令和03年 基本情報技術者 合格教本 (情報処理技術者試験)




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はじめに

本書の特徴と使い方

受験される方のタイプに合わせ、本書の特徴を活かした使い方をご案内します。

初受験なら「何を勉強するんだろう?」からのスタートがお勧め

初受験者にとって、「出題範囲が広大」というこの試験の特徴は、大きな不安材料です。さらに、試験範囲を示す基本情報技術者(レベル2)シラバス』は、出題項目・用語がリストアップされているだけで、具体的な学習内容には触れられていません。

本書では、各章の始めにシラバスの構成を一覧できる『この章の構成と攻略法』を設けました。まずここから目を通してみましょう。その章で扱う分野の特徴と攻略方法、どんなテーマ・内容が含まれており、他のテーマとどう繋がるのかをまとめています。

概略でも全体像がわかれば、学習項目への好奇心も生まれ、気持ちの準備も整うため、スムーズに学習に入ることができます。

暗記物が苦手なリトライ受験者は記憶のリンクを増やそう

基本情報技術者試験では、1つの知識が複数の分野に出てきます。例えば、第1章の論理演算は、第2章の論理回路、第3章のデータベースなどにも出現しています。

本書では、同じ項目や関連の深い項目の参照先ページを『☞』や、側注の『こちらも参照』に示してあります。参照先を読み、知識のリンクを張っていくことで、記憶は確かになり、知識量も自然に増えてきます。

また、『試験はこう出る』や側注の『出題分析』を使い、問題を解く能動的な作業をすることで、さらに記憶が強固になります。
計算系が苦手な人は、巻末の『計算問題の攻略』にトライしましょう。試験範囲に含まれる計算系問題を集約して、途中の細かな計算式も省略せずに解説しています。

準備期間が短い受験者は勉強する箇所・深さのメリハリをつけよう

リトライ受験者であれば、得意な分野は「本文だけを流し読み」、またはその逆に本文を読まずに『試験はこう出る』と『出題分析』の問題を解き、「間違った項目だけ本文を読む」という方法もあります。
どちらの場合も、『章末まとめ問題』や問題演習用のWebアプリに収録の『過去問題(分野別に演習可能)』を解き、実戦レベルに達しているかを確認しておきましょう。

初受験なのに準備期間が短い!という受験者は、各章の冒頭にある『この章の構成と攻略法』をざっと読み、馴染みの薄い章から攻めていく戦術をとります。

想定合格ラインは60点ですから、万一受験日までに全章の学習が終えられなくても、苦手分野が克服できていれば、合格の可能性がぐっと上がります。

シラバスの分類項目

本書は、基本情報技術者試験の午前試験対策用として、シラバス(試験範囲の詳細)に準拠して作られています。
シラバスの大分類1~9は、本書の1章~9章にそれぞれ該当し、章内のテーマはシラバスの中分類および小分類の順に並んでいます。
また、すべての小分類が各テーマの中で網羅されています。

08技術要素
シラバス•大分類3:技術要素•中分類10:ネットワーク•小分類1:ネットワーク方式、2:データ通信と制御、4:ネットワーク管理

ネットワーク方式
大きなネットワークと小さなネットワーク
ネットワーク(network)とは網目状という意味を持つ言葉で、ITの世界では複数地点間で通信ができる電話網などを通信ネットワークと呼んでいます。そのうち、複数地点のコンピュータを通信回線やケーブルで接続し、データ伝送を行うのがコンピュータネットワークです。

❶LAN(Local Area Network)
企業内や学校、家庭内など、同一敷地内、同一建物内などの比較的狭い範囲内でコンピュータ機器を接続したネットワークです。“Local”な”Area”とは、公共の通信回線(公衆電話回線など)を利用せずに、私的なケーブルだけを使って構築するネットワークのエリアを指します。

②WAN(Wide Area Network)
LANに対して、電気通信事業者が提供する通信回線などを利用して、敷地外にあるコンピュータや遠方のコンピュータ同士や、LAN同士を接続する広域ネットワークです。TCP/IPを使って世界中のネットワークを接続したインターネットは、世界最大のWANといえます。

