【最新】電気設備が学べるおすすめ本 、参考書(独学勉強)




コンテンツ 非表示

電気設備を学ぼう

ランキングも確認する
出典:出版社HP

絵とき 電気設備技術基準・解釈早わかり -2019年版-

まえがき

新しい電気設備技術基準は,平成9年3月27日に通商産業省令として公布され,平成9年6月1日から施行されている.この新しい電気設備技術基 準(以下「新電技」と略す)は,性能規定化され,非常に簡素化されたために,具体的に電気設備の工事をする場合や点検・検査をする場合の判断基準 として,「電気設備技術基準の解釈」(“新電技の解釈”)が通産当局より示さ れた。この“新電技”と“新電技の解釈”については,[1] 新電気設備技術 基準等の背景と概要及び [2] 新電気設備技術基準の解釈の位置づけと概要において詳細に述べてある.

電気設備技術基準は、大正時代の電気工作物規程時代からわが国の電気設 備法令として権威あるものとして位置づけられてきたが,規制緩和と国際化 への対応という背景から,上述のように新電技そのものは簡素化され読みやすくなった。その解釈については、内容的には旧電技やその告示とほとんど 同じである.したがって,旧電技の絵とき解説と同じような解説を出して欲 しいという要望が多く当社に寄せられた.
このような事情から、関係各位のご協力を得て、再び「絵とき電気設備技 術基準・解釈早わかり」を出版することになった.

新電技の条文はほとんどが読めば意味はわかるが、本際にどのような設 備をどのようにすればよいのかは具体的にはわかりにくい。そこで、一口コメントとして深く関連する解釈条文を掲げておいた、新電技第19条のよう に関連解釈のない条文については、できるだけ詳細に解説を行っている。
解釈の解説に当たっては、正確ではないが、その条が大まかな内容をつかんでいただくために,条文の趣旨を述べ,かつ, 解するための補 助的な説明をすることに力点を置いた。又,図を入れなどにより、より理解しやすくし、工業高校や工専など学生の読者には, 対象になっている電気設備を知らない場合も多々あると思われるので,できる限りその代表的な電気設備の例を図面として入れるようにした。しかしながら,本書の解釈 の部分を見ていただければわかるように、左のページに条文があり,その条 文の解説が右のページにあるというように、見開きの頁構成にしたことにより、解説の内容に精粗がある点については、ご容赦していただきたい。

なお,“新電技の解釈”には絶縁電線や各種ケーブルの規格など旧電技の告示に定められていたものが多く取り入れられ、又,誘導電流の計算方法 が、その条文として取り入れられている。“新電技の解釈”の条文を読みやすくするためには、これら詳細にわたるものについては別にした方が読みや すいとの判断から、規格関係のものは「規格」として,計算式関係のものは 「計算方法」として、「別表」を含めて最後にまとめて掲載し,“新電技の解 釈”の条文から省略することを明示したうえで解釈本体からは割愛させていただいた。

最後に,本書は新電気設備技術基準の発足と共に新しく「電気設備技術基 準研究会」を発足させ、この先生方のご協力のもとに進めることになったものである。 <2019年版発行に当たって) 平成23年7月に電技解釈が全面改正され条文番号も変更されたが,その 後も、毎年のように改正されている。
これらの改正のうちでも平成24年9月の電技(省令)の改正で、原子力発電所の電気設備については,第3条において適用外となったことである。
これは原子力保安規制が経済産業省から原子力規制委員会に移行したことに よるものである。

平成28年は、平成26年6月に大幅改正された電気設備技術基準の基である電気事業法が平成28年4月1日から施行され,電気の小売りの自由化など電気事業にとっては大きな変革の年であった、電気事業の類型も小売電気 事業,一般送配電事業,送電事業,発電事業等に改められている。

電気設備技術基準の改正は,巻末の「改正の要点」にまとめられているが、新たな条文として電気事業のサイバーセキュリティの確保に関する規定が追加されている。その他、電気設備技術基準の附則において、高濃度 PCB含有電気工作物に関する処分が規定された.
平成29年以後の改正では、太陽電池発電に係る支持物の規制や直流450V回路に係る規定がなされている、

電気設備技術基準研究会 代表 竹野正二

電気設備技術基準研究会 (編集)
オーム社 (2019/4/24)、出典:出版社HP

目次

電気設備技術基準・解釈とその概要
[1] 新電気設備技術基準の背景と概要
[2] 電気設備技術基準の解釈の位置づけとその概要
[3] 技術基準と関係法規
[4]条文の読み方
*凡例

■「電気設備技術基準」早わかり
●電気設備に関する技術基準を定める省令
第1章 総則
第2章 電気の供給のための電気設備の施設
第3章 電気使用場所の施設
附則
* 本書の構成と特長

■『電気設備技術基準・解釈』早わかり
第1章 総則
第1節 通則
第2節 電線
第3節 電路の絶縁及び接地
第4節 電気機械器具の保安原則
第5節 過電流,地絡及び異常電圧に対する保護対策
第2章 発電所並びに変電所,開閉所及びこれらに準ずる場所の施設 第3章電線路…
第1節 電線路の通則
第2節 架空電線路の通則
第3節 低圧及び高圧の架空電線路
第4節 特別高圧架空電線路
第5節 屋側電線路,屋上電線路,架空引込線及び連接引込線
第6節 地中電線路
第7節 特殊場所の電線路
第4章 電力保安通信設備
第5章 電気使用場所の施設及び小出力発電設備
第1節 電気使用場所の施設及び小出力発電設備の通則
第2節 配線等の施設
第3節 特殊場所の施設
第4節 特殊機器等の施設
第5節 小出力発電設備
第6章 電気鉄道等
第7章 国際規格の取り入れ
第8章 分散型電源の系統連系設備

■規格/計算方法/別表/JESC/参考
規格
計算方法
別表
JESC
参考

■ 「発電用風力設備技術基準・解釈」早わかり
●発電用風力設備に関する技術基準を定める省令
●発電用風力設備の技術基準の解釈について
●発電用風力設備に関する技術基準を定める省令及び
●その解釈に関する逐条解説
●電気設備に関する技術基準を定める省令,
電気設備の技術基準の解釈の改正の要点
●索引

電気設備技術基準研究会 (編集)
オーム社 (2019/4/24)、出典:出版社HP

電気設備技術基準・解釈とその概要

[1] 新電気設備技術基準の背景と概要

電気設備技術者のバイブルともいわれる「電気設備に関する技術基準を定める 省令」(通称「電気設技術基準」(以下, 「電技」という)が、平成9年3月27日に全面改正となり、公布された。
この改正は、最近の技術的な進歩や保 「女実績など、更には事業者の自己責任原 期を重視する観点から、保安上支障のない日電技の条項を整理・削減して電気工作物の保安上欠かすことのできない条項のみとし、類似している規定を整理・統合して機能性化が図られている。 「公布された技術基準の背景及び概要」は、以下のとおりである。

1. 見直しの背景
平成6年12月の「電気事業審議会需給 都会電力保安問題検討小委員会」報告で、電気事業法に基づく技術基準を保安確保 の柱と位置づけ、見直しの方向が提言された。
このような提言を受け、「技術基準」は 次のような方針のもとに、新しく制定されたものである。
① 技術進歩,環境変化などにより、簡素化しても保安上支障がない条項を整理する。
② 設置者などの理解が向上し、かつ技 術基準の客観性が確保可能な場合には、機能性基準の視点を導入する.
③公正中立と認められるような外国の規格、民間規格などを導入する.

2. 技術基準改正の概要
①条項を整理・削減
近年の保安実績および技術進歩の動向を考慮し、かつ事業者の自己責任原則を重視する観点から不要となった条項を整理・削減し,電技を電気工作物の保安上欠かすことのできないものに限定している、又,電技の機能性化を図ることにより、類似規定の整理・統合が行われている.
②電技の性能規定化
電技の性能規定化とは、保安上必要な性能だけで基準を定め、当該性能を実現するための具体的な手段,方法などを規定しないことを意味している.したがって,旧電気設備技術基準及び告示において詳細に規定されている材料の規格,数 値,計算式などについては、解釈に委ねるものとして削除し、保安上必要な設備 の機能要件だけを省令に規定する改正が行われている。
③外国の規格,民間規格などの導入
上記のように,電技を機能性化することによって,電気工作物を設置しようとする者が電技に定める保安性能を確保し得る範囲内で,外国の規格や民間規格などによる電気工作物を設置することを可 能としている。

[2] 電気設備技術基準の解釈の位置づけとその概要

1. 解釈の位置づけ、
電技が、[1]で述べたように性能規定化されたが、どのようにすればその機能の目的が達せられるか、具体的施設方法を定めた基準が必要となった。そこで旧電気設備技術基準と旧告示の内容が大幅に取り入れられた「技術基準の解釈」が 公表された。この解釈に適合していれば技術基準にも適合していると運用される ものである。なお、この「解釈」は、経済産業省が電気事業法に基づく事業用気工作物の工事計画の認可や使用前検査 等をする場合の「審査基準」となること及び一般用電気工作物の改修命令を出す時の「処分の基準」となる。
これは、解釈が行政手続法に基づき、 電気事業法上の各種の行政処分を行うための判断基準として位置づけられているためである。

2.解釈の概要
(旧電技と異なる点)
新電技の技術的要件を満たすべき技術 的内容ができてなり具体的に示された 「電気設備技術基準の解釈」で(”新電技の解釈”)は、内容的には技術的な判断基準といえるもので、 の文構成や条文内容は旧電技、 のである。しかし、 日電技が電気事に基づく省令として位置づけられ、法令として守らなければならないものであったのに比べ,新電技の解釈”はこの条文に適合していれば新 電技に適合しているとされるもので、この新電技の解釈によらなくても技術 的根拠があれば新電技に適合する場合もあると前文に説明されている.
このことからすると旧電技と“新電技の解釈”とは性格的に異なるものである.この点も含め、旧電技と“新電技の解釈” との全体的な違いを掲げると次のように なる。
①“新電技の解釈”は守らなければならない旧電技と性格が異なるため、「OOしなければならない。」という表現が、「○○すること.」という表現に変わっている。
② 単位が国際単位系(SI 単位)に変 わっている(圧力 kgf/m2 → Pa(パスカル), 強さ kgf → kN (キロニュートン))
③電線,接地線,架空地線等が特別な場合を除き,「引張り強さ○○ KN 以上」と規定され,例示として従来のものが並列して掲げられている。
④ 絶縁電線等は、性能基準(基本構造,絶縁体の厚さ(低圧のみ)、完成品試験)に適合するものはよいとされ、この性能基準に適合するものの絶縁電線等の規格も例示的に掲げられている。
⑤旧電技のうち,自主保安にまかせるとして、「新電技」からも“新電技の解釈”からも削除されたものがある。例えば,旧電技第37条(開閉器の施設)や第 45 条 (特別高圧電路の相および接続状態の表示)がある。 削除されたから,これが不要になったと解釈すべきではない.

