管理会計を学ぶためのおすすめ本 – 簿記・会計の資格の参考書にも!




管理会計についての理解を深めよう

管理会計は、経営者の視点から行う会計業務であり、業績測定・業績評価をする上で欠かせません。また会社の実情を客観的に把握し、経営方針を立てる指標にもなるため、非常に重要です。ここでは、そうした管理会計の説明に加え、資格を取得する上でも役立つ本をご紹介します。

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出典:出版社HP

管理会計 基礎編

管理会計は、企業の経営者のために、戦略の策定と実行を支援するとともに、経営上の意思決定と業績管理を目的として多くの組織体で実践されている。

管理会計はいまや企業の経営幹部だけでなく非営利事業を含めてすべての階層の経営者に役立てられるようになった。従来の管理会計とは違って、計画とコントロールのためだけでなく、経営上の意思決定や経営戦略の策定と実行にも役立ちうる、経営者にとって不可欠の知識体系になってきている。

管理会計への役割期待の高まりと比例して、当然のことながら、その対象と内容もまた年々充実してきている。著者は2009年に、『管理会計 第四版』を上梓したのであるが、これは730ページを超える大著となったこともあり、経営者が比較的気軽に読める著書を上梓して欲しいという希望が著者に対して日増しに寄せられるようになった。大学生からは普及版が欲しいという要望が寄せられていた。研究者の1人として教科書ともいえる普及版を上梓するべきであるかについて迷ったのであるが、最終的には、管理会計を多くの人々に理解していただくことも管理会計の研究者にとっては重要な役割の1つではないかと考えて、管理会計の基礎編として纏めたのが本書である。

とはいえ、本書は『管理会計 第四版』のミニチュア版ではない。それは第1に本書によって著者が構想している管理会計の体系論を新たに明確に打ち出すことができたことがあげられる。

第2に、単に短く纏めただけでなく、基礎編として必要と思われるところを新たに付け加えた。企業の評価と財務分析を1つの章として加えたのは、管理会計の基礎としてこれらが不可欠と考えたからである。資金計画表を入れたのは、中小の企業ではその理解が必須だと考えたからである。予算管理におけるモティベーション、コーポレート・ブランドの特徴なども書き加えた。

第3の特徴は、学問的にはともかく実際には経営にあまり使われないなどの理由から、本書から除外した概念がある。リアルオプションや脱予算経営、スループット会計をはずしたのは、現時点で見る限り学用性が低いと考えられるからである。原価計算の章をはずしたのは、原価計質の記述が中途半端になると初心者にとっては却って理解が難しくなると考えたからである。

入門書の性格から、必要と思われる用語解説を各章ごとに挿入した。必要に応じて設例もつけた。また例外を除いて引用を可能な限り外して、自分の言葉で表現することにした。巻末には参考にした主要な文献を掲載した。もっと詳しい内容を研究したい読者には、『管理会計 第四版』をお薦めしたい。

本書の完成までには、大学院のゼミナールを通じて、城西国際大学の大学院ゼミ生一博士課程では榎本恒氏、関谷浩行氏、竹迫秀俊氏、また修士課程では羽鳥巧氏、石塚大氏一から貴重な意見をいただいた。記して感謝の意を表したい。出版では、編集局長の市川良之氏と角田貴信氏にお世話になった。

2010年 初夏
櫻井通晴

櫻井 通晴 (著)
出版社 : 同文舘出版 (2010/7/1)、出典:出版社HP

目次

・第Ⅰ部 管理会計の基礎
第1章 管理会計の意義・本質
第2章 管理会計上の諸概念
第3章 企業評価と財務分析
練習問題 経営分析
第4章 事業部制の業績管理

・第Ⅱ部 経営計画とコントロールのための会計
第5章 損益分岐点分析と直接原価計算
練習問題 直接原価計算
第6章中長期計画、利益計画と予算管理
第7章 標準原価計算とコストコントロール
第8章 原価企画による戦略的コスト・マネジメント
第9章 ABCによる製品戦略、原価低減、予算管理
練習問題 ABC
第10章 統合的コスト・マネジメントと工学的手法
第11章 販売促進費、物流費、本社費の管理
第12章 資金管理とキャッシュ・フロー経営

・第Ⅲ部 経営意思決定のための会計
第13章 経営意思決定の基礎
第14章 戦略的意思決定と設備投資計画
第15章 戦略的・戦術的価格決定

・第IV部 経営戦略の策定と実行のための会計
第16章 経営戦略の管理会計への役立ち
第17章 バランスト・スコアカード
参考 三菱東京UFJ銀行の戦略マップ
第18章 無形の資産とコーポレート・レピュテーションの管理

参考文献

付録
複利現個表
年金現価表

索引

櫻井 通晴 (著)
出版社 : 同文舘出版 (2010/7/1)、出典:出版社HP

本書の活用方法

本書は、全部で4部からなっている。第I部 管理会計の基礎、第Ⅱ部 経営計画とコントロールのための会計、第Ⅲ部 経営意思決定のための会計、および第IV部 経営戦略の策定と実行のための会計である。

大多数の読者には、管理会計の基礎から始めて、章の順序どおりに読み進めることをお薦めしたい。しかし、管理会計について一通りの知識をもった読者には、最近の動向を知るために、第IV部の経営戦略の策定と実行の会計から読み始めるといった本書の活用方法もある。

逆に、利益管理、原価管理、資金管理からなる伝統的な管理会計を中心に学習したい読者には、第Ⅰ部の管理会計の基礎に続いて、第Ⅱ部の経営計画とコントロールのための会計を中心に読み進めることをお薦めしたい。

さらに、本書を完全にマスターして深く学習したい読者には、拙著『管理 会計 第四版』の読破にチャレンジすることをお薦めしたい。

櫻井 通晴 (著)
出版社 : 同文舘出版 (2010/7/1)、出典:出版社HP

管理会計の基本

まえがき

本書は、管理会計をこれから勉強しようという方、勉強ははじめたがどのように勉強していいか迷っている方のために書いた入門書です。

会計は、一般的に財務会計と管理会計に分類されます。財務会計は、IFRS(国際財務報告基準)に代表される決算書作成基準の裏付けとなる理論的な考え方です。法律の裏付けがあるため、制度会計と呼ばれます。財務会計に関しては、会計基準として整備され、関連書籍も多く、ヒジネススクールなどでも独立した講座として多く存在しています。みなさんがよく耳にする、貸借対照表、損益計算書の読み方などは、財務会計になります。

しかし、管理会計は「これが管理会計だ」という体系が確立されていません。なぜなら、管理会計は、企業経営を推進するときにいろいろと工夫して活用する業績管理ツールとして発展してきたからです。たとえば、製造部門では、製品の原価計算と原価削減、ソフトウェア開発では、開発原価の把握と削減に活用されます。営業部門では、営業所の業績の把握と評価に使います。本社では、必要人員の見積り、次期の目標利益を達成する必要売上高の算定などの判断に使えます。また3年から5年の中期計画や次期の予算策定にも、基礎データを提供します。このように、管理会計は、過去分析によるデータだけでなく、将来予測に使えるデータを提供することに存在価値があるのです。

管理会計を理解するときは、知識を体系化して考えるよりは、会社数字をいかに経営に活かすかという視点で考えたほうが、その意義が見えてきます。そのため管理会計に関連する本は、管理会計というタイトルを使わずに「経営に活かせる会計」とか、「儲ける会計」というように読者にわかりやすいタイトルを付ける傾向があります。私も「計数感覚がハッキリわかる本」、「計数感覚ドリル」というようなタイトルの管理会計の本を書いています。しかし、本書は、管理会計の勉強をはじめる方のための本として、「管理会計は、このような順番で勉強してください」というような体系や方向性を示したいと考えました。数多くある類書は、話題性を重視しており、体系的な内容を示していないことが多いのです。本書を管理会計の基礎固めの入門書として役立てていただきたいと考えています。

本書では、管理会計を理解するために、3つのテーマを重視しています。3つのテーマとは、以下の通りです。

1損益分析と業績管理(損益分岐点分析と変動損益計算書の活用)
2原価管理(原価計算の基本)
3意思決定(短期利益計画と中期経営計画への活用)

これらのテーマは、経営において欠くことができないテーマです。新しいテーマではありませんが、管理会計を基本から勉強する方にとっては、必ず理解してほしいテーマです。財務会計でも重視される分野なので、財務会計を少しでも勉強したことのある方なら、関連付けて学ぶことで理解が早まるでしょう。

読者のみなさんから、この本に出会ってよかったと思っていただけるように全力で書きました。ちょうど、東日本大震災があった真っ只中での執筆でした。新しい日本の復興に向けた活動にも管理会計の考え方が役立ちます。たとえば、震災の損失を知るのに、機会損失という考え方(第5章)が役に立ちます。これらは、損害賠償の請求をするときの損害額に算入する必要があります。

復興のための本当の原価を知るために、間接費の配賦を工夫するABC(活動基準原価計算)も重要です(第4章)。また、今後、安全を担保するために本部で発生する間接費は大きくなることが考えられます。さらに、原発事故が、「安全のためのコスト、特に固定費を節約して、利益を追求してきた結果だ」とする意見もあります。固定費を使2意味を本書ではかなり説明しているので、注目してください(第2草、第3章)。最後に5か年の中期計画の立て方(第6章)を説明します。
企業の計画見直しには、必須の考え方です。

なお、本書の中で、どの部署の人に特にどんなことを学んでほしいかを図にまとめましたので参照してください。この本で、管理会計の基本をシッカリ勉強して、現実に起こっていることを冷静に判断できる計数感覚と、企業発展のための業績管理に役立つ計数感覚(計数活用法)を、自分で発見し、実感できるセンスを磨いてください。

2011年6月事務所にて
千賀秀信

千賀 秀信 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2011/6/30)、出典:出版社HP

目次

まえがき
「見える化」目次

第1章 管理会計で数字を見ると、経営の本質が浮かび上がる
1-1経営者、管理者に必要な会計
→財務会計と管理会計の違いを知ろう

1-2財務会計は過去会計、管理会計は未来会計
→財務会計と管理会計が扱う内容

1-3ホテルで飲むコーヒーの原価率は?
→計数感覚で経営を考える方法を学ぼう

1-4コストダウンで利益は増えるのか?
→間違ったコストダウンとかけるべきコスト

1-5利益が出ていれば、それでいいのか?
→利益志向の落とし穴

1-6管理会計の3つのテーマ
→この本で取り上げる管理会計の内容

実践コラム
塵も積もれば固定費となる

第2章 損益分岐点分析で管理会計入門
2-1コーヒー店の損益分岐点分析
→損益分岐点を事例で理解しよう

2-2経営安全率と損益分岐点比率
→利益を生みだす売上高とは何か?

2-3損益分岐点を図でイメージできるようになろう
→図表を描きながら、シッカリ理解しよう

2-4短期利益計画に応用する
→費用、売上高、利益の関係をシミュレーションしよう

2-5変動費と固定費の見分け方、考え方
→変動費、固定費の本質を理解しよう

2-6固定費と変動費がハッキリしないときの考え方
→準変動費と準固定費に惑わされないように

2-7勘定科目別データがないときの損益分岐点の求め方
→高低2点法と最小2乗法

実践コラム
営業現場に役立つ損益分岐点分析の活用法

第3章 変動損益計算書の活用法
3-1変動損益計算書を作ってみよう
→コーヒー専門店(カフェクローバー)のケース3-2

3-2変動損益計算書は、付加価値計算書だ
→付加価値のとらえ方を理解しよう

3-3変動損益計算書で見えてくる経営の姿
→付加価値分析を理解しよう

3-4業種別の付加価値(限界利益)の違いを理解しよう
→製造業、流通業(小売、卸)の特徴は?

3-5営業所管理で活用できる変動損益計算書
→固定費、変動費の分類を工夫して業績管理に活用する

第4章 原価管理のポイントを理解しよう
4-1原価計算と原価の関係を理解しよう
→製品原価の集計だけではない原価計算の広さを知ろう

4-2経営の流れと原価計算の位置付け
→製造業の原価計算を概観しよう

4-3原価計算の分類
→原価計算の対象は何か

4-4原価計算を実際に行なってみよう
→総合原価計算と個別原価計算の違いを理解しよう

4-5直接原価計算の考え方
→変動損益計算書の原点は、直接原価計算

4-6活動基準原価計算(ABC)の考え方
→間接費(共通費)の配賦をいかに行なうか

実践コラム
価格設定の手法あれこれ

第5章短期的意思決定に役立つ考え方
5-1機械式洗車は600円、手洗い洗車は1,600円。
→この差は何か?中原価とは何かを改めて考えてみよう

5-2原価割れでも注文を受けるべきか?
→決め手は原価の見方と限界利益

5-3時給はどうやって決めるのか?
→人時生産性と労働分配率がポイント

5-4増員したい!そのとき営業所長はどう提案すべきか?
→増員で増えるコストを回収できる売上予算を計画しよう

5-5次期の利益計画(予算)はどんな手順で作るのか?
→必要売上高を求める公式で考えよう

実践コラム
業績管理の5つのステップ

第6章 戦略的意思決定に役立つ考え方
6-1キャッシュフロー重視時代の「利益の役割」とは何か
→利益とキャッシュフローの役割の違いを理解しよう

6-2営業キャッシュフローのとらえ方を理解しよう
→間接法のとらえ方をマスターしよう

6-3営業キャッシュフローを予想する
→間接法の項目を予想する

6-4現在価値という考え方を理解しよう
→現在の100万円と2年後の110万円のどちらを選ぶ?

6-5資本コストとは何か
→収益性の目標は、資本コストを参考にする

6-6投資の採算を判断する方法(時間価値を考慮しない方法)
→事例で見る投資の収益性と安全性

6-7投資の採算を判断する方法(時間価値を考慮する方法)
→正味現在価値(NPV)と内部利益率(IRR)を理解しよう

6-8キャッシュフローの予測と採算判断(事例で総まとめ)
→5年間限定のプロジェクトを採用するかどうかの判断をする

6-9予想貸借対照表をイメージで理解しよう
→図で見る年間の財務3表の変化

6-10企業価値が向上するという意味
→将来のフリーキャッシュフローを増大させること

実践コラム
企業価値を高めることの問題点〜起業を図る新たな視点の提案〜

INDEX

千賀 秀信 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2011/6/30)、出典:出版社HP

本書の構成を「見える化」しました!

本書は、第1章から第6章まであります。管理会計の3つのテーマを6章に分けて解説しています。2章以降は、3つのテーマの詳細説明で、以下のような構成になっています。

・3つのテーマと各章の関係

第1章は、管理会計全般にわたるテーマを解説しています。
1損益分析と業績管理(損益分岐点分析と変動損益計算書の活用)・・・第2章、第3章
2原価管理(原価計算の基本)・・・第4章
3意思決定(短期利益計画と中長期の経営計画への活用)・・・第5章、第6章

千賀 秀信 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2011/6/30)、出典:出版社HP

「管理会計の基本」がすべてわかる本 第2版

はじめに 〜改訂にあたって〜

本書の前身である『「管理会計の基本」がわかる本』は、おかげさまで各方面からずいぶんとご好評をいただきました。

聞くところによると、私が全く関係していない大学で教科書として採用されたというような話もあったようです。それだけ管理会計に対する認知度が高まってきたと現れと言えますが、「前著が管理会計に対する認知度を高めた」と嬉しいことをおっしゃってくださる方もいます。そのように高く評価された本ではありますが、初版から7年以上経つと、さすがに手直ししたいところや、もっと言いたいことが出てきました。そこで、さらなる内容の充実を図るべく、少々の修正とそれなりの加筆を加えた改訂版をあらためて出すこととなりました。

そうは言っても、修正についてはそれほど大掛かりなものはありません。管理会計は財務会計と違い、制度の影響をほとんど受けませんし、前著が版を重ねたことによって単純なミスは既に修正されてるからです。

一方で、加筆についてはそれなりに行いました。まず、丸ごと新たな節として「2-8 業務改善の効果 〜どのような経済効果が出るか分かっているか〜」を追加しました。これは、なかなか示唆深い内容ですから、実務上も大いに参考になるのではないかと思います。さらに、「補足解説」、「発展的解説」、「コラム」を随所に加えました。

「補足解説」と「発展的解説」は、理論面の充実が目的です。これらによって、より深く正確な理解が進むと思います。このうち、「発展的解説」は、難易度が少々高かったり、「ここまでは必ずしも知らなくてもいい」という内容ですので、理論面にあまり関心がない方は飛ばしていただいて結構です。「コラム」は読み物です。単なる読み物ではありますが、それなりに重要なことも書いたつもりですので、気の向いたところだけでも読んでいただけると、何かと得るものがあるのではないかと思っています。

前著よりもさらにパワーアップした本書が、ますます皆さまの仕事や勉強に役立つことを願っております。

コンサルタント・公認会計士
金子智朗

金子智朗 (著)
出版社 : 秀和システム; 第2版 (2017/8/10)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 管理会計とは何か 〜マネジメントに役立ってこそ〜
1-1 会計の種類
会計にもいろいろある
管理会計はすべてのビジネスパーソンにとって必須
会計には3つの分野がある
管理会計はマネジメントのための会計
まとめと演習

