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シーケンス制御を学ぼう

シーケンス制御を学び始めの場合はネット記事だけ見ても表面的な理解しかできない場合が多々あります。そこで、今回は基本、入門からシーケンス制御を学べる書籍を紹介します。まずは自身にあった一冊を選んでみましょう。

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出典:出版社HP

カラー徹底図解 基本からわかるシーケンス制御

はじめに

世の中は自動制御された機械や装置であふれています。
身近な洗濯機やエアコンといっ た家電製品はもちろん、街に出ればエレベータや自動ドア、交通信号機などが自動制御されています。
産業用機械や生産ラインにも自動制御は欠かせないものです。人々の暮らしは自動制御によって支えられているといっても過言ではありません。自動制御にはさまざまな手法がありますが、その基礎になっているのがシーケンス制御です。

本書は、これからシーケンス制御を学ぼうとする人を対象とした入門書です。
シーケンス制御のなかでも、電磁リレーによるリレーシーケンス制御について解説しています。近年のシーケンス制御は、専用のコンピュータであるといえるPLC(プログラマブルロジックコントロ ーラ)による制御が主流になっていますが、さまざまな長所をもつ電磁リレーによる制御も各所で採用されています。また、PLCはリレーシーケンス制御回路をプログラム上で再現することで制御を実現しているため、ルーシーケンス制御が基礎にあると考えることができます。
PLC制御を習得したいと考えている人も、いきなりPLCのプログラムの学習を始めるより、まずはルーシーケンス制御を学んだほうが、スムーズにプログラムが理解できるようになります。

実際に使われているシーケンス制御の回路図を初めて見ると、とても複雑そうで、特に電気が苦手な人はそれだけで習得をあきらめてしまうかもしれません。確かに制御内容が高度になるほど、回路は複雑になっていきますが、それぞれの要素はON/OFFの2つの状態しかとりません。さまざまなスイッチが組み合わされたり、単純で基本的な回路が積み 重ねられたりすることで複雑な制御が実現されています。だからこそ、シーケンス制御は基礎から学んでいくことが重要です。
本書は、実際の制御機器を一度も見たことがないような人でも理解できるように、基礎中 の基礎から説明しています。さまざまな制御回路については、どのように動作するか順を追って解説しています。多少でも知識のある人や習得の早い人にとっては、少し冗長でくどい構成ととれる部分があるかもしれません。しかし、さまざまな回路の動作を繰り返し学んでいくことで、シーケンス制御の基本が身についていきます。すでに知識のある人も、確認のつもりで読んでいただけると幸いです。
最後に、本書の読者が、ものづくりなどの現場で活躍されることを願っております。

石橋正基

石橋正基 (著, 監修)
ナツメ社 (2018/5/1)、出典:出版社HP

CONTENTS 目次

Chapter 01 シーケンス制御の基礎知識
Section 01: 自動制御
Section 02: シーケンス制御
Section 03: 電気の基礎知識
Section 04: 接点の種類
Section 05: 手動操作自動復帰形接点
Section 06: 押しボタンスイッチの基本回路
Section 07: 電磁操作自動復帰形接点
Section 08: 電磁リレーの基本回路
Section 09: 電磁リレーの役割

Chapter 02 シーケンス制御の構成機器
Section 01: シーケンス制御の構成機器
Section 02 : 電気用図記号
Section 03: 押しボタンスイッチ
Section 04: 切換スイッチ
Section 05: マイクロスイッチとリミットスイッチ
Section 06: 光電スイッチと近接スイッチ
Section 07: その他の検出用装置
Section 08: 電磁リレー
Section 09: 電磁接触器と電磁開閉器
Section 10: タイマ
Section 11: カウンタ
Section 12: 配線用遮断器とヒューズ
Section 13: 電源用装置
Section 14: 表示・警報用装置
Section 15: 駆動装置

Chapter 03: シーケンス図とタイムチャート
Section 01: シーケンス図
Section 02: 文字記号
Section 03: 参照方式
Section 04: タイムチャート
Section 05: 動作表

Chapter 04 基本接点回路と論理回路
Seetion 01: 基本接点回路
Section 02: 論理回路
Section 03: AND回路
Section 04: OR回路
Section 05: NOT回路
Section 06 : NAND回路
Section 07 : NOR回路
Section 08: 禁止回路
Section 09: 不一致回路
Section 10: 一致回路

Chapter 05 自己保持回路
Section 01: 自己保持回路
Section 02: 復帰優先形自己保持回路
Section 03: 動作優先形自己保持回路
Section 04: 自己保持回路の多ステップ化
Section 05: 自己保持回路の接点の増設
Section 06: 論理回路で操作する自己保持回路
Section 07: 寸動回路

Chapter 06 優先回路
Section 01: 優先回路
Section 02: インタロック回路
Section 03: 新入力優先回路
Section 04: 順序動作回路
Section 05: 順序停止回路
Section 06: 電源側優先回路

Chapter 07 タイマ回路
Section 01: タイマの基本動作
Section 02: 一定時間後動作回路
Section 03: 一定時間動作回路
Section 01: 遅延動作一定時間後復帰回路
Section 05: 繰り返し動作回路
Section 06: タイマ順序動作回路
Section 07: タイマによるステップのつなぎ回路

Chapter 08 電動機制御回路
Section 01: 電動機制御の主回路と制御回路
Section 02: 三相誘導電動機の始動制御回路
Section 03: 三相誘導電動機の正逆転制御回路
Section 04: 三相誘導電動機の減電圧始動制御回路
Section 05: 単相誘導電動機の始動制御回路

Chapter 09 シーケンス制御の応用回路
Section 01: オルタネイト回路
Section 02: 早押しクイズ回答機回路
Section 03: カウンタ回路
Section 04: 給水制御回路
Section 05: 電動機のタイマ交互運転回路
Section 06: 研削盤の制御回路
Section 07: 荷役リフトの制御回路
Section 08: 非常停止回路

COLUMN
半導体のスイッチング作用
フールプルーフとフェイルセーフ
論理回路のまとめ

石橋正基 (著, 監修)
ナツメ社 (2018/5/1)、出典:出版社HP

動作の流れについて

最初にこの説明を読んでもわかりにくいかもしれませんが、シーケンス制御では押しボタンスイッチを操作すると、赤い表示灯が点灯し、同時に緑色の表示灯が消灯するといった具合に、ある1つの要素の変化が、複数の要素を変化させることがあり、それぞれの変化の結果として、次の変化が起こるといったように、複数の流れが並行して進んでいくことがあります。こうした同時に並行に進行する現象を、文章だけで表現することには限界があります。そのため、本書では複雑な動作をする制御回路については、文章や図による説明を補助するものとして、下の図のような動作の流れを示すチャートを併用しています。


図の例の場合、1の操作を行うことによって、2と3の変化が起こり、2の変化の結果として1が起こり、その結果として5と1と2の変化が起こるといった具合に制御回路内の動きが進行していきます。ただし、このチャートは正確に時間的な変化を示しているわけ ではありません。5と7と8はほぼ同時に変化が始まりますが、6と9は必ずしも同じタイミングで変化が始まるとは限りません。また、5と7と8の上下の位置関係に意味はありません。文章による説明の流れに沿って番号を決めています。10の上に12と3が表記してあるのは、スペースを節約するためであり、この位置関係にも意味はありません。同じ行に並んでいても3と1と2に関連があるわけではありません。同様に6と3にも関連があるわけではありません。実際に動作を説明する文章を読みながら、動作の流れのチャートを見れば、 制御回路の動作がわかりやすくなります。

Chapter 01 Section 01 自動制御

「シーケンス制御は自動制御の一種]

制御とは、JISの定義によれば「ある目的に適合するように、制御対象に所要の操作を加えること」だ。たとえば、壁に備えられた照明器具のスイッチを人間が押して点灯させることは制御だといえる。こうした人間が直接操作する制御を手動制御という。
いっぽう、同じ照明器具であっても、暗くなると点灯する門灯や、人が近づくと点灯する防犯灯は、最初に設定しておけば、指定した条件が整うと自動的に点灯する。こうした制御を自動制御という。また、洗濯機のように洗い→すすぎ→脱水といった一連の作業を順番に進められる自動制御もあれば、エアコンのように設定した室温を保ってくれる自動制御もある。現在では、家庭内の電化製品はもちろん、オフィス機器や自動販売機、交通信号機など、さまざまな機械が自動制御されている。工場の生産ラインなど産業用の機械も自動制御が数多い。自動制御は人間の生活にも産業にも欠かせないものになっている。
自動制御には、さまざまな種類があるが、おもに使われているのがシーケンス制御とフィードバック制御だ。本書で取り上げるのはシーケンス制御だが、フィードバック制御についても概要は知っておく必要がある。

