケアほか) ●訪問看護方法 ●訪問リハビリテーション方法 ●居宅療養管理指導方法論 ●通所リハビリテーション方法論 ●短期入所療養介護方法論 ●定期巡回・随時対応型訪問介護看護方法論 ●複合型サービス方法論 ●介護予防訪問看護方法論 ●介護予防訪問リハビリテーション方法論 ●介護予防居宅療養管理指導方法 ●介護予防通所リハビリテーション方法論 ●介護予防短期入所療養介護方法論 ●介護老人保健施設サービス方法論 ●指定介護療養型医療施設サービス方法論

◎福祉サービスの知識等
●福祉編(基礎相談・面接技術、ソーシャルワークとケアマネジメントほか) ●訪問介護方法論 ●訪問入浴介護方法論 ●通所介護方法論 ●短期入所生活介護方法論 ●特定施設入居者生活介護方法 ●福祉用具および住宅改修方法 ●夜間対応型訪問介護方法 ●認知症対応型通所介護方法 ●小規模多機能型居宅介護方法 ●認知症心型共同生活介護方法論 ●地域密着型特定施設入居者生活介護方法論 ●地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護方法論 ●介護予防訪問介護方法論 ●介護予防訪問入浴介護方法論 ●介護予防通所介護方法論 ●介護予防短期入所生活介護方法論 ●介護予防特定施設入居者生活介護方法論 ●介護予防福祉用具および介護予防住宅改修方法論 ●介護予防認知症対応型通所介護方法論 ●介護予防小規模多機能型居宅介護方法論 ●介護予防認知症対応型共同生活介護方法論 ●老人福社施設サービス方法論 ●公的サービスおよびその他の社会資源導入方法論

試験日・受駭者数・合格基準
◎試験日
令和2年度の試験日は、受験予定地の都道府県にお問い合わせください。過去の試験日表に示します。

回数(実施年度) 実施日
第17回(平成26年度) 平成26年10月26日(日)
第18回(平成27年度) 平成27年10月11日(日)
第19回(平成28年度) 平成28年10月2日(日)
第20回(平成29年度) 平成29年10月8日(日)
第21回(平成30年度) 平成30年10月14日(日)
第22回(令和元年度) 令和元年10月13日(日)

 

◎受験者数・合格率
受験者数と合格率などの推移を示します。なお、第22回の受験者数は、令和元年10月13日実施分の数字です。合格者数と合格率については、執筆時に未発表のため各自で厚生労働省のホームページ等でご確認ください。

回数(実施年度) 受験者数 合格数 合格率
第17回(平成26年度)  174,974人 33,539人 19.20%
第18回(平成27年度) 134,539人 20,924人 15,6%
第19回(平成28年度)  124,585人 16,281人 13,1%
第20回(平成29年度) 131,560人 28,233人 21.50%
第21回(平成30年度)  49,332人 4,990人 10.10%
第22回(令和元年度) 30,378人

 

◎合格基準
試験問題および合格基準は、介護保険法第69条の11第1項に規定する登録試験問題作成機関である財団法人社会福祉振興・試験センターが毎回作成・決定するものであり、各都道府県共通の問題・基準となっています。

「介護支援分野」および「保健医療福祉サービス分野」のそれぞれの得点が合格基準に達している者が合格となります。第22回(令和元年10月13日)の合格基準は、表のとおりです。なお、令和元年10月13日実施の試験は、台風の影響により中止になった地域もありますのでご注意ください。再試験については、令和2年3月8日に予定されています。

分野 問題数 合格点
介護支援分野 25問 15点
保険医療福祉サービス分野 35問 24点

(注1) 配点は1問1点である。
(注2) 介護支援分野、保健医療福祉サービス分野の区分ごとに、正答率70%を基調とし、問題度で補正されている。

ケアマネジャー試験対策研究会 (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/1/14)、出典:出版社HP

本書の使い方

節番号の下にある「ここを押さえよう!」と「頻出度」を確認して、本文を学習します。最後に、節末にある「理解度チェック1問1答」問題を解いて理解度をチェックしましょう。

