全国通訳案内士試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




通訳案内士の概要

通訳案内士は報酬を受けて外国人につき沿い、外国語を用いて旅行に関する案内をするための国家資格。試験は国土交通大臣が実施し、合格者は都道府県に通訳ガイド(通訳案内士)として登録される。年齢、性別、学歴、国籍等に関係なく、だれでも受験が可能である。
試験の目的は、「全国通訳案内士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定すること」であり、出題方針も、通訳案内の実務に沿った内容、レベルの問題を出題することである。筆記試験では、外国語、日本地理、産業、経済、政治および文化に関する一般常識が出題される。口述試験は、通訳案内の実務である。

通訳案内士試験の公式テキスト

公式のテキストはありませんが、市販のテキストで十分対策可能です。

全国通訳案内士試験「歴史」合格! 対策

はじめに

「全国通訳案内士とは」

「全国通訳案内士」とは、日本に来た外国人のお客様に付き添い、外国語を用いて旅行のご案内を行うということを、報酬を得て−つまり職業として−行うことのできる人です。全国通訳案内士は「全国通訳案内士試験」という国家資格に合格した人たちのことを言い、高度な外国語能力と日本に関する豊富な知識(地理・歴史・文化・観光などに関する)を持つことを試験の合格により証明されています。そして、全国通訳案内士は都道府県の登録を受けた人たちでもあります。

「全国通訳案内士試験とは」

「全国通訳案内士試験」とは、観光庁が主管する国家試験であり語学関連では唯一の国家資格です。そして、1949年の通訳案内士法の施行当時から行われてきた本試験は、当初合格率は3%程度で最も難しい国家資格の一つと言われていました。法律の施行から70年という時代の流れの中で、試験方法や形式も複数回にわたって見直しが加えられ、合格率自体は当初の3%程度から30%台にまで上昇したこともありました。

「通訳案内士法の改正について」

日本に来た外国人のお客様に対する満足度の高い旅行の提供に貢献してきた通訳案内士制度ですが、近年の急増する訪日外国人旅行者数と、多様化するニーズに対応しきれない状況にありました。その状況を受け、2018年に通訳案内士法は1949年の施行から初めて改正されることとなりました(法改正の詳しい経緯は『全国通訳案内士試験「実務」合格!対策』をご確認下さい)。この改正を受け、これまで「通訳案内士」と呼ばれていた資格は「全国通訳案内士」という名称に改められ、試験制度も大きく見直されることになりました。

「通訳案内士法の改正と試験(歴史科目)の変化について」

《試験全体の変化》
科目数の増加
試験全体の変化としては、2018年度の試験より1次試験の邦文科目に「通訳案内の実務」という科目が追加され、試験科目数が従来の4科目から5科目に増えました。

《歴史科目の出題範囲の変化》
ガイドライン改定による変化
今回の法改正より前にはなりますが、平成27年度(2015年度)に通訳案内士試験全体のガイドラインの改定が行われました。以下に改定前後のガイドラインを比較してみます。

改定後
<平成 27 年度(2015年度)>
改定前
<平成 26 年度(2014年度)>
IV.日本歴史筆記試験について
(1)試験方法
・試験は、日本の観光地等に関連する日本歴史についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)のうち、外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識を問うものとする。 ・日本の歴史についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)のうち、外国人観光旅客の関心の強いものについての知識を問うものとする。
記載なし ・内容は、高校の日本史Bの教科書をベースとし、地図や写真を使った問題も出題する。
(2)合否判定 ・合否判定は、原則として70点を合格基準点として行う。 ・合否判定は、平均点が60点程度となることを前提に、概ね60点を合格基準点として行う。

 

■出題範囲の拡大
2014年までのガイドラインで言及されていた「高校の日本史Bの教科書をベースとし」という記載が、2015年の改定以降削除されました。代わりに「日本の観光地等に関連する日本歴史について」という文言が追加されました。それにより試験の出題内容が、一般的に高校等で学習する範囲の内容だけに留まらず、広く観光地に関連した歴史の内容へとシフトしました。

■合格基準点の上昇
2014年までのガイドラインでは、100点満点の歴史試験の合格基準点を60点と設定していました。しかし、ガイドライン改定後はそれが70点に引き上げられています。

《歴史科目の出題傾向の変化》
「横の歴史」から「縦の歴史」へと変化
2017年度までの日本歴史の試験の出題傾向としては、歴史の流れの中での観光地が問われる問題(横の歴史)が多く、一般的に高校で学習する歴史の基礎知識に多少の観光関連の知識を加えれば正解できる問題が多くありました。しかし、法改正後の2018年度からは特定の観光地に関する深い歴史(縦の歴史)が問われる問題が多くなりました。実際に2018年度に出題された歴史問題を見てみましょう。

(10) 飛騨高山に関連する①〜④の記述の中で正しいものを一つ選びなさい。(3点)
①古代律令時代の飛騨国においては、庸・調に加え、都で寺院などの大工仕事に従事する者の派遣が課せられた。
②「高山祭」は、春の「山王祭」と秋の「八幡祭」の総称であるが、いずれも鎌倉時代に始まった。
③江戸時代、金森氏が国替えされた後、高山は幕府の直轄地になった。
④「幕府の三舟」のひとりである勝海舟は、飛騨郡代となった父に従い幼少期を高山で過ごした。
※2018年度全国通訳案内士試験日本歴史問題

これは飛騨高山に関する選択問題ですが、選択肢で示されている時代は幅広く、正解するためには、「飛騨高山」という観光地に関する古代から幕末までの歴史を学んでおく必要があります。これが「縦の歴史」です。

本書はこういった新しい時代の全国通訳案内士試験の、特に1次試験の日本歴史試験に対応するために、日本最大の通訳案内士団体である新日本通訳案内士協会と、通訳案内士試験対策予備校であるTrue Japan Schoolがタッグを組んで執筆したものです。著者であるTrue Japan School講師の沢田千津子氏は毎年多くの受験生を合格に導いている指導のプロであるだけでなく、現役の全国通訳案内士でもあります。

これらのプロの講師が、新しい出題傾向である「縦の歴史」にも対応できるわかりやすい解説と、豊富なエピソードやこぼれ話を詰め込んで本書を仕上げました。本書でしっかりと解法の基礎を学んだら、True Japan Schoolの公開模試や各種eラーニング等を活用して本番の試験に対応できる力を身に付けましょう。

合格まで、これから一緒に頑張っていきましょう。

新日本通訳案内士協会 会長
特定非営利活動法人日本文化体験交流塾副理事長
山口和加子

沢田 千津子 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2019/12/21)、出典:出版社HP

全国通訳案内士試験「実務」合格! 対策

本著を刊行するにあたって

「ピンチ」を「チャンス」に変える!

