徹底攻略 基本情報技術者教科書 令和3年度
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はじめに
基本情報技術者試験は,経済産業省が“情報処理に関して必要な知識および技能”を有することを認定する国家試験の1つです。基本情報技術者試験に合格することは,「高度IT人材となるために必要な基本知識および技能を持ち,実践的な活用能力を身に付けた者」であることの“証明書”を得ることになります。つまり,現在またはこれからのIT産業界で仕事をしていくために,必要な知識を身に付けたことの証となります。
その基本情報技術者試験において,2020年5月に出題の見直しが行われました。以下に,試験事務(運営)である独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表したプレス発表(一部抜粋)を示します。
・国家試験である「基本情報技術者試験」について,AI人材育成のニーズ等を踏まえ,出題の見直しを実施しました。具体的には,プログラム言語の見直し(COBOLの廃止,Pythonの追加),プログラミング能力,理数能力等に関する出題の強化です。
人工知能(AI)技術,特にディープラーニングは,機械が自ら膨大なデータから解の導出を学習します。この技術を活用したサービスは,自動運転,画像認識などの様々な分野に活用されており,今後のIT技術の根幹を支えるものの1つになりつつあります。
AIによる産業・サービスは年々と増加していますが,まだAIを“信頼できる”というレベルまで到達はしていません。現時点では,AIを画像・音声の認識,囲碁・将棋の状況認識などの「合っている/間違っている」の限定的な範囲にとどまる程度です。
AIを医療や自動運転などのミッションクリティカル(極めて高い信頼性を持つシステム)なものとして社会実装するには,AI自体をよく理解し,使いこなせるための力が必要になります。そのためには,AI時代の到来に伴ってプログラミング能力だけでなく高い理数能力を持って,社会実装で求められるアプリケーション開発が行える開発者が必要になるのです。
本書では,基本情報技術者試験(FE)で幅広く知識が問われる内容に対して,テーマごとに出題頻度を表記し,“多面的”かつ“効率的”に学習できるように配慮しています。また,試験では計算問題が約1割出題されます。冒頭に示した出題の見直しを踏まえて,計算問題対策用の問題集(「計算問題にチャレンジ!」)を用意しています。
本書によりこれからのITエンジニアに必要な基礎力ならびに応用力を身に付け,基本情報技術者試験合格への切符を手にすることを心より願っております。そして,その力をもって,今後も激しく変化するIT社会に対応していくとともに,さらなる力を身に付けていただきたく思います。
令和2年10月
監修 大滝みや子
著者 月江伸弘
本書の使い方
本書は,過去の出題内容から頻出する分野や用語を中心に解説しています。重要な部分については,色文字や太文字で示しています。ポイントを押さえて学習してください。各節の最後には,その節で学んだ項目に関係する例題を載せ,スモールステップ方式でその項目がきちんと理解できているか,その場で確認できるようになっています。
さらに,各章の最後には,その章に関連する午前・午後の過去問を演習問題として掲載しました。各章のテーマの総仕上げとして挑戦してみてください。
また,本書の最後には,模擬問題(午後問題「ソフトウェア開発」を除く)と,その解答・解説を載せています。これは実際の試験に近い形式になっていますので,正解数を集計すれば,合格する力が付いているどうかの目安になります。不正解だった問題も解説を読んでしっかり解答できるように復習しておきましょう。
本書の構成
アイコンをたよりに,側注で知識を補足します。
出題範囲に沿った構成になっているので,必要な知識が確実に身に付きます。
この節の内容が,過去の試験(10回分)から出題されている頻度を表します。
★★★:10〜7回
★★☆:6〜4回
★☆☆:3〜1回
基礎:出題回数に関係なく,基礎の内容です。
多くの例題を解くことで,知識が定着します。
本書で使用している側注
ポイント 学習のポイントになる部分です。頻出項目を紹介します。
知っておこう 知っておきたい関連知識を紹介します。
用語 本文に登場した用語を詳しく解説します。
参考 理解を助ける情報を紹介します。
各章末の演習問題の構成
問題に関連する節項目を示しています。解答が間違っていた場合は,その項目を見直しましょう。
問題が解けたら,チェックしていきましょう。理解度が確認できます。
目次
はじめに
本書の使い方
試験概要とポイント
直前対策!