1-2 財務会計の利益の意味
それで経営判断ができるのか?
利益が増えたらなぜ嬉しいのか
財務会計は港で待つ貴族のための会計
まとめと演習

1-3 財務会計と管理会計の比較
4つの視点でまとめてみよう
情報の利用者
利用目的と関心の対象
管理会計は「考える」ことが重要
まとめと演習

1-4 意思決定と行動マネジメントに役立ってこそ
そうでなければ管理会計じゃない
最も重要なのは意思決定
努力の方向性を間違えるな
最後に物を言うのは行動力
まとめと演習

第2章 意思決定 〜知らないうちに過ちを犯している〜
2-1 意思決定とは何か
比較対象を明確にすること
交通事故に遭った2人
比較対象が変われば結論も変わる
まとめと演習

2-2 ピザ屋はいくら損をしたのか
変動費と固定費を明確に分ける
考え方のポイントは3つ
1枚落としたケース
犬が出てきたケース
まとめと演習
補足解説 損得学と失敗のコスト

2-3 埋没コストと機会コスト
財務会計には無い管理会計特有のコスト
埋没コスト
機会コスト
まとめと演習
COLUMN 埋没コストから学ぶべきコト

2-4 アウトソーシングの意思決定
正社員人件費は変動費なのか?
考え方のアプローチは同じ
正社員労務費は削減されるのか
まとめと演習

2-5 追加受注の意思決定
限界利益、貢献利益について
原価割れでも受注すべきなのか
限界利益、貢献利益
まとめと演習
補足解説 限界利益と貢献利益の意味

2-6 撤退条件
限界利益マイナスと原価割れの意味
限界利益または貢献利益マイナスの意味は?
原価割れの意味
補足解説 「単位当たり原価」の意味
まとめと演習

2-7 価格交渉力
売れっ子ほどますます儲かる
生産能力に余裕が無かったら
稼働率によって結論は変わる
まとめと演習

2-8 業務改善の効果
どのような経済効果が出るのかを分かっているか
「業務改善」という言葉だけで安心するな
需要が供給を上回っている場合
まとめと演習

2-9 価格戦略
値下げが販売量に与えるインパクト
10%値下げしたら販売量はどうなるのか?
重要なのは結論
まとめと演習
発展的解説 値上げ・値下げと販売量の一般的関係

第3章 CVP分析 〜最初から利益が出るほど甘くない〜
3-1 損益分岐点
損益トントンになる点
利益を出すために必要な個数
作った後ではどうなるのか?
まとめと演習

3-2 CVP分析の変数の取り方
物量にするのか、売上高にするのか
部門の損益分岐点
横軸は場合によって使い分ける
まとめと演習

3-3 CVP分析の各種公式
損益分岐点と目標利益を達成する点
物量が変数の場合
売上高が変数の場合
まとめと演習

3-4 量産効果
「量産すればコストが下がる」は本当か?
単位コストは減少する
総コストは増加する
まとめと演習

3-5 安全余裕率
損益分岐点から遠いほど安全
利益の安定度
安全余裕率と損益分岐点比率
まとめと演習

3-6 コスト構造の業態特性
変動費中心型と固定費中心型
変動費中心型と固定費中心型
それぞれの特徴
まとめと演習

3-7 CVP分析の応用(1)
価格戦略で使ってみる
100円バーガーの投入
値下げは諸刃の剣
まとめと演習

3-8 CVP分析の応用(2)
予算編成における安全余裕率の活用
売上変動に弱い予算
安全余裕率を意識して予算を立てる
まとめと演習

第4章 固変分解 〜実はそんなに簡単ではない〜
4-1 固定費と変動費の分解
固変分解の5つの方法
固変費と変動費は自然には分かれない
帰納的な方法
まとめと演習
COLUMN 企業は財務会計情報が集まるようにできている

4-2 費目別精査法
簡単で実務的な方法
費目別分類の例
費目別精査法の例
まとめと演習

4-3 最小自乗法
数学的に固定費と変動費を求める
点と直線との距離の2乗和を最小にする
微分して0とおけば最小値が求まる
まとめと演習
COLUMN 財務会計は算数、管理会計は数学

4-4 どの方法がベストなのか
それぞれの長所と短所を理解する
費目別精査法か最小自乗法が実務的
正常操業圏以外では直線にならない
まとめと演習

金子智朗 (著)
出版社 : 秀和システム; 第2版 (2017/8/10)、出典:出版社HP

第5章 投資の評価 〜複数年に及ぶ効果をどう評価するのか〜
5-1 投資に伴う利益計画
「儲かる」とはどういうことなのか?
5年間の利益計画
タテの視点とヨコの視点
まとめと演習

5-2 投資評価の3つのポイント
“ヨコの視点”における具体的なポイント
プロジェクト単位に予想貢献年数で評価
キャッシュで評価する
まとめと演習

5-3 投資による経済効果
税金を考慮してキャッシュ・フローを見積もる
タックス・シールド
2つの式の使い分け
まとめと演習

5-4 キャッシュ・フローを計算してみる
ステップを踏んで考えれば分かりやすい
実効税率
キャッシュ・フローの計算
まとめと演習
COLUMN 税率を調べるには

5-5 投資の経済性計算
代表的な方法は4つある
NPV法またはIRR法が合理的
まとめと演習

5-6 回収期間法
簡単だが収益性の判断に使えない
3つの投資案
回収期間は収益性の指標にならない
まとめと演習

5-7 投下資本利益率法(ROI法)
収益性の指標にはなるが時間差を評価できない
ROIの計算
時間差を評価できない
補足解説 ROIのもう1つの式
まとめと演習

5-8 正味現在価値法(NPV法)
最も合理的な計算法
時間差は利回りで定量化する
正味現在価値
まとめと演習
発展的解説 正味現在価値の意味

5-9 内部利益率法(IRR法)
基本的な考え方はNPV法と同じ
先に投資の利回りを計算する
正味現在価値法との関係
まとめと演習
発展的解説 内部利益率の求め方とExcelの使い方

5-10 割引率をどうやって決めるのか
背後にあるのは株主重視
割引率は資本コストが決める
資本コストの計算
まとめと演習

5-11 企業目標との整合性
NPV法がよいとは限らない
ROAを重視するならROI
企業価値を重視するならNPV法
まとめと演習

第6章 コスト・マネジメント 〜重要性が増す間接費の管理〜
6-1 標準原価計算(1)
直接材料費と直接労務費のマネジメントには一定の効果あり
製品の製造コスト
「あるべきコスト」との差異を把握する
まとめと演習

6-2 標準原価計算(2)
製造間接費のマネジメントにはほとんど無力
製造間接費差異の把握
標準原価計算では製造間接費をマネジメントできない
まとめと演習

6-3 原価企画と間接費管理
コストマネジメントの新たな方向性
直接原価の90%は企画・設計段階で決まる
重要性が高まる間接費の管理
まとめと演習

6-4 ABC(Activity Based Csting)
そのエッセンスは細かい配賦
従来の間接費計算はドンプリ計算
間接費をまとめず、個々に配賦基準を選択
まとめと演習

6-5 ABCによる製造間接費の計算例
汎用品とカスタマイズ品
従来の計算
ABCによる計算
まとめと演習

6-6 ABCによる顧客別コストの計算例
おいしい顧客とおいしくない顧客
コスト・オブジェクトは何でもよい
顧客別コスト
まとめと演習

6-7 ABM(Activity Based Management)
業務改善による間接費のマネジメント手法
アクティビティのコストが分かってしまう
リソースを減らさないとコストは下がらない
まとめと演習

6-8 ABC/ABMの落とし穴
使うならその本質をよく理解して
ABC/ABMは間接費マネジメントの切り札なのか
ABCだけでは全体観を見失う
まとめと演習

第7章 業績評価 〜管理会計をカタチにする〜
7-1 業績評価指標の重要性
人は採点基準通りに行動する
行動は指標によって決定付けられる
100の大義名分よりも1つの評価指標
まとめと演習

7-2 強化すべき部門はどれか
見るべき指標を間違えば戦略も間違う
強化の判断は限界利益で
ボトルネックがある場合
まとめと演習

7-3 撤退すべき部門はどれか
固定費を2つに分ける
部門Cを撤退させたらどうなるのか?
個別固定費と共通固定費
まとめと演習
補足解説 配賦に代わる“負担金方式”

7-4 管理可能性によるコストの分類
組織と人の評価を混同しないことが重要
火中の栗は誰も拾わない
部門の評価と部門長の評価は違う
まとめと演習

7-5 あるべき部門別損益計算書
これが管理会計をカタチにするということ
ここまでのまとめ
メータの意味を知らなければ宝の持ち腐れ
まとめと演習

7-6 予算管理への応用
管理できない数字を考えさせても意味が無い
形骸化している予算管理
管理可能なものだけ管理させる
まとめと演習

7-7 管理会計は経営思想に従う
株主重視は本当なのか?
財務会計では必然的に株主が最重視される
人件費前利益という考え方
まとめと演習
COLUMN ポスト資本主義

第8章 バランストスコアカード 〜表面的には業績評価手法、その実体は戦略必達ツール〜
8-1 バランスの取れた成績表
非財務的視点を加える
元々は業績評価手法
財務的指標だけでは人は動かない
まとめと演習

金子智朗 (著)
出版社 : 秀和システム; 第2版 (2017/8/10)、出典:出版社HP

スタンダード管理会計(第2版)

第2版刊行にあたって

『スタンダード管理会計』の初版を上梓してから7年が経過した。出版当時は、最新かつ十分な内容であることを確認していたが、この間、管理会計におけるいくつかの領域で研究が進んできたこと、公認会計士試験の出題範囲が改定されたこと、そして、海外の管理会計教育に関するカリキュラムなどと比較して不足している点が見出されたこともあり、若干の加筆を行って第2版を出版することとした。もちろん、加筆した部分は、管理会計の学習にとってきわめて重要な論点であることは申し上げるまでもない。

まず、第1章では、補節としてサービス産業の管理会計に関する現状を説明した。管理会計は主として製造業で発達してきたものであるが、本文にもあるように、サービス業が生み出す付加価値の割合がGDPの70%近くになっている今日、サービス業に対して適応できる管理会計が何であるかを考察することはきわめて必要となっている。さらに、サービス業の管理会計における特徴的な点を、本書の各章に関連させて記述している。第2章では戦略に対する管理会計の役立ちを述べているが、戦略の策定に関する記述を若干加えている。第4章では、価格決定に関する管理会計情報の役立ちを追加した。第5章は予算管理に関する章であるが、脱予算経営の記述を最新のものとした。

第11章では、原価管理が製品のライフサイクル全般にわたって考察されるべきであるとする、ライフサイクル・コストの管理を追加した。また、この章の補節として置かれていた環境管理会計は第12章に移動し、内容を拡充した。最後に第13章では、日本における分権化組織として著名なアメーバ経営について説明を加えている。「今回も4名の著者間で十分な検討を行い、以上の改訂を加えることで最新の管理会計に関する内容を網羅することができたと考えている。

最後に、改訂の機会を与えてくださった東洋経済新報社の渡辺智顕氏には心より感謝申し上げる。

2017年2月
著者一同

小林 啓孝 (著), 伊藤 嘉博 (著), 清水 孝 (著), 長谷川 惠一 (著)
出版社 : 東洋経済新報社; 第2版 (2017/3/24)、出典:出版社HP

はじめに

企業は生き物である。生き物である企業を、生活の場である社会の変動に適合できるように経営者が長期的なビジョンを描き、そのビジョンの達成に向けて進ませようとする領域が「経営」であると考えられよう。こうしたビジョンを達成するためには、さまざまな意思決定を行わなければならない。

右へ行くのか、左へ折れるのか、前進するのか、立ち止まるのか、あるいはその場から後退するのか。仮に前進を決めたとするならば、進む速度はどのくらいにするのか。予定したとおりに前進できているのかを確認しなければならないし、よりよい道があることが途中でわかれば、方向を転換したり、陸路から海路に変更するといったことも必要になる。経営は、こうした意思決定と、意思決定して計画されたことがらが計画どおりに実行されているかの確認、そしてそこから得た情報による計画の修正(新たな計画の策定)ということの繰り返しである。管理会計は、経営におけるこうした意思決定や業績評価に対して、さまざまな情報を提供することを目的とした学問である。

管理会計の発展は、1900年代の前半に遡ると言われている。世界が工業化時代を迎えて大きく拡大し、モノを大量に生産して世界中に流通する社会においては、この状況に適切な情報があったはずである。その後、歴史は大きな変化の波に翻弄されていく。不況と好況を繰り返し、人々の嗜好は大きく変化し、消費行動や購買行動も激変してきたが、こうした変化に対応して多くの企業は生き残ってきた。そこに必要なものは何であったのか。それはもちろん、高度な開発力、素晴らしい製品、適切な販路あるいは高い品質を誇る生産現場であったことは間違いない。しかし、他方でこうした異なる領域をひとつに結びつけて、成功の方向に動かすためのマネジメントがなければ、企業の力を最大限に活かすことはできない。

なぜなら、企業が持つ資源は無制限ではない。人の制約、モノの制約、資金の制約そして情報の制約の中で最大の効果を生み出すためには、こうした資源をいつ、どこに、どれだけ投入し、効率的に運用するかということを考えていかなければならない。管理会計は、こうした要請に応えるために発展してきたのである。しかし、管理会計は機械的に効率の向上を追求するものではない。その本質は、「人を動かすこと」である。立派な戦略がある。一分の隙もない計画がある。しかし、それは思い描いたとおりに実行できてこそ、意味を持つのである。そして、こうした戦略や計画を実行するのは、戦略策定者や計画立案者だけではない。組織の中にいるすべての者がこれを実行するのである。

したがって、いかに戦略や計画を組織構成員に理解させ、個人の目標と組織目標を整合するようにし、組織が一丸となって経営環境の変化に対応して組織が勝ち残れるよう人々を動かすのかがもっとも重要な点なのである。その点で言えば、管理会計論は難解な理論のみから構成されているわけではない。もちろん、中にはファイナンスの理論を適用した、複雑な数学的理論が応用されているものもあるが、その多くはきわめて常識的なものである。管理会計を学習していくにあたって必要なのは健全な常識と若干の論理性だけである。人を動かすために必要な常識と論理性の集合が管理会計という学問のコアであることは間違いない。本書を通じて、この概念は一貫して示されている。

本書は、早稲田大学商学部、大学院商学研究科および大学院会計研究科で、管理会計関連の科目を担当している4名によって執筆された。この4名は、それぞれに得意の領域を持つ管理会計のスペシャリストであり、管理会計が実務の学問であるという性格にもとづいて、数多くのフィールド・スタディを通じた実務界のケースや、実務界との協働による知見も豊富に有している。そのスペシャリストが、最新の管運会計の動向を意識しながら管理会計の領域について網羅的に取り上げ、さらに学部における初学者から大学院やアカウンティング・スクールの学生。さらには管理会計実務担当者にも有用な知識を提供できるよう議論を重ね、各章とも、基本的な内容に始まり、最先端の論点まで触れるよう工夫した。また、公認会計士試験の出題範囲も完全にカバーしている。

もちろん、紙幅の制限がある以上、すべての論点についてあらゆる検討をするわけにはいかないが、そのような場合にもさらに研究すべき参考文献を示している。また、単に読むことで学習が終わることのないよう、本文中には多数の計算設例を設けて、理論を具体的な計算に展開することができるようにした。また、章末にも問題を掲載したので、各自の理解の程度を必ず確認していただきたい。

そもそも本書は、長年にわたりさまざまな研究会や学会で連携をしながらも、異なる大学で研究・教育を行っていた4名が早稲田大学商学学術院に集まった2005年に企画が始まった。その後、常にメンバーの数名が大学の役職に就き、十分な時間が取れない状況の中、少しずつ前進を重ねてようやく出版にまでこぎつけることができた。本書は、学部教育、大学院教育、アカウンティング・スクール教育さらには実務界との連携の中で、4名の執筆者が得てきた知識やノウハウをすべて著したものである。本書によって、学生や実務家の方々の学習の一助になるならば、それは著者一同の喜びにほかならない。

最後に、企画以来4年の長きにわたり、遅々として進まない編集作業を辛抱強く見守り、本書の出版にご尽力いただいた東洋経済新報社の井坂康志氏に御礼を申し上げたい。

2009年6月
著者一同

小林 啓孝 (著), 伊藤 嘉博 (著), 清水 孝 (著), 長谷川 惠一 (著)
出版社 : 東洋経済新報社; 第2版 (2017/3/24)、出典:出版社HP

目次

第2版刊行にあたって
はじめに

第1章 管理会計の基礎知識
1 管理会計の意義と目的

2 管理会計に対する役割期待
意思決定会計と業績評価会計
戦略策定、マネジメント・コントロール、 タスク・コントロール

3 手段としての管理会計
管理会計システムの二面性
マネジメント・コントロールと管理会計

4 財務会計と管理会計
会計測定の構造的・技術的特徴
管理会計と財務会計との不可分性
財務的成果と非財務的成果の統合

サービス業の管理会計
◎練習問題

第2章 戦略遂行のための管理会
1 マネジメント・コントロールの考え方
マネジメント・コントロール・システムの意義
戦略管理会計の台頭

2 バランスト・スコアカードの登場
バランスト・スコアカードの登場と変遷
バランスト・スコアカードの意義と4つの視点
バランスト・スコアカードの構成要素

3 戦略マップの基本要素と作成
戦略のロジック考察
内部プロセスの分類
(1) 業務管理のプロセス
(2) 顧客管理のプロセス
(3) イノベーションのプロセス
(4) 規制と社会のプロセス
戦略マップのパターン
(1) 価値提案「最低のトータル・コスト」のための戦略マップ
(2) 価値提案「製品リーダー」のための戦略マップ
(3) 価値提案「完全なソリューション」のための戦略マップ