[3] 技術基準と関係法規

1. 電気事業法と技術基準
昭和40年7月から施行されていた電 気事業法は、平成7年10月と平成26年 6月に大幅な改正が行われ、現在の電気事業法となり、後者の改正は平成28年6 月3日から施行されている。この電気事業法の目的はその第1条において「この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全 な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保 全を図ることを目的とする。」と定められているように、三つの大きな目的がある。
すなわち、電気事業法は電気事業の規 制を行うとともに,電気工作物の保安規制と環境保全規制を行っている。気工 作物の保安に関しては、電気事業)の電 気工作物だけでなく自家用電気工作物及び一般用電気工作物の電気保安に関しても定めている。
技術基準は、電気事業法に基づく省令。 の一つとして、電気保安の確保の」めの基礎となる重要なものである。電気事業法において、電気工作物はすべて技術を準どおりに維持されなければならないと 定められているからである(法第39条)。
なお、電気事業法は、事業規制と保女規制の関連の規制があるが平成28年6 月から施行された改正は,電気事業に係る改正が主である。

1. 電気工作物の定義
電気工作物は技術基準どおりに維持されなければならないが,その電気工作物の範囲は電気事業法第2条第1項第十八 号に次のように定められている.
「電気工作物」 発電,変電、送電若 しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路,貯水池, 電線路その他の工作物(船舶,車両又は 航空機に設置されるものその他政令で定めるものを除く)をいう。
上記の定義により電気工作物の定義は、ボイラーやタービン、ダム、水路まで含まれた非常に幅の広いものである。 船や車両、航空機の中に設置される電 気工作物その他政令で定める電気工作物 は、定義の中から除かれているので、これら除かれた電気工作物は技術基準が適用されないということになる。どのよう なものが除かれているかというと,電気事業法施行令第1条に次のように定めら れている。

(1) 鉄道営業法,軌道法若しくは鉄道事業法が適用され若しくは準用される 車両若しくは搬器,船舶安全法が適用される船舶若しくは海上自衛隊の使用する 船舶又は道路運送車両法第2条第2項に 規定する自動車に設置される工作物
ただし、これらの車両,搬器,自動車及び船舶などの内部で電気を使用するも のに限られていて、これら以外の場所に ある電気設備に電気を供給する発電車とか変電車などは除く(第1図参照).
すなわち、JRや私鉄の車両,索道規則により規制されるロープウェイの搬器 (カゴ) トロリーバス,自動車,推進機能をもっている独航能力のある船舶など の内部にある各種の電気設備は,電気事 業法でいう電気工作物とはならない、これらの車両や船舶などに設置されるものであっても,事故復旧用の移動発電車や 移動変電車など外部の電気設備につないで使用するものは電気工作物となる(第 2図参照),電気自動車でも充電の際に 屋内配線から行う構造のものは電気工作 物となる。

(2) 航空法第2条第1項に規定する航空機に設置される工作物.
すなわち、人が乗って航空の用に供する飛行機,回転翼航空機(ヘリコプター), 滑空機(グライダー)などに設置される 電気設備などであり,これらの電気設備 は電気工作物から除かれている.

(3) 前述の (1), (2) に掲げるもの のほかに, 電圧 30V未満の電気的設備で あって, 電圧30V以上の電気的設備と電 気的に接続されていないもの.
すなわち,電圧 30 V未満の単独回路 は、そもそも電気的危険がないものとして電気工作物から除外されている。しかし、電圧の高い回路と変圧器などで接続 されているものは短絡電流による危険または混触による高電圧の侵入などが考えられるので電気工作物として規制されている(第3図参照)

(4) 電力用保安通信設備以外の通信 用の弱電流設備.
NTTやNHK などの通信設備について は、法文上明確に除外規定は設けられていないが、電気事業法上のたてまえから 除外されていると考えられている。しかし、これら通信設備用の電源設備など、いわゆる強電流電気設備は電気 しての取扱いを受ける.

2. 技術基準の種類と解釈
重与工作物は、 1. で述べたように非 に範囲が広いので、技術基進の中にも次のようにいろいろな技術基準が電気事業 法に基づいて認められている.
(1) 電気設備に関する技術基進をめる省令.
(2) 発電用水力設備に関する技術基準を定める省令.
(3) 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令.
(4) 発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令.
(5) 発電用風力設備に関する技術基準を定める省令.

(1)は、電気技術者に最も関係の深いものである. (2)は水力発電所の貯水池 のダムや水路に関する技術基準を, (3) は火力発電所のボイラー,タービンに関する技術基準を, (4)は原子力発電所の原子炉やその附属設備に関する技術基準 を、(5)は風力発電所の風車に関する技 術基準を定めている。
平成9年3月に(1)~(5)までの技術基準はすべて廃止され、新たに従来のものに比べ機能の規制を中心とした技術基準が定められた。そして、これら技術 基準に基づく告示もすべて廃止された (発電用火力設備については一部告示がある)、技術基準のみでは具体的な工事や設計をする場合、技術基準に適合しているかどうか判断することが難しい場合があるので、判断基準として「解釈」が公表された.

3.電気設備技術基準を守る義務
電気事業法ですべての電気工作物は技 術基準どおりに維持されなければならないと定められていることを述べたが,これは事業用電気工作物(電気事業用電気 工作物+自家用電気工作物)については 法第39条で,一般用電気工作物について は法第56条第1項及び法第57条第1項 で次のように定められている。
法第39条第1項 事業用電気工作物 を設置する者は、事業用電気工作物を主 務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
法第56条第1項 経済産業大臣は、一 般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるとき は、その所有者又は占有者に対し、その技術基準に適合するように一般用電気工作物を修理し,改造し若しくは移転し, 若しくはその使用を一時停止すべきこと を命じ,又はその使用を制限することが できる。
法第 57 条第1項 一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持 し、及び運用する者(電線路維持運用者) は、経済産業省令で定める場合を除き, 経済産業省令で定めるところにより,そ の一般用電気工作物が前条第1項の経済 産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない (以下省略).
電気事業用電気工作物は、一般送配電 事業者である電力会社や発電設備を有する発電事業者の電気設備をいい、自家用 電気工作物及び一般用電気工作物は電気 需要者の電気工作物である。自家用電気 工作物は工場や大きなビルなどの比較的 電気設備の大きい高圧需要家以上のもの が大多数で、一般用電気工作物は、一般 家庭や商店などの電気設備をいう。これによってもわかるように技術基準は、その法的根拠を電気事業法におき、すべて の電気工作物は技術基準に従ったが なされる。
電気事業法では、電気保安の確保のため、技術基準の遵守義務のほかの業用及び自家用の電気工作物をする者に対しては、電気主任技術者を選任させる義務や電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安規程を定めるなどいろいろな義務を課している.
一般用電気工作物に対しては、電線路維持運用者(電力会社)の調査義務と電気工事士法により、第一種又は第二種の 電気工事士による工事義務とが課せられている。すなわち、一般用電気工作物が技術基準どおりに維持されているかどうかを電力会社(一般には電力会社が電気 保安協会に委託している)が原則として 4年に1回消し、不良な箇所があれば その一般用電気工作物の所有者又は占有 者に知らせてやる義務を負っているし、又、電気工事士法により一般用電気工作 物の電気工事は電気工事士の資格を有しているものでなければできないし、又、その電気工事士は電気設備技術基準どおりに電気工事をすることを義務づけられ ている。

これらの関係をまとめると上記に示すような図になる。

4. 技術基準と審査基準
維持基準としての技術基準は3で述べたように、すべての電気工作物に関連するが、電気事業法では、それ以外に経 済産業大臣が電気工作物の工事計画の認可・届出をする場合の基準(法第47条, 第48条)として、又、使用前検査や立入 検査をする場合の合格基準や改修命令基準(法第49条,第107条)としての性格を有している。
使用前検査の場合などに電気工作物が 技術基準に適合しているかどうかを判断するとき、技術基準のみでは判定が困難な場合がある。
一方、行政手続法では、法に基づく認可等を行う場合の基準として「審査基準」を,又,改修命令を出す場合の「処分の基準」の公表を行政機関に義務づけている。
「技術基準の施行に当たり,その判断基 準として解釈が公表されたが,この解釈は,行政手続法に基づく電気事業法の認 可等の際の「審査基準」及び「処分の基 準」とすることが,「電気事業法に基づく通商産業大臣の処分に係る審査基準等について」(7資庁第14122号 平成7年11 月30日)及び「電気事業法に基づく通商 産業大臣の処分に係る審査基準等の一部 改正について」(平成9年5月29日資第 14号)により公表されている。

5. 技術基準に定める内容
技術基準は,電気保安の確保のために定められているが,その内容は、電気事業法第39条第2項により,次のような点について規定することができるとなっている。
法第39条第2項 前項の主務省令は, 次に掲げるところによらなければならな
一 事業用電気工作物は,人体に危害 を及ぼし,又は物件に損傷を与えないようにすること.
二 事業用電気工作物は,他の電気的 設備その他の物件の機能に電気的又は磁 気的な障害を与えないようにすること.
三 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること.
四 事業用電気工作物が一般送配電事業の用に供される場合にあっては,その事業用電気工作物の損壊によりその一般 送配電事業に係る電気の供給に著しい支 障を生じないようにすること.
一般用電気工作物の場合は第三号及び 第四号は関係ない。このように,技術基 準は上記四つの事項の内容を柱として, 規制が行われているものである.

2. 電気用品安全法と技術基準
電気用品安全法は,電気用品の製造、販売等を規制するとともに,電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的 な活動を促進することにより、電気用品 による危険及び障害の発生を防止することを目的として制定された法律である (法第1条).この目的でもわかるように, 特に安全上規制の必要があるもの(特定 電気用品)に対しては、不良な電気用品が 出ないようにするために,(1) 製造・輸入させないこと (2)販売させないこと (3) 使用させないことの3段階で取締りを、それ以外のものでは、製造者に安全検査を義務付けなどの規制を行っている。
なお, 電気用品安全法は,平成11年8 月6日に「金業省関係の基準・認証 制度の整理及び合理化に関する法律」第10条により電気用品取締法が大幅な改正が行われ,平成13年4月1日から施行されている。

1. 電気用品の範囲
電気用品安全法で対象とする電気機器や電気材料を,この法律では「電気用品」と呼んでおり, 電気用品は特定電気用品とそれ以外の電気用品に分けられている.
自主検査に合格したものには○PSEマークが付けられる.使用に当たっては,これらのマークを確認した上で使用することになる.電気用品以外のものを使用することが認められている場合は,その製品のカタログ試験成績表などにより製品の性 能をチェックし,解釈に示された性能に適合しているか調査しなければならない.
電気用品の適用を受ける製品は,「電気用品の技術上の基準を定める省令」すなわち,電気用品の技術基準に適合しなければならない。そのため,製造業者や輸 入業者は電気用品の試験記録と保存する義務が課されている.

3. 電気工事士法と技術基準
電気工事士法第1条では、「この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格 及び義務を定め、もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的」として制定された法律である.
この法律により、一般用電気工作物の電気工事の作業は、第一種又は第二種の電気工事士でなければ行ってはならない ことになっている,500kW未満の自家
電気工作物の電気工事は第一種電気工事(非常用予備発電装置工事及びネオン工事は、それぞれの特別の資格を有する特種電気工事資格者)でなければ行ってはならない、この自家用電気工作物のうち、低圧設備のみは認定電気工事従事者でもできる.電気機器の端子にコードをねじ止めするとか、ヒューズを取り付けたり取り外すなど軽微な工事としてこの法律で認められているものは、電気工事士でなくてもできることになっている。
電気工事士,特種電気工事資格者,又は認定電気工事従事者は、作業を行うときに、法第5条で電気設備技術基準に適合するようその作業をしなければならないことが義務づけられている.すなわち, 電気工事士等は,電気設備技術基準を守 らなければならないのである。又,これらの工事をするときには、必ず電気工事土免状等を携帯していなければならない ことが義務づけられている(法第5条 第2項)。
電気工事士が,この法律又は電気用品 安全法第28条第1項の規定に違反したときは,都道府県知事が電気工事士の免状の返納を命ずることが法第4条第6項に定められている。したがって,電気工事士は電気設備技術基準に違反した工事をした場合とか、電気用品安全法の適用を受ける電気用品であって◇PSEまたは○PSEマークのないものを使用した場合は,免 状を取り上げられるわけである。免状の 返納命令が来ても返納せずにいた場合は 法第16条により1万円以下の過料に処 せられることになっている。又,免状の 返納を命ぜられたものは,1年間過ぎな いと再び免状を交付してもらえないことになる。

〔4〕条文の読み方

1. 条,項及び号 電気設備技術基準は、本則と附則からなっており,本則は,3章に区分され 節に区分されている。すべての法令においてその主体をなすものは,本則の名名 て、条は、第1条から最終条まで章や節にかかわらず,通し番号の条数が附せられ、 る。章及び節は、法令の理解と検索に便利なように設けた区分に過ぎない。なおみ は、本則に対する附随的な内容を目的とするものである。

区分され,又各章は、その内容により、必要に応じいくつかの項に分かれており,2,3,4の算用数字が せられている。条又は項のうちでいくつかの事項を例記する場合に用いるのが号であって、 一、二、三の漢数字が附せられる。号のうちに、更に号を設ける必要があるときは、イロ ハなどの文字で表示する。電気設備技術基準は,基本的な事項の内容が定められており 内容が簡単で号の次のイ、ロ、ハが入っている例は見当たらないので,電気設備技術基進 の解釈を例として掲げると、次のとおりであるなお,項の数字は,第2項以降に付けら れており、第1項には付けられていない、第2項以降の項がない場合が多いからである。 第2項以降がない条文を引用する場合は, 第20条第1項とは表さず第○○条のみで表す。

2. 本文とただし書
一つの条又は項の文章が二つに分かれ,そのうちの後段の文章が「ただし」で始まる場 合,この後段の文章をただし書,前段の文章を本文という.

