森林インストラクター試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




森林インストラクターの概要

森林インストラクターは、森林を利用する一般の人に対して、森林や林業に関する適切な知識を伝えるとともに、森林の案内や森林内での野外活動の指導を行います。
受験資格は受験時に20歳以上で、全国森林レクリエーション協会が定める条件に該当しないことが必要です。資格試験は一次試験と二次試験からなり、一次試験では、記述式を主体とした筆記試験、二次試験は森林インストラクターとしての模擬演技を行う実技試験と面接が行われます。

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森林インストラクター試験の公式テキスト

公式ホームページから購入できます。
全国森林レクリエーション協会

森林インストラクターのオススメテキスト

1.「森林インストラクター養成講習テキスト選集(改訂6版)」(日本森林インストラクター協会)

全国森林レクリエーション協会
本書は、森林インストラクター養成講座で使用するテキストを試験科目別に整理し、1冊の学習教材にしたものです。

2.「森林インストラクター 入門」(林野庁)

林野庁 (著)
出版社: 全国林業改良普及協会 (1992/07)、出典:出版社HP

本書は、森林に関する自然科学、社会科学的知識を総合的に整理して掲載している。森林インストラクター活動にも、資格試験にも役立つ参考書です。

3.「森林インストラクター資格試験問題例集 & 解答例」(日本森林インストラクター協会)

日本森林インストラクター協会
この問題集は、試験の問題と解答例が科目別にまとめられています。最近の出題傾向と合格体験記も参考になります。

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目次 – 日本森林インストラクター協会選定 日本の森100

はじめに

本書の目的は、日本の多様な森林の魅力を多くの方々に伝え、体験していただきたいこと、そして、日本の森林に親しみ好きになっていただきたいこと、その結果として、人々が森林を大切にし、森と人とのよりよい関係が作られていくことです。

そのためには、何よりもまず、実際に森の中に入り森に親しむことが必要です。この本は、日本の魅力的な森の中に入ってみたい方に、きっとお役に立てると思います。森の中で(in)、森について(about)、森のために(for)ということは、森林インストラクターの願いであり、世界と共有したい願いでもあります。

『日本の森100』は、全国各地の森林インストラクター資格者の協力のもとにつくられました。平成3年に森林インストラクター資格制度が創設され、森林や林業の解説者すなわち「森の案内人」である森林インストラクターが誕生しました。現在、全国各地で約1,400名の資格者が当協会の会員として活動しています。

この本の元となったものとして、2013年、当協会の前身である全国森林インストラクター会の設立20周年を記念し、その活動の積み重ねの証として発刊した『日本の森121」という冊子があります。この冊子が森林インストラクター以外からも注目されたことから、このたび、森を歩く場合の具体的なコースを地図上に記載し、情報を大幅に追加して書き改め、写真を入れ替え、巻末に用語の解説を加え、山と溪谷社から出版する運びとなりました。100カ所に収められなかった森林については、その森の魅力のエッセンスを巻末にまとめて掲載し、全国各地の森を選定した森林インストラクターの思いを継承しました。

美しく魅力あふれる多様な日本の森の中で、皆様とお会いできることを楽しみにしております。

2014年5月 一般社団法人日本森林インストラクター協会 会員一同

社団法人日本日本森林インストラクター協会 (著)
出版社: 山と渓谷社 (2014/5/23)、出典:出版社HP

目次

はじめに
読者の皆様へ
本書掲載の森100+20

北海道
北海道 北海道立道民の森
北海道 野幌森林公園

東北
青森県 増川ヒバ施業実験林
青森県 青森県民の森 梵珠山
岩手県 岩手県県民の森
岩手県 岩手山麓森の道
宮城県 栗駒古道 (羽後岐街道)
宮城県 松島の奥座敷「宮戸島」
秋田県 白神山地留山のブナ林
秋田県 天然秋田スギ(仁鮒水沢スギ植物群落保護林)
秋田県 中島台レクリエーションの森
山形県 庄内砂丘のクロマツ林
山形県 県立自然博物園のブナ林
山形県 草木塔と尾幡山
福島県 五色沼自然探勝路
福島県 継裏林道

