グローバルキャリアをめざせ! USCPA(米国公認会計士)合格へのパスポート〔第4版〕




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監修のことば

私のふるさと信越化学工業(株)の「稼ぎ頭」の米子会社シンテック(Shintech)の「Treasurer」(経理・財務部長)は、1973(昭和48)年(創立)から40年間ずーっと米国公認会計士(USCPA)のアメリカ人です。

世界中のアメリカなど英語圏の子会社・関連会社の「経理・財務部課長」は、それらの国々のCPAかUSCPAです。また、英語圏以外の100カ国にある子会社・関連会社では、それらの国々のCPAが「経理・財務部課長」をしています。いま、世界中で、極めて多くの企業内会計士のほかに、税務専門、「M&A専門、経営コンサルタント専門、これらとはちょっと異質の会計監査専門のUSCPAが大活躍しています。

私のビジネスパースン「経理・財務」38年間の体験知識(Empirical「Knowledge)では、USCPAの資格を持つ人たちは、世界中どこに行っても会社等(会社・店・個人企業・個人)の望む仕事をしっかりできると、高く評価されています。あなたが日本人なら、いま、日本国内で受験できるUSCPA試験に挑戦されることをお勧めします。会計監査の仕事も大事ですが、会計監査以外の「会社等のマネジメントに役立つUSCPA」になってください。

いまや英語で、会社等の経営知識というBu-Ki(武器=Weapon)=Book(決算書)-Keeping(経営)=Financial Statements-Managementも学ぶべき時代です。USCPA試験に挑戦することで英語をマスターする実力も自然についていきます。USCPA試験に受かっても偉ぶらず、これが出発点だと気を引き締めてさらに何か新たな勉強を始められることを切に希望します。社交ダンスもその一つです。

2012(平成24)年10月8日(山中伸弥先生ノーベル賞決定の日)
金児昭

三輪 豊明 (著), 金児 昭 (監修)
税務経理協会; 第4版 (2020/11/2)、出典:出版社HP

はじめに

■自分の道を求めて模索の日々を過ごす
本書のはじめに、著者である私自身の受験体験をご紹介しておきましょう。20年以上も前のことですので、変わってしまった部分も多くありますが、基本的な部分は現在の試験においても変わっていません。一例として参考にしていただければ幸いです。私は、東北大学在学中に、国の交換留学制度で、米国のカリフォルニア大学サンタバーバラ校に留学し、会計学を専攻しました。もちろん、その時点ではCPA受験など頭にありませんでしたが、後年CPAの受験学習に取り組んだときには、このとき学んでいたことが大いに役に立ちました。

その後、日本の大手証券会社に就職して少し勤め、ある日本の大手通信機器メーカーに転職しました。初めはアメリカに2年駐在して、日本に戻って本社勤務となりました。次に香港に3年行き、日本に帰国後しばらくして、北京へ最後の海外赴任をしました。北京駐在時、年齢的にもそろそろ自分の道を考えたいと考え、思い切って会社を辞め、日本に戻ってきたのです。しかし、何をやるかが明確になっていたわけではなく、模索の日々を過ごしていました。

■まず財務会計の学習を先行させる
そんな私がCPA受験を思い立ったきっかけは、たまたま新聞で見た日本人CPA合格者のコラム記事でした。CPAという資格があること自体は、米国に駐在していたときから知っていましたが、日本人は受験できないと思っていたのです。新聞記事で日本人でもCPAを受験できることを知り、チャレンジしてみようという気になったのです。それが7月の初めでした。

私の場合、試しにまず財務会計の学習だけ先行してやってみるという方法を採りました。もしつまらなかったら、やめてしまうつもりだったのです。人間好きでないものを無理にやっても長続きしません。ところが、やってみると私にとっては非常に楽しいものであることわかりました。日本の会計は、大学のときに授業でとったことがありますが、細かい仕訳など正直なじめませんでした。一方、米国留学中にも感じていたことですが、英文会計はあまり細かい議論がなく、すんなり入り込めたのです。基本的な会計の考え方や本質的なことだけを学習していけばよいので、それほど負担には感じませんでした。むしろ、現在価値とか時価主義であるとか、当時としては一歩も二歩も先を進んだ知識を吸収できることに魅力を感じました。

■3カ月で集中して学習し、試験にチャレンジ
これならおもしろいし、いけるぞと思い、8月に入ってから他の3科目を同時に学習し始めました。8月、9月、10月の3ヵ月間は学習に没頭です。家の近くに小さなワンルームマンションを借りて、朝から晩まで、生まれて初めてといっていいくらい一生懸命学習しました。11月に試験を受けて、財務会計だけは残念ながら落ちてしまいましたが、他の3科目は合格できたのです。財務会計は翌年5月に再度チャレンジして無事合格しました。以上が私のCPA試験合格に至るまでの経緯です。私の場合、短期「間に集中して学習したケースです。

■覚えるそばから忘れて自己嫌悪に陥る
では、学習方法についてはどうだったでしょうか。私は、受験までの3カ月間は、1日10時間くらい(あくまでも、“くらい”ですが)を学習に費やす日々でした。1日10時間として3カ月(90日)で900時間ですから、私の体験からも、だいたい1,000時間の学習時間というのが合格の目安です。私がCPAを目指した頃は、いまのように注目される資格ではなかったので、まだCPAの受験専門校もなく、当然、日本語のテキストも「はありませんでした。そこで、洋書の参考書を使って学習するしかなく、「Wiley」などぶ厚い洋書テキストを読み進める学習法でした。