3.準用
法令中には、準用する又は準ずるということばがしばしば使用される. この準用ということは,特定の事象に関する規定をその事象とは本質の異なる他の事象について,必要があれば一定の修正を加えながら,適用することであって,同様の規定を重複して設けることを避けて法文を簡単にするために用いられる表現である.
例えば,電技第 45 条第3項において,「発電用火力設備に関する技術基準を定める省令 第13条第2項の規定は,蒸気タービンに接続する発電機に準用する」とある.この省令第13条第2項の規定は、「蒸気タービンは、主要な軸受又は軸に発生しうる最大の振動に 対して構造上十分な機械的強度を有するものでなければならない」というもので,蒸気 タービンに関する規定である。電技第 45 条第3項は,蒸気タービンに接続する発電機は、 蒸気タービンと同様にすべきことを定めている。すなわち,第13条第2項の「蒸気ター ビン」を「蒸気タービンに接続する発電機」と読み替えればよい。 なお,電技第23条等における「変電所,開閉所若しくはこれに準ずる場所」という場合の準ずるは、上例とはやや異なる用法であるが,「同様の場所」といった意味の表現である.
4.及び、並びに
法令では、及びと並びにの用語が厳密に使い分けられている。併合的に並列される名詞、動詞などが2個であるときは、常に及びを用い,3個以上でも同一の意味の叙述における並列であるときは,並列される字句のうち,初めの方は読点でつなぎ、最後の語句を 及びで結ぶ、例えば、「A及びB」又は「A,B,C及びD」のように用いる. 「並列される語句に段階のある複数の文章では、大きな意味の併合的連結には並びにを用い、小さな意味の併合的連結に及びを用いる.
例えば、「放電管,放電灯用安定器及び放電管の点灯に必要な附属品並びに管灯回路の 「配線」という字句の場合の並びには「放電管,放電灯用安定器及び放電管の点灯に必要な 附属品」と「管灯回路の配線」とを大きく結ぶ接続詞であり,及びは、「放電管」「放電灯 用安定器」と「放電管の点灯に必要な附属品」とを結ぶ接続詞である。同様に「A並びに B.C及びD」は、「A」と「BとC・D」の意味である.
5.又はと若しくは
選択的に並列された語句は、2個のときは又はで結び,3個以上のときは初めの方は読点でつなぎ、最後の語句を又はで結ぶ「A又は B」, 「A, B, C又は D」のように用いられる。
選択される語句に段階があるときは、大きな選択的連結に又はを使い,小さな選択的連結に若しくはを用いる。「発電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所」という場合の又は、「発電所」と「変電所,開閉所若しくはこれに準ずる場所」とを大きく 並列させ、若しくは、「変電所,開閉所」と「これら(変電所,開閉所)に準ずる場所」 と並記させる。
6,以上、以下,超えるおよび未満
日常の会話で、ある数以上とか以下という場合は、その数がその範囲に入るのか入らぬのか必ずしも明らかではないが,法令で用いられる場合は,必ずその数がその論れる。例えば「5m 以上」といえば「5m か 5m を超える値」の意味である。
同様な用語にまで,以内等があるが,これらも同じく,その数をその範囲に含める用語である。その数字を含めないでその上下の範囲をいおうというときは,超える又は、未満等の用語が用いられる。
<凡例>

電気設備技術基準研究会 (編集)
オーム社 (2019/4/24)、出典:出版社HP

目次

第1章 総則
第1節 定義
第1条 用語の定義
第2条 電圧の種別等
第2節 適用除外
第3条 適用除外
第3節 保安原則
第1款 感電,火災等の防止
第4条 電気設備における感電、火災等の防止
第5条 電路の絶縁
第6条 電線等の断線の防止
第7条 電線の接続
第8条 電気機械器具の熱的強度
第9条 高圧又は特別高圧の電気機械器具の危険の防止
第10条 電気設備の接地
第11条 電気設備の接地の方法
第2款 異常の予防及び保護対策
第12条 特別高圧電路等と結合する変圧器等の火災等の防止
第13条 特別高圧を直接低圧に変成する変圧器の施設制限
第14条 過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策
第15条 地絡に対する保護対策
第15条の2 サイバーセキュリティの確保
第3款 電気的,磁気的障害の防止
第16条 電気設備の電気的、磁気的障害の防止
第17条 高周波利用設備への障害の防止
第4款 供給支障の防止
第18条 電気設備による供給支障の防止
第4節 公害等の防止 第19条公害等の防止

第2章 電気の供給のための電気設備の施設
第1節 感電,火災等の防止
第20条 電線路等の感電又は火災の防止
第21条 架空電線及び地中電線の感電の防止
第22条 低圧電線路の絶縁性能
第23条 発電所等への取扱者以外の者の立入の防止
第24条 架空電線路の支持物の昇塔防止
第25条 架空電線等の高さ
第26条 架空電線による他人の電線等の作業者への感電の防止
第27条 架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用による感電の防止
第27条の2 電気機械器具等からの電磁誘導作用による人の健康影響の防止
第2節 他の電線,他の工作物等への危険の防止
第28条 電線の混触の防止
第29条 電線による他の工作物等への危険の防止
第30条 地中電線等による他の電線及び工作物への危険の防止
第31条 異常電圧による架空電線等への障害の防止
第3節 支持物の倒壊による危険の防止
第32条 支持物の倒壊の防止
第4節 高圧ガス等による危険の防止
第33条 ガス絶縁機器等の危険の防止
第34条 加圧装置の施設
第35条 水素冷却式発電機等の施設
第5節 危険な施設の禁止
第36条 油入開閉器等の施設制限
第37条 屋内電線路等の施設の禁止
第38条 連接引込線の禁止
第39条 電線路のがけへの施設の禁止
第40条 特別高圧架空電線路の市街地等における施設の禁止
第41条 市街地に施設する電力保安通信線の特別高圧電線に添架する電力保安通信線との接続の禁止
第6節 電気的、磁気的障害の防止
第42条 通信障害の防止
第43条 地球磁気観測所等に対する障害の防止
第7節 供給支障の防止
第44条 発変電設備等の損傷による供給支障の防止
第45条 発電機等の機械的強度
第46条 常時監視をしない発電所等の施設
第47条 地中電線路の保護
第48条 特別高圧架空電線路の供給支障の防止
第49条 高圧及び特別高圧の電路の避雷器等の施設
第50条 電力保安通信設備の施設
第51条 災害時における通信の確保
第8節 電気鉄道に電気を供給するための電気設備の施設
第52条 電車線路の施設制限
第53条 架空絶縁帰線等の施設
第54条 電食作用による障害の防止
第55条 電圧不平衡による障害の防止

第3章 電気使用場所の施設
第1節 感電、火災等の防止
第56条 配線の感電又は火災の防止
第57条 配線の使用電線
第58条 低圧の電路の絶縁性能
第59条 電気使用場所に施設する電気機械器具の感電、火災等の防止
第60条 特別高圧の電気集じん応用装置等の施設の禁止
第61条 非常用予備電源の施設
第2節 他の配線、他の工作物等への危険の防止
第62条 配線による他の配線等又は工作物への危険の防止
第3節 異常時の保護対策
第63条 過電流からの低圧幹線等の保護措置
第64条 地絡に対する保護措置
第65条 電動機の過負荷保護
第66条 異常時における高圧の移動電線及び接触電線における電路の遮断
第4節 電気的、磁気的障害の防止
第67条 電気機機器具又は接触電線による無線設備への障害の防止
第5節 特殊場所における施設制限
第68条 粉じんにより絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所における施設
第69条 可燃性のガス等により爆発する危険のある場所における施設の禁止
第70条 腐食性のガス等により絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所における施設
第71条 火薬庫内における電気設備の施設の禁止
第72条 特別高圧の電気設備の施設の禁止
第73条 接触電線の危険場所への施設の禁止
第6節 特殊機器の施設 第74条電気さくの施設の禁止
第75条 電撃殺虫器,エックス線発生装置の施設場所の禁止
第76条 パイプライン等の電熱装置の施設の禁止
第7条 電気浴器,銀イオン殺菌装置の施設
第78条 電気防食施設の施設
附則

電気設備技術基準研究会 (編集)
オーム社 (2019/4/24)、出典:出版社HP

絵とき 電気設備の設計・施工実務早わかり(改訂2版)

『絵とき 電気設備の設計・施工実務早わかり (改訂2版)』 の発行にあたって

書名の「電気設備」は、「建築電気設備」と表すのが普通かも知れませんが、「電気設備学会」という名称の学会もあるように、現在では特に「建築」という冠をつけなくても内容は理解されるでしょう。空調、衛生設備も同様で、設備工事を「建築付帯設備」とは表現することはなくなりました。

しかしながら、建築物の中に施設される設備は、あくまでも建築物とバランスのとれた内容、グレードであるべきですから、電気設備関係者は建築設計者、営業関係者から発注者の要望事項等を確認し、確たるフィロソフィー (理念) を持 ち、協調性を以て物事に当たるべきです。
電気設備の設計施工および維持管理に携わる技術者が、自らの業務がどのよう な事業の流れの中に存在しているのか、またどのような技術力が要求されている のか、日頃から心得ていなければなりません。電気設備と技術者の全体的な位置 付けと本書の構成を、iv~vページの図に表しました。参考までにご覧ください。

本書の構成は、電気設備について、3つの章に分割して解説しています。 1章は「建築電気設備の設計」とし、建築物の延べ床面積が10 000m2以下のビルにおける図面の作成と表現を想定しまとめました。
2章は、基本計画図、設計図および施工図作成の折に必要な「計算方法」を図表 でまとめ、特に事例を多く用いて解説しました。
3章は、実務経験の少ない人の参考となるように、各設備の「施工図例」やなかなか入手しにくい資料などを提供するように努めました。

建築士、消防設備士のように設計および施工管理をするときに必要な資格制度が設けられていますが、建築設備士はそれと同様に重要な資格です。その資格取得の受験参考書にもなるように考え、編集しています。大いに活用してください。

2020年6月
田尻 陸夫

◆建築電気設備実務の流れ

建築電気設備にかかわる実務は、下図に示すような流れで進む。企画から計画、設計、工事、検査、維持管理ののち、また企画から始まるようなループ構造となっている。実務の流れに対して、本書の各章がどの段階に対応しているかを併せて示す。

