「医療秘書技能検定」と「日本医師会認定医療秘書」の違いとは?それぞれの取得メリット、デメリットまで




医療秘書とは?

医療秘書は、医療機関でサポート業務などを行い、スケジュール管理から訪問客の対応まで医療機関に関わる様々な業務に幅広く関与しています。

具体的には、医師や看護師のスケジュール管理やデータ整理、来客応対、文書作成、ファイリング、電話応対など、その業務内容は幅広いものとなっています。論文、資料作成の補助など学会や会議の準備のサポート、学会への同行や出張手配まで任されることも多いです。
その他にも、患者の受付業務、カルテ、レセプトなどの書類作成や管理、入院時の病室手配など様々な業務に関わっています。

では、医療秘書になるために資格って必要なのでしょうか。

答えとしては必要はありません。
誰でも医療秘書になれますが、専門知識を身につけるために資格を取得する人も多いのです。求人内容によっては資格が必要な医療機関もあります。

その主な資格として、以下の2つの民間資格があります。
それは医療秘書技能検定、日本医師会認定医療秘書です。
ここからは、2つの資格それぞれについて詳しく紹介していきます。

医療秘書技能検定とは?

医療秘書としての専門知識と技能を認定する検定試験です。一般社団法人 医療秘書教育全国協議会が実施している民間資格です。
この検定は受験資格に制限がなく、誰でも挑戦できます。

医療秘書技能検定は医療界における事務の専門家をめざす人にとって、とても重要な資格となっています。

この検定は年二回実施されており、1級、準1級、2級、3級と4階級に分かれています。
医療現場で活躍している有資格者のほとんどは2級以上を取得しています。また、準1級以上に合格することにより、医師事務作業補助技能認定の一つの条件を満たすことができます。
最近は医療実務者の受験も増加傾向にあります。

出題範囲や合格基準は?

出題内容としては、領域1の医療秘書実務、医療機関の組織・運営、医療関連法規、領域2の医学的基礎知識、医療関連知識、領域3の医療事務(レセプト作成、診療報酬点数表の理解)の3領域があります。
点数配分としては、3つの領域においてそれぞれ100点ずつ配点されています。受験級に応じて出題される問題のレベルは異なりますが、どの級においても全体で180点以上、各項目60%以上正解で合格となります。

出題形式や合格率は?

出題形式としてはマークシートと記述式が併用された解答方式となっています。また、異なる級の試験の併願が可能です。

医療秘書技能検定の合格率は、3級は7割程度、2級は5割程度、準1級2〜3割程度、1級に関しては1〜2割程度です。

日本医師会認定医療秘書とは?

日本医師会認定医療秘書は、日本医師会が認定している民間資格です。

資格取得までの流れ

日本医師会認定医療秘書の資格を取得するまでの流れを簡単に見ていきましょう。

 

*step2、step3は逆でも可

では、このそれぞれのステップについてもう少し詳しく見ていきましょう。

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Step1 認定要請機関においてカリキュラムの修了

認定養成機関には県医師会が直接養成を行う「通信制」(2年)と、県医師会が外部教育機関に養成を委託する「全日制」(1年以上)があります。
認定要請機関において学ぶカリキュラムには医療・保健福祉基礎教科、医療秘書専門教科、実務研修・実務演習が含まれています。

では、具体的にそれぞれどのようなことを学ぶのでしょうか。
以下の表にまとめてみました。

医療・保健福祉基礎教科 医療秘書専門教科 実務研修・実務演習
健康とは、疾病とは 医療費書概論 実務研修
患者論と医の倫理 医療秘書実務 実務演習
からだの構造と機能 医療情報処理学
臨床検査と薬の知識 医療関係法規概論
医療にかかわる用語 医療保険事務
コミュニケーション論

それぞれの詳しい学習内容に関してはこちらを参考にしてください。

Step2 日本医師会医療秘書認定試験に合格

この試験は、毎年1回2月に日本医師会によって実施されています。受験料は5,000円程度かかります。

この試験の目的としては、医師が本来の業務に専念できるよう医師をサポートする「医療秘書」を養成することです。

この試験の受験資格は、step1である認定要請機関におけるカリキュラムを修了した者のみに与えられます。

試験内容としては、先ほどstep1で説明した6つの項目からなる医療・保健・福祉基礎教科と5つの項目からなる医療秘書専門教科です。

ここからわかるように、認定要請機関で学んだ実務研修・実務演習以外すべて試験範囲となっています。独学ではなく認定要請機関で学ぶことができるため、日本医師会医療秘書認定試験は90%以上と大変高い合格率になっています。

そのため、認定要請機関でしっかり知識を習得することが大切であると言えますね。

step3 規定の秘書技能科目を取得

日本医師会の認める秘書技能科目には以下の4群があります。

○第1群【秘書検定・英語検定・漢字検定】
○第2群【情報処理】
○第3群【保険請求事務】
○第4群【その他】

このうちの3群を選び、各群につき日本医師会の認める秘書技能科目を1科目ずつ、合計3科目を取得する必要があります。
例えば、第1群には秘書検定3級以上、漢字検定2級以上、第2群には情報処理検定3級以上、日商PC検定3級以上、第3群には医療保険請求事務実技試験取得、第4群には速記技能検定5級以上、日商簿記検定3級以上などがあります。
この中から3群を選び1科目ずつ選ぶので、例えば、秘書検定3級、日商PC検定3級、日商簿記検定3級を取得していれば、要件を満たすことになります。

このように日本医師会医療秘書認定試験に合格する他に規定の秘書技能科目を取得しなければ資格が取得できないのです。

step4 日本医師会により資格の認定

step3まで終わればあとはもう一息です。
日本医師会に資格取得の申請をし認定されることで日本医師会認定医療秘書の取得を獲得できます。
認定者は認定証と記章がもらえます。

どちらの資格を取得すれば良い?

医療秘書に関する資格にはここまで見てきた2つがありますが、時間的にどちらも取得するのが難しいという人も多いかもしれません。

では、それぞれの資格を取得するメリット・デメリットはどのようなものなのでしょうか。
どちらを取得するか決める参考にするために、比較して見ていきましょう。

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出典:出版社HP

医療秘書技能検定のメリット・デメリット

医療秘書技能検定のメリット・デメリットについてみていきましょう。

メリット

・受験資格がなく誰でも受験できる
・独学でも取得できる
・低コスト

デメリット

・誰でも受験できるためその分難易度は高い
・準1級以上は合格率がとても低いが医療現場で活躍している有資格者のほとんどは2級以上を獲得している

日本医師会認定医療秘書のメリット・デメリット

次に、日本医師会認定医療秘書のメリット・デメリットをみていきましょう。

メリット

・試験の合格率は90%以上と高い
・日本医師会に認定されるため信頼度が高い

デメリット

・日本医師会医療秘書認定試験を受けるために認定要請機関においてカリキュラムを修了しなければならない
・資格取得までに時間もコストもかかる

このようにみてみると、どちらの検定にもメリット・デメリットがあります。自分にあった資格を選ぶことが大切です。

まとめ

今回は、医療秘書として働くためにおすすめな2つの資格について紹介しました。
医療秘書技能検定、日本医師会認定医療秘書、どちらの資格の方が良いというようなことはありません。どちらにもメリット、デメリットがあります。
時間に余裕があるないなど人によって様々な事情があるでしょう。
医療秘書として働きたいと思っている方は、どちらか自分に適した資格を目指してみてはいかがでしょうか。

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