法務教科書 マイナンバー実務検定2級合格ガイド
はじめに
マイナンバー実務検定は、マイナンバー制度を理解し、正しく対応するために始まりました。すでに、企業の事務担当者の方々が、大勢受験しています。
マイナンバー制度は、行政の効率化のほか、国民の利便性の向上と、公平・公 正な社会の実現を目的としています。一人一人を番号で管理することにより、本当に必要としている人に支援が行き渡る社会を目指すというものです。
日本では、これまでにも何度か、番号による管理の試みがありましたが、定着しませんでした。今回は、税制だけでなく、社会保障制度や災害対策の分野でも、 一人一人に割り振られた番号が活用されます。
このような制度を運用するためには、個人番号を含めて、個人情報が確実に保護される仕組みを作らなくてはなりません。マイナンバー実務検定では、そのための具体的な対策を学ぶことができます。
本書は、マイナンバー実務検定の中でも、受験者数が多い2級を中心に解説しています。2級は番号法全般から出題され、事業者向けのガイドラインも押さえておく必要があります。これらをわかりやすく1冊の本にまとめあげ、番号法の 「逐条解説」や、内閣官房の「よくある質問」も、出題傾向を分析した上で盛り込みました。
皆さんの目標は、2級の問題数60問のうち、80%に当たる48問を確実に得点で きるようにすることです。そのためにできるだけ楽しく学習していただけるように図表を多くし、項目ごとにオリジナルの確認問題を掲載しました。また、各章 の終わりには過去問題を掲載しましたので、理解度を確かめながら学習を進めることができます。
解説の中で赤い文字になっているのは、必ず覚えていただきたい重要用語です。 付属の赤シートで隠した状態でも、迷わず用語が思い浮かぶようになるまで、暗 記に励んでください。
もうひとつ、本書の特徴として、検定に関連する社会保障制度の概略を、第6章で解説しています。社会保険労務士が執筆する検定対策書として、読者の皆様 にプラスアルファの情報をお届けしたいという思いからです。社会保障制度には、 労災保険、雇用保険、医療保険、年金など、さまざまなものがあります。ご自分 が加入したことがない制度は、言葉も仕組みもわかりにくいものです。わずかなページ数ではありますが、マイナンバー制度のさらなる理解にお役立てください。
マイナンバー実務検定は、社労士や社労士受験生の方々も注目しています。平成29年からは、日本年金機構が窓口となっている健康保険・厚生年金保険等で、 個人番号の利用が始まります。将来は、パスポートの発給や自動車の登録事務みどにも、個人番号を利用することが検討されています。
利用範囲が拡大されるということは、私たち一人一人に、自分の番号を守るための知識が求められるということです。自分自身の問題として、検定合格を目指 して真剣に取り組むことにより、仕事上での信用とチャンスにもつながっていく でしょう。
ぜひ、本書を活用してマイナンバー実務検定に挑戦し、情報化社会で必要不可 欠な知識を身に付けてください。
本書の執筆に当たり、担当の長谷川和俊さんには、受験者の皆様が使いやすい書籍とするために、数々のアドバイスをいただきました。この場をお借りして、 お礼を申し上げます。
平成28年5月 社会保険労務士 古川飛祐
法務教科書 マイナンバー実務検定2級合格ガイド
もくじ
はじめに
マイナンバー実務検定試験の概要
本書の使い方
予想問題のダウンロードについて
第1章 マイナンバー実務検定攻略のツボ
1. マイナンバー実務検定のすすめ
2. 出題傾向と対策
3. マイナンバーの知識はこれからの時代に必要不可欠!