頻出用語・数式確認テスト
計算問題にチャレンジ!
第1章 基礎理論 【テクノロジ系】
コンピュータのデータ表現
1-1 情報の単位
コンピュータの内部表現
補助単位
コラム 10進数と2進数の単位の差
1-2 基数
数の表記
コンピュータが扱う数値
基数変換
1-3 数値表現
コンピュータで扱う数値
符号なし整数と符号付き整数
固定小数点数
浮動小数点数
コンピュータの演算
1-4 算術演算
加算・減算
乗算・除草
1-5 演算誤差
桁落ち
情報落ち
丸め誤差
打切り誤差
オーバフロー,アンダフロー
1-6 論理演算
論理演算と真理値表
論理演算の性質
論理演算によるビット操作
回路
1-7 論理回路
回路記号
加算器
応用数学
1-8 確率・統計
確率
平均・分散・標準偏差
正規分布
情報理論
1-9 符号理論
符号化
誤り検出・誤り訂正を持つ符号化方式
送信元の情報を短く(圧縮)する符号化方式
1-10 オートマトン
オートマトンとは
1-11 形式言語
形式言語とは
1-12 数式記法
数式記法
1-13 人工知能(AI)
機械学習
ディープラーニング(深層学習)
1-14 演習問題
1-15 演習問題の解答
第2章 アルゴリズムとプログラミング 【テクノロジ系】
データ構造
2-1 基本的なデータ構造
変数
配列
2-2 リスト
リストの構造
2-3キューとスタック
キュー
スタック
2-4 木構造
木の構成
2分木
アルゴリズム
2.5 アルゴリズムの表現
流れ図
基本制御構造
擬似言語
副プログラム
再帰処理
計算量
2-6 整列アルゴリズム
整列の概要
基本交換法
基本選択法
基本挿入法
シェルソート
クイックソート
ヒープソート
マージソート
2-7 探索アルゴリズム
線形探索
2分探索
ハッシュ法
文字列探索処理
2-8 演習問題
2-9 演習問題の解答
第3章 コンピュータシステム 【テクノロジ系】
ハードウェア
3-1 コンピュータの基本構成
コンピュータの5大装置
3-2 CPU
CPUの構成
命令語
命令実行の流れ
アドレス指定方式
CPUの性能
CPUアーキテクチャ
CPUの高速化技法
コラム CASL-Ⅱにおける命令語
3-3 記憶装置
記憶階層
メモリの種類
メモリアクセスの高速化技術
キャッシュメモリ
メモリインタリーブ
補助記憶装置
3-4 磁気ディスク装置
磁気ディスク装置
容量計算
磁気ディスクのアクセス時間
3-5 入出力装置
入出力装置
入出力インタフェースの伝送方式
有線方式の入出力インタフェース
無線方式の入出力インタフェース
システム構成要素
3-6 システムの処理方式
バッチ処理とリアルタイム処理
制御システム
3-7 システムの構成方式
シンプレックスシステム
デュプレックスシステム
デュアルシステム
マルチプロセッサシステム
RAIDシステム
3-8 クライアントサーバシステム
クライアントサーバシステムの特徴
3層クライアントサーバシステム
関連技術
3-9 高信頼性設計
フォールトアボイダンス
フォールトトレランス
3-10 システムの性能評価
システムの性能指標
システムの性能評価方法
3-11 システムの信頼性
稼働率
RASIS
バスタブ曲線
ソフトウェア
3-12 オペレーティングシステム
オペレーティングシステムの目的
ソフトウェアの分類
3-13 ジョブ管理
ジョブ管理
3-14 タスク管理
タスク管理
タスクの状態遷移
3-15 記憶管理
実記憶管理
ブログラムへの記憶領域の割当て方式
フラグメンテーション
仮想記憶管理
3-16 ファイル管理
ファイルの種類
ファイルのアクセス法と編成法
ディレクトリによるファイル管理
パス指定
3-17 ソフトウェアの開発言語
ブログラム言語
マークアップ言語
3-18 オープンソースソフトウェア
オープンソースソフトウェア(OSS)の定義
コピーレフト
3-19 言語プロセッサ
言語処理の過程
言語プロセッサ
3-20 マルチメディア技術
画像データ形式
動画データ形式
音声データ形式
文章データ形式
コンピュータグラフィックス(CG)
3-21 演習問題
3-22 演習問題の解答
第4章 データベース 【テクノロジ系】
