アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 数学




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監修者のことば

この度は『アクチュアリー試験合格へのストラテジー数学』の監修者をつとめます。

この本はアクチュアリー受験研究会代表MAH氏が中心となり、アクチュアリー数学合格のための知識、問題解法についてまとめた本です。必要な基礎知識、必須知識、発展的な知識、他の本にはあまり書かれていないが知っておくと良い豆知識などが効率良くまとめられています。演習問題の多くは過去問とよく似た類題で構成されており、監修者がここ15年位、日本アクチュアリー会の基礎講座、演習講座で授業、演習を行ってきましたがそこで扱った問題の類題等も数多く収録されています。

必要な数学の基礎知識を拙著『弱点克服大学生の確率・統計』(東京図書)でマスターした後、過去問演習に行く前に本書の演習をこなしておくと、過去問を解くのも非常に楽になり、もちろん本番の数学も合格圏内に入る確率が非常に高まることでしょう。

2017年4月
中央大学理工学部 藤田岳彦

アクチュアリー受験研究会代表 MAH (著), 藤田 岳彦 (監修), 岩沢 宏和 (その他)
出版社 : 東京図書 (2017/6/8)、出典:出版社HP

推薦のことば

本書を執筆したMAHさんとの初めての会話はTwitter上でした.2010年3月27日、MAHさんの「アクチュアリー受験研究会の第1回勉強会&決起大会終了!」というツイートにリプライしたことを今のことのように覚えています。当時の私は、カナダの大学に留学していました。その大学には「アクチュアリークラブ」というものがあり、米国アクチュアリー試験に合格した先輩が後輩に受験対策の手引きを行うということを定期的に行っていました。ときには、米国アクチュアリー会からシニアなアクチュアリーを招き、アクチュアリー業務についての講演を行っていました、同様のことを日本でも行いたいという思いを胸に、その年の7月に帰国し、そのままアクチュアリー受験研究会に参加するようになりました。

今に比べると当時の参加者は少人数で、とても科目ごとに講義を行えるという状況ではありませんでした。でも、年々参加者は増え、一次試験対策を科目ごとに行うようになりました。そして、一次試験に合格したメンバーが増えるとともに、二次試験対策が自然と生まれました.さらに、CERA (Chartered Enterprise Risk Actuary)という新たな資格が誕生すると、アクチュアリー受験研究会の掲示板やTwitterを通じて一緒に勉強する仲間を募り、CERA対策も行うようになりました。日本でのCERA試験初年度の合格者9人の内、3名がアクチュアリー受験研究会で一緒に勉強していた仲間でした。

その後も毎年CERA合格者を輩出しています。また、毎年2月のキックオフミーティングでは、毎回アクチュアリー正会員の方を招き、「特別講演」を行っています。特に学生の方からすると、試験に合格することが目的化しがちですが、「特別講演」を通じて、正会員になった後の姿を思い描いてほしいという趣旨で企画しています。このように、気づくとアクチュアリー受験研究会は、会社や業界の垣根を超えての学びの機会を提供する。貴重な存在になっていると実感しています。

アクチュアリー受験研究会はMAHさんの存在なくして語れません.ウェブサイトの立ち上げから、勉強会の企画運営までご尽力いただき、言葉で言い尽くせないほど感謝しています.MAHさんの他にも、アクチュアリー受験研究会の運営はボランティアで支えられています。運営に関与して頂いている方々、本当にありがとうございます。

アクチュアリー受験研究会が2009年に誕生して以来、多くの受験生が一次試験の「数学」の受験対策を行ってきました。中には、異業種の方でも「数学」の試験に合格している人がいます。本書で紹介されているさまざまな問題は、多様な経歴の方々が試行錯誤して合格に至るまでに編み出した、そのエッセンスが込められています。「数学が得意でない人でも受かるアクチュアリー試験」というMAHさんの思いが読者にも伝わることを願っています。そして、本書で試験勉強を行った方が一人でも多く「数学」の試験に合格することを祈念しています。

