基本情報技術者試験とITパスポートの違いは?迷ったらどちらを受ければいい?




IT業界で働く上で役に立つ試験のうち、基礎的な内容をが学べる資格として「基本情報技術者試験」「ITパスポート」が挙げられます。試験形式や役に立つ場面など、それぞれの試験の特徴を抑えた上で、自分の実力や確保できる時間を加味して受ける試験を決める必要があります。

今回はそれぞれの試験の特徴や違い、取得する場合のメリットについて、2つの試験を比較していきたいと思います。ITパスポートとの比較をする前に、まず基本情報技術者試験の概要から確認していきましょう。

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基本情報技術者試験の概要

基本情報技術者試験とは日本情報処理機構(IPA)の主催する、高度IT人材になるための知識・技能を身につけることのできる資格です。
この資格の特徴は、情報処理に関する知識・技能を体系的に身につけることができる点です。セキュリティ・ネットワーク・データベース・マネジメント・ストラテジ等、非常に幅広い分野を学ぶことができるため、ITに携わる様々な場面で学んだ内容を活かすことができます。

 

 

ITパスポートとの違い

続いて、ITパスポートの概要についても見ていきましょう。

こちらの試験も基本情報技術者試験と同様に日本情報処理機構(IPA)の主催する、ITに関する基礎知識を問う国家試験です。

IPAによると、対象者像としては「職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識を持ち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者」が想定されているようです。しかし、現代においてはIT企業で働いていないとしても、パソコンやスマートを通してITに触れない人はいません。そのため、どのような仕事をしている人にとってもこの資格はある程度役立つと考えられます。

それでは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?まずは形式や難易度などの違いについて、以下の表をご覧ください。

 

基本情報技術者試験 ITパスポート
試験形式 マークシート形式 or CBT方式 CBT方式
試験日程 マークシート形式:年2回(4月、10月)

CBT形式:毎月実施

各都道府県の会場で毎月実施
試験時間 合計300(午前150分、午後150) 120
出題数 午前:小問80

午後:大問11問のうち5問に回答

小問:100
合格基準 午前・午後ともに60点以上であること 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
合格率 25%(2020年までのマークシート形式)

50(2021年からのCBT方式)

50%

この表からも分かる通り、2021年からは基本情報技術者試験にもCBT方式が導入され、受験者にとっては受けやすくなりました。基本情報技術者試験の方が、試験時間が長く、問題数が多く、合格率も低いことが分かります。(2021年度の春に関しては新型コロナウイルスの影響やCBT形式への移行の影響もあり、合格率が高くなりました。)

それでは、次試験内容の違いについて見ていきましょう。

基本情報技術者試験

午前試験
・テクノロジ系(80問中50問)
基礎理論、コンピューティングシステム、技術要素、開発技術

・マネジメント系(80問中10問)
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント

・ストラテジ系(80問中20問)
システム戦略、経営戦略、企業と法務

午後試験
・コンピュータシステム(ハードウェア、ソフトウェア、データベース、ネットワーク)
・情報セキュリティ
・データ構造およびアルゴリズム
・ソフトウェア設計
・ソフトウェア開発
・マネジメント(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント)
・ストラテジ(システム戦略、経営戦略・企業と法務)

ITパスポート

テクノロジ系(100問中45問程度)
ストラテジ系(100問中32問程度)
マネジメント系(100問中20問程度)
※出題数100問のうち、8問は今後出題する問題を評価するために使われるため合格点の評価には入らない。そのため、総合評価は92問で行われ、分野別評価はストラテジ系 32 問,マネジメント系 18 問,テクノロジ系 42 問で行われる。

以上からわかるように、基本情報技術者試験の午前試験とITパスポートの出題範囲は、若干分野のばらつきがあるものの、非常に似ています。テクノロジ系、ストラテジ系、マネジメント系に渡って、情報技術の基礎的な部分について問われる問題が出題されます。やはり一番の相違点は午後試験の有無です。午前の内容と比較して、プログラミング等、より実践的な内容が出題されます。

資格取得のメリット

ここまで、基本情報技術者試験とITパスポートの相違点を見てきました。それでは、それぞれの試験がどのような場面で役立つのか、どのように受ける試験を選択すれば良いのかを見ていきましょう。

基本情報技術者試験

就職活動に役立つ
基本情報技術者試験は難易度も高く、企業においても昇格や昇進の際に重視されるほどの試験です。そのため、この資格を取得しておくことが、新卒・中途問わずIT業界の企業を受ける上で非常に役立ちます。

IT業界での業務に役立つ
基本情報技術者試験は高度IT人材となるための基礎的な知識・技能を学ぶことができる資格です。そのため、エンジニアなどの開発者を目指す人やIT業界での経営者を目指す人にとっては、必須となる実践的な内容まで身につけることができます。逆に ITを中心とした業務内容ではない人にとっては、基本情報技術者試験の内容までは必要ないかもしれません。

ITパスポート

業務に役立つ
ITパスポートはIT社会で働く全ての人に必要な基礎的知識を学ぶことのできる資格です。そのため、IT企業で働いていないとしても、日頃の業務でPCの文書ソフトや計算ソフト、顧客管理や営業管理のシステムを使用しているがほとんどだと思います。また、自分が直接関わっていなくても、取引先や仕事相手とITに関する話をすることがあるかもしれません。そのような時に、開発者レベルの知識がなくとも話を理解するためにある程度の知識が必要となるでしょう。その様なレベルの基礎的な知識を、ITパスポートでは身につけることができます。
逆にIT業界やそれに関わる仕事をしている人であれば、ITパスポートで満足せず基本情報技術者試験の取得まで目指した方が良いです。

基本情報技術者試験の前段階として便利
難易度は違えど、基本情報技術者試験の午前試験と、ITパスポートの試験内容はほとんど同じです。そのため、IT初学者あればまずITパスポートの資格取得を目指し勉強することで、同時に基本情報技術者試験の午前試験の対策をすることができます。

まとめ

いかがでしょうか。どちらの資格もITに関する基本的な知識・技能を身につけることができ、Dx(デジタルトランスフォーメーション)やIT化が進む現代において非常に役に立つ資格であるといえます。

ただし、どちらを受験するかについては自分の仕事内容や実力を考え選択する必要があります。IT初学者やIT業界ではない人であれば、基本的にITパスポートを取得で十分かもしれません。さらに上を目指したい人や、IT業界で働く人、開発者や経営者を志す人に関しては、基本情報技術者や場合によっては応用情報技術者の取得を目指しましょう。

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