2018年1月4日、通訳案内士法や旅行業法が改正され、新法が施行されました。その主な改革の柱の一つが旅行サービス手配業者に対する規制でした。これにより、ノンライセンスのガイドの手配に対する管理が可能になりました。
改革のもう一つの柱が通訳案内士の業務独占を廃止し、名称独占のみとすることです。これにより、訪日外国人に対し、全国通訳案内士や地域通訳案内士の資格を持っていない人でも、有償で旅行に関する案内を行うことができるようになりました。これは、通訳案内士にとって、大変重要な事件であり、既存の通訳案内士団体のほとんどがこの改正に反対してきたことは、ご存知の方もおられると思います。私たち、会員数1,500名を超える日本最大の通訳案内士団体である、「新日本通訳案内士協会」も、業務独占廃止反対の立場を取ってきました。

しかし、2016年国会の議決を経て、制度改革が実施された今日においては、改革のマイナス面を嘆くだけでなく、通訳案内士にとってのプラス面を見出すように努めることが大切だと思います。新日本通訳案内士協会の開催する通訳案内士新人研修では、新日本通訳案内士協会の母体であります、特定非営利活動法人日本文化体験交流塾(IJCEE)の理事長である米原亮三氏から、「ピンチをチャンスに変える」ことこそ、通訳案内士が成功する秘訣だというお話をいただきました。

逆境をプラスに変えましょう。新日本通訳案内士協会は、この諸制度改革のプラス面を活かし、全国通訳案内士が憧れの職業となるように、取り組んでまいります。ところで、これまで通訳案内士の一次試験については、多くの受験生から、次のような批判が寄せられてきました。「ガイドラインに示された一般常識の合格点が60点なのに、実際の合格点が42点とは、試験が難しすぎる」、「現場で必要とされる知識ではないのではないか」、「範囲が広すぎて何を勉強すべきかわからない」、「難問、奇問が多すぎる」等です。

このような批判がある中で、観光庁主催の「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」は、2017年3月、通訳案内士試験を含めた制度改革についても、種々の提言をとりまとめました。これをうけて、観光庁においては、通訳案内士試験制度の改革が行われ、英語の1次試験免除の基準が「TOEIC840点から900点」に見直されるとともに、新科目「通訳案内の実務」の追加などが行われました。

「通訳案内の実務」とは、どのような科目でしょうか

初めて実施される「通訳案内の実務」という科目は、どのような科目でしょうか。以下、三つの大きな特徴があります。

[1] 国土交通省観光庁の全国通訳案内士試験のガイドラインによると、試験時間は20分。試験問題は、20問。満点は、50点。合否判定は、原則30点を合格基準点として扱います。2017年度の通訳案内士試験で1次試験を合格した者で2次試験が不合格の者であっても、「通訳案内の実務」は、必ず受験しなくてはなりません。また、すでに全国通訳案内士の資格を有する者であっても、観光庁の行う研修により、「通訳案内の実務」を習得する必要があります。まさに、全国通訳案内士にとっては、必須の知識といえます。 [2] 「通訳案内の実務」の教材としては、2017年度中に実施した観光庁研修のテキストが公開されております。本著では、その全文(資料は11まで)を掲載しています。したがって、これまでの「日本地理」や「産業、経済、政治及び文化に関する一般常識」は、勉強すべき範囲が明確でなく、受験生の皆様を悩ませてきたようですが、「通訳案内の実務」の範囲は、極めて明確です。 [3] 「通訳案内の実務」の内容は、大きく四つの部分に分かれます。
①通訳案内士法、旅行業法、著作権法等の法規的な側面
②旅程管理と呼ばれる通訳案内士の実務知識
③イスラム教、ユダヤ教などの宗教上の注意点、文化別・国別の特徴
④危機管理、災害発生時等における対応、救命救急等

これらは、全国通訳案内士が実際に必要とする知識です。実務知識を身につけることにより、訪日外国人のお客様の満足度を高めることができます。ひいては、全国通訳案内士と資格を有しない者との差別化と、全国通訳案内士の同行するツアーの高品質化をもたらします。旅行会社等が全国通訳案内士を採用する場合の重要なポイントともなります。

本著の特徴

以上を踏まえ、全国通訳案内士を目指す受験生にお勧めできる本著の特徴は、以下の三点です。

1 目標は15問正解
合格するには、常に15問以上解ける実力が必要だと思います。なぜなら、2点問題が10問中9問、3点問題が10問中4問正解でき、計13問正解できたとしても、合計点は合格基準点の30点ちょうどです。この場合、残り7問について、確率2分の1や3分の1程度まで、正解を推定できたとしても、運悪く全問不正解になると、30点ギリギリとなります。

これに対して、40問で満点が100点、合格基準点が60点の場合と比較しましょう。40問中26問正解した場合、残りの問題は、14題もあります。これが全問不正解となることは、確率的に考えられません。つまり、問題数が少なければ少ないほど、確実に答える必要があります。

このような中で、「通訳案内の実務」の設問は、これまでの一般常識と比較して、設問は、かなり細かい内容が問われる可能性があります。出題者は、テキストに記載されていれば、細かい内容でも出題できます。例えば、SITのような用語、各国ごとの食習慣などについて、完全な知識を求める出題もありえます。このような細かい質問についても、15問程度は、確実に解ける実力が必要だと思います。

2 練習問題
そのためには、テキストを単に読むだけでなく、問題を実際に解く訓練が必要です。問題を解いて初めてわからないところがどこであるかが、わかります。繰り返し問題に挑戦することにより、知識を自分のものとすることができます。しかしながら、「通訳案内の実務」については、過去問題が存在しません。そこで、本著では、豊富な練習問題を出題することによって、過去問題に代わる演習を行うことができるようにしました。