ココも出る!
→ISP
通信回線を通じ、インターネットに接続するサービスを行う事業者をインターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider ; ISP)という。例えば、パソコンをインターネットに接続するときには、回線事業者とは別にISPと契約する必要がある。契約形態としては、パケット数に応じて課金される従量制のほか、利用量によらない月額固定料金がある。
→IDF
IDF(Intermediate Distribution Frame)は、オフィスビルなどに、大量の回線を引く際に設ける中間配線盤のこと。ビル全体の主配線盤(Main Distribution Frame; MDF)に対して、各区フロアごとなどに設置される。

ココも出る!
本文で解説した項目と、一緒に出題されることが多い項目を解説しています。
さらに詳しく
本文で解説した項目を、さらに詳細に解説します。
知識の幅が広がり、記憶の強度も高まります。
さらに詳しく
論理トポロジ
ネットワークトポロジは、物理的な形態をさすことが多いが、アクセス制御方式を考える際には論理トポロジがポイントになる。例えば、ハブ<☞本章09節>を用いたスター型LANや無線LANは、物理的な接続の形状は異なっているが、論理トポロジはバス型で共通している。
こちらも参照
通信サービス
☞本章13節「図表13-5 通信サービスの種類」
こちらも参照
解説と関連の深い項目や、同じ項目で別の箇所でも解説しているところへのリンクです。

試験はこう出る

問 競争上のポジションで、ニッチャの基本戦略はどれか。
ア シェア追撃などのリーダ攻撃に必要な差別化戦略
イ 市場チャンスに素早く対応する模倣戦略
ウ 製品、市場の専門特化を図る特定化戦略
工 全市場をカバーし、最大シェアを確保する全方位戦略
答 競争戦略でニッチャがとるのは、狭い領域の製品や市場に特化する特定化戦略(ウ)。アはチャレンジャ、イはフォーロワ、エはリーダの最適戦略になる。
解答 ウ
出題分析
ポートフォリオ分析
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)を説明したものはどれか。
ア 自社の強みと弱み、市場における機会と脅威を、分類ごとに列挙して、事業戦略における企業の環境分析を行う。
イ 製品と市場の視点から、事業拡大の方向性を市場浸透・製品開発・市場開拓・多角化に分けて、戦略を検討する。
ウ 製品の市場占有率と市場成長率から、企業がそれぞれの事業に対する経営資源の最適配分を意思決定する。
エ 製品の導入期・成長期・成熟期・衰退期の各段階に応じて、製品の改良、新品種の追加、製品廃棄などを計画する。
PPMは、最良の意思決定を行うための手法で、市場成長率と市場占有率の軸で4つの領域に分けた図を用い、製品や事業の分析を行う。
解答 ウ
試験はこう出る。
出題分析
実際の試験問題を例題として掲示。解き方や出題される問題レベルがわかります