◆電気設備技術者の役割

電気設備に関係する技術者は、設計技術者・工事技術者・維持管理技術者に大別できる。各技術 者の担当領域や、技術者間で共有すべき事項について、簡易的に図示する。

田尻 陸夫 (編集)
出版社: オーム社; 改訂2版 (2020/7/20)、出典:出版社HP

目次

発行にあたって
建築電気設備実務の流れ
電気設備技術者の役割

1 建築電気設備の設計
1.1 作図の準備
電気設備の設計図/建築図面の入手と見方/建築図面の略号と図記号/電気設
備用平面図の作り方/確認申請に必要な図面
1.2 電力設備1 電灯コンセント設備
照明の設計手順と規定/光源の種類と特性/照明器具の種類/照度の計算/照明器具の配置と器具選定の目安/スイッチの種類と設計/天井配線の方法と表 現方法/非常用照明と誘導灯の配線設計/コンセントの種類と設計/電灯コン セント設備の図記号/電灯コンセント用分岐回路の設計/電灯コンセント配線 図/分電盤図/照明器具図
1.3 電力設備 2 その他の電力設備
動力配線図/制御盤図/幹線設備図/受変電設備図/発電機設備図と蓄電池設 備図/避雷設備図/エレベータ設備図
1.4 情報通信設備
電話設備の設計/電話配管図/その他の弱電設備図/弱電設備系統図/自動火 災報知設備図 1.5 資料例 工事の区分/設計図のチェックリスト/その他資料

2 建築電気設備の実務計算
2.1 設備容量の算定
電気設備の概算容量 (1) / 電気設備の概算容量 (2) / 契約電力容量/電灯コンセ ント用変圧器容量/動力用変圧器容量/コンデンサ容量/発電機容量/蓄電池 容量
2.2 回路の計算
高調波流出電流と高調波抑制対策/短絡電流/幹線の電圧降下/動力用幹線電 流と幹線太さ/集合住宅の幹線電流/電線・ケーブルの許容電流/幹線分岐/CV ケーブルの地絡電流と短絡許容電流/バスダクトの電圧降下・短絡電流・漏 洩磁束/不平衡電流
2.3照明の計算
平均照度法/非常用照明
2.4 情報通信設備の計算
電話回線数・配管概略算定法と放送設備/テレビ共同受信システム
2.5 部材と強度の計算 耐震用アンカーボルト/プルボックス/ケーブルラック/避雷突針支持管と引下げ導線/避雷突針支持管の風圧強度/接地抵抗
2.6 その他の電気設備の計算
エレベータ/その他の電気設備計算実務

3 図例集
3.1 電気の引込み、
高圧配電架空引込み/高圧配電地中引込み/高圧配電用高圧キャビネットの据付け/低圧配電引込図
3.2 受変電設備
キュービクル変電設備の設備図/キュービクルの各部寸法と重量/キュービク ルの基礎部分
3.3 発電機設備
発電機の設備図/防災用ディーゼルエンジンの冷却方式
3.4 幹線設備 幹線の横引き部分/集合住宅の幹線シャフト/防火区画の耐火処理/エキスパ ンション部分の配線
3.5 動力設備 電動機への配線/電極の取付けと配線/動力制御盤の取付けと屋外動力への配線
3.6 電灯コンセント設備
床埋設配管/分電盤の取付け/分電盤周辺の配線/床配線/ホテルの客室電灯 配線/ホテルの間仕切壁の遮音対策配線/寮室の電灯コンセント配線/プレハブユニットケーブルの配線/病室のユニットケーブル配線/和室のコンセント取付け/工場の防爆配線/クリーンルームの電灯コンセント配線/クリーンルームへの電気設備取付け/クリーンルームの照明器具
3.7 電話設備
電話架空引込み/電話地中引込み/光ファイバーケーブルの引込み/電話用屋 内配管
3.8 視聽覚設備
ホールの電灯配線/ホールのAVシステム/ホールのAVシステム配線/視聴覚 室のAVシステム
3.9テレビ共同受信設備
テレビ共同受信設備系統/テレビアンテナの取付け
3.10 セキュリティ設備
自動火災報知設備の感知器の取付け/光電式分離型煙感知器の取付け/防犯センサの取付け
3.11 避雷設備
避雷設備の各部詳細/自立型の避雷突針支持管の取付け/避雷設備の接地極の取付け

付録1 検査等に用いる各種書類・図の例
自家用電気工作物試験成績書および成績判定基準/接地抵抗試験・絶縁抵抗試 験/絶縁耐力試験の回路と測定計器/継電器の動作試験回路/絶縁耐力試験・ 継電器試験/機器の銘板記入表/動力機器の絶縁抵抗試験/分電盤の試験・照度測定
付録2 電気用図記号
受変電設備/変圧器等/計器類/動作用御盤
索引

田尻 陸夫 (編集)
出版社: オーム社; 改訂2版 (2020/7/20)、出典:出版社HP

図解入門よくわかる最新電気設備の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)

Preface はじめに

「電気設備をこれから学びたい」と思っている読者の皆さんに、本書のポイントを紹介します。

私達の生活を豊かにする電気エネルギーの供給源や情報網には、どのような種類があるのか。また、建物のコンセプトに基づいてどのような設備を導入し、将来への対応はどうするのか――こうした問題の基本を学びとっていただくために、本書は、電気設備の役割や設置方法を図解で解説しています。

まず、電気設備には、強電系と弱電系があります。また、建物内への電気の引込み、変電設備・予備電源の設置、照明設備や電気をコントロールするスイッ チや分岐配線方法、および、それらを連係する幹線関係がどうなっているのか、どう組み立てられているのかを理解していただきます。
デジタル化された情報を建物内に配分する幹線の敷設方法から、電話やテレ ビ、インターホンなど、情報通信施設から建物の防犯施設までも解説しています。
さらに、建物内の「電気設計」の手順を理解していただきます。これによって、建築主の要求事項をどのように受けとめればよいのか、また、機器を選定 するに当たっての機種選定条件はどう定めればよいのかについて、ヒントになれば幸いです。

「より快適な生活」や「高度情報化社会」など、新しいニーズは次々に生まれます。建物への「質の要求」は、機器の高度化に合わせて複雑化します。それらをコントロールする電気設備の役割は、今後ますます重要になります。電気設備は、建物の内部にあるだけでなく、社会に結びついた設備といえるでしょう。

「平成 23 年(2011年)東北地方太平洋沖地震」をきっかけに、日本のエネルギーに対する考え方は急激に変化しました。今、電気設備のあり方を見直す良い機会が訪れています。このチャンスに、これからの日本を支える電気設 備の理解を深めてください。

2013年 12月 内野 栄吉

目次

はじめに

Chapter1 電気設備の基本
1-1 電気設備の種類
1-2 電気設備の資格
1-3 電気設備の計算と設置スペースの決定
1-4 受変電設備の受電方式の選定
1-5 変圧器容量から受電方法の決定
1-6 受電設備の概要
1-7 責任分界点と契約電力・受電電圧

Chapter2 電源設備
2-1 受変電設備
2-2 受変電設備の形式
2-3 受変電設備の設置
2-4 受変電設備の構成
2-5 保護協調・絶縁協調
コラム 電気設備と省エネルギー

Chapter3 予備電源設備
3-1 予備電源・非常電源設備
3-2 予備電源設備・非常用電源設備の設計
3-3 自家用発電設備の構成と容量
3-4 自家発電設備の起動方式
3-5 自家発電設備の設置場所
3-6 自家発電設備の燃料タンクと冷却水
3-7 蓄電池設備の使い道
3-8 蓄電池の種類と性能
3-9 蓄電池設備の据付方法と設置場所
3-10 消防法が規定する「非常電源」
3-11 無停電電源装置(UPS)

Chapter4 動力設備
4-1 動力設備の概要
4-2 誘導電動機の始動方式
4-3 誘導電動機の漏電対策
4-4 分岐回路の配線と電線の種類
コラム 動力配線設備のポイント

Chapter5 照明設備
5-1 照明設備
5-2 照明設備に関する主な用語
5-3 照明計画の基本
5-4 照明の手法
5-5 LED照明

Chapter6 家庭の電気設備
6-1 分電盤
6-2 スイッチ
6-3 コンセント設備の基礎
6-4 分岐回路の配線と保護
6-5 分岐回路の建物への配線方法
6-6 分岐回路などの床の配線
6-7 配線設計に必要な空間
6-8 いろいろなケーブル工事
6-9 配線図の読み方
6-10 電源用電線の種類

Chapter7 情報・通信設備
7-1 情報・通信設備の概要
7-2 電話・LAN・光配線
7-3 放送設備(拡声設備)
7-4 テレビ共同聴視設備
7-5 インターホン設備
7-6 防犯・入退室管理設備

Chapter8 防災
8-1 電気設備と防災設備
8-2 非常用の照明装置
8-3 誘導灯設備
8-4 自動火災報知設備
8-5 非常警報設備・非常放送設備
8-6 非常コンセント設備・無線通信補助設備
8-7 ガス漏れ・漏電火災警報設備
8-8 避雷針設備・航空障害灯設備
コラム 電気設備の法令

Chapter9 電気設備の全体像と設計・施設計画
9-1 設計の手順
9-2 建築計画の概要
9-3 建物内に設置する電気設備
9-4 建物内の幹線設備
9-5 適切な電気方式の選定
9-6 機器のモジュール化
9-7 電気室や通信施設の計画
9-8 設計品質の確認

索引
著者紹介/資料・画像のご提供・出典/参考文献

図解 電気設備の基礎

はじめに

日常生活を送る上で欠かせないものに、建物、電気、水、および空気があります。
このうち建物は建築物といいます。

また、電気と水および空気は生活空間の環境を決定する要素として非常に重要な役割を持っていて、システムとして運用するときこれらを「電気設備」、「給排水衛生設備」、および「空気調和設備」といいます。
また、規模の大きな建築物にはさらにエレベーター、エスカレーターなどの「搬送設備」が加わります。これら電気設備、給排水衛生設備、空気調和設備および搬送設備を合わせて「建築設備」といいます。

電気設備は、建物およびこれらの建築設備を運転し、機能・特性を十分に発揮させることで、便利に利用でき安全に運用できるようにシステム化されています。
よく電気は「見えない」、「触るとビリビリする」、「気味が悪い」、「危ない」などといわれ敬遠されています。しかし、簡単に利用することができて実はたいへん便利なモノが電気なのです。電気は、危険性が高いことでいろいろな規制がされていて、たとえば電線を接続する作業一つをとっても公的な資格が必要とされています。ですが、しくみを理解し、決まりを守って使用、運用すれば危険はありませんし、非常に難しいというものでもありません。
よくいわれますが、電気は水とよく似ています。水は高いところから低いところに流れます。電気も同じように電圧が高い方から低い方に流れます。このように身近にあるものでイメージしてみると意外と電気の性質がわかってきます。

本書『図解電気設備の基礎」は、このような気設橋についてできるだけ専門用語を使わずにわかりやすく、また、イラストをふんだんに取り入れてまとめました。これから電気をやろうと考えている方々の入門書としても読んでいただけると幸いです。
最後に、本書の執筆にあたり、諸先輩方の文献、資料を参考にさせていただきましたことに、紙上を借りてお礼申し上げます。また、持丸潤子氏に並々ならぬご協力をいただき、感謝致します。

平成25年7月
著者らしるす

本田嘉弘 (著), 前田英二 (著), 与曽井 孝雄 (著)
ナツメ社 (2013/9/9)、出典:出版社HP

Contents

はじめに
第1章 電気設備の役割と種類
1 建物の電気設備
●建物の規模・用途により施設
2 電気設備とは
●発電所から電気を使う家屋まで
●生活、生産・製造に欠かせないエネルギー源
●電気設備は大きく分けて3つに分類
3 建物内の電気設備
●電圧によって分けられている
●契約電力により受電方式が異なる
●住宅、小規模店舗および小規模ビル等の電気設備
●ビル・工場等の電気設備
コラム 電気設備設計は指揮者