学習を開始したばかりの頃は、過去問を片っ端から覚えていきました。しかし、覚えるそばから忘れていくのです。我ながらこんなにも記憶力が弱いのかと自己嫌悪に陥ったものでした。でも、これはどうやら記憶力の問題ではなく学習方法の問題だということがわかってきました。そこで、学習の重点を少し変えてみました。洋書の参考書はボリュームがとにかくあるので、頭の整理をするためにカードを作ったのです。カードを作ることが目的ではありませんが、そうしないと学習にならなかったのです。

■段ボール一杯のカード学習で合格を勝ち取る
「洋書のテキストを一から読解し、問題を解き、重要だと思われる要素を箇条書きにし、カード化していきました。高校受験や大学受験でよく使われる英単語カードのようなものです。こうして作った手製のカードを繰り返し反復学習し、3カ月間、来る日も来る日も続けていきました。最終的には、カードの量は段ボール1箱分にもなりました。

しかし、洋書のテキストを読みこなすのは正直いって大変でした。「日本語のテキストがあったらどんなにいいだろうか」と幾度ため息をついたかわかりません。そんな受験時代の経験があったからこそ、本書で提案している「日本語でインプット、英語でアウトプット」という学習法を提唱してきました。この方法で勉強すれば、皆さんは私のような苦労をせずに、合格できると信じています。

本書が、グローバルな活躍を目指し、これからの日本を支えてゆく方々の一助となれば幸いです。

三輪豊明

三輪 豊明 (著), 金児 昭 (監修)
税務経理協会; 第4版 (2020/11/2)、出典:出版社HP

刊行にあたって

私がCPAを取得してから20年余りが経過しました。いまとなっては、当時では考えられない程、日本人のCPA試験受験者は増加)-います。そのことはCPAの社会的なニーズが増し続けていることを裏付けていると同時に、CPA試験が持つ価値を風化させない先進性・信頼感の表れだと考えています。

当時と比べても、学習する内容の基本自体は大きくは変化していません。しかし、その試験形態やCPAを取り巻く環境は大きく様変わりしました。試験はコンピューターでの受験となり、なにより日本でも受験が可能になりました。そして米国国内の資格という初期の位置づけから、いまや世界的な会計資格へとその意義を拡大し続けています。「試験のあり方を常に進化させていく。」そのこと自体がCPAの価値を保証する要素の1つになっています。

昨今では日本の監査法人であっても、日本の公認会計士とCPAに価値差を設けていないといいます。また、事業会社に勤めている方が、経営能力を得る手段の1つとしてCPA試験に挑戦するというケースもあります。このような状況の変化をたどることによっても、改めてCPA試験の奥深さ、設計の巧みさを感じていただけるのではないでしょうか。

今後もCPA試験の進化は続いていくことでしょう。CPA試験において今後も変わらないのは、能う人材に資格を授与し、市場に常に適材を送り込むという姿勢そのものだと言えます。この書籍は日本人にとってのCPA試験をわかりやすく解説したものです。常に変化していくCPA試験だからこそ、これまでこの書籍も変更をくりかえし、このたびの改訂にもつながっています。

今後もより多くの方にCPAの魅力、CPA試験の醍醐味を伝えられるものとなれば、これ以上の幸せはございません。

2016年9月
三輪豊明

三輪 豊明 (著), 金児 昭 (監修)
税務経理協会; 第4版 (2020/11/2)、出典:出版社HP

目次

監修のことば
はじめに
刊行にあたって

第1章米国公認会計士(USCPA)ってどんなもの?
1いま、求められるグローバル人材に必要なスキルとは?
2世界中で通用するマネジメントスキル、USCPAってどんなもの?
3日本の公認会計士とどう違うの?
4ビジネスの三種の神器を網羅する!
5期待が高まるUSCPAへの求人状況

第2章 米国公認会計士(USCPA)試験の全体像をつかんでおこう
1USCPA試験制度の仕組みと特徴
2USCPAの試験科目
3受験日と受験地
4ライセンス取得とキャリア形成

第3章 USCPA受験手続き7つのステップ
1受験までの7つのステップ
2【Step1・Step2】単位取得状況を確認して出願可能な州を選ぼう
3【Step3】学歴評価を依頼する
4【Step4】出願手続き
5【Step5】受験票(NTS)を受領する
6【Step6】試験会場を予約する
7【Step7】試験本番に臨む

第4章 USCPA試験の出題形式と内容を理解しておこう
各科目の出題形式
◆科目1財務会計(FAR)
◆科目2ビジネス環境及び諸概念(BEC)
◆科目3監査及び証明業務(AUD)
◆科目4法規(REG)

第5章 USCPAを活かして自分の価値を高めよう~USCPA取得者の実際~
1USCPA試験合格後に広がる5つの可能性
2転職でUSCPAを活かす
3日本企業でUSCPAを活かす
4外資系企業でUSCPAを活かす
5海外企業でUSCPAを活かす
6会計事務所・コンサルティング会社でUSCPAを活かす

第6章 USCPA試験に一発合格するための最適勉強法
1試験は英語でも内容は日本語で理解しよう
21日1時間半1年間勉強すれば合格できる
3USCPAを学習する上で前提知識は必要ない
4出題形式に応じた科目別勉強法
5科目別の学習方法はここがポイント① FAR
6科目別の学習方法はここがポイント② BEC
7科目別の学習方法はここがポイント③ AUD
8科目別の学習方法はここがポイント④ REG

三輪 豊明 (著), 金児 昭 (監修)
税務経理協会; 第4版 (2020/11/2)、出典:出版社HP