▶︎シーケンス制御とフィードバック制御
シーケンス制御とは、JISの定義では「あらかじめ定められた順序、または論理にしたがって制御の各段階を逐次進めていく制御」とされている。洗濯機が一連の作業を順番に進めていくような制御や、交通信号機のランプが一定時間で切り換わっていくような制御がシーケンス制御だ。一定の工程を順番に自動的に行ってくれるので、シーケンス制御は操作や運転の自動化や省力化に貢献する。
いっぽう、フィードバック制御とは、JISの定義では「フィードバックによって制御量を目標値と比較し、それらを一致させるように操作量を生成する制御」とされている。
たとえば、エアコンは室温を設定温度に近づけるために室温を測定し、その測定値をフィードバックとして目標値である設定温度と比較して、モータなどの制御量を決める。
こうした制御がフィードバック制御だ。実際には、目標値と測定値との差が大きい場合にはモータの制御量を大きくし、

 

差が小さくなると制御量を小さくするといった制御が行われる。
結果として、フィードバック制御は制御内容の質を向上させることができる。
また、フィードバック制御は多くの場合、シーケンス制御と組み合わせて使われる。
自動化がシーケンス制御によって行われ、制御の質を向上させたい部分にフィードバック制御が採用される。
ただし、現在ではシーケンス制御にフィードバック的な要素が含まれることもある。
たとえば、電気こたつは温度によって動作するスイッチによって、設定温度になるとヒータを停止し、設定温度より低くなるとヒータを動作させるという制御が行われる。これも一種のフィードバックを利用した制御といえるが、一般的にはシーケンス制御に分類される。最近では、シーケンス制御を行う機器が進化して、かなり複雑な制御までシーケンス制御によって行えるようになっている。そのため、本来の定義によってシーケンス制御とフィードバック制御を区別するのが難しくなっている。本来の定義からは外れるが、現在のシーケンス制御はスイッチの組み合わせによって実現される制御だと考えればわかりやすい。

石橋正基 (著, 監修)
ナツメ社 (2018/5/1)、出典:出版社HP

やさしくわかる シーケンス制御

まえがき

AI・IoT時代が到来し、身のまわりのさまざまなモノの知能化が進んでいます。知能化と聞くと、ディープラーニングという言葉が思い浮かぶかもしれません。もちろん、そのような機械学習の技術を利用し、現実世界の種々の情報をコンピュータで処理して,私たちに有益な情報を抽出することは知能化の1つです。その一方,人工物の知能化では、自動車の自動運転のように、現実世界のモノを賢く動かすことも重要です。これからの時代,そのような「物理的に」現実世界に影響を与える「モノの動きをデザインする」技術は、現場のエンジニアだけでなく、もっと広い範囲の人たちにも必要になるでしょう。

モノの動きをデザインする技術の1つが「シーケンス制御」です。これは,すでに私たちの生活にとけ込んでいて、あたりまえのように使われています。たとえば,洗濯機や炊飯器,エアコンなどの家電からエレベータ,信号機,自動車,さらには生産ラインなど,さまざまな場所で活用されています。
ケンス制御は、現場のエンジニアがとてもよく利用している技術ですが、大学や高専できちんと勉強したことがある人は少ないかもしれません。とはいえ、論理回路の一種のようなものですので,ちょっと勉強すればなんとかなるように思えます。しかし,実際に使ってみようとすると、どのように制御をすればよいかがわからなくなることが多々あります。その難しさは、さまざまな機器のしくみを知らないといけないこと,不具合が生じない制御のしくみを電気回路(シーケンス回路)として実装しないといけないこと,などに由来していると思われます。

著者の1人は、フィードバック制御の専門家です。フィードバック制御を使ってモノを制御することは得意ですので,シーケンス制御も同じようにできるだろうと思っていました。しかし,書館で勉強すると,新たに覚えなければならないことがたくさんあり,また,文化がかなり異なることに驚きました。さらに、書籍で知識を身につけた後、実際にシーケンス制御の実習を体験しましたが、なかなか思いどおりにできず、一朝一夕に習得できる技術ではないことを身をもって実感しました。
シーケンス制御を習得するには,まず,スイッチやリレーといったさまざまな機器のしくみを知る必要がありますし、それらを用いて制御回路をつくるためには、回路の設計図を作成する方法を習得しなければなりません、最近では、PLCというコンピュータを用いたシーケンス制御が主流になっていますので、それについても勉強する必要があります.とくに、シーケンス回路の設計では、ある機能を実現すればよいというものではなく、誰が見ても理解できる簡潔な回路や,予期せぬ動作が生じない回路を考えなくてはいけません.そういった実践的なスキルを磨くには、本を読むだけでは不十分で、実際に手を動かして、シーケンス回路(PLCではラダープログラム)をつくる訓練が必要です。

そこで,上記のような課題とニーズに応えることを目指し、シーケンス制御の基礎を例題や練習問題を通して学ぶことができる書籍を執筆することにしました.シーケンス制御は、とにかく実践することが大切ですので、ドリル的な要素を重視しました.シーケンス制御では,「この機能はこの回路」といった定石がありますが、それを丸暗記するのではなく、「この場合はこのように考える」ということを意識しながら勉強していただければと思います。
また,本書は,硬い教科書にならないように,マンガで学ぶという要素も加えました。マンガ部分は各章の導入や補足となっています。通勤通学の途中などにマンガの部分を読んで概要をつかんでいただいて、机に座って、腰を入れて解説や練習問題の部分でシーケンス制御の基礎を学んでいただければ幸いです。なお、本書のサポートページは、

https://y373.sakura.ne.jp/minami/sqcont

にあります。ここには,本書の補足内容などを公開する予定です。
本書をまとめるにあたり、さまざまな方にお世話になりましたまず,本書の内容に関して有益なコメントを頂戴したオムロン株式会社の桑俊司様,シムックスコンサルティング株式会社の中島高英様に深く感謝いたします。それから、大阪大学の石川将人先生や研究室の北岡知大君,中亮介君,萩尾優吾君をはじめ、学生の皆さんに原稿をチェックしていただきました。ありがとうございます。最後に,執筆する筆者らをあたたかく見守ってくれた家族に感謝します。

2020年5月
南裕樹,石川一平

南 裕樹 (著), 石川 一平 (著), トレンドプロ (著)
オーム社 (2020/6/16)、出典:出版社HP

目次

プロローグを私にシーケンス制御を教えて!
第1章 自動制御の基礎
1順番で自動的に変えるのだ!
1.1制御とは?
1.2シーケンス制御とフィードバック制御
1.3シーケンス制御の例
1.4シーケンス制御装置の構成
1.5この本の内容
章末問題

第2章 制御に用いる機器
2使う部品を知ろう!
2.1駆動用装置
2.2命令用装置(命令スイッチ)
2.3検出用装置(検出スイッチ)
2.4表示用装置(ランプ,ブザー)
2.5制御用装置章末問題

第3章 シーケンス回路設計の基礎
3設計の基礎
3.1シーケンス図
3.2タイムチャート
3.3論理回路(AND,OR,NOT).
章末問題

第4章 シーケンス制御の基本回路
4基本回路
4.1自己保持回路
4.2一定時間動作回路
4.3インタロック回路,優先回路
章末問題

第5章 PLCによるシーケンス制御
5PLCとは?
5.1PLCO
5.2ラダー図
5.3基本回路
章末問題
エピローグ うさぴょんのヒミツ
付録 ブール代数
章末問題解答例
参考文献
索引

プロローグ 私にシーケンス制御を教えて!
マンガ省略

南 裕樹 (著), 石川 一平 (著), トレンドプロ (著)
オーム社 (2020/6/16)、出典:出版社HP

図解 シーケンス制御の考え方・読み方 第5版 ―初歩から実際まで

まえがき

本書は,シーケンス制御を初めて学習しようと志す人のために,シーケンス制御の“初歩から実際まで”をやさしく解説した実務入門書です。
産業の自動化・省力化が急速に進められている現在,これらに用いられているシーケンス制御の技術は,技術者にとってこれからはぜひとも身につけておかなくてはならないものとなっております。

これまでのシーケンス制御技術の習得は,長年にわたる経験の積み重ねと、多くの先輩からの伝承とによってなされていたのが実情であります。
そのため、産業界に入って初めてシーケンス制御にたずさわり、大いに戸惑い、むずかしいもの,そして取っ付きにくいものと感じている人々が多いのではないかと思われます。