関東
茨城県/福島県 八溝山
茨城県 筑波山
栃木県 塩原自然研究路
栃木県 千手ノ森と中禅寺湖南岸
栃木県 足尾森林再生地域
群馬県 至仏山麓の森
埼玉県 長瀞 宝登山
埼玉県 「巨木の里」ときがわ
埼玉県 狭山丘陵
千葉県 清和県民の森
千葉県 東京大学千葉演習林
東京都 明治神宮の森
東京都 高尾山の森
山梨県 東京都水道水源林
神奈川県 湘南平から浅間山・高麗山
神奈川県 真鶴半島 神奈川県 大涌谷・神山

北陸
新潟県 五頭県民の森
新潟県 妙高山麓県民の森
富山県立山美女平 「富山県有峰湖畔林 石川県鹿島の森」
石川県 石川県県民の森
石川県 千振尾根のブナ林
福井県 岩谷国有林から夜叉ヶ池
福井県 青葉山とその山麓

甲信
山梨県 山梨県民の森
櫛形山 山梨県青木ヶ原樹海
山梨県 身延山の千本杉
長野県 雨飾山山麓錄
長野県 志賀高原志賀山新地
長野県 北八ヶ岳自然休
長野県 赤沢自然休養林

東海
岐阜県 天生県立自然公園
岐阜県 白山中居神社林と石徹白の彩
岐阜県 「木曽ヒノキ備林
静岡 天城山自然休養林
静岡県 富士山自然休養林 宝永遊歩道
静岡県 静岡県県民の森
愛知県 愛知県民の森
愛知県 段戸裏谷原生林(きららの森)
愛知県 海上の森

近畿
三重県 熊野古道 八鬼山
滋賀県 湖北の古刹 菅山寺の森
滋賀県 一丈野国有林 たまみずきの道
滋賀県 比叡山行者道の森
京都府 東山 (銀閣寺~南禅寺)
京都府 鞍馬山 (貴船~鞍馬)
京都府 八丁平湿原・峰床山
大阪府/奈良県 金剛山・ちはや府民の森
兵庫県 菊炭の古里黒川の里山
兵庫県 六甲山の自然とブナ林
奈良県 春日山原始林
奈良県 矢田山遊びの森
和歌山県 県立森林公園 根来山げんきの森
和歌山県 高野山 (女人道・奥の院・三山)

中国
鳥取県 大山古道「横手道」
島根 安蔵寺山
島根県 島根県県民の森
岡山県 金ヶ谷山
広島県 宮島原生林 うぐいす歩道 心島 おおの自然観察の森
山口県 山国有林
山口県 岩国城山

四国
徳島県 高丸山千年の森
徳島県 剣山・一ノ森
香川県 寒霞渓のイワシデ・カエデ林
香川県 大滝山県民いこいの森
愛媛県 銅山峰から東平
愛媛県 皿ヶ嶺(風穴~竜神平)
愛媛県 南予アルプス
高知県 魚梁瀬千本山保護林
高知県 鷹取山植物群落保護林

九州
福岡県/佐賀県 脊振山の森
佐賀県 虹ノ松原
長崎県 雲仙普賢岳
熊本県 菊池渓谷
熊本県 金峰山
大分県 山下湖畔の森
宮崎県 綾照葉樹林 大森岳周辺
宮崎県 えびの高原
宮崎県 双石山
鹿児島県 屋久島 宮之浦岳

沖縄
沖縄県 西表島 浦内川

ぜひ、訪れてみたいプラス20の森
森の基本用語集
森林インストラクターについて/協力者一覧

社団法人日本日本森林インストラクター協会 (著)
出版社: 山と渓谷社 (2014/5/23)、出典:出版社HP

読者の皆様へ

「100の森」の選定について
本書は、北海道から沖縄県まで、「日本の森100」について、具体的な歩き方、森林の特徴、その森林に関わる歴史や文化などを解説したものです。100の森林は、それぞれの都道府県に精通している、森林インストラクターの地域会に依頼し、計130カ所ほどの候補のなかから選びました。

ゆっくり森林を観察しながら、日帰りで森林散歩を楽しめるコース(1日コースか半日コースかも表示しています)を具体的に紹介したものです。ぜひ、見てほしい、歩いてほしい、体験してほしい、豊かな自然の魅力や、重要な歴史上の背景をもつ森などに注目しながら、「日本の森100」を選定しました。