第2章 電源設備
1 発電所から需要家への電気の供給
●電気を作る
●電気を送る・配る
2 電気を引込む
●電気を低圧に下げて引込む
●電気を高圧のまま引込む
3 電気を使う
●引込んだ電圧のまま使用・低圧に降圧して使用
4 一般用電気工作物の契約と料金
●電灯需要と電力需要に分けられる
●燃料調整費と太陽光発電促進付加金を加算
5 自家用電気工作物の契約と料金
●需要設備の総容量により区分される
●契約電力は年間の最大需要電力により変わる
6 交流と直流
●電気には交流と直流がある
7 感電の回避
●わかれば納得、対処ができる
8 電気方式
●電灯・コンセント設備で使われる電気方式
●動力設備で使われる電気方式
9 受変電設備一
●2つの受変電設備の方式
●現場で組立て施工・工場製作で現場に据付け
10 受変電設備機器
●電力会社や他の需要家に事故などの影響を波及させない
●電気を引込んで使える電圧に変える
●同じ電気で仕事を有効にさせる
●負荷に電気を配る
11 分電盤
●電気を分ける
●分電盤という箱
●分電盤の中身・その他の機能を備えた分電盤
12 防災電源設備
●電源は3つある
●設置義務
●建築基準法による設置義務
●消防法による設置義務
●容量が決められている
13 自家用発電設備
●小さいものから大きいものまで
●いろんな使われ方
●電気エネルギーを得る稼働方法
●燃料が軽油、重油のエンジン・燃料がガスのエンジン・燃料が高圧ガス
14 蓄電池設備
●2つに大別される電池の種類・非常電源に使われている電池
●用途と種類が多い
●それぞれの特徴
15 再生可能エネルギー利用発電設備
●再生可能エネルギーの利用・太陽エネルギーを電気エネルギーに変換
●風力エネルギーを電気エネルギーに変換・発電機とは呼ばない発電設備
16 コージェネレーションシステム
●2つのことができる排熱の利用
●家庭用コージェネレーション・エネルギーの農場
17 交流無停電電源装置
●瞬時電圧降下に備える
●電源電圧や周波数の変動に備える
●何から作られているのか
●どのくらいの時間使えるのか・何年くらい使えるのか
コラム A接点・B接点

第3章 幹線・分岐回路設備
1 幹線
●場所により呼び方が変わる
●今はあまり使われない言い方・主要なものを運ぶ動脈
●エネルギーと情報・信号を運ぶ動脈
●用途による分類
2 幹線系統の選定方法
●負荷容量により系統を分ける
●色々ある方式
●色々ある幹線事故
3 幹線の配線サイズ
●安心して電気を使う諸条件
●連続して通電してよい最大電流
●短絡事故から保護用遮断器が動作するまで
●電源から遠くになると電圧が下がる
4 幹線の配線の種類
●おおむね3つの種類
●電線管に電線を引入れる
●ケーブルを施設する
●大容量幹線向き
5 幹線からの分岐(分岐回路)
●幹線から盤への配線
●太い幹線からの分岐
●電灯と動力では異なる
●過電流遮断器の定格電流の制限
6 幹線の区画貫通
●必ず壁や床を通する
●どのような処理が必要なのか
●各階に床がない幹線シャフト
●各階に床を設けた幹線シャフト
●水平展開する幹線
7 配線設備の地震対策
●2つの法律で規定
●躯体から離れた設備の対策
●縦配管・配線の支持固定
●余裕を持たせた場所での支持固定
8 電線、ケーブルの種類、使い分け
●色々ある電線やケーブル
●電力用の分け方
●電圧による分け方・使用場所による分け方
●温度環境による分け方
9 電線管等の保護管
●電線を保護する管
●鋼製電線管の種類
●合成樹脂電線管の種類
●モーター等振動するものへの接続でやってはいけないこと
10配管・配線工事の種類
●コンクリート躯体
●天井内および間仕切り壁
●仕上がり状態が見える
コラム 本当のような嘘のような

第4章 動力設備
1 動力設備とは
●動力機器とはどんな物
●まとめて受け取り個別に送る
●利便性、経済性、なにより安全性
2 動力盤とは
●動力分電盤・動力制御盤の違い
●開閉器のルールどんなことをさせているのか
3 動力の配線
●燃えてはいけない配線
●通常の配線
●計算よりも仕様書優先
●3本の線
●名前と色
4 電動機
●電動機が使われる理由
●三相誘導電動機の種類と特徴
●西日本の方がポンプは早い
●電動機の制御
●動かし始めは力が必要
●保護装置
6 中央監視設備
●中央監視とは
●中央管理室
●防災センターとは
●エネルギーの「見える化」
7 エレベーター..
●エレベーターの区分について
●エレベーターの種類とはいうものの
●台数や大きさの決め方は?
8 エスカレーター
●平面式、ベルト式もエスカレーター
●パレットの不思議
●事故を未然に防ぐために
●意外と高い輸送能力
コラム コンセントの形状

第5章 電灯設備
1 電灯設備とは
●一番身近で使用するもの
●単相100Vとは
●一番身近で使用しているから誤って触れやすい
2 コンセント設備
●用途や場所によって選びます
●自由に決められます
●コストを考えながら多めに配置
3 照明設備
●明るさを得るだけではありません
●どんなことを知っていればよいのか
4 照度
●明るさの程度を知ろう
●平均照度が同じでも感じ方は違います
5 ランプ(光源)の種類と特徴
●ランプの種類
6 照明方式
●光の当て方
●配光による分類
7 建築化照明
●建築とのコラボレーション
8 照度計算
●計算の方法にも種類がある
●光速法で必要な条件
9 照明と省エネ
●照明でできる省エネとは
10 電灯分電盤(電灯回路用の分電盤)
●回路を分けて制御、管理する
●家庭用は1面、一般的な建物では
11 外灯設備
●目的によって器具を選びます
●癒しの空間には欠かせない演出です
●明るさにも注意が必要
●主な手法は地中配管配線
コラム 照明計画はもっと自由にできる

第6章 情報通信設備
1 一般加入電話
●音声を送受信する設備です
●機器と配線は建設工事完了後の工事が多い
●建物内部の電話設備の構成
●建物外部の電話線の話
●電話線にも種類がある
2 電話交換機
●電話線の有効利用
●接続先を交換する
●電話をダイアルしてから通話が終わるまで
●手動からデジタルへより高機能・高品質へ
3 IP電話機設備
●IPはInternet Protocolの頭文字
●電話料金が安い
●電話交換機とサーバー
●IP電話機の形状
●停電時は通話できない
4 構内電話設備①
●特定の目的に絞られた会話をするための設備
●室内で玄関口の訪問者と会話できる装置
5 構内電話設備②
●患者が看護師を呼出すための電話
●少人数の連絡用に
●関係者同士のスムーズな会話のために
6 放送設備
●音声・音楽を広範囲に伝える設備
●入力装置から出力装置まで
●火災を知らせる
●地震に対する注意を促します
7 放送設備②
●建物内に案内を流す
●高度な聴覚効果が求められる電気設備から見た注意点
●音声と映像で情報を提供する
8 テレビ共同視聴設備
●テレビ信号を共同で受信する設備
●外観を傷めずに受信する方法
●共同アンテナ方式とケーブル方式の特徴
●建物の影響を受ける近隣住戸
9 時計設備
●複数の時計の時刻を同じにかつ正確にする設備
●親時計の役割
●親時計の時刻管理方法
●意外なクレーム
●無線で親子間の制御を行う
10 車路管制設備
●車の入庫出庫を安全に行う設備
●車路管制設備の動作
●車の位置を感知する方法は2種類
●警報・表示灯の起動・停止方法
11 LAN (Local Area Network)設備
●機器と通線工事は別途が多い
●LAN設備の全体
●LAN設備と建設工事の関わり
12 フリーアクセスフロアーと床下配線
●フリーアクセスフロアーはOAフロアーともいいます
●インテリジェントビル化がFAFを発展させました
●フロアーパネルと台座と支持脚
●フロアーパネルに求められる機能
●床下は何の障害物もない自由空間
コラム 電気屋さんの英会話

第7章 防災・防犯設備
1 消火設備
●初期消火・延焼防止のために
●用途に応じた消火設備のしくみと使い方
2 警報設備
●火災やガス漏れ、漏電を検知し警報を発する
●用途に応じた警報設備のしくみと使い方
3 避難器具・誘導設備
●非常時に外へ避難するための設備
●用途に応じた誘導設備のしくみと使い方
4 消火活動上必要な施設
●用途に応じた設備のしくみと使い方
5 非常照明設備
●停電時に点灯し明るさを保つ
●非常電源の取り方により種類が分かれる
6 防犯設備
●安全を確保し快適に生活するための設備
●目的による防犯機器の使い分け
●防犯設備の法規制
7 ビル管理システム
●ビル運営と居住者の安全
●快適さを管理する
8 雷保護設備
●落雷の被害を軽減させるための設備
●機能・規格で分類する
●雷が通過する各部
●雷のその他の侵入経路
9 防災センター
●総合操作盤で集中管理
●防災センターという部屋を構築するための必要条件
●防災センター評価申請には時間がかかる
コラム 良い電気と悪い電気

第8章 電気設備の仕事
1 電気設備に関わる人々
●注文する人、作る人、維持管理をする人
2 電気設備の設計
●電気設備の計画を図面化する
●小さなものから大きなものまで電気で動く
●電気で動くまたは制御されるものは適切な電気が必要
3 電気設計のポイント
●意匠・構造・設備の和音
●人と機械の連携を考える組織・スタイルで変わる
●主役は誰?
4 電気設備の工事
●設計図を具体化させる
●工事管理は重要な業務の1つ
5 電気設備の点検とメンテナンス
●メンテナンスは2種類あります
●電気設備機器の機能を維持する
6 電気設備のリニューアル①
●リニューアルは保守管理と違います
●建替えもリニューアルの1つ?
●建替え方式が選択されない理由
●安全最優先の工事
7 電気設備のリニューアル②
●無駄のないリニューアル工事の進め方
●新築、建替え、リニューアルどれが得か?
●電源系のリニューアルは停電が伴う
●長期停電時の問題点の発掘
●嘘のような本当の話
8 電気設備に関する資格
●直接工事に関わる資格名称とその内容
●電気設計者には資格は必要ありません
コラム 電気屋さんは悩まない

付録 オームの法則について
照度計算の手順
電気設備の図示記号と文字記号

索引
参考文献・資料

本田嘉弘 (著), 前田英二 (著), 与曽井 孝雄 (著)
ナツメ社 (2013/9/9)、出典:出版社HP

1 建物の電気設備

建物の規模・用途により施設◇電気設備の種類

建物で使われている電気設備は、その建物の使用目的と規模に合ったもので、あるもの、安全、かつ省エネルギーであることが第一条件となります。電気設備にはどのようなものがあるのかを説明します。

受変電設備は、建物に電気を取込んで建物内で使えるように電圧を下げる設備です
電設備は、変電設備において各所で使用する電圧(電灯・コンセント用と動力用)に修正した電気を使用場所に配るための設備です。幹線設備は、配電設備で分けられた電灯・コンセント設備用や動力設備用の電力用幹線や、防災、通信・情報信号を伝送する弱電幹線などがあります。発電設備は、電力会社からの電気が停電等で受電できなくなった時に自分の建物用に最小限の電力を発電してバックアップ用とする場合や、電力会社からの電力と並列に発電して電気や熱を同時に取り出す設備があります。蓄電池(電力貯蔵)設備は、電気エネルギーを化学エネルギーで蓄えて昼間の電力使用量や発電電力量の抑制や、停電時の非常用電源とする設備です。動力設備は、電気エネルギーをモーター等で機械エネルギーとして取り出す設備で、動力制御盤からモーターまでの配線と、このモーター等の運転を制御する設備まで含みます。電灯・コンセント設備は、照明設備とコンセント設備で、電灯分電盤から照明器具およびスイッチ、コンセント等の配線器具の配線設備まで含みます。防災設備には、消防法で規定されている自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備、非常警報設備、誘導灯設備、および建築基準法で規定されている非常用照明設備等があります。情報通信設備には、LAN設備、電話設備、インターホン設備、拡声(放送)設備、テレビ聴視設備、防犯(セキュリティーシステム)設備、(駐車場)車路管制設備、電気時計設備などがあります。
雷保護設備(システム)は、建築基準法で規定されているいわゆる霊による外部雷保護システム(避雷針)と雷撃による建物内の雷保護を目的とするシステムがあります。
中央監視設備は、建物の電気、空調、給排水衛生、防災、防犯、エレベーター等の運転状態の管理、故障監視、各機器間の連動制御や監視を行い、建物全般を管理・監視する設備です。