4 スコアカードの基本要素と作成
尺度・目標値・戦略的実施項目の意義
尺度・目標値・戦略的実施項目の決定方法
スコアカードの下方展開

5 戦略マネジメントシステム
戦略マネジメント・システムの意義と発展
戦略マネジメント・システムの6つのステップ

6 非財務尺度と業績評価
非財務尺度の重要性
非財務尺度を用いた業績評価

◎練習問題

第3章 財務情報分析
1 財務情報分析の意義と目的
情報分析の一環としての財務情報分析
財務情報分析のための基礎知識

2 収益性分析
投下資本に対するリターンで評価する収益性の指標
(1) 総資本(資産)利益率(Return on Assets: ROA)
(2)自己資本利益率(Return on Equity: ROE)
(3) 経営資本利益率(Return on Operating Assets)
財務レバレッジによる自己資本利益率への影響
資本利益率の分解
(1) 資本利益率の売上高利益率と資本回転率への分解を
(2) 売上高利益率の分解
(3) 資本(資産)回転率の分解

3 生産性分析
付加価値と生産性分析
付加価値の計算と留意点
生産性分析における代表的な財務指標

4 財務安全性の分析
財務安全性の代表的財務指標
(1) 流動比率と当座比率
(2) 負債比率
(3) 固定比率と固定長期適合率
貸借対照表の項目間比率にもとづく安全性指標の限界

◎練習問題

第4章 短期利益計画のための管理会計
1 短期利益計画の基礎
短期利益計画の意義
中期経営計画と利益計画
利益計画の設定後
利益目標の設定

2 CVP分析
CVP分析の基礎
(1) CVP分析の意義
(2)固定費と変動費の分類と正常操業圏
(3) 費用分解の方法
CVP分析のための一般式とグラフ
(1) CVP分析のための一般式
(2) 損益分岐分析
(3) 利益図表
(4) 貢献利益図表
(5) CVP分析の仮設例
損益分岐分析に関連した財務指標
(1) 安全率と損益分岐点比率
(2) 経営レバレッジ
製品の種類が複数ある場合のCVP分析と損益分岐分析
(1) 加重平均値を使う方法
(2) プロダクト・ミックスの基本最小セットを使う方法
全部原価計算方式での損益分岐分析
CVP分析の限界

3 直接原価計算方式によるセグメント別損益計算
セグメント別損益計算書
管理可能費と管理不能
キャパシティ・コスト

4 価格決定
価格の設定状況と価格に影響を与える要因
価格と原価、利益
コスト・プラス方式による価格の決定
レベニュー・マネジメント (revenue management)
(1) レベニュー・マネジメントの導入の背景
(2) レベニュー・マネジメントの概要
価格と規制

◎練習問題

第5章 予算管理と責任会計
1 予算管理の基礎
予算管理の意義と機能
(1)予算管理と利益計画
(2) 予算編成の方法と予算編成方針
(3) 予算の機能
(4) 予算管理の前提条件
予算の種類と体系
(1)予算の種類
(2) 予算の体系

2 予算編成
損益予算の編成
(1) 損益予算
(2) 販売予算の編成
(3) 製造予算の編成
(4) 一般管理費予算・研究開発費予算の編成
資金予算と総合予算
(1) 資金予算の編成
(2)総合予算の編成

3 予算差異分析
予算差異分析の意義と比較損益計算書の作成
(1) 予算差異分析の意義
(2) 損益計算書予算実績比較表の作成
予算実績差異分析の詳細
(1) 予算実績差異分析のデータ
(2) 売上高差異の分析
(3) 売上高に関する販売数量差異の詳細分析
(4) 変動製造原価の差異分析
(5) 変動販売費の差異分析
(6)貢献利益差異の分析
(7) 固定費の差異分析
貸借対照表差異分析
貸借対照表予算実績比較表の作成
予算報告書

4 脱予算経営の動き
予算管理に対する不満
脱予算経営
予算有用論 予算とBSCの併用

◎練習問題

第6章 資金、キャッシュ・フロー・マネジメント
1 資金概念の多様性
2 短期のファイナンシャル・マネジメント 長期のファイナンシャル・マネジメント
短期のファイナンシャル・マネジメント
長期のファイナンシャル・マネジメント

3 短期のファイナンシャル・マネジメント・
キャッシュの源泉
オペレーティング・サイクルとキャッシュ・サイクル
(1) オペレーティング・サイクルとその分割
(2) 財務諸表情報にもとづいたオペレーティング・サイクル等の把握
(3) キャッシュ・サイクルの意義
(4) 短期のファイナンシャル・ポリシー
(5) 財務指標から計算する回転期間(回転率)
現金予算(予定資金繰り表)

4 損益計算とキャッシュ・フロー
損益計算とキャッシュ・フローの関係
企業のライフ・サイクル、ビジネス・モデルの違いによるキャッシュ・フローの違い

5 資金関係の計算表
資金関係の計算表の作成と種類
(1) 資金関係の計算表の作成方法
(2) 資金関係の計算表
連結キャッシュ・フロー計算書
(1) 連結キャッシュ・フロー計算書の情報の用途
(2) キャッシュ・フロー計算書の作成方法
(3) キャッシュ・フロー計算書の様式
(4) 営業活動によるキャッシュ・フローの区分
(5) キャッシュ・フロー計算書の情報を使用した財務指標

◎練習問題

小林 啓孝 (著), 伊藤 嘉博 (著), 清水 孝 (著), 長谷川 惠一 (著)
出版社 : 東洋経済新報社; 第2版 (2017/3/24)、出典:出版社HP

第7章 差額原価・収益分析
1 短期的意思決定の問題
意思決定の意義
戦略的意思決定と業務的意思決定

2 意思決定のための原価概念

3 受注の可否に関する意思決定
(1) 全部原価計算方式の計算
(2) 差額利益計算方式
(3) 意思決定における注意点

4 部品の自製か購入かの意思決定
(1) 全部原価計算方式
(2) 差額利益計算方式
(3) 意思決定における注意点

5 販売か追加加工かの意思決定
(1) 全部原価計算方式の利益計算
(2) 差額利益計算方式
(3) 意思決定における注意点

6セールス・ミックスの意思決定(1)
セールス・ミックスの基本設例
線形計画法の適用

7 セールス・ミックスの意思決定(2)
複雑な条件のもとでのセールスミックスの決定
シンプレックス法の適用

◎練習問題

第8章 投資プロジェクトの経済計算
1 投資プロジェクトの会計的側面からの評価
投資プロジェクトの評価
キャッシュ・フローにもとづいた投資プロジェクトの評価
(1) キャッシュ・フローによる計算
(2) 投資プロジェクトの評価手法
時間価値を考慮しない手法
(1) 回収期間法
(2) 投下資本利益率法
正味現在価値法
(1) 正味現在価値法による投資プロジェクトの評価
(2) キャッシュ・フローの現在価値の簡便計算
(3) 年価
(4) 正味現在価値法に関連した財務指標
内部利益率法
(1)内部利益率法による投資プロジェクトの評価
(2) 内部利益率と正味現在価値の関係
(3) 通常パターンのキャッシュ・フローの場合の内部利益率の近似計算
(4) 内部利益率法の問題点

2 資本コストの推定
加重平均資本コスト
株主持分コストの推定
(1) 配当割引モデル
(2) CAPMアプローチ
負債コストの推定
加重平均資本コストの計算

3 投資プロジェクトの特殊問題
インフレーションが発生している場合の投資プロジェクトの評価
(1) 名目利率、実質利率、物価上昇率の間の関係
(2) インフレーション下の正味現在価値計算の方法
設備投資を実行した場合の採算製造・販売量
ターゲット企業の評価
(1) M&Aのターゲット企業の評価の方法
(2) DCF法による企業価値評価

4 リアル・オプションの意義と概要
伝統的DCF法の限界
リアル・オプションの意味
(1) オプション
(2) オプション価格の計算
(3) 実物投資におけるオプションの存在
(4) リアル・オプションの場合のオプション価格の計算
(5) リアル・オプションの意義

◎練習問題

第9章 活動基準原価計算・活動基準原価管理・活動基準予算
1 製造間接費の計算の問題点
製造間接費の配賦計算
製造間接費の原価計算
(1) 部門個別費と部門共通費
(2) 部門共通費の配賦基準
(3) 補助部門用役の提供量
(4) 製造部門の作業時間
(5) その他の条件
製造間接費の計算に関する問題点

2 活動基準原価計算の原理
活動基準原価計算の意義と計算原則
活動基準原価計算の要素
(1) 活動
(2) コスト・ドライバー
活動基準原価計算の具体例
(1) 活動基準原価計算の前提
(2) 活動への原価の集計
(3) 活動原価のコスト・ドライバー・レートの計算
(4) 製品への活動原価の集計

3 活動基準原価管理の原理
活動基準原価管理の生成と意義
活動基準原価管理の内容
(1) 活動分析
(2) 業務コスト・ドライバー分析
(3) 業績分析
2つの活動基準原価管理

4 活動基準予算管理の原理
活動基準予算管理の意義
ゼロベース予算と活動基準原価計算

◎練習問題

第10章 生産管理・在庫管理のための管理会計
1 生産管理・在庫管理のための管理会計の範囲
生産管理と在庫管理の意義
伝統的在庫管理の手法
(1) ABC分析
(2) 経済的発注量分析
(3) 発注点分析

2 ジャスト・イン・タイム生産と新しい原価計算
ジャスト・イン・タイム生産の意義
バックフラッシュ・コスティングの意義と目的
制約理論とスループット会計

3 サプライ・チェーン管理会計の意義と目的
サプライ・チェーンおよびサプライ・チェーン・マネジメントの意識
サプライ・チェーン・マネジメントの種類
物流機能に着目したサプライ・チェーン・マネジメント
企業連携の原価管理

◎練習問題

第11章 原価管理
1 原価維持のための管理手法
標準原価管理
原価標準の設定
(1) 直接材料費標準の設定
(2) 直接労務費標準の設定
(3)製造間接費標準の設定
標準実績差異の分析
(1)直接材料費差異の計算
(2)直接労務費差異の分析
(3)製造間接費差異の計算
(4) 差異原因の分析と是正措置
標準原価管理の限界

2 原価企画
原価企画の意義と展開プロセス
(1) 原価の源流管理
(2) 原価企画の展開プロセス
原価企画の手段的特徴
(1) VEの活用
(2) オーバーラップ型の製品開発体制
(3) 日本的なバイヤー・サプライヤー関係
原価企画の海外移転
(1) わが国の海外現地子会社への移転
(2) 海外企業への原価企画の浸透

3 原価改善
原価改善の意義と特色
(1) 原価改善と原価企画
(2) 原価改善の実践プロセス
製造現場における改善活動
(1) 工程管理
(2) 歩留管理

4 ライフサイクル・コスティング
ライフサイクル・コストとライフサイクル・コスティング
LCCとTPM
ライフサイクル・コスティングの拡張
(1) ライフサイクル・コストの確定および発生のタイムラグ
(2) 地球環境問題とLCC

◎練習問題

第12章 品質管理会計
1 品質管理会計の意義と目的
品質管理会計と品質コスト
品質コストの分類
品質コストの手段的特徴
品質コストと品質原価計算

2 TQC / TQMと品質コスト
TOMの主要指標としての品質コスト
TQCと品質コスト
シックスシグマとCOPQ

3 品質コストの集計と分析
トレンド分析
パレート分析
比率分析

4 サプライヤーの品質コスト分析
サプライヤーの品質コストの構成要素
サプライヤーの品質コスト低減化のための施策
(1)品質保証規格によるマネジメント
(2) サプライヤーの品質コストパフォーマンス指標

5 隠れた品質コストと機会損失の測定
隠れた品質コストの諸様相
機会損失の見積り

6 環境管理会計
環境管理会計の台頭
(1)品質管理会計と環境管理会計
(2) マテリアルフローコスト会計
原価計算システムとしてのMFCA
(1) MFCAの目的
(2) MFCA の計算プロセス
MFCAの手段的特徴
(1) MFCA導入のメリット
(2) MFCAの限界
MFCAの現状と課題
(1) MFCAの普及状況
(2) サプライ・チェーンへのMFCAの適用
(3) MFCA革新のための課題

◎練習問題

第13章 グループ経営と分権組織の管理会計
1 グループ経営
企業グループの経営
集権的組織と分権的組織
グループ経営における本社部門の役割

2 事業部制とカンパニー制
事業部制
カンパニー制
事業部の業績測定システム
(1)事業部損益計算書
(2) 事業部別貸借対照表
(3) 社内資本金と社内金利
(4) 社内資本金、社内金利の機能
(5) 事業部の業績評価

3振替価格
振替価格の意義
振替価格にかかわる責任会計上の2つの問題
振替価格の決定基準
(1) 市価基準
(2) (広義の)原価基準
(3)協議価格基準
状況に応じた振替価格の検討
(1) 振替品に外部市場があり、市価情報が入手できる場合
(2) 振替品に外部市場が存在しない場合
多国間移転価格

4 EVA
EVAの意義
(1) 業績評価尺度としてのEVA
(2) EVARの計算
EVA が財務指標として望ましい時
(1) 企業価値、MVA、 EVARの関係
(2) NPVとEVA”の現在価値合計の一致
NOPATと資本の計算
(1) NOPATの計算
(2) 資本の計算

5 アメーバ経営
ミニ・プロフィット・センター
アメーバ組織の取引構造
独立採算制のための損益計算書と時間当り採算
マスター・プランと予測の導入
オープンブック・マネジメント
京セラフィロソフィ

◎練習問題

索引
著者紹介

小林 啓孝 (著), 伊藤 嘉博 (著), 清水 孝 (著), 長谷川 惠一 (著)
出版社 : 東洋経済新報社; 第2版 (2017/3/24)、出典:出版社HP

管理会計〔第七版〕

第七版への序

2015年に本書の第六版を上梓してからわずか3年余の間に、日本の経済、社会、ビジネスの環境は劇的に変化した。本書との関係で注目すべき最も大きな変化は、3つある。

第1は、数多くの日本の製造業が高品質な工場を海外に移転してしたため、マザー工場として位置づけられてきた日本の工場や設備が老朽化した。そのような要因もあって、優良企業における品質不良が続出した。第2は、中国はここ数年さらなる飛躍的な発展を遂げている。国民総生産高やAIなどの先端技術で、わずか10年ほどの間に日本は中国に大きく水をあけられた。品質管理では、日本に代わって東南アジア諸国の製品品質が大幅に改善され、東南アジア製の製品品質は著しく向上した。第3に、逆に、日本企業はこの10年間、国内の設備投資、人材育成、研究開発投資を怠ってきたことにより、近年ではその歪みが品質不良、革新的な新製品の不在といった形で随所に現れ始めてきた。

本書『管理会計 第七版』は、以上で述べたような日本企業の現状分析に立脚した、日本企業が有する課題を明らかにするとともに、日本企業に内在する課題を改善するための具体的な方策を世に問うべく上梓した。第七版の際立った特徴は、次の5点にある。

第1は、AI(人工知能)の管理会計への適用に向けて、管理会計担当者は何を目指すべきかを明らかにした。第2は、管理会計の若手研究者による実証研究の成果を数多く紹介することで、内容の充実を図った。第3は、日本企業における劣化した品質管理の現状と課題を明らかにするとともに、その処方箋を提示した。第4は、京セラのアメーバ経営の現状と課題を明らかにするとともに、アメーバ経営の長所だけでなく問題点をも明らかにした。第5に、宅配業者によって惹起させられている物流革命の現状を明らかにした。

本書の構成を簡潔に述べたい。本書は全6部からなる。第1部では、管理会計の基礎を述べた。第1章では、管理会計が企業価値を創造するための経営者のツールであることを明らかにした。第2章では、管理会計の基礎概念を述べた。続いて第3章ではキャッシュ・フロー経営について考祭した。第4章では、IFRS(国際財務報告基準)と経済基盤の典型的な発展モデルとの関係から、日本の「原価計算基準」の問題点を指摘した。そして第5章においては、内部経営管理者の立場から企業評価と財務諸表分析の基礎を概説した。

第2部では利益管理をテーマの中心にした議論を展開した。中長期経営計画がトップとミドルの経営計画に深く関連するのに対して、予算管理は現場の業務活動のマネジメント・コントロールに関連する。第6章では中長期経営計画について述べ、第7章では、理論と実務的な立場から予算管理を考察した。第8章では、利益管理のプロセスで頻繁に活用されてきた損益分岐点分析の活用方法を中心に述べ、第9章では損益分岐点分析を会計制度のなかで行える仕組みである直接原価計算について論究した。