紙面の構成

A 頻出度
出題頻度が高い順に★★★、★★、★の3段階で示しています。

B 「ここを押さえよう!」
この節でよく問われるテーマや要点を記載しています。

C イメージイラスト
この節のポイントを、理解を助け、記憶に残るようにイラストを使ってイメージ化しました。

D 本文のアイコン
重要ポイント
試験によく出るなど、必ず理解しておくべき大事な内容です。

E 側注のアイコン
コレも出た!
過去6年間ほどの過去問の中で、覚えておいたほうがいい内容です。

用語解説
用語を説明しています。

知っトク!
過去に出題はないが知っておいたほうがいい内容や、補足事項などです。

F 理解度チェック1問1答
○×式の過去問題と予想問題で、学習した内容の理解度を確認します。正解できたら□にチェックしましょう。なお、本文に説明のない内容に関する問題も、補足のため、一部掲載しています。また、過去問題の一部に変更を加えている場合があります(第○回改と表記)。過去問題の場合は出題回を掲載し、予想問題の場合は「予想」としています。

法令等について
本書の記載内容は、『八訂 介護支援専門員基本テキスト』(一般財団法人長寿社会開発センター刊)と、2019年12月現在の法令等に基づいています。法令等については、厚生労働省、各都道府県・市町村等のWebサイトなどで最新情報をご確認ください。

表記
単に「法」というときは「介護保険法」を、「施行令」というときは「介護保険法施行令」を、「施行規則」というときは「介護保険法施行規則」を指しています。

ケアマネジャー試験対策研究会 (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/1/14)、出典:出版社HP

もくじ

資格・試験について
本書の使い方

第1章 介護支援分野
出題の傾向と対策
1 高齢化の進展と介護問題
2 介護保険制度の創設と実施状況
3 社会保障と社会保険の体系
4 介護保険制度の概要
5 保険者・国・都道府県の責務

6 介護保険事業計画
7 被保険者
8 要介護者(状態)・要支援者(状態)
9 要介護認定・要支援認定
10 保険給付の種類・内容等

11 利用者負担
12 他の法令等による給付調整等その他の規定
13 サービス事業者等の指定
14 介護サービス情報の公表
15 保険財政と保険料、財政安定化基金

16 国民健康保険団体連合会
17 介護保険審査会、雑則
18 介護保険制度におけるケアマネジメント
19 介護支援専門員の役割・義務・倫理等
20 居宅介護支援事業者の指定

21 居宅介護支援の実施
22 課題分析(アセスメント)
23 居宅サービス計画(ケアプラン)の作成
24 モニタリング・再課題分析・連携
25 地域支援事業と地域包括支援センター

26 介護予防ケアマネジメント
27 介護予防サービス
28 介護保険施設
29 施設のケアマネジメント

第2章 保健医療サービスの知識等
出題の傾向と対策
1 高齢者の特徴と起こりやすい症状・よくみられる疾患
2 バイタルサインと検査・検査値
3 高齢者に多い疾患
4 介護技術の展開
5 リハビリテーション

6 認知症と認知症のある高齢者の介護
7 高齢者の精神障害とその介護
8 予後の理解と医学的問題のとらえ方
9 栄養管理と食生活
10 薬剤管理

11 在宅での医療管理
12 感染症の予防と対応
13 急変時の対応
14 健康増進と疾病障害の予防
15 ターミナルケア(終末期介護)

16 訪問看護・介護予防訪問看護
17 訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション
18 居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導
19 通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション
20 短期入所療養介護・介護予防短期入所療養介護

21 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
22 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
23 介護老人保健施設
24 介護医療院

第3章 福祉サービスの知識等
出題の傾向と対策
1 ソーシャルワークとケアマネジメント
2 社会資源の活用
3 高齢者福祉の関連諸制度【その1】
4 高齢者福祉の関連法制度【その2】
5 訪問介護

6 訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護
7 通所介護
8 短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護
9 特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護
10 福祉用具と住宅改修、
11 地域密着型サービス
12 介護老人福祉施設

さくいん

ケアマネジャー試験対策研究会 (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/1/14)、出典:出版社HP