一般家庭のような建物では、受電設備、電灯コンセント設備、および情報通信は電話設備、インターホン設備、テレビ聴視設備が、また近年ではさらに太陽光発電の等が施設されています。

本書で紹介する電気設備とは

2 電気設備とは

発電所から電気を使う家屋まで◇総称して電気工作物

電気を作り供給するための発電所、電気を送る・配る変電所および送配電線をはじめとして、工場、ビル、住宅などの電気を使う施設の受電設備、配線設備および電気使用設備を総称して電気工作物といいます。

生活、生産・製造に欠かせないエネルギー源◇電気の利用

我々が日常どこにいても“明かり”(照明設備)が準備されています。
この明かりは自然光が十分にあるときは不要となっていますが、自然光が不足する場所や時間帯には欠かせないものとなります。この照明設備は、電気をエネルギー源として光エネルギーに変換して点灯されます。
さらに、生活の中で何かモノを使うとき、そのモノの生産・製造には必ずどこかで電気が利用されています。生産・製造の過程で道具や機械を運転する際に欠かせない電気を動力のエネルギー源として使い、熱エネルギー、運動エネルギーなどに変換して製品を作り出しているのです。
これらのモノが我々の手元に来たとき、食品の場合、その鮮度を保つために冷蔵庫や冷凍庫に保管します。この冷蔵庫・冷凍庫も電気で運転しています。夏には冷房を、冬には暖房を行います。この冷房や暖房にも電気をエネルギー源として使っています。
このように電気は生活に、また、生産・製造に不可欠なエネルギーです。

電気設備は大きく分けて3つに分類◇電気設備の分類

①電気を作る(発電設備)
火力発電設備、水力発電設備、原子力発電設備や、また、再生可能エネルギーを利用した風力発電設備、太陽光発電設備等により電気を作り出しています。
②電気を送る・配る(送・配電設備)
発電設備で作り出された電気を送電線路を使い各地に送り、さらに電気を使用する側(需要家と呼びます)に配り(配電)ます。
③使う(構内電気設備)
電力会社の配電線路から引込線を使い、受けた(受電した)電気をその用途により他のエネルギーに変換して利用しています。

電気を作り、送り、使うための設備

3 建物内の電気設備

電圧によって分けられている◇電圧の種別

電圧の大きさにより以下のように低圧、高圧および特別高圧の3種に分けられています。
①低圧 直流750V以下および交流600V以下
②高圧 直流750V超7,000V以下および交流600V超7,000V以下
③特別高圧 7,000超
電気工作物のうち、低圧引込によるものを一般用電気工作物、高圧以上の引込によるものを自家用電気工作物といいます。

契約電力により受電方式が異なる◇受電方式の区分

電力会社と契約する時に、その使用する電力により受電方式が区分されています。
一般的に、契約電力が50kW未満の場合は、低圧電気による受電方式となります。
契約電力が50kW以上2000kW未満の場合は、高圧電気による受電方式で、2,000kW以上になる場合は、特別高圧電気による受電方式となります。

住宅、小規模店舗および小規模ビル等の電気設備◇低圧受電方式

一般住宅においては、低圧電気で小容量(5A契約)の電気の使用では、交流単相2線1000(標準電圧1000で102W100Vと表します)で、また10Aを超え60A以下の契約の場合には、交流単相2線100V、または交流単相3線100Vおよび200V(標準電圧100Vで10 30 100V/200Vと表し低圧電灯回線といいます)の電気方式が採用されています。
これは原則、「住宅の屋内電路の対地電圧(電線と大地間の電圧)を150V以下にすること」と省令(電気設備技術基準)で決められているので、上記の102W100V510 3W 100V/200Vのいずれも対地電圧は100Vです。
電灯および小理機器以外に電気機器を交流三相3線2004 (303W2007と表し低圧動力回線といいます)で使用する小規模の店舗およびビル等(以降小規模ビルと表示します)も低圧受電方式が採用されています。この場合、電灯(100を1kWとする)、動力のおのおのが50kW未満であれば低圧電灯回線(103W100V/200V)と低圧動力回線(303W 200V)の引込みとなります。

ビル・工場等の電気設備 高圧(特別高圧)受電

中規模(契約電力2,000kW未満)までのビルや工場等は、高圧電気による受電力規模(契約電力2,000kW以上)になると特別高圧電気による受電方式となっています

建物の規模・受電容量により決まる受電方式

Column 電気設備設計は指揮者

木造2階建ての一般住宅であれば、4重奏ぐらいでしょうか。集合住宅やマンション、事務所ビル、テナントビル、インテリジェントビル、高層ビル、工場、劇場、映画館、商業施設と、用途や規模に合わせ規制が多くなり、使用者の要望もどんどん増えています。

何十人で組織する大オーケストラを指揮するような感じです。楽器1つ1つがきちんとした役割を持っています。そして、管楽器や弦楽器のようにグループとしてつながるものもあります。個々の特徴を理解しながら、全体を把握し、バランスよく奏でる、指揮者の技量次第で観客を魅了する演奏となることでしょう。使いやすい建物を造るためには同じようなことが求められます。

各担当は、専門以外のことは意外とわかりません。分電盤、電話、照明等を作っているメーカー、配線、ケーブルのメーカー、工事をしてくれる会社等、個々の技術は突き詰めればきりがないほど、奥が深いと思います。お客様(観客)が望むことを可能なかぎり検討し、コストを考えながら、できること、できないことを判断していく、各パートの意見を聞きながらまとめる役割が必要なのです。

必要な知識は、扱うものによって大幅に違います。戸建て住宅の仕事しかしていないのであれば、キュービクルの知識はなくても困りません。必要な法律や規制も少しです。しかし、少しであってもその分奥が深いので、個々の特性を理解し奏でる姿勢は同じです。
※ここでの電気設備設計は、建築基準法で定められている電気設備設計以外のものも含めて、「設計」としています。

本田嘉弘 (著), 前田英二 (著), 与曽井 孝雄 (著)
ナツメ社 (2013/9/9)、出典:出版社HP

電気設備が一番わかる (しくみ図解)

はじめに

私たちの生活は、電気によって支えられています。照明、エアコン、テレビや電話、 パソコンなど、身の回りのあらゆるところで電気が使われています。防災や防犯など、 普段はあまり意識しないところにも電気が使われています。もはや、「電気がなけれ ば、便利で快適な生活を送ることはできない」と言えるでしょう。それどころか、「電 気がなければ世の中の安全を守ることはできない」と言っても過言ではないでしょう。

現代社会で生きる私たちにとって、電気はなくてはならない大切な存在ですが、 電気そのものは目で見ることができません。言うなれば、空気のような存在です。 意識するまでもなく、いつでも使えるのが当たり前だと思われています。
スイッチひとつで照明がつき、コンセントに差し込めば電気が使えるということは誰でも知っています。しかし、どんなしくみで照明器具やコンセントに電気が届けられているのかを知っている人はあまりいません。
人間の体内に血液が流れていることは誰でも知っています。しかし、どんなしくみで血液が体内を循環しているのかを詳しく知っているのはお医者さんくらいで しょう。それと同じです。電気がどのようなしくみで届けられているのかは、電気 設備の専門家にしか知られていないのです。
電気設備に関わる仕事をしていると、「電気のことは電気屋さんにしかわからな い」とか、「電気屋さんの話は専門用語ばかりでさっぱりわからない」という声をよ く聞きます。ここで言う電気屋さんとは、商店街の電器屋さんのことではなく、電 気工事会社やビル管理会社などで働く電気設備技術者の人たちです。

本書では、このような声に応えて、電気のことを知らない人、よくわからない人、 電気設備業界の初心者の人でも簡単に理解できるように、できるだけやさしく電気 設備のあらましを解説しています。難しい公式や理論の説明はあえて省いています。 「電気設備とはこういうものなのか・・・・・」とか、「建物の中の電気のことがなんとな くわかった気がする・・・・・・」と思ってもらうことが目的の電気設備入門書です。電気 設備の理解に少しでも役立てていただければ幸いです。

2011年3月 五十嵐博一

目次

はじめに
第1章 電気設備とは
1 建物や施設における電気設備とは
2 電気設備の分類と役割とは
3 電気設備に関わる人々
4 電気設備に関わる資格
第2章 受変電設備
1 建物への電気の引き込みはどうなっているのか?
2 引き込み柱には何が取り付けられているのか
3. 電気室の中はどうなっているのか
4 キュービクルとは
5 変圧器の役割と種類 ①
6 変圧器の役割と種類②
7 進相コンデンサと力率改善①
8 進相コンデンサとカ率改善②
9 配電盤とはどんなものか?

第3章 非常電源設備
1 非常電源にはどのようなものがあるのか?
2 自家用発電設備にはどんな種類があるのか?
3 さまざまな蓄電池
4 USP(無停電電源装置)とは?
5 非常電源専用受電設備とは
6 さまざまな非常電源
第4章 幹線設備と配線ルート
1 配線ルートと配線方法のあれこれ
2 電線・ケーブル類の種類と使い分け
3 建物内で使われる弱電線・制御線
4 ハト小屋とは何か?
5 防火区画はどのように形成するのか
第5章 動力設備
1 動力設備と動力機器の種類
2 動力制御盤とはどんなものか
3 モーター (電動機)の始動法とは
4 モーター(電動機)の保護とは
5インバーターとはどんなものか
6 動力設備の配線はどのように敷設するのか
第6章 電灯コンセント設備
1 電灯コンセント設備とは
2 分電盤とはどんなものか
3 さまざまな照明器具と光源① (蛍光灯、白熱灯)
4 さまざまな照明器具と光源②(高輝度放電灯、照明器具、照明手法)
5 適切な照明環境とは
6 さまざまなスイッチ
7 リモコンスイッチとはどんなものか
8 さまざまなコンセント
第7章 情報通信設備
1 電話の配線はどのように敷設するのか
2 構内放送のしくみと役割
3 テレビを見るためのしくみ
4 インターホンのしくみ

第8章 建物を守る設備あれこれ
1 自動火災報知設備とは
2 機械設備のしくみ
3 監視カメラのしくみ
4 非常用照明とはどんなものか
5 誘導灯とはどんなものか
6 避雷針の役割と種類
7 中央監視設備とはどのようなものか
用語索引
コラム|目次
なぜ、500kW以上では 電気工事士資格が不要なのか?
低い地中化率
SOG制御装置
VCT(計器用変圧変流器)の昔の名前
力率を改善すると電気料金が安くなる
メーターでもわかる設計思想
電気と水
発電設備の燃料(重油と軽油)
低圧受電における非常電源専用受電
フライホイールを使ったUPS
天井内は物でいっぱい
エコ電線、エコケーブル
本当に鳩が住んでいたハト小屋
あまり使われなくなった配線方式
三相誘導電動機
セントラル空調方式・個別空調方式と自動制御設備
連動とインターロック
始動装置で非常用発電設備が小さくなる
インバーターとコンバーター
東日本と西日本で違うモーターの回転速度
光害と光害対策ガイドライン
ソーラーカレンダータイマーの弱点
壁のスイッチやコンセントの高さ
ボックスレス工法
ジョイントボックス・ジャンクションボック
IP電話とは
カラスはパラボラアンテナがお好き?
インターホンならではの使い方
雷と滝
非常警報設備
無窓階
警備業法
ダミーカメラ