第3部では、原価管理のための管理会計を考察した。第10章では、標準原価計算の果たすコスト・コントロールに焦点をおいて、その役割と限界を述べた。続く第11章では、標準原価計算のもつ限界を克服するツールの1つとして、原価企画について述べた。原価企画はトヨタ自動車およびその関係会社によって生み出された、日本の誇る戦略的な原価管理の手法である。一方、次の第12章で考察するABCは、アメリカで生み出された製品戦略と原価低減および予算管理のためのツールである。第13章ではコスト・品質の戦略的コスト・マネジメントの課題を、近年の日本製品の品質劣化との関係で考察した。そして第14章では、販売促進費、物流費および本社費を企業がどのように管理すべきかについて、理論と現場サイドからの提案を行った。

第4部では、経営意思決定のための管理会計を概説した。第15章では経営意思決定の基礎概念を説明するとともに、設例をもとに、業務的意思決定の諸問題を考察した。第16章では戦略的意思決定の1つとしての設備投資の意思決定を考察した。リスク対応についても、いくつかの提案を行った。第17章では、戦略的・戦術的価格決定の課題に取り組んでいる。

第5部では、戦略策定のための管理会計を考察した。第18章では、戦略の基礎概念から各種の主要なツールまでを、できるだけわかりやすく紹介した。本章の理解を前提としたうえで、第19章では、企業がバランスト・スコアカードを活用して、いかにしてそれを戦略の策定と実行に役立たせるかを述べた。第20章では、知的財産、ブランド、コーポレート・レピュテーションの概念整理とマネジメントを扱い、インタンジブルズの戦略を考察した。

第6部では、2種類のテーマ(本書の第5部までに考察しきれなかったテーマと、管理会計の新たな展開)に取り組んだ。第21章と第22章では、いずれも組織にかかわる管理会計上の課題を取り上げた。具体的には、第21章では事業部制の業績評価を、そして第22章では組織再編と分権化の管理会計を考察した。JALを短期間で見事なまでに再生させた京セラのアメーバ経営の長所と課題については、この章で述べた。第23章では、EVA(経済的付加価値)を深堀りし、併せてEVA導入の留意点を中心に述べた。

なお、本章では2つの補論を付して、コーポレートガバナンス・コードで政府関係機関が企業に8%のROE目標を強いることの問題点を指摘するとともに、日本の低い労働分配率の現状と課題について述べた。第24章では、管理会計におけるITの役割として、ソフトウェア原価計算やIT投資戦略、クラウド、ソーシャルメディアなどを取り上げた。第25章では、AIの会計、内部監査、会計士監査での現状を述べるとともに、管理会計へのAIの適用、および適用にあたっての留意点を指摘した。最後の第26章では、今後の日本企業の持続的発展に欠かすことのできない、研究開発費の管理会計について考察した。

本書の概要は、以上のとおりである。では、本書を通じて著者が読者に最も伝えたかったことは何なのか。それは、次の3つの点である。

第1に、管理会計の実務で最も大切なことは何かと問われるならば、「経営の可視化」(見える化)である。経営の可視化によってはじめて問題点を明確に把握できる。経営を可視化するには、どんぶり勘定ではなく「セグメンテーション」が肝要である。事業や商品をセグメンテーション(区分)するには「測定」が必要である。管理会計の世界では、“測定されないものは管理できない”ということを銘記すべきである。

第2に、企業の目的は、企業価値の創造にある。では、企業価値とは何か。大多数の日本の経営者が考えている企業の本来的な価値は、アングロサクソン流の理論が教えるような株主価値や経済価値だけではない。企業が将来にわたって持続的発展を図るには、経済価値に加えて、顧客価値、社会価値および組織価値を高めることの必要性を強調した。いわゆる江戸時代に近江商人が唱えたという「三方良し」の考え方である。

第3に、経営には効率を上げることは重要である。しかし、効率を上げるために企業本来の目的を見失ってはならない。現代の企業にとって重要なことは、企業目的を効率的かつ効果性に達成することである。本書で「効果性重視の経営」というとき、短期的な利益に目が奪われて持続的発展に必要な「効果性」を軽視してはならないということである。

本書の改訂にあたっては、数多くの研究者・実務家から貴重なご意見をいただいた。最も多くのご意見をいただいたのは、毎週月曜日の午後に、専修大学の生田校舎において行っている「管理会計研究会」の研究者と実務家の仲間からのものである。とくに研究会の責任者、専修大学の伊藤和憲教授からは数々の貴重な提言と示唆を頂いた。専修大学の青木章通教授、岩田弘尚教授、谷守正行准教授、明治大学の喘章浩教授、東京国際大学の奥倫陽教授からも、ほぼ毎回のように数々の貴重なご意見を頂いた。

財務省財務総合政策研究所客員研究員(独立行政法人都市再生機構理事兼務)の大西淳也氏は、ご多忙な時間を割いてほぼ毎回研究会に参加頂き貴重なご意見を頂戴した。北海学園大学の関谷浩行准教授および防衛省の本間正人氏は勤務の関係から研究会には参加できなかったが、全章に渡って事前に有意義なご意見を頂戴した。そのほか、名前を列記できないが数多くの先生、経営者および大学院生からも貴重なご意見を頂戴した。記して、これらの仲間の一人ひとりに心より感謝の意を表したい。

最後に、同文舘出版社長の中島治久氏および取締役編集局長の市川良之氏には構想から完成まで、本書の完成をご支援頂いた。お二人の励ましがなければこの度の改訂が実現することはなかったであろう。心より感謝している。本書の読者としては、企業経営者、大学院生、会計学研究者、コンサルタント、公認会計士試験受験者、学部生、とくにゼミ生を想定している。本書が日本企業の持続的な発展とコーポレート・レピュテーションの向上に取かでも寄与できるのであれば、著者の存外の慶びとするところである。

2019年初春
櫻井通晴

櫻井 通晴 (著)
出版社 : 同文舘出版; 第七版 (2019/2/27)、出典:出版社HP

目次

第七版への序

第1部 管理会計の基礎
第1章 経営者のための管理会計
1企業の経営者と管理会計
企業の目的
企業価値が日本の経営者にとってもつ含意
経営者の機能
経営計画と統制 マネジメント・コントロール

2企業における管理会計の役割
企業と会計
会計についての2つの見解
企業会計の2つの領域
財務会計と管理会計の特徴
管理会計の基本的前

3日本企業のガバナンス体制と内部統制
日本の株式会社のコーポレート・ガバナンス体制
内部統制組織
内部統制は管理会計の対象範囲に含まれるか?
J-SOX法による内部統制とリスク管理

4経営組織と管理会計の担当組織
組織形態
経営組織
ライン・スタッフ、委員会組織
稟議制度、職能別分権制
管理会計の担当組織
経営企画室、経理部、財務部の関係
経理関係担当者の給料-日米比較

5管理会計担当者の倫理規範
専門的能力
機密保持
誠実性
客観性

6管理会計の体系と本書の構成
過去から現在までの主要な管理会計体系
本書における管理会計の体系
本書の構成

参考1 会社は誰のものか

第2章 企業価値創造のための管理会計
1現代企業における企業価値創造の意義
企業価値は経済価値とイコールなのか
DCF法による企業価値測定の妥当性
企業価値は経済価値、社会価値(顧客価値を含む)組織価値からなる

2企業価値創造のための効果性重視の経営
環境の変化にともなう企業目標と管理会計手法の変化
効果性重視の経営-経済性、能率、効率との関係で
ポスト工業化社会における管理会計への役割期待
21世紀でのインタンジブルズの重要性
統合報告と企業価値

3責任会計制度
責任会計制度における責任センター
責任センター
責任センター概念の展開

4業績評価基準の選択
業績評価における階層性
日米企業における伝統的な財務業績評価の方法
企業価値の創造と業績評価の方法

参考2 企業価値とは何か

第3章 キャッシュ・フロー経営
1近代会計学とキャッシュ・フロー
発生主義とキャッシュ・フロー
発生主義アプローチとキャッシュフロー・アプローチ

2キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書の様式
間接法と直接法
財務会計のグローバル・スタンダード化への背景

3キャッシュ・フロー情報利用の歴史的沿革
管理会計成立当時の利益情報
1930年代における利益管理のためのキャッシュ・フロー情報
1960年代における設備投資意思決定
現代におけるキャッシュ・フロー情報

4フリー・キャッシュフローとキャッシュ・フロー投資利益率
伝統的概念 自己金融
フリー・キャッシュフロー
キャッシュ・フロー投資利益率(CFROI)

5キャッシュ・フロー情報の活用方法
EBITDA
キャッシュ・フロー情報と業績評価
キャッシュ・フロー情報と意思決定・戦略の策定

第4章 原価計算の基礎と「原価計算基準」の現代的意義
1原価計算の意義
原価計算とは何か
原価計算対象とは
原価計算の目的
原価計算の適用領域
本書での原価計算の考察対象の限定

2原価概念と原価の分類
操業度、固定費と変動費の分類
管理可能費と管理不能費
製品原価と期間原価
原価要素と原価の構成要素
製造原価要素の分類
伝統的な原価の概念とコストとの異同

3原価計算制度における製品原価算定の手続き
原価計算制度と特殊原価調査
製品原価計算のステップ
個別原価計算
製造間接費の配賦と生産量の増減
総合原価計算
平均法における計算原理

4原価計算とディスクロージャー
製造原価明細書と財務諸表
総原価の計算と売価

5「原価計算基準」(「基準」)の現代的意義と課題
経済モデル 経済基盤の変容と「基準改定」の必要性
「基準」を放置することによる会計基準、税務との不整合性
防衛省の「訓令」に及ぼす「基準」の影響
「基準」のあり方を巡って現実的な解決法を探る

第5章 企業評価と財務諸表分析
1企業価値の評価
企業価値の評価になぜ経済価値の測定が必要か
将来キャッシュ・フローの現在価値の測定

2財務諸表分析の基礎データとなる財務諸表
損益計算書
貸借対照表

3財務諸表分析
収益性分析
安全性の分析
生産性の分析
成長性分析
投資収益性の分析

参考3 日本の生産性は、世界的に見て高いのか低いのか

第2部 利益管理のための管理会計 経営計画とコントロールのための会計1
第6章 中長期経営計画、利益計画、目標管理
1経営戦略と中長期経営計画
経営理念、ビジョン、中長期経営計画
中長期経営計画の役割
中長期経営計画の展開のプロセス
中長期経営計画情報の自発的な外部ステークホルダーへの開示

2利益計画の意義とその設定
長・中・短期の利益計画
中長期経営計画の更新期間とその方法
利益計画における費用・収益計画
利益計画の策定過程

3利益計画における目標利益
企業が目標とする利益 利益の極大化か多元的目的か
目標利益の指標
IFRSを前提にした目標利益における利益概念
目標利益の求め方

4利益目標を補足する非財務業績の目標
非財務業績とは何か
非財務業績指標がなぜ必要か
非財務業績指標のマネジメントコントロール・システムへの統合
財務業績と非財務業績の目標値の設定
顧客ロイヤリティと顧客満足の罠
従業員満足は先行指標となる非財務業績

5目標管理の現状と課題
目標管理とは何か
目標管理の問題点は何か
リコーはいかにして目標管理の形骸化を防いだか?
知識創造型人材を育成するには目標管理は有効か

第7章 企業予算によるマネジメント・コントロール
1利益計画と企業予算
利益計画の本質と企業予算
利益計画と予算編成の関係

2予算管理の意義、目的、体系
企業予算と予算管理
予算管理の目的
予算の体系

3予算編成の手続き
予算編成のアプローチ
経常予算編成の基礎
予算編成の手続き
経常予算編成の具体的な手続き
損益予算編成の手続き
資金予算編成の手続き
資本予算編成の手続き

4予算統制の方法とその限界
変動予算
基本予算と実行予算
予算差異分析の方法
予算差異分析の限界

5予算管理を活かすための動機づけ、参加、組織文化
予算モチベーションと行動科学に基づく予算統制論
予算管理と動機づけ
参加的予算管理
予算管理による組織能力の構築

6マネジメントコントロール・システムの運用と組織文化
会計によるコントロールの限界とコントロール・パッケージ
マルミニブラウンが提唱する「パッケージとしてのMCS」とは何か
マルミニブラウンの「パッケージとしてのMCS」の特徴
日本企業における「パッケージとしてのMCS」の必要性

7脱予算管理の妥当性
脱予算管理の意義と予算管理の役割
予算管理の問題点とその克服のための方策
日本企業は脱予算管理の主張にいかに対応すべきか
脱予算管理が必要とされる企業

第8章 損益分岐点分析による収益性の検討
1損益分岐点分析の経営への活用
損益分岐点分析とCVP分析
限界利益
損益分岐点図表
算式による損益分岐点の分析

2損益分岐点分析の展開と前提
固定費、変動費の増減
目標利益売上高の算定
一定の目標売上高利益率を達成するための売上高
投資利益率と損益分岐点分析
法人税と目標利益
感度分析の損益分岐点分析への適用
安全余裕率
損益分岐点の位置
業務レバレッジ
営業外収益、費用の分析
損益分岐点分析の前提

3固定費・変動費の態様と原価分解
経済学と会計学における原価態様の仮定
原価分解

参考4 限界利益か貢献利益か、直接原価計算か変動費原価計算か

第9章 直接原価計算による利益管理
1直接原価計算の意義
直接原価計算とは何か
直接原価計算の損益計算書
直接原価計算の特徴

2全部原価計算と直接原価計算の利益
営業利益に差が出るのは固定製造原価の差
全部原価計算と直接原価計算とで利益が異なる理由

3直接原価計算の機能
利益計画への活用
経営意思決定への活用
原価管理への役立ち
公表財務諸表と直接原価計算

4標準直接原価計算
標準直接原価計算の意義、目的、様式、有用性
標準直接原価計算の目的
標準直接原価計算の様式
標準直接原価計算の計算例
標準直接原価計算の実務的な有用性

5キャパシティ・コストと貢献利益法
キャパシティ・コストとは何か
セグメント・マージンと貢献利益法

6スループット会計
TOCによる伝統的会計(原価管理システム)の批判
スループットとは何か
スループットは直接原価計算の発展形
スループット会計システムが日本の管理会計に対してもつ意義

櫻井 通晴 (著)
出版社 : 同文舘出版; 第七版 (2019/2/27)、出典:出版社HP

第3部 原価管理のための管理会計 経営計画とコントロールのための会計2
第10章 標準原価計算によるコストコントロールー
1標準原価計算による原価管理の意義
標準原価計算とは何か
標準原価計算による能率管理
標準原価計算の目的
IFRSにおける標準原価計算の扱い
標準原価の種類

2標準原価の設定
標準直接材料費の設定
標準直接労務費の設定
標準製造間接費の設定
習熟曲線と経験曲線

3原価差異分析
直接材料費の差異分析
直接労務費の差異分析
製造間接費の差異分析

4標準原価計算の特徴と限界
標準原価計算の特徴
標準原価計算の原価管理上の限界
現在でも多くの企業が標準原価計算を活用している理由
IFRSによって提起される「基準」との関係

第11章 原価企画による戦略的コスト・マネジメント
1原価企画生成の沿革と背景
原価企画誕生の背景
管理会計の手法としての原価企画

2 原価企画の目的と特徴
原価企画の目的
標準原価計算との比較で見た原価企画の特徴
英語での呼称から見た原価企画の特徴

3 原価企画、原価改善、原価維持の体系
革新、改善、維持
原価企画と原価改善、原価維持との関係

4原価企画の推進方法
原価企画のフェイズと委員会の役割
中長期経営計画の原価企画への統合
原価企画の担当組織
原価企画の展開方法

5原価企画のための原価概念
許容原価
成行原価
目標原価
原価見積もりのためのコスト・テーブル

6目標原価の設定方法
目標原価の設定方法
絶対値原価方式か差額原価方式か
目標原価達成度の分析

7VEによる原価低減
VEの意義
VEの方法
VEの適用領域
社内・社外VE
アイデア提案と実施提案
テアダウン

8目標原価設定と分析の実際的手続
目標原価の設定
生産移行活動
事後評価

9原価企画が適する企業
適用可能な産業の種類
多品種小量生産に最適
製造業以外での原価企画の適用

10原価企画の課題
長期にわたる創発の努力
バイヤーとサプライヤーの関係
海外への原価企画の移転
コンカレント・エンジニアリングの導入
原価改善、原価維持の研究促進
人間性の充足
原価企画のハイブリッド版の展開
原価企画の今後の課題

第12章 ABCによる製品戦略、原価低減、予算管理
1ABCの意義と目的
ABC誕生の背景と目的
伝統的な製品原価の計算方法
ABCによる製品原価計算の基本原理
ABCにおける製造間接費の計算方法の特徴

2ABCの基礎概念
活動
原価計算対象
原価作用因
資源消費のモデル

3ABMによる原価低減・
ABM成立の背景と目的
ABMとは何か
ABMの目的はプロセスの改善にある
原価作用因分析のための支援の原価の階層性
ABMの日本企業にとっての意味
業務的ABMと戦略的ABM

4ABBの意義、目的と作成方法
ABBの意義と目的
ABBの目的と編成ステップ
ABBの特徴と留意点

5ABBによるホワイトカラーの生産性向上
伝統的予算の限界とABB
ABBがホワイトカラーの生産性向上に役立つ理由

6ABC、ABM、ABBの特徴
ABC、ABM、ABBの発展

7設例によるABC、ABM、ABBの関係3887ABC導入における留意事項
ABCシステムの設計
機能、プロセス、活動、タスクの関係

8ABCは、日本の経営にどんな影響を及ぼしてきたか
将来の日本企業にとってABCのもつ管理会計上の意義
ABCと効果性重視の経営

第13章 コスト・品質の戦略的コスト・マネジメント
1コスト・マネジメントの意義とその変遷
コスト・マネジメントの意義
コスト・マネジメントの構成要素
企業価値創造のための戦略的コスト・マネジメント