3 現場を踏まえた執筆陣
本著の執筆陣は、現役の全国通訳案内士のほか、法令の専門家、医療通訳士、インバウンド旅行会社の社員等であります。その豊富な経験を踏まえて、通訳案内の実務の各項目ごとに、重要度を検討して三つ星、二つ星、一つ星の区別をつけました。さらに、予想問題の出題に当たっては、それぞれの専門性を活かして原案を作成し、相互に検証しました。

本著の利用方法

本著の大半は、観光庁の公表したテキストです。300ページに満たない分量ですが、何度も繰り返し、理解できるまで読んでいただきたいと思います。

なお、新日本通訳案内士会は、True Japan Schoolに講師を派遣して、全国通訳案内士試験対策の研修会を開催しております。本著は、本研修会の教科書としても、活用していただけます。また、より深い理解をするために、本研修会の受講をぜひお勧めします。なお、本研修会は、Eラーニングでも受講できるので、地方在住の方にも、お勧めです。合格まで、一緒に頑張りましょう。

新日本通訳案内士協会 会長
特定非営利活動法人日本文化体験交流塾副理事長
山口和加子

新日本通訳案内士協会 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2018/6/16)、出典:出版社HP

本著の使い方

A
全国通訳案内士試験の新科目「通訳案内の実務」の試験範囲に関しては平成30年3月に改訂されたガイドラインによって「本科目については、原則として、観光庁研修のテキストを試験範囲とする」と明記されています。本書は「観光庁研修のテキスト」(「観光庁研修テキスト第1版(統合版平成30年4月18日掲載)」)の資料11までに独自に「重要度」をつけました。

☆☆☆:出題の可能性が低い項目。
★☆☆:押さえるべき項目。
★★☆:重要項目。出題の可能性が高い。
★★★:最重要項目。頻出又は理解の基本になる箇所。

B
項目ごとにチェックテストを設けています。項目によって取り扱う問題数は異なります。インプットだけでなく、アウトプットすることで、より知識を定着させるため、特に重要な情報には、チェックテストをつけました。
基本的にはAのテキストをもとにつくっているテストのため、解説はシンプルにしています。詳しく知りたい場合や間違えた場合は、Aを繰り返し読み、適切な知識を確実なものにしましょう。

C
コラムを掲載しています。現役の全国通訳案内士による現場での声や、実際の通訳ガイドの現場で役に立つ情報が満載です。知識を身につけるときの息抜きとして、ぜひ読んでみてください。試験対策だけでなく、全国通訳案内士になったあとも使える情報ばかりですので、活用していきましょう。

新日本通訳案内士協会 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2018/6/16)、出典:出版社HP

全国通訳案内士試験とは

「全国通訳案内士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定すること」(通訳案内士法第五条)を目的とした国家試験。

■受験資格
不問。

■試験科目
第1次(筆記)と第2次(口述)に分かれて構成される。

第1次(筆記試験) ★該当資格者は免除あり。
・外国語(英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語)
・日本地理
・日本歴史
・産業・経済・政治及び文化に関する一般常識並びに通訳案内の実務

第2次(口述試験)
通訳案内の実務(筆記試験で選択した外国語による、通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力を判定するための面接形式の試験)
・2018年の法改正により、筆記(第1次)試験に「通訳案内の実務」が追加。

■試験日
第1次(筆記):8月中旬ごろ
第1次(筆記)合格発表:11月上旬ごろ
第2次(口述):12月上旬ごろ
最終合格発表:翌年2月上旬ごろ
*例年のおおまかなスケジュールですが、毎年変動しますので、詳しくは観光庁HPをご確認ください(https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/index.html)

■受験手数料
11,700円(税込)

新科目「通訳案内の実務」とは

■試験方法
・試験は、通訳案内の現場において求められる基礎的な知識(例えば、旅行業法や通訳案内士法等の業務と密接に関係する法令に関する基本的な内容や実際に通訳案内業務に就くにあたっての訪日外国人旅行者の旅程の管理に関する基礎的な内容等)を問うものとする。
・本科目については、原則として、観光庁研修のテキストを試験範囲とする。
・試験の方式は、多肢選択式(マークシート方式)とする。
・試験時間は20分とする。
・試験の満点は、50点とする。
・問題の数は、20問程度とする。

■合否判定
・合否判定は、原則として30点を合格基準点として行う。
・実際の平均点が、合格基準点から著しく乖離した科目については、合格基準の事後的な調整を行うこともある点に留意すること。

*日本政府観光局(JNTO)のHP
(https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/index.html)をもとに作成しています(2018年5月現在)。
最新情報はHPをご確認ください。

新日本通訳案内士協会 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2018/6/16)、出典:出版社HP

目次

本著を刊行するにあたって
本書の使い方
全国通訳案内士試験とは

はじめに

第1編 旅程の管理に関する基礎的な項目・関係法令に関する基本的な知識

第1章 通訳案内士法・旅行業法等に関する知識

第1 通訳案内士制度について
1 通訳案内士法の改正
2 全国通訳案内士と地域通訳案内士について
3 憧れの職業となるよう位置づける
4 全国通訳案内士試験の見直し
5 通訳案内士法の一部改正に伴う経過措置の研修(観光庁研修)
6 登録研修機関が行う通訳案内研修の受講義務
7 登録研修機関
チェックテスト
第2 旅行業法
1 旅行業法とは
2 旅行の種類
3 登録制度と旅行業者の業務範囲
4 旅行サービス手配業
5 旅行業者等の書面交付義務
6 禁止行為
チェックテスト
第3 旅行業法に基づく旅程管理
1 旅程管理業務とは
2 旅程管理主任者とは
3 旅程管理主任者資格の取得方法
4 旅程管理主任者の法定業務
5 通訳案内業務と添乗員業務の兼務

