令和03年 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室
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はじめに
情報処理技術者試験センター(JITEC)によれば、基本情報技術者(以下,基本情報)試験の試験対象者は、「情報技術全般に関する基本的な知識・技術を持つもの」となっています。具体的には,情報処理システム開発プロジェクトにおいて,上位技術者の指導のもと、プログラム設計書を作成し、プログラムの開発から単体テストまでの一連のプロセスを担当します。
基本情報の合格者は、一時金や資格手当などの報奨金が支給されたり、就職の際の前提条件にされたりするなど、企業から非常に高い評価を受けています。また、企業にとって,合格者数の多いことが企業の技術的能力の高さの証明にもなります。
このような理由から、プログラマやSE(システムエンジニア)に従事している方や、将来目指している方にとっては入門となる資格ですが、是非とも取っておきたい資格といえます。
しかし、基本情報の合格率は毎回20~30%と低く、実務経験者さえ容易に合格できる試験ではありません。資格試験である以上,合格するには試験対策が必要であるということです。
そこで,本書は時間の制約のある中で効率的に学習し、「途中で挫折することなく合格を目指す方」,「以前途中で挫折し、今回再チャレンジして合格を目指す方」をはじめ受験される方の手助けとなるように、受験者(エンドユーザ)の立場に立って、「出題頻度の高い分野」・「理解しがたいと思われる分野」を中心に、わかりやすく、イメージしやすいように工夫をしています。
基本情報を合格した人の多くが、応用情報技術者試験等のより高度な情報処理技術者試験に挑戦されています。今回基本情報を合格され、さらに将来高度な技術者を目指す第一歩となることを期待しております。
植木 厚
本書のコンセプト
「難しい知識を難しく教えても意味がない。難しい知識をわかりやすく教えることが重要である。」
目次
本書の使い方
傾向と対策
試験対策
受験案内
ハードウェア
情報の表現
コンピュータの5大装置
CPU
アドレス指定
CPUの高速化
記憶素子
補助記憶装置
入力装置
出力装置
入出力インタフェース
ソフトウェア
ソフトウェアとOSS
ジョブ管理とタスク管理
記憶管理
ファイル管理
プログラムの性質
プログラム言語
マルチメディアと標準化
情報の基礎理論
基数変換
補数表現と固定小数点表示
浮動小数点表示
誤差
シフト演算
計測・制御
オートマトン
線形代数
AIと機械学習
論理演算と論理回路
半加算器と全加算器
データ構造とアルゴリズム
アルゴリズム
配列
リスト構造
キューとスタック
木構造
データの整列
データの探索
計算量
システムの構成と方式
システムの処理形態
高信頼化システム
RAIDと高信頼化技術
システムの性能評価
稼働率
システム開発技術と監査
システム企画
業務プロセスとモデル化
システム開発手法
画面設計と入力チェック
モジュール分割
オブジェクト指向
テスト手法
レビュー
ITサービスマネジメント
プロジェクト管理
工程管理
システム監査
ネットワーク技術
LANとWAN
OSI基本参照モデルとTCP/IP
IPアドレス
クラスとサブネット分割
LAN間接続装置
同期方式・誤り制御と伝送計算
データベース技術
データベース
関係データベース
正規化
排他制御と2相コミット
パックアップとデータベース復旧
SQL (基本)
SQL(並べ替え・グループ化)
SQL (応用)
情報セキュリティ
マルウェアとサイバー攻撃
暗号化方式
ネットワークセキュリティ
情報化と経営
関連法規
企業会計
経営戦略と技術戦略
ビジネスインダストリー
七つ道具
オペレーションズリサーチ
確率・統計
本書の使い方
本書は,基本情報技術者試験によく出題されるテーマだけを集め、構成しました。一つのテーマは、おおむね短い時間で読み切れる分量になっており、細切れの時間でも学習しやすいようにしてあります。紙面は、次の要素からなっています。
テーマごとに、関連する過去問題を載せてあります。良問を選りすぐっていますので、本試験でまったく同じ問題が出題されるかも!(令和元年秋は9問的中!)