第2章 総則を得点源にしよう
1. 番号法の概要を把握しておこう
2. 番号法は個人情報保護法令の「特別法」である
3. 番号法の目的はキーワードを暗記しておこう(法1条)
4. 用語の定義は「特定」という言葉に注目しよう(法2条)
5. マイナンバーの基本的な考え方と利用の推進(法3条)
6. 国・地方公共団体・事業者の位置付けを確認しよう(法4条~6条)
7. 法人番号は「指定」「公表」を覚えよう (法39条、法人番号に関するFAQ)
過去問題
第3章 個人番号の取扱い
1. 個人番号の指定・通知・変更等(法7条)
2. 個人番号はどのようにして作られるのか?(法8条)
3. 個人番号の利用範囲は具体例で覚えよう(法9条)
4. 個人番号の利用目的(法9条、ガイドライン)
5. 個人番号の例外的な利用(法9条4項・5項)
6. 委託と監督(法9条~11条)
7. 個人番号利用事務実施者等の責務(法12条・13条)
8. 個人番号の提供を求めることができる場合とは?(法14条)
9. 個人番号の提供の求めは「制限」がポイント(法14条・15条)
10. 特定個人情報を提供できる場合とは?(法19条)
11. 番号確認と身元確認(法16条)
12. 身元確認書類の種類(法16条)
13. 代理人から個人番号の提供を受ける場合(法16条)
14. 個人番号カードの交付等(法17条、18条)
過去問題
第4章 特定個人情報の保護
1. 特定個人情報の提供の制限(法19条、ガイドライン)
2. 特定個人情報の「提供」と「利用」(法19条、ガイドライン)
3. 特定個人情報の提供が認められる場合とは?(法19条)
4. 特定個人情報の収集等の制限(法20条、ガイドライン)
5. 特定個人情報の保管と廃棄(法20条、ガイドライン)
6. 特定個人情報ファイルの作成の制限(法29条)
7. 安全管理措置(法12条、ガイドライン)
8. 組織的安全管理措置(ガイドライン)
9. 人的安全管理措置(ガイドライン)
10. 物理的安全管理措置 (1) (ガイドライン)
11. 物理的安全管理措置 (2) (ガイドライン)
12. 技術的安全管理措置 (1) (ガイドライン)
13. 技術的安全管理措置 (2) (ガイドライン)
過去問題
第5章 情報漏えいを防ぐための体制
1. 情報提供ネットワークシステム(法2条14項、21条~25条)
2. マイナポータル(内閣官房「よくある質問」)
3. 特定個人情報保護評価(法27条、28条、29条の2)
4. 個人情報保護委員会(法29条の4、33条~35条)
5. 罰則は数字と行為の組合せを覚えよう(法48条~55条)
過去問題
第6章 押さえておきたい 労働保険・社会保険の知識
1. 労働者災害補償保険
2. 雇用保険
3. 労災保険・雇用保険の保険料の徴収
4. 健康保険
5. 国民健康保険
6. 後期高齢者医療制度
7. 介護保険
8. 国民年金
9. 厚生年金保険
索引
マイナンバー実務検定試験の概要
受 験 料 | 6,000円(税抜き) 8,000円(税抜き) | 10,000円(税抜き) 受驗地
全国38会場 試験日 年4回(平成28年度は6月・9月・12月・3月) 試驗時間 60分 90分20分 出題形式
マークシート方式 問題数 50問60問80問
合格基準80%以上
■番号法成立の経緯・| ■番号法の背景・概要 背景
第1章 総則 ■番号法の概要
第2章 個人番号 ■個人と番号法 ■第3章 個人番号カード
■第4章第1節 特定個人情報の提供の制限等 ■地方公共団体・行政■第4章第2節 情報提供ネットワークシステ 機関・独立行政法人」ムによる特定個人情報の提供 等と番号法
■第5章 特定個人情報の保護 ■番号法のこれから ■第6章 特定個人情報の取扱いに関する監督
出題分野
■特定個人情報の適正」 第7章 法人番号 な取扱いに関するガ ■第8章 雑則 イドライン(事業者 ■第9章 罰則 編)
■附則 関連法令等
■特定個人情報の適正な取扱いに関するガイド
ライン(事業者編) ★特定個人情報の適正な取扱いに関するガイド
ライン(行政機関等・地方公共団体等編) ★金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン ■関連法令等、
※1 試験情報は本書刊行時点の情報です。最新情報は公式HPでご確認ください。
※2 1級と2級、2級と3級で併願が可能
※3 出題分野にある★は1級のみ出題
検定申込先・問い合わせ先
一般財団法人 全日本情報学習振興協会
東京都千代田区三崎町3-7-12 清話会ビル5階
電話 03-5276-0030 FAX 03-5276-0551
ホームページ http://www.joho-gakushu.or.jp/
本書の使い方
本書は、マイナンバー実務検定2級の合格を目指す方のために、過去の2級検定における頻出箇所を中心に解説した書籍です。本書を有効に活用し、合格に必要な知識を効率的に学習しましょう。
各節の重要度を示しています。★★★と★★の内容をマスターすれば、合格に必要 な48問 (80%)を得点できるようになっています。重要度の基準は次のとおりです。
表示
重要度の基準 第1~第3回試験で各3問以上出題されたもの、2回以上にわたって各 3問以上出題されたもの 第1~第3回試験で各2問以上出題されたもの、2回以上にわたって各 2問以上出題されたもの。ぜひ読んでほしいアドバイスのページ
第1~第3回試験で各1問出題されたものと、余裕があれば押さえてお いてほしい項目
※各1問ずつの出題であっても、最もやさしく、かつ最も重要な「目的、基本理念、個人番号 の生成、マイナポータル」の4項目については★★★としました。
重要な箇所は赤色で示しています。付属の赤シートをかぶせると文字を消すことができますので、暗記用のチェックとして利用してください。
用語解説
用語の意味について説明しています。
ここが出る
過去の試験において出題された内容を示しています。
参考
本文で解説されている内容の補足事項です。
アドバイス!
注意点や覚えるコツなど、ワンポイントアドバイスです。
各節の末に、○×で答えるチェック問題を掲載しています。その節で学習したことをきちんと理解できているかどうか確認しましょう。
章末には、過去問題を掲載しています。学習した事柄が実際の試験でどのように問われているのかがわかります。
●法令の表記について
単に「法」というときは「番号法(マイナンバー法)」を、「令」というときは「番号 法施行令」を、「規則」というときは「番号法施行規則」を指しています。