そこで,本書はこれらの悩みを解決するため,理解しやすいようにシーケンス図は2色刷りとし,その動作順序の説明については独特の解説を試みております。また,本書の内容もシーケンス制御に関する基礎的な知識から実際の設備,装置における具体的な制御に至るまでを系統立てて詳細に解説してあります。
したがって、数多くの人々が本書を学ぶことによって,すみやかにシーケンス制御技術を習得して,これからの技術者に課せられた重大な任務の遂行に際し、その一助となれば,著者の最も喜びとするところであります。

終わりに、本書を執筆するにあたり,先輩諸賢が諸書に寄稿された貴重な文献・資料を参考にさせていただいたことに厚く御礼申し上げます。また,本書の出版にあたり,なみなみならぬ御指導と御尽力を下された東京 電機大学出版局の方々に、心から謝意をあらわすものであります。

大浜庄司

改訂第5版にあたって

本書は,1976年5月に第1版が発行されて以来,その進歩と共に改訂を重ね歩みつづけております。
前回,第4版としての改訂は,2002年9月に行っております。この改訂は,日本工業規格JIS C 0617 (電気用図記号)が,国際 60617 (Graphical Symbols for Diagrams)との整合性をはかり改正されたことによるもので、開閉接点の呼称をメーク接点、ブレーク接点、切換接点と改めております。
以来、現在まで長年にわたり、現場技術者など多くの皆様方にご愛読をいただいております。
この度、2002年以来の制御技術の革新に伴い、本書の内容を細部にわたり全面的に見直し、充実をはかると共に,図・文字の拡大・外枠取りを含め、紙面のデザインを一新するなど、装を新しくして「改訂5版」といたしました。
本書を旧版同様、ご愛読いただければ幸いです。

2020年3月
オーエス総合技術研究所・所長 大浜庄司

<本書の特徴と読み方

本書は,初めてシーケンス制御を学ぶ人が,体系的に順序よく学習できるように編集してあり,次のような3編と付録から構成されている。

第1編
電気用図記号の表し方,シーケンス図の書き方および無接点リレーと論理回路など,シーケンス制御を理解するのに必要な基礎的知識がわかりやすく解説してある。
第2編
シーケンス制御の定石ともいえる基本制御回路とその回路を用いた応用例について、その動作機構をくわしく解説してある。
第3編
実際の設備や装置におけるシーケンス制御とその回路の考え方および読み方を,その初歩から実際までを具体的に解説してある。
付録
JIS C 0617 と旧 JIS C 0301系列2の図記号を対比して示してある。

また、それぞれの内容については,制御動作が一目でわかるように,次のような工夫をほどこしてある。
①シーケンス制御動作の時間的経過を説明するために,スライド写真のように各動作ごとにいくつものシーケンス図に分解し,シーケンス動作が連続的に理解できる。
②シーケンス図には動作の順序に従って順1,順2,…というように番号が記載してあるので、本文の番号と対比しながらこの番号を順に追っていくと、おのずとシーケンス制御の動作順序が理解できる。
③シーケンス図における制御機器の動作により形成される回路は,他と区別するために太い線で示すとともに、その形成された回路ごとに色別した矢印で示してあるので、同じ色の矢印の回路を順にたどっていくと、動作した回路が理解できる。
④開閉接点は、動作の過程がわかるように,動作後の図記号を色線で明示してある。

大浜 庄司 (著)
東京電機大学出版局; 第5版 (2020/3/30)、出典:出版社HP

目次

第1編 シーケンス制御の表し方・読み方

第1章 シーケンス制御を表す図
1.1 シーケンス制御ということ
1 シーケンス制御とは
2 シーケンス制御の具体例
1.2 機能を展開して示すシーケンス図
1 実体配線図
2 シーケンス図
3 シーケンス図による動作説明
1.3 動作の順序を示すフローチャート
1.4 動作順序の時間的な変化を示すタイムチャート

第2章 シーケンス制御系の構成のしかた
2.1 シーケンス制御系の一般構成
2.2 自動給水装置の制御系の構成
1 自動給水装置の動作のしかた
2 自動給水装置の動作機構
3 給水槽の水位が下限の場合のシーケンス動作
4 給水槽の水位が上限になった場合のシーケンス動作

第3章 電気用図記号の表し方
3.1 メーク接点,ブレーク接点,切換接点とは、どういうものか
1 メーク接点
2 ブレーク接点
3 切換接点
3.2 ボタンスイッチと手動操作自動復帰接点の図記号
1 押しボタンスイッチのメーク接点
2 押しボタンスイッチのブレーク接点
3 押しボタンスイッチの切換接点
3.3 電磁リレーと自動復帰接点の図記号
1 電磁リレーとは 2 自動復帰接点とは
3 電磁リレーのメーク接点の図記号
4 電磁リレーのブレーク接点の図記号
5 電磁リレーの切換接点の図記号
3.4 電磁接触器とその接点の図記号
1 電磁接触器とは
2 電磁接触器の動作
3 電磁接触器の図記号
3.5 タイマと限時接点の図記号
1 タイマとは
2 タイマの種類
3 タイマの図記号
4 限時接点の動作のしかた
3.6 シーケンス制御によく用いられる機器の図記号

第4章 シーケンス制御記号の読み方
4.1 シーケンス制御記号とは
4.2 シーケンス制御記号の構成のしかた
4.3 機能を表す文字記号
4.4機器を表す文字記号
1 スイッチ類の文字記号
2 リレー類の文字記号
3 開閉器類および遮断器類の文字記号
4 回転機類の文字記号
5 計器類の文字記号
6 その他の機器類の文字記号

第5章 制御器具番号の読み方
5.1 制御器具番号とその構成のしかた
5.2 基本番号と補助記号

第6章 シーケンス図の表し方
6.1 シーケンス図の表し方の基本
6.2 シーケンス図における機器の表し方
1 開閉接点を有する機器の図記号
2 シーケンス図における機器の状態
6.3 シーケンス図の縦書きと横書き
1 縦書きシーケンス図の表し方
2 横書きシーケンス図の表し方
6.4 シーケンス図における接続線の書き方

第7章 無接点リレーと論理回路の読み方
7.1 無接点リレーの動作のしかた
1 無接点リレーとは
2 ダイオードの動作
3 トランド
7.2 無接点リレーの論理図記号と文字記号
7.3 論理回路における論理信号「1」「0」記号
7.4 論理積(AND)回路
1 論理積回路とは
2 有接点リレーによる論理積回路
3 無接点リレーによる論理積回路
4 論理積回路の動作表と図記号
7.5 論理和(OR)回路
1 論理和回路とは
2 有接点リレーによる論理和回路
3 無接点リレーによる論理和回路
4 論理和回路の動作表と図記号
7.6 論理否定 (NOT)回路
1 論理否定回路とは
2 有接点リレーによる論理否定回路
3 無接点リレーによる論理否定回路
4 論理否定回路の動作表と図記号
7.7 論理和否定(NOR)回路
1 論理和否定回路とは
2 有接点リレーによる論理和否定回路
3 無接点リレーによる論理和否定回路
4 論理和否定回路の動作表と図記号
7.8 論理積否定(NAND) 回路
1 論理積否定回路とは
2 有接点リレーによる論理積否定回路
3 無接点リレーによる論理積否定回路
4 論理積否定回路の動作表と図記号

第8章 論理代数のシーケンス回路への応用
8.1 論理代数とは
8.2 「0」と「1」に関する法則
8.3 同一の法則
8.4 否定の法則
8.5 交換の法則
8.6 結合の法則
8.7 分配の法則
8.8 吸収の法則
8.9 論理代数の演算例

第2編 基本制御回路の読み方とその応用

第9章 自己保持回路と単相電動機の始動制御
9.1 自己保持回路とは
9.2 復帰優先の自己保持回路
1 シーケンス図
2 シーケンス動作
3 タイムチャート
9.3 動作優先の自己保持回路
1 シーケンス図
2 シーケンス動作
3 タイムチャート
9.4 短絡消勢形の自己保持回路
1 シーケンス図
2 シーケンス動作
9.5 単相電動機の始動制御
1 シーケンス図
2 単相電動機の始動動作
3 単相電動機の停止動作

第10章 インタロック回路と電動機の正逆転制御に
10.1 インタロック回路とは
10.2 インタロック回路のシーケンス図とその動作
1 シーケンス図
2 シーケンス動作
10.3 電動機の正逆転制御
1 電動機の正逆転制御とは
2 シーケンス図
3 電動機の正転シーケンス動作
4 電動機の逆転シーケンス動作

第11章 手動・自動切換回路とコンプレッサの手動・自動切換制御
11.1 手動・自動切換回路
1 手動・自動切換回路とは
2 シーケンス図
11.2 コンプレッサの手動・自動切換制御
1 シーケンス図
2 コンプレッサの自動運転の動作
3 コンプレッサの手動運転の動作