第2章 旅程管理の実務

第1 旅程管理の必要性
1 旅程管理に関する多様な実務
2 二つの旅程管理について
3 広義の旅程管理について
4 お客様の把握・理解
チェックテスト
第2 訪日外国人旅行者に対する特別な配慮
1 日本の生活様式やルールの説明
2 集合時間/場所の周知
3 食事の際の配慮
4 日本旅館での配慮
5 多様な質問に対する準備と心構え
チェックテスト
第3 添乗の準備
1 書類などの受け取りと確認
チェックテスト
第4 添乗
1 貸切バスでの添乗
2 列車での添乗
3 航空機での添乗
4 船舶での添乗
5 クルーズ船上船の場合
6 立ち寄り先観光
7 食事について
8 宿泊施設について
9 自由行動について
10 最終日/帰着・解散
チェックテスト
第5 報告・精算
1 報告
2 報告についての注意点
3 報告書とともに提出するもの
4 精算書
5 精算書とともに提出するもの
チェックテスト

第2編 危機管理・災害発生時等における適切な対応

第3章 危機管理と事前調査

第1 全国通訳案内士にとっての危機管理の基本的考え方
1 「第2章 旅程管理の実務」との関係
2 なぜ、全国通訳案内士が危機管理の対応に努めなければならないか
3 全国通訳案内士にとっての危機管理
第2 事前調査
1 依頼者からの情報の収集・整理
2 事前調査のポイント
3 下見による調査
チェックテスト
第3 危機の事前防止及びトラブルの最小化
1 広義の意味での危機としてのトラブルを防止する方法
2 トラブル事前防止の方法
3 迷子を出さないための工夫
4 万が一、迷子が出てしまった場合の対応方法
チェックテスト
第4 危機発生後の適切な対応
1 危機における基本姿勢
2 クレームへの適切な対処
3 危機対応の事例
チェックテスト

第4章 災害発生時等における適切な対応

第1 災害発生時等の対応の基本
1 災害発生時における行動の基本
2 初動対応−災害が起きたら−
3 避難行動
4 けが人・病人等が出た場合の対応
チェックテスト
第2 救急救命措置
1 救急救命措置における全国通訳案内士の役割
2 応急手当
チェックテスト
第3 外国人旅行者に対応可能な医療施設等に関する知識
1 主な医療施設の種類
2 どの医療施設を受診するか
3 診療の流れ
4遠隔医療通訳サービス
チェックテスト
第4 危機管理/災害時対応で有用な情報
1 自然災害時に役立つアプリケーション等
2インバウンド向け旅行保険
チェックテスト

第5章 コンプライアンス

第1 著作権法
1 著作権制度の概要
2 著作物の使用方法と罰則について
3 全国通訳案内士による著作物の使用について
チェックテスト
第2 道路運送法
1 旅客自動車運送事業について
2 全国通訳案内士の業務における自家用車の使用について
3 旅客自動車運送事業者の利用について
チェックテスト
第3 商品・サービスの説明に関係する法令
1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
2 不当景品類及び不当表示防止法
3 全国通訳案内士による商品・サービスの口頭説明時の留意事項について
チェックテスト

第3編 外国人ごとの生活文化への対応

第6章 宗教上の注意点・食事制限の知識

第1 なぜ、外国人ごとの生活文化への対応が必要か
1 背景
2 食は、訪日旅行の最大の楽しみ
3 食の多様性と多文化共生
4 「お客様が要望する」食材と料理に関する理解
チェックテスト
第2 宗教ごとの特徴
1 宗教ごと対応の基本
2 イスラム教
3 ユダヤ教
4 キリスト教
5 仏教
6 ヒンドゥー教
7 ジャイナ教
チェックテスト
第3 食事制限に関する知識
1 ベジタリアン
2 食物アレルギー
チェックテスト
第4 飲食店等での受入れ対応方法
1 飲食店等での受入れにおける全国通訳案内士の役割
2 飲食店等との連携による接遇の基本
3 飲食店等における対応の方法

第7章 文化別・国別の特徴

第1 訪日客全体の状況
第2 東アジア
1 韓国
2 中国
3 台湾
4 香港
第3 東南アジア
1 タイ
2 シンガポール
3 マレーシア
4 インドネシア
5 フィリピン
第4 北米
1 アメリカ合衆国
2 カナダ
第5 ヨーロッパ
1 英国
2 ドイツ
3 フランス
4 イタリア
5 スペイン
6 ロシア
第6 オセアニア
1 オーストラリア
チェックテスト

資料編

資料1 覚えておきたい専門用語
資料2 著作者人格権と著作権(財産権)
資料3 著作物の種類
資料4 著作権の保護期間
資料5 著作物が自由に使える場合
資料6 通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について
資料7 その他の応急手当(ファーストエイド)のケースごとの対応について
資料8 救急救命の手順
資料9 医療施設に関する情報源
資料10 和食の4つの特徴
資料11 ハラル認証

さらに合格を確実なものにするために
著者紹介及び関連組織紹介

新日本通訳案内士協会 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2018/6/16)、出典:出版社HP

CD2枚付 全国通訳案内士試験「英語2次(口述)」合格! 対策

本著を刊行するにあたって

全国通訳案内士を憧れの職業に!

2018年1月4日、通訳案内士法や旅行業法が改正され新法が施行されました。その改革には大きく2本の柱があります。1本目の柱は旅行サービス手配業者に対する規制でした。この改革によりノンライセンスガイドの手配に対する管理が可能になりました。
改革のもう1本の柱が、通訳案内士資格の業務独占を廃止し名称独占のみとすることです。これにより、訪日外国人に対し、全国通訳案内士や地域通訳案内士の資格を持っていない人でも有償で旅行に関する案内を行うことができるようになりました。

これは通訳案内士にとって大変重要な改正であり、既存の通訳案内士団体のほとんどがこの改正に反対してきたことは多くの方がご存知かと思います。私たち、会員数1,500名を超える日本最大の通訳案内士団体である「新日本通訳案内士協会」も、業務独占廃止反対の行動をとってきました。

しかし、2016年の国会の議決を経て制度改革が実施された今日においては、改革のマイナス面を嘆くだけでなく、通訳案内士にとってのプラス面を見出すように努め、前に進むことが大切なのではないでしょうか。新日本通訳案内士協会の開催する通訳案内士新人研修では、この団体の母体である特定非営利活動法人日本文化体験交流塾(IJCEE)の理事長である米原亮三氏から、「ピンチをチャンスに変える」ことこそ通訳案内士が成功する秘訣だというお話をいただきました。