2戦略的コスト・品質のマネジメント
品質原価計算
ライフサイクル・コスティング
環境管理会計とCSR戦略

3日本的現場管理の手法とその特徴、変遷
在庫管理
設備管理ツールとしてのTPM
日本の品質管理と欧米諸国の逆襲
リーン・マネジメント
方針管理
現場力の弱体化と対策
データ改ざん・無資格検査などによる日本企業の品質低下
品質低下がなぜ日本企業に目立ってきたのか
日本企業の現状をいかに分析すべきであるか

第14章 販売促進費、物流費、本社費の管理
1営業費管理会計の重要性
営業費管理の意義
営業費管理の特質
3営業費管理のための原価分類

2販売促進費の管理
販売促進費管理の要点
販売促進費管理における割当型予算
販売促進費管理と貢献利益法
顧客収益性分析と顧客満足の視点
サービス提供原価が高い顧客と低い顧客の管理
販売促進費の管理-交際費、広告宣伝費、PR
PR効果の測定

3物流費の管理
物流費管理の要点
物流費効率化とVE、ABC/ABM
具体的な物流費(輸送費、保管費、包装費)の管理
宅配業者が直面する管理会計上の課題

4 一般管理費の管理
一般管理費管理の要点
ホワイトカラーの生産性向上
一般管理費の分析

5営業費分析と損益計算書の様式
営業費分析における全部原価法
営業費分析における貢献利益法
営業費分析へのABCの適用
IFRSによって変わる販売促進費管理の方法
営業費管理と企業価値の創造467

第4部 経営意思決定のための管理会計
第15章 経営意思決定会計
1意思決定会計の意義と区分
意思決定とそのプロセス
意思決定のプロセスと情報の活用
意思決定会計の区分

2増分分析の意義と留意点
増分分析の意義
配賦問題と意思決定
増分分析における減価償却費

3意思決定のための原価
意思決定のための原価概念
意思決定に用いられる原価の種類

4業務的意思決定の事例
加工か販売か
自製か購入か
新製品の追加または旧製品の廃棄

5プロダクト・ミックスの意思決定とLP
2製品、販売上の1つの制約条件下での組合せ
2製品、生産上の1つの制約条件下での組合せ
2製品、販売・生産上の多くの制約条件下での組合せ
多品種、多数の制約条件下での組合せ

6意思決定とリスク
不確実性下の意思決定
期待値によるリスクの検討
分散によるリスクの検討
期待効用

第16章 戦略的意思決定と設備投資意思決定
1設備投資意思決定の意義
経営戦略の意義
戦略的意思決定における管理会計の役割
設備投資意思決定とその区分
設備投資モデルの決定と実行のプロセス
設備投資意思決定の特徴

2設備投資意思決定における基礎概念
設備投資計画案とキャッシュ・フロー
経済命数、減価償却費
現在価値概念と利子算出表
資本コスト

3設備投資の経済性計算
原価比較法
投資利益率法
回収期間法
内部利益率法
現在価値法
内部利益率法と正味現在価値法の比較
設備投資意思決定における税金問題
DCF法の意義の高まりと今後の設備投資評価のあり方
投資案件と設備投資評価方法の選択

4リスクの評価とリアルオプション
設備投資意思決定におけるリスク評価の方法
リアルオプション

5FA、CIM設備投資の採算計算
工場自動化の3つのレベル
工場自動化の特徴
工場自動化の効果の見積もり
CIM設備のコストの見積もり
CIM投資の採算計算モデル

6プロジェクト・コントロール
進捗度統制と事後監査
設備投資の採算計算と評価のあり方

第17章 戦略的・戦術的価格決定
1経済学における価格決定モデル
経営者と価格決定
需要と価格
価格、生産量の決定
経済モデルの限界

2会計モデルによる価格決定(全部原価法)
価格決定問題への会計モデルの特徴
全部原価法
総原価法
加工費法
目標投資利益率法
売上(高)利益率法

3会計モデルによる価格決定(部分原価法)
直接原価計算法
増分分析法
会計モデルの限界と価格決定における考慮事項

4価格戦略の選択
すくい上げ価格と浸透価格
需要の価格弾力性と弾力的価格決定
追随価格
セグメント別価格
再販制度と価格
その他 せり売買、フェイズアウト・プライシング、ロングテール

5現実の価格決定の類型と会計モデルの適用
確定価格契約と原価加算契約
短期価格決定と長期価格政策
導入期、成長期、成熟期、衰退期の価格決定
新製品と既存製品の価格決定
完全独占的製品と完全競争的製品の価格決定
公共調達に関する価格決定と契約形態
レベニューマネジメント

第5部 戦略策定のための管理会計
第18章 経営戦略の管理会計への役立ち
1経営戦略の意義と必要性
経営戦略とは何か
戦略のもつ5つのP
競争優位の戦略
日本企業の経営戦略への取り組み
業務効率化の限界と経営戦略の必要性

2計画的戦略と創発戦略
意図された構想と実現されたパターン
診断的コントロールシステム
インタラクティブ・コントロールシステム
ダブルループの学習プロセス

3管理会計における経営戦略上の諸問題
戦略策定と実行のプロセス
戦略的意思決定と戦略
戦略的管理会計
戦略的マネジメント・コントロール
LIKE5サイモンズの戦略論
マネジメント・コントロール概念の変容と管理会計

4経営戦略策定のための手法
管理会計の主な対象は企業戦略と事業戦略
管理会計における戦略技法の活用方法

5資源ベースの戦略論とアウトソーシング
競争戦略から資源ベース・アプローチへ
資源ベースの戦略論
アウトソーシングの多様化とその管理
契約の明確化とSLA
アウトソーシング等の管理会計へのインパクト

第19章 バランスト・スコアカードによる戦略マネジメント
1バランスト・スコアカードと企業価値の創造
多様なステークホルダーを満足させる企業価値創造のシステム
バランスト・スコアカードの経営への役立ち
知的戦略の強化への役割

2 バランスト・スコアカードとは何か
バランスト・スコアカードにおける”バランスとは
4つの視点とその業績評価尺度
GE社の重要な結果指標
バランスト・スコアカードにおける因果関係
遅行指標と先行指標

3戦略の策定と実行のためのマネジメント・システム
ビジョン、戦略の個々の業績評価尺度への落とし込み
戦略テーマ、戦略目標、目標値、実施項目
戦略マップ
中長期経営計画とバランスト・スコアカードの統合

4バランスト・スコアカードの業績評価への役立ち
バランスト・スコアカードによる業績評価
目標管理制度とバランスト・スコアカードとのリンク
バランスト・スコアカードを報酬に結びつけることの効果
成果給の適用における留意点

5経営品質への役立ち
経営品質とは何か
日本経営品質賞と経営品質
方針管理と経営品質
バランスト・スコアカードによる経営品質の向上

6バランスト・スコアカードが有効な適用領域
すべての組織体への適用可能性
会社全体かSBUへの適用か
客観的で公正な業績評価制度を求める企業
統合的な経営システムを望む企業
統合報告へのバランスト・スコアカードの適用
長期的な企業価値の創造を望む企業
”効果性重視の経営”を指向する企業

櫻井 通晴 (著)
出版社 : 同文舘出版; 第七版 (2019/2/27)、出典:出版社HP

第20章 インタンジブルズの戦略マネジメント
1現代におけるインタンジブルズ管理の重要性
商品自体が無形物の複合体
企業価値の創造が戦略によって決定づけられる
戦略マップなどのマネジメント・ツール

2インタンジブルズとは何か
インタンジブルズをもって知的資本だとする見解
「インタンジブルズの管理と報告のためのガイドライン」
インタンジブルズに知的資産とその他の資産の存在
本書におけるインタンジブルズの位置づけ

3超過収益力のバリュー・ドライバーは何か
知的収益力の本体は知的資産とレピュテーション
管理会計の立場からするインタンジブルズの分類
知的なインタンジブルズ
ブランド・レピュテーションに関連するインタンジブルズ

4知的なインタンジブルズの管理会計からするマネジメント
知的なインタンジブルズのマネジメントの特徴
キャプランとノートンによるインタンジブルズの分類
インタンジブルズ管理の留意点
インタンジブルズから最大の企業価値を創造するための方策

5レピュテーションに関連するインタンジブルズ
コーポレート・レピュテーションと企業価値の向上
CSRはレピュテーション・マネジメントに役立つ
レピュテーション・マネジメントの具体的な方策

参考5 コーポレート・レピュテーションの国際会議に参加して

第6部 管理会計の展開
第21章 事業部制による業績管理会計
1わが国の事業部制組織
分権化と事業部制
職能別事業部制
事業部制の長所と短所

2事業部の業績評価
事業部制における責任会計
投資利益率の有効性とデュポン・チャートシステム
投資利益率の落し穴(その1) 短期志向の経営
投資利益率の落し穴(その2)事業部長の評価には不適
投資利益率の代替的な業績評価基準

3本社費・共通費の事業部への配賦
本社費・共通費の性格
純利益か貢献利益か
本社費配賦の方法

4社内資本金制度と社内金利制度
投資ベースの3つのタイプ
社内金利制度の生成と発展
社内金利の対象とその算定
社内金利と社内資本金制度のケーススタディ
事業の選択と集中のための社内資本金制度

5社内振替価格の設定
市価基準
原価基準
協定価格基準

第22章 組織再編と分権化の管理会計
1組織再編の経営上の意義
組織再編の必要性
独占禁止法、連結納税制度の整備
組織再編の管理会計上の意義
パナソニックグループの事業再編と管理会計システム

2持ち株会社の会計と管理
持ち株会社の意義と組織形態
持ち株会社設立の目的
持ち株会社の管理会計

3会社分割の管理会計上の意義
なぜ会社分割か
会社分割の形態
会社分割の管理会計

4カンパニー制
カンパニー制の経営上の意義と特徴
カンパニー制の特徴
カンパニー制の業績評価
カンパニー制か分社化か

5流通業における部門別・商品別業績評価
業績評価の対象
部門別業績評価会計
商品別業績評価会計
DPPとPOS情報の結合

6ミニ・プロフィットセンターと京セラのアメーバ経営
ミニ・プロフィットセンターとは
住友電工ほかのラインカンパニー制
セーレンのライン採算制組織
京セラのアメーバ経営
京セラのアメーバ経営の飛躍的発展と現状

7IFRSの導入がグループ経営の戦略に及ぼす影響
企業グループと企業結合
連結子会社に対する投資
特別目的事業体に対する投資
関連会社への投資
買収した企業の減損の扱いと経営・管理会計へのインパクト

第23章 EVAによる経営効率の向上
1EVAの経営上の意義
日本企業にとってのEVAの意義
経常利益への批判とEVAへの関心の高まり

2EVAとは何か 算式、株主価値、個別か共通の資本コストか
EVAの算式上の特徴は何か
EVAは株主価値の向上に役立つ
資本コストは共通の資本コストか個別資本コストによるべきか

3EVAは経常利益、RIとどこが違うのか
RIがなぜROIよりすぐれているのか
経常利益や残余利益ではなく、なぜEVAか

4社内金利制度とEVAとは両立が可能か
カンパニー制と社内金利制度
EVAと社内金利制度との関係

5EVAが適する企業と利用上の留意点
EVAが適する企業
EVAの留意点

6EVAとBSCの統合システム
なぜ統合システムか
PCA(関西電力版EVA)による資本効率の向上

補論1 コーポレートガバナンス・コードの制定とROEの活用
補論2 日本の低い労働分配率の現状と課題

参考6 経常利益、残余利益、EVAの関係

第24章 IT投資戦略とコスト・マネジメント
1ソフトウェア原価計算
受託開発ソフトウェアを前提にしたソフトウェア原価計算
汎用パッケージソフトウェアの原価計算
ソフトウェア開発業者の製造原価明細書

2IT投資の評価とコスト・マネジメント
ITの発展とC/Sシステムの登場
C/Sシステムのアーキテクチャー
IT投資の評価とマネジメント
IT投資評価の基本的なアプローチ
情報システム化投資の採算計算表
ネットワークやコミュニケーション技術の導入効果
ERP活用の投資評価

3インターネット・ビジネスにおける価格決定
情報の価格決定要素
インターネットでの情報の価値と価格
収穫逓増の法則

4クラウドと投資効果の評価
クラウドとは何か
クラウドのサービスモデルと提供対象
クラウドの技術的特徴と管理会計上の特徴
クラウドの適用事例
クラウドの問題点
クラウドの将来と投資効果

5ソーシャルメディアの戦略的活用
ソーシャルメディアとは何か一産業メディアとの違い
ソーシャルメディアの種類と目的
戦略的レピュテーションリスク・マネジメントの領域
戦略的レピュテーションリスク・マネジメントに何が必要か
ソーシャルメディアによるレピュテーション毀損の典型的事例

第25章 AIの管理会計への適用
1AIが現代の会計と管理会計において果たす役割
2人工知能(AI)とは何か
3機械学習と深層学習(ディープラーニング)の意義
4AIの会計、会計士監査、内部監査への適用と課題
クラウド会計ソフトへのAIの活用
会計士監査へのAIの活用
内部監査へのAIの活用

5AIの管理会計への適用と課題
AIの不正検知機能を活用した契約原価データへの適用
予実管理、標準原価差異分析へのAIの適用
中長期経営計画と設備投資意思決定へのAIの適用

6AI適用に向けてのビッグデータ、データ・アナリティクスの役割

まとめ

第26章 研究開発費の管理会計
1研究開発費管理の意義
研究開発効率化の重要性
研究開発活動の区分
研究開発費の会計基準
IFRSによる研究開発費の会計

2研究開発費管理への管理会計の貢献
研究開発費の増大と管理会計についての誤解
研究開発費の性質と管理の方法
わが国における研究開発費の管理会計

3研究開発組織のあり方
プロフィット・センター型組織の構築
研究開発組織の形態
マトリックス組織
オープン・イノベーション

4戦略的中長期経営計画における研究開発費の位置づけ
戦略的中長期経営計画の重要性
経営戦略に基づく研究開発
プロジェクト別の中長期経営計画
経営戦略、中期計画と予算編成

5研究開発費の予算管理
研究開発費予算の策定アプローチ
研究開発費予算の決定方法
プロジェクト別研究開発費予算
ゼロベース予算
予算の運用と弾力性

6研究開発費の評価
研究開発費の評価における焦点
事前評価、中間評価、事後評価
費用効果分析
費用効果分析における研究成果の測定
費用効果分析のケース・スタディ
研究開発費管理における効果性重視の経営

参考7 IFRSにおける研究開発費の会計処理(一部は要約)

・付録1 複利現価表
・付録2 年金現価表

索引

櫻井 通晴 (著)
出版社 : 同文舘出版; 第七版 (2019/2/27)、出典:出版社HP

今から始める・見直す 管理会計の仕組みと実務がわかる本

はじめに

『事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きているんだ!!』(連続テレビドラマ『踊る大捜査線』より)

2000年代に人気の高かった警察ドラマの中で、織田裕二さん扮する青島刑事がたびたび口にする決めぜりふです。これは、管理会計に求められることに通じています。

管理会計は「現場」、つまり会社の中で実際に使われてはじめて価値が出る会計です。一方で、管理会計に関するセミナーや書籍は、理論を扱ったものが大半という現実があります。前述のセリフに照らすと、会議室=「理論」はある程度は必要ですが、本当に向き合うべきは、現場=「会社の中の実務」だとわたしは考えています。

なぜそうかといえば、わたし自身が十数年前に、管理会計の理論と実務のあいだに立ちふさがる壁に苦しんだ経験があるからです。監査法人から事業会社に移って管理会計の担当となったわたしは、管理会計を理解したいと思い、セミナーや書籍に手がかりを求めました。しかし、実務にそのまま使えるようなものは残念ながら見つかりません。会計のプロである公認会計士のわたしがこれだけ困るということは、世の中にはもっと悩んでいる会社や人がいるのではないかと思い至りました。

これが、管理会計の専門家になったきっかけです。本書は、管理会計実務に関するセミナーを書籍化したものです。セミナーのアンケートで、管理会計の中級以上の方からは「わかりやす過ぎる」という声をいただくこともあります(苦笑)。したがって本書は「管理会計がすでにわかっている方」よりも、「わかっていない方」により向いています。

例えば、「財務会計の知識はある程度あるが、管理会計はよくわからない」「これから社内で管理会計を作っていくので、効果的に進めたい」「予算作成について口を挟む関係者が多すぎて、なかなか前に進めない」という方が、「何から始めたらよいのかがわかった」「どう見直せばよいかイメージできた」と管理会計を「今から始める」「見直す」ことをゴールにしています。

管理会計が何なのか、何をしたらいいのかわからずにもがいていた十数年前のわたしに、この本を贈ります。手探りの日々のなかで議論に付き合い伴走してくれた上司と同僚、執筆の機会をいただきました中央経済社の坂部さま、そして応援し続けてくれる家族に心から感謝します。