本書の構成

1「ポイント」の欄について
100カ所の森を、それぞれ見開き2ページで紹介しています。実際に森を歩く前に、左ページ上段の「ポイント」欄のキーワードに着目していただきながら右ページの説明を読むことにより、森の魅力をより一層感じることができます。

2多様な日本の森のシンボルマーク
「ポイント」欄の左に小さなシンボルマークがあります。日本の森は美しく多様です。そのた理定した主な視点を区分し、7つのシンボルマークで表示しています。

自然豊かな保護されてきた森
古くから人々の心のよりどころであった信仰と癒しの森
火山活動の後に自然に形成された森
用材林として引き継がれてきた資源の循環利用の森
水源、里山、海岸など暮らしと共にある森
荒廃した森を新たに再生させている森
自然とのふれあいや教育の場としての森

日本の森は多様な生態系を形成し、私たちにさまざまな「恵みをもたら」このような「恵み」を「生態系サービス」ということがあります。そのようなとこれらのマークは森林に対する理解を深めるためのシンボルマークであるともいえます。

3「観察ガイド」について
「観察ガイド」は、もし最初にその森林を歩く場合にどのコースを歩けばよい森林インストラクターが具体的に提案したものです。およその行程時間も示されて、森林を観察しながら歩くことが目的ですので、一般的なハイキングなどのコースも、かなり余裕を見込んでいるように感じられるかもしれません。しかし、森林のなどを少し観察しているだけでも、時間はあっという間に過ぎてしまいます。管理はしっかり行なうよう注意が必要です。

4「森林の特徴」「歴史・文化など」について
ここでは、その森の魅力について、やや専門的な解説が書かれています。森の味・現在そこにあるがままの美しい自然景観に感動するだけでなく、その森の変遷や!わりの歴史を知ることによって、一層増大します。その点で、できれば地元の森林インワンラクターと一緒に森を訪れるのが理想であることはいうまでもありません。解説文の中には、森林インストラクターによる案内が可能と記されている箇所もありますが、それ以外の箇所でも日程が合えば案内してもらえる場合もあります。

5データについて
森林散歩へ出かけるときに最低限必要なデータを掲載しています。公共交通機関によるアクセス方法、自家用車利用によるアクセス方法、関連施設の休業日などの注意点代表的な問い合わせ先などです。本書で掲載した森林は、地元で親しまれている有名な場所が多いため、インターネットなどで必要な情報が提供されている例が多くあります。より詳細な情報を知りたい場合は、インターネットなどの情報を検索してみてください。

なお、データ欄のうち「周辺の見所」は、地元の森林インストラクターが選定した、近隣のおすすめスポットです。森林インストラクターならではの穴場も多く含まれていますので、要チェックです。

6地図について
本書に掲載した地図は、国土地理院発行の2万5000分の1地形図をベースにして、散策コースの順路、森の特徴、地名、建設物など、必要事項を加筆して制作しています。図はすべて上が北(真北)になっています。ただし、コースの内容が長短さまざまな関係上、縮尺はそれぞれ異なっていますので注意してください。駐車場とトイレは、特に重点的に掲載しましたが、すべてを網羅しているわけではありません。

短時間で狭い範囲内のコースであれば、本書の地図を見て歩くことも可能です。しかハイキングや登山に準ずるような長いコース(3時間を超えるコースなど)の場合は、「中の登山用地図を購入するか、地元で出されているコース資料を入手してください。い小さな山でも道迷い遭難が起こっていますので、充分に注意してください。

森を訪れる場合の注意事項
日本の森は、ほんとうに千差万別です。豊かな自然環境は、同時に、自然の持つ厳しい側面も備えています。天候に関していえば、大雨や大雪だけでなく強風の場合も林内に入ることは危険を伴います。また、本書に示されているコースや進入路が災害で通行できない場合や、冬期は閉鎖されている場合もあります。事前の情報収集や装備は万全にしてお出かけください。また、平時は林内に立ち入ることができない森林もあります。国有林や大学演習林について、事前の許可が必要な箇所もあります。