観光庁研修のテキストの中に以下の記述があります。「今回の見直しによって、通訳案内業務における参入規制がなくなることで、多くの方がこの分野に参入することが予想されますが、全国通訳案内士は、高い語学力を有しているとともに、訪日外国人旅行者に対して我が国の歴史、地理、文化等について、正確に、かつ直接伝えることができる人材として国家資格を得た者であり、急増する訪日外国人旅行者や多様化するガイドニーズに的確に対応していくためには、今後も重要な役割を担っております。
観光庁としても、質の高い全国通訳案内士が「憧れの職業」となるよう環境を整備していきたいと考えています。

受験生の皆さん、逆境をプラスに変えましょう。新日本通訳案内士協会は、この諸制度改革のプラス面を生かし、全国通訳案内士が憧れの職業となるように取り組んでいきます。

ガイドラインが変わった

このような状況の変化の中で試験に合格するためには、2018年3月改正の全国通訳案内士試験ガイドライン(以下、新ガイドライン)を正確に読み取り、試験方法を十分に把握する必要があります。

口述試験には以下の2本の柱で成り立っています。
<第1の柱:通訳問題>
まず、新ガイドラインでは口述試験について以下のように記載されています。

試験は、総合的な外国語の能力並びに日本地理、日本歴史、一般常識及び通訳案内の実務に係る正確な知識を活用して行われる、通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力について判定するものとする。

「通訳案内の実務」という項目が、今回新たに口述試験のカテゴリーに追加されました。それに伴い、通訳問題は以下のように改訂されました。

試験委員が読み上げる日本語を外国語訳し、その問題文に関連した質疑を行う『通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑』

『通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑』とは、「通訳案内の実務」に関連する日本文の外国語訳になると考えられます。「通訳案内の実務」は筆記試験の科目であり、その試験内容は「全国通訳案内士が通訳案内を行うに当たって必要となる関係法令に関する知識や旅程管理の実務に関する知識、訪日外国人旅行者の国別・文化別の特徴等に関する知識、災害発生時等における応急的な医療対応や危機管理に関する知識」と記載されています。つまり通訳問題では、以下に関連する内容が出題されそうです。

①旅程管理の実務に関する知識
②訪日外国人旅行者の国別・文化別の特徴等に関する知識
③災害発生時等における応急的な医療対応や危機管理に関する知識

<第2の柱:プレゼンテーション問題>
これは選択的なテーマによるプレゼンテーション問題で、新ガイドラインには以下のように記載されており、これまでの内容と変化はありません。

提示される3つのテーマから受験者が1つを選び、外国語で説明を行い、そのテーマについて試験委員と外国語で質疑応答を行う『プレゼンテーション問題』

外国人観光旅客が多く訪れている又は外国人観光旅客の評価が高い観光資源に関連する地理、歴史並びに産業、経済、政治及び文化についての主要な事柄のうち、外国人観光旅客の関心の強いものを題材として、受験者に通訳案内の業務を擬似的に行わせる

2017年度の口述試験では、「インスタ映え」、「奥入瀬渓流」、「交番」、「宮内庁」、「満員電車」、「コミックマーケット」、「千羽鶴」、「ジンギスカン」、「民泊」等のテーマが出題されました。2016年以前の出題と比較すると歴史関連の問題が減少し、一般的な内容(いわゆるジェネラルトピック)が増加したように思われます。プレゼンテーション問題の出題傾向は毎年大きく変化する傾向があり、今後も出題については予測が困難です。いずれにしても、基礎的な知識力や豊富な語彙力、英語による表現力が必要だと思われます。

<合格基準点の引き上げ>

今回の新ガイドラインでは、口述試験の合格基準についても以下の通り変更がありました。合否判定は、原則として7割を合格基準点とし、当該合格基準点に達しているか否かを判定することにより行う。

2016年の試験までの合格基準点は6割でしたので、そこから引き上げられたかたちとなります。今回のガイドラインの改正により、筆記試験の英語の免除規定も見直されました。TOEIC免除に有効期間が設定され、かつ免除基準が840点から900点に引き上げられました。先に述べたように、「全国通訳案内士が憧れの職業となるように」制度改革を進める以上、求められる合格水準も高く引き上げられるということです。

<ホスピタリティが問われる>

さらに今回のガイドライン改正では、評価基準だけでなく評価項目について以下のように追加されました。

評価項目
・プレゼンテーション
・コミュニケーション(臨機応変な対応力、会話継続への意欲等)
・文法及び語彙
・発音及び発声
・ホスピタリティ(全国通訳案内士としての適切な受け答え等)」

「コミュニケーション、文法及び語彙、発音及び発声」等の項目は従来からありましたが、「ホスピタリティ(全国通訳案内士としての適切な受け答え等)」は今回が新たに追加された評価項目です。ホスピタリティについては、単なる知識でなく「旅程管理の実務」や「危機管理」に関連する質疑を通して評価されると推定されます。

本書の特徴

このように今年から全国通訳案内士試験の口述試験は大きく様相が変わります。本書はその新形式に対応すべく、以下の通り作成しました。

1:新しい通訳問題への対応
まず、2017年までの通訳問題を振り返ってみましょう。口述試験の問題は公表されていませんが、本書監修のTrue Japan Schoolの受講生レポートによると、2017年は以下のような問題が出題されていました。

問題1
カツ丼はご飯の上にタレと卵でとじた豚カツを乗せた日本の丼料理です。庶民的な家庭料理ですが外食としても人気があります。一般的なカツ丼はまず、豚カツを作り、玉ねぎとタレで軽く煮込んでからとき卵を入れ、温かいご飯の上に乗せて食べます。

問題2
演歌は日本人の心を歌う歌謡曲のひとつのジャンルです。古くからあるものと思われがちですがその歴史は意外と新しく、1960年代に始まったと言われています。明治時代から戦前まではジャズやシャンソンといった外国音楽や唱歌、軍歌などが人気でした。