データベース統計
4-1 データベースの利点と設計手法
表とデータベースの違い
データベースの設計手法
4-2 概念設計(E-R図)
概念設計の概要
E-R図
4-3 論理設計(データモデル)
論理設計の概要
データモデル
4-4 論理設計(正規化)
正規化
第1正規化
第2正規化
第3正規化
データベース管理システム(DBMS)
4-5 物理設計(データベースの定義)
物理設計の概要
ANSI/SPARC 3層スキーマ
4-6 排他制御と障害回復処理
トランザクション処理
排他制御
障害回復処理
データベース語―SQL
4-7 関係データベースの基本演算
基本演算の種類
4-8 テーブル定義
SQL(Structured Query Language)
テーブル定義
4-9 テーブル検索
テーブル検索
4-10 問合せ
副問合せ
値を1つだけ返す副問合せ
値を複数返す副問合せ
EXISTSを使った相関副問合せ
4-11 ビュー定義
ビュー定義
4-12 その他のSQL
列の追加,削除,変更,データ型の変更
データの挿入,削除,更新
データベース応用
4-13 分散データベース
分散データベース
4-14 演習問題
4-15 演習問題の解答
第5章 ネットワーク 【テクノロジ系】
ネットワークのしくみ
5-1 ネットワークの種類
コンピュータネットワーク
5-2 LANにおける接続機器と接続形態
接続機器
伝送媒体
集線装置
5-3 IEEE 802規格
IEEE 802.3規格
IEEE 802.11規格
5-4 データ通信のしくみ
メディアアクセス制御
LAN内のデータ伝送のしくみ
LAN間のデータ伝送のしくみ
5-5 OSI基本参照モデル
OSI基本参照モデル
TCP/IP
TCP/IP
5-6 TCP/IPにおける通信のしくみ
コンピュータ上のTCP/IPによる通信の流れ
各階層の主要なプロトコルと働き
OSI基本参照モデルから見た通信のしくみ
5-7 IPアドレス
IPアドレスのクラス
サブネット化
IPアドレス枯渇化に対する対策
伝送技術
5-8 ネットワークの性能
通信速度
回線利用率
ビット誤り率
インターネット
5-9 インターネット技術
NAT(Network Address Translation)
Proxy(代理)サーバ
VPN(Virtual Private Network)
RADIUS
ネットワーク応用
5-10 ネットワーク応用
SDN(Software-Defined Networking)
モバイルシステム
5-11 演習問題
5-12 演習問題の解答
第6章 セキュリティ 【テクノロジ系】
情報セキュリティ管理
6-1 情報セキュリティの目的と脅威
情報セキュリティの3要素
情報セキュリティの脅威
不正のメカニズム(不正のトライアングル)
6-2 コンピュータウイルス
コンピュータウイルスの3つの機能
コンピュータウイルスの種類
コンピュータウイルス対策
6-3 情報セキュリティの運用
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)
ISMSの標準規格
CSIRT
6-4 リスクマネジメント
リスクマネジメント
情報セキュリティ技術
6-5 暗号化技術
暗号化のしくみ
暗号化方式
無線LANで使用される暗号化
6-6 認証技術
ユーザIDとパスワードによる認証
ワンタイムパスワード
生体認証(バイオメトリクス認証)
ディジタル署名
認証局(CA:Certification Authority)
コラム アクセス権
6-7 ネットワークセキュリティ
ファイアウォール
その他の監視システム
脆弱性と対策
6-8 ネットワークの脆弱性と対策
ネットワークの脆弱性
セキュリティ対策
6-9 電子メールの脆弱性と対策
電子メールの脆弱性
セキュリティ対策
6-10 アプリケーションの脆弱性と対策
バッファオーバフロー(BOF)
セッションハイジャック
SQLインジェクション
クロスサイトスクリプティング(XSS)
WAF(Web Application Firewall)
6-11 演習問題
6-12 演習問題の解答