角谷一成 (著), イエローテールコンピュータ (著)
出版社 ‏ : ‎ 技術評論社; 令和03年版 (2020/11/24)、出典:出版社HP

CONTENTS

※《 》内の項目は、基本情報技術者試験 レベル2 シラバス Ver7.1 の小分類を示しています。
「基本情報技術者」試験 受験ガイダンス
第1章 基礎理論
この章の構成と攻略法
基礎理論
01 コンピュータで扱う「数」の工夫●《離散数学》
02 2進数によるさまざまな数値の表現●《離散数学》
03 シフト演算●《離散数学》
04 集合と論理演算●《離散数学》
05 確率と統計●《応用数学》
06 その他の応用数学●《応用数学》
07 情報に関する理論●《情報に関する理論》
08 通信に関する理論●《通信に関する理論》
09 計測・制御に関する理論●《計測・制御に関する理論》《ハードウェア》
アルゴリズムとプログラミング
10 データ構造●《データ構造》
11 アルゴリズムと流れ図《アルゴリズム》
12 探索のアルゴリズム●《アルゴリズム》
13 整列のアルゴリズム●《アルゴリズム》
14 文字列処理のアルゴリズム●《アルゴリズム》
15 ファイル処理のアルゴリズム●《アルゴリズム》
16 再帰とプログラム構造●《アルゴリズム》《プログラミング》
17 プログラミング●《プログラミング》
18 プログラム言語●《プログラム言語》
19 マークアップ言語●《その他の言語》
章末まとめ問題
第2章 コンピュータシステム
この章の構成と攻略法
コンピュータ構成要素
01 コンピュータの構成と動作●《プロセッサ》《ハードウェア》
02 プロセッサの性能と高速化技術●《プロセッサ》
03 メモリの種類と特徴●《メモリ》《通信に関する理論》
04 メモリシステムと記憶階層●《メモリ》
05 バスと入出力インタフェース●《バス》《入出力デバイス》
06 入出力装置●《入出力装置》
07 補助記憶装置●《入出力装置》
システム構成要素
08 システムの処理形態●《システムの構成》
09 システム構成●《システムの構成》
10 システムの性能指標●《システムの評価指標》
11 システムの信頼性指標●《システムの評価指標》
ソフトウェア
12 オペレーティングシステムの種類と特徴●《オペレーティングシステム》《ミドルウェア》
13 ―OSの役割と機能①―ジョブ管理とタスク管理●《オペレーティ
ングシステム》
14 多重プログラミングと割込み●《オペレーティングシステム》
15 ―OSの役割と機能①―記憶管理●《オペレーティングシステム》
16 ―OSの役割と機能③―データの管理とファイルシステム
●《ファイルシステム》
17 開発支援ツール●《開発ツール》
18 言語処理ツール●《開発ツール》
19 オープンソースソフトウェア●《オープンソースソフトウェア》
20 ハードウェア ●《ハードウェア》
章末まとめ問題
第3章 技術要素
この章の構成と攻略法
ヒューマンインタフェース
01 ヒューマンインタフェース●《ヒューマンインタフェース技術》《インタフェース設計》
マルチメディア
02 マルチメディア技術●《マルチメディア技術》《マルチメディア応用》
データベース
03 データベース方式●《データベース方式》
04 データベース設計●《データベース設計》
05 データベースの操作●《データ操作》
06 トランザクション処理●《トランザクション処理》
07 データベースの応用●《データベース応用》
章末まとめ問題 その① ―ヒューマンインタフェース/マルチメディア/データベース―
ネットワーク
08 ネットワーク方式●《ネットワーク方式》《データ通信と制御》《ネットワーク管理》
09 ネットワークアーキテクチャ●《データ通信と制御》
10 通信プロトコル●《通信プロトコル》
11 IPアドレスの役割と機能●《ネットワーク方式》《通信プロトコル》
12 ネットワーク管理 ●《ネットワーク管理》
13 電子メールとネットワークサービス●《ネットワーク応用》
章末まとめ問題 その② ―ネットワークー
セキュリティ
14 情報セキュリティ●《情報セキュリティ》
15 暗号技術●《情報セキュリティ》
16 利用者認証●《情報セキュリティ》
17 情報セキュリティ管理とセキュリティ技術評価●《情報セキュリティ管理》《セキュリティ技術評価》
18 情報セキュリティ対策●《情報セキュリティ対策》
19 セキュリティの実装技術●《セキュリティ実装技術》
章末まとめ問題 その③ ―セキュリティ―
第4章 開発技術
この章の構成と攻略法
システム開発技術
01 システム開発のプロセス●《システム要件定義》《システム方式設計》《ソフトウェア要件定義》《ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計》《ソフトウェア構築》
02 業務分析や要件定義に用いられる手法●《システム要件定義》《システム方式設計》《ソフトウェア要件定義》
03 構造化設計に用いられる手法●《ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計》
04 オブジェクト指向設計●《ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計》
05 モジュール設計●《ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計》
06 コーディングとモジュールテスト●《ソフトウェア構築》
07 結合テストと適格性確認テスト●《ソフトウェア結合・ソフトウェア適格性確認テスト》《システム結合・システム適格性確認テスト》
08 システムの導入と受入れ支援・保守 ●《導入》《受入れ支援》《保守・廃棄》
ソフトウェア開発管理技術
09 ソフトウェアの開発手法●《開発プロセス・手法》
10 システム開発に伴うさまざまな管理●《知的財産適用管理》《開発環境管理》《構成管理・変更管理》
章末まとめ問題
第5章 プロジェクトマネジメント
この章の構成と攻略法
プロジェクトマネジメント
01 プロジェクトマネジメントの全体像●《プロジェクトマネジメント》《プロジェクトの統合》
02 プロジェクトのスコープ●《プロジェクトのスコープ》
03 プロジェクトの時間●《プロジェクトの時間》
04 プロジェクトのコスト●《プロジェクトのコスト》
05 プロジェクトの品質●《プロジェクトの品質》
06 多角的に管理するその他の対象群 ●《プロジェクトのステークホルダ》《プロジェクトの資源》《プロジェクトのリスク》《プロジェクトの調達》《プロジェクトのコミュニケーション》
章末まとめ問題
第6章 サービスマネジメント
この章の構成と攻略法
サービスマネジメント
01 サービスマネジメント●《サービスマネジメント》《サービスマネジメントの計画および運用》《パフォーマンス評価および改善》《サービスの運用》《ファシリティマネジメント》
システム監査
02 システム監査と内部統制●《システム監査》《内部統制》
章末まとめ問題
第7章 システム戦略
この章の構成と攻略法
システム戦略
01 情報システム戦略と業務プロセス●《情報システム戦略》《業務プロセス》
02 ソリューションビジネス●《ソリューションビジネス》
03 システム活用促進・評価●《システム活用促進・評価》
システム企画
04 システム企画●《システム化計画》《要件定義》《調達計画・実施》
章末まとめ問題
第8章 経営戦略
この章の構成と攻略法
経営戦略マネジメント/技術戦略マネジメント
01 経営戦略 ●《経営戦略手法》
02 経営分析の手法●《経営戦略手法》
03 マーケティング●《マーケティング》
04 ビジネス戦略と技術開発戦略●《ビジネス戦略と目標・評価》
《経営管理システム》/《技術開発戦略の立案》《技術開発計画》
ビジネスインダストリー
05 ビジネスシステムとエンジニアリングシステム●《ビジネスシステム》《エンジニアリングシステム》
06 e-ビジネス●《e-ビジネス》
07 民生機器と産業機器●《民生機器》《産業機器》
章末まとめ問題
第9章 企業と法務
この章の構成と攻略法
企業活動
01 企業活動と組織●《経営・組織論》
02 OR・IEと業務分析●《OR・IE》
03 品質管理とQC七つ道具●《OR・IE》
04 企業会計と財務●《会計・財務》
法務
05 企業が関わる法務●《知的財産権》《労働関連・取引関連法規》
06 セキュリティ関連法規
《セキュリティ関連法規》
07 ガイドラインと標準化●《その他の法律・ガイドライン・技術者倫理》《標準化関連》
章末まとめ問題
重要用語索引
午前問題演習Webアプリ DEKIDAS-Webについて