第12章 限時回路と電動機の間隔運転制御
12.1 限時回路とは
12.2 連続入力信号による遅延動作回路
1 遅延動作回路とは
2 シーケンス図
3 限時動作瞬時復帰接点の動作
4 瞬時動作限時復帰接点の動作
12.3 パルス入力信号による遅延動作回路
1 シーケンス図
2 限時動作瞬時復帰接点の動作
3 瞬時動作限時復帰接点の動作
12.4 パルス入力信号による間隔動作回路
1 間隔動作回路とは
2 間隔動作回路の動作
12.5 電動機の間隔運転制御
1 シーケンス図
2 電動機の始動の動作
3 電動機の停止の動作

第13章 優先回路と温風器の順序始動・順序停止制御
13.1 優先回路とは
13.2 優先順位の高いリレーだけが動作する電源側優先回路
1 シーケンス図
2 優先順位が最も高い電磁リレーが動作した場合のシーケンス動作
3 電磁リレーXは動作させず電磁リレーYを動作した場合のシーケンス動作
13.3 優先順位の高いリレーから順次動作する電源側優先回路
1 シーケンス図
2 シーケンス動作
3 自己保持回路を有する場合のシーケンス図
13.4 新入力信号優先回路
1 シーケンス図
2 シーケンス動作
13.5 温風器の順序始動・順序停止制御
1 温風器の順序始動・順序停止制御とは
2 シーケンス図
3 温風器の順序始動のシーケンス動作
4 温風器の順序停止のシーケンス動作

第14章 非常停止回路とガレージ・シャッタの自動開閉制御
14.1 非常停止回路とは
14.2 補助リレーを用いた非常停止回路
1 シーケンス図
2 非常停止のシーケンス動作
3 非常停止解除のシーケンス動作
14.3 ボタンスイッチを用いた非常停止回路
1 シーケンス図
2 非常停止のシーケンス動作
14.4 ガレージ・シャッタの自動開閉制御
1 自動開閉制御とは
2 光電スイッチとは
3 シーケンス図の自動開閉動作の概要
4 シャッタ上昇中における非常停止のシーケンス動作
5 シャッタ下降中における非常停止のシーケンス動作

第15章 有極回路と表示灯点検回路
15.1 有極回路とは……
15.2 整流器を直列に接続した有極回路
1 整流器を順方向に接続した場合
2 整流器を逆方向に接続した場合
15.3 整流器を並列に接続した有極回路
1 整流器を順方向に接続した場合
2 整流器を逆方向に接続した場合
15.4 有極回路を用いた表示灯点検回路
1 表示灯点検回路とは
2 シーケンス図
3 表示灯点検のシーケンス動作
4 表示灯点灯のシーケンス動作

第16章 回り込み回路と逆流阻止回路
16.1 回り込み回路とは
16.2 回り込み回路(例1)
1 シーケンス図
2 回り込み回路
3 逆流阻止回路
16.3 回り込み回路[例2] 1 シーケンス図
2 逆流阻止回路

第17章 表示灯回路と電動機の運転・停止表示灯回路
17.1 表示灯回路とは
17.2 1灯式表示灯回路
1 シーケンス図
2 “閉路”表示の動作
3 “開路”表示の動作
17.3 明暗表示灯回路
1 シーケンス図
2 明(動作)表示の動作
3 暗(復帰)表示の動作
17.4 2灯式表示灯回路
1 シーケンス図
2 動作表示の動作
3 復帰表示の動作
17.5 クロス表示灯回路
1 シーケンス図
2 動作表示(赤色表示灯点灯)の動作
3 復帰表示(緑色表示灯点灯)の動作
17.6 電動機の運転・停止表示灯回路
1 シーケンス図
2 運転表示の動作停止表示の動作

第3編 実用設備のシーケンス回路の読み方

第18章 温度リレーによる恒温室の温度制御
18.1 恒温室の温度制御
1 シーケンス図
2 動作の概要
18.2 温度リレーのはたらき
1 温度リレーとは
2 温度リレーの構成
3 温度リレーの動作
18.3 温度制御の動作のしかた
1 下限整定温度値以下になった場合の動作
2 下限整定温度値をこえ上限整定温度値以上になった場合の動作

第19章 リミットスイッチによる組立コンベヤの間欠運転制御
19.1 コンベアの間欠運転制御
1 シーケンス図
2 動作の概要
3 タイムチャート
19.2 リミットスイッチのはたらき
1 リミットスイッチとは
2 リミットスイッチの構成
3 リミットスイッチの動作
19.3 コンベヤの間欠運転制御の動作のしかた
1 コンベヤ停止の動作
2 コンベヤ運転の動作

第20章 近接スイッチによる給水配管の断水警報制御
20.1 給水配管の断水警報制御
1 シーケンス図
2 動作の概要
3 タイムチャート
20.2 近接スイッチのはたらき
1 近接スイッチとは
2 近接スイッチの構成
3 近接スイッチの動作
20.3 給水配管の断水警報制御の動作のしかた
1 給水配管が断水した場合の動作
2 断水警報中に復帰ボタンスイッチを押した場合の動作
3 断水が復旧した場合の動作

第21章 三相ヒータの自動定時始動・定時停止制御
21.1 自動定時始動・定時停止制御
1 シーケンス図
2 動作の概要タイムチャート
21.2 三相ヒータの自動定時始動の動作
21.3 三相ヒータの自動定時停止の動作

第22章 電動ファンの繰り返し運転制御
22.1 繰り返し運転制御
1 シーケンス図
2 動作の概要
3 タイムチャート
22.2 電動ファンの始動ボタンによる運転とタイマによる停止動作
1 始動ボタンスイッチによる運転動作
2 タイマTLR-1による停止動作
22.3 電動ファンのタイマによる運転と停止ボタンによる停止動作
1 タイマTLR-2による運転動作
2 停止ボタンスイッチによる停止(非常停止)動作

第23章 常用電源と非常用電源の自動切換制御
23.1 電源自動切換制御
1 電源自動切換制御とは
2 シーケンス図
3 動作の概要
23.2 常用電源から非常用電源への自動切換動作
1 常用電源から電力を供給する動作
2 常用電源異常による非常用電源への自動切換動作
23.3 常用電源から非常用電源への手動切換動作
1 常用電源から手動で電力を供給する動作
2 常用電源異常による非常用電源への手動切換動作

第24章 遮断器の投入・引外し制御
24.1 遮断器の制御回路の基本
1 遮断器の操作方式
2 遮断器の基本制御回路
3 制御回路の基本機能
4 シーケンス図
24.2 遮断器の投入動作
1 投入動作の概要
2 投入動作の順序
24.3 遮断器の引外し動作
1 引外し動作の概要
2 引外し動作の順序
24.4 遮断器の投入動作中における引外し動作
1 投入動作中の引外し動作の概要
2 投入動作中の引外し動作

第25章 直列コンベヤの順序始動・順序停止制御
25.1 コンベヤ系統の制御
1 シーケンス図
2 動作の概要
25.2 コンベヤの順序始動の動作
1 NO.1コンベヤの始動動作
2 NO.2コンベヤの始動動作
3 NO.3コンベヤの始動動作
25.3 コンベヤの順序停止の動作
1 NO.3コンベヤの停止動作
2 NO.2コンベヤの停止動作
3 NO.1コンベヤの停止動作

付録 JISと旧 JISの図記号の対比
JISと旧 JIS の図記号の対比
1 JIS 図記号の「接点機能図記号」と「操作機構図記号」
2 おもな「開閉接点」の JISと旧 JIS の図記号の対比
3 おもな「制御機器」の JISと旧 JIS の図記号の対比

索引

大浜 庄司 (著)
東京電機大学出版局; 第5版 (2020/3/30)、出典:出版社HP

図解入門よくわかる最新シーケンス制御と回路図の基本 (How‐nual Visual Guide Book)

はじめに

生産工場では、人がモノを組み立てる時代から、機械がモノを組み立てる時代へと変化しています。商品の価格競争が激しさを増し、各企業は生産コストを下げなければならない状況が続いています。

機械が自動的にモノを組み立てる自動制御の基本技術がシーケンス制御です。シーケンス制御は、私たちの身のまわりにもたくさんあり、ふだん、気付かないところにも多く使われています。
シーケンス制御の学習は、難しいイメージもありますが、その上達のポイントは、いかに回路の流れをイメージできるかです。機械を自由に制御できる楽しみを経験していただければと思います。
本書は、これからシーケンス制御を学習される人でも理解できるように、 シーケンス制御の基本であるリレーの使い方から、シーケンサーを使ったラダー図の作成までを、ステップを踏みながら、実践的に解説しています。
シーケンス制御の学習では、リレーやシーケンサーを実際に使いながら学習することをおすすめします。実際の作業の中で、その動きを確認できれば、さらに理解も深まります。シーケンス制御の基礎学習として、本書を活用していただければ、うれしく思います。
2013年1月
武永正