問題3
道後温泉は四国・愛媛県松山市に湧出する温泉です。日本三古湯のひとつで、古くからその存在が知られており万葉集にもその名が記されています。また、夏目漱石の小説『坊ちゃん』の舞台にも登場したことで有名で、愛媛県を代表する観光地となっています。共同浴場がある道後温泉本館は街のシンボルです。

以上のような問題は、「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応」とは考えにくいものです。通訳問題は今年から大きく変わります。本書には通訳問題の予想問題を30問掲載しています。これは、ベテランの通訳案内士が「通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーション」とは何かを話し合い、予想される問題を素材として作成したものです。

2:通訳問題のメモ取り例を全通訳問題に掲載
プロの通訳者でもある講師が全30問の通訳問題についてメモを取りました。実際の逐次通訳の現場で実践している生のメモ取り例をそのまま掲載しています。さらに、そのメモを細かく分析した解説も記載していますので、通訳そのものの勉強をしたことがない受験生にとっても学習しやすい内容になっています。

3:通訳問題のモデルアンサーは実際の通訳に即した形で掲載
通訳と翻訳は違います。翻訳は書いてあるものを別の言語の文章に変換することです。一方通訳は、相手の話し言葉を聞いて記憶しながらメモに取り、そのメモを見ながら聞き手の言語に口頭で変換して伝えることです。

そのため、本書の通訳問題のモデルアンサーはあえて日本語の問題文の完璧な翻訳にはしていません。通訳として最も現実的だと思われる英文をモデルアンサーとしています。例えば、1文がとても長い問題であった場合、その長い1文を短い日本文に変換してから英語に変換しています。関係代名詞等を多用して長い英文に変換することは、口述試験の通訳として考えた場合にあまり現実的ではないのであえて避けて掲載しています。

4:数字や固有名詞にとらわれない回答である
本書にはプレゼンテーションの予想問題も30問掲載しています。またモデルアンサーも掲載していますが、それらは全てプロの通訳案内士が実際の現場で使っているものです。難解な語句や複雑な構文の使用は極力避け。学習しやすい内容としています。

筆記試験では固有名詞や年代などの記憶力が重視されてきましたが、観光ガイドの現場では、年代や固有名詞を多用したガイディングは「下手なガイド」、「楽しくないガイド」、「眠くなるガイド」の典型です。良いガイドとは、難しい単語を使わなくても内容を分かりやすく伝えることができるガイドです。

また、口述試験の本番において、固有名詞や数字にこだわりすぎると咄嗟に思い出すことができず失敗する例も多くあります。実際の回答では数字や固有名詞を使っていることもありますが、固有名詞を忘れても全体の文脈で説明できるように理解力を高めてください。

本書が皆さんの合格の一助となれば幸いです。

新日本通訳案内士協会 会長
特定非営利活動法人日本文化体験交流塾 副理事長
山口和加子

新日本通訳案内士協会 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2018/8/30)、出典:出版社HP

本書の使い方

1章 通訳問題[30問]

A
音声を聞き取り、通訳問題の練習問題を解きましょう。実際の試験中もメモ取り可能なので、本書でも各問題にメモのページを設けています。

B
プロの現役通訳者による、メモ取りの例を紹介しています。「通訳問題の勉強方法と攻略法」のページでも触れていますが、メモ取りの方法は人それぞれです。しかし、本物のメモを見ることで、ご自身でも使えそうなメモ取り方法を発見したり、実際に通訳者になった気持ちで試験勉強のモチベーションになったりするでしょう。様々な場面で使えそうなメモは、吹き出しで日本語の解説を入れています。

C
Bのメモ例をさらに詳しく、モデルアンサーの英文に照らし合わせて解説しています。通訳の場合、1語1語をきちんと訳して伝えるというよりは、きちんと流れてきた音声を理解して、伝えることが重要です。そのため、日本語音声がモデルアンサーの直訳になっていないこともしばしばあると思いますが、日本語音声をどう理解して(メモとして取って)、英文に変換しているかを確認してみるようにしましょう。

D
Aで流れてきた日本語音声のスクリプトと、それを通訳した時にできる英文のモデルアンサーです。また、「実際のガイド中に想定される状況」は、実際に皆さんが全国通訳案内士になった時に、実際のガイド中で起こり得る状況を掲載しました。試験対策だけでなく、実際、通訳案内士になった後も十分使える内容ですので勉強してみましょう。
*「通訳問題」の想定質疑に関しては、1章の巻末に30のテーマごとに、質疑のみ、日本語で掲載しています。

2章 プレゼン問題 [30問]

E
実際の試験では3つのテーマのうちひとつを選びますが、練習問題という性格上、30のテーマを扱っています。

F
オリジナルワークシート(→参照)を使ってプレゼンの構成を考える練習もできます。このページでは、オリジナルワークシートを使うと、各テーマに対してどういったアイデアとプレゼン構成が立てられるかという一例をご紹介します。Gで紹介するモデルアンサーを作るまでの思考回路として参考にしてみましょう。

G
モデルアンサーです。右上にあるトラック番号に音声が収録されていますのであわせて確認してみましょう。「プレゼン問題の勉強方法と攻略法」でも紹介していますが、プレゼンのスピーチは型に当てはめることが重要です。モデルアンサーを型に当てはめて掲載しています。ここの音声だけはゆっくりとしたスピードで収録しています。実際は考えながらスピーチするので間があると思いますが、時間を余らせすぎず2分を超えないようにプレゼンしましょう。

H
Gのモデルアンサーの訳と解説です。解説では、型にそった説明をしています。その他、表現のバリエーションやモデルアンサー以外のアイデアなども紹介しています。

I
「プレゼン問題」で考えられる質疑応答の例を掲載しています。

J
Iの訳と関連コラムを掲載しています。プレゼン問題でももちろんですが、質疑応答でも、そのテーマに関する様々な知識を持っていることが大切です。本書の30のテーマごとに試験に役立つテーマ選びの方法や日本文化・歴史の知識などの情報を載せていますので英語以外の知識も一緒に身につけて学習できます。

全国通訳案内士試験とは

「全国通訳案内士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定すること」(通訳案内士法第五条)を目的とした国家試験。