「基本情報技術者」試験 受験ガイダンス

「基本情報技術者」試験とは?

ITエンジニアを目指すならここからがスタート!!

基本情報技術者試験は、ITベンダなどで、システムの開発やITサービスの提供などに従事するために必要となる、基礎知識や技術を網羅した試験です。

基本情報技術者には、下図に示す3つの知識分野が必要とされています。

3つの知識分野

テクノロジ系
コンピュータ言語やアルゴリズム、システム設計・開発、セキュリティなどに関する知識
マネジメント系
開発プロジェクトのマネジメント、ITサービスの提供や運用に関する知識
ストラテジ系
ビジネスやインダストリの基礎、利用されるシステムや製品、コンプライアンスや関連法規、経営戦略などに関する知識

コンピュータやプログラムに関する知識(テクノロジ系)はITエンジニアとして当然ですが、開発や運用の現場でどのように仕事を進めていけばよいのか(マネジメント系)、クライアントとなる顧客企業はどのような業務を行っているのか(ストラテジ系)などに関する知識も問われています。

多様な内容が含まれていますが、これはITエンジニアが活躍するフィールドが、さまざまな分野に広がっているからです。IT関連企業の多くは、基本情報技術者をエンジニアに必須の基礎資格と捉えています。

角谷一成 (著), イエローテールコンピュータ (著)
出版社 ‏ : ‎ 技術評論社; 令和03年版 (2020/11/24)、出典:出版社HP