CONTENTS

はじめに
第1章 シーケンス制御とは
1-1 シーケンス制御
1-2 身近なシーケンス制御
1-3 シーケンス制御の発展
1-4 自動化による製造装置
コラム 電圧と電流
第2章 シーケンス制御の基本
2-1 シーケンス制御とPLC
2-2 リレー(電磁継電器)とその役割
2-3 接点とその種類
2-4 リレー回路
2-5 センサーの種類
2-6 センサー信号の扱いと配線①
2-7センサー信号の扱いと配線②
2-8 リレーによる制御
2-9 簡単な制御回路を作る
2-10 基本回路を理解する①
2-11 基本回路を理解する②
コラム 直流電源
第3章 シーケンス制御に用いられる機器
3-1 入力機器
3-2 表示機器
3-3 駆動機器
コラム 非常停止はひるまず押せ!
第4章 シーケンス図の見方と書き方
4-1 実態配線図とは
4-2 シーケンス図の記号
4-3 シーケンス図とは
4-4 シーケンス図の書き方
コラム 交流電源
第5章 シーケンス制御の回路
5-1 ON-OFF回路
5-2 AND回路
5-3 OR回路
5-4 自己保持回路
5-5 インターロック回路
5-6 タイマーを使用した回路
5-7 ラダー図①
5-8 ラダー図 ②
5-9 入出力について①
5-10 入出力について②
5-11 原点復帰とは
5-12 自動運転とは
5-13 ダブルコイルとは
5-14 リレー回路との違い
コラム 電流遮断時の注意
第6章 シーケンス制御回路を作る
6-1 プログラムの心得
6-2 シーケンスに必要な機器、ソフトウェア
6-3 電源の入力 6-4 電源回路
6-5 PLC入力端子への配線
6-6 PLC出力端子への配線①
6-7 PLC出力端子への配線②
6-8 GX Developer ODWARE
6-9 GXDeveloper の簡単な使い方
6-10 ラダー図の作成
6-11 コメントを書く
6-12 PCパラメータの簡単な設定
6-13 回路の書き込みをする①
6-14 回路の書き込みをする②
6-15 回路の読み出しをする①
6-16 回路の読み出しをする②
6-17 シーケンサーとパソコンの接続方法①
6-18 シーケンサーとパソコンの接続方法②
6-19 簡単な回路を作成する①
6-20 簡単な回路を作成する②
6-21 簡単な回路を作成する③
6-22 簡単な回路を作成する④
6-23 デバイスとは
6-24 タイマーとカウンター
6-25 データレジスタとは①
6-26 データレジスタとは②
6-27 BCD出力
6-28 BIN入力
6-29 デコードとエンコード
6-30 データシフト①
6-31 データシフト②
6-32 ラダー図作成の基本(歩進制御 ①)
6-33 ラダー図作成の基本 (歩進制御 ②)
6-34 歩進制御による出力回路
6-35 ステップ制御による動作
6-36 ステップ制御による出力回路
6-37 実際のプログラムの流れ①
6-38 実際のプログラムの流れ②
6-39 オルタネイトとモーメンタリ
6-40 特殊リレー
6-41 便利な機能
6-42 回路作成の考え方①
6-43 回路作成の考え方②
コラム 実はビットセット命令?
第7章 シーケンス制御プログラムを作る
7-1 プログラムの基本
7-2 プログラムの設計(動作イメージ)
7-3 プログラムの設計 (全体のデバイス番号の取り決め)
7-4 プログラムの設計(動作の考え方)
7-5 プログラムの設計(ユニットのデバイス番号の取り決め)
7-6 プログラムの設計(ユニット動作)
7-7 プログラムの設計(条件分岐)
7-8 プログラムの設計(回路構成)
7-9 PCパラメータを設定する
7-10 プログラムを作る
7-11 出力回路を作る
7-12 電動シリンダーを操作する
7-13 100チェックを行う
7-14 シーケンサーへの書き込みと検証
7-15 プログラムの質
7-16 バッファメモリアクセス
7-17 シリアル通信(概要)
7-18 シリアル通信(専用命令)
7-19 シリアル通信(基本命令)
7-20 アナログ変換(概要)
7-21 アナログ変換(プログラム)
7-22 構造化というテクニック
7-23 プログラムを構造化する
7-24 インデックス修飾
7-25 インデックス修飾の使用方法
7-26 繰り返し処理
7-27 浮動小数点・文字列の扱い
コラムプログラムは経験
索引

第1章 シーケンス制御とは

自動制御の手法としてシーケンス制御があります。シーケンス制御とはどのような制御なのか、どのような場所で使用されているのでしょうか。本章では、簡単にシーケンス制御の概要を説明していきます。まず、シーケンス制御がどのようなものか感じてください。

1-1 シーケンス制御

生産工場などの自動化が進み、物を生産するのは人ではなく機械が生産する時代に変化しています。自動化の中心となる仕組みがシーケンス制御です。
シーケンス制御とは
シーケンスという言葉ですが、直訳すると「順番に並んだ」などの意味になります。シーケンス制御なので「順番に並んだ」 制御で、順番どおりの制御ということになります。順番どおりの制御とは、あらかじめどのように動作をするかプログラム しておき、実際にプログラムどおりに動かす制御です。
例えば、全自動洗濯機は、スタートボタンを押せば、「給水手洗い→すすぎ→脱水」 までを自動で行ってくれます。これはあらかじめ「給水手洗い→すすぎ→脱水」までのプログラムが入っているからです。この制御の部分が自動でなかった場合、洗いボタンを押したあと、15分後にすすぎボタンを押しにくる必要があります。
あらかじめ動作が決まっているのですから、残りの作業も自動で行った方が断然効率が良いのです。このように自動化を行う仕組みがシーケンス制御です。

順番どおりしかできないの?
シーケンス制御は順番どおりの制御と説明しましたが、順番どおりの制御しかできないのでしょうか? 基本的には順番どおりの制御です。ただし、条件などを設定して動作を変更することは可能です。

例えば、どのように動作するかあらかじめプログラムしますが、複数のパターンをプログラムしておきます。条件によって動作させるプログラムを変更すればいろいろな動作が可能となります。実際はプログラム内に細かく条件分岐”を入れて動作を変更させますので、自由度の高い制御が可能となります。
工場などで使用されている産業機器、自動生産ラインなどのほとんどは、シーケン ス制御が取り入れられています。これからシーケンス制御を学習していくとわかる と思いますが、シーケンス制御は、産業機器や設備の制御に適しているといえます。

*条件分岐ある条件が満たされているかによって、次に実行するコードに切り替える命令のこと。

絵とき シーケンス制御読本―入門編― 改訂4版

はじめに

この本は、新たな構想のもとに、シーケンス制御の基礎を「よりわかりやすく」をモットーに、実際の制御機器の操作と関連させて、その動作の順序を二色に色分解し、全ページを絵と図で説明するという。これまでの本には 見られない、新しい解説法をとった「絵とき版シーケンス制御入門の書」といえます。この本の内容と特徴は、次のとおりです。

シーケンス制御を理解するために用いられるおもな用語を、イラストの絵をもとにやさしく解説してあります。
シーケンス制御を構成する機器の構造を、実物に基づき立体的に図示しその機能と動作をわかりやすく説明してあります。
JIS C 0617(電気用図記号)に基づく、シーケンス図に記載するおもな機器の電気用図記号とその書き方を、一覧表にまとめてあります。
開閉接点には、「メーク接点」「ブレーク接点」「切換接点」があり、その動作を押しボタンスイッチ、電磁リレーを例にして、わかりやすく示してあります。
シーケンス図には、構成する機器の名称を文字記号または制御機器番号で記載されるので、これらを一覧表にまとめてあります.
シーケンス図の書き方を、実際の回路例により順序だって説明してあります.