森林インストラクターの案内を希望する場合
都道府県の森林インストラクターの会をホームページで検索し、連絡先や依頼の方法を探してみるのも一つの方法です。地域の会で、自主的に講座を開催して参加者を募っている場合もあります。インターネットで検索しても不明な場合は、下記へお問い合わせください。ご相談したうえで、各地域の会をご紹介できる場合もあります。ただし、ご希望に添えない場合もあるので、その場合はご了承ください。

一般社団法人 日本森林インストラクター協会
〒112-0004 東京都文京区後楽1-7-12 林友ビル6階
TEL/FAX:03 (5684) 3890 E-mail:jim@shinrin-instructor.org

社団法人日本日本森林インストラクター協会 (著)
出版社: 山と渓谷社 (2014/5/23)、出典:出版社HP

本書掲載の森100+20

日本の森100

1.北海道立道民の森
2.野幌森林公園
3.増川ヒバ施業実験林
4.青森県民の森梵珠山
5.岩手県県民の森
6.岩手山麓森の道
7.栗駒古道
8.松島の奥座敷宮戸島
9.白神山地留山のブナ林
10.天然秋田スギ
11.中島台レクリエーシヨンの森
12.庄内砂丘のクロマツ林
13.県立自然博物園のブナ林
14.草木塔と尾幡山
15.五色沼自然探勝路
16.裏林道
17.八溝山
18.筑波山
19.塩原自然研究路
20千手ノ森と中禅寺湖
21.足尾森林再生地域
22.至仏山麓の森
23.長瀞宝登山
24.「巨木の里」ときがわ
25.狭山丘陵
26.清和県民の森
27.東京大学千葉演習林
28.明治神宮の森
29.高尾山の森
30.東京都水道水源林
31.湘南平から浅間山・高麗山
32.真鶴半島
33.大涌谷・神山
34.五頭県民の森
35.妙高山麓県民の森
36.立山美女平
37.有峰湖畔林
38.鹿島の森
39.石川県県民の森
40.千振尾根のブナ林
41.岩谷国有林から夜叉ケ池
42.青葉山とその山麓
43.山梨県民の森櫛形山
44.青木ヶ原樹海
45.身延山の千本杉
46.雨飾山山麓鎌池ブナ小径
47.志賀高原志賀山周辺
48.北八ヶ岳自然休養林
49.赤沢自然休養林
50.天生県立自然公園
51.白山中居神社林と石徹白の杉
52.木曽ヒノキ備林
53.天城山自然休養林
54.富士山自然休養林宝永遊歩道
55.静岡県県民の森
56.愛知県民の森
57.段戸裏谷原生林
58.海上の森
59.熊野古道八鬼山
60.湖北の古刹菅山寺の森
61.一丈野国有林たまみずきの道
62.比叡山行者道の森
63.東山
64.鞍馬山
65.八丁平床山
66.金剛山、府民の森
67.菊炭の
68.六甲山の
69.春日山原始
70.矢田山遊び
71.県立森林公園根来山げんきの森
72.高野山
73.大山古道「横手道」
74.安蔵寺山
75.島根県県民の森
76.金ヶ谷山
77.宮島原生林うぐいす歩道
78.おおの自然観察の森
79.滑山国有林
80.岩国城山
81.高丸山千年の森
82.剣山・一ノ森
83.寒霞渓のイワシデ・カエデ
84.大滝山県民いこいの森
85.銅山峰から東平
86.皿ヶ嶺
87.南予アルプス
88.魚梁瀬千本山保護林
89.鷹取山植物群落保護林
90.脊振山の森
91.虹ノ松原.
92.雲仙普賢岳
93.菊池渓谷
94.金峰山
95.山下湖畔の森
96.綾照葉樹林大森岳周辺
97.えびの高原
98.双石山
99.屋久島宮之浦岳
100.西表島浦内川

プラス20の森

1.北広島レクリエーションの森
2.安比高原ブナ二次林
3.縄文の森桑沼
4.茨城県民の森
5.山縣農場の森林
6.笠森寺自然林と権現森
7.古都鎌倉社寺の緑探訪
8.大雄山最乗寺
9.県民公園頼成の森
10.雄島
11.日野麦街道と白樺峠
12.静岡県立森林公園
13.明治の森国定公園箕面の森
14.「櫻守」の舞台桜の園
15.宇久井半島の森
16.元宇品公園の森
17.県立神山森林公園
18.平山の照葉樹林
19.天狗高原セラピーロー
20.日くじゅう暮雨の滝