■受験資格
不問。

■試験科目
第1次(筆記)と第2次(口述)に分かれて構成される。
第1次(筆記試験)★該当資格者は免除あり。
・外国語(英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語)
・日本地理
・日本歴史
・産業・経済・政治及び文化に関する一般常識並びに通訳案内の実務

第2次(口述試験)
通訳案内の実務(筆記試験で選択した外国語による、通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力を判定するための面接形式の試験)。
・2018年の法改正により、筆記(第1次)試験に「通訳案内の実務」が追加。

■試験日
第1次(筆記):8月中旬頃
第1次(筆記)合格発表:11 月上旬頃
第2次(口述):12月上旬頃
最終合格発表:翌年2月上旬頃
*例年のおおまかなスケジュールですが、毎年変動しますので、詳しくは観光庁HPをご確認ください
(https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/index.html)

■受験手数料
11,700円(税込)

2次試験(口述)とは

■試験方法
・試験は、総合的な外国語の能力並びに日本地理、日本歴史、一般常識及び通訳案内の実務に係る正確な知識を活用して行われる、通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力について判定するものとする。
・試験を受けることができる外国語は、受験者が筆記試験において選択したものと同一のものとする。
・試験は、外国人観光旅客が多く訪れている又は外国人観光旅客の評価が高い観光資源に関連する地理、歴史並びに産業、経済、政治及び文化についての主要な事柄のうち、外国人観光旅客の関心の強いものを題材として、受験者に通訳案内の業務を擬似的に行わせることにより実施するものとする。
・試験時間は、10分程度とする。
・終了者からの問題の漏洩を避けるため、当該時間帯の間、終了者を未受験者と別の部屋に待機させ、通信機器を預かる等の措置を取るとともに、時間帯によって大きな差が出ないように質問内容のレベルを合わせるなど、受験者間で不公平が生じないような方法とする。
・内容は、試験委員が読み上げる日本語を外国語訳し、その問題文に関連した質疑を行う「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」、提示される3つのテーマから受験者が1つを選び、外国語で説明を行い、そのテーマについて試験委員と外国語で質疑応答を行う「プレゼンテーション問題」の2題とする。なお、「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」において、試験委員が読み上げる問題内容については、メモを取ることを認める。
・「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」については、試験委員に対して、受験者は全国通訳案内士としての適切な受け答えをすること。

■合否判定
・合否判定に当たっては、試験委員ごとに基準が大きく異なることがないよう、あらかじめ以下の評価項目ごとに、具体的な評価基準を設定しておくものとする。合否判定は、原則として7割を合格基準点とし、当該合格基準点に達しているか否かを判定することにより行う。

評価項目
・プレゼンテーション
・コミュニケーション(臨機応変な対応力、会話継続への意欲等)
・文法及び語彙
・発音及び発声
・ホスピタリティ(全国通訳案内士としての適切な受け答え等)

*日本政府観光局(JNTO)のHP
(https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/index.html)をもとに作成しています(2018年6月現在)。
最新情報はHP をご確認ください。

詳しい2次試験の流れについては、こちらをご覧ください。

新日本通訳案内士協会 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2018/8/30)、出典:出版社HP

目次

本著を刊行するにあたって
本書の使い方
全国通訳案内士試験とは
音声ファイルダウンロード
2次試験(口述)の概要

1章 通訳問題

通訳問題の勉強方法と攻略法
練習問題1 【JR の運転見合わせ-1】
練習問題2 【JR の運転見合わせ-2】
練習問題3 【遊覧船の欠航アナウンス】
練習問題4 【観光地が修復中】
練習問題5 【Welcome letter】
練習問題6 【ホテルのベッドサイズ】
練習問題7 【予約したホテルで禁煙室が用意できない】
練習問題8 【旅館の説明】
練習問題9 【電車内の優先席のご案内】
練習問題10 【寺院入場の際の注意事項】
練習問題11 【博物館内の注意事項】
練習問題12 【博物館の説明】
練習問題13 【参拝の際のルール】
練習問題14 【お寺の見学時の説明】
練習問題15 【山岳ツアー時の注意事項】
練習問題16 【村での過ごし方の説明】
練習問題17 【物産展での説明】
練習問題18 【庭園で有名な記念館での説明】
練習問題19 【会席料理の説明】
練習問題20 【旅館での火災報知器】
練習問題21 【山梨のホテルで地震】
練習問題22 【台風の襲来】
練習問題23 【免税店でのアナウンス】
練習問題24 【現金のみの対応】
練習問題25 【食券の購入】
練習問題26 【旅行中の病院受診】
練習問題27 【忘れ物を送ってもらう】
練習問題28 【居酒屋のお通し】
練習問題29 【奈良公園の鹿】
練習問題30 【温泉の入り方】
テーマ別 想定質疑リスト
1章&2章で使える「必勝!英単語 必須バイブル」活用法

2章 プレゼン問題

プレゼン問題の勉強方法と攻略法
練習問題1 【天皇制度】 歷史
練習問題2 【侍】 歷史
練習問題3 【幕末から明治にかけて】 歷史
練習問題4 【日本のお祭】 年中行事
練習問題5 【鎌倉】 地名・固有名詞
練習問題6 【日本の城】 建築
練習問題7 【日本のサラリーマン】 ジェネラル・トピック
練習問題8 【山岳信仰】 宗教
練習問題9 【高山】 地名・固有名詞
練習問題10 【日本の世界遺產】 ジェネラル・トピック
練習問題11 【富士山】 地名・固有名詞
練習問題12 【宮島】 地名・固有名詞
練習問題13 【平泉】 地名・固有名詞
練習問題14 【日本の建築樣式】 建築
練習問題15 【日本の庭園】 建築
練習問題16 【和食】 食
練習問題17 【日本酒】 食
練習問題18 【精進料理】 食
練習問題19 【新幹線】 交通
練習問題20 【盆栽】 伝統文化
練習問題21 【忍者】 歷史
練習問題22 【茶道】 伝統文化
練習問題23 【風呂敷】 伝統文化
練習問題24 【歌舞伎】 伝統文化
練習問題25 【お寺と神社】 宗教
練習問題26 【アニメとマンガ】 ポップカルチャー
練習問題27 【芸者】 伝統文化
練習問題28 【居酒屋】 ジェネラル・トピック
練習問題29 【相撲】 伝統文化
練習問題30 【桜】 ジェネラル・トピック