2017年2月
アクチュアリー受験研究会会長 藤澤陽介

アクチュアリー受験研究会代表 MAH (著), 藤田 岳彦 (監修), 岩沢 宏和 (その他)
出版社 : 東京図書 (2017/6/8)、出典:出版社HP

はじめに

アクチュアリーに興味を持ち、アクチュアリー試験を受験しようと思った方、アクチュアリーになりたいと思った方が、ひょっとしたら本書を手に取っていただいたのかもしれません.アクチュアリー試験を受験する動機はさまざまだと思います。学生の方も受験できますので、「専攻している数学を活かした職業に就きたい」「好きな数学が役に立てる保険会社に就職したい」という方もいらっしゃるでしょう。保険会社に就職し、営業部門に配属されたものの、生命保険や損害保険の商品に魅せられて「商品開発部門に異動したい」という方もいらっしゃるでしょう。また保険業界や年金業界ではないところに就職したけど、アクチュアリーの魅力に触れて、「アクチュアリー試験に合格して転職したい」と思う方や、公認会計士や弁護士の方でも、アクチュアリアルな知識を身に着け、より高度な業務に取り組みたいという方もいらっしゃるでしょう。

従来、アクチュアリーになる方は大学の数学科出身の方が多かったと思いますが、近年受験生のすそ野が広がることにより、多様な分野から優秀な方々がアクチュアリーを目指すということも増えてきていると思います。日本ではアクチュアリーの知名度はまだまだ低く、保険会社に就職したとしても、必ずしもメジャーではなかったりします。一方アメリカでは、200職種から選ばれるBest Job ランキングで、2015年度は1位に輝いており、大変メジャーな職業です。

しかしながら、勉強を開始したものの、何をどう勉強したらよいのか、というところでつまずかれる方も多いのではないかと感じます。なぜなら私自身、数学が全くできない状態でアクチュアリー試験「数学」に臨み、かなり苦労した経験があるからです。

初学者にとって、アクチュアリー試験「数学」が難しいと感じるのは、教科書や参考書が複数あり、しかも広範囲で十分に整理されているわけではない、というところに一因があるのではないかと思います。また、確率・統計以前の基本事項をどこまで知っていれば教科書や演習書を読めるのか、過去問を解けるのか、といった情報があるわけではなく、初学者にとっては「とっかかり」の難しさがあります.

私のような思いをこれから勉強する方にさせないために、少しずつでもアクチュアリー試験に関する情報を蓄積していけば、きっとよりアクチュアリー試験にチャレンジしやすくなるに違いない、そういう思いから2009年に「アクチュアリー受験研究会」という勉強サークルを立ち上げました.アクチュアリー試験の受験生がより効率的に学習が進めていくことができれば、受験生の皆さんの早期合格=幸せにつながるのではないかと考えています。

本書は初学者を対象とし、アクチュアリー試験を受けるための基本情報、アクチュアリー試験「数学」合格までのステップ、過去問を解くために必要な公式・知識を網羅した公式集、公式を理解し定着させるための基礎問題集で構成しています。本書のみでアクチュアリー試験「数学」に関して最低限「必要な知識を習得することを目指しました。試験範囲外のことはそぎ落としていますので、一冊丸々やり込んでいただいてもまったく無駄が生じないように盛り込んであります。本書に出てくるすべての問題について、1問あたり5分、最大でも10分で常に解ける状態にまで習熟すれば、過去問にも十分取り組んでいけると思います。本書をベースに、勉強を進めていくことで、確実に合格を果たせるのではないかと思います。

一方で、本書だけでアクチュアリー試験「数学」に合格することを保証しているわけではありません、本書をクリアしたのち、過去問への取り組みや、未出問題への取り組みなども必要です。本書はそれらに取り組んでいくための基礎的な知識を盛り込んでいますので、本書に掲載している公式集や解法を活用して、どんどん過去問に取り組まれるといいでしょう。

本書は、各教科書・参考書・過去問や、アクチュアリー受験研究会の会員の皆さまからお寄せいただいた情報を参考に作成しました。あっさり合格していたら、こういった本が世に出ることはなかったでしょう。数学の合格にあたって、また、本書の企画・制作において多大なるご指導をいただいた藤田岳彦先生、岩沢宏和先生に感謝を述べたいと思います.