五十嵐 博一 (著)
技術評論社 (2011/4/22)、出典:出版社HP

身近にありながらも普段は意識されることが少ない電気設備。 この章では、電気設備がどのような機能、役割を果たしているのかを説明していきます。

建物や施設における電気設備とは

●電気設備とは
みなさんは、「電気設備」という言葉からどんなものをイメージするでしょうか。家の中で使う家電製品を思い浮かべる人もいるでしょう。どこかの工場にあるような、電気で動く生産機械をイメージする人もいるでしょう。しかし、残念ながら、家電製品や生産機械は本書で取り上げる「電気設備」に は該当しません。
本書で取り上げる「電気設備」とは、建物や施設の中のさまざまな場所に電気を送り届けるための設備や、建物に付随して使われる照明器具や防災設 備などを指します。建物や施設の中のインフラ設備の一部として機能するの が本書で取り上げる「電気設備」なのです。

●建物を人間の身体にたとえると 「建物を人間の身体にたとえるなら、建物の構造体であるコンクリートの柱や壁、床などは骨格で、壁紙やカーペットなどは皮膚、エアコンなどの空調設備は呼吸器系に相当すると考えられるでしょう。
では、電気は何に相当するでしょうか。電気はさまざまな機械や装置を動かすためのエネルギーとして使われていますから、身体で言えば、さまざま な臓器や筋肉を動かすために循環する血液のようなものと考えられます。
また、電気はさまざまな信号や情報を伝えるためにも使われています。身体で言えば神経のような働きです。
つまり、人間の身体で言えば、血液循環や神経系に関わる臓器や器官に相当するのが、「電気設備」なのです。
例えば、人間の身体で、全身に血液を送り出す働きをしているのは心臓です。心臓から送り出された血液は、全身に張り巡らされた血管を通って身体の隅々まで行き渡ります。建物内で使われる電気を送り出す働きをしているのは変電設備です。変電設備から送り出された電気は、建物内に張り出れた電線を通ってさまざまな場所に送り届けられます。建物の心臓に相当するのが変電設備で、血管に相当するのが電線なのです。

・電気設備とは
●縁の下の力持ち、それが電気設備
心臓や血管、脳や脊髄などは、人間の身体にとってとても大事なものですが、普段の生活の中では目にすることはまずありませんし、その存在を意識 することも少ないものです。
電気設備も同じです。建物の中で、一般の人は立ち入り禁止になっている 地下や屋上、天井裏などにひっそりと置かれていて、人知れず大切な機能を 果たしているのです。言うなれば、縁の下の力持ち、それが電気設備なのです。 普段はあまり目に触れることもなく、意識されることも少ない電気設備が、 どんな所に、どんなふうに置かれていて、どんな役割を果たしているのか、 これから少しずつ見ていきましょう。

電気設備の分類と役割とは

●エネルギーとしての電気 電気は、私たちの暮らしの中で、具体的にどのような役割を果たしているのでしょうか。
例えば、蛍光灯や白熱灯、LED ランプなどは、電気を光のエネルギー 変えることで、照明という機能を果たしています。電気ストーブやハログ、 ヒーターは、電気を熱のエネルギーに変えることで、暖房という機能を果た しています。
クーラーや冷蔵庫の場合は、暖房とは逆に、何かを冷やすために電気を使っ ています。クーラーや冷蔵庫の中では、冷媒(熱媒体となるアンモニアやフロンなど)を圧縮するためにコンプレッサーを使ったり、放熱や空気循環のためにファンを使ったりします。電気は、コンプレッサーやファンを動かす ために使われているモーターを回すエネルギーとして使われます。モーター が電気を運動エネルギーに変えているのです。
このように、照明器具や冷暖房器具などでは、電気は「エネルギー」という役割を果たしています(図1-2-1)。

●情報を伝達する信号としての電気
糸電話を作った経験はあるでしょうか? 糸電話は糸を振動させることに よって音声信号を伝達しています。糸電話の糸の代わりに電線を使い、糸の 振動の代わりに電気の振動を使えば、糸電話と同じように音声信号を伝達することができます。これが電話の原理です。電話は、音声という情報を伝達 するための手段として電気を使っているのです。
インターネットでも情報伝達のための手段として電気を使っていますし、パソコンの中でも、さまざまなデータが電気信号で処理されています。
パソコンや電話のような情報機器や通信機器では、電気は「情報のための信号」という役割を果たしています。建物内の電気設備の中では、インターホンや防災設備、防犯設備などでも、電気を情報伝達のための信号とし て使っています(図 1-2-1)。
うでん

●強電と弱電
以上のように、電気というものは大きく分けると、エネルギーとして使われる場合と、情報伝達のための信号として使われる場合があります。
一般に、電気をエネルギーとして使う分野は「強電」、電気を情報伝達のための信号として使う分野は「弱電」と呼ばれます。 「電気をエネルギーとして使う照明器具や冷暖房機器、これらの機器にエネ ルギーとしての電気(電力)を供給するための設備を「強電機器」とか「強電設備」と呼びます。
それに対して、電気を情報伝達のための信号として使う電話や情報通信機 器、情報伝達に使われる設備を「弱電機器」とか「弱電設備」と呼びます。

電気設備に関わる人々

●電気設備を設計する技術者
建物や施設の電気設備には、たくさんの人々が関わっています。例えば新しいビルを建設する際には、ビル内の電気設備を計画する設計技術者が期 わります。電気設備の設計技術者は、建物の設計を専業とする設計事放流。 建設工事一式を請け負う総合建設会社(ゼネコン)、電気工事だけを請け負 う電気工事会社、電気設備の設計を専門に手掛ける設備設計事務所などに所属しています。

設計技術者は、建物や施設の用途や規模に応じて、受変電設備の仕様を決めたり、外部からの引き込みルートや建物内の配線ルートを決めたり、室内 の照明器具を選んだり、スイッチの場所を決めたりします。大規模な建物や 特殊な用途の施設では、電気設備も複雑になり技術的にも高度なものになり ますから、十分な知識、経験、ノウハウがなければ設計できません(図 1-31、図1-3-2)。

●電気設備を工事する技術者
建物や施設の電気設備を工事するのが電気工事会社です。ビルの建設工事の現場で、配線や器具を取付ける作業にあたるのが、電工と呼ばれる職人です。
職人の作業を監督するのが、電気工事会社の現場代理人や主任技術者と呼 ばれる責任者です。現場代理人や主任技術者というのは、建設業法で定めら れている工事現場の責任者のことで、ひとことで言えば、現場代理人とは 工事現場における工事会社の代表者で、主任技術者とは技術面の管理者で 1、図1-3-2)。 す。現場代理人と主任技術者を一人で兼務していることもあります(図
14)

●電気設備を管理する技術者
建物や施設の電気設備を維持管理する際に監督者になるのが電気主任技術者です。電気主任技術者は電気事業法で定められている資格で、前出の建設 業法で定められている主任技術者とは別物です。
キュービクル(高圧受変電設備)がある建物や施設では、電気設備の維持 管理のために電気主任技術者を選任する必要があります。選任された電気主 任技術者は、キュービクルの定期点検などを行います。一定規模以上の建物 や施設では、電気工事の際も、電気主任技術者が監督しなければなりません。
例えば、企業が持つビルや工場などでは、その企業の従業員の中で電気主 任技術者の資格を持つ者を電気主任技術者として選任することになります。 資格を持つ従業員がいない場合には、外部の電気主任技術者に業務を委託す ることになります。外部に委託する場合、個人で開業している電気主任技術 者に委託するケースのほかに、電気主任技術者の業務を受託する機関である 電気保安協会に委託するケースもあります(図1-3-1、図1-3-2)。

●機器メーカーの技術者
建物や施設の電気設備では、設計する技術者、工事する技術者、管翔一 技術者が主な関係者ですが、このほかに、電気設備機器メーカーの技術史 深く関係しています(図 1-3-2)。 例えば、非常用発電設備や防災設備などでは、それぞれの機器メーカーの 技術者が詳細な仕様を検討したり、据え付け工事や試運転調整などを行ったりします。
個々の機器の詳細な仕様や設置方法などについては、メーカーの技術者でなければわからないことがたくさんあるのです。

●多くの技術者の協力で成り立つ電気設備
機器メーカーの技術者は、電気設備を設計する技術者から建物規模や用途、 必要機能などの情報を得て、機器を選定したりシステムを組んだりします。 電気設備を設計する技術者は、機器メーカーの技術者からの機器の情報を得て、他の機器との接続方法を考えたり、設置場所や配線経路を検討したりし ます。工事する技術者は、設計する技術者からの情報を得て、工事の施工方 法を考えたり、資材を手配したりします。場合によっては、工事する技術者 のほうから設計する技術者に、設計内容の変更を提案することもあります。
このように、多くの技術者が関わり、互いに協力し合い、知恵を出し合って、電気設備が成り立っているのです。

電気設備に関わる資格

●電気設備を設計するための資格
電気設備を設計するのに特に資格は必要ありません。ただし、大規模(3階以上で、延面積 5,000m超)の建物の設備(電気設備、空調設備、衛生設備】 を設計する際には、「設備設計一級建築士」の資格者が設計するか、あるいは 「設備設計一級建築士」の資格者が関係法規の適合性を確認する必要があります。
設備設計一級建築士とは、平成 18年の建築士法改正で新たに設けられた 資格で、建物を設計するための資格である「一級建築士」の上位資格という 位置付けにあります。
このほか、建築士が建物を設計する際に、建築士の求めに応じて設備に関 して助言することができる「建築設備士」という資格も建築士法に定められています。

●電気設備を工事するための資格
電気設備の工事をするのに必要な資格が、「電気工事士」です。電気工事 士は電気工事士法で定められている資格で、第一種と第二種があります。第 二種電気工事士は変電設備を持たない小規模な建物の工事に従事することが でき、第一種電気工事士は、最大電力 500kW 未満の変電設備を持つ建物の 工事に従事することができます。
また、電気工事士の資格がなくても、一定の要件を満たせば、一部の工事に従事できる「認定電気工事従事者」という資格もあります(表1-4-1)。 このほかに、ネオンサインや非常用発電機の工事に従事するための「特殊 工事資格者」というものもあります。
なお、最大電力が 500kW 以上の場合は、「電気主任技術者」が工事を監督する必要があるのですが、この場合は、直接工事に携わる人が電気工事士の資格を持っていなくても構いません。

●電気設備を管理するための資格 「電気設備を管理するのに必要な資格が、「電気主任技術者」です。電気主 任技術者は電気事業法で定められている資格で、第一種、第二種、第三種が あります。第一種電気主任技術者は、すべての電気工作物(建物の電気設備 のほか、電力会社の発電所や変電所、送配電設備などを含む)において、運用や維持管理の監督者になることができます。第二種電気主任技術者は、監督者となれるのは電圧 17万 V未満まで、第三種電気主任技術者は電圧5万 V未満までとなっています(表1-4-2)。

五十嵐 博一 (著)
技術評論社 (2011/4/22)、出典:出版社HP

大写解 高圧受電設備: 施設標準と構成機材の基本解説

まえがき

電気は現代社会に欠くことのできないエネルギーであり、電気がなければ 我々の生活は成り立ちません。しかし、電気は本来危険なものであり、その 取扱いを誤れば事故や重大な災害をもたらすおそれがあります。

この電気を安全にかつ安定的に供給するためには、電気設備の保守管理を 確実に実施する必要があります。機器の劣化状態や異常の前兆を把握して、 事故が起こる前に適切に対応しなければなりません。この保守管理の要は電 気技術者であり、その役割は極めて重大です。

しかし、電気設備の保守管理技術の習得は、単なる知識だけでなく経験に より体感するところが大きく、入門者には理解しにくいものになっています。 知識と実務の間には大きな隔たりがあり、実際の設備を見たり操作したこと のない方にはハードルが高いものがあります。

本書は、高圧受電設備の保守管理に従事されている電気技術者やこれから 従事されようとしている方々の実務に役立つことを目的に執筆したもので す。従来の参考書と異なり、実際に高圧受電設備で使用している機器や材料 などの写真や図を多く取り入れて、目で見て理解できるように構成されてい ます。実際の機器の構造はどうなっているのか、操作はどのように行うのか など、実務で実施する内容を写真や図で具体的に解説しています。また、保 守管理についても、どこをどのように点検すればよいのか、点検のポイント はなにかなども写真があるのでよくわかります。

