「レンズ」のキホン (イチバンやさしい理工系)




レンズについて勉強するおすすめ本 – 仕組みと役割も理解!も確認する

「レンズ」のキホン
桑嶋幹

光を操り見えないものを“知る”テクノロジー

カメラレンズの基本がわかる。
眼とメガネのしくみと働き
多彩なレンズは光学技術の最先端

著者プロフィール

桑嶋幹

1963年生まれ。豊橋技術科学大学大学院工学研究科前期課程修了。工学修士。現在、光分析 機器メーカーの日本分光株式会社勤務。

新理科教育フォーラム副代表。北海道理科サークルWisdom96に参加。おもな著書に「「機能性プラスチック」のキホン」(共著、SBクリエイティブ)、 「図解入門レンズの基本と仕組み」「図解入門 よくわかる最新プラスチックの仕組みとはたらき」 (秀和システム)、『光と色の100不思議」(東京書籍)などがある。

アートディレクター: 坂本紀子(Desgin Studio Palette)
カバーイラスト: 野辺ハヤト
http://www.breathpiece.com/
本文イラスト : 平山 学(クマノグラフ)
http://kumanograph.jp/
保田大介(株式会社ジョルス) 佐藤 萌(株式会社ジョルス)
http://www.jolls.co.jp/

桑嶋 幹 (著)
出版社 ‏ : ‎ SBクリエイティブ (2010/6/16)、出典:出版社HP

はじめに

私たちの身のまわりには、カメラや望遠鏡、CD・DVDプレーヤー、コピー機やレーザープリンタなど、光を利用した製品がたくさんあります。それらの機器を支える光技術のキーデバイスとして使われているのが、レンズや鏡などの光学部品です。いまやレンズは先端技術を支えるマザー・ツールですから、新しい技術に先回りして進化していかなければならないという宿命を背負っています。レンズは人類の英知とともに進化している道具なのです。

この本を手にしたみなさんは、レンズについて個人的に興味をもち、勉強したいと考えていたり、仕事の関係でレンズについて学ぶ必要に迫られていたりする方々ではないかと思います。レンズの本を探してみると、専門書はたくさん見つかりますが、やさしい入門書はわずかしかありません。光学の入門書でレンズのしくみや働きについて学ぶこともできますが、レンズが主題ではないため、レンズについて包括的に学ぶことはできません。そのため、本書はレンズの専門家ではない人や、物理が多少苦手と思っている人でも、光学の基礎からレンズの基本と応用までをわかりやすく学ぶことができる入門書となるように心がけて執筆しました。

筆者は2005年に「図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み」(秀和システム)という入門書を執筆する機会を得ましたが、本書ではレンズとは直接関係のない光学の知識やレンズの難しい応用例の解説などを極力避けて、そのぶんレンズを学習するうえで必要な知識をさらに掘り下げて解説するようにしました。 また、本書はカラー版であることから、作図の手順の解説などにも力を入れました。読者の皆さんにとって、本書がレンズの世界への扉としての役割、またレンズの専門書への橋渡しとしての役割をはたすことができたとするならば、著者としてこれほどうれしいことはありません。

最後に、本書の執筆の機会をいただき、編集作業を担当していただいたソフトパンククリエイティブの中右文徳さんをはじめとするみなさんに、お礼を申し上げます。

2010年5月 幹

桑嶋 幹 (著)
出版社 ‏ : ‎ SBクリエイティブ (2010/6/16)、出典:出版社HP

目次

はじめに
登場キャラクターのご紹介

第1章 レンズのお話
001 レンズは光の屈折をたくみに利用するために生みだした道具
002 レンズの歴史
003 小さなものを拡大して見る顕微鏡の歴史
004 遠くのものを近くに見る望遠鏡の歴史
005 レンズでできた像を記録するカメラの歴史
COLUMNレンズの語源

第2章 光のふるまい
006光の直進性と逆進性
007光の反射の法則
008鏡による光の反射
009光の乱反射
010透明な物体を通る光.
011光は物質の境界面で折れ曲がる 光の屈折
012光はどのような道筋を選んで進むのか フェルマーの原理
013スネルの法則①
014スネルの法則②
015空気の揺らぎが光を曲げる① 陽炎と逃げ水のしくみ.
016 空気の揺らぎが光を曲げる② 気楼と大気差のしくみ
017 プリズムでできる光の色の帯 光の分散
018 大空にかかる光の色の帯 虹ができるしくみ
019 虹の形はどうして円弧なのか
020 光の正体は波か粒子か① 光の回折
021 光の正体は波か粒子か②光の干渉
022 光の回折と干渉でできる虹 シャボン玉とCD-ROMの虹のしくみ
023 光は縦波が横波か 偏光①
024 偏光メガネとブリュースターの法則 偏光②
025 光は電磁波の仲間
026 光の速さはどれぐらいか
027 光のふるまいを考える幾何光学と波動光学
COLUMN 近接場光一光の回折限界を超える光