平成30年 小寒の日に
梅澤 真由美

梅澤 真由美 (著)
出版社 : 中央経済社 (2018/3/14)、出典:出版社HP

本書の使い方

1 管理会計全般を理解したい方は「第1章 管理会計とは」から順番に読み進んでください。
2 主に予算管理について知りたい方は、「第2.3章 予算」「第4章 月次分析」「第5章 予測」を中心に読んでください。
3 管理会計を活用して各部門の業績管理を行いたい方は、「第6章 部門別 PL」「第7章 KPI」を中心に読んでください。
4 管理会計の業務の構築や改善に取り組みたい方は、「第8章 仕組みづくり」「第9章 コミュニケーション」を中心に読んでください。

各節の最後に「まとめ」があります。管理会計は「実務での実践」がすべてですので、この「まとめ」も「実務で何をしたらよいのか」という「実践」 の視点で書いています。「アクションリスト」として、また重要な点の復習用として活用してください。

梅澤 真由美 (著)
出版社 : 中央経済社 (2018/3/14)、出典:出版社HP

CONTENTS

第1章 管理会計とは
第1節 管理会計とは
1 管理会計と「天気予報」の意外な共通点
2 管理会計の目的は業績改善
3 制度会計に比べて深く広い管理会計
(1) 一般的な比較:管理会計は社内向けでルールがない
(2) 実務面からの比較:管理会計は対象範囲がとても広い
(3) まとめ:管理会計は優先順位付けが重要

第2節 「実務」としての管理会計
1 実務の管理会計は3段階ある
2 管理会計は予算管理から始めよう
3 年間スケジュールを理解するのが大事
(1) 予算管理の主なイベントは3つ
(2) スケジュールは先取りして、連動させる

第2章 予算のつくり方<準備編>
第1節 予算の位置づけと種類
1 予算の位置づけを理解しよう
(1) 予算は到達したい目標である
(2) 予算は2つの要件をバランスよく達成すべき

2 予算には社内用予算と社外用予算の2種類がある
(1) 社外向け予算と社内向け予算
(2) コツの1:限られた項目だけをわかりやすく変化させる
(3) コツの2:2種類両方をすべての人に公開しない
(4) コツの3:報告時にはどちらの予算なのかを必ず明示する
(5) コツの4:2つの予算はつくりやすいほうからつくる

3予算の成果物は損益計算書と前提資料

第2節 予算作成の流れ
1 予算作成は準備編と本番編の2ステップ
2 2つのアプローチを併用しよう
(1) トップダウンとボトムアップ
(2) それぞれのメリットとデメリット
3 準備編はトップダウンで

第3節 予算作成の準備
1 まず「発射台」をつくる
2 概略版損益計算書をつくる
3 経営者と共有する
(1) 経営者向けのフォーマットを用意する
(2) 経営者と双方向でコミュニケーションする

第3章 予算のつくり方<本番編>
第1節 情報を集める
1 各部からの情報収集用のフォーマットを工夫する
(1) 金額欄が空欄の損益計算書は NG
(2) 項目ごとのフォーマットを使おう

2 各部門独自のフォーマットを転用する
(1) 活動実態に合った予算を作成できる
(2) 一方、事業に対する理解が大幅に必要になる

3 スケジュールを共有しよう

4 予算項目を効果的に分担しよう
(1) どの部門に数字を出してもらうか
(2) 責任を明確化する

5 予算数字の計算方法は2種類ある
(1) 乗算型
(2)加算型

第2節 集計する
1 予算のフォーマットは月別損益計算書
2 年度合計の数字を月別に按分する
3 予算の勘定科目は社内利用されるものを選ぶ
(1) 管理会計か制度会計か
(2) 作成したものを組み替える

第3節 数字を確認する
1 2つのチェック方法を併用する
(1) 「ロジックチェック」で、数字の正しさをまず確認する
(2)「ストーリーチェック」で、経営者からの見え方を確認する

2 「ロジックチェック」の具体的な方法
(1) 変動費は%で、固定費は金額で比較する
(2) まとまりから個別の流れで見る
(3) 半期、四半期の配分にも目を配る

3 「ストーリーチェック」の具体的な方法
(1)「少しの余裕」を攻略する
(2) 正しい予算の定義は、会社とビジネス次第で異なる

4 チェック用フォーマットで効率的に作業する
(1) フォーマットで必要な情報を一元管理する
(2) 方針をはっきり決めてチェックする

5 チェック後の対応はその後を左右する
(1) 経営者と事前に話してもらうよう各部門長にお願いする
(2) 各部門が主張する前提を整理し、言語化する

第4節 経営者の承認をもらう
1 最終版は保管しよう
2 各部門へ結果を共有しよう

第4章 月次決算分析のしかた
第1節 月次決算分析の概要
1 比較から始める月次決算分析
(1) 勘定科目での比較をしよう
(2) 「比較を制する者は管理会計を制する

2 月次決算分析に力を入れるべき3つの理由

3 比較の原則
(1) 比較対象は前期と予算
(2) 「主体的」な比較を目指す
(3) 比較が成立するための2つの条件
(4) 累計期間は単月の積み上げでしかない

4 フォーマットを工夫する
(1) フォーマットの例
(2) 月次分析の報告は経営者目線で準備する

第2節 前期比較
1「ありもの」の仕組みを活用する
(1) 補助科目と部門コードを活かす
(2) 出来事カレンダーをつくっておく
2 差異の性質ごとに調べ方を変える

第3節 予算実績比較
1「ありもの」の仕組みを活用する
2 差異の性質ごとに調べ方を変える
3 予算実績比較には限界がある

梅澤 真由美 (著)
出版社 : 中央経済社 (2018/3/14)、出典:出版社HP

第5章「四半期予測のしかた
第1節 予測の位置づけ
1 予測は「大学入試の模擬試験」と同じ

2 予測は予算達成の確実性を上げるツール
(1) 予測を行う目的
(2) 現実的な着地見込み

3 予測を使って予算との距離を計る
(1) 予算との比較で次の行動を考える
(2) 実績との比較で行動計画をチェックする

4 予測と修正予算はまったくの別モノ
(1) 修正予算はあくまで予算
(2) 予算と予測の違いを明らかにする

5 予測の作成は四半期ごとに
(1) 予測にとって大事なこと
(2) 四半期ごとが合理的な理由
(3) 頻度をもっと高くするには

第2節 予測作成の進め方
1 予測の作成は、予算作成の「本番編」だけ

2 予測作成実務のポイント・その1~「(1)情報を集める」から「(3)数字を確認する」まで~
(1) 年度予測の中身は実績と予測が混在する
(2) 「差分方式」の予測作成が実務では効率的
(3)「階段チェック」で予測特有のエラーを防ぐ
(4)「 ストーリーチェック」にて、経営者の視点で確かめる

3 予測作成実務のポイント・その2~「(4)経営者の承認をもらう」~
(1) 予算より弾力的に運用可能
(2) フォーマットも予算とできるだけ共通に
(3) 予算を達成するための行動アイデアを集めておく
(4) 前提が異なる複数のシナリオを検討する
(5) ニーズを踏まえて経営者へ伝える

第3節 予測実績比較の意味
1 予測と実績を比べることで計画を修正する

第4節 予測実績差異の意味
1 予測実績差異からは膨大な情報が得られる
(1) 実績側の原因は経理部門とともに対応する
(2) 予測側の原因は予測精度向上の大きなヒント
2 差異への対応で予測の価値が決まる

第5節 月次決算分析での予測実績比較
1 予測実績差異の分析は、決算数値が締まる「前」に
2 月次分析での経営者用への報告は視点を絞る

第6章 部門別損益計算書のつくり方・活かし方
第1節 部門別損益計算書はなぜ必要か
1 部門別損益計算書は、作ったあとの「使う」が大事
2 状況の正しい理解と当事者意識の向上
3 意思決定、順位づけ、ベンチマーキング

第2節 部門別損益計算書の形式
1 「同類」と「異類」の2種類がある
2 部門分けは事業の実態に即して行う
3 共通費の配賦は、配賦基準とグループ単位で決まる
4本社費の配賦にはリスクがある
(1) コストの配賦は「責任の配賦」につながる
(2) 全員が納得する配賦基準はない

第3節 部門別損益計算書の扱い方
1 予算では、部門別損益計算書の作成は必須ではない
(1) 本当に必要なツールなのか
(2) 部門単位が多ければ作成したほうがいい
2 部門別損益計算書はしっかり月次決算分析しよう
3 予測では、部門別損益計算書作成の必要性は低い

第7章 KPIのつくり方管理のしかた
第1節 KPIの見つけ方・使い方
1 KPIとは
2 KPI には財務的 KPI と非財務的 KPI がある
3 KPI の特性を正しく理解しよう

4 KPIの効果は、分担と進捗管理を可能にすること
(1) 分担
(2) 進捗管理

5 コミュニケーションを通じて KPI を見つけよう
(1) 財務的KPI
(2) 非財務的 KPI

6 戦略次第で KPIは変わる
(1) 戦略や業務に合致したものを選ぶ
(2) ある外資系 IT 会社の例

7 KPIを効率よく管理する
(1) 1つのKPIは1つの部門で管理する
(2) シンプルに定期的にデータを提供する

第2節 KPIの扱い方
1 予算でのKPIへの落とし込みはとても重要
2 KPIの月次決算分析は予測との乖離幅次第
3 KPI の予測には力を入れるべき
4 KPIには、「ストック型」と「フロー型」の2つがある

第8章 管理会計の仕組みづくり
第1節 管理会計の仕組みづくりの方針
1 管理会計の仕組みは3つの要件を満たすべし
(1) スピードと正確性
(2) 依頼者とそのニーズ

2 仕組みが抱える課題はどの会社でも似ている

3 課題に対する解決の方向性を持つ
(1) データが手元にはなく、システムの中にある
(2) 実績数値と将来数値ではデータの形式が異なる
(3) 提出するときの形式やフォーマットが決まっていない

第2節 具体的な仕組み
1 会計システム、データベース、報告用資料の3ステップで 構成しよう

2 データベースは設計が大事
(1) データベース化すべきものを特定する
(2) データベースの中身の数字を決める
(3) データベースの形式が効率を大きく左右する
(4) データベースの更新方法まであらかじめ決めておく

3 報告用資料はデータベースと切り離す

4 実務の効率化の鍵はフォルダとファイルが握る
(1) ファイルの置き場所が誰でもすぐにわかる
(2) 何のファイルなのかがすぐわかる

5 管理会計システムは必須ではない
(1) 管理会計システムの類型と特徴
(2) エクセルでの構築が現実的なことも

6 制度会計と管理会計はシンプルな関係に
(1) 原則として一致が好ましい
(2) 不一致調整のルールをつくる

第9章 管理会計のコミュニケーション
第1節 管理会計に必要なコミュニケーション
1 コミュニケーションの役割はインプットとアウトプット
(1) 「インプット」としてのコミュニケーション
(2) 「アウトプット」としてのコミュニケーション

2 実務の悩みは「あいだ」に存在する
(1) 実績と予算の「あいだ」の悩み
(2) 事業と会計の「あいだ」の悩み

3 解決の鍵は「相手」にある
(1) 管理会計が相手にもたらすメリットを明確にする
(2) Win-Winの関係を徐々に目指す

第2節 経理部門の巻き込み
1 敵ではなく最強の味方
2 会計知識と会計システムの協働運用を期待する
3 早期化と正確化というメリットを届ける

第3節 各部門からの協力と情報収集
1 各部門とのコミュニケーションが管理会計を支える

2 いつ、何を聞くかを明確に持つ
(1) 大から小を意識して情報収集する
(2) イベントの合間では、すかさず「改善」
(3) 突発的な依頼は関係構築のチャンス

3 各部門との協力関係を築くための3つのポイント
(1) 経営者との関係性を活用する
(2) 各部門のやり方を尊重する
(3) 管理会計部門の裁量を活かす

第4節 経営者への報告
1 「時間」を使わせない
2 「頭」を使わせない
3 「気」を使わせない

梅澤 真由美 (著)
出版社 : 中央経済社 (2018/3/14)、出典:出版社HP

モノづくりを支える「管理会計」の強化書-技術者こそ読んで欲しい「お金」と「原価計算」の基礎知識-

はじめに

「上司に、もっとコストダウンをやれと言われるが、どう取り組んだらよいのか?」
「不景気が続く会社を立て直すためには、どんなプロジェクトを企画すればよいのか?」
「今やっている5Sやカイゼンや自動化だけで、海外のライバルと戦えるのだろうか?」

製造業を取り巻く昨今の厳しい事業環境の中で、なかなか答えの見つけられない疑問はたくさんあります。答えを探して経営学の本を読んでも、モノ作りの本を読んでも、あまたあるノウハウ本を眺めてみても、どこかしっくりきません。

「何か足りない気がするんだよなぁ。でも一体何が、足りないのだろうか?」

例えば、経営学の本を見ても、モノ作りのあるべき姿は書いてありません。モノ作りの本を読んでも、整理整頓しろとか在庫を持つな、としか書いてありません。でもゼロ在庫などたいていはあり得ない以上、これでは行動指針になりません。そもそも在庫を持っていけないのはなぜなのでしょう?全員で整理整頓をやっていて会社は大丈夫なのでしょうか?もちろんいつだって整理整頓が大切なことくらい、私だってよくわかっているつもりではありますが…。

「これじゃあ、来年のリストラを回避できる気がしない!」
「いったいどんな知識があれば、日々の問題解決の道筋が見えるのだろうか…」

結局のところ、会社における全ての活動は「お金」に換算されなければなりません。お金に換算して、やるべきことの優先順位を決めなければ「何が良い/何が悪い」を語れないからです。

「お金の勉強かぁ、我慢して簿記でもやってみるかな」
「でも、やっぱり興味が湧かないなぁ…。何か良い本ないかな?」

かつて私は、そんな悩みを抱える一人の技術者でした。

技術系の方々のための会計テキスト

皆さんはじめまして。公認会計士の吉川と申します。今は会計士をやっておりますが、実は私は20年間、日本のモノ作りの最前線で生産技術の開発に従事してきました。日本は「良いものを安く作る」国であり、技術立国です。技術があるからこそ先進国の一角を占め、経済的な繁栄を謳歌してきました。そして「良いものを“安く”作る」ためには原価計算や会計の知識は不可欠なものです。それにも拘らず、私はモノづくりの現場で技術者の方々と一緒に勉強するための使いやすい会計テキストがないことにいつも困惑してきました。

確かに書店に行けば、会計の本は書棚に溢れています。しかしながらたいていのテキストは、専門用語の定義に厳密すぎて、あるいは詳細な会計技術に拘りすぎていて、「重要なこと」と「あまり重要ではないこと」の見分けがつき難くなっているように感じます。その一方で「どうしてそうあらねばならないのか?」という背景を十分に説明していないケースがあり、物足りなさも感じてきました。「モノづくりと会計を繋ぐ会計テキストがどうしても必要だ!」それが会計士であり技術者でもあった私が、このテキストをまとめてみようと思ったきっかけです。ですから主として製造業(メーカー)に従事する技術者の皆さんが会計を理解し、会社で何を目指して日々の技術開発に取り組むべきなのかという手掛かりにして頂く場面を念頭に置き、以下の3点について特に注意しました。

1. 簡単な用語を使うこと
まず用語の正確な定義に拘りすぎて難解な表現になってしまわないように注意しました。例えば手許のキャッシュの説明をするとき、「現金及び現金同等物」と書くのが会計的には正確な表現です。「現金」とは手許現金、普通預金、当座預金などを指す言葉です。これ以外にも「3か月以内に満期日が到来する定期預金」なども事実上の手許現金と見なし得るものですが、それが厳密な意味での現金ではない以上、「現金」ではなく「現金同等物」と呼び習わされます。両者を合わせて「現金及び現金同等物」となるなどとやっていたのでは、煩雑で話の本筋を見失ってしまいそうです。そこでここでは思い切って「お金」と書くことにしました。

手許の「現金及び現金同等物」→手許の「お金」

2. 簡単な数式を使うこと
他方でこのテキストでは数式も簡略化しています。本来、数式の単位について特に正確を期すよう教育を受けてきた自然科学系の技術者であれば、一般的な会計テキストの数式表現には違和感を覚えるかもしれません。
例えば、工場設備の理論的生産能力(設備台数に操業日数と1日の勤務は間を乗じたもの)を求める式は、正確には以下のように書き表されるべきものでしょう。

5(台)×250(日/年)×8(時間/(日・台))=10000(時間/年)

しかし美しくない数式だなあとは思いながらも、多くの会計テキストと同様、ここでは以下のような簡便な表現を用いることにしました。

5台×250日×8時間=10000時間

3. 日常業務につながるよう配慮すること
会計には、法律で規定されていて厳密な「制度会計」と呼ばれるものがある一方で、業務上の意思決定や内部管理を目的とする自由な会計「管理会計」もあり、会社の事業の実態に合った会計指標を作っていくことが可能です。このテキストは制度会計を説明するためのものではありません。あくまでも製造業者(メーカー)で働く方々が会計や原価計算のあらましを知り、今日の製造業というビジネスモデルの強みと弱みを理解して、適切な管理会計の仕組みを構築していくという状況を想定しています。

制度会計のテキスト≠管理会計のテキスト

「なぜ」を5回繰り返せ!
「カイゼンの本を読むと「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」と5回は繰り返せとあります。実際のところ会社には、かつて技術者だった私には解決できない「なぜ?」がたくさんありました。

「なぜ、在庫を削減するべきだと言われるのか?」
「なぜ、カイゼンや自動化がなかなか成功しないのか?」
「関係者の努力にも拘らず、次々とモノづくりが失敗し、事業が危機に直面するのはなぜなのか?」

こうした私自身の「なぜ?」を踏まえて、技術者の皆さんにおおまかな事象のイメージをつかんで頂く事を最優先しています。もし何か御縁があり、更に深く会計を学ぶことになりました場合には、改めて定義に厳密な「本当の専門書」に当たっていただければ幸いです。

これは決して良書ではないかもしれませんが、製造業に関わる関係者(特に技術者の方々)が理解しておくべき最低限の会計知識とその背景を伝えようと試みるものです。ぜひ一緒に頑張って参りましょう。このテキストが、日本の製造業復活のヒントとなることを願っています。

公認会計士・吉川武文

目次

はじめに
オリエンテーション なぜ、工場は閉鎖されたのか?

