日経TEST公式練習問題集2016-17年版

まえがき

日本経済新聞社と日本経済研究センターは年2回、ビジネスパーソンの経済知識とそれを仕事に応用して考える力を測る「日経TEST」(日経経済知力テスト)の全国一斉試験を実施しています。あらゆる分野にIT(情報技術)が浸透する一方、経済のグローバル化が一段と進むなど、ビジネスを取り巻く状況は大きく変化しています。あふれる経済情報を正確に理解して仕事に生かすための「学び」の必要性を実感するものの、そのきっかけや方法がなかなか見つからない方も多いと思います。

そうした皆様に、ご自分の力がビジネス社会でどのレベルにあるかを「経済知力スコア」として示し、学びのきっかけを提供しているのが日経TESTです。成績は英語能力のテストなどと同様、項目反応理論(IRT)に基づく統計処理を行った客観的なスコア形式で示し、受験者全体や属性に応じた相対的な位置などの情報も提供しています。社員の実力測定に活用する企業も増え、産業界における「日経TESTスコア」の認知度も上がってきました。

日経TESTは「四肢択一式・100問・試験時間80分」という枠の中で、経済・経営全体をカバーする問題を「5つの評価軸・6つの出題ジャンル」に整理し、バランスよく能力を測ります。毎回、「生きた経済」を題材に出題するため、新しい経済の動きを理解できているかどうかも点検できます。本書はまず、この日経TESTがどのようなものかを理解していただくことと、既に継続して受験いただいている皆様には一層のスコアアップを図っていただくことを目的に編集しました。

2016年の世界経済・日本経済は、中国経済の急減速への不安、原油価格の急落、大幅な円高と株安、そして日本の金融史上初めてのマイナス金利導入と、近年にない波乱の中で4月を迎えました。一方で年間2000万人にのぼる外国人観光客によるインバウンド需要、電力小売りの自由化、全てのものがネットにつながる「IoT」の広がりなど、新たなビジネス機会も広がっています。石油元売り、流通、金融をはじめ多くの産業で例外なくM&A(合併・買収)の動きも相次いでいます。

本書では日経TESTの形式に沿い、これらも題材にした練習問題(例題)を出題します。特にポイントとなるテーマについては、それが問題になっている背景や内容をかみくだいた「ステップアップ解説」を加えます。日経TESTの受験対策になる一方、本書を読み進めることで、経済や経営を理解するための基本的なキーワード、そして知識をビジネスに生かすための思考法が自然と身に付くようにしています。限られた時間で手っ取り早く経済全体への理解を確かめられるはずです。

日経TESTの受験を考えている方への問題集としては、2012年のパート2に続くものですが、本書では従来なかった上記のステップアップ解説を加えるなど、「学ぶ」機能を充実しました。また、変化の激しい経済の動きに合わせて、本年からは毎年、内容を見直していきます。このため本書は「2016-17年版」と銘打ちました。

なお、企業・団体が社員・職員向けに自社内などで随時行える「日経TEST企業・団体試験」なども同じ尺度で実施しており、これらの試験の対策としても当然、活用いただけます。皆様のスコアアップに役立てていただければ幸いです。

2016年4月
日本経済新聞社

日本経済新聞社 (編集)
日本経済新聞出版社、出典:出版社HP

目次

まえがき
本書の読み方・使い方

ガイダンス 日経TESTとは Guidance
1. 日経TESTの概要
2. 日経TESTの問題構成
3. 日経TESTの出題ジャンル
4. 日経TESTのスコア
5. 個人成績表の見方

第1章 基礎知識 Basic
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第2章 実践知識 Knowledge
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第3章 視野の広さ Sensitive
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第4章 知識を知恵にする力 Induction
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

第5章 知恵を活用する力 Deduction
練習問題・解説
ステップアップ解説
コラム

まとめ・学習のポイント

本書の読み方・使い方

日経TESTの全国一斉試験では、「5つの評価軸」に基づく出題方針にのっとり、1つの評価軸につき20問ずつ、合計100問の問題を毎回、出題しています。本書の問題もこの日経TESTに準じて作成しており、評価軸ごとに5章に分け、それぞれ20問の問題を掲載しました。

評価軸ごとに、その章の問題の特徴を紹介したあと、練習問題が20問続きます。問題は奇数ページ、正解・解説はその裏に2問ずつ掲載しました。まず表で答えを考え、裏に進んでください。20間のあとには、その章でとりあげた問題に登場した特に重要なテーマについて知識や考え方を深める「ステップアップ解説」を掲載しています。また、章末にはそれぞれ、経済になじむコツや豆知識を紹介した「コラム」も掲載しました。最後に「まとめ」として、学習法に関するアドバイスなどを掲載しています。

なお、「練習問題集」という性格上、それぞれの問題は「難問」ではありませんが、実際のテストより難度が高い問題を多く含みます。これは、解答と解説を併せて読んでいただくことで、知識を整理していただいたり、新たな知識を吸収するきっかけとなったり、発想のコツを習得したりするのに役に立てていただこうという狙いからです。

本番のテストでは、形式(全て四肢択一式)は本書と同じですが、100問を80分で解いていただくため、短時間で答えられる問題も取り混ぜ、テンポよく答えられるようにしています。これに対して、本問題集の問題は、学んでいただくことに重点を置いた「学習問題」の性格を持っています。「難しい」と感じた方は、本番へのややハードなトレーニングと受け止め、ご安心ください。

各問題には「キーワード」を明示しています。経済用語・時事用語だけでなく、経営やマーケティングに不可欠な基本用語も意識して選んで構成しました。末尾のキーワード索引も参考にしながらご活用ください。

なお、本書の問題・解説の内容はおおむね2016年2月までの情報に基づいていることをお断りしておきます。

日本経済新聞社 (編集)
日本経済新聞出版社、出典:出版社HP