シーケンス制御装置に関し実際の配線図を図示して、全体の構成が実感として受け取れるようにし、そのシーケンス図を示してあります。
シーケンス制御の動作を、その順序に従って一つ一つのシーケンス図に分解して示す「スライド方式」を用いることにより、その動作が系統的に容易に理解できるようになっております.
シーケンス動作回路を色矢印で示すとともに、動作順序を動作番号で示すことにより、どの回路がどの順序で動作しているかを「目で見てすぐわかる」ようになっております。
この本は、初めてシーケンス制御を学ぶ人や企業内の再教育用のテキスト として、きっとご満足いただけるものと思います。

2018年7月 オーエス総合技術研究所・所長 大浜 庄司

目次

■はじめに 第1章 シーケンス制御に用いられる用語
1-1 機能に関する用語
1-2 機器に関する用語
第2章 シーケンス制御に用いられる機器のいろいろ
2-1 操作スイッチと検出スイッチ
2-2 制御リレーとタイマ
2-3 表示機器と警報機器
第3章 シーケンス制御とはどういうものか
3-1 シーケンス制御とフィードバック制御
3-2 シーケンス制御に用いられる図のいろいろ「電気用図記号の書き方」
4-1 おもな電気機器の図記号
4-2 手動操作接点の図記号と動作
4-3 手動操作自動復帰接点の図記号と動作
4-4 電磁リレー接点の図記号と動作
4-5 電磁接触器の構造と図記号および動作
4-6 開閉接点図記号の対比(新旧 JIS 図記号)
4-7 接点機能図記号と操作機構図記号の表し方
第5章 文字記号・制御器具番号の表し方
5-1 文字記号の表し方と機能記号
5-2 文字記号としての機器記号
5-3 シーケンス図における文字記号の表し方
5-4 制御器具番号とはどういうものか
5-5 制御器具番号の構成のしかた
5-6 補助記号とはどういうものか
第6章 シーケンス図の書き方
6-1 シーケンス図の書き方の決まり
6-2 開閉接点を有する図記号の状態
6-3 電磁リレー・電磁接触器の表し方
6-4 シーケンス図の縦書きと横書き
6-5 シーケンス図の制御電源母線のとり方
6-6 シーケンス図の接続線の書き方
6-7 各種記号によるシーケンス図の表し方
第7章 シーケンス制御の基本回路の読み方
7-1 動作回路と復帰回路の読み方
7-2 接点の直列回路の読み方
7-3 接点の並列回路の読み方
7-4 自己保持回路の読み方
7-5 インタロック回路の読み方
7-6 選択回路の読み方
7-7 表示灯回路の読み方
7-8 無接点リレー回路の読み方
7-9 論理回路の読み方
第8章 実例で見るシーケンス制御の動作機構
8-1 シーケンス制御の動作機構
8-2 光電スイッチによる侵入者警報装置
8-3 電動機の始動制御
8-4 自動揚水装置の制御
第9章 時間差の入ったシーケンス制御
9-1 タイマとはどういうものか
9-2 モータ式タイマの配線図と動作展開図
9-3 モータ式タイマの内部シーケンス
9-4 タイマの限時接点の図記号とタイムチャート
9-5 限時動作・ランプ点滅回路
9-6 限時復帰、ベル・ブザー鳴動回路
第10章 実例でみる時間差の入ったシーケンス制御
10-1 電動機の時限制御
10-2 電気熱処理炉の時限制御
第11章 シーケンス制御の活用例
11-1 電動機の正逆転制御
11-2 電動機のスターデルタ始動制御
■付録 制御器具番号の基本器具番号と補助記号
■索引

大浜 庄司 (著)
オーム社; 改訂4版 (2018/8/11)、出典:出版社HP

改訂4版の発行にあたって

各国の規格・基準の国際的整合化と透明性の確保は、貿易上の技術的障害を除去または低減し、世界的な貿易の自由化と拡大のためには、必要不可欠といえます。わが国においても、国内規格が非関税障壁とならないように、国際規格との整合性を図るため、JIS(日本工業規格)の国際規格との整合化が図られてきました.
本書は、JIS C 0617 (電気用図記号) シリーズに規定された電気用図記号を採用しております。JIS C 0617:2011 は、国際規格 IEC 60617 (Graphical symbols for diagrams)に準拠して規定され、整合性が図られています。

本書のオリジナル版は 1974年11月に月刊雑誌「新電気』の臨時増刊号として発行され、翌1975年に書籍化されて、その後、制御技術の進歩とともに歩みつづけ2000年に大幅な改訂を行い「改訂3版」としました。以来、現在まで長年にわたって、現場の技術者の方々にご愛読いただいております。
この度、2000年以来の技術改新に伴い、この本のさらなる内容の充実を図るため、「開閉接点の名称」などを見直しJIS C 0617 (電気用図記号)への一層の整合化を図ることを含め、本書の細部にわたって点検を行い、書き改めて、装を新しくして「改訂4版」といたしました。旧版同様、ご愛読いただければ幸いです。

2018年7月
オーエス総合技術研究所・所長 大浜庄司

大浜 庄司 (著)
オーム社; 改訂4版 (2018/8/11)、出典:出版社HP

第1章 シーケンス制御に 用いられる用語

さあ、シーケンス制御について学びましょう。 まず、”制御”とはどういうものかといいますと、 制御とは、操作または動作などにより、ある目的に従って、量の増減または状態の変化を行わせるか、量または状態を一定に保つことをいいます。制御には、シーケンス制御のほかに、自動制御、フィードバック制御、遠方制御、計算機制御、数値制御などがあります。自動制御とは、制御装置によって自動的に行われる制御をいいます。 ※フィードバック制御とは、フィードバックによって制御量の値を目標値と比較し、それらを一致させるように動作を行う制御をいいます。 ※遠方制御とは、特定の装置を用いて互いに離れている構成要素で、信号の授受または操作ができるようにした制御をいいます. を計算機制御とは、制御装置の中に制御用計算機を取り入れ、その高度な機能を 利用する制御をいいます。 数値制御とは、工作物に対する工具の位置を、それに対応する数値情報で指令 する制御をいい、 “NC” (Numerical Control)ともいいます。
この章のポイントでは、シーケンス制御に用いられる用語から始めましょう。
まず最初に、この本を読むにあたって、どうしても知っておかなくてはならない、シーケンス制御の機能に関する用語を覚えましょう。
次に、 シーケンス制御に用いられる機器に関する用語として、スイッチ、検出スイッチリレー、操作用機器などの用語を、やさしく解説してありますので、おわかりいただけると思います。

 

 

 

大浜 庄司 (著)
オーム社; 改訂4版 (2018/8/11)、出典:出版社HP

絵とき シーケンス制御読本(実用編) 改訂4版

はじめに

この本は、電動機制御、温度制御,圧力制御時限制御などの実用基本回路及び自家用受電設備,空調設備、エレベータ設備,給排水設備コンベア 設備,ポンプ設備などのシーケンス制御について、その動作を色分解し、絵と図で解説した「シーケンス制御実務書」です。

この本は、シーケンス制御回路をより理解しやすくするために、次のよう な工夫をしているのが特徴です。
(1) 設備を構成する機器の配置と制御配線を立体的に図解した実際電線図で示すことにより、制御系の全体の構成が実感として受けとれるようになっております。
(2) シーケンス図と実際配線図を対比して示すことにより. シーケンス図に記載されている回路構成を具体的に理解することができます。
(3) シーケンス制御をその動作機能により、順を追って一つ一つのシーケンス図に分解して示すスライド図解方式を用いることことにより、その動作機能が系統的に理解できるようになっております。
(4) シーケンス図における制御機器の動作により形成される回路は、シーケンス図に色矢印で示してありますので、その矢印の回路を順にたどることにより、おのずから動作した回路が一目で見てわかるようになっております。
(5) シーケンス図に動作の順に従って、動作番号が記載してありますので、その動作番号を順に追っていくことにより、シーケンス動作が容易に理解できるようになっております。
(6) メーク接点ブレーク接点切換接点などの開閉接点は、動作すると閉じまたは開きます。そこで、これら開閉接点の動作後の可動接点 図記号を色線で示すことにより、信号の流れが連続的に理解できるようになっております。
シーケンス制御を初めて学習しようと志す人には、本書の姉妹書である 「絵ときシーケンス制御読本 入門編」もお勧めいたします。
これら姉妹書を含め活用され、多くの人々が一日も早くシーケンス制御技術を習得され、先端技術者としての重責を十二分に果され、活躍されるならば、著者の最も喜びとするところです。