全国通訳案内士試験2次・2次共通 必勝!英単語必須バイブル
合格に向けた3つのステップ
著者紹介及び関連組織紹介
付録 オリジナルワークシート

2次試験(口述)の概要

試験の大きな流れ(約10分)

●試験開始前
受付
・受験票、筆記試験の合格通知、身分証明書などを提示します。
・番号札が渡されるのでこれを首にかけます。

待合室
・携帯電話や電子機器等は使用を禁止されます(試験終了後、会場の外に出るまで禁止)。
・ノートや本は見ても良いとされています。
・飲み物は良いですが、食事(あめやガムを含む)は禁止です。
・トイレには係員の誘導で複数名が並んでいきます。

試験室への入室前
・係員の案内で複数名が待合室から試験室前の廊下へ移動し、番号順に椅子に座って待ちます。
・本を読んだり、飲み物を飲んだりすることはできません。

試験室入室
・試験室の中から試験官が出てきて「次の方、どうぞ」と受験者に声をかけます。
・試験官は2名(1名は日本人、1名は受験言語のネイティブ)
・名前と受験番号を聞かれます。
・受験者の調子や来場方法などについて聞かれる場合もあります(採点には関係しません)。

●逐次通訳問題
☆本書では1章(所要時間:1分30秒程度)
試験官が、通訳案内の現場で必要となる知識等に関する日本語の文章を読み上げ、受験生はそれを聞き取りメモを取ります。読み上げが終わったら受験外国語に訳します。その後その内容に関して質疑が行われます。
・今年のガイドライン改定で、通訳問題は「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する」内容となった
・読み上げられる日本文は例年120字~150文字程度
・日本語の文章の読み上げは1回のみ
・読み上げの際にはメモを取ることができる(メモと筆記用具はその場に用意されているもののみ使用可能)
・例年、日本語の読み上げが終了したら、すぐに通訳を開始し、1分以内に終えなければならない(受験生の報告による)

●質疑応答
☆本書では1章の終わりに掲載(所要時間:3分程度と推定)
受験生が訳した内容に関して質疑が行われます。通訳に関しての質疑は2018年から新しく導入されます。
・「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する」質疑となる。
・この質疑への対応についてガイドラインには「受験者は全国通訳案内士としての適切な受け答えをすること。」と記載されている。

●プレゼンテーション問題
☆本書では2章(所要時間:2分30秒程度)
3枚の異なったテーマが日本語で書かれたカードが渡され、受験生はその中からひとつ選び、テーマに沿った2分程度のプレゼンを行います。プレゼンの後は試験時間が終わるまで質疑応答です。
・受験生は3つのテーマから自分で好きなものをひとつ選びプレゼンの構成を考える。この時間は30秒間のみ
・選んだテーマを試験官に伝え、2分程度で、受験外国語でプレゼンを行う
・プレゼンは2分が経過した時点で試験官から合図があり終了となる

●質疑応答
☆本書では2章の各テーマにそれぞれ掲載(所要時間:3分程度)
受験者が話した内容に基づいて受験外国語による質疑応答が行われます。
10分間の試験時間が終了するまで行われる。

●試験終了後
試験室退出と待機
・試験終了後、試験室を退出し係員誘導のもと指定された場所で待機します(解散となるまで勝手に帰ってはいけません)。
・自分のグループ全員の試験が終了するまで、そこで待機します。
・この間、電話をしたり私語をしたりすることは禁止されています(係員が監視しています。読書は可)。

解散
・グループ全員が揃うと番号札が回収されます。
・他の教室も全員試験を終えたことが確認された後、係員の先導で待合室(あるいは椅子の置いてある廊下)から退出して解散となります。

★合格のために口述試験の受験生が留意しておくべきポイント★
❶試験室に入室した瞬間に合否はほぼ決まる!
試験官は1人の受験生が退出すると、ほとんど空き時間なく次の受験生を招き入れています。つまり一人ひとりの受験生の合否についてゆっくり考える時間はないのです。試験室に入室の際には、満面の笑顔で「Hello!」と言って試験官に挨拶しましょう。そうするだけで試験官はあなたに対して「明るくてガイドらしい人だな」と好印象を抱きます。

「メラビアンの法則」をご存知でしょうか。話し手が聞き手に与える影響は下の図のようになると言います。

❷口述試験は「外国語の試験」ではない!
口述試験は何の試験でしょうか?全国通訳案内士になるための面接試験ですよね。
つまり、「ガイドとしての適性」が評価され、「ガイドとして外国から来たお客様に、しっかりと日本を紹介して楽しませてくれそうだな」という「印象を試験官に与えた」人が合格します。よく勘違いされがちですが、単なる英語の試験ではありません。過去に英語がとても堪能な方が不合格になった例もあります。

❸10分間でしっかりと自分を演出すること!
❶と❷をふまえると、試験の10分間で「ガイドらしい自分」をしっかりと演出できた人が合格すると言えるでしょう。

ガイドらしさを演出するポイントは3つです!
①笑顔・・・・・・・・口角を上げるだけではなく、目までしっかり笑いましょう。
②ホスピタリティ・・・お客様を楽しませるために全身全霊の意識を傾けます。
③真摯さ・・・・・・・難しいことや知らないことを聞かれても、真摯に向き合う心意気が必要です。

新日本通訳案内士協会 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2018/8/30)、出典:出版社HP

全国通訳案内士試験「英語1次(筆記)」合格! 対策

安河内 志乃 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2020/6/2)、出典:出版社HP

【全国通訳案内士試験「英語1次(筆記)」合格! 対策】の中身も確認する

全国通訳案内士試験「地理」合格! 対策

沢田 千津子 (著), 河島 泰斗 (著), True Japan School (監修)
出版社: 三修社 (2020/2/28)、出典:出版社HP

【全国通訳案内士試験「地理」合格! 対策】の中身も確認する