第7章 システム開発技術 【テクノロジ系】
システム開発プロセス
7-1 システムのライフサイクル
システムのライフサイクル
開発プロセス
開発プロセス―アクティビティの流れ
7-2 ソフトウェア開発モデル
開発モデルの必要性
プロセス成熟度モデル統合(CMMI)
基本計画
7-3 要求分析・定義
要求分析・定義の概要
要求定義
ソフトウェア設計
7-4 ソフトウェア要件設計
ソフトウェア要件設計の概要
入出力概要設計
コード設計
7-5 ソフトウェア方式設計
ソフトウェア方式設計の概要
機能分割/階層構造化
物理データ設計/入出力詳細設計
ソフトウェア結合テスト仕様の作成
7-6 ソフトウェア詳細設計
ソフトウェア詳細設計の概要
モジュール分割
モジュールの独立性の評価
単体テスト仕様の作成
7-7 プログラミング
プログラミングの概要
オブジェクト指向設計
テスト工程
7-8 単体テスト
単体テストのテスト手法
ブラックボックステスト
ホワイトボックステスト
7-9 ソフトウェア結合テスト
ソフトウェア結合テストのテスト手法
7-10 その他のテスト
システム結合テスト
運用テスト(導入テスト)
退行テスト(リグレッションテスト,回帰テスト)
7-11 テスト管理
プログラムの品質について
バグ管理図
バグ埋込み法(エラー埋込み法)
7-12 演習問題
7-13 演習問題の解答
第8章 プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント 【マネジメント系】
プロジェクトマネジメント
8-1 プロジェクトマネジメントの概要
プロジェクトマネジメントの目的.
PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)
スコープ管理
8-2 日程管理
アローダイアグラム
進捗管理
8-3 コスト管理
見積り技法
8-4 リスク管理
リスク
リスクの識別
リスク対応計画
サービスマネジメント
8-5 サービスマネジメント
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)
サービスの運用
8-6 ファシリティマネジメント
ファシリティマネジメント
8-7 システム監査
システム監査の目的
システム監査人
システム監査の流れ
監査のチェックポイント
内部統制
8-8 演習問題
8-9 演習問題の解答
第9章 経営戦略・システム戦略 【ストラテジ系】
経営戦略
9-1 経営戦略
経営戦略の考え方
企業提携
システム戦略
9-2 情報システム戦略
情報システム戦略の目的
情報システム戦略立案の流れ
システム管理基準
9-3 業務改善
BPR(Business Process Re-engineering)
ソリューションサービス
9-4 システム化企画
システム化企画の流れ
ビジネスインダストリ
9-5 さまざまな情報システム
ビジネスシステム
エンジニアリングシステム
eビジネス
民生機器・産業機器
9-6 演習問題
9-7 演習問題の解答
第10章 企業と法務 【ストラテジ系】
企業目的
10-1 企業の組織
企業活動
経営組織
企業会計
10-2 財務会計
財務諸表
10-3 資産管理
棚卸評価
減価償却
10-4 損益分岐点分析
費用
利益
損益分岐点分析
経営科学・経営工学
10-5 オペレーションズリサーチ
オペレーションズリサーチ(OR)
線形計画法
在庫管理
10-6 インダストリアルエンジニアリング
インダストリアルエンジニアリング(IE)
QC七つ道具
新QC七つ道具
法務
10-7 知的財産権
知的財産権の種類
10-8 労働と契約の法制度
労働者派遣法
10-9 その他の法制度
サイバーセキュリティ基本法
個人情報保護法
不正アクセス禁止法
刑法
10-10 演習問題
10-11 演習問題の解答
第11章 模擬問題
11-1 午前問題
11-2 午前問題の解答と解説
11-3 午後問題
11-4 午後問題の解答と解説
索引
出題頻度リスト
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