また、本書の作成にあたっては、問題の解答作成を大いに手伝っていただいた横田大輔さん、図の作成・仕上げ・各種チェックに多大に貢献いただいたアクサ生命の北村慶一さん、問題や校正に協力いただいたRGA再保険の藤澤陽介さん、あずさ監査法人の島本大輔さん、損保ジャパン日本興亜の相馬直樹さんと中島圭輔さん、プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命の鈴木理史さん、さおりんさんをはじめとして、アクチュアリー受験研究会の皆さん、ありがとうございました。

2017年6月
アクチュアリー受験研究会代表 MAH

アクチュアリー受験研究会代表 MAH (著), 藤田 岳彦 (監修), 岩沢 宏和 (その他)
出版社 : 東京図書 (2017/6/8)、出典:出版社HP

目次

監修者のことば
推薦のことば
はじめに

第I部 アクチュアリー試験「数学」受験ガイダンス
第1章 アクチュアリー試験の概要
1.1 なぜアクチュアリー?
1.2 アクチュアリー試験はどんな試験?

第2章 アクチュアリー試験「数学」概要
2.1 試験範囲について
2.2 教科書・演習書と試験範囲の関係
2.3過去問の分類と試験範囲の関係
2.4 試験の形式と試験時間からの考察
2.5 アクチュアリー試験「数学」の沿革
2.6確率分野問題での頻出確率分布(参考)
2.7 統計分野問題での頻出統計量(参考)

第3章 初学者のための「数学」受験ガイダンス
3.1 1年間のスケジュール
3.2 お勧め受験対策
3.3 よくある質問
3.4 モチベーション維持法・疑問点解消法
3.5 アクチュアリー受験研究会の活用
3.6 試験直前の心得

第II部 アクチュアリー試験「数学」公式集
第4章 基礎公式
4.1 数列
4.2 重要関数
4.3 微分積分
4.4 テーラー展開
4.5 漸化式の解法
4.6 線形代数
4.7 その他

第5章 確率分野公式
5.1 場合と数
5.2 確率変数
5.3 多変数の確率変数
5.4 複合分布・混合分布

第6章 統計分野公式
6.1 統計総論
6.2 統計各論

第7章 モデリング分野公式
7. 1 回帰分析
7.2 時系列解析
7.3 確率過程
7.4 シミュレーション

第III部 アクチュアリー試験「数学」必須問題集
第8章 確率分野問題
8.1 離散一様分布
8.2 二項分布
8.3 ポアソン分布
8.4 幾何分布、ファーストサクセス分布)
8.5負の二項分布
8.6 超幾何分布
8.7 多項分布
8.8 正規分布
8.9指数分布、ガンマ分布
8.10 ベータ分布、多次元ベータ分布.
8.11 トレーズ、確率変数の分解
8.12 加法定理、複合分布
8.13 ベイズの定理
8.14 漸化式
8.15 一様分布の変換、一様分布の和・差・積・商、三角分布
8.16 正規分布の変換、対数正規分布
8.17 コーシー分布、t分布、F分布、第2種パレート分布
Tea Time 電卓の使いこなし術

第9章 統計分野問題
9.1 中心極限定理、チェビシェフの不等式
9.2 順序統計量系
9. 3 点推定系
9.4 区間推定系
9.5 有限母集団
9. 6 検 定系
Tea Time 普段の勉強のちょっとしたコツ

第10章 モデリング分野問題
10.1 回帰分析系
10.2 時系列解析系
10.3 確率過程系
10.4 シミュレーション系
Tea Time 受験本番での Tips

付録 代表的な確率分布の特性値など
付表
参考文献
索引

アクチュアリー受験研究会代表 MAH (著), 藤田 岳彦 (監修), 岩沢 宏和 (その他)
出版社 : 東京図書 (2017/6/8)、出典:出版社HP