2018年9月
オーエス総合技術研究所・所長 大浜庄司

大浜庄司 (著)
オーム社; 改訂4版 (2018/10/24)、出典:出版社HP

目次

■はじめに
第1章 シーケンス制御を理解するための電気設備のしくみと制御
1-1 自家用高圧受電設備のしくみと制御
1-2 電動機・電気炉設備などのしくみと制御
1-3 空調設備のしくみと制御
1-4 エレベータ設備のしくみと制御
1-5 給排水設備のしくみと制御
1-6 コンベヤ設備のしくみと制御
1-7 ポンプ設備のしくみと制御
第2章 シーケンス制御の基礎知識
2-1 シーケンス制御機器のしくみと動作
2-2 電気用図記号の表し方
2-3 シーケンス制御記号の表し方
2-4 制御器具番号の表し方
2-5 シーケンス図の表し方
第3章 やさしいシーケンス制御の実例
3-1 自動ドアの開閉制御機構
3-2 自動ドアのシーケンス制御
第4章 電動機制御の実用基本回路
4-1 電動機の現場・遠方操作による始動・停止制御回路
4-2 コンデンサモータの正逆転制御回路
4-3 電動機の寸動運転制御回路
4-4 電動機の逆相制動制御回路
4-5 電動機の始動制御回路のいろいろ
第5章 温度制御の実用基本回路
5-1 温度スイッチを用いた警報回路
5-2 三相ヒータの温度制御回路
5-3 加熱・冷却二段温度制御回路
第6章 圧力制御の実用基本回路
6-1 圧力スイッチを用いた警報回路
6-2 コンプレッサの圧力制御回路(手動・自動制御)
第7章 時限制御の実用基本回路
7-1 ブザーの一定時間吹鳴回路
7-2 電動送風機の遅延動作運転回路
第8章 自家用受電設備のシーケンス制御
8-1 電磁操作方式による遮断器の構造と動作
8-2 直流式電磁操作方式による速器の制御回路
8-3 交流式電磁操作方式による遮断器の制御回路
8-4 自家用受電設備の試験回路
第9章 空調設備のシーケンス制御
9-1 空調設備の制御方式
9-2 ボイラの自動運転制御
9-3 ファンコイルユニットの運転制御
第10章 エレベータ設備のシーケンス制御
10-1 エレベータの記憶制御回路
10-2 エレベータの方向選択制御回路
10-3 エレベータの表示灯制御回路(Ⅰ)
10-4 エレベータのドア開閉制御回路(ドア閉)
10-5 エレベータの運行指示制御回路
10-6 エレベータの始動制御回路(主回路)
10-7 エレベータの表示灯制御回路(Ⅱ)
10-8 エレベータの停止準備制御回路
10-9 エレベータの停止制御回路(主回路)
10-10 エレベータの呼び打消制御回路
10-11 エレベータのドア開閉制御回路(ドア「開」)
10-12 3階までのエレベータ設備
第11章 給排水設備のシーケンス制御
11-1 フロートレス液面リレーを用いた給水制御
11-2異常渇水警報付き給水制御
11-3 フロートレス液面リレーを用いた排水制御
11-4 異常増水警報付き排水制御
11-5 ビルの給排水衛生設備
第12章 コンベヤ・リフト設備のシーケンス制御
12-1 コンベヤの一時停止制御
12-2 荷上げリフトの自動反転制御
第13章 ポンプ設備のシーケンス制御
13-1 ポンプの繰り返し運転制御
13-2 ポンプの順序始動制御
第14章 駐車場設備・防災設備のシーケンス制御
14-1 駐車場設備のシーケンス制御
14-2 防災設備のシーケンス制御
■索引

大浜庄司 (著)
オーム社; 改訂4版 (2018/10/24)、出典:出版社HP

改訂4版の発行にあたって

各国の規格・基準の国際的整合化と透明性の確保は、貿易上の技術的障害を除去 または低減し、世界的な貿易の自由化と拡大のためには、必要不可欠といえます。わが国においても、国内規格が非関税障壁とならないように、国際規格との整合性 を図るため、JIS(日本工業規格)の国際規格との整合化が図られてきました。
本書は、JIS C 0617 (電気用図記号) シリーズに規定された電気用図記号を採用しております。 JIS C 0617:2011 は、国際規格 IEC 60617 (Graphical symbols for diagrams)に準拠して規定され、整合性が図られています。

「本書のオリジナル版は 1975年11月に月刊雑誌「新電気」の臨時増刊号として発 行され、翌1976年に書籍化されて、その後,制御技術の進歩とともに歩みつづけ、2001年に大幅な改訂を行い「改訂3版」としました。以来、現在まで長年にわたって、現場の技術者の方々にご愛読いただいております。
この度、2001年以来の技術改新に伴い、この本のさらなる内容の充実を図るため、「開閉接点の名称」などを見直し、JIS C 0617 (電気用図記号)への一層の整合化を図ることを含め、本書の細部にわたって点検を行い、書き改めて、装を新しくして「改訂4版」といたしました。
旧版同様、ご愛読いただければ幸いです。

2018年9月
オーエス総合技術研究所・所長 大浜庄司

 

大浜庄司 (著)
オーム社; 改訂4版 (2018/10/24)、出典:出版社HP

マンガでわかるシーケンス制御

まえがき

現代社会において、自動制御を使った機器はあらゆる分野で活躍しています。電気洗濯機やエアコンなど、身近な家電製品にも自動制御回路が組み込まれ、私たちの暮らしを快適で便利なものにしています。また、工場の生産ラインでも、機械の自動化が省力化に大きく貢献しています。ビルのエレベーターや交差点の信号機にも自動制御が使われています。このように、私たちの暮らしに、自動制御は必要不可欠なものとなっています。

自動制御にはいくつかの方式がありますが、その中でも信号機やエレベーターなどに使われるシーケンス制御は、最も基本となるものです。実際の制御ではマイコンによるものも多く使われていますが、初めてシーケンス制御を学ぶには、電磁リレーによる制御からはじめるのがいいでしょう。また、シーケンス制御の動作を理解するには、シーケンス図を見て、実際の動作をイメージできるようにすることが大切で、そのためには、シーケンス図を見るだけでなく、制御回路の配線を実際に体験するのが有効な手段です。

本書では、マンガの登場人物カイ君に、実際に電磁リレーを使った基本的なシーケンス回路を配線してもらいました。配線シーン作画にあたり、マンガ制作担当の株式会社トレンド・プロ様には、電磁リレーなど、実物を使って実際に回路を作って頂きました。みなさんもカイ君と一緒に実際の配線を体験し、シーケンス制御回路の配線がどのようなものであるか実感して下さい。きっとシーケンス制御に興味が持てると思います。
本書の制作にあたり、作画を担当された高山ヤマ様、制作を担当された株式会社トレンド・プロの皆様に深く感謝致します。また、私に執筆の機会を与えて下さった株式会社オーム社開発部の皆様に心からお礼申し上げます。

2008年10月
藤識和弘

藤瀧 和弘 (著), 高山 ヤマ (著), トレンドプロ (著)
オーム社 (2008/10/1)、出典:出版社HP

目次

プロローグひきこもりとおせっかい
第1章 制御
手動制御と自動制御
電気回路と制御回路
接点の働き
接点の種類
フォローアップ
自動制御とは
制御回路の基本
接点の基本形とその働き

第2章 シーケンス制御
シーケンス制御
フィードバック制御で動く機器
フォローアップ
全自動洗濯機に見るシーケンス制御
エアコンとフィードバック制御

第3章 制御に使う様々な機器
押しボタンスイッチ
トグルスイッチ
セレクタスイッチ
マイクロスイッチ
電磁リレーとは
タイマとは
フォローアップ
命令用機器
検出用機器
制御操作用機器
表示用機器と警報用機器

第4章 シーケンス図の描き方
絵描きと横描き
機器を表す文字記号
接続箇所の表し方と実際の接続
シーケンス図を読みやすくする
フォローアップ
シーケンス図の描き方の基本
シーケンス図と文字記号
制御機器端子記号
シーケンス図の位置参照方式
シーケンス図の読み方
シーケンス回路の故障原因の見つけ方

第5章 接点と論理回路
デジタルとは
論理回路とは
フォローアップ
2値信号
基本的な論理回路
論理回路を表す図記号
NAND回路からAND、OR、NOT回路を作る

第6章 リレーシーケンスの基本回路
表示灯を消す回路
回答者が2人の場合
回答者が3人の場合
タイムチャートとは
実際に配線してみる!
エレベーターの基本回路
フォローアップ
基本回路とタイムチャート
タイマを使った時限動作回路
順序動作回路
モータの運転停止回路

索引

藤瀧 和弘 (著), 高山 ヤマ (著), トレンドプロ (著)
オーム社 (2008/10/1)、出典:出版社HP

必携 シーケンス制御プログラム定石集―機構図付き

はじめに

今、世の中には自動で動く機械が溢れています。そして、それらの中の多くが、シーケンス制御と呼ばれる制御手法で駆動されています。シーケンス制御には、リレー制御と、ラダー図を使ったプログラミングができる専用のコントローラを使う制御方法があります。