さらに、事故例なども載せていますので、事故が発生するとどうなるのか、 事故を起こさないためにはどうすればよいのかなど実践的な内容も理解でき るようになっています。このため、高圧受電設備の設計や施工に従事されて いる方々にも役立つものと考えています。
機器は必ず劣化するものであり、故障するものです。高圧受電設備の事故 により、突然の停電や波及事故を起こさないために、本書が役立つことを願 います。

2017年1月
田沼 和夫

田沼 和夫 (著)
オーム社 (2017/1/26)、出典:出版社HP

目次

*参考文献/引用文献/電気技術規程/日本工業規格/関係団体規格等

第1編 高圧受電設備の基本構成
1-1日 高圧受電設備の形態
1 高圧受電設備とは / 2 高圧受電設備の種類 / 3 設置場所の種類
1-2 受電方式
1 高圧受電方式の種類
1-3 主遮断装置
1 保護協調の必要性 / 2 主遮断装置の種類 / 3 受電設備容量の制限
1-4 責任分界点と区分開閉器
1 責任分界点とは/2 責任分界点の決定 / 3 区分開閉器
1-5 高圧受電設備への引込方式
1 架空引込/2 地中引込
1-6 開放形受電設備・
1 受電室 /2 屋外に施設する受電設備
1-7 キュービクル式受電設備
1 規格とその概要 /2 屋内設置キュービクル/3 屋外設置キュービクル/4 屋外設置キュービクルに至る通路
1-8 標準施設
1 受電設備の結線の原則 / 2 標準結線
1-9 高圧受電設備の構成機器

第2編 高圧受電設備の構成機器と材料
2-1 区分開閉器
1 区分開閉器の種類 / 2 区分開閉器の構造 / 3 区分開閉器の定格と選定 / 4 耐塩じん汚損性能 / 5 雷害対策 26 保護機能 / 7 区分開閉器のハンドル操作 /8 区分開閉器の事故
2-2 引込ケーブル
1 高圧CVケーブルの種類 /2 高圧CVケーブルの構造 / 3 高圧CVケーブルの選定/4 端末処理(終端接続) /5 ケーブルの劣化 / 6 絶縁診断
2-3 電線・がいし類
1電線/2銅棒/3 がいし
2-4 電力需給用計量装置・・
1 電力需給用計量装置とは /2 取り扱い
2-5 断路器(DS)..
1 断路器とは/2 断路器の種類 / 3 断路器の構造 / 4 断路器の操作 /5 断路器の保守点検
2-6 遮断器(CB)
1 高圧遮断器とは/2 高圧遮断器の種類 / 3 真空遮断器の外観と真空バルブ/4 真空遮断器の動作/ 5 真空遮断器の定格 /6 油遮断器/7保守
2-7 高圧交流負荷開閉器(LBS)
1 高圧交流負荷開閉器とは/2 高圧交流負荷開閉器の構造 /3 高圧交流負荷開閉器及び限流ヒューズの定格 /4 高圧交流負荷開閉器の開閉機構 /5 高圧交流負荷開閉器の動作/6 高圧交流負荷開閉器の保守管理
2-8 高圧カットアウト(PC)
1 高圧カットアウトとは/2 高圧カットアウトの構造 /3 ヒューズ /4 保守管理
2-9 変圧器(T)
1 変圧器とは/2 変圧器の種類 / 3 変圧器の構造 / 4 変圧器の定格 /5 絶縁油の保守管理
2-10 高圧進相コンデンサ設備
1 力率改善 /2 設置箇所 / 3 進相コンデンサの構造 / 4 開閉装置 /5 直列リアクトル /6 保守管理
2-11 避雷器(LA)
1 高圧受電設備の雷被害 /2 避雷器の役割 / 3 避雷器の設置 / 4 避雷器の動作 /5 避雷器の構造 /6 避雷器の定格 / 7 避雷器の接地 /8 避雷器の保守
2-12 計器用変成器・指示計器
1 計器用変成器とは /2 計器用変圧器(VT) / 3 変流器(CT) /4 零相変流器(ZCT) /5 零相計器用変圧器(ZVT)
2-13保護継電器
1 種類と動作 / 2 過電流継電器(OCR) / 3 地絡継電器(GR) /4 地絡方向継電器(DGR) /5 不足電圧継電器(UVR)
2-14 接地装置
1 役割と種類 / 2 接地装置
2-15 非常用発電機
1 非常用発電機の役割 / 2 非常用発電機の種類 /3 発電設備の構成/4 発電設備の保守点検
2-16 直流電源装置
1 直流電源装置とは/2 システム構成 / 3 直流電源装置の構成

コラム
柱上式受電設備
配電方式と配電電圧
真空遮断器
自家用電気設備
キュービクル
特殊使用状態
過電流継電器
区分開閉器への水分浸入
国産がいし
トラッキング
励磁突入電流抑制機能付きLBS
高圧カットアウトのヒューズ
力率と電気料金
デジタル形保護継電器

*索引

参考文献/引用文献/電気技術規程/日本工業規格/関係団体規格等
(下記の規程、規格等を参考にさせていただきました。)

(一般社団法人日本電気協会)
電気技術規程―JEAC
・JEAC 8011-2014 高圧受電設備規程
(一般社団法人 日本規格協会)
日本工業規格―JIS
・JIS C 1731-1(1998) 計器用変成器一(標準用及び一般計測用)
第1部:変流器
・JIS C 1731-2(1998) 計器用変成器(標準用及び一般計測用)
第2部:計器用変圧器
・JIS C 2320(2010) 電絕緣油
・JIS C 3653(2004) 電力用ケーブルの地中埋設の施工方法
・JIS C 3814(1994) 屋内ポストがいし
・JIS C 3821(1992) 高圧ピンがいし
・JIS C 3824(1992) 高圧がい管
・JIS C 3826(1994) 高圧耐張がいし
・JIS C 3851(2012) 屋内用樹脂製ポストがいし
・JIS C 4306(2012) 配電用6kVモールド変圧器
・JIS C 4601(1992) 高圧受電用地絡継電装置
・JIS C 4602(1986) 高圧受電用過電流継電器
・JIS C 4603(1990) 高圧交流遮断器
・JIS C 4304(2013) 配電用6kV油入変圧器
・JIS C 4604(1988) 高圧限流ヒューズ
・JIS C 4605(1998) 高压交流負荷開閉器
・JIS C 4606(2011) 屋内用高圧断路器
・JIS C 4607(1999) 引外し形高圧交流負荷開閉器
・JIS C 4608(2015) 6.6kVキュービクル用高圧避雷器
・JIS C 4609(1990) 高庄受電用地絡方向継電裝置
・JIS C 4620(2004) キュービクル式高圧受電設備
・JIS C 4902-1(2010) 高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器
―第1部:コンデンサ
・JIS C4902-2(2010) 高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器
―第2部:直列リアクトル
・JIS C 4902-3(2010) 高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器
―第3部;放電コイル
・JIS C 8704-1 (2006) 据置鉛蓄電池―一般的要求事項及び試験方法―
第1部;ベント形
・JIS C 8704-2-1(2006) 据置鉛蓄電池―第2-1制御弁式―試験方法
・JIS C 8704-2-1(2006) 据置鉛蓄電池―第2-2制御弁式―要求事項
・JIS C 8706(2006) 据置ニッケル・カドミウムアルカリ蓄電池
(一般社団法人日本電機工業会)
・「受電設備の保全に関するアンケート調査」報告書
・JEM 1425-2001 金属閉鎖形スイッチギヤ及びコントロールギヤ
・JEM TR-174-2012 高圧交流遮断器の保守・点検指針
・JEM TR-178-1991 高圧断路器の保守・点検指針
(一般社団法人日本電線工業会)
日本電線工業会規格:JCS
・JCS 0168-3 3.3kV以下電力ケーブルの許容電流計算
第3部:高圧架橋ポリエチレンケーブルの許容電流
(一般社団法人電気学会)
電気規格調査会規格:JEC
・JEC-1201(2007) 計器用変成器(保護継電器用)
・JEC-2310(2014) 交流遮断器及び接地開閉器
・JEC-2374(2015) 酸化亜鉛形避雷器

田沼 和夫 (著)
オーム社 (2017/1/26)、出典:出版社HP

マンガでわかる電気設備

まえがき

わたしたちの身のまわりには、さまざまな「電気設備」があります。そして、わたしたちの毎日の生活は、さまざまな電気設備によって支えられています。でも、電気設備に関わる仕事をしている人を除けば、電気設備の仕組みや役割をよく知っているという人はあまり多くないのではないでしょうか。

電気設備の専門家でない人でも、電気設備の仕組みや役割を理解しなければならないことがあります。本書の主人公のゆいも、両親が経営するホテルをリニューアルするために電気設備の勉強を始めました。ゆいと同じように、建物や施設の運営、維持管理などの仕事をしていて電気設備のトラブルに見舞われたり、電気設備のリニューアルを検討する必要に迫られたりする人も多いのではないでしょうか。

本書は、電気設備の専門家でない人や、これから電気設備に関わる仕事を始めようとしている人に、電気設備の仕組みや役割、電気設備にかかわる仕事の一端を紹介することを目的として制作されました。素人や初心者の人にも電気設備に親しみを持ってもらいたいと考えて、ゆいの両親が経営するホテルを舞台にして、まずは身近にある照明やコンセントの話から始めて、徐々に電気設備の心臓部と言える受変電設備に近付いていくという順序にしています。実はこの順序は、筆者自身が新入社員だったころに受けた電気設備の基礎教育と同じ順序なのです。みなさんも新入社員になったつもりで、ゆいと一緒に身近なところから電気設備を学んでみてください。各章には少し詳しいフォローアップも載せていますが、難しいと思ったら読み飛ばして構いません。細かいところは気にせずに、まずはマンガを読んで、電気設備のイメージをつかんでもらえれば十分です。

なお、本書は電気設備の仕組みや役割、電気設備に関わる仕事の“一端”を紹介することを 目的としていますから、必ずしも網羅的、体系的な内容にはなっていません。みなさんが本書を通じて電気設備の一端を知り、電気設備に関心を持ち、あるいは何か疑問に感じたら、ぜひとも他の入門書や解説書も手にとって、電気設備を網羅的、体系的に学んでみてください。
最後に、本書の制作にあたり、執筆の機会をつくってくれたオーム社の皆様、編集を担当してくれたジーグレイプの皆様、ストーリーを考えてマンガにしてくれた笹岡悠翔様に厚くお礼申し上げます。

2016年6月
五十嵐博一

五十嵐博一 (著), 笹岡悠瑠作画 (その他), ジーグレイプ制作 (その他)
オーム社 (2016/7/26)、出典:出版社HP

もくじ

まえがき
プロローグ

第1章 身近な電気設備たち
1 電気設備
2 コンセント
3 スイッチの位置
4 照明
5 照度計算
6 分電盤
フォローアップ

第2章 黒子の電気設備たち
1 電気の通り道
2 動力制御盤
3 ブレーカー
4 動力機器
5 漏電
フォローアップ

第3章 意外な電気設備たち
1 防災設備
2 自動火災報知設備
3 防火防排煙連動制御設備・非常放送設備
4 誘導灯・非常用照明
5 防災設備の注意事項
6 避雷設備
フォローアップ

第4章 電気設備の心臓部
1 受変電設備
2 保護協調
3 遮断容量・トランス容量
4 電気室
フォローアップ

第5章 電気設備の頭脳と新エネルギー
1 中央監視設備
2 デマンド制御
3 コージェネレーションシステム
4 太陽光発電・風力発電
5 定期点検
フォローアップ

エピローグ

索引

 

五十嵐博一 (著), 笹岡悠瑠作画 (その他), ジーグレイプ制作 (その他)
オーム社 (2016/7/26)、出典:出版社HP