電気主任技術者資格の学科試験はどんな内容? – 出題範囲や試験対策まで
電気主任技術者の概要
電気主任技術者とは、ビルや工場、住宅などにある電気設備の工事、維持、運用をする際に監督を行う人のことです。監督できる工事の範囲によって、第一種電気主任技術者・第二種電気主任技術者・第三種電気主任技術者に分かれます。
資格 | 電気工事の範囲 |
第一種電気主任技術者
(電験一種) |
全ての電気設備を有する施設 |
第二種電気主任技術者
(電験二種) |
電圧17万V未満の電気設備を有する施設 |
第三種電気主任技術者
(電験三種) |
電圧5万V未満の電気設備を有する施設 |
電気主任技術者になるためには、国家資格を取得する必要があります。この資格を取得するには「①学科試験を受ける」・「②認定校卒業+実務経験」の2つの方法があります。
①の方法は、第一種・第二種で2回・第三種で1回の学科試験を受験し、合否判定を行うものです。
第一種・第二種 | 第三種 | |
資格取得までの流れ
(①学科試験を受ける場合) |
学科試験はどれも科目制で、次に進むためには全ての科目で基準点の60点以上を超えなければいけません。1度の試験で全科目合格しなくても、翌々年度までに全ての科目を合格しなければなりません。
1次試験(第三種を含む)の試験内容
試験 | 方式 | 科目 | 出題範囲 |
1次試験(第一種・第二種)
筆記試験(第三種) |
マークシート式 | ❶理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測に関するもの |
❷電力 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路 及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び 運用並びに電気材料に 関するもの | ||
❸機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理に関するもの | ||
❹法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理に関するもの |
電気主任技術者の1回目の試験は、上の4科目から出題されます。電気に関する基本的な事柄から法律についてまで広い範囲を問われます。
全てマークシート式ですが、1次試験の合格率は半分以下になる年が多いです。
1次試験だからといって気を抜かず、しっかり準備していきましょう。
2次試験の試験内容
試験 | 方式 | 科目 | 出題範囲 |
2次試験(第一種・第二種) | 記述式 | ①電力・管理 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路 及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び 運用並びに電気施設管理に関するもの |
②機械・制御 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクスに関するもの |
2次試験は、第一種と第二種のみで行われるものです。記述式のため、1次試験よりもはるかに難しくなります。
実際の現場で、行う作業の具体的な意味を書く問題から、インピータンスの値を出す計算問題まで深い理解を求められます。
電気主任技術者試験は、「3年計画」と言われます。3年間かけて3回で試験に合格するということです。
そのため、1次試験を全科目で合格するまでは、その回の2次試験は捨てる覚悟でいると考えた方が良いです。1次試験に合格する実力があれば、自然と2次試験も取り掛かりやすくなっているはずです。地道に頑張っていきましょう。
学科試験の試験対策
学科試験は、試験の対策方法が様々あります。どの方法でも、勉強時間は最低でも1,000時間必要です。1,000時間とは、1年かけて1日3時間勉強するペースです。計画的に勉強をしていきましょう。電気に関する基礎知識がある人は、そこまで時間をかける必要がありませんが、過去問を解いて自分がどのレベルにあるか必ず確認しましょう。
まず1つ目の方法は、参考書を使って勉強する方法です。書店等で資格対策本が多く販売されていて、科目ごとに要点がまとめられているテキストもあるので、それぞれの科目で購入して6冊揃えると完璧です。試験1ヶ月前までは、知らない範囲を無くしてインプットする期間に使いましょう。
試験1ヶ月前からは、過去問演習を行いましょう。過去問はネットで無料公開されていますが、解説がないため試験に慣れていない場合は、市販の過去問解説本を買うことを強くお勧めします。
他にも、「通信教育でテキスト勉強や質問、添削サポートをする方法」や「専門学校などで資格対策講座を対面受講する方法」もあります。この2つは、テキストや担当講師から具体的に対策方法が示されると思いますので、それを1番に従いましょう。
通信教育や専門学校のカリキュラムを拝見すると、1年間かけて対策することになっていることが多いです。
今まだ勉強を始めていない人は、来年から受験することを考えて試験勉強を始めてみましょう。
まとめ
1次試験から2次試験の対策まで果てしない勉強量が必要なことがわかったと思います。電気主任技術者試験の対策をする上で、1番大変なことは「モチベーションの維持」です。
最低でも1年かかると先ほど解説しましたが、毎日3時間程度勉強を続けられる人はどれだけいるでしょうか。
多くの人は挫折しないためにも、一緒に受験する仲間を見つけてみましょう。独学でもSNSで探せばいるはずですし、専門学校は顔見知りの仲間がたくさんいて、相談もしやすいでしょう。
長い戦いになると思いますが、皆さん全員が諦めず、電気主任技術者になれるように応援しています。