特に近年は、PLCまたはシーケンサと呼ばれる専用のコントローラを使った機械制御が主流になっていますが、そのプログラミングに関しては、多くの技術者が利用しているにもかかわらず、一般的な手法が提供されておらず、個々の技術者の能力に頼っているのが実状です。
本書は、そのようなシーケンス制御プログラムを作るときの考え方や、生産現場で使われるテクニックを定石集という形でまとめたものです。それぞれの定石には意図するところがわかりやすくなるように、具体的な例として機構図を付けてプログラムの作り方を解説しました。
定石集は、シーケンス制御やリレーを使った電気回路についてのある程度の知識をもっていることが前提に記述されています。そのため、なかには多少難易度の高いものも含まれますので、初心者の方々には、シーケンス制御やPLCについての詳しい解説が掲載されている本書の入門編に当たります「ゼロからはじめるシーケンス制御」熊谷英樹著(日刊工業新聞社発行)をご一読されることをお奨めいたします。
本書が多くの方々に有効に活用されることを願ってやみません。

平成15年7月
著者記す

熊谷 英樹 (著)
日刊工業新聞社 (2003/8/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章
知っておきたいシーケンス制御プログラムの基礎知識
解説 1 シーケンス制御プログラムのための基礎知識
解説 2 リレー電気回路をPLCで置き換える
解説 3 PLCの構造
解説 4 PLC入カリレーの動作
解説 5 PLC出力リレーの動作
解説 6 PLCの入力はリレーコイルでイメージし、出力はリレー接点でイメージする
解説 7 PLCの内部リレーの動作
解説 8 PLCの入出力回路の簡易表現
解説 9 タイマリレーの動作
解説 10 カウンタリレーの動作
解説 11 パルス(1スキャン)命令
解説 12 内部リレーの用途
解説 13 PLC内部の演算処理
解説 14 PLC内部の演算処理例
解説 15 ラダー図の論理式的解法
解説 16 自己保持回路のつくり方
解説 17 自己保持回路の開始条件は左肩に正論理で記述する
解説 18 自己保持回路の解除条件は右肩に論理否定をとって記述する
解説 19 自己保持回路の複雑な解除条件には内部リレーを使う
解説 20 時系列の動作順序をつくるには自己保持回路を組み合わせる

第2章
シーケンス制御の定石集−初級編−
【スイッチ入力の定石】
定石 1 モメンタリスイッチには自己保持回路を使う
定石 2 モメンタリスイッチ1個で出力をON/OFFするには内部リレーを使う
定石 3 短押しと長押しを区別するにはタイマとパルスを使う
定石 4 操作スイッチでモータをON/OFFするときはスイッチの種類に注意する
定石 5 長押しされると誤動作の原因となる接点はパルス変換する
【モータ制御の定石】
定石 1 1回転停止制御はリミットスイッチがOFF → ONと変化することを利用する
定石 2 モータを一定時間で停止するにはタイマと自己保持回路を使う
定石 3 瞬時反転や瞬時ON/OFFのできないモータは、出力リレーがOFFしてからの待ち時間をつくる
定石 4 モータの正逆転回路は出力リレーをインターロックしておく
定石 5 送りネジ機構のモータはオーバーランLSで無条件に停止させる
定石 6 送りネジの単純一方向動作は自己保持回路とインターロックを使う
定石 7 装置を使用していないときには一時的に停止する
【センサの定石】
定石 1 ワークを発見したときにコンベアを止めるにはセンサのb接点を使う
定石 2 チャタリングを起こす入力はタイマに置き換える
定石 3 短時間しかONしない接点は自己保持とタイマで時間を延長する
定石 4 空気圧力を利用したセンサは時間差を考慮する
定石 5 真空度検出センサは真空度が上がる時間を考慮する
定石 6 センサ出力が安定していればトリガパルスで判定する
定石 7 センサでワークの通過数を数えるには立下りパルスを使う
定石 8 対象物以外のものでセンサが反応するときには
センサを有効にする条件をつける
【空気圧シリンダ制御の定石】
定石 1 スイッチを切ったときにピストンを元の位置に戻すには、
シングルソレノイドバルブを使う
定石 2 リードスイッチを使うときは、スイッチとピストン位置のずれを考慮する
定石 3 片側のリミットスイッチが使えないときは
反対側のリミットスイッチとタイマで代用する
定石 4 シングルソレノイドバルブは
電源投入時やPLCのRUN/STOP時の動作に注意する
定石 5 ストローク末端での停止状態を表示するには、
リードスイッチと出力リレーを使う
定石 6 ダブルソレノイドバルブの切替えにはバルブの動作時間を確保する
定石 7 ダブルソレノイドバルブの出力回路はメンテナンスできるように配慮する
定石 8 ダブルソレノイドバルブは両方のバルブが同時にONしないように注意する

第3章
シーケンス制御の実用プログラム作成−テクニック編−
【状態遷移テーブルを使ったプログラミング】
解説 1 作業ユニットの順序回路を状態遷移テーブルをつくって
プログラミングする方法
解説 2 状態遷移テーブルのつくり方
解説 3 状態遷移テーブルからラダー図をつくる
解説 4 自動運転開始/停止は自己保持回路でつくる
解説 5 非常停止の使い方
解説 6 ユニットの一部を独立させるにはその部分を分離して
ハンドシェイクをとる
【フローチャートを使ったプログラミング】
解説 1 作業ユニットの順序回路をフローチャートからつくる方法
解説 2 フローチャートから順序回路をつくる例
解説 3 自動機の制御プログラム構築例

第4章
シーケンス制御の定石集−中級編−
【出力回路の定石】
定石 1 出力を一定周期でON/OFFするにはタイマを2つ使う
定石 2 出力リレー部と制御部は分離する
定石 3 1つの出力を複数の制御回路で操作するには並列回路にする
【順序回路の定石】
定石 1 サイクル運転する作業ユニットは順序回路をつくって制御する
定石 2 作業ユニットの一部分の繰り返しはカウンタを使う
【原点復帰の定石】
定石 1 原点復帰は安全な順番に復帰する
定石 2 モータ駆動機構の原点には、いつも同じ方向から復帰する
定石 3 1回転停止の原点復帰は一旦回転する
【自動供給の定石】
定石 1 コンベア先端のワーク検出はタイマを使う
定石 2 2個目のワークを待機させるにはセンサを2個使う
定石 3 取出しユニット動作中には供給コンベアを停止する
定石 4 2本のコンベアによるワークの分離は満杯センサと通過センサを使う
定石 5 ボウルフィーダは先端センサと満杯センサで制御する
定石 6 リニアフィーダの状態に合わせてボウルフィーダを駆動する
【自動排出の定石】
定石 1 コンベア上の排出位置満杯検出はコンベアを動作させてチェックする
【品種切替の定石】
定石 1 品種によって作業時間をかえるにはタイマーを切り替える
定石 2 スイッチを使って出力先を切り替えるには
スイッチ入力のインターロックを使う
定石 3 1つのスイッチで複数の出力先を切り替えるには入力をパルス化する
定石 4 段取り替えは作業開始前に行い、完了信号で管理する
【品種判別の定石】
定石 1 判定パルスはワークとセンサが安定してから使う
定石 2 ワークの自動品種判別にはタイミングトリガを使う
定石 3 検査時間が設定されているときにはチェックゲートを使う
定石 4 チェックゲートの全範囲検査はチェックゲート終端で判定する
【条件分岐回路の定石】
定石 1 分岐点では全ての条件パターンを記述する
定石 2 条件設定にないパターンでは作業を行わずにスキップする
定石 3 治具段取り替えのセンサは2進数でかぞえる

第5章
シーケンス制御の定石集−システム構築編−
【非常停止の定石】
定石 1 非常停止はスイッチの種類に注意する
定石 2 非常停止の接点は内部リレーに置き換えて使う
定石 3 非常停止が入ったらプログラムを進行させないようにする
【作業ユニットの定石】
定石 1 BUSY信号 BUSY信号は作業の開始時にONして1サイクル終了時OFFになる
定石 2 READY信号 READY信号は原点・異常・BUSYの3要素でつくる
定石 3 終了信号 終了信号は自己保持して、スタートパルスでリセットする
定石 4 ユニット間の同期に複数のユニット間の同期をとるには終了信号を集める
定石 5 ピック&プレイスユニット
ピック&プレイスユニットの制御は、
START・READY・BUSYの信号のほかにSAFE信号をとる
【ステージ型自動機の定石】
定石 1 安全センサがONしたらユニットを安全な方向へ回避させる
定石 2 準備完了ランプで手作業を開始するタイミングを知らせる
【フリーフロー型ベースマシンの定石】
定石 1 作業ユニットはパレットが安定してからスタートする
定石 2 パレット搬送コンベアの異常復帰はストッパの位置を確認して再起動する
【インデックス型自動機の定石】
定石 1 インデックス型自動機はインデックスが完了した信号で
作業ユニットを起動する
定石 2 作業ユニットのSTART・READYBUSY信号をつくって制御する
定石 3 インデックスする都度ワークと一緒にワークに関する情報もシフトする

索引

熊谷 英樹 (著)
日刊工業新聞社 (2003/8/1)、出典:出版社HP