総合旅行業務取扱管理者試験の難しい?難易度や合格率について
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総合旅行業務取扱管理者の概要
総合旅行業務取扱管理者の主な業務内容は、旅行に関するサービスの提供責任者として旅行業務全般の管理と監督を行います。
旅行業務を扱う営業所で必要になり、旅行業界唯一の国家資格となっています。
総合旅行業務取扱管理者試験の概要
試験の概要
総合旅行業務取扱管理者試験は、年1回、例年10月に実施されます。
受験資格に制限はないので、誰でも受験することができます。
受験費用は6,500円です。
出題は全てマークシート形式で、合格基準は4つの科目全て(科目免除がある受験者は、受験する全ての科目)で6割以上の得点となります。
出題内容
出題内容は、大きく分けて4つの科目があり、「旅行業法及びこれに基づく命令」、「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」、「国内旅行実務」、「海外旅行実務」に分類されます。
国内旅行業務取扱管理者の場合、「旅行業法及びこれに基づく命令」、「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」、「国内旅行実務」の3科目ですが、総合旅行業務取扱管理者では、これに「海外旅行実務」が加わります。
各科目の出題内容について、簡単に見ていきましょう。
「旅行業法及びこれに基づく命令」では、旅行業法を中心として、これに関連する命令などの内容が出題されます。配点は100点です。
「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」では、旅行業に関する「約款」についての知識が問われます。割合として、8割は「旅行業約款」から出題され、残り2割がその他の約款からの出題です。配点は100点です。
「国内旅行実務」は、「国内運賃・料金計算」と「観光資源」の2分野に分かれます。JRなどの運賃の計算、日本国内の観光地に関する知識が問われます。観光資源については、自然資源、民芸品・工芸品、行事など、範囲に限りがないので、幅広い知識が必要となります。配点は100点です。
「海外旅行実務」は、「国際航空運賃」、「旅行実務」、「語学」、「出入国関係」、「海外観光資源」の5つの分野に分かれます。5分野は均等に配点されているため、苦手分野をなくすことが重要となります。配点は200点です。
総合旅行業務取扱管理者試験の難易度は?
先ほどみたように、試験に合格するためには、受験する全ての科目で6割以上の得点が必要となります。
つまり、「旅行業法及びこれに基づく命令」、「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」、「国内旅行実務」では60/100点を、「海外旅行実務」では120/200点を取ることが必要です。
続いて合格率ですが、受験者全員の合格率は例年およそ30%となっています。
一見それほど低くみえませんが、これには訳があります。
実はこの試験には免除制度があり、その制度を使えば受験科目の一部が免除され、1科目のみの受験も可能となります。
例えば、国内旅行業務取扱管理者の資格を持っている人は、「業法」と「国内旅行実務」の試験が免除され、「約款」と「海外旅行実務」の2科目だけ受験すればよいことになります。
そして4科目すべてを受験した人の合格率は、例年およそ13%になっています。
このように、免除制度を使わない人だけでの合格率はかなり低くなっているため、難易度は高いといえます。
ここで、合格率の具体的なデータを見ていきます。
受験科目※1 | 令和2年度 | 令和元年度 | 平成30年度 | 平成29年度 | 平成28年度 |
①②③④ | 18.5% | 13.0% | 11.0% | 8.8% | 12.8% |
①②③− | 49.8% | 27.1% | 23.0% | 9.6% | 27.3% |
①②−④ | 9.9% | 13.1% | 11.4% | 14.3% | 14.8% |
①②−− | 78.3% | 71.9% | 54.4% | 74.0% | 68.2% |
−②−④ | 38.6% | 30.4% | 36.2% | 22.4% | 22.1% |
−②−− | 95.0% | 92.7% | 92.9% | 89.4% | 91.3% |
−②③④ | 50.0% | 0.0% | ※3 | ||
−②③− | − ※2 | ※3 | |||
合計※4 | 40.7% | 29.9% | 27.1% | 23.4% | 26.1% |
※1 受験科目は、①旅行業法及びこれに基づく命令、②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款、③国内旅行実務、④海外旅行実務です。
※2 受験者0人のため、データなし。
※3 ②③④(受験区分G)と②③(受験区分H)は、令和元年度から導入された受験区分です。
※4 受験者全員に対する合格者全員の割合を示しています。
このデータを見ると、科目免除をした受験者の合格率は平均して高いことがわかります。
総合旅行業務取扱管理者の試験では、積極的に科目免除を利用するのが良いでしょう。
また、「海外旅行実務」(④)が受験科目に入っている区分は、平均して合格率が低くなっていることが読み取れます。この科目は、海外の運賃の計算や英語の試験、海外の観光資源など、試験範囲が広く、科目自体の難易度が高くなっています。そのため、海外旅行実務を受験する場合は、きちんと対策をして臨むべきといえるでしょう。
ちなみに、国内旅行業務取扱管理者の合格率は、ここ数年、およそ35%前後で推移しています。
国内資格と比較して総合資格は合格率が低く、ここからも総合旅行業務取扱管理者の難易度の高さがうかがえます。
総合旅行業務取扱管理者を取得するメリットは?
このように難易度が高めの総合旅行業務取扱管理者ですが、資格を取得するメリットはどのような点にあるのでしょうか?
メリットをいくつか簡単に紹介していきます。
●海外の旅行も取り扱える
総合旅行業務取扱管理者は、国内旅行業務取扱管理者と違い、国外の旅行も取り扱うことができます。現在、ほとんどの旅行会社は海外旅行も取り扱っているため、総合旅行業務取扱管理者の資格を取得すれば、どこの旅行会社、営業所でも働くことができるようになります。
●就職、転職で有利になる
旅行業務取扱管理者は、旅行業界で唯一の国家資格です。そのため、旅行業界での就職を考えている人は、就活の際、有利になるといえます。
また、転職の場合も、就活の際と比較すればあまり役に立たないかもしれませんが、一定の知識、能力を証明することができるので、転職でも有利になる場面が考えられます。
●収入アップ、キャリアアップ
資格を取得することで、給料がアップしたり、特別な手当がもらえたりすることが考えられます。また、店舗の責任者を任されたり、昇進したりするなど、キャリアアップも期待できます。
●独立、起業することもできる
旅行会社は、各営業所に旅行業務取扱管理者を必ず1人以上設置しなければならないと義務付けられています。旅行業務取扱管理者の資格を取得することで、自分1人でも営業することができるようになるので、独立したり、将来的に旅行会社を起業することもできるようになります。
●他の試験の一部科目が免除される
旅行業務取扱管理者の資格を持っていると、全国通訳案内士の試験で、科目免除を受けることができます。具体的には、通訳案内士の1次試験で、5科目のうちの1科目(地理科目)が免除されます。その分、他の科目の勉強に時間を充てることができるようになります。
まとめ
ここまで、総合旅行業務取扱管理者の難易度についてみてきました。
全科目受験者の合格率はおよそ10~15%と低く、国内旅行業務取扱管理者と比較しても難易度が高い試験です。
しかし、総合旅行業務取扱管理者を取得すれば、国内に限らず海外の旅行も取り扱うことができるようになるため、仕事のできる幅がぐっと広がります。
旅行業界で働く人、これから旅行業界を目指す人は、ぜひ総合旅行業務取扱管理者の取得を目指してみてはいかがでしょうか。