社団法人日本日本森林インストラクター協会 (著)
出版社: 山と渓谷社 (2014/5/23)、出典:出版社HP

目次 – 森林インストラクター―森の動物・昆虫学のすすめ

目次

まえがき

第1章 哺乳動物の食べもの
野ネズミ
野ウサギ
ニホンジカ(通称シカ)
ニホンカモシカ(通称カモシカ)
ニホンツキノワグマ(通称ツキノワグマ)
ニホンザル(通称サル)、ヒト

第2章 森の安全保障システム
森の動物とは
森の昆虫(総論)
昆虫の異常発生[Ⅰ] 食葉昆虫
食葉昆虫大発生における餌植物の条件
昆虫の異常発生[Ⅱ] 吸汁昆虫(外部寄生)
昆虫の異常発生[Ⅲ] 虫こぶ昆虫
松くい虫(二次性穿孔虫)
松材線虫病(エイズ型松枯れ)
スギ・ヒノキの穿孔虫 林業大害虫
一次性穿孔虫 広葉樹と共生

第3章 森の掃除屋 生態系の分解者
枯木の分解者
落葉・落枝の分解者
糞虫牧場の掃除屋
参考文献
あとがき

資料編

索引

西口 親雄 (著)
出版社: 八坂書房; 改訂版 (2001/5/1)、出典:出版社HP

まえがき

この本は、私が、山形大学農学部林学科で5年間つづけた「森林昆虫学」の講義ノートが土台になっている。森林昆虫学というのは、森林に害を与える昆虫をいかに防除するか、という生産技術学で、学問的には、応用昆虫学の一分野になる。

しかし、昆虫を木材生産の障害という視点でしかとらえない森林昆虫学では、森林生態系の解明という、現代的要請に応えることはできない。森のなかには、じつにさまざまな昆虫が見られる。かれらは、森林生態系の構成員として、それぞれ存在意義をもって生活しているはずである。その存在意義を、一つひとつ明らかにしていくのが、これからの森林昆虫学ではないか、と思う。新しい森林昆虫学の構築が求められている。

山形大学農学部で造林学教室の教授だった須藤昭二先生は、そのことを感じとられていたのだろうか、私に「森林昆虫学」の講義をしてみないか、と話をもちかけてくださった。世の中が昭和から平成に変わったころである。私はもともと、森林昆虫学の専門家だったが、そのころは、東北大学農学部で、農学科や畜産学科の学生相手に、「森林生態論」なる講義をしていて、専門の講義ができずに、多少、いらいらが蓄積した状態にあった。須藤先生の申し入れは、干天に慈雨だった。

林学科の学生は、大部分が将来、森林関係の仕事につくことを目ざしている。だから、森林昆虫学の講義といっても、昆虫そのものを教えることではなく、昆虫が森にとって、どんな存在なのか、その意味を理解させ、森林管理に役立てることが重要ではないか、と考えた。

私がもし、森林昆虫の研究ばかりやっていたら、山形大学での講義も、従来のような、型にはまった講義をしたにちがいない。しかし、私は、東北大学演習林で森林管理の実務についていたし、学生に対する講義では「森林生態論」をやっていたので、森林全体を見る訓練ができていた。そこで山形大学で講義をするにあたって、私が考えた構想は昆虫をとおして、森の生態系のしくみを教える、というものだった。昆虫学は、森林につよい影響を与える昆虫に関しては、膨大なデータを蓄積している。しかしこのデータは、一般の生態学研究者には、ほとんどしられていないし、森林生態学の研究者にさえも、あまり知られていない。

これを使えば、ユニークな森林生態学の教科書ができるにちがいない。「本のなかの昆虫を見る視点を変えてみると、害虫防除の考え方も変わってくる。害虫防除にポイントを置いた森林昆虫学では、講義は、どうしても技術論になり、無味乾燥なものになってしまうが、視点を変えてみると意外におもしろく、学生の反応も大きかった。受講した学生のひとりがいった。虫を見る目が変わったと。