第3章 – レンズのしくみと働き
028 点光源からでた光はどのように進むか
029 影のでき方
030 ピンホールでできる像
031 ピンホールカメラでできる像
032 レンズの基本的なしくみ.
033 凸レンズと凹レンズの基本的な働き
034 レンズの焦点と焦点距離
035 レンズの主点と主平面
036 薄肉球面レンズの焦点距離の求め方
037 レンズを通る光の進み方
038 凸レンズでできる実像
039 無限遠からやってくる光は凸レンズでどこに像を結ぶか
040 凸レンズでできる虚像
041 凸レンズを半分隠すと実像と虚像はどうなるか
042 物体が焦点の位置にあるとき実像と虚像はどうなるか
043 凹レンズでできる虚像
044 レンズの写像公式と倍率① 凸レンズの実像の場合
045 レンズの写像公式と倍率② 凸レンズの虚像の場合
046 レンズの写像公式と倍率③ 凹レンズの虚像の場合
047 レンズの写線公式のまとめ
048 レンズの倍率を求めるもう1つの方法
049 レンズの作図の裏技① 光軸上の1点からでて凸レンズに入射する光
050 レンズの作図の裏技② 凸レンズに任意の傾きで入射する光
051 レンズの作図の裏技③ 凹レンズを通る光の場合..
052 2枚のレンズを通る光
053 凹面鏡と凸面鏡のしくみ
054 凹面鏡と凸面鏡で反射する光
055 レンズの分類の仕方
056 表面屈折を利用したレンズ① 球面レンズ
057 表面屈折を利用したレンズ② 非球面レンズ
058 表面屈折を利用したレンズ③ シリンドリカルレンズ
059 表面屈折を利用したレンズ④ トロイダルレンズ
060 表面屈折を利用したレンズ⑤ フレネルレンズ
061 表面屈折を利用しないレンズ① グリンレンズ(屈折率分布レンズ)
062 表面屈折を利用しないレンズ② 回折レンズ
COLUMN メタマテリアルー負の屈折率をもつ物質

第4章 – レンズの性能
063 レンズをつくる光学ガラスに求められる性質
064 光学ガラスの屈折率
065 光学ガラスのアッベ数
066 光学ガラスの分類
067 ガラス以外の光学材料① 天然や人工の結晶
068 ガラス以外の光学材料② 光学プラスチック
069 レンズができるまで① 球面レンズのつくり方
070 レンズができるまで② 非球面レンズのつくり方
071 収差とはなにか
072 球面収差
073 球面収差の補正
074 コマ収差と非点収差
075像面湾曲と歪曲収差
076 軸上色収差と倍率色収差
077 像の大きさと明るさ
078 Fナンバーと実効Fナンバー
079 開口数NAとレンズの分解能
080 絞りと瞳
081 絞りの位置とテレセントリック
082 焦点深度と被写界深度
COLUMN ガラスはなぜ透明なのか

第5章
レンズを使った身近なもののしくみ
083 ヒトの眼の構造
084 眼のしくみと働き
085 近視と遠視
086老視と乱視
087 コンタクトレンズのしくみ
088 ルーペのしくみ
089 ルーペの倍率
090 光学顕微鏡のしくみ① 基本的なしくみ
091 光学顕微鏡のしくみ② 倍率と分解能
092 望遠鏡のしくみ① 基本的なしくみ
093 望遠鏡のしくみ② ケプラー式望遠鏡の光の進み方
094 望遠鏡のしくみ③ オランダ式望遠鏡の光の進み方.
095 望遠鏡のしくみ④ 望遠鏡の倍率
096 望遠鏡のしくみ⑤ ピント合わせが必要なのはなぜ?
097カメラのしくみ① Fナンバーとシャッタースピード
098カメラのしくみ② 画角と焦点距離
099 カメラのしくみ③ デジタルカメラの画角と焦点距離
100 進化するレンズ 流体レンズのしくみ
COLUMN像反転系一倒立像を正立像として見る
参考文献
索引
レンズの基本・読者サポートサイト http://lens-softbank.goryoukaku.com

登場キャラクターのご紹介

★キホンガエルのぴょん太くん
本シリーズのメインキャラクター。
ものづくりを好み、どんなことにも興味をもつ。
いつかは自分で画 期的な製品をつくりたいと願っている。
★ガイド役
凸レンズくん(愛称フトッチョ)
天真煙漫な性格ながら、なんでもまとめて考えるのが得意。
メガネのコレクションが自慢で、ハラヘリとは仲のよい相棒同士。
凹レンズくん(愛称ハラヘリ)
神経質なところもあるけれど、実は拡大解釈してしまうのが得意。見かけによらず大食漢。
フトッチョといっしょになると、歪みを正すというワザがでる。

レンズのお話
最初は難しい話は抜きにして、レンズとはどのようなものなのかを簡単に確認してみましょう。
そして、私たち人類はどのようにレンズを利用してきたのか、その歴史を簡単に振り返ってみましょう

桑嶋 幹 (著)
出版社 ‏ : ‎ SBクリエイティブ (2010/6/16)、出典:出版社HP