Part1 世界の会社の共通言語・お金
第1講 製造業の2つの宿命 製造業は固定費業
第2講 コロンブスの成果報告 貸借対照表の成り立ち
コラム 本当の簿記の始まり
第3講 お金を借りたらタダではすまない 利益目標は資本コスト
コラム 敵対的買収
第4講 会社を活かすも殺すも固定資産 財務安全性と固定資産
第5講 私の給料はどこに?損益計算書に感じる疑問
コラム 迫りくる世界同一賃金の波

Part2 本当にコストダウンになってますか?
第6講 誰だって早く会社を黒字にしたい! 損益分岐点と固定資産
第7講 そのコストダウンは順調ですか? 原価差異とPDCA
第8講 在庫はお金のかたまりだというけれど 正しい安全在庫の判断
コラム 加重平均資本コスト(WACC)の求め方
第9講 第三の原価計算? 全部原価計算vs直接原価計算
コラム 稼働率と可動率
第10講 期末在庫なんかどうでもよい 在庫回転率のワナ
コラム 7つのムダの変化
第11講 会社を迷走させる方法 差額原価と埋没原価
コラム 今までのコストダウン、これからのコストダウン

Part3 そのプロジェクトをどう評価する?
第12講 設備投資は決意表明! 設備投資評価という壮大なはったり
第13講 本当は怖い自動化の話 見果てぬ夢「自動化工場」
第14講 技術者よ大志を抱け 研究開発という名のビジネス・プロジェクト
コラム 原価企画の担い手
第15講 何がカイゼンを駄目にしたのか? 労務費管理とカイゼン
コラム コストダウンの司令塔
第16講 お金が尽きたら会社は終わり 費用の繰延とキャッシュ
コラム 日本のGDPと貿易赤字

Part4 地球の未来と会社の未来
第17講 今度こそ石油がなくなる? 材料費突出の背景
第18講 気候変動という巨大なニーズ 危機か? チャンスか?
第19講 指標が行動を変える会社の付加価値が見えた!
コラム 付加価値と資本コスト
第20講 ニーズは会社の外にある 製造業の責任と可能性

補遺

ケース管理会計

はしがき

管理会計は、経営戦略や事業計画を策定し、予算管理、業務活動のコントロールなどを行ううえで、経営者にとって不可欠な学問体系である。

管理会計を駆使することで、企業の経営者は適切な戦略策定、経営上の意思決定および業績評価を行うことができるようになる。管理会計の特徴を一言で表現すれば、管理会計とは、マネジメントのためのツールであるということができよう。

従来、管理会計は主として企業の製造業の経営者によって活用されてきた。しかし現在では、製造業だけでなく、顧客対応が必要となる流通業、ホテル、航空会社などにもその適用範囲が拡がってきている。さらに、管理会計は企業だけでなく、銀行、政府、自治体などの公的機関、独立行政法人、病院、大学などにもその応用範囲が拡がってきた。加えて、その対象も、製品など有形資産だけでなく、無形のサービス、ソフトウェア、ブランド、レピュテーション(評判)、組織における人的資源の有効活用にまで広がってきた。

本書は、以上の現状に鑑みて、管理会計の基礎をかみ砕いて解説しているだけではなく、新たな管理会計の展開の考察や日本の実態に基づく説明を行っている。本書の特徴は、次の3点にある。1管理会計の基礎概念をわかりやすく解説していること2近年の新たな展開をもれなく考察対象としていること3、すべての章で、管理会計のケースを用いて説明がされていること本書は、主として大学の商学部、経営学部、経済学部の学生と大学院生、企業の中堅幹部、とくに経理部、経営企画部で仕事をしている経営者にとって真に役立つ著書となりうるように執筆されている。

本書の構成は、3部からなる。第1部では、管理会計の骨格部分となりうる内容がわかりやすく描かれている。この第1部を読むことで、読者は管理会計の基礎知識を習得できるであろう。

第2部では、管理会計の新展開が考察されている。この第2部の内容は、1980年代の後半以降から現代に至るまでの著しい理論的展開を遂げた管理会計のテーマが考察されている。大学院生にとっては、新たな研究の手掛りが得られるであろう。

第3部では、領域別の管理会計が考察されている。最初の3つの音客、経営者・従業員、ITに関して、最後の3つの章では、病院、銀行管理会計が考察されている。学生のニーズに合わせて講義内容を選択することもできよう。講義のテキストとして使う場合、2単位科目であれば第1部を講義に部と第3部を発展問題として後期に使用することができる。4単位科日って、ば、すべての章を講義やゼミナールに使い、ときに復習として課題提出や、テストなどを行うこともできよう。学生と教師のためには、2018年4月以降の練習問題を中央経済社のHPの本書の紹介欄から入手することができる。

本書の執筆にあたっては、(株)中央経済社 代表取締役社長 山本継氏編顔 当取締役専務 小坂井和重氏のお世話になった。記して、感謝の意を表したい。本書の読者が1人でも多く、管理会計を正しく理解し、企業実践に活用されることを望みたい。

2017年初秋
編集責任者
櫻井 通晴
伊藤 和憲

櫻井通晴 (編集), 伊藤和憲 (編集)
出版社 : 中央経済社 (2017/11/15)、出典:出版社HP

目次

はしがき

第1部 管理会計の基礎
第1章 管理会計の現代的意義
1 企業の経営者と管理会計
2 財務会計と管理会計
3 会社のガバナンス体制とコントローラー制度
4 管理会計担当者の倫理規定
5 管理会計の体系と本書の構成

第2章 経営戦略とマネジメント・コントロール
1 経営戦略の意義
2 戦略の3つの側面
3 ポーターの戦略論と管理会計
4 マネジメント・コントロールの意義
5 マネジメント・コントロール論の展開
6 インテルにおける戦略創発とマネジメント・コントロール

第3章 中期経営計画と利益計画
1 はじめに
2 中期経営計画と利益計画の経営上の役割
3 中期経営計画と利益計画における企業価値の創造
4 利益計画の活用
5 中期経営計画の更新とレビュー
6 味の素(株)グループの3つの中期経営計画策定事例
7 まとめ

第4章 予算管理
1 予算管理の意義と予算の機能
2 予算管理と責任会計制度
3 予算管理のプロセス
4 予算編成の手順と流れ
5 予算編成の方法
6 予算差異分析
7 脱予算管理
8 バッファロー社の予算管理

第5章 経営意思決定支援の管理会計
1 管理会計は経営者の意思決定に役立つ
2 経営意思決定のための増分分析
3 設備投資計画に必要な意思決定情報
4 設備投資モデルの決定と実行のプロセス
5 設備投資の経済性計算
6 プロジェクト・コントロール

第6章 コストマネジメント
1 はじめに
2 標準原価計算による管理
3 ライフサイクルコスティング
4 在庫管理
5 品質コストマネジメント
6 ミニ・プロフィットセンター
7 まとめ

第7章 原価企画
1 はじめに
2 原価企画誕生の背景
3 原価企画の特徴
4 原価企画の実施プロセス
5 原価企画における目標原価の範囲の捉え方
6 原価企画に用いられる主要なツール
7 原価企画のインフラ
8 原価企画の課題
9 まとめ

第8章 事業部制管理会計
1 事業部制とは
2 カンパニー制
3 事業部損益計算書と業績評価
4 本社共通経費の配賦
5 振替価格
6 事業部貸借対照表と業績評価
7 ケーススタディ:パナソニックのカンパニー制

第9章 経営分析
1 はじめに
2 経営分析とは
3 収益性分析
4 安全性分析
5 利益計画と損益分岐点分析
6 まとめ

第10章 日本の管理会計の実態
1 はじめに
2 日本における管理会計技法の導入状況
3 日本企業における予算管理の実態
4 まとめ

櫻井通晴 (編集), 伊藤和憲 (編集)
出版社 : 中央経済社 (2017/11/15)、出典:出版社HP

第2部 管理会計の新展開
第11章 ABCによる製品戦略、原価低減、予算管理
1 はじめに
2 製品戦略のためのABC
3 原価低減のためのABM
4 予算管理のためのABB

第12章 バランスト・スコアカード
1 はじめに
2 バランスト・スコアカードの役割
3 バランスト・スコアカードのフレームワーク
4 バランスト・スコアカードの運用
5 バランスト・スコアカードの導入成果
6 バランスト・スコアカード導入のケース
7 まとめ

第13章 レピュテーション・マネジメント
1 はじめに
2 コーポレート・レピュテーションとは何か
3 コーポレート・レピュテーションの測定
4 戦略的レピュテーション・マネジメント
5 ダイムラー社のレピュテーション・マネジメントの事例
6 まとめ

第14章 インタンジブルズ・マネジメント
1 はじめに
2 インタンジブルズと戦略の関係
3 インタンジブルズとは何か
4 インタンジブルズの体系と研究のアプローチ
5 事例によるインタンジブルズのマネジメント
6 まとめ

第15章 統合報告と管理会計
1 はじめに
2 統合報告の目的と管理会計
3 HBCフレームワークの基本概念
4 エーザイの価値創造プロセスの可視化
5 まとめ

第16章 組織間管理会計
1 はじめに
2 組織間管理会計の意義
3 組織間管理会計の源流
4 組織間管理会計の問題領域
5 組織間管理会計の理論的背景:取引コストの経済学

第3部 領域別の管理会計
第17章 顧客管理会計
1 はじめに
2 インタンジブルズとしての顧客資産の意義
3 顧客別収益性管理
4 顧客別収益性管理の発展
5 顧客別収益性管理の問題点
6 バランスト・スコアカードによる両者の関連づけ

第18章 人的管理会計
1 はじめに
2 コストとしての人
3 経営資源としての人
4 インタンジブルズとしての人
5 企業価値創造と人
6 ケース

第19章 IT管理会計
1 はじめに
2 ITマネジメントと管理会計上の課題
3 IT投資評価の方法と課題
4 情報資産の定義とレディネス評価
5 BSCを活用したIT投資の資本予算管理
6 まとめ

第20章 病院管理会計
1 はじめに
2 経営環境の変化と病院経営
3 医療の質の向上に資する管理会計手法
4 まとめ

第21章 銀行管理会計
1 はじめに
2 銀行管理会計の現状
3 ケースによる研究
4 銀行管理会計の方向性
5 まとめ

第22章 行政管理会計
1 はじめに
2 基本的な業績概念
3 戦略レベルの業績管理
4 業務レベルの業績管理
5 まとめ

付録 複利現価表
年金現価表
索引

櫻井通晴 (編集), 伊藤和憲 (編集)
出版社 : 中央経済社 (2017/11/15)、出典:出版社HP

ケースで学ぶ管理会計 -ビジネスの成功と失敗の裏には管理会計の優劣がある-

はじめに

ビジネスの成否の裏には管理会計の優劣がある一少々大袈裟かもしれませんが、これは1つの真実ではないかと思っています。

それを確信させてくれたのは、京セラの創業者であり、経営破綻した日本航空再建の立役者である稲盛和夫氏の言葉です。稲盛氏は、日本航空の再上場から間もない2012年10月30日に開かれた日経フォーラム世界経営者会議において、非常に興味深いことをおっしゃっています。

稲盛氏はそこでリーダーがやるべきこととして4つのことをあげ、それを日本航空の再建においても実行したというのです。その4つとは以下のとおりです。第1は、組織の目指すべきビジョンを高く掲げること。第2は、組織のメンバーとビジョンを共有すること。第3は、人間性を高め、フィロソフィを組織に広めること。そして第4が、全社員が参加できる管理会計システムを構築することです。「このような文脈でトップの口から「管理会計」という言葉が出るのはあまり例がありません。しかも、ビジョンや人間性、フィロソフィなどと同列で語っています。そして、それを世界経営者会議という場で述べているのです。

実際、本書でも取り上げているとおり、京セラにおいても日本航空の経営再建においても、管理会計が重要な役割を果たしています。他の企業においても、なかなか表には出てきませんが、やはりビジネス成否の裏には管理会計の優劣があると思うのです。このような問題意識から生まれたのが本書です。

元となっているのは、『週刊経営財務』(税務研究会)において2012年1月から同12月まで連載した「これからの管理会計を語ろう」と、同じ<2013年2月から同9月まで連載した「これからの管理会計を語ろう!ケーススタディ編」です。今回、ケーススタディを中心に再構成し、必要な加除修正をして本書を作成しました。テーマごとにまとめた各章には、複数のケースとそれらに関連する理論の解説を付けました。

理論解説の部分はあくまでも「関連理論」の解説ですので、ここを読まなくても各ケースは十分に理解できると思います。通り一遍以上のことは書いたつもりですが、場合によっては必要に応じて参照していただく程度でも構わないかもしれません。各ケースには若干の前後関係がありますが、章単位では基本的にそれぞれ独立しています。ですから、必ずしも頭から読まず、関心のあるところだけをつまみ食いしていただいてもよろしいかと思います。

たかが会計ですが、されど会計です。特に、管理会計はマネジメントのための会計です。各ケースをとおして、ビジネスの成否の裏には管理会計の優劣があるということを感じ取っていただければ幸いです。

もう1ついっておきたいのは、管理会計に大企業も中小企業もないということです。財務会計であれば、非上場企業の方はほとんど関心がないかもしれません。なぜならば、財務会計は開示のためのルールだからです。不特定多数の人に情報開示の義務を負う上場企業でなければ、そんなものは何の飯のタネにもならないというのが本音でしょう。

しかし、管理会計は違います。管理会計はマネジメントのための会計です。中小企業であろうと、人が何人か集まるところに起こる管理上の問題は大企業とほとんど変わりません。それは、大企業から中小企業までコンサルティングをしている筆者の実感です。ケースで取り上げているのは、ほとんどが名の知れた大企業ばかりですが、中小企業にとっても大いに参考になるところがあるはずです。

最後になりましたが、本書の出版を快く引き受けてくださった同文舘出版の青柳裕之氏にお礼申し上げます。また、連載中ずっとお世話になり、単行本化に際しても全面的に協力してくださった税務研究会『週刊経営財務』編集長の金平伸一氏に感謝いたします。そして、ケースとして取り上げさせていただいた各企業およびその関係者の方々に感謝するとともに、私の一方的な解釈にもとづく内容についてはご容赦いただければ幸いです。

2014年9月 コンサルタント・公認会計士
金子智朗

金子 智朗 (著)
出版社 : 同文舘出版 (2014/9/27)、出典:出版社HP

目次

第1章 業績評価指標と組織のあり方
CASE1 長年赤字だった企業が1年で黒字に 管理単位の最小化とBSC 的業績評価の成功例
黒字化が課題のコンサルティング会社
まず組織に手を付ける
ペイナウと業績重視の評価システム
5つの指標で大胆にボーナスが増減
ポイントは管理単位の細分化と利益責任の明確化
業績評価指標の重要性
成功ストーリーの前提条件

CASE2 マトリクス組織で売上増大 クライアント志向の組織と売上の二重計上がカギ
売上増加の打ち手
チーム制では難しい
マトリクス組織へ
顧客志向の組織
画竜点睛の管理会計のカタチ
財務会計と常に一致している必要はない

CASE3 商社系 SIベンダーの失敗 競争型組織と協調型組織
SIビジネスの特性
売上増大が課題のSIベンダー
安直な事業部制が問題
トータル・サービスの提供がカギ
競争型組織と協調型組織

関連理論の解説1-1 カタチの重要性
管理会計には管理会計のカタチがある
人は見えているもので判断する
掛け時計を掛けろ
人は採点基準通りに行動する
会計基準も採点基準
100 回口にする大義名分よりも1つの正しい採点基準

関連理論の解説1-2 バランスト・スコアカード
普段の仕事の目線に落とし込む
「4つの視点」はなぜこの4つか
失敗パターン1:整合性の欠如
失敗パターン2:絞り込みの欠如
KPIは定量的であれ
成果尺度とパフォーマンス・ドライバ
パフォーマンス・ドライバの設定にはジャンプが必要
独自のストーリーと感度分析が競争力につながる
戦略マップ

関連理論の解説1-3 事業部間取引
事業部制と内部取引価格
部品Xに市価が存在する場合
市価が存在しない場合
安易な内部取引価格は競争力を奪う
あくまでもバーチャルであることを心得よ
競争型か協調型か