生態系として見る場合、昆虫だけをとり出すのは片手落ちである。そこでは、「森林昆虫学」という講義題目にもかかわらず、哺乳動物も講義の対象とした。生態系から見れば、昆虫も哺乳動物も、同じ消費者の位置にある。そして、生きた植物を食べて生きている、という点では、植物を破壊する危険性をはらんだ寄生者でもある。生態系は、生産者(植物群)を破壊するおそれのある寄生者に対しては、集団安全保障のルールを課しているが、その場合、昆虫も哺乳動物も区別していない。

この講義ノートを再整理し、テキスト・ブックとしても使えるようにしたのが、この本である。
最近、大学教育の仕組みがどんどん改変され、全国の大学から、林学科は消えつつある。研究対象よりも、研究手法でまとめる、というのが最近の傾向にある。だから、森林に関する教育研究も、環境保護学科とか、生物生産学科とかに分解されつつある。昔のやり方にくらべ、どちらが良いのか、私も判断に迷うが、いずれにしても、森林全体がわかる先生がいなくなってくることはまちがいない。

しかし、林学科が消えても、森林は消えない。むしろ、最近は、ますます重要な存在として、一般の人々に認識されつつある。森林を勉強したい人、森林を仕事の場にしたい人、森林のなかで遊びたい人は、ますます増えつつある。そして森林を管理する組織は、国有林、民有林という形で存在しつづけている。ドイツでは、なりたい職業の第一は、森林官だそうだ。日本でも、だんだん、そんな傾向が現われはじめているようにみえる。しかし、森林官になりたい人は、公務員試験を受けなければならない。

この本は、テキスト・ブックとしての形態をとっているが、それは、公務員試験を受ける人にとっても、役に立つように、という著者の気持ちからである。最近はまた、森林浴ばやりである。私も、NHK文化センター仙台教室と泉教室で、森林ガイドの講師をつとめている。ガイドがついて、植物や動物や、さらには森の生態系に関する知識を学ぶことができれば、森林浴も一段とたのしくなる。

そんな要望に応えて、林野庁は平成4年度から、「森林インストラクター」という資格制度を発足させた。この試験に合格すれば、森のことを教える知識と技能があることを認定する、というものである。この資格をとれば、森林関係の仕事につける、というものではないが、最近、この試験を受ける人が激増している。林野庁を退職して、余生に森林ガイドをするなら、話もわかるが、最近は、20代、30代の若者の受験が多いという。

環境庁でも、このような自然観察のインストラクター制度を発足させる、という話を聞いた。今回の本は、このような資格試験の受験者にとっても役立つように、と考えてつくった。受験者にとって覚えやすいように、問題点を箇条書きにした。また、内容を理解しやすいようにコメントしたが、受験勉強としては箇条書きの部分を勉強すればよいと思い、暗記はすすめられない。ものごとを理解することが、最良の記憶法であるからだ。

これからの森林インストラクターは、植物や動物の名前を教えるだけで終わってはいけない。小さな虫たちでも、それぞれに存在意義をもっている。そこまで話ができると、一般の人々にも、森はたのしく、おもしろ、ところだという印象を与えるだろう。この本には、そんな話をできるだけ取り入れた。だから、森林インストラクターの資格をとった人にも、この本はおおいに役立つだろう。

改訂版への一言

私は、毎年夏、森林インストラクターをめざす人たちのための講習会で「森林の動物」を担当している。講義の内容は、本書に書いたことを基礎においているが、本書に書いてない、おもしろい話も二、三あって、今回の改訂を機に、それを加えることにした。

改訂ということで、いままた、この本を読みかえしてみた。自分でいうのも変な話だが、動物・昆虫学の専門家が書いた本にはみられない、おもしろさがある。それはなんなのか。自分でも、その理由がうまく説明できない。しいていえば、私が、森林昆虫学の専門家から逸脱して、森林学を、幅広く、自由に考えるアマチュアになったことが、その背景にあるからだ、と思う。森林インストラクターのみなさんも、森林を、規成概念にとらわれず、自由な発想で見て、考えてもらいたいと願っている。この本を出して6年になるが、あまり手を加える必要はない、と思い、改訂は最小限にとどめた。

2001年1月1日

西口 親雄 (著)
出版社: 八坂書房; 改訂版 (2001/5/1)、出典:出版社HP