本書に載せた過去問は午前問題のみですが、午後問題は長文問題とプログラム言語の問題です。長文問題は,午前問題の知識が前提となります。まずは本書で午前問題の知識をしっかり固め、過去問題集などで演習しましょう。
なお、プログラム問題は,CPython・Java・アセンブラと表計算の5言語からの選択となります。未経験の場合は、言語対策の学習が必要です。
傾向と対策
基本という名前だけれど,簡単なの?基本情報技術者は、システム開発技術者の登竜門となる試験と位置づけられています。最近の合格率は,20%~30%台となっています。
試験当日,試験会場に入ってみると欠席されている方が非常に多いのに驚きます。毎回約3割近い方が受験されていません。理由には、「仕事と重なった」、「病気になった」などが挙げられますが、試験を申し込んだときには、モチベーションがあったのに、試験勉強をしていくうちに徐々にモチベーションがなくなっていき、途中挫折された方がたくさんいると予想されます。
試験を申し込んでからモチベーションを保ち合格を勝ち取るまでの実質的な合格率(合格者数/応募者数)は,平成30年度秋期16.7%.平成31年度春期15.7%ということになり.5~6人に1人しか合格していないことになります。
出題範囲はとても広い
出題分野別の出題数は次のようになります。「テクノロジ系」を中心に、「マネジメント系」、「ストラテジ系」の分野からも出題されており、今後もこの傾向が続くものと思われます。
不得意分野を出さずに1冊の参考書を仕上げて、早い段階から過去問題に取り組むことができるかが合格への鍵となります。
令和元年度秋期試験から、午前問題では線形代数,確率・統計などの数学に関する問題の出題比率が増加しています。上記の表では「基礎理論」に含まれ,本書では3-08,10-07で解説しています。必ず理解しておきましょう。
また、IoT,AI,ビッグデータなどの第4次産業革命に関する用語の出題も増えているので要注意です。
午後試験では,令和02年度春期試験から、プログラミング能力を問う問題の配点が現状の40点から50点に増加すると発表されています。本書では4章で,基礎部分を学習します。
過去問題を制する者は合格を制する
基本情報技術者試験では、過去問題を解いて対策をしておけば解ける問題が多く出題されています。良問と判断された問題は、言い回しや解答群を一部替えたりして繰り返し出題されています。
過去問題にも出てこない新傾向問題も出題されていますが、まずは過去問題で対策しておけば確実に合格ライン(100点満点で60点以上)に達すると予想できます。なお、新傾向問題も今後も出題されますので,ネットの記事などで気になるIT用語はメモをとるなどしておきましょう。
試験対策
メインターレスGIFって知っていますか?
基本情報の試験範囲は広範囲にわたり,すべての分野からまんべんなく出題されるので、試験対策はこのインターレスGIFのような方法で進めていきましょう。
実務経験にもよりますが、最初のうちは知らない用語や,理解できない知識が次から次へと出てくるはずです。
最初は、参考書でぼやっとでも基本情報の出題範囲全体を実際に感じ取ることが重要です。その後、早い段階で問題集に取り組み、過去問を解くことによって不明な点を鮮明にしていきます。
本書は、出題頻度の高い分野を中心に、わかりやすくイメージしやすいように工夫しています。
合格への秘訣は時間と勉強仲間とうまくつきあうこと!
基本情報では、仕事や学校が忙しくて時間がとれず、午前の試験対策を十分しないまま試験を迎える方が多く見受けられます。時間を効率よく使って、学習していくことが合格へのポイントになってきます。実際に合格された方の体験談に基づいた5つのポイントを挙げておきますので、参考にしてください。
ポイント1 勉強時間は作るもの
勉強時間を作ること自体が大変な人もいます。机の前に座ることだけが勉強ではありません。通勤・通学電車の中,昼休憩の合間,トイレの中などちょっとした時間を有効に使いましょう。毎日行っていると日課となって苦にならずに勉強できるものです。
ポイント2 最初から完璧を目指さない
参考書を完璧に覚えてから過去問に取り組もうと考えている方は、挫折するか、時間切れのまま試験を迎えることになるかもしれません。少しぐらい理解できない分野があっても、気にせず次に進みましょう。あとで振り返ると「これはこういうことだったのか」ということがたくさんあります。これを繰り返すことによって、知らず知らずのうちに点の知識が線の知識へと膨らんでいきます。
ポイント3 理解できない知識や問題が出てくるたびに喜ぼう
試験勉強を進めていくと、次から次へ理解できない知識や問題が出て,モチベーションが下がってきます。しかし、本試験まで理解すればいいのです。「理解できない知識や問題が出てくるたびに,新しい知識が身に付く」と、プラス思考で勉強しましょう。試験を受ける頃には、たくさんの知識が身に付いていることに驚くはずです。
ポイント4 勉強仲間を作ろう
試験勉強を進めていくと、モチベーションが下がったり、こんな勉強方法でいいのだろうかと思ったりすることがあります。そんなときにネットの掲示板などを利用しましょう。同じ目標を持つものどうしが刺激し合うことでモチベーションを保つことができます。
ポイント5 理解できない知識や問題は共有しよう
試験勉強を進めていくと、理解できない知識や問題が出てきて行き詰まってしまうことがあります。質問に答えてくれる先生や友人が身近にいればなあと思ったことはありませんか。そんなときにネットの掲示板などを利用しましょう。理解できない知識や問題を共有することで、解決することができます。