第2章 管理単位の細分化と非細分化
CASE4 JALの復活を支えた管理会計 アメーバ経営の導入
JAL 復活の理由は「管理会計」
アメーバ経営とは
「時間当たり採算」に見られるシンプル・マネジメント
尖閣問題での象徴的な出来事
JAL におけるアメーバ経営の真髄
勝手にコストが下がっていく

CASE5 京セラ アメーバ経営の本質 顧客価値志向、自律、それを支えるフィロソフィ
アメーバ経営のリスクは本当にリスク
アメーバ経営の本質は「顧客志向」
時間当たり採算から見て取れる「価値志向」
「自律」がなければ成り立たない
すべてを支えるフィロソフィの存在
魂なきアメーバ経営はうまくいかない

CASE6 グーグルの“生態系モデル” 管理単位を細分化しないからこその強さ
グーグルの事業内容
売上の95% は広告事業
細分化して損益を管理しない
生態系モデルから得られる示唆

CASE7なぜウォークマンは iPod に敗れたか 大企業になったソニーと生態系のアップル
デジタルハブ戦略から生まれたiPod
音楽業界を説き伏せる
社内がバラバラのソニー
消費者はモノではなくコトを求めている
損益計算書は1つだけ

関連理論の解説 2-1 配賦について考える
ケース1:内製・外注の意思決定
ケース2:共有コピー機の費用負担
ケース3:部門別損益管理
配賦に潜む落とし穴
配賦を無批判に受け入れるのは危険

関連理論の解説 2-2 ABC(Activity Based Costing)
従来の配賦計算
従来の方法はドンブリ計算
間接費をまとめず、個々に配賦基準を選択
ABC による計算1 なぜここまで違ったのか
ABMでさらにコスト削減

関連理論の解説2-3 ABC は間接費配賦の決定打か?
コスト・ドライバの測定が大変
全コスト集計の呪縛
すべて黒字である必要はない
ABC における「正しいコスト」
配賦は政策的であって構わない

関連理論の解説 2-4 「いかに配賦するか」よりも「何を配賦するか」
部門別損益管理
予算超過額を分離する
本当の問題の所在はどこだ
逆の流れの“負担金方式”
本社費の妥当額を定めているのと同じ

第3章 コスト・マネジメント
CASE8 日本航空はなぜ破綻したか 変動費中心型と固定費中心型
変動費と固定費のどちらが支配的か
売上高が増加する局面での特徴
売上高が減少する局面での特徴
ローリスク・ローリターン vs ハイリスク・ハイリターン
日本航空はなぜ破綻したか
日本航空からの教訓

CASE9 サウスウェスト航空の強み 固定費マネジメントのポイント
2つの固定費
サウスウェスト航空はなぜ低コストか

CASE 10 トヨタの後悔から学ぶ教訓 管理すべきは稼働率
リーマンショック後のトヨタ

CASE11 「忙しい」が口癖の営業マン 活動分析によるコスト削減
商談に費やす時間はわずか16%
非付加価値活動削減の打ち手
0.9人は削減できない
生産性が低い原因はスキル不足
練習しないことはできない

金子 智朗 (著)
出版社 : 同文舘出版 (2014/9/27)、出典:出版社HP

関連理論の解説 3-1 CVP分析と損益分岐点
利益を出すために必要な個数
損益分岐点の公式
変数は場合によって使い分ける
売れ残りは想定していない

関連理論の解説 3-2 安全余裕率
安全余裕率の式の意味
実務上の意味
なぜ変動を考慮するのか
予算管理に活かす

関連理論の解説 3-3 形骸化している予算管理
予算管理は予算編成と予算統制から成る
予算編成も形骸化している
管理できるものだけを管理させる
費用を管理可能性で分ける
脱予算経営という考え方
目標が固定的であることも問題
組み合わせるのが現実的

第4章 合理性を超えた先にある競争力
CASE12 サムスン電子の強さの秘密 経済合理性の罠
好調続くサムスン電子と苦戦する国内メーカ
巨額投資を続けるサムスン電子
経済合理性が邪魔をする
サムスン電子はなぜ常識破りなのか
経済合理性の罠に陥るサラリーマン

CASE 13 相次ぎ破格の買収を仕掛けるソフトバンク 合理性を踏まえて合理性を超える
ソフトバンクの業績を加速する2つの買収
合理性の先にあるイノベーション
合理性を超えることと無謀は違う

関連理論の解説 4-1 投資を利益で評価できるか
利益で見るとどうなるか
利益は事実の断片
利益は平均的情報

関連理論の解説4-2 リスクがとりにくい NPV法
平均値発想からダイナミックな発想へ
合理的ゆえにリスクがとれない
だからベンチャー・キャピタルは成功しない
ポートフォリオで考えるべき

第5章 会計は誰のためにあるか
CASE14 押し売りと化す顧客維持型マーケティング 顧客価値は本当に顧客にとっての価値か
花屋さんの売上を増やす2つのアプローチ
陳腐化する手段
押し売り化する顧客維持型マーケティング
IT のツールになり下がった CRM
「顧客価値」は本当に「顧客の価値」か

CASE15 株主重視は本当か “人件費前利益”という考え方
従業員満足度が最優先のサウスウェスト航空
従業員満足度は生産性も高める
ポスト資本主義という考え方
財務会計のカタチでは人は報われない
「人件費前利益」という考え方

関連理論の解説 5-1 顧客志向の管理会計
なぜ製品・サービス別に利益を管理するのか
利益の源泉は何か
20対80の法則
顧客別に損益を管理
顧客別コストをどう把握するか

第6章 会計業務のあり方
CASE 16 月次決算と年次決算の擦り合わせに丸3日 “財管一致”は必要か
月次決算と本決算が合わない
“財管一致”のウソとホント
常に財管一致はあり得ない
財管不一致が問題となる場合
“管財組替”があるべき姿

CASE17 世界でただ1つの会計センターを実現したオラクル IFRS が加速する経理業務のオフショア化
グローバル企業オラクルの課題
シングル・インスタンスをインドに
大幅なコスト削減と決算早期化
GSI実現の3つのカギ
管理会計の比重を増すために
IFRS + XBRL +クラウド=財務会計業務のオフショア化

CASE18 経理部の廃止を宣言した社長の真意 これからの経理部門の役割
会計に対するトップの本音
管理会計の担い手たれ
スマイルカーブ化する会計業務
“作業”からの解放と人材教育がカギ

関連理論の解説 6-1 IFRS 時代の管理会計
IFRS になったら経営は大混乱?
グローバル・マネジメントの共通言語としての意義
自社の価値観にもとづく管理会計のカタチを
ルールはグローバルでもやり方はローカルでいい
見えなくなったものを補う
新たに見えるようになるものを活かす
VBM などの手法の活用も

索引

金子 智朗 (著)
出版社 : 同文舘出版 (2014/9/27)、出典:出版社HP

図解! 生産現場をカイゼンする「管理会計」 新しい会計を生産技術者が知るための<なぜなぜ88>

厳しい時代を生き抜こう!

新型ウィルスの蔓延/経済の停滞/延期された東京五輪後にやってくる何か…

史上最悪とも言われる厳しい経営環境の中で生産性向上やコストダウン、在庫削減に懸命に取り組んでいない会社はないでしょう。長年、こうした活動を力強く牽引してきたのが、生産技術者の皆さんがリードするカイゼン活動です。「7つのムダ取り」「問題点の見える化」「からくり」「コストハーフ」「ゼロ在庫」などなど、日本が誇るカイゼンは不可能を次々と可能にしてきました。

「日本のモノづくりに不可能はない!」

ところが…世界をリードしていたはずの日本のモノづくりは30年前から進化が止まり、世界第二位だったGDPも中国に抜かれました。現場は途方に暮れ、絶望感が漂っています。今やどこに行っても気合いと根性の竹槍力イゼンばかり。成果が出せなくなった活動は日本中で「カイゼンごっこ」と化し、在庫不正、検査不正、カイゼン不正、会計不正が横行しています。生産性も、コストも、在庫も「見える化」どころか「見えぬ化」され、製造業はリストラの海、日本の生産性は先進国最下位となりました。そしてついに先進国グループから脱落しつつあるのです。そんな時、コロナ危機がやって来ました。もう戦えません!私達の暮らしは、これからどうなってしまうのでしょうか?

いえ、大丈夫です!今なおGDP世界第三位の日本です。今までのカイゼンをほんの少し進化させられるなら、日本はもっと力強く戦えるのです。そんな日本のモノづくりに決定的に欠けていたのは「会計の力」でした。

Q. 生産性は、どうしたらきちんと測れますか?
Q. コストダウンの成果をどうやって数値化しますか?
Q. 在庫を持つことのメリット/デメリットをどう見える化すべきでしょうか?

いかなるカイゼンも、P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)と繋がらなければお遊びです。誤った活動は修正されません。なぜならP/LやB/Sこそ、会社の全ての活動を見える化し、その正否を見極める羅針盤だからです!P/LやB/S、ちゃんと使えていましたか?もしかしたら、読み方さえ習っていなかったかも…でも心配は御無用です!P/LやB/Sと言っても、決して難しいものではありません。

本来それは、コストと戦う生産技術者のために作られた経営改善のツールだったのです!ですから順番に学んでいけば簡単です。思い出して下さい。ほんの少し前まで「日本のモノづくりに不可能はない」と言われていたことを!厳しい時代を生き抜きましょう。きっとこの本が、皆さんに驚きと革新と勇気を届けます。

令和2年4月7日 緊急事態宣言の日に
吉川武文

目次

まえがき…厳しい時代を生き抜こう!

I. 8つのムダとは何か?…ここから始まるカイゼン革命!
なぜなぜ1 「7つのムダ」だけで戦えますか?
なぜなぜ2 日本のモノづくりは、なぜ失速したのでしょうか?
なぜなぜ3 ビジネスの環境って、昔も今も同じですか?
なぜなぜ4 コストって、どこにありますか?
なぜなぜ5 カイゼンが目指す目標って、何でしたっけ?
なぜなぜ6 製造業の8つのムダって何だと思いますか?
なぜなぜ7 あなたの会社は、動脈硬化していませんか?
なぜなぜ8 8つのムダは、なぜ放置されてきたのでしょうか?
なぜなぜ9 なぜ、そんな不便な会計を使い続けるのですか?
なぜなぜ10 生産技術者の使命って、何ですか?
8つのムダ 〜 必ず会社を元気にする!
コラム① 株式会社って、何だっけ?

Ⅱ. 株主不在のムダ…資本主義社会の掟とは?
なぜなぜ11 株式会社の始まりを知っていますか?
なぜなぜ12 2つの資金運用、あなたはどちらを選びますか?
なぜなぜ13 株主が株式会社に望むことは何ですか?
なぜなぜ14 会社は株主に対しどんな責任を負っていますか?
なぜなぜ15 株主の期待が達成できなかったらどうなりますか?
なぜなぜ16 責任達成/未達成の境界を何と呼びますか?
なぜなぜ17 利益がゼロで、本当に損益分岐点なのですか?
なぜなぜ18 年金が破綻する本当の理由を知っていますか?
なぜなぜ19 自分の会社の資本コストを知らされていますか?
なぜなぜ20 カイゼン活動の目標をどうやって決めていますか?
株主不在のムダ 〜 資本主義を生き抜く!
コラム② 年金が増えない理由、知ってましたか?

Ⅲ. 工場外無関心のムダ…製造業の新しい勝負所を探せ!
なぜなぜ21 在庫を減らせと言われるのはなぜですか?
なぜなぜ22 在庫があるのは工場の中だけですか?
なぜなぜ23 貸借対照表で在庫を調べたことありますか?
なぜなぜ24 在庫(お金)が寝たらいけないのはなぜですか?
なぜなぜ25 在庫回転数を計算したことがありますか?
なぜなぜ26 一緒に在庫回転数を計算してみませんか?
なぜなぜ27 今まで財務指標を怖がっていませんでしたか?
なぜなぜ28 財務指標のため、お金を寝かしてるの知ってますか?
なぜなぜ29 無関心がどんなムダに繋がるかわかりましたか?
なぜなぜ30 戦場は工場の中だけじゃないとわかりましたか?
工場外無関心のムダ 〜 悲劇を終わらせる!
コラム③ 内部留保が増えて、何が悪い?

Ⅳ. ゼロ在庫のムダ…「ゼロ在庫」ではもう勝てない!
なぜなぜ31 棚卸の日だけ、在庫を減らしたりしていませんか?
なぜなぜ32 大事なことなら、なぜ毎日管理しないのですか?
なぜなぜ33 見かけだけの在庫削減、もう止めませんか?
なぜなぜ34 そろそろ竹槍力イゼンを卒業しませんか?
なぜなぜ35 コストの内訳を、ちゃんと見ていますか?
なぜなぜ36 材料費のコストダウンにどうやって取り組みますか?
なぜなぜ37 それでも、まとめ買いってダメですか?
なぜなぜ38 在庫回転数にメリハリつけませんか?
なぜなぜ39 古い原価計算の弊害って、知ってますか?
なぜなぜ40 思い切って、原価計算変えちゃいませんか?
ゼロ在庫のムダ 〜 出口を見つける!
コラム④ 究極の5Sとは?

V. ムダ取りのムダ/共倒れのムダ…そろそろ仕事のやり方変えませんか?
なぜなぜ41 そもそもコストって、何ですか?
なぜなぜ42 変動費がコストなら、固定費は何ですか?
なぜなぜ43 コストと資源の管理目標の違いがわかりますか?
なぜなぜ44 コストや資源には、どんなものがありますか?
なぜなぜ45 ムダ取りのムダ、やっていませんか?
なぜなぜ46 人はコストですか、資源ですか?
なぜなぜ47 自動化の落とし穴を知っていますか?
なぜなぜ48 予防保全はどこまでやるべきでしょうか?
なぜなぜ49 内製か外注かをどうやって決めますか?
なぜなぜ50 共倒れのムダって、何のことかわかりますか?
ムダ取りのムダ/共倒れのムダ 〜 共に生きる!
コラム⑤ 他社の製品を売る覚悟

Ⅵ. 場当たり配送のムダ…コストダウンの発想から、価値を創る発想へ!
なぜなぜ51 90%の人が、どちらを選んだと思いますか?
なぜなぜ52 この赤字事業をどうやって立て直しますか?
なぜなぜ53 その製品を誰が作っているか知ってましたか?
なぜなぜ54 これからの製造業の競争力って、何でしょう?
なぜなぜ55 これからも工場中心でよいですか?
なぜなぜ56 いつまでも「生産技術」って名前でよいですか?
なぜなぜ57 持つべき在庫があるなら、それは何でしょう?
なぜなぜ58 場当たり配送のムダって、なんでしょう?
なぜなぜ59 配送のムダ、会社でやっていませんか?
なぜなぜ60 手つかずの宝の山が見えてきましたか?
場当たり配送のムダ 〜 チャンスを掴む!
コラム⑥ 日本的経営を覚えていますか?

Ⅶ. 身分分断のムダ…ホワイトカラーの生産性が低すぎる!
なぜなぜ61 生産性って何ですか?どうやって測りますか?
なぜなぜ62 まさか標準時間で生産性を測っていませんよね?
なぜなぜ63 作業日誌とタイムカード、突合したことありますか?
なぜなぜ64 生産性を、きちんと「見える化」しませんか?
なぜなぜ65 生産性にはどんなバリエーションがありますか?
なぜなぜ66 ムダ取りで取ったムダを、どう活かしていますか?
なぜなぜ67 どうすれば、自発的な人材が育ちますか?
なぜなぜ68 ホワイトカラーって、いったい誰のことですか?
なぜなぜ69 叩かれる人がいて、叩く人の生産性は上がりますか?
なぜなぜ70 身分分断のムダ、やってませんか?
身分分断のムダ 〜 人材を育てる!
コラム⑦ やればできる?

Ⅷ. 会計不毛のムダ…勘と気合の設備投資を卒業する!
なぜなぜ71 資本主義社会の掟とは、どんなものでしたか?
なぜなぜ72 割引計算の意味って、説明できますか?
なぜなぜ73 この計画にいくら投資してよいかわかりますか?
なぜなぜ74 NPV関数、使ってますか?
なぜなぜ75 正味現在価値法(NPV)で投資判断できますか?
なぜなぜ76 内部収益率法(IRR)で投資判断できますか?
なぜなぜ77 IRR関数の使い方、わかりましたか?
なぜなぜ78 会計不毛のムダ、そろそろ卒業しませんか?
なぜなぜ79 正味現在価値と内部収益率の使いわけ方は?
なぜなぜ80 正味現在価値と内部収益率が逆転したら?
会計不毛のムダ 〜 進化の時!
コラム⑧ 創造業への道程

付録. カイゼンのための計算事例…8つの場面を考えよう!
なぜなぜ81 カイゼン活動の計算シートが作れますか?
なぜなぜ82 ムダ取り活動の計算シートが作れますか?
なぜなぜ83 自動化投資の計算シートが作れますか?
なぜなぜ84 予防保全の計算シートが作れますか?
なぜなぜ85 在庫削減活動の計算シートが作れますか?
なぜなぜ86 納期短縮活動の計算シートが作れますか?
なぜなぜ87 研究開発の計算シートが作れますか?
なぜなぜ88 IoT契約の計算シートが作れますか?
誰がこの悲劇を終わらせるのか?
コラム⑨ 本当に本気だから

あとがき…絶対に生き残る!